独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成29年11月21日(火曜日)10時00分~11時30分

2.場所

文部科学省17階研究振興局会議室

3.議題

  1. 独立行政法人日本学術振興会の第4期中期目標・中期計画の方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

植田主査、佐分委員、髙梨委員、鷹野委員、山本委員

文部科学省

関研究振興局長、渡辺振興企画課長、山口振興企画課学術企画室長、藤澤振興企画課課長補佐、宮地人材政策課課長補佐、松本学術研究助成課企画室室長補佐、渡邉政策課国際戦略室室長補佐 ほか

5.議事録

【植田主査】  それでは、ただいまから独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会議、平成29年度第3回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 今回の会議も公開で開催いたしますので、御了承いただきますようお願いいたします。
 まずは、本日の出席者及び配付資料について、事務局より確認をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  まず、本日の委員の出欠状況ですが、皆さん御出席ということでございます。
 また、本日は、議題1「独立行政法人日本学術振興会の第4期中期目標・計画の方向性について」に係る審議を行うに当たり、委員の皆様からの御質問等に御対応いただくため、日本学術振興会から関係者の皆様に御出席いただいております。
 続きまして、配付資料でございますが、こちらの議事次第を御覧いただければと思います。本日は資料1から資料4、あと参考資料1から7、合わせて11の配付資料、さらに机上の方にはこちらのファイルを御用意しております。欠落等ございましたら、お申し付けいただければと思います。
 以上でございます。

【植田主査】  よろしいでしょうか。
 それでは今日の議題に入る前にこれらの関連の審議状況について事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、参考資料の1から3をまず御覧いただければと思います。参考資料1でございます。こちら、第3期中期目標期間終了時に見込まれる期間実績に係る評価総括表ということで、こちらは既に先生方の方にはお目通しいただいているものでございます。そちらの1から2ページが総合評定、3ページが項目別評定の総括表を抜粋した資料でございます。
 続きまして参考資料2でございます。こちらは第4期中期目標・計画策定に向けて、前回の会議で御議論いただきました内容及び見込評価の結果を反映いたしまして、次期第4期の中期目標の策定に当たり、日本学術振興会の事業や組織等について見直すべき内容を文章化したものでございます。こちらの見直し内容を第4期中期目標・計画に反映させていただきまして、日本学術振興会の事業の改善を図る予定でございます。
 簡単ではございますが、こちらの2ページ目以降でございますけど、具体的に申し上げますと、真ん中からやや下2の(2)中期目標の方向性、この辺を踏まえて今後反映させていこうと考えております。
 続きまして、参考資料3でございます。こちらは独立行政法人評価制度委員会、総務省の中で議論が行われているもので、10月26日の会議資料から抜粋したものでございます。こちら日本学術振興会の部分でございまして、左から背景事情等、主務大臣による見込評価/業務・組織の見直し内容、ユニットにおける主な議論という形で書かれておりますが、ここの真ん中の主務大臣よる見込評価/業務・組織の見直し内容につきましては、先ほどの参考資料1に基づいて先方の方で記載しておるところでございます。
 こちらの方の右側にございますユニットにおける主な議論というところでございます。こちらにつきましては、主な議論といたしましては、「本法人は、次期中期目標期間中に強固な国際研究基盤構築に向けた国際共同研究や外国人研究者の招へい等事業の在り方の検討や必要な改善・強化を行うこととしている。これらの実施に当たっては、既存の事業と併せて、適切な評価指標を新たな中期目標に盛り込むべきではないか」という御議論がされております。
 また、二つ目でございますが、「研究者個人の成果としての発信に加え、本法人の顔が見える形での成果の発信を行うことにより外部から認識・評価されることで法人のモチベーションにつながるよう、どのような対象に対し、どのように発信していくのが効果的であるのかを検討し、当該広報の在り方について新たな中期目標に盛り込むべきではないか。また、法人業務全般の積極的な対外発信に向け、法人マネジメント強化の一環として、広報体制の整備に取り組むべきではないか」というような議論がされているということを御紹介させていただきます。
 以上でございます。

【植田主査】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうかね。
 それでは、次に中期目標・計画策定に当たっての指針等について、事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、続きまして、参考資料4から参考資料6までを御覧いただければと思います。
 まず、その前に中期目標計画というのは独立行政法人通則法により定められております。机上ファイルの6番に独立行政法人通則法というのが書かれております。こちらの第29条、第30条に中期目標、中期計画についての記載がございます。後ほど御覧いただければと思いますが、簡単に読み上げさせていただきます。
 独立行政法人通則法第29条第1項、中期目標。主務大臣は、3年以上5年以下の期間において中期目標管理法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、これを当該中期目標管理法人に指示するとともに、公表しなければならない。
 同じく第30条第1項、中期計画。中期目標管理法人は、前条第1項の指示を受けたときは、中期目標に基づき、主務省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならないと書かれております。
 今のところを踏まえて、こちら参考資料4の表紙を開いていただければと思います。「はじめに」のところの二つ目の段落であるんですけれども、「法人の業務の進捗状況等を国民が把握できるような目標を定めることが必要である」と書かれております。また、一番下のところでございますが、「主務大臣は、本指針に基づき、法人の業務等に係る国民への説明責任を果たしつつ法人の政策実施機能を最大化するという観点から、適切な目標を定める必要がある」と書かれております。
 続きまして、1ページ、「本指針について」というところがございます。こちらに本指針についての2番目のところに基本的考え方及び主務大臣の定める目標の目的ということで、「本指針は、以下の考え方の下に策定されたものであり、主務大臣はこれに基づき目標を定めなければならない」と書かれております。この中で特にまず(1)のところでございますけれども、「法律、閣議決定及びその他政府の種々の改革方針において、法人が取り組むべきとされた事項を反映させる」ということが明記されております。
 同じく(3)のマル1でございます。「法人の組織・事業の見直しの結果を反映させる」ということが記載されております。
 (4)でございます。「目標を定めるに当たっては、早急な財務内容の改善など、法人個々に対する社会的要請をも踏まえ、あらかじめ、法人に対して定める目標が必要性や妥当性を有しているかどうか、当該目標が法人の効果的かつ効率的な業務運営に資するものであるかどうか等の観点からも検討を行わなければならない」と書かれております。
 続きまして、4ページ目でございます。日本学術振興会は中期目標管理法人ということでございますので、「中期目標管理法人の目標について」というところの4ページ目の真ん中に4(1)というところがございます。「(1)国民に対して提供するサービスその他の業務について達成すべき目標を具体的に記載する。特に、国民に対し、『どのような目的及び必要性の下、何に基づき』、『いつまでに』、『何について、どのような水準を実現するのか』等について、次の事項に基づき、分かりやすく示さなければならない」ということが示されております。
 マル3、「『何について、どのような水準を実施するのか』について」ということでございますが、5ページ目の特に2でございます。「アウトプットに着目した目標を必ず定めるとともに、できる限りアウトカムに着目した目標を定めること」と書かれております。
 その下の3でございます。「できる限り定量的であること」と示されております。
 9ページ目でございます。9ページ目の8のところで、「中期計画及び年度計画との関係について」というところもございます。「中期計画及び年度計画には、法人が自主性・自律性を持って業務を遂行し中期目標を達成するための具体的手段等が盛り込まれるものである。したがって、主務大臣の中期目標が、法人が定めるべき具体的手段等を拘束することのないよう留意する」と示されております。
 以上が参考資料4でございます。
 続きまして、参考資料5でございます。こちらは目標策定の際に考慮すべき事項ということが書かれた記載例でございます。こちら3ページのところでございますが、日本学術振興会は、(6)助成・給付業務という形になろうかと思います。こちら時間の関係で飛ばさせていただきますが、こういったところに考慮していただきたいということでございます。
 続きまして、参考資料6でございます。「今後の独立行政法人評価について」でございます。こちら、本年2月20日に総務省の独立行政法人評価制度委員会のところで示された資料でございます。一番上のところに「主務大臣による目標設定、評価」ということが書かれております。一つ目の丸でございます。「目標設定に当たっては、主務大臣は、主務省の所管する政策を実現するため、法人にどのような役割を与え、どのように法人を活用するのか、どのような成果を求めるのかを明確に示し、PDCAサイクルが機能するよう心掛けるべきではないか」ということが書かれております。
 二つ目の丸でございます。「客観的なアウトカムの評価は重要だが、アウトカムに至るプロセスも重要ではないか」ということも示されております。
 参考資料4から6は以上でございます。

