研究炉等安全規制検討会 技術ワーキンググループ(第10回) 議事録

1.日時

平成22年3月24日(水曜日)10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省 5階 5F7会議室

3.議題

  1. 1.現地調査の結果について
  2. 2.ウランを取り扱う施設におけるクリアランスレベル等について
  3. (1)これまでの論点整理について
  4. (2)技術ワーキンググループ報告書の骨子(案)について
  5. 3.その他

4.配布資料

資料10-1  現地調査の結果について
資料10-2  これまでの論点整理について
資料10-3  ウラン取扱施設におけるクリアランスレベル等について(仮題)(骨子)(案)

参考資料1  研究炉等安全規制検討会第9回技術ワーキンググループの速記録

5.速記録(第10回技術ワーキンググループ)

研究炉等安全規制検討会
第10回技術ワーキンググループ

平成22年3月24日

【吉田原子力規制室長】  定刻前でございますけれども、全員そろいましたので、それでは、第10回の研究炉等安全規制検討会の技術ワーキンググループを開催させていただきます。

 委員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。また、前回はワーキンググループ終了後、東海地区にあるウラン取扱施設の現地調査にご参加いただきまして、寒い中、かなりの時間タイトなスケジュールで参加していただきましてありがとうございました。

 それでは、川上主査よりよろしくお願いいたします。

【川上主査】  それでは、きょうの議事を進めてまいりまたいと思います。

 では、初めに、きょうの配付資料につきまして事務局から確認をお願いいたします。

【益田係員】  それでは、配付資料につきまして事務局より確認をさせていただきます。まずお手元にある議事次第に従いまして確認をお願いいたします。配付資料、資料10-1といたしまして「現地調査の結果について」、資料10-2といたしまして「これまでの論点整理について」、資料10-3としまして「ウラン取扱施設におけるクリアランスレベル等について(仮題)(骨子)(案)」、参考資料1といたしまして「研究炉等安全規制検討会第9回技術ワーキンググループの速記録」、また、前回と同様に机上にはピンクのファイルでとじてある常備資料をご用意いたしましております。以上でございます。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、お手元の資料よろしいでしょか。

 それでは、きょうの最初の議題でございますが、現地調査の結果についてでございます。2月4日に行われました現地調査の結果につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

【鎌倉保安管理企画官】  それでは、資料10-1でございます。現地調査の結果につきまして報告させていただきます。

 2月4日にジェー・シー・オー東海事業所において現地調査を実施しております。参加者は川上主査をはじめ委員全員のご参加をいただいたところでございます。調査内容、調査状況につきましては、次のページからの写真がございますので、そちらのほうで説明させていただきます。

 まず初めに、第2管理棟のほうでブラスト除染という状況を調査してございます。ここではクリアランス予定対象物の廃ドラム缶のブラスト除染処理を行っているということで、処理前と処理後の写真が掲載してございます。

 その次に、第2管理棟の再転換設備でございますけれども、その管理状況について調査したところでございます。この設備につきましては、設備によりましては封印を施し、稼動できないような状況になっているということでございました。

 それから、3ページ目に行きまして、第2管理棟のクリアランスデータ測定器を、実際に模擬測定のデモンストレーションをしていただいて、調査を行ったというところでございます。この測定器につきましては、電離イオン式の測定器ということで、先ほどの廃ドラム缶の除染処理済みのドラム缶につきまして、その切片につきまして1枚ごとに測定をしているということでございました。

 その次のページ、4ページ目になりますけれども、こちらでは測定済みクリアランス予定対象物の保管管理状況について調査をしたところでございます。右上の写真が先ほどの廃ドラム缶の切断片ということで、これを1枚1枚先ほどの電離イオン式の測定器で、測定を行っているということでございます。これにつきましては濃度測定済みの廃ドラム缶の切断片につきましては、切断片ごとに管理番号を付した上で、1トンごとに保管容器に収納しているということでございまして、保管容器内には測定データも収納し、ふたをして管理をしていると、ふたには封印を施してあるような状況でございました。

 以上が現地調査でございますけれども、今回の現地調査に当たりまして、ジェー・シー・オーのご協力、あるいはご丁寧な対応をいただきましたことにつきまして、この場をおかりしまして御礼申し上げたいと思います。

 以上でございますけれども、委員の先生方からコメントなどございましたらお願いしたいと思います。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 何かご質問等ございましたらよろしく。

 よろしいですか。それでは、ブラスト除染というのは非常にきれになっているのが印象的だったんですが、これはクリアランスは直接はやはり関係しますかね、これだけ除染ができれば適用も可能かと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、きょうの次の議題に入りたいと思います。次の議題は「ウランを取り扱う施設におけるクリアランスレベル等について」でございます。これまでの本ワーキンググループでの議論などを踏まえた上で、ウランクリアランスレベル等につきまして議論したいということでございまして、事務局のほうでこれまでの論点を整理していただきましたので、事務局から資料の説明をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  資料10-2でございます。これまで2回ワーキング開催させていただきまして、また、原子力安全・保安院のほうでも同様のウランクリアランスのワーキングが開催されております。それらの中で出ました論点を、資料10-2にまとめさせていただきました。我々のこのワーキングの中でも、例えば小佐古委員から、原子力安全委員会の報告書の中で、天然起源、自然起源というふうにされている3つの核種を、単純にIAEAのRS-G-1.7と比較するのはいかがなものか、であるとか、文科省としてこのウランクリアランスの適用範囲をどうするのか、とか、服部委員からは評価単位と測定単位の違い、そういったことなどについてご指摘をいただいたところでございます。それらを一応6つの論点ということでまとめさせていただきました。まず全体の論点を簡単にご紹介させていただきまして、1つずつご議論いただければと考えております。

 まずめくっていただきまして、論点1「適用範囲」でございます。「次の要件を満たす対象物をクリアランスの適用範囲とすることで良いか」ということで、枠の中に書かさせていただいておりますけれども、文部科学省としてどういった対象物を、ウランクリアランスの確認の対象とするのかということでございますが、我々は3つの条件をクリアするものを、対象物として受け付けてよいのではないかと考えております。後ほどまた詳細をご説明させていただきたいと思います。

 次、論点2でございます。「評価対象核種」これは原子力安全委員会のウランクリアランス報告書の中で、ウラン232、234、235、236、238の5つの核種について、評価対象核種とするということがうたわれております。これは廃棄物の中のほとんどは金属であるということと、主なウラン取扱施設の中で実際に使われているウラン、これは精製されたり、回収ウランによるウランですけれども、その中の相対重要度が3桁以内に入る核種はこの5つであるということで、この5つが並べられております。この5つでよいかということです。

 次、めくっていただきまして論点3「放射性核種濃度を評価するための評価単位」ということで、これはたしか前回小佐古委員から、評価単位というのは例えば原子力安全委員会のクリアランスの再評価報告書の中では10トン程度とか、あるいは、平成13年度の安全委員会の検認報告書の中では数トン程度が適当であるといったことについて、一様にそういったことを例えばこの技術ワーキング、あるいは技術ワーキングがまとめる報告書の中で、何トンが適当というのを指摘するのはどうかというようなご懸念、ご指摘がございました。

 続きまして、論点4、これは服部委員からご指摘があった「評価単位と測定単位」、これは必ずしも同一とは限らないのではないかということでございまして、それについて我々事務局としてはこのような考えでいかがでしょうかということを書かさせていただいております。

 次をめくっていただきまして、論点5「クリアランスレベル」でございます。これは5つの核種を仮に評価対象核種とした場合ですけれども、その場合にはそれぞれここに青字で書いてあるような値、これはRS-G-1.7等で出ている値と比較することは単純にできないわけなんですけれども、最終的にはこういう国際規制値である値というのを採用することで、いかがですかということを我々は考えております。

 それから、最後、論点6でございますけれども、仮に234、235、238、これを天然起源、自然起源ではなくて、いわゆる精製なり回収されたウランであるということで、人工起源と同じように扱うとすれば、クリアランスレベル以下であることの判断基準というのは、5核種すべてについてD/Cの総和をとって1以下であると、こういう考え方でいかがでしょうかということでございます。

 これ以外にもいろいろあるかもしれませんが、それらについてはこの議論を終わった後に、資料10-3で骨子についてご紹介させていただきまして、そちらのほうでもご指摘いただければと考えております。

 それでは、まず論点1でございます。2ページでございます。まず文科省としてこのウランクリアランスの対象物の適用範囲、どこまでを適用範囲とするかということでございますけれども、青字で書いてある1、2、3と、この3つの条件をすべて満たすものというふうに我々一応考えております。まず1番として、ウランを取り扱う核燃料物質の使用施設等から発生する金属資材であること。これは安全委員会の報告書の中でもとりえず廃棄物のほとんどが金属資材、金属であるということで、金属ということがまず1つの条件になるのではないかと。

