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「脳科学と教育」研究に関する検討会

2003年4月22日 議事録
「脳科学と教育」研究に関する検討会(第6回)議事概要



  
「脳科学と教育」研究に関する検討会(第6回)議事概要

  
1.日  時   平成15年4月22日(火)10:00〜12:00

2.場  所   文部科学省   別館   10階   第6会議室

3.出席者  
(委  員)   伊藤座長、小泉委員、小西委員、多賀委員、津本委員、野村委員、本田委員、無藤委員、山田委員
(事務局)   井上科学技術・学術政策局次長、倉持基盤政策課長、戸谷ライフサイエンス課長   他


4. 議  題
(1)「脳科学と教育」研究に関する報告書案について
(2)その他


5. 配布資料
資料1   「脳科学と教育」研究に関する検討会(第5回)議事概要(案)
資料2   「脳科学と教育」研究に関する検討会構成員
資料3   「脳科学と教育」研究に関するワーキンググループの実施概要
資料4   「脳科学と教育」研究に関する検討会ワーキンググループ報告書(案)
資料5   「脳科学と教育」研究に関する検討の中間取りまとめ(概要)
資料6   「脳科学と教育」研究に関する検討(中間取りまとめ)
資料7 戦略的創造研究推進事業の平成15年度の戦略目標について
資料8 社会技術研究2003


6. 議事要旨
(1) 伊藤座長より開会の挨拶があった。
(2) 事務局より配布資料の確認があった。
(3) 委員の追加について伊藤座長から説明があった。
(4) 事務局より「資料4   「脳科学と教育」研究に関する検討会ワーキンググループ報告書(案)」を説明した。

(5) 資料4中「1.はじめに」について、以下のような意見、質疑応答があった。
OECDの活動等の国際的な状況についての記述を盛り込むべき。
中間取りまとめにあるような人の尊厳についての記述を加えるべき。

(6) 資料4中「2.教育の役割と教育を取り巻く環境の変化」について、以下のような意見、質疑応答があった。
思春期の性に関し、性衝動を教育的に如何にしてコントロールすべきかという問題は生物学的・倫理的な面からは解が得られない状況であるので、脳の発達との関係において何らかの対応策は考えられないか。
脳やホルモンに性差があるとしても、そのことと性による社会的な差別は無関係。また、障害についても同様であるが、脳の発達における原因が明らかになれば問題が解決する場合と、原因が社会的な状況にあったりする場合があり、それを明確に記述した方がよい。
性差も障害も個人差の1つであり、同じく個人差である年齢差も含め、様々種類の個人差を絡めながら1つの項目を設けて記述すべき。例えば、年齢については、統計的に比べれば5歳と10歳で差はあるだろうが、一人一人比べればいろいろな人がいて、個人差は様々な種類があるが、そのいくつかを研究するというようなことを1つの項目を設けて記載してはどうか。
性による脳の違いに応じて、教育のやり方・場面を分けるような社会的・直接的な処遇を分けることには相当の距離がある。世の中に出ていくと誤解を与えるので、両者の距離の大きさを明確にすべき。男女で社会的な処遇を分けるということには当然ならないが、そのような問題を考える上で何か示唆を得られないか。
脳の性差が存在する意味を考えることは興味深い。男女とも知的作用は発揮しているので、脳の差と知的作用とは関係がないはずであり、そのようなことを見越しておいた方が報告書としては望ましい。
理数系のテストを行うと、その結果には明らかに男女差が存在する。そのような差が脳の発達と関係があるのか興味がある。
理数系のテストの結果に男女差はあるが、特に日本はその差が顕著。脳の発達の差による影響よりも社会的な環境の差によるものの方が大きいのではないか。また、平均の差と個人の差はイコールではないため、女性の全員が科学に向いていないということを意味しておらず、そのようなことを見越しておくべき。
この研究の趣旨は、脳科学の新しい知識をもとに如何に教育現場の問題に役立つかということなので、ジェンダーの差が教育面での問題解決に如何に使えるかというスタンスで考えたい。