【植田主査】   それでは次に、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  はい。それでは、資料1を御覧いただければと思います。資料1に今後のスケジュール等ということで書かせてもらっております。11月21日、本日でございますが、評価等に関する有識者会議ということでございます。来月12月4日に総務省の中での評価制度委員会が開かれまして、見込評価及び見直し内容についての意見が決定される予定でございます。
 本日の意見、さらにはこちらの評価制度委員会の意見を踏まえまして、12月中に有識者の委員の皆様から意見をメールで徴取したいというふうに考えております。
 その後、1月には中期目標案の総務省・財務省事前調整を経て、2月下旬には中期目標が決定、3月には中期計画案が決まると、そういう流れでございます。
 以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。ここまでの説明内容について御質問等ございましたら、御発言をお願いいたします。
 私の方から、参考資料4の一番最後の中期計画と年度計画の関連のところで、主務大臣の中期目標が、法人が定めるべき具体的手段等を拘束することのないよう留意するというふうに注意されておりましたけれども、これは学術振興会にかなりフレキシブルな対応をしなさいということをおっしゃっている。つまり、中期計画の中でも変わってもいいんですか。

【藤澤課長補佐】  あまり目標のところで細かく課題等を書き過ぎるなという、縛らない形で、なるべく法人の考えていることを踏まえるように、あまり書き過ぎて国として縛らないでくださいねという趣旨でございます。

【植田主査】  フレキシビリティーはどうしても必要だと思うんですね。そうでないと、学術振興会、特殊な行政法人で、対応しながら変えていかないと、目標を作ったから、それをともかく達成すればよしというものではなくて、目的は、目標を達成することじゃなくて、学術振興にどれだけ役に立つかという、もっと大きな問題があるわけですね。そういう意味では、途中でもそれに対応できるものがあれば変えていくべきなので、あまり変な拘束条件がない方がいいような気はいたしました。

【藤澤課長補佐】  はい。ありがとうございます。

【植田主査】  ほかに何か御質問はありませんか。

【藤澤課長補佐】  また、適宜、御質問いただければと思います。

【植田主査】   それでは、第4期中期目標・計画の方向性について、まずは安西理事長より日本学術振興会の次期中期目標期間における業務の方向性について御説明いただきます。よろしくお願いします。

【安西理事長】  おはようございます。安西でございます。植田主査をはじめ委員の先生方に大変お世話になりました。ありがとうございました。
 資料2で5分ほど説明をさせていただきますが、中期目標期間における業務の方向性についてということでありますが、学術振興会といいましょうか、学術を取り巻く環境、あるいは課題についてざっと申し上げておければと思います。特に私が申し上げることではないかもしれませんけれども、中期目標計画5年間で、今植田主査が言われたとおり、これからの5年の間に学術の動向が世界でどう変わっていくかというのは本当に予断を許さない、学術といえども非常にスピード感を持って変わっていく時代になっておりまして、そのことは一応、書いてありませんけれども、申し上げておければと思います。
 その外部要因、内部要因とありますけれども、とにかく学術研究の構造が非常に大きく変わりつつある。一つは、国境の壁が本当になくなってきている。これは応用開発的な研究、あるいはプロジェクト研究よりも、むしろ基礎科学・学術研究の方が国際的な場でもっての研究がやりやすいわけですね。そのために、逆に国境の壁が取り除かれた形でもって、非常な競争と協調が起こっているということであります。先般も北京に行っていたのでありますけれども、特に中国の台頭、次に書いてありますが、中国の台頭は本当に著しいものでありまして、これは応用というよりむしろ基礎科学・学術研究のところで中国の台頭が極めて激しい。この2年ぐらいのことだと思いますけれども、そういうことも申し上げておきたい。そういう意味では世界のトップリーグから本当に脱落する可能性がある。いわゆるノーベル賞をとられたような先生方が言っておられますけれども、やはりこれからこの学術の世界での世界の競争の中で、特に若手研究者も含めて一本立ちしてやっていけるようにしておかないと、この5年というのは、そういう意味で非常に大事な時代になると思っております。
 それから、個々の研究者が研究する人生を描きにくい環境ということでありますけれども、やはり基盤的経費が特に大学において減少傾向にある。また、プロジェクト経費に研究費がシフトしている傾向もございまして、自由で独創的な発想を持った研究が恐らく国力の基盤だと思いますけれども、それがなかなか劣化しつつあるという、そういう状況が外部的にはある。
 内部といたしましては、そこに三つありますけれども、特に大学関係を含めた事業が多岐にわたるようになっておりまして、学振の立場というのは、ただ研究を進めればいいということだけではなくて、大学における人材育成も含めて、多岐にわたる大学における教育研究の事業に関わっております。そういう中でのこういう事業の増大に対してどういうふうに対応していくのか。対応していくというよりも、学振がどういう役割を果たせるかということが非常に、特に大学改革の中で大事な時期に来ております。
 それから、企画立案・事業運営の必要性ということでありますけれども、やはり学術振興といえども、効果の分析、企画提案をきちんとやっていく。これは世界の主要なリサーチファンディングの機関は皆そういうふうに急速に変わっておりまして、これも大事だと考えられます。それから、社会の理解、広報、情報発信、これはJSPSはなかなか足りないところだというふうに思っております。人手の問題もありまして、常勤といいましょうか、任期付まで含めて百数十人でやっているという機関でございますので、そういうことはあるのでありますけれども、それにしても情報発信の強化が必要だと。
 次のページは、業務・組織の基本的な方向性として、真ん中に四つ書いてございますけれども、下のところで中期目標・計画の方向性ということでかいつまんで申し上げますが、その一番右側にとにかく国際研究基盤を構築する。これは国際的な場でもって、若い人も含めて、PIとして研究をしていけるような、そういう舞台をとにかく5年間掛けて作らないと、これは世界には太刀打ちできなくなるだろう。
 もう一つは、学術情報分析基盤をしっかり作ることが、これは広報も含めて、あるいは情報分析を含めて、きちんと作ることが必要だと。これはただデータ解析していればいいというものではありません。世界のいろいろな情報のネットワークをきちんと作りながら、海外センター、オフィスもありますけれども、そういう中での非常に総合的な分析基盤を作らなければならないということであります。その上で、真ん中に世界レベルの多様な知の創造、また、次世代の研究者の養成ですね。それから、大学等の強みを生かした教育研究機能の強化、この三つの柱を具体的には推進していく。右側の二つがきちっと基盤になる、こういう構造に次の5年では変えていってしかるべきなのではないかというふうに考えているところでございます。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