 それから、当然、これはウランのクリアランスということですので、核燃料物質の使用の許可、これは炉規法の52条に基づく使用の許可ですけれども、核燃料物質の使用の許可、それから、その当該資材の使用の履歴等から、精製されたウラン以外の核燃料物質を取り扱っていないことが明らかであること。これはいろんな記録とか、あるいは事業者による分析とか、そういったものによって明らかにできるだろうと。さらに当該金属資材の評価対象核種が原子力安全委員会のウランクリアランス報告書に示された5つの核種に限られていること。

 ちなみに下に※で書いておりますけれども、先ほど申し上げたように、原子力安全委員会の中でこのウランを5核種に絞り込んだというのは、相対重要度が3桁以内になる放射性核種はこの5つだけだったということで5つにしておりますので、このような考え方に立つと、相対重要度の3桁以内に仮に5つのウラン核種以外のものが入ってくるような場合には、それは今回は残念ながらクリアランスの対象外とせざるを得ないというふうに考えております。以上、このように考えております。

【川上主査】  ありがとうございました。

 それでは、論点1の内容についてご説明いただきましたので、これにつきましてご意見・ご質問をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【服部委員】  服部です。今の一番最後の説明がちょっとひっかかったところがあったんですが、相対重要度が3桁以内に入ってきてしまった、このウランの5核種以外の評価対象核種については、評価対象核種にしないということですね。

【川上主査】  うん。

【服部委員】  そのときに、3桁という判断基準になるんですかね。そもそも評価対象核種に入れるか、入れないかというのは2桁という考え方があって、そこで区切りをすべき……。たまたまこの5核種については、3桁以内に入っていますよということで選定したわけなんですが、ほかの核種を議論する場合については、2桁をベースに議論しなくてはいけないんじゃないんでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  これまでの原子炉施設とか、ホットラボ施設、そのときの重要放射性核種を評価するときには、たしかにおっしゃるとおりに2桁ということでスタートしたというふうに承知しております。ただ、最終的に文科省のほうで当時のこちらの技術委員会での議論等を踏まえて、文科省の省令の中にどういったものを評価対象核種とするかというところでは、3桁ということで一応切りまして、評価する上で重要な核種を取捨選択をして入れたというふうに承知しておりますので、そういった考え方すると3桁ということで考る方が、整合性があるのではないかと考えております。

【川上主査】  よろしいですか。

【服部委員】  今この適用範囲のところの議論ですので、この結論を覆すような議論にはなりませんので、それは問題ないのかなと思いますが、はい。ただ、評価対象、ほかの核種が何かぽこっと出てきたときに、そいつを評価対象核種に入れるべきか、入れるべきではないかという議論のときには、やはり2桁論かなという気がしております。

【川上主査】  今のご議論はかなり、何といいますか、全体の流れの中では大きなものだと思うんですけれども、日本のやり方というのは完全なジェネリックなクリアランスレベルを考えているわけではないわけですね。この下の注記に書いてあるように、現存する廃棄物というか、クリアランス対象物の中の核種組成を調べた上で、クリアランス対象核種を決めているという、ある意味で非常に限定的な適用を考えているわけですね。それですから、RS-G-1.7の極めてジェネリックな論旨とはちょっと違っている。核種の表の意味じゃなくて、クリアランスを適用するという意味でのアプローチの仕方で多少違うところがある。ただ、これは非常に実用的ではあるというところもあるんで、その辺がどう対応するかの、どうそれをうまく運用していくかという問題だろうと思っております。

 ほかにいかがですか。どうぞ、川﨑委員。

【川﨑委員】  川﨑でございます。今のでちょっと関係するんですけれども、それぞれの対象ごと、例えば施設やる場合に、施設ごとに相対重要度を評価して、3桁以内に5核種以外のものが入ってきた……。要するに3桁以内をまず評価いたしまして、5核種以外のものが入っていたならば、それはもうクリアランス対象にならないという理解でよろしいでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  現時点ではそのように考えております。なお、将来いろんなウランの取扱施設等を評価して、我々とか、あるいは、原子力安全委員会が、その3桁以内の中の組成が変わるということになれば、また改めて評価対象核種を入れたり、除いたりということはあろうかと思いますが、現時点ではこの5核種以外のものが入ってくれば、それはアウトと考えざるを得ないのではないかと思っています。

【川上主査】  ほかにいかがですか。

【服部委員】  だとすると、ちょっと、私、誤解をしておりまして、その3桁のところにちょろんと入ってきた核種があったら、それはもうクリアランスの対象としないということで、ほかとの整合がとれるのかなという気がちょっとしておりまして、これ10μSvの議論で原子力委員会の報告書についてはこの値が出てきているはずで、1桁以内ということでは、それが1μまで入っていて、2桁以内という話になると0.1μ、3桁以内ということだと0.01μSv/yぐらいのところまで拾って、それがちょっとでも入ったら、もうクリアランスの対象としませんということを言ってしまっているわけでありまして、その考え方が果たして適切かどうかというのは、よく僕は議論したほうがいいと思いますが。

【川上主査】  今の議論、多分、鶏と卵的なところがあって、クリアランス対象とすべき対象物について全部洗った上でこの結論出していると。この結論が、じゃ、逆に適用したときに取りこぼしはないかというのは、その洗ったときのやり方によるわけですね。そういう意味では、洗った方々がいらっしゃるとすれば、その辺からコメントいただければということなんですが、そのあたりいかがでしょうか。

【JAEA】  機構の武部ですけれども、今の核種の組成ですけれども、実際のデータと製品のデータ、測定したデータから考えて、それぞれのTRU核種というのは製品のほうにはほとんど入ってきてないという状況もあって、オーダー的に5核種の下にちょっと空間があって、1桁以上の差があって、その下にTRU核種が入ってきているという状況がある。ただ、その組成が、今、廃棄物というものをやったときに、完全にそれが3桁に入ってこないかという、ちょっと誤差的なところはあるかもしれませんけれども、1桁以上の差があるということで、可能な範囲ではあるかということで考えています。

【新金属協会】  新金属協会の麓です。加工施設の場合、受け入れの仕様がありまして、それから判断して3桁以内には入ってこないというふうに考えております。

【川上主査】  どうぞ。

【小佐古委員】  済みません、小佐古です。だから、実用上困らないというんじゃなくてね、服部さんが指摘されているように、考え方としてどういうふうにしますかということを、きちんとされるほうがいいんじゃないのかなと思うんですね。ここで議論するのに、安全委員会の報告書なんかを引かれてやっているわけですね。あっちのほうでも作業しているわけですね。それでほかのクリアランスのところでも重要核種を選ぶときに、ある考え方を動かしているわけですね。それから逸脱するようなやり方をここでとるというのは、やらないほうがいいんじゃないかと思いますね。

 ですから、1%ぐらいをとっているんでしたっけ、2桁下のところをとっているということであれば、検討のほうは細かいことはやられたほうがいいんですが、言われ方としてはそういう言われ方のほうがいいんじゃないのかなと思うんですね。そうでないと、安全委員会が判断すると、こっち側が違うルールをつくると、放射線審議会で決めたけれども、安全委員会で違うことをやるというようなおもしろいことも起こっているから、まあ、何でもいいんでしょうけれども、原子力規制室としては、粛々堂々とおやりになるほうが私はいいように思います。ですから、服部さん言われているような点ははっきりさせておいたほうがいいんじゃないのかと思うんですね。

 ついでに出ましたんで、適用範囲ということでお話をさせていただくんですが、ここでは扱うものを金属資材であるということで、ウランについては従前やられてなかったことを規制室の英断で、やられるようにしていただけるということは、大変ありがたいことだと思うんですね。ただ、全体の流れを見ますと、古い時代に廃棄物のマトリックスがあるんですが、研究がある、RIがある、TRUがあって、全部終わるまでに50年以上かかってしまうと。それを避けるために廃棄物の区分のほうを1種、2種にするとか、従前の経験に基づいて統合できるものは、統合的に考えようというような考え方が広く起こってきているわけですし、低レベルの埋設なんかもコンクリートの厚さを決めると、開口部の面積まで決めてしまうということではなくて、性能規定化をしておいて、それで自主検査とか、そういう流れにありますんで、初めてのケースですので考え方がいろいろあると思うんですが、放射線規制室のほうでもクリアランスを議論しているんですね。

