独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成29年7月4日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省17階研究振興局会議室

3.議題

  1. 有識者会議について
  2. 評価項目・分担について
  3. 平成28年度業務実績に係る自己評価及び第3期中期目標期間終了時に見込まれる期間実績に係る自己評価について
  4. その他

4.出席者

委員

植田主査、佐分委員、髙梨委員、鷹野委員、山本委員

文部科学省

関振興局長、渡辺振興企画課長、山口振興企画課学術企画室長、藤澤振興企画課課長補佐、宮地人材政策課課長補佐、松本学術研究助成課企画室室長補佐、渡邉政策課国際戦略室室長補佐 ほか

5.議事録

【藤澤課長補佐】  ただいまから平成29年度第1回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会議を開催いたします。お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 私、振興企画課の課長補佐の藤澤でございます。
 では、初めに、議事に先立ちまして、研究振興局長の関より御挨拶を申し上げます。

【関研究振興局長】  おはようございます。本日は御多忙のところ、この独立行政法人日本学術振興会の評価に関する有識者会議に御出席を頂きまして、ありがとうございます。第1回目の会議ということでございますので、御挨拶を申し上げたいと存じます。
 まず、委員の先生方には、この度、この有識者会議の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございました。今年度、前期から引き続き、委員をお引き受けいただいた先生、また、改選で新たになられた先生もいらっしゃるわけですが、よろしくお願いを申し上げます。
 日本学術振興会の中期目標期間は、平成25年度から29年度の5か年でございまして、今年度は最終年度ということでございます。そのため、今年度におきましては、平成28年度、昨年度の年度評価ということに加えまして、平成30年度からの新たな中期目標の策定ということが、これから必要になってまいります。また、それを見据えて、中期目標期間、この5年間の全体の見込み評価でありますとか、あるいは業務全般の見直しと、こういったことを行っていくことになるわけでございます。
 先生方におかれましては、本日も含めて、この会議における御出席において御議論を頂き、また、メール等でもいろいろ御意見を頂いたり調整をさせていただくなど、御負担をお掛けすることとなるわけでございますが、どうぞ忌憚のない御意見を頂きまして、これからの日本学術振興会、更に良きものとなりますように御意見を頂ければ有り難いと思っております。よろしくお願い申し上げます。

【藤澤課長補佐】  続きまして、今期は委員の改選がございましたので、委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。資料1-1の2枚目に名簿を付けておりますので、御覧いただければと思います。
(委員を紹介)以上、5名でございます。今期より、鷹野委員と山本委員に、新たに委員をお務めいただくこととなりました。
 また、本有識者会議の事務を掌理する主査につきましては、前期に引き続き、植田委員にお務めいただくこととなりますので、ここからの進行は植田主査にお願いしたく存じます。よろしくお願いいたします。

【植田主査】  植田です。今期も引き続き主査を務めさせていただきますが、本有識者会議は、日本学術振興会の業務運営の改善に資するよう、文部科学大臣による業績評価に際し、その実効性を確保するための助言を行うこととされております。主査として委員の皆様とともに適切に対応していきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、本日の出席者及び配布資料並びに有識者会議の公開について、事務局より確認をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では初めに、事務局の出席者を紹介させていただきます。お手元に座席表がございますので、そちらを御覧いただければと思います。
(事務局を紹介)
 また、本日は、平成28年度業務実績評価及び見込評価に関し、委員の皆様より御意見・御助言を頂くに当たりまして、日本学術振興会からのヒアリングを予定しております。このため、日本学術振興会の理事長、役員及び職員の皆様に御出席いただいておりますので、御紹介させていただきます。
(日本学術振興会役職員を紹介)
 なお、日本学術振興会からの御出席者につきましては、あらかじめ主査に御了承いただいておりますことを御報告させていただきます。
 続きまして、配布資料でございます。議事次第にある配布資料の一覧のとおりでございます。本日は資料1-1から4、並びに、机上には安西理事長からの御説明資料と評価に当たっての関連資料、ファイル等を置かせていただいております。欠落等がございましたら事務局までお申し付けください。

【植田主査】  それでは、議事に入ります。初めに、議題1「有識者会議について」です。本件については事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、資料1-1から1-3を御覧いただければと思います。
 まず、1-1でございます。こちら、1ページ目、本有識者会議の設置についてということで、平成29年6月19日付で研究振興局長決定というものでございます。昨年度までは官房長の下に置かれました政策評価に関する有識者会議の下に設置されておりましたが、今年度より各独立行政法人を所管する局長の下に各独法の有識者会議が設置されております。こちらの方の趣旨に書かれているとおり、本会議は、文部科学省所管の独立行政法人の評価に関する基準に基づき、文部科学省が所管する独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する助言を得、その知見の活用を図るため、設置するものであるというものでございます。
 2番目に、検討事項ということで、(1)から(7)までございます。特に今回は、(1)のところの中期目標の策定に関する助言で、今回、この夏にやるものは、(4)年度評価、見込評価に関する助言というところをお願いしたいと考えております。
 続きまして、資料の1-2を御覧いただければと思います。こちらは、有識者会議の公開についてということで、本有識者会議は原則公開でやりたいと思います。第2条、有識者会議の会議は原則として公開して行うということでございます。今回、先ほど申したとおり、官房長の下から各局長の下に設置の位置付けが変わりましたので、改めてこちらの規定を定めるものでございます。
 本規定に基づく運用といたしまして、昨年度同様、今回と次回の議事は公開にて実施させていただきたいと考えております。その運用で御了承いただけるということであれば、一般傍聴者の入室を許可させていただきたいと思いますが、今回、一般入場者の登録がないというところでございます。
 以上が資料の1-2でございます。
 続きまして、資料の1-3を御覧いただければと思います。これはA4の横判でございます。「独立行政法人制度の概要と今年度の有識者会議の運営について」というものでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目、右下のところに2ページと書いているものですが、こちらは、まず、独立行政法人は、公共性の高い事務・事業のうち、国が直接実施する必要はないが、民間の主体に委ねると実施されないおそれがあるものを実施し、法律によって設立されたものであるということで、こちらの日本学術振興会は、丸1、中期目標管理法人という位置付けでございます。多様なサービスの提供を通じて公共の利益を増進する法人。目標期間は3から5ということで、JSPSについては5年ということでございます。
 もう1ページおめくりいただきまして、3ページ目を御覧いただければと思います。ここで3行目に、主務大臣の役割ということが書かれております。主務大臣は、中期目標の策定・中期計画の認可、評価、見直しの内容を通じまして、独法に対してミッションを付与するという位置付けでございます。一方、法人の長の役割といたしましては、中期計画の策定、実績報告・自己評価を実施していただくということでミッションの実現を行っていただくということになっております。
 続きまして、4ページを御覧いただければと思います。4ページは、先ほど申し上げました1-1の2の検討事項、ここと全く一緒でございます。これは省かせていただきたいと思います。
 その後の5ページ目でございます。今年度の主なスケジュールということでございます。点線の枠で囲っております7月4日、本日でございますが、第1回目ということで、法人からヒアリングを行いますと。次回、7月20日、2回目ということで、大臣評価書案・見直し案の検討を行っていただきたいと。これはまだ、今後調整ではあるんですけれども、12月頃をめどに中期目標案・中期計画案の検討ということで、こちらの方の回数とか日程については、また改めて調整させていただければと思います。
 最後のページでございます。こちら、総合評定・項目別評定、S、A、B、C、Dとありますが、真ん中のBということで、(標準)と書かれております。ここが標準でございますので、念のため申し上げます。
 以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。ただいまの説明について、今回、特に確認すべきことがあれば、御発言を頂きたいと思います。
 特にありませんか。所管が少し変わったけれども、内容は変わらないですよね。

