「脳科学と教育」研究に関する検討会
2002/05/09「脳科学と教育」研究に関する検討会(第3回)議事概要 |
資料1 |
1.日 時 | 平成14年5月9日(木)14:00〜16:00 |
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2.場 所 | 文部科学省 別館11階 大会議室 |
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3.出席者 |
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4. | 議 題 (1)「脳科学と教育」に関する研究計画について (2)その他 |
5. | 配布資料
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6. | 議事要旨
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○ | OECDの場でも、教育の側から課題を提起してもらい、脳科学がその課題に答えるという形とすることが適当ではないかとの議論があった。しかし、脳科学の側にもまだ分からないことが多いので、新しい知識の獲得が必要である。 |
→ | 既に分かっていることと、未だ分からないことをはっきり区別して発信することが必要である。子供を持つ母親はかなり勉強しており、小児科医は、最新の研究成果との架け橋となることが期待されている。 |
○ | 脳の髄鞘化はどの程度のペースで進むのか。 |
→ | 神経の配線の方がより重要であり、髄鞘化の役割については今後検討が必要。 |
○ | 最新の研究の成果は、小児科医にフィードバックされているのか。 |
→ | 今後、書き換えられていくものと思う。 |
○ | 研究推進のためには、胎児・新生児からの一貫した行動観察が重要であるが、我が国においては、そのような体制がない。 |
○ | ヒトの能力の発達の過程は、どのように進んでいくのか。 |
→ | ヒトの能力は段階的に発達していくのではなく、脳以外の部分との関係を込みにして、脳のネットワークが発達していくのではないか。 |
(6) | 野村委員より資料に基づき「子どもには子どもの論理があり思想があり世界がある。授業は、子どもと教師とが教材解釈をめぐって対立・止揚し、その論理や世界を構成する知の構造、価値の体系を再編成・再構成していくことであり、脳科学における<学習は神経細胞回路の再構成>というのと共通しているように思われる。脳科学研究によって、子どもの知の構造や価値の体系を把握できる道筋が明らかになり、教師の子どもに対する適切な働きかけができるようになることが期待できる」などの説明があり、それについて以下のような意見、質疑応答があった。 |
○ | 脳科学の側からは、回答することが最も難しい問題である。 |
→ | 教育の様々な場面での脳科学の知見の適用は可能であり、特に日進月歩する脳科学にあっては、授業への適用においても意外と早く実現できるのではあるまいか。 |
○ | 霊長類においては、遊びによる教育が脳の発達にとって重要であるが、教育の分野においては、遊びの意味はどのように考えられているのか。 |
→ | 子どもにとって遊びは学習の連続である。子どもは身体を使って考え、意志し、発見・創造し、感動(知・情・意)しながら遊ぶ。同じことを繰り返しているように見える遊びでも、毎日、必ず工夫して新しいことを創り出し、人やモノとの関わりを学習する。遊びの中で自分の思いや考えを表現することで、子どもなりの知の構造や価値の体系が創られ、子どもの論理が形成されていくのではなかろうか。 |
○ | 脳科学と教育の現場の間には、未だ大きな段差が存在する。その間にどのようなステップを入れていくのか、その間を繋ぐものとしてどのような過程が適当であるかよく検討することが必要。 |
○ | 視覚や聴覚の感覚障害を持つ障害児の教育・研究から学ぶことが多い。 |
○ | 高齢者の問題が、今後ますます大きくなるので、生涯教育の問題について本格的に研究を進めていくことが重要。 |
○ | 胎児期の研究が重要であるが、大規模に行う必要があり、資金と時間を要する。 |
○ | 他の生物と異なる人間の特徴は、寿命が生殖可能な年齢を超えていること。普通の生物では、寿命と生殖可能な年齢とは一致している。 |
(科学技術・学術政策局基盤政策課)