 それで加速器とか、アンノウンな部分が幾つかやっぱりあるんですね。ですから、ちょっとこれと似たような議論をやっておりまして、あちらのほうでは当面のルールはそういうふうに動かすんだけれども、評価とか、後で追加の議論が起こったときに、新たにゼロからスタートするんではなくて、検認のところの追加の議論をするとか、構造を持ってやっていただけるように動いているんですね。ですから、川上さんがご指摘になったように、RS-G-1.7で決めているのは、あれはジェネリックな数字なんですね。ですから、金属のウランのクリアランスと、金属以外の例えばプラスチックのクリアランスというのを、別々に決めているわけではないんですね。ただ、実際の検討とか、動かれるところ、あるいは初めてやるという点で、そういうふうに決められるというのは、私は方法論としてはとらざるを得ないところがあるのかなという気もするんですが、ただ、この次に想像されるのは金属でクリアランスすると、イオン交換樹脂でとるというふうなことになると、その後ろ側にすぐさまざまなものが待っているわけですね。ですから、そのときに改めてゼロから議論するんではなくて、これと同様の方法で確認とか検認をやれば、スムーズに動けるというような形に工夫をしていただけるとありがたいと思うんですが。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 今ご指摘のようないわゆる将来の拡張性ですね、それはやはりどこかに、報告書記載事項かもしれませんが、留意すべき項目だろうと思います。それから、実は安全委員会の報告書も同じように、廃棄物のスペクトルを調べた上でやったという記述がちらっと入っているんですが、どうも日本的方法というのが、この先どうなっていくのかわかりませんが、とりあえずやりやすい方法プラス拡張性というところが、必要なんだろうと理解しております。

 ほかにいかがですか。服部委員、どうぞ。

【服部委員】  先ほど2桁の議論を話したんですが、ちょっと気をつけないといけないのは、2桁という概念がどこで使われたかといいますと、レベルを決めるときに核種をどう選びましょうかというときに、2桁の概念で拾ったわけですね。今回の話は評価対象核種、つまりクリアランスの枠組みの中に、どの核種を入れるべきかというお話になったときには、10%ルールと言っちゃいけないんですが、90%ルールですね、トータルのD/Cの総和の相対重要度が90%を超えるように、核種を選びなさいというルールがありますので、ある種ざっくり言えば、1桁ルールということになるわけですね。ですから、先ほど2桁というのは、あれは核種選定、レベルを決めるときの選定の概念であって、今回のお話はどちらかというと、90%ルールのほうがふさわしい横並びの概念になりますので、そのあたりを一度整理していただければと思いますが。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 多分、実際は検認手法については、国による認可が行われるわけですので、詳細の部分はそういういわゆる行政的な手順、規制の中で見ていかれるんだろうと思いますが、ここは基本的なところでございますので、今のご意見をベースに取りまとめていくということになるかと思います。この先の骨子をまとめるときに、もう一度議論できるかと思います。

 ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。よろしければ、では、次の論点2に行きます。

【江頭安全審査調整官】  ありがとうございました。

 続いて、3ページ目の論点2「評価対象核種」でございます。若干先ほどの議論にも関係してくるかもしれませんが、ここに並べてある5つのウランの放射性核種を評価対象核種、これ評価対象核種でよいかという意味は、最終的には文部科学省の濃度規則という、省令の中に追加で掲載する核種として、この5つでよいかということになります。いかがでしょうか。

【川上主査】  ありがとうございます。

 この核種、5核種ございますが、これでよろしいでしょうかというあれですけれども。

 よろしいですか。では、これはこの5核種でいくということになります。

 では、論点3をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  4ページ目でございます。論点3「放射性核種濃度を評価するための評価単位」ということで、先ほど簡単に申し上げましたとおり、原子力安全委員会のウランクリアランスの再評価報告書と言われている中には10トン、あるいは検認報告書と呼ばれている報告書の中には数トン単位、数トン程度が適当であると。ただし、濃度の均一性等が著しい偏りがない場合にはさらに拡大してもよいと、そういった表現で書かれておりました。

 ただ、小佐古先生が以前ご指摘されたように、数トンとかいうのは、一様にこの中で何々がよいということを言っても、仕方がないというところは実際はございます。審査の中で評価単位なり、また後ほど出てくる測定単位というのは決まってきますので、報告書の中で、何トン程度が適当だということは特に明示的に書かないで、例えばクリアランスレベルに関する国際的な考え方などを踏まえて、評価単位が数トン以内というのを出発点として、あとは対象物の放射濃度均一性の状況などを考慮し個別に決定する。これは審査の観点からすると当たり前のことなんですけれども、こういった考え方を、報告書の中に書くことでいかがでしょうかということでございます。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 この評価単位という問題、かなり全体に対して影響のあるところではあるんですが、これにつきましていかがでしょうか。ご意見ございましたらよろしくお願いいたします。

【小佐古委員】  済みません、小佐古です。こういうふうに書いていただいてありがとうございます。発言の趣旨は既に非常に正確に表現されているんですけれども、クリアランスは何のためにやるかということですね。レベルが低いからということではなくて、廃棄物が出てくるわけですね。それをボトムラインのところまで一生懸命やり出したら、大きなリスク、中ぐらいのリスク、小さいリスク、極小のリスクってある、極小のリスクまで上のリスクと同じ扱いをするということになるんですね。ですから、経済性、社会的な要素そのほかを入れて、極小のリスクについてはそういう適切な対応をするという意味で登場するわけですから、かなり均一的なパフォーマンスをしているときに、画一的にすべてこれでやれというのは、極めて経済性とかクリアランスの意味を損ねてしまう側面があるんですよ。

 ただ、審査するときによりどころがないと困ると言われると、そういうところもあるんですが、それはやはり出てくるものの実態を、事業者がきちんとご説明になり、かつ審査される方がその適切性をごらんになって、国際的に言われている数トンというところを最終的なゴールにして、それを確認するための下側のルールというのを、ケース・バイ・ケースで議論されるような形をとられるほうが、安定的に運用できるんじゃないのかと思うんですね。一部にツー・マッチ・シビアなことをやり過ぎて、クリアランスをやるよりは低レベル廃棄物にしたほうがコスト的には成り立つという、何かわけのわからないようなケースも出てくるやに聞いておりますので、済みません、この点はどうかよろしくお願いいたします。こういう表現でよろしいんではないのかなと思いました。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 ほかにご意見ございますでしょうか。どうもありがとうございました。

 では、次に移りたいと思います。次は「評価単位と測定単位」で論点4でございます。よろしくお願いします。

【江頭安全審査調整官】  論点4でございます。「評価単位と測定単位は必ずしも同一とは限らないのではないか」ということで、例えばですけれども、下のほうに黒字で参考と書いております。そのポツが2つあって下のほうのポツ、これ、我々炉規法に基づいて文部科学省がクリアランスの確認をしている、今のところ唯一の事例でございますけれども、原子力機構の試験研究炉施設から発生したコンクリート資材、現在、クリアランス確認中でございますけれども、その事例では評価単位を1トン、実はこれ一番最初の申請当初は10トンだったんですが、評価単位を1トンとしておりますけれども、著しい偏りがないということについて、いろいろ審査の中で専門の先生方からご意見を伺った中で、とにかく著しい偏り、ホットスポットがないことをどのように確認するかという議論がございまして、最終的には評価単位1トンの中に測定単位ということで、それをさらに100キロごとに分けまして、その100キロごとに測定しているということで、評価単位全体の中で偏りがないということで、今、確認しているところでございます。ということで、実際、以前、委員からご指摘をいただいたように、評価単位と測定単位は現実的に違っている場合がありますし、今後もおそらくそういったケースが多々あるんではないかと考えております。

 そこでウランクリアランス、基本的にはαの核種ということでもあり、原則としては全表面なり全数を測定する。これは当たり前のことでございますけれども、さらにこれは以前から安全委員会等の報告書でも書かれてありますが、均一であること。「局在汚染が存在しない根拠が明確な場合には、代表できる測定点で測定する方法による測定することができる」、この辺は審査の中で確認する事項でございます。

 それと、最後に「対象物中の放射性核種濃度が評価単位内で均一であることの信頼性を確保する観点から、評価の単位中に適切な測定単位を設けて濃度評価を行う方法も有効」、これは原子力機構の中でやっている事例の経験を踏まえてということなんですけれども、こういった方法も有効であるということを考えておりますので、評価単位の中に必要に応じて測定単位を適切に設けて、測定して、評価単位全体として評価を行うということを、報告書の中では述べてはどうかと考えております。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 評価単位と測定単位の問題ですが、ご意見・ご質問ございましたらよろしくどうぞ。

