クリアランス技術検討ワーキンググループ(第12回) 議事要旨

1.日時

平成21年10月21日(水曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 放射線発生装置の解体等に伴って発生するクリアランス対象物の物量の見直しについて
  2. 放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)に係るクリアランスレベルの試算について
  3. 焼却処理の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について
  4. その他

4.出席者

委員

近藤主査、飯本委員、石田委員、上蓑委員、木村委員、服部委員、古川委員、森本委員、山本委員

文部科学省

明野原子力安全課長、中矢放射線規制室長、井上放射線安全企画官、服部放射線規制室長補佐、石井専門官

オブザーバー

桝本 和義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター教授

5. 配布資料

資料第12-1号:第11回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)
資料第12-2号:放射線発生装置の解体等に伴って発生するクリアランス対象物(コンクリート及び金属)の物量の見直しについて(案)
 添付資料1:代表的な機関における放射線発生施設の放射化廃棄物に関するアンケート集計結果(資料第8-3-2表2[見直し前])
 添付資料2:代表的な機関における放射線発生施設の放射化廃棄物に関するアンケート集計結果[見直し後]
 添付資料3:放射線発生装置の解体等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)のクリアランス対象物のうち再利用、再使用の対象となるものとその物量について(案)[見直し前]
 添付資料4:放射線発生装置の解体等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)のクリアランス対象物のうち再利用、再使用の対象となるものとその物量について(案)[見直し後]
資料第12-3号:放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)に係るクリアランスレベルの試算について(案)
 添付資料1:埋設処分の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について(案)
 添付資料2:再利用・再使用の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について(案)
 添付資料3:埋設処分の評価経路に係るクリアランスレベル算出に用いるパラメータ一覧(案)
 添付資料4:再利用・再使用の評価経路に係るクリアランスレベル算出に用いるパラメータ一覧(案)
 添付資料5:元素依存パラメータ一覧(案)
 添付資料6:核種依存パラメータ一覧(案)
 添付資料7:大規模の放射線発生装置使用施設の使用等で発生する放射化物のクリアランスレベルの試算結果
 添付資料8:小規模の放射線発生装置使用施設の使用等で発生する放射化物のクリアランスレベルの試算結果
資料第12-4号:焼却処理の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について
参考資料1:クリアランス技術検討ワーキンググループ委員名簿

6.議事要旨

(1)資料第12-1号の第11回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)について近藤主査から、修正すべき点等があれば、会合の1週間後までに事務局へ連絡するよう確認がなされた。

(2)資料第12-2号に基づき、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター教授 桝本氏及び事務局から、放射線発生装置の解体等に伴って発生するクリアランス対象物の物量の見直しについて説明が行われた。

(3)資料第12-3号に基づき、事務局から、放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)に係るクリアランスレベルの試算について説明が行われた。
 資料第12-3号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【石井専門官】クリアランスレベルの試算のために採用した評価パラメータについては、そのばらつきが、クリアランスレベルの算出の結果に影響を与える主要なシナリオについて確率論的解析による評価を行い確認するとともに、評価パラメータが適切かつ保守的に選定されるよう、最新の知見を考慮した十分な検討を行う必要があると考えている。
【木村委員】パラメータについて、確率論的な評価というか、ばらつき評価を行うというのであれば添付資料3、4の表に最大/最小など、パラメータの分布がわかるようにするとともに、各パラメータの設定根拠を表記したほうがよい。また、原子炉施設のクリアランスレベルの算出から時間が経過しており、例えばTECDOC-401のパラメータは古いパラメータであるので、見直したほうがよい。
【服部委員】パラメータでICRP Pub.23を使っているところがあるが、もう少し新しいデータがないか。また、添付資料6に内部被ばく線量係数としてICRP Pub.72の一般公衆に対する成人と子どもの数値を並べているが、子どもの場合はPub.72では年齢区分で数字を変えて与えていたはずであり、添付資料6では、どの年齢区分の子どもとして「子ども」に定義しているのかわかるようして欲しい。
【木村委員】補足すると、原子炉の場合は、子どものうち一番大きくなるものを選んでいる。本日の資料では、何歳という選び方ではなくて、最大値を選んでいると思う。
【山本委員】添付資料6の線量係数の選び方の基本的な考え方はどうするか。現状は、1つの値が記述されているから、化学形とか、粒子状等に依存しないで、一番厳しくなるものを選んでいると思う。原子炉施設のクリアランスレベルの算出のときは、金属とガラスとコンクリートがクリアランス対象物であったために説明できたかもしれないが、RIのクリアランスの場合、どういうものが出てくるかを見極めた上で、それぞれの物質にふさわしい換算係数を選ぶことにするのか、何か方針を決めないといけないのではないか。私としては複雑になってしまうので、一番厳しいものを選んだとするのがよかろうと思う。
【森本委員】添付資料4の3/6ページに農作物(葉菜)の年間摂取量(子ども)のところで、平成16年版「国民栄養の現状」から、1~2歳児の1~6歳児に対する農作物摂取量の割合を用いて、1~2歳児の農作物の年間摂取量を求めたとあるが、どうして、そんな小さいことにここだけ限定されたのか教えて欲しい。また、添付資料6の線量換算係数は放射線障害防止法に核種ごとに記載されている表の数値の中の一番厳しいものを持ってきているのか。それとも全然別にICRP Pub.72から一番厳しいものを持ってきているのか。
【石井専門官】確認する。
【服部委員】添付資料8で、例えばMn-54の欄の最小値(A)の決定経路は「再利用(壁材-外部)(子ども)」となっているが、Mn-54の埋設処分、再利用・再使用の決定経路にはこの経路が出てこないが問題ないか。添付資料8の再利用・再使用の濃度計算値と添付資料7の再利用・再使用の濃度計算値は、添付資料7は小数点の有効数字が3けたで書いてあるものの、数字がみな同じように見えるが、大規模でも小規模でも、再利用・再使用の計算結果はほぼ同じになるのか。また、再利用・再使用のコンクリートのところで、決定経路が正確かどうかはあるものの、皮膚の評価経路が決定経路になっている。これは直感的に、常識的に考えて、ほんとうにそうなのかと思ってしまうものであり、使った線量換算係数にさかのぼってチェックする必要があると考える。計算に用いた線量換算係数が実効線量としての換算係数になっているのか、等価線量として換算係数になっているのか、そこをチェックしてみたほうが良い。
【石井専門官】見直して出し直させていただく。
【近藤主査】今回の大規模放射線発生装置のクリアランスレベルの計算値が、RS-G-1.7の計算値と比較した場合、比が0.1~10の中に入っており、両者の値は、ほぼ同等であると言える。今後これらの値の妥当性、保守性について検討が必要である。

