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資料1−3

2004年6月23日
東大・杉浦

ICRP勧告における自然放射線源による職業被ばくについて


1. 被ばくの種類
1) 職業被ばく(作業時の人々の被ばく、操業管理者の責任であると合理的に見なすことのできる状況の結果)
2) 医療被ばく(診断または治療の一部としての人々の被ばく)
3) 公衆被ばく(放射線に対する他のすべての被ばく)

2. 放射線防護における3つの管理方策
1) 線源管理
2) 環境管理
3) 個人管理
職業被ばくでは通常は3つの点すべてにおいて管理を行うことが可能である。(publ.60)

3. ICRP1990年勧告
従来、自然放射線は放射線防護の対象外としてきたが、線源あるいは被ばくの管理の可能性に注目し、自然放射線であっても管理可能なものは放射線防護の対象とした。
以下の4つのケースについて、自然放射線源による被ばくを職業被ばくの一部として含める必要があるとした。
(a) ラドン
(b) 自然放射性物質を含む物質
(c) ジェット機の運航
(d) 宇宙飛行
「ケース(c)はおもに航空機乗務員に関係する項目であろうが、他の乗客よりも頻繁に飛行する添乗員といったグループにも注意を払うべきである。」

4. ICRP publ.75「作業者の放射線防護に対する一般原則」(1997)
1) 総論
本質的に制御しにくい被ばくを決め、規制から除外する。
身体中のカリウム-40、地上レベルでの宇宙線、人為的操作の加わらない地殻中の放射性物質
4つのケース以外で管理が必要か否かの判断は、被ばくのレベルが高いこと、被ばくを低減するための管理の適用の可能性による。
被ばくのパターンとレベルについてのしっかりした展望が必要である。
2) ジェット機中の宇宙線
航空機乗務員の被ばく調査にある情報によれば、中緯度の高度8キロメートルにおける典型的な実効線量率は3マイクロシーベルト毎時に達する。長距離飛行で典型的な高度12キロメートルでは、この数値の約2倍となるであろう。従って、通常のジェット機に年間約200時間仕事で乗る乗客は年間約1ミリシーベルトの実効線量を受けそうである。委員会は仕事のために乗る乗客の被ばくを職業被ばくとして扱う必要があるとは考えていない。高められたレベルの宇宙線に被ばくする主な職業グループは、航空機乗務員である。(163項)
ジェット機乗務員の被ばくは職業被ばくとして扱うべきである。年間の実効線量は飛行時間と、該当する航空路の典型的な実効線量率とから導かれるべきである。他に実際的な制御手段がないため、指定区域の使用を考慮する必要はない。航空機乗務員の飛行時間について現在ある制限により被ばくが十分制御されることもありそうである。航空機乗務員のうち妊娠しているメンバーは、妊娠の終了より十分前もって搭乗任務を解かれるのがふつうである。委員会は、3.3.6節(女性の職業被ばく)に与えた目標がこの慣行によって十分達成できるであろうと信じており、またそれ故、受胎産物に対してさらなる防護手段を行使する理由を見出さない。(164項)
以上

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