【服部委員】  2つ目のマルところなんですが、これはこれであると思うんですけれども、もう一つ重要な概念が必要なのかなと思っておりまして、それは輸送規則の中に非常に大きな大型の廃棄物、大型のものを運ぶという概念がありまして、そのときの輸送規則のリクワイアメントの中には、平均値に対して10倍以内のばらつきに入っていなきゃいけない、そういうリクワイアメントがあるんですね。あるとき日本側からのコメントで、レベルが低ければばらついていても構わないんじゃないかと、つまりレベルが低ければばらついていても、そのトップの位置が該当するレベルを超えていなければ、問題なんじゃないかということで、リバイスが行われた例があります。それを考えますと、この2つ目のマルのところは、全体的に均一ということが前面に出ているんですけれども、必ずしも均一である必要もなくて、レベルが例えば全体的に2桁ぐらい低かったら、あるいは1桁でも低かったら、1桁ぐらいのばらつきはいいのかもしれないんですね。したがって、レベルが低いときにはばらついてもよしとするような、そういう重要な概念をどこかで取り込まなきゃいけないのかなと思っております。

【川上主査】  ありがとうございました。

 この点いかがでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  済みません、それは非常に重要な点でございまして、17年の技術ワーキングの報告書の中でも、部分的にクリアランスレベルの濃度を超えるものが評価単位の中に出てきた場合、どうするかということでございまして、これは服部委員ご指摘のとおり、検認報告書の中でも、全体の中でクリアランスレベルの10倍以内程度のものがスポット的に出たとしても、それは評価単位の全体の中で評価して、平均値としてクリアランスレベルを下回るんであれば、それでいいだろうという考え方が示されております。今回も、この論点の中には特に入れてなかったんですけれども、報告書の中には当然そういった考え方を示したいなと考えて、後で骨子の中にもちょこっと書いておりますので、そこでまたご説明させていただきたいと思います。

【川上主査】  ありがとうございました。

 ここ非常にクリアランスを運用する場合、重要な部分でございまして、一方でホットスポットがあったらどうするんだというのが必ず出てくる議論です。それをうまく押さえ込むといいますか、そのホットスポットがないということを論証する、あるいは実際の測定で検証するというのも1つの仕事になるわけでございますので、参考のほうに書いてある原子力機構の場合も、いろいろ議論があった結果、100キログラムごとに測定をするという話になったように記憶しておりますので、そこは実際にクリアランスというものを適用する場合にいろいろな検討があって、そういったものを防いでいくと。ただ、不必要なことはしなくてもいいだろうという、いわゆるオプティマイズするというのが大事だろうと思っております。

 ほかにご意見ございますでしょうか。

【小佐古委員】  小佐古です。大体もう、今、議論が出ているんですけれども、重要なキーワードに全体の放射能のレベルと、今、非常に高いレベルなのか、中ぐらいのレベルなのか、低いレベルなのか、極低のレベルなのかという議論ですね。それともう一つは、ばらつくかと、スポットがあるかという議論ですね。これは一番最初にやるべきは、全体のレベルがどこのレベルを考えていますかというのがすごく重要ですよね。全体のレベルがホットスポットでも高いところにあれば、それは問題であるということなんですが、全体のレベルが低いところにあれば、その話は少し違ったものになるということですね。ホットスポットの議論は非常に難しい議論でありまして、例えばスポットのサイズをどんどんどんどん小さくしていって、1マイクロメートルぐらいにしてしまえば、クリアランスやったってみんなホットスポットなんですよ。ですから、そこのところは非常に慎重にやっていただく必要があって、全体のレベルがどこのレベルを扱っていますかと。その後でばらつきとか、先ほどご指摘のような点を工夫して書いていただけるとありがたいなと思うんですね。

 それと、今、江頭さんのほうからご指摘のあったαだからというのも若干注意が必要でしてね、もちろんα線というのはハザードインデックスが高いということなわけですが、αにもいろいろありまして、何といいますかね、いわゆる極めてハザードインデックスの高いプルトニウムみたいなものもありますし、ウランぐらいになると自然界にも存在していて、食物とかさまざまなところで我々は取り込んでいるわけですね。あるいはラドンなればということになりますと、日常的に吸っているということになりますので、αということを非常に強調されて全数検査でというような言われ方をするのは、ウランについては若干放射線防護の観点からすると、そこをあまり強調され過ぎるというのは、ちょっとあまりよろしくないんではないのかなという気がしましたんで、発言しました。ありがとうございました。

【川上主査】  ありがとうございました。

 ほかにご意見ございませんか。よろしいですか。

 それでは、次の論点に移りたいと思います。もう一つ、はい、どうぞ。

【小佐古委員】  忘れました。「測定単位と評価単位」というのがここのタイトルなんですけれども、既に原子炉の解体等に絡んで金属クリアランスというのをやっているんですね。その経験で見ますと、そちらのほうはいろいろ議論させていただいたんですけれども、一律に100キログラムというよりは、むしろ検出器とか、入れる形状とか、入れるものによってやっぱり随分違うんですね。金属は例えば鉄ですと比重が7.9ありますので、100キロと言われても随分小さなサイズになってしまうんですね。ですから、測定の単位のほうはちょっと私はJAEAとか新金協さんが、これに対していろんなデータを積極的に言われてないのは、ちょっと奇異な感じがするんですけれども、実際の測定器とか、動くものに応じてやっぱり測定単位は合理的にやっていただくのがよろしいんではないのか。

 例えば平板的なものであれば、かなり大きな量のものを入れても均一性は確保できるし、簡単に測定できるということなんですね。複雑形状ということになりますと、これは小さくする必要、100キロよりも下手をしたらちょっと小さいほうがいいかなというときもあるんで、それを組み合わせてこれのロットについては評価は幾らと、こういうふうにされるわけですから、これは同一にされるというよりは、ある程度実態を上手に測定単位のほうに反映していただいてという形をとられるほうが、安定的に運用できるんではないかなと。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 よろしいでしょうか。よろしければ、次の論点5「クリアランスレベル」に移りたいと思います。よろしくお願いします。

【江頭安全審査調整官】  次の論点5は論点6とも絡んでおりまして、まとめてご議論いただくのがよいのかなと考えております。論点5のほうですけれども、まずこれは5つの核種を評価対象核種とした場合に、このレベルでよいかということで、こちらについては234、235、238については、RS-G-1.7では特にこの核種を指定しているわけではなくて、天然のものということでカリウムとは別に、世界中の土壌調査の測定結果の上限値等を考慮して、1Bqとされていることに対して、原子力安全委員会のウランクリアランス報告書の中では、安全委員会の中での独自の評価のシナリオで算出した値、それを比較してウランクリアランス報告書の中では、RS-G-1.7の値が適切だとか、問題ないというような表現で書かれておるんですけれども、これを単純に比較してどうこうというのは、ちょっとどうなのかというご指摘がいろんなところで出ております。

 しかしながら、最終的には今までのRS-G-1.7とか、その他の国際規制値というのを、これまでも国のほうで濃度値として取り入れてきたというような経緯も踏まえると、ここに書いてあるような値をクリアランスレベルということで、これは文科省の省令の中に書き記す数値ということになりますけれども、こういった値を採用するということでいかがかということが論点5。仮にそういった考え方に立つと、234、235、238につては、236と232と同様に人工起源と同じような扱いをするということが適切なのではないかと。そういった場合には最終的にクリアランスレベル以下であることの判断基準というのは、5核種すべてについてΣD/Cで1以下ということにしてはどうかということでございます。

 ちなみに論点6の下のほうの(参考)というところで、RS-G-1.7の判断を、これは原子力安全委員会のウランクリアランス報告書の中でも、この方法をとることが適切であると書かれておるんですけれども、その方法については既にご存じのことと思いますが、人工起源のものについてはΣD/Cの1以下と、それから、自然起源、原子力安全委員会の報告書の中では234、235、238をそのように述べているんですが、それについては個々についてD/Cが1以下と。これらが混在している場合には両方が満たされる場合と、こういったことを満たす必要があるというふうにRS-G-1.7の判断方法で述べております。この考え方からはずれるといったらちょっとおかしいんですけれども、こうではなくてすべてについてΣD/Cが1以下であるというのを、クリアランスレベル以下の判断基準とするので、いかがですかということが論点6でございます。以上です。

