研究炉等安全規制検討会(第30回) 議事録

1.日時

平成22年11月12日(金曜日) 15時30分から17時30分

2.場所

文部科学省 5F3会議室
(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 平成17年原子炉等規制法の改正規定に係る施行状況の検討について
  2. 少量核燃料物質の適切な安全管理について
  3. その他

4.出席者

委員

寺井座長、瓜生委員、神田委員、小佐古委員、丹沢委員、土屋委員、中島委員、服部委員、林委員、平澤委員、前田委員、山下委員、山中委員

文部科学省

合田科学技術・学術政策局長、渡辺科学技術・学術政策局次長・原子力安全監、明野原子力安全課長、吉田原子力規制室長、鎌倉保安管理企画官、杉山運転管理・検査管理官、江頭安全審査調整官、村上統括原子力保安検査官、安部総合廃止措置専門官、石橋安全審査官 他

5.議事録

【吉田原子力規制室長】 それでは、定刻となりましたので、第30回研究炉等安全規制検討会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきまして、ありがとうございます。

 本検討会は、お手元の参考資料1で構成員がありますけれども、そこのとおり構成員は14名でございます。本日は13名の先生にご出席いただいております。蜂谷先生はご欠席ということで、小佐古先生は少しおくれるというご連絡を受けていますので、13名で出席させていただいております。

 それでは、本日の進行は、座長であられます寺井先生にお願いしたいと思いますので、先生、よろしくお願いいたします。

【寺井座長】 ありがとうございます。それでは、第30回研究炉等安全規制検討会を開催させていただきます。

 本会合は公開となっておりますので、ご発言は私の指名の後に行ってください。また、傍聴される方々におかれましては、円滑な議事進行にご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 前回の会合では平成17年原子炉等規制法の改正規定にかかわる施行状況のうち、核物質防護についてご審議をいただきましたけれども、本日の会合では廃止措置段階の安全規制とクリアランス制度の実施状況についてご審議をいただきます。また、文部科学省で検討中の少量核燃料物質の安全な取り扱いに関する報告もいただく予定にしてございます。

 それでは、初めに本日の配付資料につきまして、事務局よりご確認をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】 配付資料の確認をさせていただきます。資料30-1として前回議論していただきましたけれども、平成17年原子炉等規制法改正に係る施行状況について、核物質防護に関する審議の整理。それから、資料30-2としまして、同じく17年原子炉等規制法改正後の廃止措置段階の安全規制及びクリアランス制度の実施状況。資料30-3-1といたしまして、VHTRCの廃止措置の実施状況、これは原子力機構から説明資料です。それから、同じく資料30-3-2、旧JRR-3の改造工事に伴って発生したコンクリートのクリアランスの実施状況、これも原子力機構からの説明資料でございます。それから、資料30-4、少量核燃料物質の適切な安全管理について。

 それから、参考資料が2つございます。1つが本日現在の研究炉等安全規制検討会の構成員リスト。それから、参考資料2といたしまして、前回、第29回研究炉等安全規制検討会、前回は非公開でやりましたので速記録がございませんけれども、議事要旨ということでポイントをまとめさせていただいたものを配付しております。なお、この議事要旨については、既に文科省のホームページでも掲載させていただいております。

 以上です。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 配付資料のうち、参考資料1につきましては、事務局にて現在の所属等に修正していただいておりますけれども、もし変更等ございましたら事務局までお知らせいただきたいと思います。

 それでは、本日の議題に移りたいと思いますが、その前に本日は合田科学技術・学術政策局長にご出席をいただいておりますので、一言ごあいさつをお願いしたいと存じます。合田局長、よろしくお願いいたします。

【合田科学技術・学術政策局長】 合田でございます。7月30日付で政策局長、前任、泉の後を引き継がせていただいておりますが、実際、8月以降ということなのですが、この会議、本日初めてということでございますので、簡単にごあいさつをさせていただきたいと思います。

 ご案内のとおり、私ども文部科学省所管の原子力施設につきまして、従来からも先生方のお力添えをいただきながら、安全規制ということで実施をしてきております。本日、先ほど座長からお話がありましたとおり、引き続きその核物質防護措置の実施状況、あわせまして廃止措置段階の安全規制、クリアランス制度の実施状況などについてご審議をお願いすると承知をしてございます。私ども引き続き全力を挙げて安全確保に万全を期してまいりたいと考えておりますので、今後ともお力添えを賜りますようによろしくお願い申し上げます。簡単でございますが、ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

【寺井座長】 合田局長、ありがとうございました。

 それでは、議題に入りたいと思います。本日の議題は、まず1番目といたしまして、前回に引き続き平成17年原子炉等規制法の改正規定にかかわる施行状況の検討についてでございます。まず初めに、前回ご審議をいただきました核燃料物質に関する実施状況について、事務局のほうで審議の整理をしていただきましたので、その確認をいただきたいと思います。それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

【岡村原子力規制室室長補佐】 それでは、お手元の資料30-1に従いまして、前回、ご審議いただきました核物質防護関係の審議の整理についてご説明いたします。

 こちらの1.原子炉等規制法の改正とその後の制度整備の状況、2.施行状況はそれぞれ原子炉等規制法の改正とその後の制度整備の状況でありますが、こちらの内容につきましては前回ご説明いたしました内容と重複いたしますので、詳細については割愛させていただきますが、内容としては1.原子炉等規制法の改正とその後の制度整備の状況のほうでは平成17年に当検討会においておまとめいただいた「試験研究用原子炉施設等の安全規制のあり方について」に従い、核物質防護強化策として設計基礎脅威の策定と適用、原子炉設置者等に対する守秘義務制度の導入、それから、核物質防護検査の導入等について法令等の改正が行われたという内容になってございまして、2.施行状況において、それぞれ設計基礎脅威の策定と適用、守秘義務制度の導入等について具体的な施行状況について記載してございます。

 前回、こちらの検討会でご審議いただきましたご意見については、最後の3.論点整理というところで記載してございます。まず、(1)の関係法令関係ということでは、平成17年の原子炉等規制法改正については、現時点で法律改正の必要はなく、関係する政令、省令についても直ちに改正が必要な事項はないということで意見をいただきました。しかしながら、今後の運用面での課題ということでご意見をいただいておりまして、それを(2)のほうで記載してございます。

 こちらで項目立てをしていまして、3つに分けているのですけれども、「1 守秘義務制度と情報の共有・発信」という観点では、まず、事業者間での核物質防護に関する情報共有の促進が必要ということ。それから、核物質防護に関係する従業者に加え、その他一般の従業者に対する核物質防護に対する意識の啓蒙が必要ということ。それから、核物質防護を実施していることを事業者から発信する、見せる核物質防護が重要。なお、事業所を訪れる者に対し、毅然とした態度で核物質防護のためのルールに従っていくことも広報と啓蒙の観点から重要ということでご意見をいただきました。

 2つ目に「2 効果的な核物質防護措置の実施」という観点では、まず1つ目で事業者と治安機関の間の意思疎通が極めて重要。例えば治安機関の担当者を招いて事業者に対する講演を行う等の方策を検討すること。それから、必要な核物質防護措置を満たした上で事業者に過度な負担を強いることのない合理的な運用方策の追求も必要ということが挙げられました。最後に「3 核物質防護措置に対する事業者責任」ということでは、核物質防護検査で防護規定遵守義務違反の指摘がない場合であっても、事業所における防護措置は事業者の責任であることを再認識させることということも挙げていただきました。

 それからもう一つ、前回の議論では特にお話は出なかったのですが、我が国の核物質防護については、IAEAの核物質防護勧告の改訂第4版に準拠したものでございますが、現在、IAEAのほうで核物質防護勧告の改訂作業が進められておりますので、今後こちらの内容が報告書として取りまとめられる段階においては、IAEAの核物質防護勧告の改訂を踏まえた国内法令等への取り入れについての検討も必要といったことも報告書の中で記載させていただければと考えております。

 資料30-1につきましては以上でございます。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 前回、ご審議いただいた内容の骨子を記載していただきました。それから、最後にIAEAの防護勧告の改訂作業をどういうふうに最終的なところに反映させるかというところの論点も追加でご説明いただいたところでございます。

 それでは、ただいまご説明いただきましたことにつきましてご意見等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 中島委員、どうぞ。

【中島委員】 今の論点整理の今後の運用面での課題の1の3つ目ですが、見せる核防護、これが重要というふうにまとめられていますが、私の理解では重要というところまでは行っていなくて、そういうことも有効であるという程度――程度と言ったらあれですけれども、重要というと何かみんな積極的にどんどん見せなさいよということを推奨してしまうような形にもなりますので、それは見せ方によると思いますので、少し表現を改めていただければと思います。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 岡村さん、いかがですか。よろしいですか。

【岡村原子力規制室室長補佐】  承知しました。

【寺井座長】 「見せることも有効」とかいう感じでしょうかね。だから、これまでは、むしろ見せないということを重点的にしていたのだけれども、そうではなくて、積極的ではないにしても、自然な形で見えるような形であれば、それはそれで有効であろうと。予防保全という観点だと思います。

 ほかにございますでしょうか。瓜生委員、どうぞ。

【瓜生委員】 同じところなのですけれども、前回の話の内容では「毅然とした態度で」というよりは、「例外なく」という意味で言われたような気がしたのですけれども、あまりハードにやるのも何だという気もしますけれども、例外なく従っていただくという趣旨で言われていたと思いますけれども、いかがでしょうか。

【寺井座長】 事務局、いかがでしょうか。

【岡村原子力規制室室長補佐】 現在でも例外はございませんので、要はあまり、毅然というのが強いという趣旨でしたら、「適切に」とか、そういったことで修正させていただければと思います。

【寺井座長】 ありがとうございます。

 多分、趣旨は法令をきっちりと遵守をしていますよということを、どういう場合でもきっちりそれをやるということですね。というようなことで、それでは「適切に」ということに変更させていただきます。

 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、今のところのコメントも踏まえまして、本日議論をいただきます廃止措置、あるいはクリアランスに関する事項とあわせまして、今後、事務局のほうで報告書案の準備をお願いすることになるかと思いますので、そのときに今日のコメントも反映させる形で作業をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、引き続きまして、本日のメインの議題でございます廃止措置段階の安全規制及びクリアランス制度について、平成17年の法改正からこれまでの実施状況についてご説明をお願いいたします。まず、事務局からご説明をいただきまして、若干の質疑を行った後、前回に行われましたものと同様に、実際に改正法に基づきまして廃止措置とクリアランスを実施された事業者、具体的には原子力機構ということになりますけれども、ここからの実施状況についてのご説明をお願いしたいと思います。

 それでは、まず事務局からご説明をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】 ご説明いたします。資料30-2のパワーポイントの横の資料でございます。この検討会の現在のメンバーの方の何人かも、この平成17年の法改正の前後の検討の段階からご協力いただいた方がおられますので、大体おわかりの方もおられると思いますけれども、簡単に経緯も含めて順次ご説明させていただきます。

 まず、めくっていただいて目次がありますけれども、前半が廃止措置、後半にクリアランス制度ということで経緯、それから、現在、我々がどういうふうに規制を実施しているか、そういうことを説明させていただきます。まず、廃止措置段階の安全規制についてご説明させていただきます。めくっていただいて4ページからとなります。平成17年の法改正前では、原子炉施設、核燃料物質の使用を廃止した日から30日以内に廃止措置の届け出を文科大臣に提出するという規定になってございました。ただ、30日で解体などのいろいろな廃止措置を全て完了することは困難ということがありました。

 それから、2つ目ですけれども、設置者とか国のほうで廃止措置の実施や確認をする中身については、文科省が定めたマニュアルに従って実施しているという状況でございました。

 3つ目ですけれども、廃止措置ということは、既に例えば原子炉施設であれば燃料を抜いて運転もやっていないということなので、当然、運転中の原子炉施設に比べれば災害の危険性というのは大きく低減するということになるのですが、法改正前では廃止措置中の原子炉施設についても定期検査があるとか、保安検査は年4回あるとか、そういった運転中のもろもろの安全規制と同じ規制がかけられたということで、合理性の観点からこれを見直そうということで廃止措置に関する法改正が行われました。

