クリアランス技術検討ワーキンググループ(第7回) 議事要旨

1.日時

平成21年6月10日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. クリアランス制度導入に向けた検討状況について
  2. クリアランスレベル設定に係る基本方針について
  3. クリアランスレベル設定における対象物の設定について

4.出席者

委員

近藤主査、飯本委員、石田委員、木村委員、反保委員、服部委員、古川委員、森本委員

文部科学省

文部科学省 黒木原子力安全課長、中矢放射線規制室長、桐生放射線安全企画官、粟辻原子力安全課長補佐

5.配付資料

資料第7-1号:第6回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)
資料第7-2号:放射線障害防止法へのクリアランス制度導入に向けたクリアランス技術検討ワーキンググループにおける検討について
資料第7-3号:クリアランス制度化に係る技術的事項に関するこれまでの検討状況
資料第7-4号:クリアランス制度導入等に係る制度設計の基本方針(案)
資料第7-5号:クリアランス判断方法の検討に関する基本方針(案)
資料第7-6号:放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルの設定に係る基本方針(案)
資料第7-7号:今後の検討の進め方(案)
資料第7-8号:放射線障害防止法に規定するクリアランスレベル設定に係る試算値のとりまとめについて
資料第7-9号:社団法人日本アイソトープ協会が集荷したRI廃棄物のクリアランス対象物量について
参考資料1:クリアランス技術検討ワーキンググループの設置について
参考資料2:クリアランス技術検討ワーキンググループ委員名簿

6.議事要旨

(1) 資料7-1に基づき、第6回クリアランス技術検討ワーキンググループの議事概要(案)の確認がなされ、原案とおり了承された。

(2) 資料第7-2号、資料第7-3号、資料第7-4号、資料第7-5号及び資料第7-7号に基づき、事務局よりクリアランス制度導入に向けた検討状況についての説明がなされた。
委員からの主な質問及び意見は以下の通り。

【反保委員】クリアランスレベルの設定について、シナリオを用いて計算して出た値が直接クリアランスレベルとして法令に取り込むようなことになるのか。また、対象核種をどこまで広げてレベルを算出するのか。
【中矢放射線規制室長】日本アイソトープ協会の出荷状況などから核種を想定してレベルを算出していただきたい。それを国際的基準や国内基準、既に運用されている原子炉の基準、これらの関係等を勘案して法令に取り込む数値を議論いただきたい。
【服部委員】一律、1つのレベルを決めるやり方の他にも、それぞれの被ばくシナリオに応じてレベルを決めるという考え方も合理的なやり方の1つであると考える。
【飯本委員】今回の議論の中では短半減期を中心にやろうと思われているのか。
【中矢放射線規制室長】ニーズ等調査の結果や測定技術の関係などを踏まえると当面は実現性、可能性が高いと考えられる短半減期のほうからやっていこうと考えている。
【古川委員】放射化物の取扱い等について、平成10年に発出されている放射線安全課長通知との関係は、どうなるのか。
【中矢放射線規制室長】課長通知は行政指導ベースのものであり簡便化を図って線量を基準として必要な要件等を指導していた。今回のクリアランスは法律ベースのものとなり、統一的にRIと通常のRI汚染物との整合性を図ることが必要となり濃度が基準となる。したがって、課長通知で示していた線量の数値と合致するような濃度が導出されるとは限らないし、基本的に違う数値となると考えている。

(3) 資料第7-6号及び資料第7-8号に基づき、事務局よりクリアランスレベル設定に係る基本方針について及びクリアランスレベル設定における対象物の設定についての説明がなされた。
委員からの主な質問及び意見は以下の通り。

【服部委員】基準線量相当濃度の導出について、BSSもRS-G-1.7も10μSv/年の他に確率の低いシナリオに対しては1mSv/年といった2通りの基準線量を示している。また、ICRPのPubl.104にもこれについて解説、あるいは記述されており、国際的なコンセンサスを得ている考え方となっている。クリアランスレベル設定にあたっては、2通りの基準線量を考えていくのか。
【中矢放射線規制室長】BSS等では、このような数値が示されているが、日本で先行して行われている原子炉施設のクリアランスレベルは10μSv/年を使って導出されており、RIの方でも同様に10μSv/年を基準線量として計算したいと考えている。計算結果は、その妥当性を評価することとしており、この中で評価したい。
【服部委員】1点強調しておきたいのは、当時と国際的なコンセンサスが変わってきているということ。BSSの改訂の中にもそれが入ってきていて、Publ.104の中にはそれがきちんと記述されている。そういう意味では最新の知見に照らし合わせながら考えていくことも必要であると考えている。
【中矢放射線規制室長】現行の日本の法律では10μSv/年を基本に基準が定められており、現行の考え方を踏まえ検討したい。しかしながら、現在、放射線審議会の方でクリアランスレベルの考え方についても議論されており、それらを踏まえて最終的には評価することになると考えている。

(4)資料第7-9号に基づき、日本アイソトープ協会の古川委員より社団法人日本アイソトープ協会が集荷したRI廃棄物のクリアランス対象物量について説明がなされた。
委員からの主な質問及び意見は以下の通り。

【反保委員】クリアランスレベルの算出は、一括クリアランスの場合のクリアランスレベル及び個別クリアランスの場合のクリアランスレベル、2種類のものを算出するのか。
【事務局(岸本)】最終的に制度としてどう反映されるかは別にして、クリアランスレベルの設定について説明できる必要があるのでレベル計算は両方出すこととなる。
【石田委員】シナリオを網羅的に考えるときに非常に発生確率の低いようなものまでやるのか。シナリオをどの範囲までやるかというのは重要なポイントである。網羅的にやるといっても、ある程度限定をしないと、とてもさばき切れなくなってしまうのではないか。
【木村委員】シナリオがほんとうに網羅性があるかどうかというのは非常に判断が難しい。原子力安全委員会で原子炉のクリアランスレベルの計算を実施した際には、委員が考えられるシナリオをピックアップし、被ばくの形態として、外部被ばく、吸入被ばく、摂取被ばく等、が考えられるが、被ばく形態としてはこれで網羅しているかどうかといった網羅性の検討を行っている。こういった検討の結果から抽出されたシナリオとIAEAの評価報告書の考えている評価経路やその他国際機関がまとめている報告書等との整合性・網羅性も検討して、最終的に原子力安全委員会としてシナリオを抽出している。
【古川委員】再利用や再使用が考えられるのは大量に均一なものが出てくる場合である。一方、非密封のRIの汚染物というのは基本的に種々雑多な廃棄物であり、年間概ね1,000トン以下であるのに加えて、数多くの種類のものが全国二千数百事業所から少しずつ出てくるものであり、基本的には再利用、再使用の現実的なシナリオというのはかなりなくなってしまうと思われる。そういう意味で、現実的なシナリオを考えていけば、個別、一括と言いつつも、さばき切れなくなる程の数にはならないと考えている。

(5)事務局より、次回のクリアランス技術検討ワーキンググループの予定は7月下旬頃である旨が伝えられた。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)