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放射線障害防止法対象施設における近年の事故事例

 平成15年度及び16年度(平成16年11月26日まで)に発生した法令報告事故及びその他トラブル等に関する概要、原因、対策については以下のとおり。

[法令報告]   アスタリスク放射性同位元素等の発見に係る事例(11件中9件)

区分 発生年月日 事業所名 概要 原因 事業者の対策
態様
アスタリスク 平成15年4月17日
(判明)
北海道大学大学院工学研究科
(北海道)
 工学研究科集積電子材料高電圧実験室(管理区域外)において、2個の線源容器が鉛ブロック、鉛板に囲まれて保管されていることが発見され、床面も若干汚染が確認された。大学による聞き取り調査及び分析の結果、昭和31年以前に購入した60Co(針11本)と昭和35年頃購入した90Sr(板2枚)等であった。  放置されていた鉛ブロックに囲まれた容器中に放射性物質があるとの認識がなく、部屋の隅に数10年放置されており、物品に対する注意、管理が不十分であった。
1 総長より、全学の各部局等に対して、注意喚起、自主点検及び安全管理の徹底を通知。
2 講習会において取扱者に対し、指導、注意喚起。
3 取扱者全員に対し面談し、再発防止に努める。
その他
  平成15年6月27日
(判明)
福岡県立柳川病院
(福岡県)
 技師1名の平成14年度1年間の累積線量が120.8ミリシーベルトであり、法令で定める線量限度を超えていた。その際、ガラスバッジの測定結果について、管理者も数値を確認せず、また、本人にも手渡ししていなかったことから、事業者が法定基準を上回る被ばくを把握するのに1ヶ月程度遅れた。
 当該技師については、血液検査を含む健康診断の結果、異常は認められなかった。
 当該技師が放射線障害防止法対象外のX線装置による診断目的の撮影作業に従事した際の被ばくが想定されたが、特定はできなかった。
1 線量の測定結果は直ちに手渡しで行うとともに、院長まで回覧を行う。異常があれば、放射線管理委員会で検討を行う。
2 ガラスバッチは集中管理とし、退庁時には所定の場所に保管し、技師長が毎日確認する。
3 年度当初に教育訓練を行い、再発防止に努める。
被ばく
アスタリスク 平成15年7月4日
(判明)
東京理科大学生命科学研究所
(千葉県)
 生命科学研究所大型機器室2(管理区域外)のフリーザーを廃棄しようとしたところ、中からRI標識のあるアンプル4本が発見され、フリーザー内の一部にも若干の汚染を確認。線源は14C9.25メガベクレルかける2本(1本開封済)、1.85メガベクレルかける2本であった。  RIの購入記録、譲渡記録、入庫記録に記載されていないことから、他の施設で購入後、持ち込まれたと思われ、安全管理体制に不十分な点があった。
1 引き続き、管理区域及び貯蔵庫への立入のカードを用いたコンピュータ管理を実施
2 利用者、教室責任者に対する教育の徹底
3 管理区域外での定期的なチェック体制の整備
その他
  平成15年10月4日
(判明)
海洋科学技術センターむつ研究所
(青森県)
 北太平洋の生物生産性調査のため係留型観測機器をカムチャッカ半島沖に設置しており、本観測機器の回収作業を実施したところ、研究機器中の14C(14.8メガベクレル)を含む観測機器が所在不明となった。当該機器には、通信用機器が配備されていたが、信号の確認は出来ず、現在まで回収されていない。  海底から係留しているチェーンが破断したこと及び海上に浮かんだ際に信号を発信する通信用信号機の不具合が重なったため。
1 係留系チェーンの設計変更
2 信号機の設計変更、信号発信時の情報連絡体制の強化
紛失
アスタリスク 平成15年10月30日
(判明)
岡山大学工学部
(岡山県)
 物質応用化学科実験室(管理区域外)の整理中に鉛製容器に入ったガス泡沫密度計に装備して使用する241Am1.11ギガベクレルの密封線源が発見された。
 同測定器は物品管理簿によると昭和42年に購入し、昭和61年廃棄とされていた。
スチールロッカーの最下段にあった箱の更に奥に、鉛製の箱が放置されており、物品に対する注意、管理が不十分であった。
1 物品の適正な管理、特に退職時の物品の整理を徹底する。
2 入退出管理、在庫管理の徹底、教育訓練の一層の充実強化を行う。
その他
アスタリスク 平成16年4月26日
(判明)
富山医科薬
科大学生命科学実験センター
(富山県)
 薬学部研究棟実験室(管理
区域外)の荷物の整理中に未開封の金属缶に入った標識化合物(3H37ギガベクレル、74ギガベクレル14C37メガベクレル、3.7メガベクレル36Cl1.11メガベクレル、0.74メガベクレル65Zn74メガベクレル)が7缶発見された。線量率は金属缶の表面で最大0.15マイクロシーベルト/毎時程度(B.G.含む)であった。
昭和54年頃に薬学部が富山大学から本学へ移転した際に譲渡手続がなされていなかったと推定された。
1 RIの購入について、主任者及び施設の長の承認後、発注するとともに、購入者の研究室に配達せず、一元的に管理室で受け取る。