 法改正後ですけれども、下の5ページでございます。まず、30日以内に届出となっていたことについては、まず設置者のほうで解体とか廃止の方法に関する廃止措置計画というのを申請していただき、国のほうがそれを審査して認可する。認可された段階で事業者は廃止措置に入ることができるということで、国のほうでも廃止措置の計画を審査によってしっかり把握するという形になりました。

 それから、廃止措置が事業所で行われた後ですけれども、この終了後についてはまた設置者のほうから国のほうに廃止措置がすべて終了しましたということで、確認してくださいという申請をしていただいて、国は廃止措置に係わる記録とか、場合によっては現地に赴いて実際に計画どおりの廃止措置が実施されているということを確認したことをもって、最終的には廃止措置が終了と。その終了をもって原子炉の設置許可が失効するという、併せて国が2段階で関与するという手続になりました。

 それから、以前は廃止に係わる措置をマニュアルでやっていましたということですけれども、そういったマニュアルで定めていた主要な事項については、試験炉規則であるとか、核燃料物質の使用の規則のほうにすべて基準として規定したということで、省令の中で明確にそれを位置付けているということを行いました。

 それから、廃止措置中の安全規制でございますが、後で細かく説明いたしますけれども、法改正によって廃止措置中の、少なくとも定期検査は必要ないとか、そういったリスクに応じた安全規制が行われるようになったということが法改正の中身でございます。

 次をめくっていただきまして、これは先ほど口頭で申し上げた法改正後の廃止措置の手続を模式的に示したものです。まず、左の上のほうからですけれども、設置者のほうが廃止措置計画の認可申請を国に提出する。国が認可すれば、事業者は核燃料物質の譲り渡し、汚染の除去、建物の解体などの廃止措置を行っていただく。すべての廃止措置が終了した段階で廃止措置の確認の申請を国にしていただいて、国が最終的にそれを確認する。確認した後に許可が失効するという流れでございます。また、廃止措置の段階に応じて合理的な安全規制に順次移行していくということでございます。

法改正後5年経過ということで、どういった観点を委員の方々に説明していくか、ご議論いただくかということでが、ここに事務局としてポイントを書かせていただいております。まず、いわゆる過去、届出でやっていたということなのですけれども、今回、法改正によって計画についても国がちゃんと見て、それから、廃止措置の最終的な確認も国がやるということで、まずは事業者がちゃんと手続きに従って廃止措置をやっているかということ、それから、事業者の廃止措置を国がしっかり確認しているかということをこちら側の説明を聞いていただいて、ご意見をいただきたいと思います。

 また、合理的な安全規制については、特に事業者の方々からいろいろな、こういったことを期待する声が多いのですけれども、合理的な安全規制が実際に行われていることについて説明させていただきたいと思います。

 8ページをめくっていただきまして、当時、法改正が行われる前後で具体的にどのようなことを文科省のほうでは検討してきたかということについて書いております。まずこの研究炉等安全規制検討会で廃止措置に関係する様々な技術的要件、それから、廃止措置の進捗に応じてどういった合理的な安全規制が必要か、そういったことについて技術ワーキンググループを設置していただいて、そこで検討していただきました。最終的に試験研究用原子炉施設等における廃止措置制度の導入に当たっての技術的要件等についてということで報告書を取りまとめていただきまして、これらに基づいて国で省令の改正ということを行ったところでございます。

 9ページ、10ページは具体的に省令で規定した内容を記載しております。設置者の方々に申請書に記載いただく事項、それから、廃止措置計画の認可の基準、廃止措置の終了確認を国がするときに提出いただく申請書、それから、その申請書に基づいて我々がどういった点に基準を置いて確認しているかということを省令で規定しております。最終的に国は、核燃料物質が譲り渡されていること、残存する施設、土地が放射線障害防止のための措置を必要としないこと、核燃料物質によって汚染されたものが廃棄されていること、放射線管理記録の引き渡しが完了していること、こういったことの確認をしているところでございます。

 11ページの絵は、国がどのように2段階で審査、確認をしているということを写真など用いて説明したものでございます。まず、廃止措置認可計画については、必要に応じて外部の有識者の方々の意見をいただいて、妥当な計画かどうかということを審査します。それから、認可した後、事業者のほうで廃止措置を行っていただくわけですが、廃止措置が終了したことについて、我々は申請書に基づいてさまざまな解体の記録、汚染がないことの記録、必要な場合は実際現地に行かせていただいて記録等の確認、汚染がないことの確認をしているということでございます。

 それから、12ページでございますけれども、廃止措置中は事業者が認可された計画に従って行うわけですけれども、我々は完全に事業者にお任せということではなく、現地にある最寄りの原子力安全管理事務所に常駐している保安検査官が週に1回とか、最低でも月に1回の頻度で現場のほうに出向いて、廃止措置の作業状況の確認をしているという状況でございます。さらに、保安上重要な部分については、国が保安検査で確認しているところです。

 13ページは、平成17年の法改正後に法の手続に従って廃止措置をしている施設の一覧でございます。まず、13ページは研究用原子炉施設でございますけれども、現在、8つの研究炉施設の廃止措置の認可が行われまして、4番目のVHTRCは今年の6月30日に最終の廃止の確認まで終了しましたけれども、それ以外の施設については、すべて現在まだ廃止措置中という状況でございます。

 次に核燃料物質の使用施設でございますが、これも法改正後、現在のところ、10の施設について廃止措置計画の認可が行われ、それに従って廃止措置が行われています。なお、これら使用施設のほとんどがわき出しや、劣化ウランでできた輸送容器を返還したという、多少イレギュラーな施設の廃止が多いのが実態ですけれども、6施設は既に廃止措置の終了、残る4施設が現在も廃止措置中という状況でございます。

 次に改正後、どのように合理的な安全規制に移行しているかということのご説明でございます。15ページでございますが、まず、保安検査、これは年4回と定められておりますけれども、省令改正を平成17年に行いまして、廃止措置計画が認可された施設については、年4回以内というように規定を改正したところでございます。それから、施設の定期検査については、廃止措置計画の認可後は定期検査は不要となりましたので、文科省の廃止措置の認可が行われた施設については定期検査は行われていません。それから、原子炉主任技術者は、いわゆる運転のために必要とういことで法令で定められているものですけれども、施設の運転は終了しているということなので、原子炉主任技術者の選任は廃止措置計画認可後は不要ということにしているところでございます。

 現在廃止措置中の施設でどのようになっているかというのが16ページ以降でございます。まず、保安検査ですけれども、原子炉施設、8つありますけれども、原子力機構の2のDCA以外はすべて保安検査の回数を2回にしています。文科省では、廃止のための作業が行われている場合には運転中と同等の保安の措置をとっていただく必要があろうということで、これまでどおり年4回の保安検査を行うということにしておりますが、DCAは廃止のための作業が行われているということで年4回の保安検査を実施しているということでございます。

 それから、施設定期検査、これは先ほど申し上げたようにすべての廃止措置中の施設について実施しておりません。また、原子炉主任技術者についても、廃止措置計画が認可されたすべての施設から原子炉主任技術者の解任届が提出されております。ただし、平成17年の技術ワーキングのときに検討いただいた際、委員の先生方から知識を有する者が廃止の監督をちゃんとやらなければいけないだろうということで、原子炉主任技術者、核燃料取扱主任者の免状を有する者、それから、技術士、核燃料物質が既にそこから移されている場合には、第一種放射線取扱主任者の免状を持っている方も廃止措置の監督に当たっていただくことにしました。これについては保安規定の中で明記させるということにしており、廃止措置中の施設ではこのような資格を持った方が廃止措置の監督者として保安規定の中に規定して監督をしているところでございます。

 次に廃止措置への移行手続及び一部廃止の場合の規制ですが、これは当時の技術ワーキングで、既に解体届を提出したような、廃止が始まっている施設の移行手続きをどうするのか。その移行手続というのをちゃんとしなさいというご意見をいただきました。また、例えば事業所全体を廃止するのではなくて、核燃料使用施設の場合が多いのですけれども、一部の施設を廃止するようなときにはどのようなことをするのかということについても指摘いただいておりました。最終的にその事業所全体の廃止のときに廃止に係わる様々な記録の確認などができるようにしておく必要がありますので、一部廃止の場合であっても、許可変更に係る申請書に廃止措置の場合と同じような計画書を提出いただいて、許可変更の審査の中でそういった計画も確認させていただくとともに、記録類の保存を事業者さんにお願いしているところでございます。

 続きまして、今度はクリアランス制度でございます。19ページからでございます。これもご存じの方が多いと思いますが、原子力発電所などの原子力施設でかなりの年月が経過し、解体しなければいけない施設が出てくるという時代に入ったということで、施設などを解体すればたくさんの廃棄物などが出てくるわけですが、これらすべてを放射性廃棄物として管理するのが適切なのかどうか。環境の負荷の低減と、資源の有効利用の観点から再利用できるものは出来るようにすべきではないかという国の方針が出ました。例えばコンクリートとか、金属とか、あるいはガラスなどについて、国が定めた汚染の濃度レベルに満たないことについて国が確認できたものについては、いわゆる産業廃棄物として廃棄したり、あるいは再利用できるようになるという制度がいわゆるクリアランス制度でございます。

 それで、クリアランス制度は平成17年に原子炉等規制法の中に盛り込まれまして、具体的には21ページに書いてありますけれども、原子炉施設の解体や運転により発生する資材、これはコンクリートとか鉄筋とかですけれども、そういったものに含まれる放射性物質の濃度がクリアランスレベル以下であることについて国が確認したものについては、原子炉等規制法に基づく規制の適用から外れるということになりました。それで、クリアランスレベルでございますが、これはIAEAの安全基準や原子力安全委員会での検討を踏まえ、文科省や経産省で放射性物質ごとの濃度レベル省令で定めております。このレベルは再利用や処分の様々なシナリオを考慮して安全側に設定されております。

 国が確認してクリアランスされたものについては原子炉等規制法の規制の適用からは外れることになりますが、政令では原子炉等規制法とか、あるいは廃棄物の清掃、廃止に関する法律、廃掃法と呼んでいますけれども、その法律を含め19の法律の規制から外れるということが規定されております。なお、規制から外れた場合でも、廃棄物とかリサイクル対象物として関係の法令の対象になります。

それから、22ページでございますが、クリアランスの原子炉等規制法で定めている手続でございます。これも先ほどご説明した廃止措置と同じように国が2段階で関与するという形で規定を設けております。まず、事業者がクリアランスしようと思っている対象物の汚染の履歴や施設の使用の履歴などを元に、対象物に含まれる放射性物質の濃度をどういった方法で測定し評価していくのか、炉規法では測定及び評価の方法と呼びますが、そういったことを国に申請していただきます。それから、国ではその申請に対し、外部有識者のご意見も参考にしながら審査して認可することになります。認可した方法に基づいて事業者がクリアランス対象物の濃度測定とか評価をしていただくという流れになります。事業者により評価された後、国に対象物の濃度確認に関する申請をしていただきます。国は、申請に基づいて、実際にその事業者のほうで認可された方法に基づいて測定、評価が行われたことについて確認するとともに、必要に応じて現地に行ってサンプルを抜き取り、我々のほうで測定し直して濃度以下であることを確認する。そのような手続によってクリアランスを認めるという手続になっているところでございます。

 クリアランスレベルについて参考をつけておりますけれども、これは先ほど申し上げたようにいろいろな再利用とか処分の考えられるシナリオに基づいて、受ける放射線の量が年間10マイクロシーベルトを超えない濃度ということで放射性物質ごとに計算、評価された値となっています。

このクリアランス制度については、どういったところにポイントを置いてご審議いただくのかということですけれども、まず、これは新たに創設された制度でございますので、設置者によって行われている実際のクリアランスの取り組み状況について把握いただきたいと思います。後ほど、実際に廃止措置やクリアランスを行っている原子力機構から実施状況を詳しく報告いただく予定です。

 また、国が2段階で関与することについてご説明しましたけれども、文科省が手続きに従ってきちんと審査、確認していることについてもご説明させていただきます。25ページは廃止措置と同じように、平成17年の改正前後に、検討会のもとに設置した技術ワーキングでクリアランスレベルの選定、それから、実際に国が検認を行う際にどういったことに留意すべきかという技術的要件についてご検討いただき、報告書を取りまとめていただきました。我々は報告書等に基づいて具体的にクリアランスする際に必要となる基準等を新たに省令として定めたところでございます。