【藤澤課長補佐】  変わらないです。

【植田主査】  それでは次に、議題2「評価項目・分担」について、お願いします。「評価項目と各委員が重点的に助言を行う項目の分担(案)」について、事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、資料の2を御覧いただければと思います。こちら、1枚目の両面で、28年度の、これは年度評価でございます。3ページ目と4ページ目、2枚目の方が、第3期中期目標期間に見込まれる見込評価ということで、こちらは付けております。こちら、特に1枚目の28年度の年度評価のところで御説明させていただければと思います。
 基本的にこちらは昨年度の項目をそのまま踏襲しつつ、一部見直し、内容や評価のウエート、規模感を勘案して評価項目を見直しております。見直したところが、こちらの2の「世界レベルの多様な知の創造」の(1)学術研究の助成というところでございます。こちら、丸1、審査・評価の充実、丸2、助成業務の円滑な実施、丸3、研究成果の適切な把握及び社会還元・普及を、昨年度までは個別に評価しました。
 一番右側の方に、参考で27年度評点ということで、ここが個別になっておったわけですけれども、こちらを、今年度は評価項目を大くくり化して、二つにまとめております。去年は、この5というところは4に包含されてやっておりましたので、こういう形になっております。
 あとは、委員の先生方におかれましては、こちらの28年度の業務実績評価、あと、見直し評価の、こちらの全体を通じて御意見を頂きたいと考えておりますが、特に重点的に見ていただきたいという項目につきまして、先生方の専門分野とかボリューム感を考慮しつつ、分担案を、こちらの事務局として作成させていただきました。
 鷹野委員におかれましては、今現在、振興会の科研費委員会の委員を務めておられるということでございますので、科研費に係る評価に関する意見につきましては、こちらの評価の方には活用しないということにさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等はありますでしょうか。皆さんの分担、これでよろしいでしょうか。実際やってみないと。かなりボリュームがありますけれども。

【山本委員】  質問ですけれども、新任なので不安を持っているんですけれども、新任の私が組む先生方の名前がここで見えるんですけれども、そちらの先生方は、この項目については以前からやっていらっしゃるという安心感を持ってよろしいかという確認ですけれども。

【佐分委員】  大体やっています。

【植田主査】  継続していますね。

【山本委員】  やっていそうな感じですかね。

【佐分委員】  安心していただいていいかどうかは別にして、やっている人たちです。

【山本委員】  恐れ入ります。

【藤澤課長補佐】  こちらは全体をまず通して御意見を頂きたいと、見ていただきたいということで、特に重点的にということで、こちら、名前を付しておるということでございますので、全体を見ていただいて、特にここの部分については先生方に、御専門とかそういった辺りを勘案して振らせてもらっているということでございます。

【関研究振興局長】  誤解のないように付け加えますと、そういう意味では、担当委員となっているところだけを見るということではなくて、これは有識者会議として合議体で御議論いただいて、評価について御助言を頂くという場でございますので、そういう意味では、今回、それから次回を通じて、先生方には、ここに担当となっているところ以外の部分も当然、どうぞ忌憚のない御意見を頂ければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【植田主査】  新しい委員の方もおられるので、従来どうやっていたかというのを少しお話ししますと、これをコメントを書いて、ちゃんとその報告書に載せろとすると、かなりバリアがかかって、いいかげんなことを言いにくいなとなると、どんどんコメントが少なくなっていってしまうんですよね。
 それで、学術振興会に対するコメントのときには、割と自由に出していただきたいということがあるので、割と自由に疑問も含めて書いていただいて、その中でここは絶対にちゃんと対応してもらわんと困るというところは、下に下線を引いたりしながらそれを強調すると。そうして、ある意味では自分の感覚としてはこうなんだけれども、学術振興会の方で、それをある意味では意見を聞いて取捨選択をして、いいものならば採択していくのでいいと。
 そうでないと、現場がよく分かっていないので、必ずしもぴったりマッチしていないものはやめようとはしないで、それも一つの意見として出すということを今までやってきました。その代わり、それは反映されないことも当然ある。そこは文科省の方とも含めて、調整をしていただいて構わないと言っている。だけど、これはどうしても入れろと、変えなさいということがあるところについては、ちゃんとそう協調して、これは強い意見ですよということをちゃんと出していただくとして、なるべくたくさん意見を出してもらうことの方が大事だと思っています。
 つまり、最終的な報告書にまとめるときにはどれか選びますけれども、最初にまず選ぶ材料がなかったら話にならないので、それをやっていただくように、これまでは運営をしてきました。だから今年もそうやって、意見はたくさん出して、後でそれを選ぶということにしたいと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。それでは、この分担表は原案どおり決定いたしますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、続いて、議題3「平成28年度業務実績に係る自己評価及び第3期中期目標期間終了時に見込まれる期間実績に係る自己評価について」です。ただいま各委員が重点的に助言を行う項目の分担を確認したところですが、早速、日本学術振興会が実施した自己評価の内容について、同会からのヒアリングを行います。
 まずはヒアリングの進め方について、事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  まず、こちら、資料3-1から3-4で、かなり大部ではあるんですけれども、こちら、日本学術振興会の方で作成いただいたものでございます。
 まず、資料の3-1というのは、自己点検評価・外部評価についてということで、振興会の方でいついつやったというペーパーでございます。
 3-2の、これ、a、bとあるんですが、aが、こちら28年度評価で、bというのが、これは見込評価で、それぞれ評点を付しているものでございます。
 3-3のa、これもまた2-1と2-2で分かれるんですけれども、こちらは実際の自己点検評価・外部評価の全体です。同じくbというのは、こちらが見込評価のものでございます。
 それで、3-4のa、bが、こちらの要旨ということで、こちら、3-4のbに基づいて、本日、日本学術振興会の方から御説明いただくものでございます。
 様式につきましては、昨年度からの変更はございません。
 主な評価指標のところですけれども、例えばですが、3-3のaの2-1を御覧いただければと思います。こちらは、ページをおめくりいただきまして、3枚めくって、真ん中の下に2ページと書いてあるところがございます。ここのところの、例えば「主な評価指標」というのが、真ん中からやや左側にございます。こちら、「主な評価指標」のところに、「主な定量的指標」というのが一番上にございます。こちらは、定量的な表記が可能な実績を有する評価項目に限りまして、関連する指標をこちらに書かせてもらっております。その次が、「その他の指標」というのがございます。こちらは、中期計画の項目に係る業務の実績が得られているかという定性的な指標を、一律にこちらは設定しております。その下の、今度は「評価の視点」というところでございますが、過去の評価における指摘事項や、過去の見直しの方向性などを、こちら、記載しております。
 ヒアリングは、これから振興会の方から約40分で御説明いただきまして、その後に、委員の先生方と質疑応答を行えればと考えております。
 以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。本日は安西理事長に御出席いただいておりますので、理事長から机上資料に基づいて振興会の現状について御説明を頂いた後、平成28年度業務実績及び第3期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績を、自己評価について日本学術振興会より説明をお願いいたします。