【植田主査】  ありがとうございました。
 次に事務局より第4期中期計画の方向性についての御説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、資料3を御覧いただければと思います。こちらは当事務局と日本学術振興会との間でいろいろ議論を重ねまして、その内容を踏まえて作成した資料でございます。まず1ページをお開きいただければと思います。構成案ということで、第3期、第4期を並べております。今、安西理事長がおっしゃいました5本の柱を基に、第4期は、2世界レベルの多様な知の創造、3知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成、4大学等の強みを生かした教育研究機能の強化、5強固な国際研究基盤の構築、6総合的な学術情報分析基盤の構築ということで並べております。
 続きまして、骨子案ということのマル1、こちら2ページ目を御覧いただければと思います。こちら、特に3番目の今申し上げましたセグメントごとについて簡単に御説明させていただければと思います。「3国民に対して提供する業務の質の向上に関する事項」ということでございまして、まず総合的事項でございます。こちら、まず目標でございますけれども、「研究者を中心とする幅広い関係者の意見を取り入れるとともに、研究者の自由な発想と研究の多様性、長期的視点、継続性等の学術研究の特性に基づき、挑戦性、総合性、融合性及び国際性の観点を踏まえた業務運営を行う」ということでございます。その隣に具体的な取組例ということで書かせていただいておりますが、先ほど御説明させていただきました参考資料2の見直し内容の部分については下線で入れております。読み上げさせていただきます。下線部分でございます。一番上のところでございます。「関係機関との連携を進めるとともに、研究者の意見を積極的に吸い上げることにより、効果的な業務運営を行う。」
 その下でございます。「学術システム研究センターを通じて審査・評価機能を強化するとともに、同センターにおける機動的な運営体制を生かし、新たな課題への提案・助言に努める。」
 その下でございます。「男女共同参画への配慮など、学術研究の多様性等の確保に努める」ということでございます。
 続きまして、その下でございます。「世界レベルの多様な知の創造。」目標部分でございます。「我が国が世界の学術研究を先導していくため、研究者の自由な発想に基づく独創的・先駆的な研究を支援することにより、研究者が世界レベルの多様な知を創造できる環境を創出する」ということでございます。
 具体的な取組例でございます。見直し内容のところに書かれたところのみを読み上げさせていただきます。下線部分でございます。「科研費審査システム改革について、新たな審査システムの理解向上に資する取組を行うとともに、一定期間後の再評価を行い、必要な改善に取り組む。」「科研費の『新学術領域研究」について、業務の一元化を念頭に必要な体制整備を進める。」
 続きまして、次のページでございます。「3知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成」。目標でございます。「将来にわたって我が国の学術研究の水準を高めていくため、国際的な頭脳循環を踏まえながら、研究者が自立して研究に専念できるよう支援を充実することにより、国境や分野の枠にとらわれず知の開拓に挑戦する研究者を養成する」というところでございます。
 隣の具体的な取組例、一番下でございます。「事業の応募・採用動向や採用者を巡る環境の変化等を随時把握することにより、採用者の処遇改善や制度改善等の対応を行い、若手の挑戦を支援する人材育成事業の充実を図る」でございます。
 続きまして、「4大学等の強みを生かした教育研究機能の強化」でございます。「卓越した知を生み出す環境を整備するため、学術振興の観点から、大学等における教育研究拠点の形成やグローバル化の取組を支援することにより、大学等の強みを生かした教育研究機能の強化を行う」でございます。
 その下でございます。「5強固な国際研究基盤の構築」。「国際的な競争が激しさを増す中で、我が国の研究者が学術研究を先導していくことができるよう、諸外国の学術振興機関、海外拠点、在外研究者等との協働により、強固な国際研究基盤を構築する」でございます。
 隣の具体的な取組例、二つ目でございます。「国際関係事業の実績を総括するとともに、国際関係事業の在り方について検討し、必要な改善・強化を行う。」
 「多岐にわたる国際関係事業を体系的に整理し、効果的な発信に努める。」
 次のページ、4ページ目でございます。「6総合的な学術情報分析基盤の構築」。「事業を的確に検証し、改善・高度化に結び付けることができるよう、振興会の諸事業等に関する情報を総合的に分析・活用する基盤を構築する。」
 隣でございます。「振興会の活動に関する情報を集約・管理・分析できる体制を整備し、得られた情報を事業の枠を超えて活用することにより、総合的視点に立った企画立案と事業改善に資する。」
 「7横断的事項」。「振興会の事業が、研究者のみならず社会からもより高い支持、信頼を得られるよう、横断的な取組を行う。」
 「効果的な広報活動に資する体制整備を図るとともに、受け手のニーズを踏まえつつ、本法人の事業内容及び成果等の情報の積極的な発信に取り組む。」
 その下でございます。大きな4、「業務運営の効率化に関する事項」のところでございます。一つ目の黒丸でございます。「複数の部署にまたがる共通的な業務について、一元的な運営が可能な組織体制を整備する。」
 四つ目でございます。「ICT等を活用した業務システム整備に取り組む。」
 飛びまして、「6その他業務運営に関する重要事項」。「情報セキュリティ対策を推進するとともに、サイバーセキュリティ戦略本部が実施する監査において特定される課題を解決する。」こちらの文言は全法人に統一的なものでございます。
 その下でございます。「本法人の業務を継続的かつ発展的に遂行するため、中長期的な視点で本法人の核となる職員の育成・充実を図る。」
 以上でございます。