 なお、26ページに書いてありますが、法改正の前後に、文科省としてシンポジウムを開催したり、経済産業省と共同で全国の8つの主要な都市で法改正の中身について、これは核物質防護、廃止措置もあわせてですが、説明会をさせていただいたところでございます。こういったところでいただいたコメントも踏まえて省令の制定を行ったところでございます。

 27ページから29ページにかけては、省令の中でどのようなことを定めたかということですけれども、省令の中では、右のほうに小さい四角で囲ってあるところですけれども、原子炉施設については、クリアランスの対象物として金属、コンクリート、ガラス、現時点ではこの3種類のものについて対象とするということを規定しています。また、原子炉施設から出るこれらの対象物に含まれる放射性物質とそれぞれのクリアランスレベルを定めましたが、33核種の放射能濃度をクリアランスレベルとして省令の中で規定したということでございます。

 次にホットラボ施設ですが、ホットラボ施設もやはり原子炉施設と同じく対象物は金属、コンクリート、ガラスということにしておりまして、評価対象核種は少し多くて49種類となってございます。なお、前にこの検討会でご報告させていただきましたけれども、ウランの取り扱い施設に関するクリアランスレベルや検認の際の留意事項について技術ワーキングで検討いただきまして、それについてはこの省令を改正するという手続を今後行う予定です。そうなれば、新たにウラン使用施設に対する放射性核種の種類とそのクリアランスレベルを追加する形で規則の改訂を行うということになろうかと考えております。

 29ページの下の部分ですけれども、クリアランスの確認を国が行う際の基準になります。放射能濃度の確認と下のほうに書いてありますが、認可された測定評価方法に基づいて事業者さんがきちんと測定評価を行っていることについて様々な記録で確認させていただきます。また、我々のほうで実際に抜き取りをして対象物に含まれる放射性物質の濃度が国が定めた基準以下であることを確認しています。

 30ページは、法改正後、実際にクリアランスをやっている例ですけれども、原子力機構の旧JRR-3、これは平成元年ごろに大規模な改造工事をやったのですけれども、その改造工事のときに出たコンクリート約4,000トンをクリアランスするということで、数回に分けて確認申請されているところでございまして、第1回目約377トン分の確認が今年の5月に行われております。それから、8月3日に第2回約381トン分の確認申請が原子力機構からありまして、現在、鋭意その濃度確認のための作業を行っているところでございます。

 測定評価の方法の認可に関して外部有識者の方々の意見を参考にさせていただきまして審査を行いました。それから、現在、2回目の確認をやっていますけれども、現地に赴いて測定や作業の記録についてすべて確認させていただいて、また、抜き取りもさせていただいた上でクリアランスレベル以下であることを確認しているところでございます。

 それから、32ページですけれども、原子炉等規制法を平成17年に改正したときに環境大臣との関係については特に新たな規定が設けられました。測定及び評価の方法の認可をするときには、文科大臣から環境大臣に連絡する。それに対して何かあるときは環境大臣から文科大臣に意見を言うことができる。また、文科省等がクリアランスの確認を行ったときにも、やはり環境大臣に連絡するという手続の規定が設けられているというところでございます。なお、現在まだ事例が1件しかないわけでございますが、環境大臣から具体的に何か意見を言われたことはこれまでのところございません。

 それから、参考ですけれども、これは後で原子力機構のほうから順次ご紹介いただきますけれども、原子力機構のクリアランス、コンクリート約4,000トンについて実施中というお話をしましたけれども、これはそれに関する概要を書いてあります。ここでご紹介したいのは、特に35ページで、国のほうでどういった点に重点、ポイントを置いて審査とか確認をやっているかということでございますけれども、法令の中では先ほど申し上げたように認可された方法に従ってちゃんと原子力機構の中で測定、評価が行われているかどうか。それから、実際の対象物、今回はコンクリートですけれども、コンクリートに含まれる放射性物質の濃度が法令で定められている基準値以下であることということを確認するということですので、具体的に我々何をしているかということですけれども、このブルーのところですが、作業記録、測定記録、これはすべてについて確認、チェックをさせていただいております。書面は抜き取りではなくてすべてでございます。それから、高い品質保証体制の下に作業が行われていることが重要ですので、原子力機構がどういった品証体制でやっているのか。また、その品証体制に基づいて、きちんとした手続に従った形でやられているのかということも確認させていただいているところでございます。

 それから、抜き取りについてはJISの定めに従って何点か抜き取り、我々のほうで測定して、濃度が基準以下であることを確認しています。原子力機構のこのコンクリートのクリアランスですけれども、平成25年ごろまでに全体で12回ぐらいに分けて、文科省に確認申請をするということで、すべての確認が終了するのは4年後か5年後ぐらいになるということでございます。

 以上、事務局からの説明でございました。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 原子力機構からのご説明の後にまとめて質疑の時間を設けておりますけれども、現時点で全般的な観点からでも結構ですので、ご質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。本日ご審議いただくポイントは、前半の廃止措置に関しては7ページ目です。それから、後半のクリアランスについては24ページのところに視点がある。その具体的な状況について、特に現場での状況を原子力機構からご説明いただいて、それについてご審議をいただくというのがこのワークの趣旨でございます。何かご質問ございますか。

 中島委員、どうぞ。

【中島委員】 確認というか、廃止のときに、最初、認可して、完了した時点で申請があって国が確認するという手続だと。その過程については全部保安検査の中で見るということでよろしいですね。

【江頭安全審査調整官】 先ほどの12ページでございますが、重要なもの、例えば廃止措置中であっても保安上必要な設備、装置についての確認は保安検査でやり、それ以外については、地域の原子力安全管理事務所の保安検査官が週に1回とか、月に1回現場に行って作業状況を確認するということにしております。

【中島委員】 ありがとうございます。

【寺井座長】 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、この後、具体的な事例を原子力機構さんからご説明いただいて、その後まとめてご質疑の時間を設けたいと思います。

 それでは、まず、VHTRCの廃止措置の実施状況ということでご説明をお願いいたします。

【山根臨界技術第2課課長】 それでは、私、原子力機構の山根でございます。よろしくお願いします。本日はお手元の資料30-3-1の資料に基づきまして、VHTRC施設の廃止措置の実施状況についてご説明させていただきます。

 1枚めくっていただきまして2ページ目でございますが、ここはVHTRC施設の概要、写真を載せておりますが、解体前、平成12年の前におきましてはこのような施設の外観でございました。この施設は高温ガス炉臨界実験装置と申しまして、HTTR等の高温ガス炉の炉心特性に関する炉物理研究のために建設されたものです。実はこの原子炉の前身というのがございまして、半均質臨界実験装置を炉心改造してVHTRCを建設したと。型式としましては、ここに書いているように六角柱状と書いておりますが、これは黒鉛ブロックを横に寝せたような形の2分割型の原子炉でございました。最大出力10Wということで、通常、運転中は1Wとか0.何Wということで出力が非常に小さなものでございます。燃料自体はこのVHTRCは被覆粒子燃料コンパクトということで、高温ガス炉特有の燃料でございました。

 次のページでございますが、3ページ、施設の外観、配置図を示しております。左上の写真のほうは解体前の外観でございます。中ほど平面図を書いておりますが、この青く塗った部分が管理区域でございます。このVHTRCは1つの大きな開発試験室という建物の一部でございまして、中央に破線が入っておりますが、この右側が原子炉施設、VHTRCの施設でございます。左側は、ここに同位体分離研究施設と書いてありますが、これは少量の核燃料施設でございます。

 1枚めくっていただきまして4ページ目、ここはVHTRCの廃止措置の全体工程を示しております。具体的には各段階について、後ほどご説明しますが、VHTRC自体は平成11年9月に運転を終了して、平成12年3月に解体届を提出しております。この解体届に基づきまして、平成12年から平成13年3月までの間に原子炉の機能停止、それから、原子炉本体等の解体、ここは既に終了しております。その後、法令改正がありまして廃止措置計画の認可を平成18年11月にいただいております。その後、燃料の搬出先等の検討を行っておりまして、搬出先が確定した時点で平成21年3月には搬出先、これは同じ原子力機構の東海の原子力科学研究所の中の施設でございますが、STACYに搬出することになりまして、その施設の設置変更、それから、貯蔵設備の設置のための施設認可を受けております。貯蔵設備等がそろったところで、その廃止措置計画の変更、認可申請を行って、平成21年5月に認可を受けております。これは主には搬出先が確定したということで変更認可をいただいた。その後に燃料搬出等行いまして、先ほどご説明がありましたように、平成22年、今年の3月ですが、22年3月に終了確認申請をしまして、5月に終了確認、それから、6月に終了確認した旨の通知を受けた次第です。各段階については、これからご説明いたします。

 次、5ページ目でございますが、原子炉施設の解体の結果について、全体についてご説明いたしますが、第1段階というのは先ほど申しましたように原子炉の機能停止、それから、本体の解体ということで既に平成12年度末に終了しておりました。そこで廃止措置計画に基づくものとしては、この第1段階の2と書いております残存施設の設備からの試料採取、これは平成19年に行っておりますが、それ以降ということになります。実際の工事としてですが、この試料採取の結果、特に有意な放射性核種は検出されなかったという状況です。第2段階としましては、燃料の搬出ということで、これも先ほど少し説明しましたが、搬出先の許認可手続等を行って、その後、所内運搬規則に基づいて全量を引き渡しております。

 次、6ページ目でございますが、ここから第3段階ということで炉室等の解体撤去に入ります。1.ですが、残存設備の機器の解体撤去ということで、燃料搬出後の平成21年6月から8月の末にかけて実施しております。ここでは管理区域についての施設・設備について解体撤去を実施しまして、その際には使用履歴、設置状況等から事前に汚染状況等を調査しております。さらにそれらの調査結果をもとに放射性廃棄物と放射性廃棄物でない廃棄物、いわゆるNRですが、それに区分をしております。解体撤去後は、放射性廃棄物に関しては同じ事業所内の放射性廃棄物処理場のほうに搬出。それから、NRは金属とコンクリートに分別して一時保管場所に搬出しております。その後、2のほうに書いておりますように、管理区域について汚染検査を行い、汚染がないことを確認した上で所内手続を経て保安規定に定めるすべての管理区域を解除しました。

 次の7ページですが、ここは解体の状況についての写真を載せております。左上から燃料貯蔵室、右側に行きますと作業室、炉室ということで、一応、解体の手順としましては、気体廃棄物の廃棄施設、右下でございますが、これが最後に解体したという絵でございます。

 次、8ページ目でございますが、第3段階の中でも今度は管理区域が解除された後ということで、炉室建屋の解体に入っております。これが平成21年10月から入っておりまして、翌年2月26日までに工事自体は終了しております。この写真の左上のほうが解体前の全体の建屋でございまして、右下が工事完了後、更地化になったという状況でございます。

 次ページ、9ページでございますが、これから核燃料物質の譲り渡しの結果ということで、法令で要求されていますこの項目について少し詳しくご説明いたします。これに関しましては、第2段階の燃料の搬出というところに該当しますが、搬出期間、これは6月2日から6月11日ということで、これは2つ目の丸、青字のところ、これが先ほどご説明したとおりですが、3つ目、燃料払出しに当たりましては保安規定に基づきまして燃料の払出しの検査を行っております。

 燃料、コンパクト型ウラン黒鉛混合燃料というのとディスク型ウラン黒鉛混合燃料というのは、先ほど言いましたようにVHTRCの前身のSHEという原子炉の燃料でございます。これらについて外観、員数を確認した後、収納容器に収納しまして、その表面汚染検査等を行って、汚染がないことを確認して、その後、運搬してSTACY施設へ引き渡しております。また、受け入れ側のSTACY施設では、輸送中の燃料の破損がないかとか、異常がないかというようなこと、それから、さらには表面汚染を検査しまして貯蔵設備に貯蔵したということでございます。