【安西理事長】  改めて、安西でございます。今、植田主査の方からお話ありましたので、5分か10分だけ時間を頂いて、前もって御説明させていただきます。学振について、日頃から御指導、御支援いただきまして、誠にありがとうございます。改めて御礼申し上げたいと思います。机上資料、大部になっておりますが、本当にかいつまんで、ざっくりの御説明だけさせていただきます。
 開けていただきまして、この5年間の当初の今般の中期目標・中期計画につきましては、開けたすぐの1ページの下の方に四つ箱がございまして、世界レベルの多様な知の創造、強固な国際協働ネットワークの構築、次世代の人材育成と大学の教育研究機能の向上、エビデンスに基づいた学術振興体制の構築と社会との連携の推進、この四つの柱に全ての事業を整理いたしまして、それで推進してまいりました。後でそれぞれについて詳細な報告はさせていただきます。
 その中でもって、特に世界レベルの多様な知の創造というのは、多様なというのが入っているのが大事なところだと考えておりますけれども、2ページ以降にありますように、特に科研費について、日本全体の、今、学術研究・基礎研究等々含めた、例えば論文のトップ1%がどうしたとか、そういう話がいろいろございますけれども、科研費で支援された論文については、かなりレベルは高いと考えておりまして、そういったことは是非御理解いただければと思います。
 一方で、2ページの下にありますように、予算は平らといいましょうか、フラット状態でございまして、2ページの右下にありますように、一方で、科研費の応募件数はうなぎ上り状態で、今、10万件を超す状況になっています。これは恐らく特に国立大学の運営費交付金の減少等とも絡んでいるかとは思いますけれども、それとは別に、学術研究の研究費、あるいはそういった学術に対する振興の状況というのが、なかなか厳しい状況にあるということも申し上げておければと思います。
 3ページからは、科研費といいますと、例えばノーベル賞の日本から出た受賞研究については、当初、ほとんどが科研費でサポートされております。このことはいろいろなところで紹介もされているかと思いますけれども、一方で、4ページにあることは余り知られておりませんで、地方創生を支えると書いてございますが、科研費というのは、特に個人の独創的で自由な研究を支援していると。また、人文学・社会科学も含めて、あらゆる分野を支援しておりまして、そういう意味では、国公私を問わず、あるいは都道府県を問わず、むしろ大都市圏以外の県の方が伸び率が高いという、こういう状況がございます。そのことも是非申し上げておければと思います。
 5ページは、多様な大学の研究を支える科研費、これの棒グラフの数字が書いてございますけれども、これは科研費を取った件数ではございませんで、科研費がこれまで細目というのがございましたが、それぞれの細目について、採択件数が1位になっている細目の数です。そういうことでも、この赤く囲ってあるのは私立大学でございますけれども、例えば右上の人文社会系については、早稲田大学が、八つの細目について、科研費の採択件数は日本で1番でございます。こういうことも御紹介できればと思いますし、科研費の意義というのは、そういうところにもあるのではないか、こういう中からノーベル賞クラスの研究が芽生えてきて、育っていくんだということだと考えております。
 6ページは、一方で科研費改革について、特に国際性・挑戦性・融合性と書いてありますけれども、国際性については、国際共同研究加速基金を科研費の中に創設しております。また、挑戦性については、既に総合審査によります挑戦的研究の推進を科研費の中で始めておりまして、右側の融合性については、審査システムの改革、特に今年度の公募から細目を見直して、大区分・中区分・小区分という、そういう区分の形をとりまして、総合審査方式を入れて、挑戦的で融合的なそういう研究を是非バックアップしていきたいということになっております。この審査システム改革は相当の議論を経て始めるという、そういう状況にあるということも御紹介しておきます。
 余り時間を取るといけませんので、次に参りまして、7ページ以降は、国際協働ネットワークでございますけれども、JSPSは世界に10か所の研究連絡センターを持っております。そういったセンターのいろいろな活動を含めて、今までJSPS事業経験者というのは、JSPSの支援でもって日本で研究をしてきた、そういう研究者たちのことが主でございますけれども、これまで約2万6,000人の外国人研究者をサポートしてきております。その下に、同窓会設置18か国と書いてございますが、同窓会は、7,400人ぐらいの研究者が18か国でもって、今、活動を起こしてくれておりまして、こういう人たちが学振を通して日本の学術研究に対する支援者に、非常に大きな力になっています。
 8ページは、学術振興のリーダーシップ、これもかなり今、日本が、特にJSPSが取るようになっておりまして、私自身がグローバルリサーチカウンシルと呼ばれる世界会合の議長を2年間務めていたのでありますけれども、特に日本とアメリカ・ドイツ・イギリス辺りが、学術研究の世界的な方向をリードして作り出している状況が出来てきているということも申し上げておければと思います。下側には、日中韓の3か国の会議、あるいはアジア10か国の会議も、これは日本がかなりリードして行っております。
 次の9ページ以降、国際学術交流事業、これも相当な数をやっておりまして、これまで6万2,000人の研究者を受け入れ、また、派遣は、11万5,000人の日本人の研究者を外国に派遣しております。
 10ページは、外国人特別研究員等々、とにかく国際交流事業も非常に活発に行われておりまして、日本で学振のサポートを受けた研究者たち、相当なレベルの人たちが、母国でもって、あるいはいろいろな地域でもって活躍をしています。
 11ページ以降は、人材育成のことでございますけれども、海外特別研究員、特別研究員、あるいは11ページの一番下に、若手研究者の海外挑戦プログラムとありますけれども、これが今年度から始まっておりまして、博士課程の在籍学生140人を外国へ派遣する事業が始まっています。これに更にポスドク、若手研究者レベルでもって海特等々ございまして、さっきの科研費の国際共同研究加速基金も含めて、国際的な場でもって特に若手・中堅の研究者が活躍をしていけるような、そういう方向への施策を相当一貫した形で取り始めているという、そういう状況がございます。
 12ページは、若手研究者の育成について、運営費交付金が非常に激減しておりまして、国立大学への運営費交付金の減り方よりも、学振の運営費交付金の方がずっと激減状況が甚だしいものがございまして、特別研究員等々はそれでやっておりますので、どうしてもなかなか増やすというわけにはいかない。
 一方で、そこの12ページにありますように、学振特別研究員の場合は、常勤の研究者への就職率が非常に高いんです。ポスドク問題が、今、いろいろ言われておりますけれども、プロジェクトマネーのポスドクと学振の特別研究員というのは是非分けてお考えいただかないと、全体のポスドク問題は非常に深刻でありますけれども、その中で、学振の特別研究員については、かなり、90%以上あると思いますけれども、常勤の研究職に就職をしています。
 13ページからは、主要国の学術振興機関と比較をいたしますと、特に13ページで御覧いただけますように、日本・アメリカ・イギリス・ドイツと、こう書いてありますけれども、常勤職員のところを見ていただくと、常勤職員はJSPSは166人でございまして、それで、今、申し上げてきた事業の支援をやっています。NSF、それからRCUK、DFG等々と肩を並べてやるということを160人余りでもって続けていると、こういう状況がございます。
 14ページは、主要国の学術振興機関の予算推移でございますけれども、これは為替レートで億円に合わせてありますけれども、日本は本当に低空飛行でやっている。余りこれは宣伝という、何というか、バイアスかけるということではなくて、本当に客観的に御覧いただければ結構だと思います。
 15ページ、16ページは、中国の状況でございまして、中国の自然科学を中心にした、特に大学へのファンディングをやっている機関をNSFCと申しまして、学振の一番の対応機関、あとは、学振は中国科学院とも深い関係がございますけれども、NSFCの予算がこの30年で300倍以上に増えております。
 また、16ページにありますのは、中国の場合、三十五、六歳の新しい世代のPI、これが激増しておりまして、そういったパワーというのは、中国が学術研究に非常に大きな力を持ち始めているということであります。そのことも、是非申し上げておきたい。
 17ページは、人件費の確保が、先ほど申し上げたように運営費交付金でやっておりまして、非常に難しい状況がございます。学振の予算が、科研費が非常に大きいわけでありますけれども、運営費交付金の割合が小さいために、人件費、あるいは国際事業、あるいは特別研究員、海特の事業に充てております運営費交付金の自由度が非常に小さいということも、是非申し上げておきたいということでございます。
 18ページは、その中で、本当に日本が学術研究において取り残される状況があるということ。19ページも同じでありますけれども、国際化と乖離してきている状況があるということ。これを何とか食い止めるということを、学振が、国際化と、それから挑戦研究というんでしょうか、挑戦的な方向に、とにかく科研費も含めて振らなければならないので、それに大きな努力をしているということでございます。
 今、ずっと申し上げてきたことは、もちろん次期の中期目標・中期計画に入ってくることでありますけれども、20ページ、21ページには、今、申し上げたことのまとめとして、本当に世界が学術研究において変わってきておりまして、国境の壁が本当になくなって、もうEU・中国・アメリカの深いつながりができてきているというのが非常に大きいのでありますけれども、そこに日本がどうやって取り残されずに食い付いていくかという、そういう状況がございます。応用開発あるいは経済的なイノベーションだけではなくて、学術研究の国際的な競争が非常に激しくなっているということは、是非共有させていただければ有り難いと思っております。
 そういう中で、本当に独立してやっていける日本の若い研究者を育てていかないといけない、それを国際的な場でもって育てていかないといけないということでありますので、もう最後のところでございますけれども、国際的な学術の最前線から学術研究と人材育成を支えていく、また、それをむしろこの転換点でもって何とか道をつけていかなければいけないというのが、JSPSの現在の使命だと思っておりますので、その最後のところにありますように、国際的な研究基盤、あるいは学術情報の分析基盤を、申し上げる機会ありませんでしたけれども、データの共有等々含めた情報分析の基盤を作って、それで、今、ずっと申し上げてまいりました、これからの時代への方向付けをしなければいけないということだと考えております。
 最後は、科研費の審査システムの見直しについての記事でございます。
 以上、これから報告をさせていただければと存じますが、前もって、全体の状況と活動について御報告を申し上げたということです。どうもありがとうございました。