【植田主査】  それでは次に、日本学術振興会から中期計画の方向性についての御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【牛尾理事】  日本学術振興会で理事をしております牛尾と申します。よろしくお願いいたします。私から資料4に基づきまして中期計画の方向性、ポイントについて御説明させていただきたいと思います。
 まず資料の1ページ目を御覧ください。まず総合的事項のところでございますけれども、この部分ではボトムアップでの研究支援という当会の業務運営の特性を踏まえた取組を盛り込んでいくということを考えております。評議員会等を活用して、研究者の意見をきちんと吸い上げるといったこと、学術システム研究センターを機動的に運営していくことというようなことを考えておりまして、指標例としまして、研究者からの意見の徴取状況ですとか、各種事業への状況、有識者の御意見を参考にするということを考えております。
 それから、その際には男女共同参画ということにも十分配慮していき、指標例として審査員における女性比率というものを考えております。
 具体的な事業の柱の一つ目、多様な知の創造ということでございますけれども、こちらは科研費を中心としました研究助成についての取組をまとめております。
 科研費につきましては、全ての分野をカバーする助成金でございますけれども、これについて審査・評価業務を確実に実施するということと、早期交付に努めるということを引き続きやっていきたいと思っております。
 それから、平成30年度の助成から科研費審査システムの改革というものを進めておりますが、これについて中身の普及ということ、それから、実際にやってみての課題の把握、改善等をきちんと行っていくということを考えております。
 そのための指標としまして、科研費の交付の処理状況、特に4月上旬に基本的に交付内定ができるかどうかといったようなこと、それから、科研費の審査評価の公平性・透明性につきましては有識者の方の意見を参考に判断したいというふうに考えております。
 それから、国際的な研究ということで、国際共同研究への支援等も実施したいと考えておりまして、これらについての成果についてきちんと把握するということを指標として考えております。
 続きまして2ページ目を御覧ください。事業の柱の二つ目でございます次世代の研究者の養成ということでございます。若手研究者の育成ということでございます。取組といたしましては、引き続きのものになりますけれども、特別研究員を採用して、研究奨励金を支給すること。それから、若手研究者を海外に派遣する取組も実施していくということ。また、逆に外国人研究者の招へい等も行っていくことを考えております。指標といたしましては、特別研究員、あるいは海外特別研究員につきましては、終了後に常勤研究職にどれだけ就職できているかということが適切な指標かというふうに考えております。
 外国人の研究者の招へいにつきましては受入研究者に対する評価で判断していきたいというふうに考えております。
 三つ目の事業の柱でございますが、大学の教育研究機能の強化への支援ということでございます。幾つかの事業をやっておりますが、特にWPIにつきましては国の定めた方針に従いまして国際的な体制の下での審査・評価・進捗管理を行うということを考えております。これらについてはWPI事業に係る国際的なフォローアップ体制がどうなっているかというのを指標として考えております。
 その他各種大学院、大学教育改革等の事業も実施させていただいておりますが、これらにつきまして国の方針に従って審査・評価等実施するということでございます。これらについての情報発信の実績を指標としてはどうかというふうに考えております。
 続きまして、共通の基盤として次期中期計画から特に取り組んでいきたいということでございますが、その一つ目が理事長からも申し上げたとおりでございますけれども、国際研究基盤の構築ということでございます。これにつきましては、振興会でやっております様々な事業、特に国際と銘打ったもの以外も含めて、全ての事業について国際的な視野で事業を推進していきたいということを次期のポイントとして考えております。
 そのための具体的な取組でございますが、一つには組織体制としまして、国際統括本部というものを新たに設置したいというふうに考えております。ここにおきまして、本会の全ての事業を通じて、また、関係する諸状況の動向などもきちんと把握しまして、会全体として戦略的かつ機動的に国際的な取組を展開できるようにしたいというふうに考えております。
 それから、国際関係事業につきまして各種やっておりますけれども、これらの実績を一度総括させていただいて、次期中期計画期間中に今後具体的にどういう改善・強化をしていくのかということについても改めて国際関係事業の全てを総括していきたいというふうに思っております。
 それから、現在、多国間の学術振興機関で様々なネットワークが作られつつありますけれども、これらにおいて積極的な役割を果たすということ。それから、振興会事業を経験しました外国人研究者コミュニティの形成・活動支援を行うということを考えております。
 指標例、それぞれ右に、内外の情報集約、会合の開催の実績状況でありますとか、国際事業の整理につきましてはその検討会議の開催実績状況、それから、学術振興機関長会議への参加実績、同窓会会員数などを指標として設定してはどうかというふうに考えております。
 それからもう一つの大きな基盤的な取組としてやりたいと思っていることが総合的な学術情報分析基盤の構築ということでございます。こちらにつきましても科研費以外も含めた当会で実施しておりますあらゆる事業について学術情報分析センターというものを新たに作りまして、そこで情報を横断的に分析し、事業の実施改善にも活用していきたいということでございます。これについての情報の分析、成果の積極的な発信というのを指標にしたいというふうに考えております。
 それから、併せまして国内外の学術振興施策の状況でありますとか、学術研究の動向についての調査研究も実施し、これもきちんと当会の事業の企画立案に反映させていきたいと思っております。これにつきましては学術動向調査の実施件数というのを指標としてはどうかというふうに考えているところでございます。
 続いて4ページ目を御覧ください。当会の業務実施に当たって横断的に推進する事項をまとめてございます。これは見直しの中身にも既に指摘されていることでございますけれども、一つは広報活動に資する体制を整備したいということでございます。学術研究の重要性、また、それに伴って当会の実施していることについてなかなか認知度が十分ではないというふうに認識しておりますので、広報活動をしっかり充実させ、積極的な情報発信に取り組みたいということでございます。その実績について指標としてはどうかというふうに考えております。
 それから、これは引き続きの取組になりますけれども、研究不正への対応ということでございまして、研究倫理教育教材について改修等を進めることによりまして、研究倫理教育の高度化の支援をしていきたいというふうに考えております。指標としては関係機関と連携したシンポジウムの開催実績等を考えているところでございます。
 それから、その下、業務運営の効率化に関する事項でございます。当会の事業の効率的な実施という観点から、複数の部署にまたがる共通的な業務につきましては一元的な運営が可能な組織体制の整備ということもやっていきたいというふうに思っております。それから、ICT等の活用、それから、情報セキュリティ対策の推進についても引き続き実施していきたいというふうに思っているところでございます。
 以上、検討途上でございますが、現在考えております中期計画の方向性のポイントでございます。よろしくお願いいたします。

【植田主査】  ありがとうございました。
 日本学術振興会の第4期中期目標・計画の方向性についてこれから御議論いただきたいと思いますが、議論のポイントについて簡単に説明をいたします。
 まず目標について学術研究を取り巻く現下の状況に適切に対応した目標と取組となっているかどうか。また、取り組むべき事項がほかにはないかというふうなことをチェックしていただきたいと思います。
 また、計画について、それぞれの事業の取組の方向性が目標の達成に寄与するものであるか。また、事業の達成度を図る指標が適切に設定されているかどうか。これは指標については中期目標にも記載されるものですけれども、そういうポイントを中心にして今回の議論をお願いしたいと思います。これから時間がある限り、詳しく議論をしていただきたいと思いますので、どうぞ御質問、若しくは意見のある方は発言をお願いいたします。

【鷹野委員】  資料4で御説明いただきました総合的事項にございます男女共同参画を推進する観点からの審査員の委嘱の配慮ということで、指標例が審査員における女性比率という数値が挙がっております。私も本当は知っていなければいけないことだと思うんですけれども、ちょっと失念してしまったんですけれども、この数値の根拠というのがどういうところかというのを伺いたいんですけれども、女性の研究者比率が何%であるので、この比率を何%ぐらいに設定したとか、それから年々上げているのかどうかとか、そういった辺りについて伺えますでしょうか。

【牛尾理事】  指標例に書いておりますのは現状がどうなっているかという数字でございまして、この中期計画期間中にどういう数字にこれを持っていくのかというのは、実はまだ検討途上でございまして、その際に今先生がおっしゃっていただいたような観点から適切な水準が一体何%ぐらいなのかということは考えて、検討途上ということでございます。

【鷹野委員】  そうですか。

【牛尾理事】  今日、ここに書かせていただきましたのは28年度現在、実際こうなっているという。

【鷹野委員】  実績ということですね。

【牛尾理事】  はい。ということでございます。

【鷹野委員】  ちょっと伺いたいのは、研究者比率は今何%というふうに学術振興会では把握されていらっしゃるんでしょうか。分野によって物すごく違うというのは存じ上げておりますけれども、平均として。

【渡辺(正)振興企画課長】  実際、今、牛尾理事がおっしゃったように、正式に決定していく過程ではまさに現在の研究者の比率であるとか、あるいは政府でいろいろな審議会等で目標設定されていますので、そういうものと比較しながら、具体的にどこまで目指すのかというのを、一案を作って、また御相談させていただければと思います。

【鷹野委員】  分かりました。

【植田主査】  どうぞ。

【山本委員】  ちょっと全体的なところでの質問になります。目標にしろ、計画にしろ、大きく総合的事項、世界レベルの知の創造、次世代の研究者といったような項目で作られていますが、ぱっと見ると、例えばカテゴリーの1から7まで同格に見えてしまいますけれども、力を入れるところがどこなのか。先ほどの説明によると、後半の学術情報ですとか、国際が特に今回の期では力を入れていくことというふうに理解しておりますが、ぱっと見たときにそれが分かるような表現というのはどのようにされるのか。それは目標の方と計画の方と両方で、ちょっと不思議に思いました。中身まで読むとたくさん書かれているという判断をされるのか、何かどこかで判断できるようになっているのか。そういった意味ですね。