【川上主査】  ありがとうございました。

 今度は具体的なクリアランスレベルの話でございます。この数値でよろしいかということでございます。はい、どうぞ。

【小佐古委員】  小佐古です。このステージでも若干行きつ戻りつの形になっているんですが、実は保安院のほうでもウランクリアランスの作業会があって議論しているんですね。そちらのほうで、後でJAEAの木村さんのご発言をいただきたいと思うんですが、木村さんのほうからきちんとした評価をやっていただいて、RS-G-1.7の欠けているウラン235と238について、RS-G-1.7と同じモデルを使って評価をしていただいて、その数値が1Bq/gであるというのをきちんと出していただいているんですね。ですから、それを何らかの形で引用されて、ちゃんとおやりになるほうがいいと思います。ここで235と238が、安全委員会でもそうやるように主張したんですが、どうも何か全然やっていただけないという、わけのわからない状態になりまして、保安院の作業会ではきちんと作業をしましたんで、それをとられるほうがいいと思います。

 これをごちゃまぜの議論にしますと、ある非常に悪いことが起こるんですよ。何が起こるかというと、NORMのところに影響するんですね。だから、235と238が天然起源のものでクリアランスというような棒を振り回しますと、NORMのところに非常に悪い影響を及ぼして、天然物と闘うと、お山と闘うと、おそらく神と闘うことになるんで、それはおやめになったほうがいいと思います。235も238も鉱山にあると、このときにはNORMなんですけれども、精錬を経て法律の体系の中に入って、何キログラムありますねというようなことが、口に出しいて言えるような状態になりますと、これは明らかに人工物であるということになりますので、人工ウランとしての扱いを一貫してきれいにお書きになったほうがいいと思います。ですから、D/Cのところもそれはこれをとるというので、前後の余計なことを一切書かないようにしないと、NORMのところで厄介な話を持ち込む人が必ず出てきますんで、それははっきりお分けになるほうがよろしいと思います。それが1番目の点ですね。

 2番目の点は、それでは、5核種すべてのD/Cを常にずっと動かし続けるのかというのがあるんですね。原子炉の解体のときのD/Cとここが違うのは、ここは同位体なんですね。だから、同位体は濃縮を経ない限りは、同位体の比率というのは変わらないんですね。原子炉で使えばまた変わりますけれども、途中で余計な特殊な作業をしない限りは、同位体比というのは絶対に変えようがありません。ですから、D/Cはもちろん毎回これでやることになるんですが、流れが決まっていると。濃縮されたものの濃度はこれであるということになりますと、その割合は毎回、毎回、それを全部確かめなくても、一度確認しておけばその比率はおそらく変わらないということになりますから、それから後ははかりやすい核種でドミナントなものを押さえておけばですね、あとはよって知れと。一度とか確認はいるんですが、一度そういうことをやれば、作業手順が変わらない限りは同位体の比率は変わりませんので、毎回、毎回これを全部はかって毎回、毎回、同じD/Cを出せというのは、これはちょっと同位体ですので、それは要らないと思うんですね。ただ、考え方としてはここに2番にお書きなっているD/Cで重ねてやるという考え方が、当然なんじゃないのかなと思います。

 2点、一番最初の点は多分木村さんがご存じなので、聞かせていただければと思います。

【川上主査】  それでは、木村委員、何かコメントありますか。

【木村委員】  原子力機構の木村です。計算結果とか細かい資料はここに持ってきておりませんので、内容は小佐古先生がおっしゃったことに尽きるんですけれども、1.7で計算されていません234と235と238に関しまして、1.5の元文書でありますSRSの44のレポートに記載されています評価モデルを使いまして、パラメータも記載されているものはそこのパラメータを使うと。わからない部分に関しましては、ちょっと我が国であるいは原子力機構で使っていますパラメータを使用して計算しました結果、3から3以下で0.3以上の結果が3核種に対して得られましたんで、丸めますと1ということになるということで、それはRS-G-1.7とまさに整合する結果が得られたということでございます。ちょっときょう資料とかあればもうちょっとあれなんですけれども、概要はそういったことです。

【川上主査】  ありがとうございました。

 論点5については、下の※で国内で何種類もクリアランスレベルがあっては困るということで、これはぜひ文科省、原子力安全・保安院それぞれで合わせていただきたいということで、小佐古先生にもよろしくお願いしとかないといけないですよねという問題がございます。

 ほかに、服部委員、どうぞ。

【服部委員】  服部です。まさに小佐古先生のご指摘されたとおりだと思っておるんですが、それを理解するときに1つ目の※の記述が、ちょっと不正確な部分があるなと感じておりまして、まず明確に違っているのは2行目にある「規制免除の概念を使用して」とあるんですが、これは「規制除外」ですね。

【江頭安全審査調整官】  記載ミスです。

【服部委員】  それから、こうやって読めばそういうふうにも読めるんですが、ここは正しくないとは言えないんですけれども、このU-234、5、8について「天然に存在する放射性核種として取り扱われ」というのは、確かに間違いではないと思うんですが、この意味合いの中にはウランというのは系列で存在しているんですね。天然に存在しているときには、この親核種だけが単品で存在しているんではなくて、放射平衡になって系列で子孫核種が次々に同じ放射能濃度で存在しているということなんですね。それを前提にしていて、それが天然に存在する放射性核種という意味合いの中に入っているわけです。ですから、先ほど小佐古先生のご意見を聞いてこれを読んだ人は、さっぱりわからないなという考え方に陥るかもしれませんので、その放射平衡になっている天然に存在しているもののウラン系列、あるいはトリウム系列とかいうものと、きょうここで議論しています単品で親核種で存在しているウランのお話ですね、これがセパレートされてわかるような形で書いていただければと思います。

【川上主査】  ありがとうございました。

 このRS-G-1.7の世界規模土壌云々という記述は、私の記憶では議論のプロセスで、各国で鉱山関係の基準がもう決まっているところが多かったんですね。例えばドイツだとかいった国は、日本は鉱山保安法のほうはあまり線量基準は入っていませんけれども、それが既に決まっていると。それとの整合をどうするんだということでかなり議論があって、この天然ものとそうでないものを分けたという経緯はあったように記憶しております。この辺がある意味のコンプロマイズというか、妥協点であったというのは間違いないことだろうと思います。

 はい、どうぞ。

【小佐古委員】  ちょっとこの一文、この最初の※のところはとったほうがいいんじゃないんですか。ここで議論しているのは人工物のウランだけを議論していますんでね、あえて天然を持ち込むとわけわからなくなってしまうということですね。だから、鉱山の残土というのは天然のものにすごく近いんですよというのが、鉱山の残土の中にウランが幾ら入っていますかってだれもわからない。おおよそはわかりますけれどもね、それと手を加えてないですから、先ほど服部さんが言われたように、ものすごい長期の放射平衡の状態になっているんですね。これは精錬工程を経るとその放射平衡になっている後ろ側が全部切れちゃうんですね。そのままだとウランの線量寄与というのは非常に楽になって上がるんですが、実はもう一ランクトリックがあって、クリアランスの場合には処分場に行くというシナリオ出てくるんですね。

 処分場に行きますと、処分場に行って100年とか数百年のことをやっぱりもう一回視野に入れるんですね。だから、100年とか数百年でまた放射平衡を一部分つくり始めるんですよ。だから、私は最初金属に精錬して切れるから一ランク上がるのかなと、10Bq/gでいいのかなと思っていたんですが、処分場に行くシナリオがもう一つ後ろ側にあって、そこが日本の場合には、だから、下北だと300年みたいのが出てきますけれども、数百年とか100年みたいのがあって、RS-G-1.7は100年ぐらいのところを視野に入れて、もう一回、放射平衡を取り込んでいるんですよ。だから、一ランクもう一回下がっちゃったんですね。この種の議論を複雑な形で出しても、ちょっと既に安全委員会が大混乱しておって、正確に議論すればわかるんですが、してないままの報告書になっているんで、これをあえて出されないほうが、混乱しないで済むんじゃないのかなという気がいたします。

【川上主査】  ありがとうございました。

 そういたしますと、論点1の「適用範囲」の中に、多分、1をもう少し強調して書くか、あるいは、要するにこれに尽きるわけですね。

【小佐古委員】  そうですね。

【川上主査】  ですから、この※の最初のほうを解説的に扱うかというところだろうと思いますね。そのあたり最終的なレポートのまとめる際に少しご配慮いただけたら。

【江頭安全審査調整官】  報告の中で、また次回以降ご議論いただくときに、こういうふうに書かさせていただいているということで、またそのときにご相談させていただきたいと思います。

【川上主査】  論点5につきましてはよろしいでしょうか。では、先ほど少し踏み込みました論点6のほうに移りたいと思います。

 それでは、論点6をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  論点6ですけれども、「クリアランスレベル以下であることの判断基準」ということで、先ほど小佐古委員からも指摘ありましたけれども、ΣD/Cが1以下であるということでよいかと。もちろんいろんな測定方法で、ご指摘あったようにはかりやすい核種で押さえて、あとは配分係数等で計算とか分析で出すといった方法もございますので、そういったことを柔軟に、審査の中でそれが適切かどうかというのを確認するのかなと考えております。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 先ほどのロジックで言いますと、ここで自然起源の放射性核種についての記述というのも、多少誤解を招くかもしれないということになりますかね。