【樋口総務企画部長】  引き続きまして、日本学術振興会の業務実績の説明をさせていただきたいと思います。
 まず、この評価のプロセスにつきまして、資料の3-1に基づいて説明をさせていただきたいと思います。日本学術振興会の業務実績の評価については、自己点検評価に加えて、外部有識者による評価というものを加えて評価を提出してございます。1ページにございますのは自己点検評価でございまして、理事長を委員長とする計画・評価委員会を設けまして、4月25日、5月12日に会議を開きまして、評価結果を取りまとめて、外部有識者の評価に掛けました。
 裏のページには外部評価が掲げてございますけれども、外部評価委員会、青木克己先生を座長とする委員会で、5月15日、6月7日、6月19日と、3回の会議を経まして外部評価を取りまとめて、理事長名によって、文部科学大臣宛て御提出させていただいているものが、今日の資料でございます。
 毎年、この評価は年度評価を御報告させていただいておりますけれども、本年は中期目標期間の最終年度でございまして、中期目標の見込評価というものを併せて行っております。これを両方御説明しなければならないわけでございますけれども、基本的に中期目標期間の終了時の見込評価の中で、28年度に起こったことの特筆すべきところを注記させていただく形で御説明させていただきたいと思いますので、資料としては、3-4のb、表題としまして「第3期の中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績の自己点検評価の要旨」という横書きの資料に基づいて、御説明をさせていただければと思います。
 それでは、資料をお開けいただきまして、御説明させていただきたいと思います。まず、総合的事項、各業務の柱を横断した事項についてでございます。この総合的事項は、評価単位を三つに分けてございます。まず初めは、学術の特性を踏まえて研究者の意見を取り入れた制度運営。それから、関連機関との連携を図りながら、また、多様性の観点から女性の審査委員等の登用を図りながら、公募事業における電子化も推進し、研究者の多様なニーズに対応する業務運営を行っていくということを掲げてございますが、中身といたしましては、資料1ページの左上にございますように、まず機関設計といたしましては、日本学術振興会につきましては、評議員、それから学術顧問という形で有識者の御意見というものを取り入れる仕組み。それから、その下にございます学術システム研究センターというものを活用して、第一線で活躍する研究者の専門的知見というものを業務運営に反映する仕組みを取ってございます。
 また、その下に他機関との連携がございますが、各府省との連携は、e-Radという研究開発の共通システムによって競争的資金の情報共有を行い、日本学生支援機構とは特別研究員の研究奨励金の重複受給の防止のための連携、JSTとは大型の科研費とJSTの戦略事業との情報共有、それから、NII、国立情報学研究所と連携いたしまして、科研費の研究概要や成果とJSTの事業との横断的な検索が可能な仕組み、これを28年度に稼働させたというところでございます。また、学術会議とは評議員として御参画いただいております。
 次に、右の方に移りまして、男女共同参画の関係で言いますと、ここは指標がございますが、女性の審査委員の比率は、平成25年の13.3%から平成28年の16.2%と上昇してございまして、この間の上昇によって、日本における女性研究者の割合の比率、現在15.3%というのを、これを上回る状況で積極的な登用を進めてございます。また、男女共同参画推進委員会というものを28年に立ち上げまして、途中、10月の会議では有識者の方からの御意見を頂くなど、日本学術振興会全体としての男女共同参画の推進に関しての御議論というものを賜る場を作ってございます。
 また、次のページをお開けいただければと思います。2ページ、自己点検・外部評価につきましては、先ほど申しましたプロセスで毎年度業績評価を行っていること。それから電子化につきましては、科研費、あとは特別研究員事業、それから国際交流事業、それぞれの事業につきまして、基本的には電子申請が可能な仕組みを整えるとともに、科研費などでは、交付申請以降の各種手続の電子化、例えば繰越承認時の業績実績報告、それから調整金といった手続、こうしたものの電子化というものも進めてきているということでございまして、これらの項目につきましては当初の目標を達成したと考えてございまして、評価といたしましては、年度評価、それから見込評価、ともにBとしてございます。
 次に、3ページをお開けいただければと思いますが、学術システム研究センターでございます。この項目では、学術システム研究センターに第一線の研究者を配し、頭脳集団として各種事業の助言・提案等の機能というものを発揮したかどうかという点で評価をしてございますけれども、このセンターの研究員については、様々な研究機関に推薦を依頼して、第一線で活躍する研究者を幅広い機関から130人、人材を登用してございます。また、女性研究員については、平成24年度の12人から22人と大幅に増加をさせていただいているところでございます。
 これらの研究員は、基本的には科研費等の審査に当たって審査委員を選定するということ、それから、科研費等の審査に携わって、審査委員、それから審査の検証を行うこと、こういうことで、プログラムオフィサーとしての機能を果たすとともに、様々な事業に関わっていらっしゃいますので、事業の改善についての各種提案というものをしていただいています。
 事業の改善についての提案は、ワーキンググループやタスクフォースというものを通じて行ってございますけれども、近年、タスクフォースの件数というものが、前期と比べまして大幅に増えております。これは、後、個別にいろいろな事業の中で申し上げますけれども、こうした事業の様々な改革の中でのセンターの役割というものが非常に増えているということの証であろうと考えてございまして、このようなことが、例えば基盤研究の中に設けました学術の芽を出すという観点から、特設分野研究というものを平成26年から設けておりますが、こうしたものの公募分野の提案のみならず、先ほど説明がありましたように、科研費の審査システムの改革というものにも結実していると考えてございます。
 また、裏のページ、4ページは、ガバナンスの面でございますけれども、ガバナンスについては、今現在、佐々木毅委員長をはじめとする運営委員会、これを平成25年から外部有識者のみに構成される諮問委員会という形に変えて、ガバナンスの強化を図っておりますし、右の欄、この業務を情報発信するという観点で、審査の検証というものについては、例えば審査の中で有意義な審査意見を付した審査委員というものを表彰すると、それを公表するという仕組みをとり、情報発信に留まらず、審査委員になっていただく方のモチベーションの向上にもつながる取組というものをしているところでございまして、このような中、これは当初の目的を十二分に上回る成果を挙げていると考えますので、見込評価による評価とともに、Aとさせていただいております。
 次に、5ページ、研究費の不正使用、研究活動の不正行為の防止という観点については、不正の防止の観点で科研費実地検査を行ったり、科研費については、現状では研究者が交付申請するまでに、研究倫理教育プログラムというものを履修するということをチェックする仕組みを作ってございますが、それとともに、JSPS、JST、AMEDが連携して研究公正の事業に携わってございまして、この一環でJSPSは、「科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得」という、グリーンブックと申し上げておりますけれども、こうしたものを、平成6年度には日本語版、翌年度には英語版を作り、これを基にしたeラーニング教材というものを、28年度に日本語版・英語版ともにサービスを稼働させておりまして、目標をきちっと達成したと考えてございますので、評価については、見込・年度評価ともにBとさせていただいております。
 次に、先ほど理事長から申し上げました四つの柱の最初の柱、世界レベルの多様な知の創造に関して御説明申し上げたいと思います。資料といたしましては7ページ以降でございますが、まず初めに、科研費に関すること、ここに関しましては評価単位を二つに分けてございます。最初の評価単位は、科研費の審査・評価、それからその交付助成業務というものを、きちっと充実させて円滑に実施するというところでございます。
 科研費といいますのは、10万件にわたる膨大な応募書類というものを、11月から3月までの5か月という短期にわたって、約6,000名以上のレビューによって研究課題というものを選定していくという、諸外国と比べても少ない人数の中で、極めて難易度の高い業務をしているところでございますけれども、加えて、近年、大学の基盤的経費が減少する中において、大学の研究者にとっては科研費というものは命綱になってきているということがございまして、応募件数というものが年々増加してございます。
 しかし、8ページを御覧いただければ、そういう中にあっても、我々は様々な形でいろいろな要請に応えまして、審査システム等を変えてございまして、そうしたものについての不断の見直しというものを行ってございますし、交付事業に関しても、例えば補助金事業に関しましても、調整金という弾力的な運用を可能とする制度を作る、あるいは様々な種目、今現在、科研費については、年々文部科学省からJSPSの方に任務が移管してございますけれども、現状においては、全ての研究種目の交付業務についてはJSPSに一元化というものが完了したというところでございます。
 このように、科研費の事業に関しましては、非常に膨大な件数というものを非常に短期で行うという非常に難しい業務をしていることに加えて、審査システムの改革等、質的な改善も行ったと考えてございますので、所期の目的を十二分に超えた実績があると考えていますので、見込評価・年度評価ともに、Aという形にさせていただいております。
 また、科研費の後段、資料としては9ページを御覧いただければと思いますけれども、ここは、科研費の成果というものが適切に把握できる環境を作るとともに、助成の在り方を不断に見直すということを掲げてございます。科研費の成果につきましては、アウトプット指標がございますけれども、KAKENという国立情報学研究所と連携して運用していますここに様々な情報を充実させて、その公表を図ってございますけれども、KAKENへのアクセス件数というものは、平成25年からほぼ倍増近い件数になってございまして、かなり成果というものが生かされていると考える一つの証左ではないかと考えてございます。
 また、10ページをお開けいただければ、先ほど理事長からも御説明ございましたように、科研費に関しましては様々な改革を行ってございます。一番大きいのは科研費審査システム改革でございまして、これは従前300を超える細目単位でそれぞれの種目の審査を行っていた細目というものを見直して、新たな審査区分表、大区分・中区分・小区分というものを策定いたしまして、研究種目に応じて審査区分を大くくり化するということをとりまして、より分野を越える自由なテーマの設定ができて競争ができる環境というのを整えるとともに、こうしたものを幅広い観点からの審査委員が、書面・合議を通じて実質的な審査というものを、合議の審査というものを綿密に行っていける総合審査方式というものを導入する審査システム改革というものを、この秋の審査から導入するべく、3年余りにわたりまして、綿密な改革の検討作業というものを行ってまいりました。
 さらに、これだけではございませんで、アイデアの斬新性というものに着目した挑戦的研究(開拓・萌芽)というものの種目の創設、それから国際性という観点から、国際共同研究加速基金の創設というものを通じまして、国際性・挑戦性というものを主眼とした改革を、かなり進めてまいったところでございます。