【樋口総務企画部長】  中期目標は制度上、確かにこの表現だけでは同格のように見えるんですが、それぞれの項目に重要度、難易度というものを付けていくというシステムになっていますので、表現だけではなくて、そうしたものが高いかどうかというようなことも含めて、最終的な中期目標の形では、そういう形でお示しして、濃淡が付くような形にはなるというふうに考えておりますが、現状はこのような形でございまして、それはもう少し時間を掛けて検討させていただきたいと思っております。

【植田主査】  どうぞ。

【髙梨委員】  先ほど理事長からお話ししていただいたように、5年間で大変なことが起きるかもしれない、あるいは起きつつあるというようなことの認識は全く同じでございますけれども、それに合わせて、今回、中期目標と方向性が出てきたということで、全体を見ると非常によくできていて、分かりやすく、読み込めば読み込むほど細かくどこまでするかの話でいいと思うんですが、最初の5年間の緊張感をどこまで盛り込んでいるかという視点で見ていたんですが、言葉が少し、通常というと失礼に当たるんですけれども、出来上がっていて、基本、例えばそれだけの影響があるかと思えば、従来のやり方、あるいは保守的になりがちなやり方、我々もそうなんですけれども、年をとると、そういう保守的なトーンがなくなるような雰囲気のことを、我々はイノベーティブにするんですよとか、国を挙げる必要はないですけど、中国やその他に負けないようにするんですとかというようなことがもうちょっと出ていればいいかなという気がしました。全体的に。
 すごくよくできていて、頑張っていらっしゃるというのはそのままなんですけれども、何々やるとか、こういう目標をするとかというのもよろしいんですけれども、基本的に今までのところを反省するのではなくて、変わってしまったので、今までが悪かったんじゃなくて、今までも一生懸命やってきたけど、もう一つ、一歩先へ進んだ新たな表現みたいなことがあっていいのかなという気がして。
 実は、先々週にアメリカのシリコンバレーに行ってきたんですけど、スタンフォード大学の日本にいた有名な先生と話をさせていただいて、一番感じたのが、教授陣がすごくイノベーティブである。日本の私立の医療系の先生とその前にお話をしたときには、非常にできる先生なんですけれども、一般的に頑張ってらして、今後実務と学術とを融合させるようなことに御支援をお願いしますということを、実務家の視点でお話を伺ったときのレベル感と、アメリカに行ったときのスタンフォードの先生のレベル感と少し違う。
 研究しているので、学術的研究をこうやって自分のところはやるんだよというのはいいんですけども、それは全て実務と影響しているわけですね。その辺の人間関係も何か御紹介してくださいという話で、こういう特許を取った技術があるのでという話を持っていったときに、何か考えますと言って前向きには言ってくださったけども、いつものような感じで、その後があまり続かない。
 アメリカの方は、実は、どんどんやりましょうよという。秘書の方とか、アシスタントディレクターの方と五、六回メールをしたりしてて、今後もシリコンバレーの大きなところのファンドの方へ、こんなところ、どうですかというような話ですとかというふうにつながるんですね。
 ちょっと元へ戻って、その辺がバックにあって、読んでいくと、その辺の最初のスタートのところが、理事長がおっしゃったところの流れからやらなきゃいけない、大変だということでやっているところで、少しずつよくなっているんですけど、イノベーティブな感じを少し入れられないかなと考えていたんですけれども、今どのところをどういうふうに直すかというところは浮かんでないんですけれども、そんな感じがあればいいのかなというふうに思いました。
 それと、それに従ってこの流れで行くとなると、組織のことをよく書いてあってよかったと思うんですけれども、組織体制を整備すると書いてあるんですが、中身なんですけれども、横割りでやるとか、共通的にやるというのは我々もよく言うことなんですが、今でも大学院で教えたりということをやるんですけれども、そこの横割りの体制ってすごく難しくて、縦のラインで、ラインのスタッフというのは上の意思がずっと下へおりていくスタッフのやり方なんですけど、当たり前のことで、省庁もそうなんですが、実は、今の変わっているところというのは、よそから入ってくるのも受入なきゃいけないんですね。下のものを吸収しなきゃいけないわけですね。上から戦略を作って落とし込むときに別の要素があって、現実にこういう大学の研究で、中国がこんなことができた、こんなものを発表された、日本は長い間やっている流れの中でやっていると負けちゃうよねといったときに、ぽんと今までのやり方を変えて、こういうところでディスカッションして、ぽんと入れようというような、そういうようなことができる組織にしてほしいということで、言っていることは正しいと思うんですが、一元的な運営が可能な体制を整備するという意味合いが、その辺が見えるとうれしいなという感覚で、難しい質問になっちゃったんですが、何かもうちょっと新たな従来のやり方でないやり方も導入していいんだというような雰囲気があればいいかなと思いました。

【佐分委員】  よろしいですか。あえて一般的なことを言うんですが、書いてあることはこのとおりで、しかも理事長がおっしゃったように、オールJSPSとして戦略的に国際展開すると言われて、そのとおりだと思うんですが、ところが、国は少子高齢化にどう対応するかというドメスティックな観点で議論されていて、ややもすると、18歳人口が少ないんだから大学なんかの予算を減らしてもいいという議論がかなりある中で、これからの日本社会を活性化し、特に研究分野を活性化するためには理事長がおっしゃっているとおり、中国のように、今、優秀な人材の獲得競争があるわけで、その中で、ここに書かれていることはそのとおりなんだけど、何か完成された研究者を招へいするとか、国際協力、共同研究するとかという観点が従来的なものが多くて、もう少し若い、学生レベルの優秀な人材を海外から取り入れて、日本社会を活性化し、研究人材を育てるというようなところが書かれているんだけれど、予算獲得、その他の観点からすると、これが日本社会の活性化の原点だというようなことがどこかで書かれていると、全体が統合されて、理解できていいのかなという気がします。
 個別には大学のグローバル化の支援であるとか、それから、今度、国際統括本部が置かれるということで、事業全体をグローバルな観点で見ていくということで、それはできることなんだろうと思うけれど、これは国民に対するアピールの仕方として、何で税金を使って外国人を養成するのかというような話に対して理解を確保するためには、そういう表現がどこかにあるといいなというふうに思いました。個別には入っていると思うんですけどね。