    (7) 資料4中「3.「脳科学と教育」研究の推進に当たっての基本的考え方」について、以下のような意見、質疑応答があった。
人の高次機能の感受性期が明らかになるかどうかについてもわかっていないので、この項目のタイトルは誤解を与えるのではないか。
「感受性期(臨界期)」については、一般社会に誤解を与える可能性があり、タイトルに掲げない方がよいのではないか。
人の感受性期は慎重に考える必要があり、注釈にて脳科学の現状を記載している。ただし感受性期の解明は非常に重要なことであるので、エビデンス・ベースで明確にすることがまずは必要であり、その視点から記載している。
この部分は目標という位置づけなので、「カリキュラムの開発」についても遠い目標であるという整理も考えられる。
一般のお母さんにとって、感受性期は切実な問題。この時点で感受性期という言葉を出すことには危険性がある。一般のお母さんに不安をもたらす原因となるので、言葉そのものを出すか否かについて慎重に検討すべき。
子どもたちをよくするということだけでなく、子どもをより理解するということがまずあるべき。障害についても同様であり、障害をよくするというよりも、理解することに脳科学を役立てることがまずは重要。
両眼視については臨界期がはっきりしているが、高次機能についてはまだ分かっていないので、「その有無を含めて明らかにする必要がある」という記述としている。感受性期についての記述は残すべき。
内容に記述することは否定しないが、タイトルに書くとそれだけの研究と取られてしまうのではないか。社会に出たときに、誤解による支障が生じる可能性がある。
脳科学の成果により間違ったやり方を改めることとなる場合もあるので、タイトルの「効果的な」は「適切な」の方が適当ではないか。
障害を持つこと自体に意味があり、他者との関わりの中で障害を持ちながら発達し、他者がその関係の中で障害を持っている人に影響を受け、より人間的な関係を作っていく。障害者を健常者化したり、社会参加や社会貢献ではない。他者との関わりを持つことによって結果的に他者に影響を与えることとなるかも知れないが、その存在自体に価値がある。「脳機能の回復」という表現は誤解を与える可能性がある。健常者の基準に無理に引き上げようという障害児教育の現場もある。
リハビリ等も含めた内容となっており、高齢化社会の中では機能の回復も重要である。中味とタイトルに齟齬がないように検討したい。
高齢者についても、フィットネス等で無理に若返らせたりするのは疑問。
第3段落をこの項の冒頭におき、趣旨を明確にした方がよい。
低いストレスはむしろプラスの面を有するかもしれないので、そのような視点も必要ではないか。また、ストレスに強い人と弱い人がいるが、その差に意味があるのではないかと考えており、脳科学に期待している。
ストレスは本来ニュートラルな言葉。ここではストレス過多という意味で使っており、文言を整理することが必要。

    (8) 資料4中「4.「脳科学と教育」研究において取り組むべき研究課題」について、以下のような意見、質疑応答があった。
「個別学習機能」や「全体的発達」という言葉はわかりにくのではないか。
早期教育等のように1つのことを徹底して早いうちに発達させることと、人間としての全体のバランスが取れた発達との関係をきちんと研究する必要があるという趣旨であり、分かりやすい表現を検討する。
「eラーニング」という表現には変な誤解を避けるため、注釈をつけた方がいいのではないか。
遠隔教育も含め、デジタルメディアを用いた新しい手法による学習という広い表現にしたい。
緊急性・重要性について、どのように評価したかを対外的に説明することとなるが、これらの評価の考え方はどうなっているのか。
具体的に研究を実施するには、何か指針になるものがあった方がよい。
現場の問題をいかに解決するかという視点からの研究であるので、重要性も緊急性もないのはおかしい。これらを書くことによって、現実の問題に対応しているとの意思表明となる。現場では、例えばいじめや不登校の問題は早くやって欲しいとの要望がある。これがないと具体的に何をするかがわからない。教育の関係者が見たときに、何をやるんですかということとなる。
本日参加の先生方にもよく見て頂き、重点付け等について御意見を頂戴したい。
緊急性・重要性については、次回の検討会でより詳細に議論することとしたい。
当面から短期の課題について、「完了」としてしまうとまずいので、「一応の達成」とすべき。

    (9) 資料4中「5.「脳科学と教育」研究推進に当たっての体制整備」について、以下のような意見、質疑応答があった。
専門組織について米国では具体化が進んでおり、NSFにラーニング・センターを設立することが間もなく発表される。縦割りの研究所はたくさんあるが、この融合分野の研究は新しく、いろいろな仕掛けが必要。そのような核になるセンターは必要であり、検討はすぐに開始することが必要。
この分野は融合研究で時間がかかる。特にコーホート研究は10年、20年と非常に時間がかかるので強調している。

(10) 資料4について全体について以下のような意見があった。
「子供」の表記については、歴史性があるので、「子供」とすべきか「子ども」とすべきか精査すべき。







以  上

(科学技術・学術政策局基盤政策課)

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