 これによりまして、我々、日本の論文に占める科研費の関与する論文というものは、従前、増加傾向にございまして、また、その前のページに戻ってしまいますけれども、科研費の使いやすさ、あるいは基金化の効果というものに関しましては、研究者の評価においても非常に高い評価を得ていると考えてございますが、そういう中に安住せず、様々な改革にも取り組んできたということでございますので、当初の目標にはなかった改革を進めてきたことを特筆すべきことと考えまして、この項目につきましてはSとさせていただいております。
 続きまして、科研費以外の項目でございますけれども、我々JSPSは、学術研究というものを支えてございます。科学技術と違いまして、人文学・社会科学というものの振興を担っているのはJSPSならではということでございますので、課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業というものを執り行ってきております。
 また、東日本大震災におきまして、学術的な調査というものを記録としてきちっと執り行うという観点から、学術調査というものを、日本学術会議からの提言も受けまして、平成24年から行ってきているわけでございまして、様々なシンポジウムとともに、その成果をまとめた日本語版、それからその英語版のダイジェストも発行しておりますので、これにつきましては当初の目的を達成したものと考えておりますので、見込・年度評価とも、Bとさせていただいております。
 続きまして、12ページは、研究拠点の形成という観点で、WPI事業というものをしてございます。この事業については、外国人の委員が全体の委員の30%を超える形で、非常に国際的な審査評価というものを行ってございますけれども、この5年間については、これまで10年間取り組んできたWPI事業の延長終了評価とともに、その成果を横展開してブランドというものを展開して、その成果というのを最大限出していこうというWPIアカデミーの創設という新たな業務にも取り組むこととしてございますので、所期の目標というものを達成したと考えてございますので、この項目につきましても、見込・年度評価とも、Bとしてございます。
 また、一つ、先端研究助成というものがございます。これは、平成25年までの事業として、FIRSTあるいはNEXTという事業を我々やってございまして、この事業につきましては、26年4月1日でその勘定を廃止したわけでございますけれども、若干今期中に掛けましても最後の締めの作業というものを行ってございまして、これは滞りなく行ったところでございますので、これも所期の目標を達成したBという評価にしてございます。
 以上が世界レベルの多様な知の創造という項目でございましたが、続き、四本柱の二つ目、強固な国際協働ネットワークの構築というところについて、説明に移らせていただきたいと思います。
 この項目につきましては、15ページ以降でございますが、評価単位は三つに分けてございます。一つ目は国際的な共同研究の促進ということで、これにつきましては、大学等の研究現場や海外の協力機関等のニーズを踏まえながら、事業の見直しに着手しつつ、国全体の学術研究活動の発展に向けた取組を行うということでございまして、二国間交流事業、それから国際共同研究事業を通じまして、様々な取組を行ってございます。
 特にこれらの事業につきましては、例えば取組が余り芳しくなかったものというものの整理を行いながら、その中で特に新規の需要があるところ、例えばインドの人文社会学系、あるいはイスラエル、あるいはリトアニア、こういったところとも新たに覚書の締結を行っておりまして、新陳代謝を図りながら需要の高いところに振り分けて、適切に事業というものを推進してまいっているところでございます。
 また、16ページには、研究拠点の形成ということで、先端拠点形成、これは先進国型、その下にアジア・アフリカ基盤形成型、二つの種別で事業を行ってございますけれども、このような事業を通じて、もちろん学術的な交流というものにとりまして学術的な成果というものを挙げることだけではなくて、持続的な拠点同士のネットワークの構築というものにも意を用いた事業というものをしているというところでございまして、この項目につきましては全体として所期の目標を達成したと考え、見込・年度評価とも、Bとさせていただいております。
 二つ目の柱でございますけれども、国際研究支援ネットワークの形成、ページとしては17ページでございます。ここは、諸外国の学術振興機関、それからJSPSの事業を経験した研究者、それから諸外国の学術コミュニティー、それぞれのネットワークの形成を促進するということを掲げているところでございますけれども、諸外国の学術振興機関との連携につきましては、先ほど理事長からも説明ございましたとおり、世界のファンディングエージェンシーの集まりであるグローバルリサーチカウンシルというものの中に、日本はアメリカ・イギリス・ドイツとともに一つの軸を形成して当初から積極的に関与してございますし、第4回の年次総会というものを27年に東京で開催しました。サイエンティフィック・ブレークスルーというものを一つのテーマとして議論していましたが、諸外国の議論を取りまとめ、その議論をリードしてきたということで、この会議というものを成功に導いたというところが、一つ大きいポイントであると考えてございます。これの成功もございまして、先ほどありましたけれども、理事長の安西が、このグローバルリサーチカウンシルの理事会の議長を2期務めたということでございます。
 これとともに、アジア地域の学術振興機関とのつながりに関しましては、アジア学術振興機関長会議、それから日中韓の会議、これらを提唱して、常にその議論をリードしてきました。これらにつきましても、平成27年に、これらの両会議をともに沖縄で開催したということでございまして、このアジア学術振興機関長会議につきましては、平成29年度の会議も日本で、日中韓の会議につきましては、この会議だけではなくて、日中韓フォーサイト事業という、この会議でテーマとなった事業というものを具体的に共同研究の形で進めていく事業というものも進めております。
 また、18ページをお開けいただければと思いますが、研究者ネットワークの強化という点でございます。ここは先ほどありましたけれども、JSPSの同窓会の事業を核としてございますが、この同窓会は、現在、この旗が並んでおりますけれども、18か国に同窓会がございまして、これは今期の中期目標期間の当初に比べると、おおよそこのペースで行きますと、同窓会のメンバーとしては倍増するという見込みになっております。
 また、こうしたものを支える機関としても、我々は、海外10か所、そして1か所にアドバイザーを設置して、11か所の海外拠点というものを展開してございますけれども、こうした同窓会のサポート等もしながら、それぞれの地域の中で学術コミュニティーあるいは大学等と連携するという形で、様々な学術シンポジウムというものを非常に精力的に行っておりまして、こうしたコミュニティーとのネットワークの形成というものも行ってきております。
 このように、この項目につきましては、同窓会は倍増するということもございますし、27年にはグローバルリサーチカウンシル、アジアのリサーチカウンシルの集まりというものを指導して、この分野における日本のプレゼンスというものを高めたということは言えると考えてございます。この分野については非常に国際交渉能力というものが要る難易度の高い業務でもございますので、この項目につきましては所期の目標を十二分に上回ったと考え、Aという評価にさせていただいております。
 続きまして、19ページをお開けいただきますと、三つ目の項目は、世界的頭脳循環の推進とグローバルに活躍する若手研究者の育成ということで、具体的にはHOPEミーティングという、これは著名な日本とアジア・太平洋・アフリカ地域の若手研究者が、ノーベル賞級の著名な研究者と1週間にわたって議論を戦わせるという場としてやってございます。
 この下にありますリンダウというノーベル賞受賞者の会議、リンダウ会議というものがございますけれども、これはドイツのリンダウというところで行っている会議を、アジア・太平洋地域でも行おうとしてJSPSが主導的に行っているところでございますけれども、この事業を展開して、若手研究者の対話の場というものを作ってございます。
 それとともに、ノーベル・プライズ・ダイアログという事業がございまして、これは、スウェーデンでノーベル財団がノーベル・ウィークに合わせて対話の場というものを行ってきたわけでございますけれども、これをスウェーデン国外では初めて、東京でノーベル・プライズ・ダイアログという形でやろうことで、ノーベル財団、ノーベル・メディアというものとJSPSが共催で、平成27年の3月にまず第1回目を、その成功を受けて29年2月に第2回目を、そして30年の3月にも第3回を行うということで、今期中に3回のノーベル・プライズ・ダイアログというものを行ってございますけれども、これは何かと申しますと、過去2回の開催で12名のノーベル賞受賞者と61名もの第一線の研究者を集めた、ある意味非常に密度の濃い形でございまして、一種ダボス会議のような形の非常に密度の濃い会議をしてございまして、非常に参加者の評価も高かったということでございます。
 また、20ページをお開けいただければと思いますが、20ページは、若手研究者の研鑚機会ということで、日本、それからアメリカ・ドイツ・イギリス・フランスというものが連携して、国を越えて、分野を越えて、若手研究者が討議をするという場を作る先端科学シンポジウム、FOS、フロンティア・オブ・サイエンスというシンポジウムを行ってございますが、これについては、28年度には、2か国の研究者だけではなくて、日米独3か国集まった研究者でのシンポジウム、それから、カナダと日本との取組というものに、この取組を発展させていること。それから、諸外国の研究者の招聘という観点からは、ポスドクレベルから中堅・シニアに至る様々なメニューにおきまして、非常に多様な国の研究者を招聘しているというところでございます。
 これらの事業につきましては、先ほど申しましたFOSの事業の発展的展開もございますが、このノーベル・プライズ・ダイアログというものを、もともと中期目標の計画にはなかったわけでございますけれども、ノーベル財団との共同でこのような形ができたということは、ある意味、国際的な発信力がある組織であるということを示す証ではあろうと考えてございますし、これも、この事業の成功をもって、JSPSというものの、あるいは日本の学術研究というもののプレゼンスというものは向上したと考えてございますので、この項目につきましても所期の目標を十二分に上回ったと考え、A評価とさせていただいているところでございます。
 続きまして、研究者の養成、少しテンポを速くしないといけませんが、研究者の養成につきましては、これは評価項目は三つに分けてございます。一つは特別研究員等の事業でございますが、これは自由な発想で主体的な研究課題を選んで研究に専念できる環境というものを作る事業として行ってございます。研究者養成の事業に関しましては、まず全体的な事業のデザインをどうしていくかということにつきまして、人材育成企画委員会というものを作りまして、昨年、「人材育成事業の充実方策」という提言をまとめておりまして、全体的な方針の策定というものを行ってございます。
 この中にあって、特別研究員事業につきましては、この事業のたて付けとしては、学術システム研究センターの知見を生かして審査システムというものを構築しつつ、実際の審査というものを特権等審査会というもので厳正・公正に行ってございますけれども、この間の取組といたしましては、22ページをお開けいただければと思いますが、例えば出産・育児等、ライフイベントに伴う中断・延長の対応としまして、様々な措置を行ってきています。女性審査委員の比率の向上につきましても、若干止まったところはありますけれども、29年度には、また審査委員の比率の向上というものを見ていますので、向上ペースというものは、またリカバーされていると考えてございます。