【小佐古委員】  もうざっくりとったほうがいいんじゃないのかな。いや、NORMにものすごい悪い影響を与えますよ。

【川上主査】  うん。

 論点6はいかがでしょうか。これはさっきの続きみたいなものですけれども、よろしければ全体通して何かご意見があれば。はい、どうぞ。

【小佐古委員】  どうもありがとうございました、何とか前に進めそうなんで。ただ、全体の枠組みのところで、ちょっとこれは報告書に書くべきなのか、どう扱うべきなのかがあるんですが、ここで動かすクリアランスの仕組みが、ほかの3つのいろんな基準とどういうふうにバランスをとるかということを、気にする必要があるということですね。1番目が、規制を免除する数字として、入り口規制のところで安全管理の面からは、ウラン300グラムとトリウム900グラムというのが規制免除の数字としてあるということですね。入り口のところでは300、900ってものすごく高い数字が設定されて、出口のところではすごく低い数字が設定されているんですね。だから、入り口のところをどうするかというのは、お役所的に言えばうちの話じゃないという話もあるのかもしれないんですが、旧労働省側、厚生労働省側からしてみれば電離則そのほかのところで、よくご承知だと思うんですが、規制免除値として300、900というのがありますんで、それをどうされるかというのを、早い時期の解消というのがポイントだと思います。1番目の点ですね。

 2番目の点は、既に少し触れましたけれども、NORMのところですね。これも吉田室長の時代に随分頑張っていただいて、NORM、上手にその前の法制審議会のカテゴリーに対応して、どうされますかというのを書いていただいたんですね。ただ、あちらのほうも最後の廃棄物に回るところはペンディングというか、後の議論という形になっておりまして、ちょっとそこには塩かけてもむといいますかね、未成熟なままで無理やりな議論をするというのは、いかがなものかとは思うんですが、ただ、そのことを気にしていただく必要はあるんではないのかなと思うんですね。ですから、そのことを気にしますと、先ほどの表現のところも天然物なんてわけのわからない表現には、されないほうがいいと思うんですね。

 3番目の点ですが、これも多分ご承知だと思うんですけれども、計量管理ですね。核物質の計量管理から外れていくんだというところを、上手にバランスをとっていただきたいと思うんです。クリアランスする物量が大量になりますと、非常に低い濃度だけれども、集めてみるといい量じゃないかと言われると厄介な話になるんですね。ただ、薄い濃度のものを議論を一生懸命始めますと、敷地の中に入っているウランの量なんかものすごく多いから、どうするんだというとんでもない議論になりますんで、やはり濃度が非常に重要なファクター持っているんだということを、計量管理とか、そういう方にも事前にきちんと理解をしておいていただく必要があるということですね。だから、いわゆるMUFとか、消えてしまうものというような扱いを、いろんなところでしているんですけれども、おそらく濃度が低くて外れるということを、一度は確認される必要があるんではないのかなと思うんですね、3点。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 ほかにいかがですか、よろしいですか。

 それでは、この件に関しまして貴重なご意見をいろいろいただきましてありがとうございました。きょうのご意見をベースに、このワーキンググループでまとめます報告書がございますので、その中に反映するということになるかと思います。

 次はその報告書の話になりますが、今までのご議論をいただいたことを踏まえまして、事務局のほうで報告書の(骨子)(案)を準備していただいておりますので、これにつきましてご意見を伺いたいと思います。では、事務局から(骨子)(案)の説明をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  資料10-3でございます。まず両面1枚で目次を並べさせていただいて、その次のページから、骨子としてこんなことをそれぞれの項目の中に、書いてはどうかということを書いておりますので、まず目次のほうから簡単にご説明させていただきます。

 1ということで「はじめに」と、それから、2ということで「文科省におけるクリアランスに係るこれまでの状況」ということで、17年の技術ワーキングのときには炉規法改正の前後で、たしかクリアランスの検討いただいたんですけれども、その後、炉規法が改正されまして、さらに炉規法改正後、文科省のほうではクリアランスレベルを定める濃度規則と一般的に我々呼んでおりますが、そういった規則等の整備をしております。そういったことを書くと。

 それから、3.として、現在、じゃ、実際にそういった法令等に基づいて、どのようなクリアランスを文科省でやっているのかということで、先ほど申し上げたように、原子力機構の旧JRR3のコンクリート資材のクリアランスしかまだ事例としてはないわけでございますけれども、そういったことを書かさせていただくと。なぜこういったこれまでの文科省の取り組みというのを書くかというと、そういった経験というのが実はこれからウランクリアランスについて、3章のところで述べますけれども、そういったところにかなり反映させる必要があると考えておりますので、2として文科省のこれまでの状況ということを、書かさせていただいてはどうかと考えております。

 それから、3章ということで「ウラン取扱設備におけるクリアランスレベルの検認」ということで、ここからがいよいよウランについてということになりますけれども、まず1.として「クリアランスレベルの対象物」ということで、「対象物」、「適用範囲」、「既に解体された物について」ということで3点並べております。適用範囲については先ほどご議論いただいたようなことを、記載するのかなというふうに考えております。

 それから、2.として「検認の基準等」ということで、評価対象核種はどうするかと、これも先ほどご議論いただきました。それから、(2)として「評価単位等」ということで、評価単位はどうあるべきか、これも先ほどご議論いただきまして、2として測定点・測定単位、測定単位についても先ほどご議論いただきました。こういったことをここで書くと。それから、それぞれの評価対象核種のクリアランスレベルについてということで、(3)でございますけれども、まず1としてクリアランスレベル、それから、2としてクリアランスを超える放射能濃度と、これは先ほど服部委員から等からもご指摘があった、部分的にクリアランスレベルを10倍以内ですけれども、高いレベルが出てしまった場合は、全体としてどう考えるかということを、この2のところで書いております。それから、3のところで、これは従前から同じ指摘をしているんですけれども、意図的な希釈は当然だめですよと、これは国際的にもそういったルールということでありますので、意図的な希釈はだめだということをここで指摘させていただいてはどうかと。

 それから、(4)として、いよいよ判断基準ということですけれども、まずクリアランスの判断に用いる評価対象核種、これも先ほど服部委員からご指摘いただいた、いわゆる90%を超えるというか、その判断に用いる評価対象核種というのを、どう考えるのかということと、それから、全体的にクリアランスレベル以下であることの判断基準、これも先ほどの論点6のところでご議論いただきましたけれども、そういったことを書いております。

 それから、3.として、ここからは基準以外のことになる項目ですけれども、濃度の決定の方法ということで、(1)「参考となる考え方」、これちょっと見出しだけ見ても何のことかわからないんですけれども、いわゆる原子力学会のほうではまだ検討中ですが、そういった学会標準であるとか、原子力安全委員会の検認報告書等で並べてあるような、さまざまな測定、濃度決定の方法、こういったものを個別の申請に基づく審査の中で、どれが適切かというのを考えて当てはめていくということでは、どうかということをここで書いております。それから、(2)として、測定が困難な放射性核種の濃度というのはどうやって決定するのかと。これは先ほど少し議論出ましたように、測定しやすいものを押さえて、あとはいろいろ配分係数等を用いて決定するということを書いてはどうかと。それから、当然、(3)として、放射線測定装置の選択とか、あるいは測定条件というのは、こうあるべきということを書いてはどうかということです。

 それから、4.、5.は全体的にいわゆる品証のことになりますけれども、4.としては「保管・管理」ということで、まず国が確認するまでの間、どのように適切に事業者はそのクリアランス対象物の管理をするべきか。それから、さらに国が確認した後も、当然、その後、コンタミとかあってはどうしようもありませんので、確認した後もしかるべき管理をする必要があるということを書いております。それから、5.として「品証活動」、これは今となっては常識ですけれども、品証体制、ちゃんと責任者を設けなさいとか、検認に係る計画をちゃんと定めなさいとか、そういった活動に携わる職員等の教育・訓練をしっかりしなさいとか、さらに放射線測定装置の点検・校正というのは常に定期的にやりなさいとか、そういったことの記録というのはきちんと残しなさいとか、そういったことを5.のほうで書いてはどうかと考えています。