 次、1ページめくっていただきまして、ここは燃料の搬出状況についての写真を載せております。左上のほうはバードケージといいますか、ディスク型の燃料の収納状況、それから、上の真ん中はコンパクト型燃料の内容器への収納状況ということで、これら内容器を一番上の段の右側、これは外容器ですが、輸送容器に詰めて、これらを載せて運搬していったということです。

 次の11ページですが、核燃料物質の汚染の除去の結果についてご説明いたします。管理区域解除のための表面密度測定、線量当量率測定等を実施しまして、管理区域の基準に該当しないということを確認した後に解除をしております。表面密度測定に関しましては、管理区域の壁、床、天井を約1平方メートルごとに区画しまして、全面を直接法または間接法で測定しております。その結果、汚染等は確認されておりません。両測定法ともすべて検出下限表面密度未満でありました。また、空間線量率測定に関しましては、すべてバックグラウンドレベルであったという結果が出ております。

 1ページめくっていただきまして12ページ目でございます。これは管理区域解除のための測定区画数と書いておりますが、各管理区域について先ほど申しました区画を行った上で、合計1,460区画という数について測定しております。

 次、13ページ目、核燃料物質によって汚染されたものの廃棄の結果についてご説明します。まず、気体廃棄物に関しましては、先ほども少し触れましたが、管理区域解除の最後で設備機器を撤去するまでの間動かしておりまして、その間、スタックダストモニタ等により連続的に監視して排気塔からの異常な放出がなかったということでございます。それから、液体廃棄物に関しましては廃液貯槽に一時貯留して濃度を測定した上で廃止するわけですけれども、これも設備機器の撤去前にすべて確認して、排出した上で、その後は水を使わないということで実施しております。3番目、放射性固体廃棄物、これに関しましては材質、性状、放射能レベルに応じて区分しまして、廃棄物処理場のほうへ保管、廃棄という手続をとっております。

 最後でございますが、核燃料物質によって汚染されたものの廃棄の結果、これは発生量について一覧にまとめております。放射性廃棄物として発生したものは25.2トンということでございます。特に撤去物を占めるのですが、解体に付随する廃棄物、これも約1割くらいということでございます。

 以上がVHTRCの廃止措置の実施状況でございます。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、旧JRR-3の改造工事に伴って発生したコンクリートのクリアランスの実施状況についてご説明いただいた後、あわせてご質疑、ご討論をお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

【岸本チームリーダー・主査】 それでは、原子力機構の岸本といいます。引き続き旧JRR-3の改造工事に伴って発生したコンクリートのクリアランスの実施状況についてご説明いたします。

 最初の表紙を開いていただきまして1ページをごらんください。本日のご紹介項目ですけれども、概要、あと文部科学省様から認可をいただいた測定及び評価の方法の内容、そしてその認可に基づき我々が進めている測定及び評価の実施内容、最後にまとめをお話ししますが、時間が限られておりますので要点を絞った形でお話しさせていただきたいと思います。

 それでは、次の2ページ目をごらんください。最初に概要についてですけれども、まず、目的は現在、原子力科学研究所に保管廃棄しております放射能濃度の極めて低いコンクリート、約4,000トンをクリアランスしまして所内の施設整備等に再利用すること、あともう一つは保管廃棄施設の空いた保管スペースを放射性廃棄物の分別保管に利用することであります。全体スケジュールにつきましては、先ほども少しお話がありましたけれども、平成20年7月に測定及び評価の方法の認可をいただきまして、平成21年4月から測定及び評価の実作業というのを開始しております。

 この全量4,000トンというのは12ピットに分けて保管廃棄していることから、12回に分けて文部科学省様に確認していただく予定でございまして、本年5月に第1回目の確認証交付を受けております。9月に2回目の確認申請をさせていただき、現在、確認をしていただいているところでございます。今のこのペースだと、12ピット終わるのに年1回とかのペースになっているんですけれども、今、大分作業が軌道に乗ってまいりまして、一応、平成25年度ごろをめどに終了させたいと考えております。

 それでは、次に3ページをごらんください。次に認可をいただいている測定及び評価の方法についてご紹介します。まず、放射能濃度確認対象物の種類、これについてお話しいたします。これがまず今から約25年前に行われました旧JRR-3の改造工事では、この薄い青色で塗りつぶした、例えば炉室の床や壁などの箇所で放射能濃度の極めて低いコンクリートが大量に廃棄物として発生しました。これはそのとき原子炉本体をそのまま外に持ち出すという炉体一括撤去というのを行いましたので、そういう建屋の床、壁というのが大量に廃棄物として出たということでございます。これが放射能濃度確認対象物、クリアランス対象物となっております。これを原子力科学研究所内の保管廃棄施設の半地下式ピット、これが次のスライド4ページにございますが、そちらのほうに全量4,000トンを12ピットに分けて保管廃棄しておりました。

 この4ページに保管状況がございますが、その中で左側の上面図で合計20ピットあるうちの12ピットをこれで占めておりまして、そのうち赤いピットのところには、この右下の写真のコンクリートがら(非常に細かく砕かれたもの)、青い色のところにはコンクリートブロックというものが入っております。これが全部で約4,000トン、1ピット当たり大体400トン、12だと掛け算すると合わないのですけれども、この辺はブロック等は実は量が少ないとか、そういった関係でございます。これが放射能濃度確認対象物の種類でございます。

 次に5ページを見ていただきまして、こちらでは測定評価単位、あと測定評価対象放射性物質の種類等について示しております。測定評価単位については、1トン以内で構成することとしております。ただし、その前提としまして放射能濃度分布の均一性を確認することとなっておりまして、4,000トンの取り出した対象物すべてについて二次的な汚染の主な核種であるCo-60濃度を測定しまして、その放射能濃度に著しい偏りがないことを確認することとしております。具体的にはこの対象物すべての測定というのは、1測定評価単位である1トンをおよそ10分割した、約100キログラム単位で順次実施することとしております。この測定というのが少し紛らしいのですけれども、あくまでも均一性の確認でございまして、いわゆるクリアランス評価、D/C評価ではないことにご注意ください。

 そして、この本クリアランス作業において、この取り出した対象物すべてについてこのように測定しているのは、約25年前という昔に対象物を既に放射性廃棄物として保管廃棄しておりまして、クリアランスの適用に耐え得る信頼できる放射能濃度の測定記録が存在しない状況という、そういう特殊な状況があったというためであります。

 次に測定評価対象放射性物質の種類については、H-3、Co-60、Cs-137、Eu-152となります。これはまず旧JRR-3が重水減速冷却型の原子炉であったことから、トリチウムが大量に生成されること、また、放射化計算によりまして二次的な汚染のうちの腐食生成物や核分裂生成物の代表となる放射性物質、さらに放射化汚染の代表となる放射性物質、こういったものをそれぞれ、いわゆる90パーセントルールで評価、選出することによりまして選択いたしました。

 次にスライド6ページをごらんください。次に、いわゆるクリアランス判断、D/C評価を行うための認可をいただいた放射能濃度を決定する方法というのをご紹介いたします。クリアランス判断を行うのは測定評価単位ごととなります。したがいまして、この左側の絵に示してありますように、放射能濃度の均一性を確認した100キログラム当たりから、ここでパレットと記載しているものがそれに相当いたしますが、その100キログラム当たりから試料を採取しまして、それを1測定評価単位分となるように10パレット分の試料10個を混合して測定することによりまして、測定評価単位当たりの放射能濃度を決定しております。

 スライド6ページはトリチウム、スライド7ページはガンマ線放射性物質を示しておりますが、これを混合して測定するという考え方は共通となっております。ここの測定の細かい話は省略いたしますが、トリチウムは塊状の試料を水につけまして、30日間、水につけまして浸出してきたものを液体シンチレーションカウンタで測定しまして、ガンマ線放射性物質はそのまま粉体状の試料をゲルマニウム半導体検出器で測定するということにしております。

 ということで、次に8ページをごらんください。こうやって測定しました放射能濃度について、この8ページの左下の8に記載しているとおり、クリアランスレベルに対する比、いわゆるD/C評価を放射性物質ごとに行いまして、その総和が1以下であることをもってクリアランスに係る濃度基準を満足していることを1測定評価単位ごとに確認しております。

 次に実際に行っております測定及び評価の実作業の実施状況についてご紹介いたします。まず、このスライド8ページがこの実作業の流れを示しておりまして、その流れに沿った作業の様子というのをスライド9ページと10ページに示しております。ただ、時間がございませんので、ここでは9ページの写真で主にこの流れというのを、イメージというのをつかんでいただこうと思います。

 ということで9ページをごらんいただけますでしょうか。まず、この9ページの左上の写真を見ていただきたいのですけれども、放射能濃度確認対象物の取り出しを行うピットは、汚染拡大防止のためこのように緑色のテントで覆って作業をしております。そうした中で最初に1-1と2に示すようにピットからの取り出し及び不純物の除去というのを行っております。放射能濃度確認対象物はコンクリートのみでありますけれども、この旧JRR-3の改造工事の際に、いわゆる普通の工事作業の中で発生したごみ、それが不純物として相当量混じり込んでいるため、それらの除去というのを手選別で丁寧に行っております。

 それでコンクリートのみにした後で、その後、全量に対する放射能濃度の著しい偏りがないことの確認のため、2、これは1と2に分かれていますが、そこに示すように100キログラム単位でパレット収納しまして、可搬型ゲルマニウム半導体検出器によりましてCo-60濃度測定を行っております。この著しい偏りがないことの確認測定後にクリアランス判断、D/C評価を行うための測定試料の採取を3に示すとおり、1パレット100キログラム単位ごとに行っております。この測定試料を採取した後に4にあるとおり、10パレット分のコンクリートについて保管容器への収納を行いまして、そうすると約1トンになりますので、その1トン以内の量で1測定評価単位を構成しまして、この緑色のテントから搬出しております。

 10ページをごらんいただけますでしょうか。この10ページ、右側の写真を見ていただきますと、この保管容器の搬出後の置き場所をこれは示しておりますが、ここで異物混入防止や他の放射性物質による汚染防止の措置を行いまして、文部科学省様による確認を受けるまでの保管管理というのを行っております。ここでちょうど右下の写真ですので、1かごで1トンという形ですので、今、大体400弱の量で、測定評価単位で1回の確認を受けていますので、だから、これが400弱の袋で確認を受けるというふうになります。

 次に11ページをごらんいただけますでしょうか。先ほどの文部科学省様のお話でもありましたけれども、クリアランス判断に当たっては、放射能濃度が基準値以下であるという測定結果だけではなくて、認可をいただいた測定及び評価の方法で確実に実施しているということが極めて重要となります。それを担保するための品質保証活動についてご紹介します。まず、2番目のポツに示してありますとおり、測定及び評価の実作業を開始するに当たっては、保安規定において保安活動に関する事項を新たに規定しました。

 さらにその次の3番目のポツに示しますとおり、保安規定に基づき策定した作業要領では、認可を受けた方法に基づき測定及び評価を行うための具体的な手順、詳細な記録を定めまして、それらに基づき測定及び評価を着実に進めております。その下の写真が、実はこれが1回、1ピット当たりの確認申請に係る記録文でして、認可をいただいた方法に基づき測定及び評価を行っていることを示す、こういう詳細な記録を作成しながら作業を進めておりますが、これが要するに1ピット分、1回当たりの確認申請で、先ほども文部科学省様からもお話がありましたとおり、これを文部科学省様のほうでは全記録を確認していただいておりまして、今も実は毎週来ていただいて確認をしていただいておりまして、この場をかりて、そこには感謝をいたしております。

 次に12ページを見ていただけますでしょうか。最後にまとめです。最初のまとめの1番目の項目は、今もお話しした内容そのままなので省略させていただきまして、2番目のポツをごらんください。本クリアランス作業というのは、コンクリートでは国内初、そして制度全体でも日本原子力発電に続く2例目となることから、国内における貴重な先行事例として今後、着実に実績を積み重ね、クリアランス制度の定着に貢献したいと考えております。そうやって実績を積み重ねて信頼を得ていくことで運用面も含めまして、今以上に適用しやすい制度になりまして、制度が世の中に普及していくのではないかなと考えております。

 クリアランス作業の実施状況は以上のとおりとなります。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 いずれも原子力機構さんでございますけれども、2カ所の現場から実施状況についてのご説明をいただきました。非常に着実に進めていただいていまして、ありがたいと考えております。