 この事業につきましては、先ほど理事長からの説明もございましたとおり、右側にあります進路状況調査で、PD、ポスドクの修了者については、5年経過時に約9割、DC、博士課程の採用者についても、10年経過時には9割が、それぞれ常勤の研究者に就いていると。非常にその成果が高いと考えてございます。
 また、特別研究員のほかに、JSPSでは顕彰事業を、45歳以下の研究者については日本学術振興会賞、それから博士課程の学生については育志賞という形で行っておられまして、それぞれ定着を見ていますけれども、この育志賞につきましても、若手の登竜門としての地位を確立してきていると考えてございます。これらの項目については所期の目標を達成していると考えて、見込・年度評価とも、Bとしてございます。
 続きまして、23ページからが、若手研究者の海外派遣でございます。これは、個人の支援あるいは組織支援というものを通じて海外派遣というものを促進していくということを掲げたところでございますけれども、左上のところを御覧いただければと思いますが、全般といたしまして、例えば頭脳循環プログラムにつきましては、これまで派遣のみであったプログラムを、派遣・招聘、双方向でできるネットワーク型のものに改善したこと。それから、ポスドクの海外派遣の事業として海外特別研究員事業がございますけれども、これにつきましても、研究中断をしたリスタートを支援する枠組みを作ったこと。さらには、先ほどありましたけれども、ポスドクのみではなくて、博士に海外挑戦の機会を与えるということでの海外挑戦プログラムというものを29年に作ったということがございまして、この海外派遣につきましては、様々な形で、非常に予算の厳しい中ではありますけれども、その充実というものを図ってまいりました。
 また、海外特別研究員事業、この下にございますけれども、これも予算が厳しい中ではございますけれども、採用人数というものを増やしてまいりました。また、若手挑戦プログラム、それから頭脳循環プログラム、それぞれございますけれども、この海外派遣プログラムにつきましては、様々な形で新しい事業を新設する、あるいは海外特別研究員の拡充をするという形で、かなり力強く推進を図ってきたということでございますので、当初の目的にはなかった事業も進めてきたと考えてございますので、この評価項目につきましては、Aとさせていただいております。
 続きまして、25ページでございますが、大学の教育研究機能の向上とグローバル化の支援、これは、文科省の主に高等教育局から、大学教育改革の関係のプログラムというものを、我々、COE事業以来、様々な形で審査・評価業務を請け負ってございます。我々、かなり多岐な事業にわたって請け負ってございますけれども、25年からも、例えばスーパーグローバル大学創生事業や、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業といった事業というもの、合わせて5事業の審査・評価業務というものを行っております。
 審査・評価に当たっては、我々の審査・評価の知見を生かして、信頼性が保たれる公正な審査というものを行っているところでございますけれども、これらの事業は、それぞれの政策目的に沿った審査を行わなければならないという難易性もございますので、そうした事業を執り行ってきたことをもって、この評価項目としてはAとさせていただいているところでございます。
 続いて、27ページ以降でございます。エビデンスに基づいた学術振興体制の構築と社会との連携の推進ということで、ここの項目につきましては、学術システム研究センターとグローバル学術情報センターの機能について評価してございます。ここの学術システム研究センターの項目は、このセンターが行っています調査研究事業というものが、いろいろな改善に生かされたかどうかという観点から評価してございますが、このセンターは、全ての研究員が研究担当者として、自らの研究領域のみならず、幅広い学術の動向調査というものを行っていただいておりまして、これを、先ほど申しました特設分野研究の公募領域の設定、それから科研費の審査システム改革というものに生かしていると考えてございます。
 また、グローバル学術情報センターにつきましては、一方で、各種の事業の情報の蓄積・分析というものを事業の提案等に生かしたかという観点で評価をしてございますけれども、このグローバル学術情報センター、今期に設置されたセンターでございますが、所長1、研究員、分析調査員、いずれも非常勤を主体とする、ほとんどの方が非常勤の組織でございますけれども、調査員を今期中1名から3名に増やすということを行って、充実を図ってまいりました。
 やっていることは、科研費等のデータベースを構築して、その活用システムというものを会内職員で活用できるところまで持ってきたこと、それから、諸外国のファンディングエージェンシーの審査・評価システムというものを調べて、その概要を公表してきたことに加えまして、右側にございますが、研究テーマとして、例えばAI、項目反応理論というものを使って、科研費等の審査の審査委員、審査委員によって審査の甘い辛いがあるわけですけれども、そういうものの標準化ができる仕組みというものをアシストできないかどうか。それから、科研費、膨大なレフェリーに携わっていただいていますけれども、そういうものをテキストマイニングというものの技術を使って、こうした審査委員の選定作業というものをアシストする仕組みというものができないかということも、研究をしているということでございます。この項目につきましては所期の目標を達成したと考え、Bとしてございます。
 また、広報業務、これは様々、紙媒体、ウェブ媒体等を通じて広報業務を行ってまいりまして、真ん中にございますように、メールマガジンにつきましては、その登録者数は、平成24年度の1万5,000人強から、現在では2万人を超えるところまで増加はしているというところではございます。
 また、社会への還元という形で、特に子供たちへの、それぞれ科研費を採択されている研究者の研究成果というものを分かりやすく伝えるという観点から、「ひらめき☆ときめきサイエンス」という事業を行ってございますが、これにつきましても、平成24年から28年まで、この事業プログラム数を1.5倍にまで増やしているというところがございます。
 また、学術の社会的連携・協力の推進ということに関しましては、産学それぞれが、それぞれの発意に基づくインターフェースとして、産学のそれぞれのメンバーから構成される委員会を、テーマ別にナンバー委員会という形で設けてございますけれども、この委員会につきましては、総合研究連絡会議というものをステアリングコミッティーとして新陳代謝を図りながら、このインターフェース機能というものが発揮される仕組みというものを構築していっているところでございまして、この項目につきましてもB評価としてございます。
 また、附帯業務というところがございます。30ページにつきましては、生物学賞、それから野口英世アフリカ賞というものがございます。生物学賞については、この分野において世界的に顕著な研究者を毎年1名採択してございますが、27年に採択したこのときは、大隅先生、日本人が受賞されましたけれども、大隅先生が翌年度のノーベル賞を受賞されたということもございまして、この賞というものが世界的に著名な研究者という者を受賞しているということの一つの証左ではないかと考えております。
 野口英世アフリカ賞につきましては、5年に一度の賞でございまして、今年度、医学分野の推薦作業というものを始めてまいります。また、国際会議に係る募金事務につきましては、これは我々が特定公益増進法人という税制優遇法人であることを生かして、それぞれの学会では国際会議のために寄付金を募っても税制優遇が受けられないところに代わりまして、JSPSというのが成り代わって募金事務というものを引き受けるという事業を行っていまして、今期は5件の受託を行ったところでございます。この項目につきましては、B評価でございます。
 最後は、業務運営の効率化のところでございますが、この項目については、あらかじめ申し上げますが、全ての項目がBでございます。まず組織体制、マネジメント組織という観点では、今期につきましては、31ページの左下にございますが、組織体制としましては、平成25年に人材育成事業部というものを作りまして、3事業部体制というものをとりました。26年には研究倫理推進室というものを作りまして、研究不正への対応を強化しました。28年には監査・評価室というものを作って、内部統制というものの強化を図ったというところでございまして、内部統制、それから監査業務につきましては、新独法制度にのっとった措置というものを行ってございますし、一般管理費等の効率化についても、目標については厳しい中であっても対応しました。
 また、32ページには、調達の合理化等ございますけれども、これらについても、随意契約の見直し、調達合理化計画にのっとった取組を行ったところでございまして、これらの項目につきまして、Bでございます。
 また、予算、収支計画、資金計画でございます。1点おわびを申し上げませんといけませんが、33ページに、この4年間の収入・支出等の表がございます。これ、中期計画予算額と決算額を比べても、この差額の数字と合わないわけでございますけれども、これは、中期計画予算額との差ではなくて、年度計画との差で、年度計画と決算額がどれだけ乖離しているかということが、この三角、あるいはこの増減額のところでございまして、これは、ここの項目だけは、詳細なところは、資料3-3のbの報告書の163ページになるんですけれども、そこを御覧いただかなければならないところでございますけれども、基本的には計画にのっとって決算というものを進めておりますので、Bとさせていただきます。
 財産処分につきましては、1点、26年度に各独法共通の財産処分を行った、これも滞りなく行っておりますのでB、最後の35ページにつきましては、人事に関しましては、人事評定・交流、研修を行っているところでございますけれども、1点、28年度より、こうしたことを計画的に進める意味での人事管理方針というものを策定してございますので、これにつきましても、計画を着実に進めたということで、Bとしてございます。
 長くなりましたが、以上が説明でございますけれども、1点だけ補足させていただきますと、この間、我々としては、中期目標に定められたことというものを着実に進めてきたということではございますけれども、なかなか予算繰り、人繰り、厳しい中ではございますけれども、特に国際性という観点から申し上げると、この間、科研費の改革、それにしてもそうですし、国際事業に関しましても、グローバルリサーチカウンシル等を通じて、日本の学術研究というもののプレゼンスを高める様々な取組を行ってきたこと、それから、若手の海外派遣ということにつきまして、博士からポスドクにかけての新しい事業を立ち上げるなど、この取組には進めてまいりました。
 これらは、なかなか事業を取り巻く環境が非常に厳しい中ではございますけれども、学術というものが非常に変わってきていまして、国際共同研究が進んできていることしかり、国際的な学術研究の競争・共同というものが非常に激しくなってきていることを踏まえて、当初立てた目標を上回っても、我々としては機動的に業務を行っていかなければならないということで、特に国際性の涵養、研究者が独立した研究者として世界の研究を先導できる形になれる取組というものに意を尽くして行ってきたというところは、一つ重点的に取り組んだところでございますので、そうした点もお含みおきいただきながら、御審査・御評価のほど、よろしくお願いしたいと思います。
 すみません、長くなりました。以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。それでは、学術振興会からの説明について、御意見、御質問等はありますでしょうか。これからしばらく質疑応答していただきます。
 どうぞ。

