クリアランス技術検討ワーキンググループ(第13回) 議事要旨

1.日時

平成21年11月6日(金曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 放射線発生装置の解体等及び放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物のクリアランスレベルについて
  2. 放射性核種の減衰に基づくRI汚染物のクリアランス判断に係る論点の整理について
  3. その他

4.出席者

委員

近藤主査、飯本委員、石田委員、上蓑委員、木村委員、反保委員、古川委員、森本委員、山本委員

文部科学省

明野原子力安全課長、中矢放射線規制室長、井上放射線安全企画官、石井専門官

5.配布資料

資料第13-1号:第12回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)
資料第13-2号:「資料第12-3号添付資料8:小規模の放射線発生装置使用施設の使用等で発生する放射化物のクリアランスレベルの試算結果」に係る誤記の訂正について
資料第13-3-1号:放射化物及びRI汚染物の埋設処分の評価経路に係るクリアランスレベル算出に用いるパラメータ一覧(核種に依存しないパラメータ)(案)
資料第13-3-2号:放射化物及びRI汚染物の再利用・再使用の評価経路に係るクリアランスレベル算出に用いるパラメータ一覧(核種に依存しないパラメータ)(案)
資料第13-4-1号:大規模の放射線発生装置使用施設の使用等で発生する放射化物のクリアランスレベルの試算結果(案)
資料第13-4-2号:大規模の放射線発生装置使用施設の使用等で発生する放射化物のクリアランスレベルの試算結果(案)
資料第13-5号:焼却処理の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について(案)
資料第13-6-1号:可燃物の焼却処理の評価経路に係るクリアランスレベル算出に用いるパラメータ一覧(核種に依存しないパラメータ)(案)
資料第13-6-2号:焼却処理シナリオで使用した元素及び核種に依存するパラメータ(案)
資料第13-7号:放射性同位元素の使用等に伴い発生するRI汚染物のうち主要核種に係るクリアランスレベルの試算結果(案)
資料第13-8号:RI汚染物のクリアランス判断に係る技術的課題の整理(案)
参考資料1:クリアランス技術検討ワーキンググループ委員名簿
参考資料2:埋設処分の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について(案)
参考資料3:再利用・再使用の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について(案)

6.議事要旨

(1)資料第13-1号の第12回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)について近藤主査から、修正すべき点等があれば、会合の1週間後までに事務局へ連絡するよう確認がなされた。

(2)資料第13-2号、資料第13-3-1号、資料13-3-2号、資料第13-4-1号、資料第13-4-2号、資料第13-5号、資料第13-6-1号、資料第13-6-2号及び資料第13-7号に基づき、事務局から、放射線発生装置の解体等及び放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物のクリアランスレベルについて説明が行われた。
 委員からの主な質問及び意見は以下のとおり。