 それでは、以上の2件のご報告につきまして、ご質問、あるいはコメントがございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 服部委員、どうぞ。

【服部委員】 服部です。ご説明、ありがとうございました。クリアランスのほうでコメントといいますか、お願いといいますか、お話ししたいと思うのですが、実施状況のご報告といいますか、確認ということでご説明いただいたわけなのですが、こういう制度をずっと続けていくに当たって、最初のクリアランス制度の背景というのをよく思い起こしておく必要があると思うんですね。環境負荷の低減というのが1つ大きなところにあったと思うのですが、放っておけば放射性廃棄物処分場に行ってしまうものを適切なプロセスをもってクリアランスして再利用していくということですね。そういう意味では、今日、今ご説明いただいたところは、コンクリート、路盤材として再利用していく。そういう厳然たる事実があって、4,000トンが再利用されていくという事実があるわけですね。

 ポイントの視点というのが、クリアランスの取り組みが適切に行われているか、あるいは確認の手続に従って国の認可等が適切に行われている、こういうことがあるのですが、もう一つ、僕はあるのではないかと思っておりまして、例えば放っておけば放射性廃棄物処分になったわけで、それはかなりのコストがきっとかかっていたはずなんですね。これが実は路盤材として再利用できたことによって、そのコストがかからなくなった。でも、反面、そのクリアランスを検認するために、やはりそれはコストがかかっているはずなんですね。それは人、物、金をかけて測定をして、今回のお話ですと4年間をかけて4,000トンを処理されるということですね。そういう意味では、その4,000トンの再利用の実績ということだけではなくて、4年間から5年間をかけて、人件費をかけて、装置をかけて、そしてクリアランスをしていく、そこに非常に大きなコストがかかっているんですね。その差し引きをしても社会のリソースとしてやはりプラスのものがあるというのをぜひ国民の目にもわかるような形で提示していただくことが大事かなと感じております。

 そういう意味では、第1回目のクリアランスですので、私の目から見てもかなり厳しい測定というか、アプローチを引いていただいているのだなと思うのですが、ぜひよく理解しておいていただきたいのは、クリアランスレベルというレベルが決まってしまうと、もう数値基準になってしまうのですが、その数値基準の背景をよく理解していただくことが必要でありまして、これはもう国民の方にも、これはなかなか理解していただけないところがあるのですが、よく理解していただく必要があって、例えば先ほど1つ目の資料30-2で、クリアランスレベルは10マイクロシーベルト/年というので算出しましたというのがどこかに書いてあったのですが、実はこれ、正しいようで、もう少し正確に言うと少し違うところもありまして、原子力安全委員会のほうでそういう10マイクロシーベルト/年に相当するレベルを算出したというのは、そこは正しいのですが、最後に丸める作業というのがあるんですね。当然、端数の数字が出てくるわけなのですが、それを0.1、1、10、100、1,000という形に丸めている。ですから、700ぐらいの数字があれば1000Bq/gとまとめていますし、2という数字があれば1Bq/gと丸めているんですね。そこには10マイクロシーベルト/年オーダーという概念がそこに存在しているわけです。

 それからもう一つ言えることは、先ほど100キロ単位で均一化を調べましたというお話がありましたが、これは原子力安全委員会の報告の中にも留意事項というのがありまして、例えば1トンぐらいのクリアランスを評価単位でクリアランスしようとしたときには、100キロ単位でクリアランスレベルの10倍までにおさまることが1つの均一化の基準である。そういう書き方があるんですね。普通の方はクリアランスレベルの10倍と聞くと、これは大変なことだと思ってしまうのですが、もともとその基準を決める、あるいは均一化の議論をするって、そういう留意事項のところにグラデーションといいますか、そういう部分があるんですね。

 もう一つ大事なことは、10マイクロシーベルトで原子力安全委員会さんのほうで計算してもらった数字を最終的に法律にしているかというとそうではなくて、さっきどこかにありましたけれども、IAEAの基準を取り入れているんですね。IAEAの基準はどういう基準で算出されているかというと、普通のリアリスティックな被ばくシナリオでは、これは同じ10マイクロシーベルト/年なんですね。ただ、低確率なシナリオ、低い確率で、発生確率の低いような、そういう被ばくのシナリオについては、1ミリシーベルト/年というのが算出のベースになっているんです。その2つの組み合わせによってあの数値を出してきたものを最終的に我が国は日本のクリアランスレベルとして取り入れたということですね。そういう3つの観点を考えると、どこまで低いレベルの管理にどこまでのリソースを社会が払っていかなければいけないのかというのは非常に大事な観点ですので、そういう意味ではこれからもしこういう実施状況をずっと継続して聞く機会があるのであれば、どれだけリソースが払われていて、それが適切に合理的なところに行っているのかという、そういうチェック機構も検証プロセスを働かせていただきたいと思います。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 非常に貴重な論点を3ついただきましたけれども、この点、事務局のほうから何かございますか。あるいは原子力機構さんでも結構ですけれども。

【江頭安全審査調整官】 特に原子力機構の例は我々のほうでも特殊な例といいますか、先ほど原子力機構からの説明にもあったように、解体施設の汚染の記録の一部などがなかったということもありましたし、コンクリート内に不純物が多数入っていたということで、細かく砕く作業だとか、不純物を取り除く作業もやったということで、かなりの時間とマンパワーをかけて作業しないとクリアランスレベル以下であるということについて信頼性が得られなかったという状況でした。服部委員ご指摘のようにクリアランスにかけるコストもどうなのかということについては、まだ事例が1件しかありませんので、今後の事例の積み重ねの中で検証していくべきことかと考えております。なお、規制当局として事業者のコストのような点について検証することが適当かどうかというのはありますが、事業者とコミュニケーションしていくことは重要だと考えております。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 ここで聞いていいのかどうかわからないのだけれども、具体的にコスト的なところってどんな感じですか。はっきり言ってしまうと、低レベルの処分場に持っていくかわりにというところですね。まだ1回目だからなかなか難しいかもしれませんが。

【岸本チームリーダー・主査】 率直に申しますと、我々のクリアランスに関しましては、あくまでも我々という前提で聞いてください。処分したほうが安いんですね。それで、ここは重要なので少し言わせていただきますと、我々のクリアランスはあくまでも、先ほどもおっしゃっているとおりで、もう二十何年前に放射性廃棄物として一度捨てたものでして、全然クリアランスの適用を考えておりませんでした。ですので、いわゆる記録等、そのときの記録を使ってクリアランスレベルという、今回、このクリアランスをクリアするというのができなかったので全量測定をやる。

 さらに細かく100キロという単位で細かく区分をして、そこから試料を取ってというようなので非常に莫大な作業、そして記録類も莫大な量となっております。これは法令レベルの話ではなくて運用レベルの話になるのですけれども、お願いしたいと思っているのは、今後、当然、コンクリートのクリアランスというのがまた世の中で行われていくと思いますけれども、そのときは普通は建屋がある状態でクリアランスを行うと思うのですけれども、そういうときにはやはりこれが初めての前例ということで、我々のやったことが前例とはなると思うのですけれども、その際にはこの測定のやり方、それに関してはあまり、これは我々は特殊だという観点を持っていただいて、新たな目で、大体一度やってしまうと、方法がひとり歩きしてしまいがちなんですけれども、そうではなくて新たな目でそこは考えていただけるといいのかなと思っております。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 多分、1回目の事例ということで、今、もう一つは法改正前の話で、何が何かわからなくなっているという部分があるので、安全性を担保するためにはこうせざるを得ないというのが実態だと思うのですけれども、今、お話がありましたように、今後、クリアランスということを前提に置いて検討する場合には、そもそもどういう場所のコンクリートだから、どのぐらいまで見ればいいですとか、代表点を測定するとか、いろいろなやり方は多分あると思うんですね。その辺のところは、今後、行政庁のほうも適切な形でご指導されることになると思いますが、コストという観点は非常に重要な観点だと思いますので、ぜひその辺のところについては報告書等にも触れていただけるとありがたいかなと思います。

 どうぞ。

【渡辺原子力安全監】 今のコストのところ、非常に重要なところなのでございますが、一言事務局から申し上げますが、今の時点でコストを見たときに、最初なので手間暇をかけてクリアランスをやったということなのだろうと思いますが、現時点で研究炉等から出てくる放射性廃棄物については、低レベル廃棄物については処分場をどこにするかというのを決まっていない。今、これからどうするかということは原子力機構さんでいろいろ検討されているという状況であります。これからも時間がかかるかもしれないというような状況において、このJRR-3のコンクリートについては、クリアランス確認をしたことによって規制を外れたということで、前倒しでといいますか、処分場が決まらないタイミングで対処ができたというところも、一応、考慮の対象ではあるなと思っております。

【寺井座長】 ありがとうございます。

 今の非常に貴重な結果でございまして、まさにその点がこのクリアランス制度導入の主たる論点だと思います。そこのところはきっちりとそういう形でできているということだと思いますので、その辺はぜひ強調していただければと思います。

 ほかにご質問、コメントございますか。クリアランスの件だけでなくて、VHTRCの件も含めてで結構でございます。小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】 今、クリアランスの話が出ましたので、そっちのほうから。今の論点なのですが、若干蒸し返すようで悪いんですけれども、クリアランスレベルの導入というのは、レベルが低いから捨てていいということではないんですね。健康に影響がないぐらいのレベルだからというのを枕詞にして書くのですが、もともとのあのICRPとかIAEAのを見ると、あれはオプティマイズのほうから出てきたんですね。だから、原子炉を解体すると大量のものが出てくる。それを例えば下北に持っていく、処分場に入れるということになると、もう処分場は耐えられないですね。

 じゃあ、危ないのかというと、リスクのレベルは極めて低いということですから、そこでどういう合理性が出るか。コストもそのうちの1つですけれども、処分場の負担とか、そういうのをオプティマイズするために考えられた方法なわけで、レベルを下回るから捨てていいということではないということですね。レベルを下回っても、そういう処分場の負担が多くない。コスト的な負担も大きいということであれば、それはオプションをとらないということですから、そのことは認識をする必要があるんですね。

 それで、なぜこういうことになっているかというと、過去のファーストアクティビティーのレトロないろいろなものをここでやっているから議論が錯綜しているんですね。ですから、従前、無意識のうちにやってきたものをクリアランスしたいというときの状況と今からある程度アレンジしてやりたいというところのものは、明らかに分けて考えていただく必要があって、古いものをいろいろ言うのは、もうそれは仕方がないということですね。お金がかかっても仕方がないということで、事例の研究としては、これから計画されるものと過去のわからないものを一緒に入れたものを混ぜた議論をやられるのは避けられたほうがよろしいのではないでしょうかというのが1番なんですね。

 2番目の点ですけれども、少し資料で気になりますのが、ここの資料の中で言葉の言い回しがありまして、放射能濃度確認対象物という言いぶりがあるんですね。これは引っかかりまして、例えばJAEAさんの資料33-2の3ページのところの左のブルーのところに「極めて低い濃度の」というあたりが出てきて、極めて濃度が低いとか、そういうカテゴリーに入るものが幾つかありまして、それは明らかに分けて議論していただかないと、かなり厄介なことになるということですね。

 低レベル放射性廃棄物というものの中に、極低レベルというカテゴリーがありまして、業界用語ではL3なんて言うんですけれども、極低レベルのものはトレンチに入れるとか、従前の確認の方法が動いておりまして、だから、極低レベルとして扱うのか、あるいは切り離して規制の体系から外してクリアランス物として扱うのか、あるいはここの中で少し混ぜて議論があるんですけれども、いわゆる非放射性物として扱うのかというところのレベルが低そうなところのその3カテゴリーをどういうふうに分けて扱っているのかというのは、明確に分けた議論をされたほうがいいというふうに思います。法律的な扱いの検査のやり方から、あらゆるものが違いますから。