【鷹野委員】  人数が少ない職員の方で、たくさんの事業をされているということを感銘しました。私は分担のところで注意して聞いていた部分がございまして、国際的な観点のところを質問させていただきたいんですけれども、海外のセンターとも協力してのことだと思うんですけれども、同窓会を立ち上げて、それで人数がかなり大勢の方が登録されているという最近の動向を御紹介くださいましたけれども、登録されて帰属意識を持っていただくというのはすごく大事なことで、まずスタートだと思うんですけれども、実際の活動といいましょうか、どのような活動を現在されていて、今後どういう方向に持っていきたいと思っていらっしゃるかという辺りをお伺いしたいんですけれども。

【小林国際事業部長】  国際事業部長の小林と申します。お答えさせていただきます。
 同窓会の例えば設立されてからの長さや規模にも多少よるんですけれども、基本的には、その後も何らかの国際共同研究のベースとなるネットワークになっているということが一つ。そのためにも我々の方で、18ページの御説明の中で少し触れてございますが、BRIDGEフェローシッププログラムということで、例えば再招聘をして、日本とのネットワークを再構築といいますか、再強化していただくことも一つやっております。
 あと、現地で海外センターとともに、シンポジウムをテーマを決めて開催するということを定期的にやっておりますので、そういった中で、様々なネットワークを研究者御自身が作っていただくということの支援をさせていただいているところでございます。

