資料第28-4号:クリアランス判断方法の検討に関する基本方針(案)

平成21年7月30日
放射線規制室

(下線:修正箇所)

 放射線安全規制検討会では、クリアランス判断方法に係ることとして、次の1)、2)の事項についてクリアランスWGを中心とした検討を行い、「放射線障害防止法におけるクリアランス制度の整備に係る技術的検討について(中間報告書)」(平成18年6月。以下、「平成18年度中間報告書」という。)をまとめている。
 1)放射線発生装置の解体等に伴って発生するRI汚染物に対するクリアランスレベル以下であることの測定・判断方法
 2)短半減期核種のみによって汚染されたRI汚染物に対する減衰保管廃棄の考え方

 今回、放射線障害防止法にクリアランス制度を導入するにあたっては、クリアランス判断を実際に行うことが可能と考えられる当面の対象物を整理して、具体化を進める必要があり、判断方法に係る検討の基本方針を以下のとおりとする。なお、放射線障害防止法におけるクリアランス制度の基本的な考え方として、放射線発生装置及び放射性同位元素の使用状況、並びにRI汚染物の発生実態等を踏まえ、原子炉等規制法において既に適用されているクリアランス判断方法に加え、放射線障害防止法では対象物を限定的とはしない等の特性を踏まえた独自の判断方法の適用についても検討することとする。さらに、クリアランス判断方法の検討においては、クリアランス対象物を大きく「放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)」と「放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物」の2つに種別し行うこととする。
 ところで、クリアランス判断にあたっては、当該事業者は、事前評価による対象物の分類、クリアランスレベル以下であることの判断、クリアランスレベル以下と判断した物への異物や汚染の混入を防止するための厳格な保管・管理、判断の妥当性を示す根拠の記録やその保存等を適切に行うとともに、これらが一連の業務として高い信頼性をもって機能するための管理体制(品質保証体制)を確立することが必要となると考えられる。その管理体制に関する検討の基本的考え方を別添に示す。

1.放射線発生装置の解体等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)

 平成18年度中間報告書に示された課題等を踏まえ、次のような検討を行う。

(1)検討内容
 1)合理的なクリアランスの判断を行うため、まず放射化物の生成範囲に着目して放射線発生装置を以下の「2)放射化の程度が小さい装置(医療用電子直線加速器等)及び「3)放射化の程度が大きい装置(研究機関の大型加速器)」の2つに分類する。
 2)放射化の程度が小さい装置(医療用電子直線加速器等)について、装置及び施設構造物が放射化していないことやクリアランス適用可能であることが明らかであると判断できる技術基準の成立性を評価する。なお、技術基準の成立性の評価においては、装置や施設を仕様(加速粒子の種類、加速エネルギー、出力、放射化する部位等) に基づき分類し、仕様ごとに個別の評価(特に実測)を伴わずに一括して判断可能かどうかを検討するとともに、放射化物がクリアランスレベル以下であることの評価に用いる重要核種をその分類に基づいて選定可能かどうか等について検討する。
 3)2)の対象とならない比較的放射化の程度が大きい装置については、施設毎に放射化状況が異なるため、クリアランス判断が必要とされる際に個別に評価されるものと考えられるが、必要に応じて汎用性のある事前評価から測定・判断に至るまでの方法の標準化等の検討を行う。

(2)検討の進め方
 1),2):当面の検討対象とし、技術的事項であることからクリアランスWGにおいて、
 ・放射線発生装置の分類とその妥当性
 ・放射化物がクリアランスレベル以下であることの評価のために選定するべき重要核種、及びその選定の妥当性
 ・装置及び施設構造物が放射化しないことやクリアランス適用可能であることが明らかである放射線発生装置の分類とその妥当性 等
について検討を進める。本年12月頃までに法改正作業に資するためのとりまとめを行い、さらに平成22年11月頃までに省令・告示等整備に資するためのとりまとめを行う。
 3) :高エネルギー加速器研究機構等の比較的大きな加速器施設における解体計画の具体化等により、事業者からデータ提供を受けられる状況となることを前提として、必要に応じて技術的検討を行う。

2.放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物

2.1 半減期の短い放射性核種を念頭においた減衰に基づくクリアランス判断
 平成18年度中間報告書において減衰保管廃棄の技術的な成立性を確認しており、ニーズ調査の結果を踏まえて実際に制度化するための検討を次のとおり行う。

(1)検討内容
 平成18年度中間報告書に示された内容を踏まえ、減衰に基づくクリアランス適用の考え方について、次の点に着目してより具体的な検討を進める。
 ・ 対象核種の半減期、必要な減衰期間
 ・ 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物とする要件
 ・ 長半減期核種等との混在可能性に応じた管理体制(品質保証体制)

(2)検討の進め方
 当面の検討対象とし、技術的事項であることからクリアランスWGにおいて、
 ・半減期に基づきこの手法を適用する対象核種の選定
 ・クリアランス対象として選定した放射性核種がクリアランスレベル以下になるために必要な減衰期間に係る検討
 ・放射性核種の使用実態を踏まえ、他核種との混在を防ぐための適切な管理体制の検討
 ・放射能量を評価する補助的な測定手法の検討 等
を行う。検討の結果については、
本年12月頃までに法改正作業に資するためのとりまとめを行い、さらに平成22年11月頃までに省令・告示等整備に資するためのとりまとめを行う。

2.2 半減期の長い放射性核種を念頭においたクリアランス判断
 クリアランス制度は適用可能であるが、測定が困難な核種が含まれる場合、現実的な判断方法の現時点での確立は難しいと考えられることから、2.1の検討を優先しながら、適用可能な判断方法(例えば、RI汚染物を発生する施設の種別分類等に基づき放射性核種間の相関関係を得て代表核種の測定により放射能濃度を決定する方法等)について適宜検討を進める。

1)検討内容
 ・RI汚染物を発生する施設の種別分類(製薬系、生物系等)や発生状況(使用、解体等)などに基づき放射性核種間の相関関係を評価
 ・クリアランスレベル以下であることを判断するための評価を行うべき代表核種の選定方法の検討

(2)検討の進め方
2.1の判断方法に係る検討結果を考慮した上で、クリアランスWGにおいて、
 ・RI汚染物を発生する施設の種別分類や発生状況に基づく放射性核種間の相関関係に係る検討
 ・代表核種の選定手法の検討
 ・クリアランスレベル以下であることの判断の妥当性の検討 等
を行う。

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