 ただ、先ほど服部委員がご注意されたように、非放射性物というものは、放射能を含んでいないものを非放射性と言っているのではないんですね。放射能は含んでいても非放射性と言うんですね。例えば土屋委員がいらっしゃいますが、土屋委員が放射能を含んでいるようだと低レベル廃棄物に行ってくれということなら、行っていただかないといけない。体内放射能が入っているわけですから、コンクリートも自然のままで放射性物質があるわけですから、非放射性と称しているものは非放射性と称しようということなわけで、そこら辺の極低レベルの既に存在している廃棄物として炉規法の傘下でやるものと、それを外れるクリアランスと全くそれから自由な非放射性のところをなかなか切り分けのところが微妙なところがあるのですけれども、それのことはぜひ意識して資料をつくられると説得力があると思いました。

 3番目の点ですけれども、若干細かい話なんですけれども、例えば今の資料の6ページのところとか7ページのところに登場してくるのですが、全体の測定評価単位が、これをどうするかというのも専門の観点からは議論があるところですが、1トンと。その中で50グラムのものを10個抜いているわけですから、大体サンプリングをやっているのは0.05%のサンプリングはやられているということですね。トリチウムを見るのに水の30日浸漬でそれを出しているということですね。

 だから、ここら辺のサンプリングの具合とか、トリチウムを水に浸けてこれで有効であるかというあたりは、テクニカルにどういうサンプリングがよろしいのか、あるいはどういうトリチウムの検出の仕方がよろしいのかというあたりはこれからの課題だと思うのですけれども、場合によれば民間規格ですか、学会の標準とか、あるいはお役所の検査をされるときの内規とか、そういうことで少しずつこういう点は詰めていただいたほうが説得性が出てくるのでは。まあ、最初のケースですし、非常に慎重にやられているからそれで結構だと思うのですけれども。あといろいろな、丹沢さんのところの原子炉もありますし、いろいろな研究炉も後ろに構えているものですから、ぜひ標準化をされる方向で議論していただければありがたいと思います。

 それともう一つですけれども、過去の廃棄物ということで、今の資料の9ページのところに不純物除去ということでかなりショッキングな写真が載っておりまして、我々のところで技術者とか研究者が一番集積している原子力研究所においても、過去ではいろいろなものが混ざっていて、今となってはこのピットに入っているものを手作業で分けなくてはいけないのかという、かなりショッキングな写真であるわけですけれども、このケースの場合には、こういうふうに仕分けされて計っているんですけれども、さっきのオプティマイズをどこまでやるかという点で、これから後もこの隣のピットとか、いろいろなところに入っているのをおやりだと思うので、どの程度までどういうふうにやれば合理性が追求できるのか。安全の確保が上手にいって、かつ安定性が保ててというような、そういう点を少しいろいろ考察を加えていただくようなことをやっていただけないかということですね。

 昭和30年代とか40年代というのは非常に残念ですけれども、私が大変よく知っている大学の大学病院の中庭とか、理学部の中庭のあたりにも障害防止法で廃棄物を捨てるということが決まっていないときには、穴を掘って埋めていたわけですね。それが今になって、それを全部掘り出さなくてはいけないというような事例も幾つかあるんですね。だから、そういうときにもどこまでやれば納得がいけるのか、どこまでどうすればいけるのかというところで技術者なり、そういうのが工夫を加える。そのチャレンジをJAEAさんにやっていただくという意味で、最後まで人力でというところ以外にチャレンジをぜひやっていただけたらと思うのですが。

 続いて解体のほう、よろしいですか。

【寺井座長】 どうぞ。

【小佐古委員】 もう短くおしまいにしますが、解体のほうがあって、解体はHigh Temperature Test Reactorで、これでよろしいのですが、実はこれは最大出力10ワットなんですね。ですから、中島委員のところもそうですけれども、メガワット級の原子炉並みに放射能をためようと思うと数十万年から100万年ぐらい運転しないといけないということなんですね。ですから、ここで一生懸命におやりで、ご苦労を多とするという話なのですが、こんなに出力が低ければ、初めからやったって何も出んでしょうと、こういう話ではないかと思うんですね。ですから、ぜひこれから後いろいろな解体が続くのですけれども、リスクのレベルに応じたトータルインベントリーとか、リスクのレベルに応じたガイドラインとか議論をやっていただかないと、100万年できなくては届かないようなものと、まあ、一生懸命おやりになっているところは大変ご立派だと思うのですけれども、やっぱりレベルに応じた議論をぜひやっていただけるようにお願いしたいと思うのですが。

 それからもう1点、最後ですが、全体の文科省さん側のほうの説明の中にも出てきて、原子炉以外にも核燃関係のほうも解体の話が続いてくるんですね。その中に尾去沢鉱山とか、あるいは足尾製錬とかというような話なども出てくるんですね。つまり、何が言いたいかというと、こういう解体とかいろいろな話になると、法律のすき間にあるものも、そういう形で登場してくるということですね。鉱山保安法対炉規法のすき間とか、原子炉対核燃のすき間とか、障害防止法対原子炉等規制法のすき間とか、あるいは使用施設対加工施設のすき間とか、原子炉と比べるとダウンストリーム側というのはあまり法整備とか、そういうのが完全に成熟していないのだというのが私の認識です。

 ですから、ぜひそのあたりはお役所のほうも、やられる方のほうも、どういう合理性が追求できるのか、法律をどういうふうに読めば、扉1枚でこっちが使用施設、こっちが加工施設とか、こっち側は鉱山保安法で、こちら側が炉規法でというので、そのすき間で苦しむことっていっぱい出てきますので、ぜひその点は深い考えと配慮をしていただきたいというお願いであります。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 5つか6つか論点を今いただきまして、私も全部記憶できていない部分がありますが、まず、最初の話は、これはクリアランスのほうですね。それで、極めて低いコンクリートが大量にという、このところで、放射性物質としての扱いをしなくていいものなのか、もともとそういう対象ではないとか、いろいろな整理の仕方が多分あるのだと思うのですけれども、この辺をどこまでを確認対象物として考えるかというところの、これは言ってみれば現場からの申請と、それに対する認可をどうするかという部分のすり合わせの部分かなと思うのですけれども、ここら辺のところは多分いろいろなご指導を受けながら現場もされていると思いますので、具体的にその辺の定義、それもなるべくならば合理的な規制ができるような形で検討をお願いできればということかと思います。これは多分、お役所のほうのご指導の点もあるかなと思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

【鎌倉保安管理企画官】 先ほど機構さんのほうからお話がありましたように、かなり過去のものだったということで、今後は、我々のほうでも記録も全部最終的に確認をし、あるいはその現場に行ってサンプリングをしというようなことで実施して、なおかつ品証体制も見ていくということで現在行っているところですけれども、今後確実にその確認ができ、あるいは合理的にやられるかということは、小佐古先生からお話がありましたように今後考察して考えていくべき点なのかなと考えております。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 では、そういうことでお願いします。それから、不純物の除去の方法、これを手作業でやっているんだけれども、これも今後何とかもう少し合理的になりませんかという話だったと思います。これもあわせてご検討いただければと思うのですが、何か原子力機構さんのほうからありますか。

【岸本チームリーダー・主査】 まず、この作業の状況に関して、確かに実作業上は非常に作業の中で大きなウエイトを占めておりまして、なくなると大変ありがたいというのは本音なのですけれども、ただ、これ、初めてですので、さっき言ったように非常に特殊なもの、初めてでいきなり特殊な、かなりマニアックなものをクリアランス申請させていただいている状況なので、これに関してはとにかく信頼を得るという意味で、まずしっかりやっていきたいなと。

 ただ、その際にこの不純物を除いたものを、ただ不純物を除いて放射性廃棄物にしましたではなくて、これは大体基本的には改造工事の際に一般作業で、いわゆる作業で混じってしまったものですので、そういったものであるということに関しては放射能を、このクリアランス作業の話とは別にちゃんと測定をしておいて、実際にはこういうのは全然放射能等はありませんでしたという、そういう実績として、データとしては残していきたい。それで、この後に続く、ほんとうにこの後、コンクリートのクリアランス等が世の中で行われていく中で、よりもっと科学的かつ合理的な形になっていくようにフィードバックできればいいのではないかなと思っております。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 この辺も多分、現在まだ試行錯誤の段階で、それで多分、次のフェーズはまた違ってくるのかなと思うのですけれども、後でもまだこれ、平成25年までかかるんですよね。その中で何か、何とかなりませんかというのもあったのかなと思うのですけれども。

【岸本チームリーダー・主査】 はい。そういう意味も当然あったと思うのですけれども、そこに関しましては、今現時点では新しく認可をいただく、それが混じったままで測定及び評価の方法の認可をいただくというのが、我々の中でロジックがちょっと立て――要するに安全であるのはわかっているのですけれども、それを実際に感覚的に安全でも科学的にどうやって立証したらいいのかというのが我々のほうでもロジックが立てられないという状況がございますので、正直、今のこの残り9ピット、10ピットの中でそれをやっていくというのは、トライは、いろいろ考えてはいるのですけれども、難しい面があるかなとは思っております。

【寺井座長】 わかりました。その辺のところはぜひにというわけではありませんが、可能な限りでご検討いただけるといいのではないかなと思います。

 それから、3つ目のご指摘、VHTRCのほうのやつで検査をされているのだけれども、もう少しそのリスクレベルに応じた検査ガイドラインみたいなものがつくれないかということですね。確かに小佐古先生がおっしゃるように、これだけ小さな原子炉だと量がたかが知れている量ですから、それは別の話なのですけれども、その周りの本体だとか、あるいは周りのところの機器などの汚染状況も、そもそももう限られてしまっているから、少しその辺のところを踏まえて合理的に検査ができるような方法を、これはまだ1回目ですからなかなか難しいと思うのですけれども、今後、あと何台も多分、廃止措置計画が出てまいりますから、その辺をやるときに何かすっきりした、もう少しリスクレベルに応じたガイドラインみたいなものがつくれるといいのではないでしょうかというコメントだったと思います。この辺はいかがでしょうか。

【江頭安全審査調整官】 ありがとうございます。先ほども少し触れましたけれども、解体作業中は、基本的には現地の原子力安全管理事務所の保安検査官が把握するということです。実は今回、この炉規法改正の5年見直しということで、地域にいる保安検査官とも意見交換をやっておりまして、今後、さらに保安検査官等と議論させていただいて、廃止の効率的な確認、廃止措置計画と保安規定の関係や保安検査の頻度等について考えていきたいと思います。

 あと、先ほどクリアランスの作業が大変だというお話がありましたけれども、JRR-3の事例はスペシャルな例と考えておりますが、JRR-3と同様のケースであれば、やはり作業が大変になるのは仕方ない部分があります。ウランの取り扱い施設のクリアランスレベルの検討の際にもかなりご意見をいただきましたし、原子力学会で策定中の学会標準でも検討されておりますけれども、クリアランスは解体前に汚染レベルの調査や仕分けをしていただくことが重要で、それに基づいて合理的な測定単位の設定や測定方法を考えていくことが極めて大切になります。その段階をいいかげんにやってしまったらこのように大変になりますので、JRR-3の事例は良い意味で悪いと言いますか、特殊な事例ではなかったかと思います。ということなので、廃止や解体について事業者から相談を受けるときには、クリアランスのお話も実際させていただいき、クリアランスする場合は事前の調査をしっかりやっていただくことが重要というお話をさせていただいております。今後はああいう形で大変なクリアランスの確認作業が必要となるような事例はなくなるのではないかと期待しております。

【寺井座長】 ありがとうございます。

 恐らく事例が幾つか出てくると、さっき小佐古委員が少しおっしゃっていましたけれども、ガイドラインとか、あるいは学会標準とか、そういうようなものをつくるというのもそれなりに意味があるかなと思います。そうしますと、事業者さんはそれをもとにある程度具体的に考えられる。今は多分まだ1件目ですけれども、お役所と事業者さんが個別に議論をしながらやっておられるのだろうと思うんですけれどもね。

【小佐古委員】 1つは数字をご紹介したいと思うのですけれども、JAEAさんが独立行政法人になるときに、将来も含めた廃棄物ダウンストリーム関係のお金が2兆円になると新聞の一面に数字が躍ったんですね。ふげんの解体のところも七、八千億ぐらいになるというような数字も躍っていたんですね。今、JAEAの解体の話をされていますけれども、文科省傘下のいろいろなものが次から次へ解体したいという話が出てくるんですよ。新しい炉をつくるとか、ほかのところを違ってダウンストリーム関係は、そこら辺で自分たちがどこら辺まで合理性を追求できるか、どこら辺までオプティマイズできるか、この業界、原子力をやっている業界全体が沈没するかどうかの境目になるのだと思うんですね。幾らなんでもJAEAさんが今から2兆円よこせと言われたら、恐らくだれも納得できないですね。