 さらに6.として「その他留意すべき事項」ということで、今(1)・(2)・(3)・(4)と4つ並べておりますけれども、1つ目は「外部有識者の活用」ということで、当然、審査の中では有識者のご意見をちゃんと活用して、適切に審査に反映させるという必要があろうということです。それから、(2)「抜取り検査による測定」、これは、以前、小佐古委員のほうからJNESの例というのをご紹介いただいたことがありましたけれども、抜き取り検査やるときの信頼性をどういうふうに確保していくかということを、ここで述べてはどうかと考えております。

 それから、(3)として「対象物に係る規制」ということで、これ、現在、RIのほうでも放射線障害防止法に基づくクリアランス制度を導入するということで、これからいよいよ国会の中で審議が始まっていくというふうに聞いておりますけれども、こういった両方のもので汚染されているというか、供用の場所から出てくるような廃棄物に対しては、どのように炉規法としては申請を受け付けていくかとか、対象物が両方の法律で違う場合には、どういうふうに制限をかけていくべきかとか、そういったことをこれからしっかり、これは文科省の中での調整になるかもしれませんが、そういったことを調整していく必要があるということを書いてはどうかと。

 それから、(4)として「環境省との関係」、これはご存じのとおり炉規法の中では、環境省との関係というのはしっかり法律の中で明記されておりますので、そういったことをしっかり守って、法律に基づくいろんな連絡以外でも、例えば、我々の原子力機構のJRR3のクリアランスするに当たっては、それぞれの審査のタイミングとか、確認のタイミングとか、いわゆる重要なタイミングごとに、環境省のほうに説明させていただいたり、場合によっては環境省の方が現地に調査に来られるということを、やっていただいておりますので、そういったことを引き続き連絡を密にとって、クリアランス制度をしっかり運用していく必要があるということを、ここで述べさせていただいております。

 それから、最後、7.ですけれども、これはクリアランスとは別に放射性廃棄物ではない廃棄物というのもが実はございまして、これをどのようにクリアランス対象物と分けて、判断していくかということで、これは原子力安全委員会の判断基準というのが平成4年に出ておりまして、そういったことを引き続きここで基準を書かさせていただいております。それから、最後、4章として「おわりに」ということで、全体の構成をしているところでございます。

 次のページがいよいよ骨子ということになりますけれども、まず「はじめに」ということで、これまでのクリアランスに係る国内の検討状況、それから、この報告書の目的等について記載すると。

 それから、第2章として「文科省におけるクリアランスに係るこれまでの状況」ということで、まず炉規法の改正と。これはご存じのように、平成17年5月に炉規法の改正、これはクリアランスだけではなくて、廃止措置とか、当時、核物質防護についても含まれていましたけれども、そういったことが改正がされたと。同年12月1日に施行されて、ここの枠の中に書いてあるような流れで、国としては2段階の確認をするということで、クリアランス制度を法律の中で構築しております。

 めくっていただきまして、法改正以降の制度整備ということで、文科省のほうでは、当時、この技術ワーキンググループで検討いただいた報告書等をもとにして、濃度規則というものを平成17年11月に定めておりまして、この中では試験炉、それから、使用施設の中でもホットラボ施設から出てくる資材に対するクリアランスレベルというものを定めておりまして、今回、ウランクリアランスについてご議論いただいた結論、その評価対象核種をどういうふうにするかとか、そのレベルをどうするかとか、そういったことについて、さらにこの濃度規則の中に追加して記載していくことになろうと考えています。

 それから、3.として試験炉に係るクリアランスの確認ということで、これは前々回のワーキングでもご説明させていただきましたけれども、原子力機構の旧JRR3のコンクリート資材のクリアランスを、現在、まだ継続してやっているところでございます。そのときに、まず第1段階の国の関与として測定及び評価の方法について、我々申請を受けて審査したんですけれども、そのときに外部有識者、我々アドバイザーと呼んでおりますが、外部有識者の方の専門的意見の聴取、さらに現地調査ということを実際にやりまして、審査に反映させていただきました。それから、測定及び評価の方法の認可の後についても、いわゆる事業者における品証の状況というのを、適切に確認する必要があるだろうということで、保安検査の中でこの機構におけるクリアランス対象物の保管・管理が適切に行われているということを我々確認しておりまして、そういったことをここに記載してはどうかと考えております。

 それから、次のページがいよいよウランクリアランスのことですけれども、まず「対象物」ということで、ウラン取扱施設から出る金属資材とするということで、今ここに骨子として書いておりますけれども、場合によっては、ここか、あるいは、その他の留意事項になるか、どちらかまたご相談したいと思いますが、先ほどご指摘いただいたように、金属以外のものについても、これからのウランクリアランスの事例とか、施設の状況を踏まえ、またこの技術委員会でご議論いただくことになるのかもしれませんが、金属以外のものについても柔軟に必要に応じて検討して、追加すべきは追加していく必要があろうということは、書くのかなと考えております。それから、(2)の「適用範囲」、これは先ほどご議論いただいたようなことを反映させて、ここに記載させていただくのかなと思っています。それから、(3)「既に解体された物」、これは17年の技術ワーキングの報告書でも同じような指摘されておりまして、いわゆる大分前に既に解体されてしまっているもの、そういったものというのは汚染とか、使用の履歴がしっかり残ってないといったことも十分考えられるので、そこは審査の中でもさらに慎重を期して確認する必要があろうということで、特出しで書く必要があろうと考えています。

 それから、2.のところは「検認の基準」ということで、まず評価対象核種ということで、先ほど一応5つの核種ということで、特段否定的なご意見はなかったと思っていますので、この5つの核種について述べると。それから、次に「評価単位」ということで、評価単位のところも先ほどご議論いただいたようなことを書かさせていただくと。それから、「測定点・測定単位」のところについても、先ほどのご議論を踏まえたようなことを、書かさせていただくということです。それから、次の「クリアランスレベルについて」ということで、クリアランスレベルについても、先ほどの議論を踏まえ、天然とか自然とかという表現を用いず、シンプルにここに記載させていただくのかなというふうに考えております。それから、2のところで、これが先ほど議論いただいた、部分的にクリアランスレベルを10倍以内の範囲で超えてしまったものがあった場合には、どのように考えるのかというようなことをここに書かさせていただくと。

 それから、3としては、意図的な希釈というのは当然だめだということを書いております。それから、(4)の「判断基準」ですけれども、判断基準というのはここの次のページの○2つ書いておりますが、クリアランスの判断をしようとする対象物に含まれる放射性核種のD/Cの総和をまず評価して、そのクリアランスの判断に用いる評価対象核種というのは、そのD/Cの総和が上記D/C、全体の総和の90%以上となるような核種を選定するということで、実際に濃度の確認をしていくということ。これは従前の濃度確認のやり方と全く同じ考え方ですけれども、そういったことをここに書かさせていただいておりますが、当然、90%以上となるものというのはどういったものが入ってくるのかとかいうのは、しっかりこれは審査の中で確認していく必要があろうと考えております。それから、2の「クリアランスレベル以下であることの判断基準」、これも先ほどΣD/Cの1以下ということでご説明させていただいて、ご議論いただいたようなことをこちらに書かさせていただくというふうに考えております。

 それから、3.の「濃度の決定の方法」ですけれども、(1)の「参考となる考え方」、これは原子力安全委員会の検認報告書、それから、現在まだでき上がっておりませんが、学会標準、こういったものを参考に審査の中で個別にどういった方法が適切かと、対象物とか、測定器とか、そういったものでしっかり審査して判断して、濃度決定方法というのが妥当かどうかというのを、確認していく必要があろうということでございます。それから、「測定が困難な放射性核種濃度」というものがある場合にはどうかということで、ここは代表的な手法について記載しておりまして、別にこれでやれということではございません。全α線測定とか、γ線スペクトル評価法等の方法によって、放射性核種の濃度測定値と、それから、組成比から評価する方法、こういったものが基本的には有効だろうということなので、ただし、組成比による評価を行う場合には、一般的には汚染履歴とか、濃縮度評価などのほか必要に応じて対象物の分析等を行っていただいて、適切に評価してその妥当性を示していただくことが必要であろう、審査の中で十分に確認する必要があるマターであろうと思っています。それから、(3)として測定器の選択とか、測定条件について、当然、対象物の形状とか、材質とか、単位とか、その汚染状況とか、そういったものに応じて適切な放射線測定装置を用いることが必要であると。さらに測定条件というのは、形状とか、バックグラウンド等、そういったものをちゃんと考慮してやる必要があるということでございます。

 それから、4.として「保管・管理」ということで、国による確認が行われるまでの間、それから、確認後の間、これ、ほとんど同じことを書いておりますけれども、当然、対象物への異物の混入とか、あるいは放射性物質による新たな汚染の防止ということを、あってはなりませんので、そういったことをしっかりないように管理するということでございます。