【古川委員】可燃物については、焼却も別に計算しているということだが、溶融炉が決定経路となっている理由というのは基本的にはどういうことなのか。
【石井専門官】RS-G-1.7では焼却処理の評価経路が行われていないという理由もあり、現状、パラメータ設定や評価式のところで影響が出てきていると思う。ご指摘のあった焼却炉と溶融処理炉の違いというのは、まだ分析できておらず、今後分析をしていきたいと考えている。
【反保委員】パラメータについて、例えば透過率、遮蔽のところでCo-60の安全側の数値を使っているが、核種ごとに値はすべて出てくると思うが、そういったものを使っていない理由というのは何かあるのか。
【近藤主査】恐らくコバルトで約1.4MeVとか、非常に高いエネルギーのガンマ線を出すので、それで評価しておけば安全サイドだという、そういう立場なのではないか。
【反保委員】おっしゃることはよくわかるが、ここに出てきたRI汚染物などは、多分、コバルトと比べればものすごくエネルギーが弱いため、保守的過ぎる可能性があるのではないかと思う。
【石田委員】焼却炉壁及び溶融炉壁に付着する割合は両方とも1%ということだが、根拠がわかりにくい。
石井専門官】ここは1つの焼却処理施設等を調査した結果から設定しているが、今後文献等の調査も含めてデータを集めていきたいと考えている。
【木村委員】13-7号の結果を見ると結局、IAEAで考慮していない、要するに可燃物を燃やすというシナリオが決定経路という形になっていて、IAEAでは当然考えていないので、可燃物の溶融炉の周辺の畜産物等の経路が決定経路になっているということで違いが出てきている。物量的に考えると、IAEAのRS-G-1.7で想定している物量よりも、今回の一括クリアランスのほうが実は物量は多分小さいと思っており、基本的にはトリチウムとかカーボンの評価結果を見ればわかるように、今回の試算のほうが大きくなるのが当然だと思う。それに対して、焼却の溶融が決定経路になっているものに関しては、必ずしもその傾向ではないということは、やはり燃やすということで濃縮するというか、その影響が出ていると思う。ヨウ素が特に厳しくなっているのは、当然、こういう経路を考えていないから、比較できないから、こういう経路を考えると当然厳しくなるということで、ある意味では妥当な結果になっていると思う。
【近藤主査】このRIのほうの一括クリアランス、個別クリアランスを含めて、いつごろまとめる予定なのか。
【石井専門官】基本的にはまず中間報告を取りまとめることを考えており、そこに暫定値としてクリアランスレベルを提示したいと事務局は考えている。最終的には、来年、告示等でクリアランスレベルを定めるまでに先回のワーキングでご指摘を受けた確率論的解析を実施し、パラメータの妥当性評価をすべて行って、最終的な報告書として取りまとめてレベルを決定したいと考えている。
【近藤主査】中間報告はいつごろ出すのか。
【中矢放射線規制室長】年内を考えている。主要事項を定め、そのパラメータを確定し、方針を中間報告で固めていただければ、次の段階は来年以降やっていただいても結構だと考えている。