2 他機関からRIを譲受する場合は、事前に所定の書類を提出させ、譲渡する機関の主任者についてその旨、通知する。
3 受入体制、受入手続について、教育訓練で周知徹底を図る。
その他
アスタリスク 平成16年5月24日
(判明)
徳島大学医学部
(徳島県)
 臨床研棟第2研究室(管理区域外)の使用者が、同研究室中に"Hot"と記載のある空瓶を発見。近くにあった廃液ビン7本を含め確認したところ、廃液ビン4本に3Hが含まれていた。その後の調査によって、放射性物質あるいは放射性物質を含む廃液が入っているとみられるビン等約1,100本(核種は、ほとんどが3Hで、一部14C及び両者を含むものがある。他にリン32P、35Sが3本。)が発見された。また、帳簿上に存在せずに貯蔵室に保管されていたRIが多数発見されるとともに、昭和51年頃から平成9年頃まで、管理区域からトリチウム、炭素14等の放射性同位元素を持ち出して管理区域外で使用していたことが判明した。 帳簿に記載されたRIと貯蔵室にあるRIを定期的に照合していなかったこと、RIを管理区域外に持ち出して使用していたのは、一部研究者のモラルの低下による。
1 放射性同位元素の使用は、セミナーを受講した上で、注意事項を遵守し、RIを持ち出さないとの誓約書を提出した者にのみ許可する。
2 各部局において、RI管理、危険物の管理等について調査を行うことを義務づける。
3 毎年実施されている学内RI施設の主任者による査察項目に、帳簿及び貯蔵室内のRIの照合の実施を加える。
その他
アスタリスク 平成16年7月26日
(判明)
海上保安大学校
(広島県)
 海上保安庁から放射性物質の管理に関する調査の指示を受け、調査を行ったところ、薬品庫及びX線室(管理区域外)から放射性物質32件(夜光塗料226Raが含まれる希釈液8件、表面に夜光塗料の表示のある大型のガラス瓶1件、校正用密封線源16件等)を発見した。  法令に関する知識が不足しており、物品に対する注意、管理が不十分であった。
1 放射線管理状況報告時に併せ、不要な放射性物質が皆無であることを確認する。
2 関係職員に指導を徹底し、十分な認識を持たせる。
その他
アスタリスク 平成16年9月29日
(判明)
二村化学工業(株)名古屋工場
(愛知県)
 15年以上使用されていない倉庫で、荷物の整理をしていたところ、装置類の中から厚さ計(85Kr、1.85ギガベクレル)及び核種不明な密封線源1個(その後の分析により90Sr、55.5メガベクレルと判明)が発見された。
 その後の調査において、線源1個(90Sr、55.5メガベクレル)が発見された。
法令に関する知識が不足しており、適正な廃棄処理が行われなかったことが原因であり、管理下にある機器類について点検、確認が不十分であった。
1 放射性同位元素の移動があった際は、その都度、帳簿への記入を確実に行う。
2 毎年度、管理状況報告書を作成するに当たっては、保管核種、数量を現物と照合して、確実に確認する。
3 受入・払出等に関する手続き上の注意事項について再教育を行う。
その他
アスタリスク 平成16年11月16日
(判明)
東京大学医学部附属病院放射性同位元素共同研究施設
(東京都)
 研究者が東研究棟2階の通路(管理区域外)に設置されている冷凍庫内の整理を行っていたところ、「H」と記載のある遠心管(容量約15ミリリットル)4本が発見された。分析の結果、核種はトリチウムで、数量は総量約9.4メガベクレルであった。 昭和62年当時、管理体制の不備により、管理区域内で行っていたリンパ球増殖実験の際に当該冷凍庫に保管されたものと推定された。
また、平成16年7月20日付けの当省からの指示による調査においては、当該冷凍庫についても調査を行ったが、使用者不明の試料についての調査が十分でなかったこと、凍結して開かない引き出し内にあったこと等から発見できなかったとしている。
1 所有者不明の試料を重点的な調査対象とし、方法を十分検討した上で再調査を実施する。
2 実験室等の片付けに当たり、管理区域外も含め、所有者不明の試料に注意を払う。また、人事異動に際して不要な放射性同位元素等を残さないよう指導する。
3 貯蔵施設となっていない使用室内の冷凍庫、冷蔵庫等に貯蔵しないよう徹底するとともに、放射線安全管理室長が冷凍庫、冷蔵庫等の内部を随時点検する。
その他
アスタリスク 平成16年11月25日
(判明)
理化学研究所
(埼玉県)
研究者が研究本館4階411号室(管理区域外)に設置されている冷凍庫内の整理を行っていたところ、放射性物質と疑われる容器9個(ラベルから、核種はC-14、S-35及びP-32で、うち、数量1.85メガベクレル毎本のC-14を含む)が発見された。
翌日の点検で、同室の戸棚からI-125入りの容器4個(半減期が短いことから既に放射能を有していない)が発見された。
筑波研究所から持ち込まれたものと推定されるため、理化学研究所において、筑波研究所も含め引き続き詳細な調査を行うこととしている。 今後の調査結果を踏まえて対策を検討し、当省に報告するよう求めている。
その他