(4)資料第12-4号に基づき、事務局から、焼却処理の評価経路に係るクリアランスレベルの算出に用いる線量評価式について説明が行われた。

【近藤主査】Fwcとして放射性廃棄物ではない廃棄物と混ざると書いているが、具体的には事業所から出てくるときに混ざるということか。
【石井専門官】何も混ざらないで出てくるという最も保守的な形で1という値になってくると考えるが、混ざることも想定して一応、式を立てているものである。
【古川委員】放射性廃棄物ではない廃棄物というのは、原子力業界で使われている言葉であり、誤解を招くので、使わないほうがいいと思う。もう一つ、ほかのものと混じるかということだが、例えば短半減期のものを減衰待ち保管をするとなれば、基本的にどこの事業所であっても、それだけは分別してクリアランスの濃度かどうかを確認して、外に出すことになると思うが、集めるほうは、多分、産廃業者が、普通の産業廃棄物と一緒に運ぶことが考えられる。これを保守的にどう考えるかは別として、また、そういう統計データをどういうふうに持ってくるかは別とて、基本的には混じるだろうと考えるべきだと私は思う。
【近藤主査】この表現がいいかどうかは別にして、混ざる可能性はあるというスタンスだと思う。実際にFwcは1として計算すると思うので実際は問題ないと思う。表現の仕方だけの問題。
【石田委員】焼却炉での他の廃棄物との混合割合は、どのような考え方をもって設定するのか。また、被ばくする側の人の年間居住時間は、どのような人を設定するかで大分違うものとなる。クリティカルな人というか、一番厳しい人を選ぶと、過剰評価になってしまう恐れがある。計算にあたっては他の廃棄物との混合割合や年間居住時間等のパラメータはよく考慮して設定する必要がある。
【服部委員】プルームからの核種濃度を求める式中に、核種iが排気に移行する割合fというファクターがあるが、これは焼却炉を考えたときに、普通の焼却炉は、一般のところにごみを出さないように、集塵機がつけてあるのだろうと想像するが、そういったことを踏まえた現実的な評価が必要ではないか。また、煙突から出て行くという話になれば、大気拡散の効果とういファクターも必要ではないか。
【飯本委員】計算したクリアランスレベルには、大きい誤差を持っているもの、小さい誤差のものが混ざっているが、これをお互いに比べて選んでいく作業になると思うが、でき上がった答えに対するばらつきも報告書の中で見ることができるか。
【石井専門官】確率論的評価を行うことを考えている。原子力安全委員会のほうでも確率論的評価を行っているので、それを踏襲した形で報告書を作成していきたいと考えている。
【近藤主査】委員におかれましては、これを精査してコメント等をいただければ大変ありがたい。

(5)事務局により次回のクリアランス技術検討ワーキンググループの予定は11月6日(金曜日)であることが伝えられた。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)