(3)資料第13-8号に基づき、事務局から、放射性核種の減衰に基づくRI汚染物のクリアランス判断に係る論点の整理について説明が行われた。
 委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【近藤主査】RIの使用施設というのは、いろいろな施設があり、これを十把一からげで対応するというのではなくて、多様性、特徴のようなものを考慮して、いろいろな対応ができるようことも必要ではないかと思う。また、こういう制度を考える上で一番大事なのは、現場のほうでは制度が導入されたときに実効性の上がるようなものでなければならない。万一、クリアランスレベルを超えるものが一般社会に出るようなことがあると、社会に与える影響は非常に大きく、信頼性の高いクリアランス判断手法のもとに、実効性の上がる制度が求められる。
【古川委員】多くのRIの事業所があるとしても、基本的に規制のあり方というのは1本であるべきと考える。規制のあり方を考えるうえで、いわゆる利益がない人がどのように考えるかという原点に立って、規制というのはあるべきだと思う。要するに、それは廃棄物の物量が小さいから標準化のやり方を変えるとか、大きいから難しいことをやるとかということでは困る。例えば原子力学会などがRIの主要核種の特徴を生かした測定方法の標準をつくり、それに基づいて、それができる事業所がクリアランスをやっていくというのが筋だと思う。それが大事で、そのような行為ができない事業所は必然的にやらないということ。事業者の大なり小なりではなくて、多様性でもなくて、基本的にそういう1つのスタンダードのもとにクリアランスの行為がなされるべきで、そうでなければ社会として受け入れられないのではないかと考える。
【中矢放射線規制室長】ここで議論いただきたいのは、ある意味標準的なもの、短半減期の核種のものを使う場合、例えば放射化物、そういったものの確認のときに使える方法というのはどういうものであるのか、基本的なところ、標準的なものを議論していただければと思っている。短半減期のものについて測定手法を考えていただくときに、1つのイメージとして、例えば、対象となる半減期と期間を決めてしまえば、クリアランスレベルになるときと、最終的に保管が終了した時点でクリアランスレベルになるということから考えれば、保管期間を決めてしまえば、測定時間をもっと前に持っていってしまえば、例えばRS-G-1.7のレベルを使うとしても測定時点では高い濃度で測ればよくて、非常に測りやすい。ひょっとしたら、その濃度というのは購入量よりも上回っていることも考えられ、そういうことが例えば購入記録から証明できれば、それで確認が済むかもしれない。こういったことも少しバランスを持って議論して、提案していただければと思う。
【山本委員】3.1のRI汚染物の放射能濃度の確認において、放射能濃度の測定方法のところは、RI汚染物の特徴を考慮したという意味の中には、その汚染の形態とか、汚染の状況とか、そういう物理的な状況とともに、核種の特性や特徴というものも含めて組み合わせで測定機器や測定方法というのも考えていくべき。また、放射能濃度の測定対象物のところは、当然のことながら可燃物、焼却灰のほかに放射化物を明示すべき。加えて、これはまだよくわからないが、放射能濃度の分布の均一性の確保というのが、必ずしも原子炉の解体廃棄物で出てきたときと全く同じと考えていいのかどうか、あまり問題にしなくてもいいかもしれないという面があるのではないかと何となく考えている。
【古川委員】3.1について、短半減期以外の核種の放射能濃度をはかるために、実は一番大事なのは前処理であってサンプリングである。そこが重要で、前処理やサンプリングの仕方、その単位、そこを明確にある程度標準化すれば、小さい事業所でも放射能濃度の確認が行えるだろう。一方、短半減期核種のクリアランスについては、介入の仕方は簡易にして、測定は行わず帳簿による確認とするなど、確認の方法を2つに大きく分ける。その方が、むしろ実効性があって、何千ある事業所も対応でき、または受益者ではない人にも理解が得られるのではないかと考えている。また、発生廃棄物の測定によるクリアランス検認については、ガンマ線放出核種ですら、例えばRS-G-1.7の値を担保することは、学会でも発表しているが実際は難しい。基本的に、生廃棄物そのものを、何も加工しない状態でクリアランス値の検認をすることは、不可能に近い。
【森本委員】本日の資料に記載されている例えばトリチウムの濃度だが、もともとの原廃棄物は可燃物であれば、紙類、布類、木片、プラスチック、動物の死体などとなるが、それを測ることはまず無理だと思う。それを確認してから出せということは難しいと思うので、そこは使用量などから、どうやってもクリアランスレベルを超えないということを証明できるような手段がもしあるのであれば、そういった方法を使うこともあってもいいのではないかと思う。
【飯本委員】3.2の「放射性核種の使用実態を踏まえ、他核種との混在を防ぐための適切な管理体制」を考えていく時に、加速器施設における装置の分類について行った議論の手順が役に立つ。対象となる施設の分類作業が検討の入り口としては大事だと思う。施設をその特徴をもとに分類し、個々にヒアリングをして、クリアランスを行いたいと考えている施設では、例えばどういう物量、形状のものを扱っているか、どういう頻度で出そうと思っているか、どのレベルの品質保証が現場で可能か、などを洗い出して整理をしていかないと議論は進まないのではないかと思う。
【上蓑委員】減衰保管によるクリアランスについて、どこかで必ず規制当局が関与するのであれば、どの核種は減衰保管でクリアランスできるよというようなことを分類しなくても、一括して扱えるのではないか。一律に核種と保管期間を決めるよりも、例えば20半減期前にこれだけしか使っていないとか、20半減期保管したことが規制当局で個別に判断できれば、一律に切り分けなくてもいいのではないか成り立つのではないかと思う。
【中矢放射線規制室長】一律に何年間保管しなければいけない、これ以外は認めないということはない。保管期間が長くなれば、品質保証の方が厳しくなっていく。測定の容易さとコスト、保管期間とのバランスだと思う。
【石井専門官】13-8号の資料については、1週間ぐらいをめどに、これに対するコメント等いただければ、それを報告書に反映させていただきたいと考えているので、ご協力のほどをよろしくお願いいしたい。

(4)事務局により次回のクリアランス技術検討ワーキンググループの予定は11月6日(金曜日)であることが伝えられた。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)