[その他トラブル等]   アスタリスク放射性同位元素等の発見に係る事例

区分 発生年月日 事業所名 概要 原因 事業者の対策
態様
アスタリスク 平成16年2月21日
(判明)
みずたみ医院
(熊本県)
 同院の院長がX線撮影時に着用していた、個人被ばく線量計の測定結果に異常値(測定エラー)が検出されたため、測定業者が調査をした。
 その結果、院長控室の机の中に、小型の鉛容器の中に226Ra線源の針4本が発見された。
 この線源を購入し、使用していたと思われる当時の院長が既に死去しているため、いつの時点から、どのような経緯で保管されていたかは不明であった。 (発見されたものについては、専門機関による回収を行った。)
その他
(RI法対象事業所外)
アスタリスク 平成16年8月20日
(判明)
(株)モリリカ
(神奈川県)
 荷物の整理を実施していたところ、鉛の容器中に放射性物質と思われる銀ペースト入りのビンが発見された。
 専門機関による測定の結果、核種は226Raで、数量は約80キロベクレルであった。
 同社では、これまで放射性同位元素の使用実績がなく、発見されたものの由来については不明であった。 (発見されたものについては、専門機関による回収を行った。)
その他
(RI法対象事業所外)
  平成16年10月5日
(判明)
甲南大学
(兵庫県)
 理工学部において、不適切な安全管理がなされているとの情報提供を受け、立入検査を実施した。
 その結果、平成9年から平成16年7月まで、許可を受けている室以外の研究室において、放射線業務従事者1名が、少量(多めに見積もっても1日37キロベクレル)の3Hの使用及び保管を行っていたことが確認された。
 なお、使用されていた核種が3Hであり、使用数量は微量であったこと、汚染は検出されなかったことから、放射線障害のおそれはなく、環境への影響もない。
1 放射線業務従事者としての自覚不足、気の緩み
2 放射線管理委員会の管理体制の不備
3 放射性同位元素取扱施設の設備上の問題(放射性同位元素取扱施設への出入りの確認の手段が立入記録以外になかった)
教育訓練プログラムを実効性のある内容に改めるとともに、放射線業務従事者が教育訓練を通じて知識と自覚をもったことを確認するテストを定期的に実施する。
法令遵守に関するさまざまな意見や指摘を受け止めるため、メール、郵便及び投書箱による通報を受け付けるコンプライアンス・システムを構築して違反行為の報告体制を整える。
放射性同位元素の発注は、すべて放射性取扱主任者が行い、搬入先も主任者とする。
改善策の実効性を担保するため、放射線管理委員会は定期的(3ヶ月に1回程度)に点検報告書を取りまとめて安全管理防災担当副学長に提出する。
点検報告書はホームページ等で公表する。
放射性同位元素取扱施設出入り口にIDカード管理を導入し、さらに監視カメラ設置により、無断持ち出しの防止を図る。
不適切な安全管理
7月20日付け通知に基づく点検の結果、発見された放射性同位元素の事例を除く



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