【植田主査】  私も、基本的にこれで行っていただきたいと思っているんです。それで理事長が最初におっしゃった外部要因というか、国際的な状況、まさにそうで、確かに基礎科学の方が完全にボーダーはありませんので、もともと広がっているんですよね。それが応用のところまでどんどん影響が入ってきているというのが現状だと思います。
 それで、中国の台頭というのは、日本の国民の皆さんから見ているのとかなり違って、理事長がおっしゃったように、むしろ基礎のところを強化しようとしているんですよ。日本だと応用のところに力を入れているように見えるんですが、違います? 基礎のところはなぜ重要かというと、一つは、中国は、今まで急速に発展したので、応用はある程度いけるんだけど、基礎は時間が掛かるので、彼らはそこは弱いと思っているところがある。だから、そこを強くしたい。もう一つは、学術活動とか、研究というものの本来の在り方で、オリジンを生んだところを作らないと、本当の意味の学術の出発点ができないんですね。つまり、結果がよくても、それは次へどんどん発展してはいかない。だから、数学の方がフランスのある研究所とか、研究室に行きたいというのは、そこがある意味でオリジンを生み出したから。その環境の中でやれば、自分もそういうことができるという、ある意味での遺伝子を取り込みたいということがあるわけですね。
 そういう点では、中国は今そういう遺伝子がないので、遺伝子を自分たちの研究室に植え付けられるような能力のある人を呼んできて、作りたい。だから、必ずしも若い人に働かせようというわけじゃなくて、若い人はそこから生まれるというふうに信じていると僕は思います。
 それはすごく重要で、そういうような違った視点がある、違った分析があるということを、是非広報でも出していただきたい。だから、広報というのは必ずしも日本学術振興会、こんな活動をしていて、役に立っていますというだけの広報ではなくて、学術分野のバックグラウンドを含めて、全体の流れがどうなっていて、何が将来必要かということを、国民に説得しないといけないと思います。ただ、そのために、今インターネットの時代で、非常にバイアスの掛かった情報がいっぱい流れますので、むしろJSPSが出す学術活動に関する分析と情報というのは最も信用できて、これは正しいという、そういう信頼力を作るような形の広報をやっていただけたら非常にあり難いなと僕は思います。
 もう一つは、グローバル学術情報センターを、学術情報分析センターにある意味ではアップグレードされたということなんですけれども、これは非常に重要な活動だから、是非これを活発にしていただきたいんですが、ここで出版社との協力というのはやられるんでしょうか。つまり、日本の圧倒的に弱いのは、出版社が世界の学術情報を握っていて、やっているわけですね。だから、ウェブ・オブ・サイエンスにしても、スコーパスにしても、ある意味では最も情報を持っているのはそこですよね。残念ながら、日本にはそういう出版社がないので、国産の出版社と一緒にやることはできないかもしれないけれども、そこに共同でもいいから、実際に中に入って、一緒に分析して、新しい視点を入れていくことをJSPSなんかでやってもらわないと、彼らは彼らの分析ですけれども、日本は同じデータを見ても違う視点で将来を生み出すというためには何かどこかと共同的な作業が必要なのではないかというふうに思います。これは今のところ独立のものですか。それともどこかでタイアップしたような。

【家理事】  よろしいでしょうか。振興会の理事の家でございますけれども、今、御指摘いただいた、実際にはエルゼビアのスコーパスのデータベースと、まだまだ不十分ですけれども、一部協力して、そういう分析のことはやってはおります。その辺のことを今後もう少し強化しないといけないと。理事長が申しましたように、JSPSの方も固有の職員の制限もあって、手が回らないところもありますけれども、その辺はNISTEPとか、いろいろな関連のところとうまい連携関係をとって、今後やっていくのかなというふうに思っています。

【植田主査】  どうぞ。

【山本委員】  ちょっと今の情報分析の点で追加で質問です。私の理解のために、学術情報分析センターの方は、そうしますと、学術研究の論文のデータ分析といったような御活動が中心で、もう一つの動向の方の調査研究といいますと、NISTEPがされているとか、JSPSがされているとか……。

【家理事】  うちの学術システム研究センターに現役の研究者たち、教授クラスの方がおられまして、定期的に各分野の研究の動向調査というのはやっております。今の学術情報に関しては、出版された論文のデータベースはそれこそ出版社が大きなもののクラスで、そこと協力すると。一方、学振固有の重要な情報源としては、科研費の申請書類とか、成果報告書、そういうものの非常に貴重なデータベースがあるわけですね。それをどういうふうに活用するかということに今後注力していきたいと思います。

【山本委員】  なるほど。そうすると調査研究もそちらの固有の独自のものを活用したというのが中心になって……。

【家理事】  そうですね。それも活用しつつということで。守秘義務とか、そういうことも審査に関わることですので、その辺にも注意しながら、非常に貴重なデータベースですので、活用していきたいというふうに思います。

【山本委員】  ありがとうございます。

【髙梨委員】  ITに関わるところで横割りのIT、やっていることが科研費中心にいろいろなところへ広げてて、内容を管理しているのは分かるんですけれども、例えば国会図書館にいろいろなデータがありますね。大体学術書も全部、学会の学術書も全部コピーを渡して、登録されている。そういうところと連携みたいな形、何か引っ張ってきて、比較検討したりみたいなことができるような仕組みにはなっているんですかね。そこまではなっていないんですか。基本的に縦割りですものね。

【樋口総務企画部長】  国会図書館のデータというものはかなりオープンになっていますので、そのまま活用できるものは多いですし、学術情報という観点で言うと、国立情報学研究所が持っているデータベースの中でもそのまま活用できるものは大きいと思っています。そういうものをできるだけ外の情報も使いながら、我々固有で持っている情報、これは逆に言うと、外に出せないような情報も我々はかなり持っているわけですけれども、そういうものもきちっと使って分析していきたいというふうに思っているということでありまして、そのための連携を密にしていくための協議の機関、話し合いをしてどこまで情報共有できるかというような相談体制というものも関連機関の間で手を広げてやっていかないといけないというふうには思っています。
 それから、我々の中でもかなり事業が多岐にわたっておりますので、その多岐にわたっているデータというものを一元的に管理するということによって横割りにして、いろいろな情報を横断的に分析できるような仕組みを作る。これを海外の横割りの体制として、今回、目指していきたいというふうに考えています。

【髙梨委員】  真意は、予算の中でやらざるを得ないところがあって、局長もいらしているんですけど、実は、ちょっと狭い話で言うと、医療系の内閣府でやっている次世代医療ICT基盤協議会があって、そこで文科省さんも絡んで、経産省さんと厚労省さんと内閣府で、今データを統合しようとしていて、代理機関制度を作って、一般企業だとどうしても利益のことになるので、一般的な財団ですとか、社団だとか、医師会みたいなところにやらせようという、横割りのものをやろうとしたときに、縦割りの予算じゃなくて、横割りの内閣府かどうか、政治の方は僕はあまり詳しくないからあれですけれども、予算を持ってきてでも、今のITのところをやれば、いつも大変なのはよく分かりますし、足りない中で頑張っていらして、人が足りないとか、予算が足りない中で、どこでもそうなんですけれども、その中で、少し特区じゃないんですけど、横割り系のところをほかと組んでやるみたいなことはあり得るんですか。それは省の話ですか。

【関研究振興局長】  ちょっとデータの関係につきましては今内閣府の科学技術イノベーション担当のCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の方で今後の研究開発等をより効果的に進めるために、いろいろなファンディング機関であるとか、様々な省庁で持っているデータについて、これをできるだけ連携をよくして、そして、そういったデータをうまく行政施策の推進、そのための分析でありますとか、推進とかというものにつなげられないかというようなことでの政府全体の取組を進めるということで、今いろいろ検討しております。
 これは今、個別の分野で言いますと、髙梨先生がおっしゃいましたような、例えば医療の分野での法律に基づく匿名化による代理機関の取組であるとか、それぞれあったりするんですが、研究の体制を更に進めていくという観点からのそういった動きというのが政府全体の中でございます。
 そういう中で、例えば学術振興会で一つ大きな事業として行っております科研費で言えば、科研費のデータベースがございます。こういったもののデータをどういうふうに関連付けて関係の機関ともやっていくかということで言えば、例えばJSTとも連携しながら、研究の動向などについてそういったところから分析して、国の戦略的な研究の目標設定などにも役立てていくとか、そういったことなどもやっておりまして、そういう中で、今回の学術振興会に、私ども、目標として、学術のこの情報の部分をきちんと取り上げてやっていこうというのは、まさに学術振興会自体が科研費だけでなく様々な事業をやっておりますので、そこで得られた様々な情報というのをいかに生かしていくかと。その基盤をまず法人として作っていただく。その際に関係の機関とも連携していく。ということで、今回、この法人の事業としては考えていただこうということで、今学振の方でも積極的にお考えになっていらっしゃいますので、それを進めたいということでございます。