 ところが、工夫をすると、例えば人形峠なんかで何となく委託を出しているのを地元事業者にすると人件費が半分になったとか、やっぱりいろいろなことは工夫をすれば。かといって、安全の手抜きをすると、それはまずいということで、それはしっかりやって、それをやりながら、2兆円という数字をもっと現実的な数字にするとか、今、続いて文科省傘下で大学とかいろいろなものが続いてきますけれども、そこら辺も、まあ、これぐらいならそうかなというような数字になれるように、ぜひそれをJAEAさんが範を垂れて、だから、申請されるときには人手とか合理性というのは、我々はこれぐらい工夫しているんだ、安全もこれぐらいやっているんだという安全追求だけということにプラスアルファをぜひやっていただくというのがこの事業の非常に重要な点ではないのかなと思うんですね。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 今のも非常に貴重な論点で、ぜひそういう観点でもいい先行事例等、やっていただけるように、これは多分、事業者さんのほうの申請もそうだと思うのですが、規制、行政庁のほうもある程度そういうことを念頭に置きながら議論していただくということが必要かなと思いますので、ぜひその点はよろしくお願いします。

 それからあと1点、法律のすき間の話、小佐古先生からいただきまして、これも非常に重要なことだと思いますので、ともすればすき間に入ってしまって、どっちがどうなのということになってしまうケースがありますが、ここもぜひご注意いただければと思います。小佐古先生からいただいたお話、まだあったかもしれませんが、大体今ので集約できているかなと思いますので、ほかにご質問、コメントがありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。いかがですか、よろしゅうございますか。

 それでは、原子力機構さんのご報告についてのご質疑はこれで終わりにさせていただきます。原子力機構さん、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして今の2件の発生も含めてですが、この全体的なところで、もしご質問があれば、先ほどの資料30-2も含めてですが、ご質問、コメントがありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

これはさっき原子力機構さんにお聞きしたほうがよかったかもしれないですけれども、 VHTRCの廃止措置で最初に計画を出されてから実施まで大分時間がかかってしまっていまして、その間に法律改正があって、それで申請書を出し直されて、その後、比較的スムーズに動いてきているのかなと思うのですが、結局、最初に出されてから現在までの律速過程というか、何が問題で延びてしまった、あるいは今はこういうところが解決されたからスムーズにいっているなどというところは行政庁、おわかりになりますか。あるいは直接機構さんにお伺いしたほうがよろしいですか。もしよろしければお願いします。

【山根臨界技術第2課課長】 先ほどの説明のときに少し触れたのですが、燃料をどうするかというところが一番のネックでございました。燃料の搬出先、廃止措置に関する解体届のときもそうなのですが、はっきりどこに運ぶというのが決まっておりませんで、解体届の時点では決まった段階で再度、届出を、変更を出す。廃止措置計画を最初に出したときも、国内の他施設ということでまだ搬出先がはっきりしておりませんでした。それで変更申請を出したのですが、結局、どの施設を廃止措置するにしても燃料が出ていかないことには進まないということで、燃料をどうするかというのが、それは使用施設も同じだと思うのですが、一番大変なことだった。

 それから、先ほど言い忘れましたのでつけ加えますが、臨界集合体なので非常に出力が小さいということで、廃棄物の量について、先ほど放射性廃棄物がこのぐらいと言いましたけれども、実は臨界集合体、出力が小さいということで建屋自体、コンクリート自体がすべてNRということで処分しております。それによりまして結局、廃棄物の量が格段に減ったということ、それに伴いまして機構内でもNRの取り扱い規則なるものを設けて、さらにそのもとで施設ごとの管理を求めるとか、そういう手順の整備も進んでいるということで、最初の例といいますか、施設、最後までやったという例としては、そういう機構内での手続上の整備にも役立ったということではございます。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 今、燃料の搬出先という話でしたけれども、これは行政庁のほうのお考えでは特に搬出先がはっきりしなくても廃止措置計画は出していただいて認可をするという形になっているんですか。

【石橋安全審査官】 安全審査を担当している石橋と申します。

 今の座長からのお尋ねですが、基本的にはそういう状態でも廃止措置計画としては確定したら、その方針だけでも申請できるということにはなってございます。

【寺井座長】 わかりました。多分、今、現場での一番お困りのところはそこかなと思いますので、ぜひ、あまり国内で持っていける先はないですよね。原子力機構さんぐらいが最後の砦ではないかと思うのですけれども、まあ、その辺のところは非常に重要な問題かなと思います。ありがとうございました。

 ほかにご質問、コメント、ございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、本日いただいたご意見を踏まえまして、事務局のほうで報告書案の原稿といいますか、取りまとめをお願いしたいと思います。次回は、これまでにご審議いただきました核物質防護を含む全体です。核物質防護、前回やりましたけれども、それを含む全体について報告書案の審議をお願いしたいと思いますので、事務局のほうで報告書案の準備をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして報告事項ということになりますけれども、少量核燃料物質の適切な安全管理についてということでございます。現状、炉規法に基づく核燃料物質の使用は法令で規制下限値、ウランが300グラム、トリウムが900グラムということで設けられておりますけれども、BSSの考え方を参考にいたしまして、従来からこの検討会でも規制下限値を引き下げるべきかどうかということについて、あるいは引き下げた場合に求めるべき安全基準等についてご議論をいただいてきているところでございます。

 これはもう大分前の会であるかと思いますけれども、海外の規制等の状況について確認する必要があるということで、英国の状況を事務局からご報告いただいていたところでございますが、その後、事務局がほかの欧米諸国の状況を調査するとともに、国内の少量核燃料物質取り扱い者、いわゆる国際規制物質として保障措置上の計量管理のみ義務づけられている事業者の取り扱い状況を調査いただいたということでございますので、その結果を本日ご報告いただきたいと思います。

 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

【當間原子力規制室室長補佐】 資料30-4に基づきましてご説明をしたいと思います。座長からお話がありましたけれども、平成17年に検討していた時に、我々の方で海外での規制状況や国内の使用実態の調査をするということになっているものです。その前に簡単に背景をご説明したいと思います。経緯でございますけれども、現在、核燃料物質の使用については、原子炉等規制法に基づいて天然ウラン、劣化ウランは300グラムを超える場合、トリウムは900グラムを超えるものを対象として規制をしているということでございます。

 2ページ目になりますけれども、放射性物質の規制体系としては、ウラン、トリウムは原子炉等規制法、それ以外のものは放射線障害防止法で規制をしています。核燃料物質では、濃縮ウラン、プルトニウムは、これは数量を問わず、核燃料物質使用の許可が必要。天然ウラン、劣化ウランについては、300グラムを超える場合、トリウムについては900グラムを超える場合には核燃料物質の使用の許可ということで、安全のための規制をしています。それ以下の場合は、核燃料物質の使用の許可は要りませんけれども、数量のための管理をする規制であります国際規制物資の許可というのを取っていただいて、数量の管理、安全の管理とは別の規制をやっている。そういうような体系でございます。

 資料30-4の1ページ目に戻っていただきまして、IAEAが1996年に、いわゆる放射線の線源の安全のための国際基準、通称BSSと呼んでいるものを刊行して、この中でいわゆる免除レベルというものを提示した。我が国はこの基準を取り入れるということで放射線審議会において妥当ということで方針を出しまして、この検討会でも2005年1月に考え方をおまとめいただきました。

 この中では、現状、天然ウラン、劣化ウランは300グラム、トリウムは900グラムを超える場合は核燃核燃料物質の使用の許可が必要という状況に対し、BSSで提示されている免除レベルは、天然ウラン、劣化ウランについては1グラム、トリウムについては3グラムであり、新たに規制対象となる範囲が広がるということ。新たに規制対象となる部分についての使用の技術上の基準は、管理区域、周辺監視区域などの設定は不要だけれども、一定の安全管理は必要ということをおまとめいただいたところでございます。

 しかしながら、新たな規制の対象が、1,000以上の事業所が増えるということで、相当程度、社会的な影響も懸念されるということで、引き続き、諸外国におけるBSSの取り入れ状況でありますとか、我が国の使用の実態ということを詳細に調査するととなっておりましたので、今日は調査結果をご報告すると、そういうことでございます。

 まず、諸外国のBSSの取り入れ状況でございますけれども、なかなか一概に比較するというのは難しいわけですけれども、調査結果としては、英国は、ウラン、トリウムではあっても原子力を利用するか、放射線源として使うかということで規制する法律が違いまして、原子力利用する場合は原子力法で規制されていて、規制の免除値はなしということで、線源として使う場合については、ウラン(固体)は11.1Bq/g、トリウム(固体)については2.59Bq/g、重量についてはウラン、トリウムともに2キロという免除値をつくっている。フランスの規制免除値は、統一的な決まりというのはないということで、理論上はないということですけれども、実態上は工夫をしてやっているようであります。

 ドイツは、核物質として使う場合については規制下限値がないわけですけれども、RIとして使う場合については、放射能濃度として1Bq/g、放射能量として1,000ベクレルということなので、BSSの免除基準を取り入れております。米国は、少し古いデータであり、今は調査中ではあるものではありますけれども、濃度としてはウラン、トリウムの含有量が0.05パーセント未満のものということで、濃度に直しますと80 Bq/gを超えるぐらいが規制免除となります。量については、ウラン、トリウムの使用量が1回当たり6.8kg、1年当たり68kg以下の場合は一般許可、それ以上は特定許可となっています。韓国については、我が国の法体系と同じということで、免除レベルも同じ値を出している。そういうようなことでありまして、海外、ここで必ずしも一律に国際的な基準であるBSSを取り入れているわけではなくて、各国、そのリスクに応じて、あるいは事情に応じて柔軟にやっているということがわかったということでございます。

 国内での使用実態ということでございますけれども、ウラン300グラム、トリウム900グラム以下の事業所というのはどれぐらいあるかということですけれども、国際規制物資の許可を持たないといけませんので、そこから情報を収集いたしまして、現在、平成22年10月29日現在で1,408事業所あるということで、そこを全部規制するということになれば、1,408の事業所が増えるということなんですけれども、1,408の事業所の内訳は資料のとおりであります。

 具体的にどんなように使用をしているのかということですが、表の2でございますけれども、一番多いのが染色というところが992ということです。次に多いのが保管/管理というところで、処分する先が現状ありませんので、核燃料物質使用者に譲り渡すしかありませんので、使わずに保管/管理しているというところも相当多いということがおわかりいただけると思います。

 次のページをおめくりいただきまして、国際規制物資の許可を持った事業者の中からピックアップして、年間の使用量が多いなどの基準で27の事業所をピックアップして、使用状況及び安全上どうなのかということを調査いたしました。7ページ目に、27の事業所について、使用目的、保管量、年間の取扱量、使用する場合に特定をしているかどうか、表示、ここで燃料を使います。注意点としてはこういうことですという掲示をしていますかということなどを調査をしました。

 これを全体のトレンドとしては、9ページ目でございまして、核燃料物質の管理については、すべての事業所で施錠管理をして保管をおりました。しかしながら、その一部の事業所においては、居室付近に貯蔵箱を設置している事業所などもございまして、一般作業者が無用な被ばくを受ける状況が一部にありました。次に、取り扱い時ですけれども、白衣又は作業着を着ている事業所が8割ということで、私服のまま使用しているところが2割ぐらいありました。

 続いて、廃棄物でございますけれども、ほとんどの事業所で保管/管理をされていたわけですけれども、一部の事業所で、一次液体廃棄物をそのまま工場内の液体ピットに排出しているところもありました。あるいは廃棄物については一部線量が比較的高いものが化学フードや流し台の下のスペースということで普通の人が入る場所に保管されている事業所がありました。併せて、線量について、使用実態を踏まえて計算したところ、これは公衆の被ばく限度1mSvに比べて十分に低い値だということもわかりました。以上のことから、線量限度については十分低い値であったけれども、作業環境面としては、一部無用な被ばくの低減を図るという観点から、いくつか点について改善が望まれるのではないかということで調査結果としてはまとめております。

