長期的・戦略的研究を可能にする研究体制の整備 長期的な縦断研究・コーホート研究を実現するための体制づくり
様々な環境要因が脳に与える影響などを調べる場合には、長期的な縦断研究やコーホート研究が有効である。そのためには、周産期医療機関との連携、乳幼児健診の活用、大学及びその附属小中高等学校などとの連携、自治体との連携など、研究体制を整備する必要がある。
人を対象とする研究を行うための基準と手続きの整備
人を対象とする実験などを行う場合、倫理的な問題が生じ得る。特に、意志判断を自ら行うことができない乳幼児や高齢者などを対象とした実験には一定の配慮が必要である。具体的には、インフォームド・コンセントに関する基準や手続きの整備、個人情報保護に関する問題に関する基準や手続きの整備などが不可欠である。
また、人を対象とする場合又はヒト由来の試料を利用する場合には、研究機関内に倫理委員会を設置し、研究の科学的正当性及び倫理的妥当性について検討を行うことが必要である。その構成員には、研究機関外の者、専門以外の者などが含まれるべきである。
脳の計測にともなう倫理的問題の検討
最近の機能的磁気共鳴描画による人の脳の計測においては、刺激に対する一定の反応だけでなく、個人の知覚、思考、情動などの状態を可視化できるようになりつつある。このことは、従来外部からは分からなかった個人の心の内的状態の一部を観測できることを意味しており、今後、新しい種類の倫理的問題などが生じる可能性がある。こうした問題の取り扱いを慎重にかつ幅広く検討することが必要である。
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