 それから、5.の品証活動のところは、品質保証体制として、これは従来から同じ考え方なんですけれども、当然トップマネジメントで品質保証計画を策定すると。それから、検認する活動の責任者というのを定め、責任と義務を明らかにすると。それから、責任者に求められる要件ということをここで述べております。(2)としてクリアランスレベル検認に係る活動計画、ここではここに書いてあるようなことを、しっかり具体的な計画というのを事業者としては、申請者としては策定していただくということで、その計画というのは内部監査等によって、継続的に改善を行う必要があろうと、これは従来の考え方同様でございます。それから、(3)「教育・訓練」ですけれども、これは当然品証活動にかかわるような方については、必要な教育・訓練というのをちゃんと定期的にやっていただくと。さらに(4)ですけれども、放射線測定装置の点検・校正というのは、これはしっかりやっていただくということです。それから、(5)として、これまで述べたような品証に係るようなさまざまな活動の記録というのは、きちんと記録に残すということが必要だろうということでございます。

 それから、6.として「その他留意すべき事項」ということで「外部有識者の活用」、これは先ほど申し上げたとおりでございます。それから、「抜取り検査による測定」ということで、対象物の放射能濃度確認の際に抜き取りの測定を行う場合、抜き取りの方法・調査すべき数量について、確認する対象物に応じ適切に設定すると、また、国は必要に応じ抜取り測定を行うものに用いる放射線測定装置の校正に立ち会うなど、放射線測定装置の精度確認の信頼性を担保するための手段についても、もし個別案件について必要だというふうなことになりましたら、あらかじめ検討しておくことが必要であるということで、これはいろんな方法があろうと思います。

 それから(3)「対象物に係る規制」、これはRI法との関係ということで、RIAのほうでもあと1年弱かけて具体的な検認の方法とかいうのを、現在のRIAのほうのクリアランスのワーキングのほうで検討いただいていますけれども、それと、そういった状況を見ながら、両方の規制がかかるような場所から、対象物が出てくるような場合には、対象物の選定とか、申請手続、両方に申請してもらうのかとか、どっちかに申請してもらうのかとか、そういったことを文科省の中で、ちゃんと調整しておく必要があろうということでございます。それから、(4)として「環境省の関係」、これは先ほど申し上げたとおりでございます。

 それから、7.は廃棄物でない廃棄物ということで、平成4年の原子力安全委員会の判断基準ということで、点線の中に一応書いておりますけれども、使用履歴、それから、設置状況等から放射性物質の付着、浸透等による二次的な汚染がないことは明らかであると。そして、履歴、設定状況等から放射性物質の付着、浸透による二次的な汚染部分が限定されているということがあった場合には、そこが確実に分離されているものといったものであれば、放射性廃棄物ではない廃棄物、クリアランスの概念とはまた違う概念ですけれども、そういったものとして扱うことができるだろうということを一応述べさせていただいております。

 それから、「おわりに」ということで、クリアランス制度というのはまだ始まったばかりというか、法律改正は平成17年ですけれども、まだ事例がわずかであるということで、きちんと事業者、これは国もですけれども、クリアランス制度が国民にご理解いただけるように、継続的に努力していくことが必要だと。さらに検認に際しては、特に文科省施設についてはさまざまでございますので、個別個別の案件の審査というのを、厳正かつ慎重に実施する必要があろうということで締めているところでございます。

 骨子については以上でございます。

【川上主査】  どうもありがとうございました。

 ただいま骨子(案)につきましてご説明をいただきました。ご意見・ご質問ございましたらよろしくお願いいたします。

 よろしいですか。

【小佐古委員】  済みません。

【川上主査】  それでは、どうぞ。

【小佐古委員】  小佐古です。クリアランス制度は原子炉等の解体等について、既に動いているところでありますけれども、中身についてはこんなところかなと思うんですが、原子炉等規制法を出た後のところが、なかなか手間がかかるといいますかというところがあるんですね。出ていってもここに書いてある環境省で産廃的な扱いをするのかどうかですけれども、そこのあたり、あるいは、そこを抜けても地方の自治体と関係とか、あるいは、ここでも指摘されているように、エリアとか、国民とか、そういうところの話、さまざまなところがあるんですけれども、これはどうなんでしょうかね。前の原子炉等のクリアランスのときには、制度初めてスタートするということで、そういうところも論及があったんですね。

 だから、資源の再利用等々に努めることと、その理解が得られるまでについては、関連の事業者の中でそういうものをリサイクルすることということも、既に書いてあるところなんですけれども、これは行政のほうのご判断ということなんですが、ある程度制度も動いているところから、そういうところは重々皆さんも承知されているところだから、あえて本文の中には入れなくていいというのも1つのオプションですし、もう一つのオプションは、そういうことは注意すべきだから、本文とは別に何か書いておくとか、あるいは、もう一つのオプションは、この議事録かなんかにそういうことも重々注意されたしと、慎重に事を進めるべしということを残していただくとか、いろんな方法があるんですけれども、そのあたりはどういうふうに……。

 一番、私が考えてよろしくないというのは、そういうことに関して触れないとか、あまり議論はされなかったというような形に、しないほうがいいと思うんですね。ですから、何らかの形で既に経験しているようなこととか、さまざまなことについては十分配慮されるべしと、あるいは、さまざまなところでそういう吸い上げとか、コミュニケーションをやっていくべしというようなことを、表明されておかれるほうがよろしいように思うんですが、はい。

【川上主査】  ありがとうございました。

 何かあれですか、事務局からコメントはございますか。

【江頭安全審査調整官】  クリアランスについてはご指摘のように、文科省なり、保安院のほうで確認するだけで終わりではなくて、環境省との関係もありますし、実際、原子力施設から出てくるものを業者が引き受けてくれるのかとか、その再利用品に加工するような業者がまた引き受けてくれるのかとか、そういったいろんな問題があることは承知しております。そういったことをこの報告書の中で仮に触れるとすれば、「おわりに」の中で、そこはそういった状況があるということで、しっかり、確認するだけで終わりではないよと、その再利用ということをほんとうに実現する意味では、どういったやり方がいいのかというのは、これからも引き続き努力は必要であるとか、そういったことを書くとすれば書かせていただくのかと考えておりますけど、報告書案の中で、またご相談させていただければなと思っています。

【川上主査】  ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。

 それでは、きょう、非常に貴重なご意見をいろいろいただいたように思いますが、このご意見を踏まえまして、次回は報告書の取りまとめということになります。これまで申し上げましたように、ウランクリアランスについては原子力安全・保安院においても、小佐古先生が主査でやってらっしゃいますが、検討が進められております。文部科学省と保安院で考え方や数値に違いがあると、安全規制上というか、事業者のほうも大変だろうと思いますので、混乱を招くことになりますので、引き続き保安院における検討状況を注視して、議論を進めていきたいということになるかと思います。

 きょうの議題は以上でございます。ほかに何かございますでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  済みません。

【川上主査】  はい、どうぞ。

【江頭安全審査調整官】  事務局からですけれども、原子力安全・保安院さんのほうで、木村委員のほうからクリアランスレベル、試算値というか、計算された値というのをご報告いただいたと。当然、我々も状況知っておるんですけれども、小佐古先生のほうからもご指摘もありましたし、川上主査のほうからもご指摘ありましたんで、保安院のほうでご報告いただいたということの前提で、次回のこちらのワーキングの中でも、木村委員のほうから簡単にどういった報告をされたのかということを、ご紹介いただくというのは構わないでしょうか。

【木村委員】  ええ、大丈夫ですので。

【川上主査】  では、お願いします。

【江頭安全審査調整官】  原子力安全・保安院のほうにもご相談させていただいて、木村委員にもまたご相談させていただいて、何とか報告させていただきたいなと思っています。

【川上主査】  ありがとうございました。

 きょうの議題は以上ですべて終了いたしました。どうもありがとうございました。

 最後に、事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。

【鎌倉保安管理企画官】  本日はご議論いただきましてありがとうございました。

 次回の開催日時等につきましては、また別途日程調整の上ご連絡さしあげたいと思います。以上でございます。

【川上主査】  ありがとうございました。

 本日は委員の皆様には活発なご意見をいただきまして、まことにありがとうございました。また、傍聴者の皆様におかれましては、円滑な議事進行にご協力いただきまして、まことにありがとうございます。

 以上をもちまして、研究炉等安全規制検討会第10回技術ワーキングを閉会いたしたいと思います。どうもありがとうございました。

【吉田原子力規制室長】  どうもありがとうございました。

―― 了 ―

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