【髙梨委員】  どうもありがとうございます。データベースとマネジメントというように、事実としてのデータがなければ全く意味がなくて、どんなに集中しても、分析しても、活用しても、データ自体が間違うとだめなので、きちっとしたデータをいかにつなげるかというところが、ちょっと団体でできないところは国の方からというようなことも含めて、その辺をますます進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。

【関研究振興局長】  はい。

【植田主査】  はい、どうぞ。

【鷹野委員】  もう一つ別の観点、よろしいでしょうか。大事なことに位置付けていらっしゃることの一つで若手研究者の育成ということがあると思うんですけれども、先ほどの基礎研究を重視するというのは、日本、これから重要だなと個人的には思っておりますが、若手研究者が育っていないというか、若手研究者が研究活動するのに大変難しい状況にあるとか、それから、若手の方が職を得るのはなかなか難しいことや、かつてでしたらば、若い間に外国で研鑚を積むというようなことが、後でいろいろな発見なさった方、業績を上げた方というのは、多くの場合、若いときに外国で研鑚を積んだ方がすばらしい実績を上げていらっしゃるという例がたくさんあるわけなんですけれども、今若い方が中長期に留学経験するというのがちょっと減っていると。それは周りは一生懸命勧めても本人たちが望まない場合もあるんですけれども、ただ、行きたくてもなかなかチャンスがないという方もやっぱり多くて、特に私が思うのは、学生の間に半年とか1年とか、そういった経験をさせるということがものすごくその先に生きるというふうな気がしておりまして、というのは、JSPSで数年前になさっておられました若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラムというのがあったと思うんですけれども、それぞれの大学で特色のあるプロジェクトを組んだと思うんですが、私のところでは半年から1年、できるだけ半年以上ということで、授業を受けさせるとか、1年間研究してくるとか、そういった形で送ったんですけれども、予想以上に効果があったというのを実感しております。そういった、その後の追跡調査で当時の学生たちが今どのようにその経験を生かしているかということを、スタートしてから今10年ぐらいたつものですから、やろうと思っているんですけれども、そういったものも、私ども、JSPSの方にデータとしてお返ししたいと思っておりますが、実感として本当にありますので、そういった半年、1年の留学の機会というのを是非推進していただきたいなというふうに思っております。
 文科省のトビタテ!留学JAPANとか、そういったものもいろいろな形で2か月、3か月の経験を大勢にというようなことも大変重要なことだと思っておりますけれども、半年、1年ですね。そういった留学、特に学生の留学を是非推進していただきたいなというのがございます。

【植田主査】  これはJSPSを超える問題をかなり含んでいるとは思うんですけれども、確かに私も、今年も海外の競争的資金の評価をずっとやっても、特にヨーロッパの場合はいろいろな研究費の申請がヨーロッパで統一されたので、いろいろな大学、全部同等で行けるということもあって、よそに派遣するというか、その予算が物すごく多くて、日本のように設備費はほんのわずかなんですよね。むしろそんなのはどこかに行けばあるわけですから、そんなものを買う予算なんか必要ないわけで。そういう意味では人の交流とそこにチャンスを与えることによって人は育つんだというのは非常に大きなことだと思うんだけど、日本ではそういう行ったり来たり、そこに長く滞在しているとかいうことは、もともとの研究費の中に入れるというのは少ないですよね。アメリカでも、カナダでも、実はそういう人件費も含めて入っていますので、非常に大きい。
 その辺はかなりメンタリティーそのもの、研究等の在り方そのものを考える必要があって、出ると。そこも含めて、人的交流システムをどうエンカレッジするかというのは考えていかないといけない。もしかしたらそれはパラダイムが変わっていて、生物系で僕はたまたまハーバードにいた人と話をしたら、ハーバードの大学における生物系の研究は、電話で研究だというんですよ。要するに、電話して、これはブラジルでやってもらう、これはドイツでやってもらう、これはフランスでやってもらうといって、わっと国際的なネットワークを作って、そこに自分たちが作ったノックアウトマウスを使いたいやつがいれば、それを図るのが一番適したところがばっと集めて、やってもらって、データを集めて論文を書くと。それはハーバードのブランドがあって、一緒にやれば、そういうふうに論文が出るということもあるんですけれども、そういうスピーディーなことをやっていると、自分で全部作って、それは非常に信用できるし、いいんだけど、我々物理屋から見ると、そんなので信用できるのかと思うところがあるんですけれども、だけど、全部について責任を負うというのが、多分、感覚がかなり違うところが出てくる。そういういろいろなところに対応しないといけなくなっている。
 ただ、もう一つ、そういうことに含めて、お金の配分の比重が変わりますよということがありますね。ただ、それを見ていると、この間日本で競争的資金でいろいろな方を訓練して、それの一番大事なところは科研費だったんですが、科研費の書き方とか、申請書の書き方というのは非常に強い教育効果があって、どう見ても、今の日本の若手が出してくる研究計画は極めてすぐれている。世界情勢から目標から、何をやるかというのが非常にきれいに書かれてて、海外のものはある意味では強いグループは自分たちの名前を信じなさいで、ばっと一般論しか書いてなくて、提案が出てきますよね。それに比べると、非常にいい教育効果は、まさに科研費のシステムが日本の研究者を教育してきた。逆に言うとやり過ぎたという感じのところもあって、非常に短期的な目標に全部収れんしてしまうので、逆に外国人から見たら、そんなもので目標は書けぬと言って、彼らは一般論で終止するんですけれども。両方あると思いますが、だけど、非常にいい教育をしてきて、研究をある意味では視野をクリアにして進むようにしてきたのは明らかに誇るべきことだと思うんですが、なかなか学振自身がそういうことを言いにくいかもしれませんよね。
 それを評価していかないと、研究者全体のマナーを変えていくところにも学術振興会というのは極めて大きい。それは同時に、そういう結果を、日本政府とかに対して、自分たちの枠を超えたものはこうやって変えないと変わらないよと。つまり、学術の最前線にいる組織ですから、一番情報が入ってきている。それをちゃんと生かして、ほかの本来解決すべき問題を持っているところに提供するようにしていただければあり難いですね。広報は非常に広い範囲にわたると思います。

【安西理事長】  済みません。よろしいですか。多少個人的な見方も含みますけれども、今植田主査が言われた、特にハーバードのことを言われましたけれども、バイオロジーが本当に変わりつつありまして、それに中国、アメリカ、EU、イギリスもそうですけれども、そういうところが連結した環境が出来上がりつつあるわけですね。その中にジャパンがきちっと入っていられるかどうかというのがこれからの5年間の一番試金石になるところだというふうに見ておりまして、そこをきちっと作っていくためには、今、ずっとおっしゃっていただいたようなことは全部入ってまいりますので、データの問題もそうなんですけれども、これは局長が言われた、その流れがありまして、それももちろん捉えながら、情報分析センターを建てると。ただ、データをそろえれば、生で提供すれば、それでいいということではないわけで、どういう発信をするかということは非常に大事になるかと思います。
 また、国際統括本部を作り、情報分析センターを、改組したセンターを作りということになるときに、特に、学振の中でも科研費を扱っている部門と国際事業を扱っている部門があるわけで、ほかにも人材育成とかあるわけですけれども、どうしても国内向けの事業と国際関係の事業は分かれてきてしまうんですね。ただ、外国では、例えばアメリカのNSFでもドイツのDFGでも、あるいはイギリスのRCUKでも、そういう主要なファンディングの機関が研究事業と国際事業を別々建てでやっているところというのはまずないわけで、やはり5年間の課題というのは、科研費も含めて国際舞台での水準の研究をきちんと出していくためには、どういう仕組みでどうやっていったらいいのかということだというふうに見ております。
 あと、若手研究者の学生のときにというのは今年度からですか、海外への博士課程の学生の派遣制度ができておりまして、140人、博士課程の学生を3か月以上1年まで、派遣を始めております。それは博士課程の学生から見ると非常にうれしい制度で、そういったこと。あるいは科研費の一部国際共同研究も文科省の振興局中心で始まっておりますけれども、そういったことを全部組み合わせて、とにかく研究というのは国境というのはもうないんだという、そういうことに、国際事業は別ですよ、研究はまた別ですよという形ではとてもこれからの5年間、そのままだったらもたないというふうに見ております。