 一部ご説明しますと、保管については常時作業者がいる場所の近くには設置しないでありますとか、保管する場所には注意を掲示するというのが望ましいのではないかということ。あとは、非密封の場合を扱う場合は白衣、手袋などを着用するのが望ましいということ、廃棄物については保管をするということ、保管は人が立ち入らないようなところに置いておくのがよろしいのではないか。あとは、少量核燃料物質を使っている事業者の認識が薄いというところもありますので、教育を定期的に行うのが望ましいのではないかという点を改善が望まれる点の例として、調査結果としてまとめているところでございます。

 1ページ目に戻っていただきまして、調査結果をまとめますと、海外を調べましたところ、一律にBSSの免除を取り入れているわけではなくて様々であります。国内の使用実態は、現在、1,400の事業所ということです。使用実態に基づく作業者の被ばくは1mSvを十分に下回るけれども、取り扱い上改善が見られる点もあるということという結果でございました。今後の進め方といたしましては、こういう調査結果も踏まえまして、被ばくとしては非常に低かったということもありますので、直ちに法令による安全管理を求めるのではなくて、ガイドラインなどによってリスクに応じた安全管理を求めてはどうかということと、次回以降、本検討会でその求めるべき安全管理の内容についてご議論いただいてはどうかと、そのように思ってございます。

 すみません、少し駆け足でございましたけれども、以上でございます。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 これは以前から宿題になっていた項目で、それで一応、国内外、海外の規制下限値の調査と国内の少量核燃料物質の使用状況についての調査をやっていただいたと。その結果のご説明と今後の進め方についてご提案をいただいているわけでございます。何かご質問、コメントございますでしょうか。

 小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】 ありがとうございます。これは別添2というところにもう既に書いてありますように、そのハッチがした現行と改正案というところに天然ウラン、劣化ウラン1グラム、トリウム3グラムと、こういう右のものから左のものに改正したらどうかというのを規制検討会で既に議論をしているんですね。ですから、今の議論は2つぐらいのフェーズにちゃんと分けて考える必要があって、法律としてどういうスタンスをとるべきかという話と、現実の問題としてどういうふうに扱うかという2つの議論をちゃんとやるべきだと思うんですね。法律としての話は、IAEAのBSS、さっきのBSSのときに規制免除値ということでさまざまな核種について、従前、370ベクレルというような一律の数字からリスクのレベルに応じたものに導入してやっているわけですから、その一環としてウラン、トリウムが出てきているわけですから、それは理屈の上からいけば、これだけパスカードを切るというのはおかしいだろうというのが1つあるんですね。

 さらに、当時議論したときと状況が変わっているのは、クリアランスという制度があるんですね。だから、これは規制の中に入ったものを外に出すということですが、原子炉等規制法のほうではウラン、トリウムについてもクリアランスのレベルが決まっているんですね。それは随分低い数字ということですね。だから、規制免除に相当するぐらいの数字が決まっているわけですから、クリアランスでは低いことを言っておいて、入口のところでは300グラム、900グラムというのが理屈で通るのかという話があって、それは電離則という働く人の安全を確保する法律が物の安全を確保する法律とは別途あるのですが、厚生労働省のほうからは、その点が非常にきつく言われていて、私が炉規法のクリアランスを入れるときにもそれをきちんとしてくれなければ、労働省としてはとても見逃すことはできないというのは非常に強い指摘事項であるということですね。

 さらに当時とは状況が変わっていますのが、NORMと言われるものがあるんですね。自然起源の放射線物質です。これも天然のものだからコントロールしないというのがもともとのICRPの考え方だったのですが、近年はやはりある程度緩いコントロールに入るものについては、特に出っ張るものについては段階的な緩いコントロール下に入れるということで、既に規制検討会でもこちらにもありますけれども、NORMについて3ランクぐらい分けたガイドラインというのを法律の中には入らないものについてもつくって、それを説明会等々を開いてやられているところということですから、明らかに法律のもとに入るものが放置してあるという状態は健全ではないというのはもう間違いないということです。ですから、第1番目の議論は、先回議論した案に当たるものを基本的に入れるのかどうかというのを早い時期に議論されたほうがいいのだと思うんですね。それが1番目ですね。

 2番目の論点は、そうは言ったって今使っているでしょうと、こういう話があるわけですね。ですから、今使っているものを、先ほどリスクのレベルに応じてという話がありましたけれども、リスクのレベルに応じたマネージをどういうふうにやりますかというのは、2番目の論点になると思います。規制していなかったのだからと言われる向きもあるのですが、実は計量管理というのはやっておりまして、年に2回ほどは計量管理の報告書を出すようになっているんですね。ところが、これが安全のほうのルールではないものですから、なかなか上手に守れないということで踏み外してしまって、未登録問題ということで長くスキャンダルにもなって、いまだに何か出てくるという状態が続いているんですね。

 ですから、やはりそこのところは、これも決断ですけれども、緩いコントロール下に入れて計量管理のほうとの整合をきちんととるというようなことをおやりになるほうがいいのではないのかなという気がいたします。現実の問題としては、さっきも少し調査のところにあからさまに書いていないのですが、廃棄物のところが非常に厄介な問題になっておりまして、今は安全管理を300、900グラム以下はやっていないわけですから、安全の面での配慮は要らないということになりますから、廃液になると下手をすると一般のものに流れる。私が承知しているところでも、西のほうの某有名国立大学の流しのトラップのところにたまっていて、それが大問題になってしまったというようなケースから始まって、やはり非常に厄介な問題を抱えているというのが、私は実情だと思うんですね。

 それともう一つは、廃棄物のほうも少し状況が当時よりは進んで、JAEAさんのほうで研究所、その他の廃棄物についてある程度道筋をつけようという流れが既に出てきておりますので、そういうことに対しても私たちはこういうことをやるのできちんとやっていただきたいという話はできる体制にはなっているのではないのかなと思います。

 もう一つ状況がよくなっているのは、2007年のICRP勧告の取り入れという議論が現在進行で進んでおりまして、ICRPのほうでも管理区域についてのリスクのレベルに応じたマネージというのを90年の勧告のときから提案しておりまして、管理区域1本ではなくて監視区域というので、もう1ランク緩いものを用意して運用するほうが柔軟性があるという提案があるんですね。ですから、場合によったら2007年の勧告取り入れと抱き合わせで、緩いコントロールに入れてくださいという提案をするというのも方法だと思うんですね。ですから、法律事項と今までやられていることを大きく阻害しないような、現実的な工夫という2本立ての議論をぜひやっていただけたらと思うのですが。ありがとうございました。

【寺井座長】 どうもありがとうございました。

 非常に貴重なコメントではないかと思いますが、これはいかがでしょうか。

【當間原子力規制室室長補佐】 今日は調査結果の報告ということですので、今後ご議論いただくということですけれども、我々としては調査をした結果として、まさに現状で使っている人がいるということ、また、安全上も1ミリを十分下回っていますので、これらの点も踏まえたうまいやり方が必要ではないかなと考えてございます。今後ご議論いただきたいと思います。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 小佐古委員の先ほどのお話では、今とにかく管理する法律というか、言うなればまだ整っていない。だから、まずその法令の仕組みをちゃんと整えることが必要である。ただし、その中でリスクレベルに応じた現実的なマネジメントということをあわせて行うという、そういうご提案だと思いますので、このあたり今日のご提案は法令による安全管理を直ちにやるわけではなくて、まずはガイドラインというようなお話だったので、ややこの辺がどうするかなという部分が若干残っているかなと思いますけれども、いかがでしょうか、このあたり。いずれにしましても文科省のほうで少し作業を進めていただくことにはなるかと思いますが、何かご意見ございませんでしょうか。

 山中委員、どうぞ。

【山中委員】 小佐古委員がご提案された、非常に結構かと思います。ただ、現実問題として染色とか医療応用というのはかなりニーズとしてはまだ増えそうだということもありますので、そういう現実も踏まえていただいて、どう規制をかけていくのか。あるいは法的にすぐにガチガチに規制するのではなくて、何か移行策のようなもので適切に移行できるようなものをお考えいただければありがたいなと思います。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 この辺、現状がありますから、その辺も踏まえながら、どういう形でソフトランディングさせていくかという話かなと思いますけれども、ほかにご意見ございますでしょうか。

 土屋委員、どうぞ。

【土屋委員】 素朴な疑問なのですけれども、取扱量が少ないからあまり選定されていないのかもしれないのですが、1,400事業所のうち27事業所を選定して、その結果、そんなに問題はありませんという結論が出てくる論理がよくわからなくて、実は少ない量しか扱っていないところは管理がむちゃくちゃだったりするかもしれなくて、例えば1,408事業所というのは特定できるわけで、もうごく簡単に郵送で調査ができるんですね。全数調査が。それがされていないのは量が少ないからということなのでしょうか。でも、管理の問題だとか、あるいはそういう核物質を扱っているという意識を高めるのであれば、全事業所に郵送調査をやったほうがよほど効果的ではなかったかなと思うのですけれども。

【當間原子力規制室室長補佐】 先生、貴重なご指摘、ありがとうございます。実はここには書いていないのですけれども、本日ご説明した国内の使用実態調査の前段階として、郵送での調査というのはやってございます。返答があったものの中から目的別とかいくつかの観点からバランスよく抽出して現地調査をしたということでございます。

【寺井座長】 どうぞ、小佐古委員。

【小佐古委員】 実はこの表を見ますと、土屋委員にもぜひ見てほしいのですが、この一覧表の中で安全教育って、丸がついているところってほとんどないんですね。おまけに廃棄物をどこに置いていますかというのが、流しの下とか、作業台とか、そうなってしまっているんですね。表示しますかというのもパラパラなんですね。だから、これがやっぱり実情ということですから、それで、何となく管理下に入るのは嫌だと言われているのですが、実は既に管理下に入っているんですね。そのことをだれも、計量管理のほうはグラム未満のところも全部報告しなくてはいけないんですよ。

 ところが、実態は、私もこの件、随分長くやってきましたからよく知っていますけれども、量が少なくてそういうことしかやらないものだから、事務屋さんがその半年に1回の計量報告をしている。いつの間にか忘れている。私の学内で調査に行っても、もともとの教科書を出してくださいと言ったら、「え? そんなものあるんでしょうか」の世界になってしまうわけですね。だから、やはりそこのところは、もう周りのほうがそういう形できっちり決まっていますので、それと既に意識はされていないかもしれないけれども、厳格な管理下に入っているわけですから、どのレベルで安全管理をやるかというのは全くリスクのレベルに応じた管理区域とかって、ゲートをつけてというようなことは多分要らないと思うのですけれども、分けて議論されたほうがいいというような気がいたします。

【寺井座長】 ありがとうございました。

 多分、現場での認識が不十分だと。そこをいかに高めるかという工夫が1つ大事で、これはさっき土屋委員が全数に送ったほうがいいんじゃないのとおっしゃった、まさにそういう論点だと思うのですけれども。

 中島委員、どうぞ。

【中島委員】 今のご説明で全数に送って戻ってきたうちの中から選んで、種類別というか、目的別に選定したということなんですけれども、むしろ、戻ってくるということは、一応、管理している意識があるのではないかと思うんですね。逆に言うと、戻ってこないところ、返事のなかったところというのがほんとうにどうなっているのかというのは、私としてはちょっと心配ですね。

【寺井座長】 そのあたりも適切な形で監督官庁のほうでケアをしていただく必要があるかなと思いますけれども、それは今後の実態をいかに改善していくかという1つのアクションかなと思いますので、ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思います。

 ほかにご質問、コメントございますか。よろしゅうございますか。もしないようでしたら、大分時間が超過してしまいましたので、この件につきましては引き続きお役所のほうで少し検討を進めていただきまして、ある案とか提示いただくようなものが出てきた段階でまた本検討会でご審議をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で本日予定しておりました議題はすべてでございますけれども、ほかに何か委員の先生方からご発言いただくことはございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、最後に事務局から連絡事項等があればお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】 本日はご議論いただきまして、ありがとうございました。次回の開催日時等につきましては、別途日程等を調整の上ご連絡いたしますので、またよろしくお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。

 

― 了 ―

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