【渡辺(正)振興企画課長】  先ほどの留学の話でございまして、私、ちょっと前まで留学を担当していたものですから、少し補足しますと、今安西理事長がおっしゃった大学院の博士課程もありますけれども、学生段階では2004年をピークに日本人の海外留学生は減っていまして、OECDの統計ですと、3分の2ぐらいに減ってきました。一方、OECDの統計だけでは各国の受入人数だけ見ているのではっきりと正しいデータではないのかもしれませんが、特に学部段階での海外留学は日本学生支援機構、奨学金と海外留学、両方担当していますけれども、この法人が文科省の支援を受けて学生に対する短期派遣、長期派遣を支援していますが、そこの統計によると、手元には2009年以降のデータがあるんですけれども、特に短期を中心にかなり増えてきています。ただ、どうしても予算等の制約があって、安倍政権の下で4年ほど前に2020年までに海外留学生を倍増するという目標を立てて、予算額も倍増したりした時期があるんですけれども、現状8万5,000人ぐらいが毎年、学部段階から大学院まで含めてですけれども、海外に留学しています。ただ、約半数、6割弱ぐらいが1か月未満の海外留学で、残念ながら6か月以上1年以上に達する人数で言うと、そのうちの1万5,000人ぐらいです。ただ、この数字も過去に比べたら随分増えてきていますので、大学院、博士もそうですけれども、それに至る前の段階からの学生たちに海外留学、トビタテ!留学JAPANもそうですけれども、展開していくという手法は大分浸透してきていて、最近、学生たちも外へ向ける目というのは、学生個人も広まっていますし、大学も随分変わってきている。学部全員行かせるとか、そういう取組も進んでいますので、そういうところとうまくJSPSも連携していくということが大切だというふうに思っています。

【植田主査】  たまたま先週、東大のSTEPSという海外に派遣するプログラムの外部評価をやっていたんですが、学部生については単位の問題があって、なかなか1か月、3か月というのはできていませんよね。その辺は文科省の方で少し制度をやっていただかないと、大学院はある意味では便法を含めて、よそに行っててもちゃんと……。

【鷹野委員】  単位数が少ないというのがいいといいましょうか。

【植田主査】  単位として認められる。

【鷹野委員】  とる単位も少ないですし、専門性が高いという。

【植田主査】  ある意味、フリーにある程度コミュニケーションしながら、出せるんですけれども、学部はそれができないので、非常に短期にとどまっていますね。だけど、学部は本当にクオリティー依存ですね。3年生で行った人に実はインタビューしましたが、めちゃくちゃ優秀で、向こうの教授とまともにやり合ってきて、向こうの研究の全体の俯瞰図を出して、問題点の指摘まで全部言いますから。すごい優秀なやつを派遣すれば、学部3年生といえどもすごい影響はあります。それはかなりクオリティー依存だとは思いますけれども、どこでも受け取るものがある人はちゃんと受け取って帰ってくるというふうに思いますね。

【山本委員】  また別のテーマなんですけども、安西理事長の方がおっしゃられた大学改革と絡めた形の、セグメントで言うと大学等の強みを生かした教育研究機能の強化のところでちょっとお伺いします。ここは現行の目標から言うと新たに抜き出したという形で一つ立てたという形だと思います。その理由をちょっとお願いしたいというのは、つまり5年前と比べて、この手の事業が非常に増えてきたと。それを引き受けるのがJSTのような研究、産学連携ですとか、創造研究なんかと違って、これはJSPSで引き受けるという形で、非常に大きくなってきていて、それが今国立大学と非常に強くリンクしているというようなところかと思うんですが、この辺り、お願いしてよろしいですか。

【安西理事長】  現在の中期目標・中期計画期間において、次世代の大学の教育研究機能向上というのは立ててありますのは、大学改革に関連した事業を受けてやっている、そういう事業がかなりありまして、そういうことの受皿という意味で書いてあったんですね。ただ、やはり今大学が非常に大きな曲がり角にはある中で、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、一種のIRというんでしょうか。大学が、特に大学院レベルの教育と研究ですね。そこの交差点のところをどういうふうに作っていったらいいのかということについてかなり迷いもあるし、どうしたらいいのか。これはいわゆるトップレベルの大学はいいのかもしれませんけれども、一般的な意味ではそういう課題があると思われます。それに対してまとまった形でもって、こちらの持っているいろいろな経験とか、ノウハウを生かして、IRというんでしょうか、そういうことができるといいなというふうに考えているということですね。

【山本委員】  こちらからIR的な形でこっちを返せるようなことを。

【安西理事長】  そうですね。ただ、これは本当に振興局のことでもありますし、軽々には申し上げにくい。実際には今後も特にWPIですとか、あるいはほかの大学の、いろいろな関連事業が学振としてはやっていくことになると思いますので、それの受皿をきちっと残していきたいという意味もありますので、できれば今後の5年間のことを考えると、大学に対してそういう事業をまとまった形でもって何か助言でもいいんですけれども、そういうことができるといいのではないか、そういうふうには思っております。これは振興局のマターだというふうに思います。

【植田主査】  よろしいですか。では、おおむね御意見出そろったかと思いますので、本日の議論を参考にしつつ、事務局と日本学術振興会により、第4期中期目標・計画の文案が作成されます。12月中にメールで委員の皆様に文案を事務局から送ってもらいますので、御確認いただきますようお願いいたします。そのときにまた追加の意見を頂いても結構です。
 では、本日の主な議事は以上です。最後に事務局より何か連絡事項等があれば、お願いいたします。

【藤澤課長補佐】  本日はありがとうございました。今年度、有識者会議の最後となりますので、最後に関研究振興局長から一言御挨拶申し上げたいと思います。

【関研究振興局長】  本日はどうもありがとうございました。お忙しいところ、7月から本日の3回の会議まで御出席をいただきまして、大変幅広い観点から御意見を頂きまして、本当にありがとうございました。日本学術振興会の法人評価自体につきましては、特に今年度、今日も御議論いただきましたように、年度評価に加えて、目標期間中の全体の見込評価でありますとか、業務全般の見直しについても御議論いただきまして、それを踏まえて、今日、次期の中期目標や計画の方向性についても御議論いただいたわけでございまして、この後もまた私ども、まだ途中のところもございますので、よく検討いたしまして、文案を固めて、それの案につきまして、先生方に、これは個別にまた御意見を賜って、それらを踏まえて、先ほどスケジュールで示しましたとおりに年度内に次期の目標と計画を立ててまいりたいと思っております。そういう意味で、今日は会議としては最後ということでございますので御礼を申し上げる次第でございますが、引き続き先生方に多大な御協力をいただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。そのことをお願い申し上げまして、お礼の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【植田主査】  それでは皆様、御多忙の中、活発な意見交換に御協力いただいてありがとうございました。
 それでは、本日の有識者会議はこれで終了いたします。ありがとうございました。



―― 了 ――

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