【鷹野委員】  ありがとうございます。続けて、もう1点、よろしいでしょうか。海外のセンター、拠点、連絡センターというのが、複数、かなりあると思うんですけれども、そういったところで、現地の研究者といいますか、現地の教育研究機関との連携を、日本とのつなぎといいましょうか、そういうことを多分されていて、いろいろ関係を強化するとか、更に広く開拓するとか、そういった努力をされていると思うんですけれども、多分そちらのセンターも、それほど大きな規模ではなくて、少人数でなさっていると思うんですが、その辺りで、最近の成果で何か特筆することがあればということと、どういう点が一番大変な点なのかという辺りを教えていただければと思います。

【小林国際事業部長】  センターも、例えばカイロ、ナイロビにございますセンターと、例えばワシントン、ロンドンにあるセンターというのは、大分活動の内容も異なりますし、また、体制も多少違うということが、まずございます。学振の中で一番古いセンターというのが、ナイロビにございます設立して50年ほどたつものでございまして、次に古いのがカイロで、40年ぐらいたっているということで、こういうセンターは、どちらかといいますと、もともとは現地で地域研究などされる先生方の研究のサポートをしてきたということが主な仕事で、今もそれは恒常的にやっております。
 また、その中で、特に最近、先ほど御紹介させていただきましたGRC、グローバルリサーチカウンシルというネットワークにおきましても、日本が先導して、今度、アフリカの少し成長し始めている学術機関とのネットワークというのを最近強化しまして、多少、国際共同研究、あるいは先ほど申し上げたように、日本の研究者との研究というものを促進する支援というのをやってきてございます。
 また、それとは全く異なりまして、例えばワシントンなどでございますと、かなりアメリカの学術機関NSFとの恒常的なお付き合い、NIHとの恒常的なお付き合いで、日本の研究者の研究をサポートするということですとか、かなり毎年大きなテーマを決めまして、例えば先日やったものですと、天文学、これは大変国際的な分野でございますけれども、天文学におけるアメリカと日本の研究成果をお互いに交換し合うシンポジウムというものを行ってきております。
 また、最近は、ワシントンですとか、特に欧米のセンターでは、日本の研究者があちらで、学振の方で、ほかの事業で、海外での若手研究者を派遣するという事業を最近やっておりますけれども、そういったネットワークの場などの支援もさせていただくということで、少しずつほかの事業との関連で、事業のまた幅が変わってきております。
 非常に分かりやすいのは、例えばスウェーデンのストックホルムのセンターでございまして、こういうところではノーベル財団と直接的な交流もございますけれども、ノーベル賞の審査などが行われる大学の教員などもいる大学におきまして、日本の最先端の研究といったものを広く周知するという支援をさせていただくということで、かなり地域地域によって取組は異なりますけれども、過去から恒常的にやっている事業、それから、現在の学振の様々な国際展開を強化している事業の支援といったものを行っております。

【鷹野委員】  センター間の連携というのもございますか。

【小林国際事業部長】  はい。例えばアメリカですと、現在、ワシントンとサンフランシスコがございまして、それぞれ、非常に広い国でございますので、大学、それこそ同窓会組織でも、お互いに支部を作ろうとして交流をするということでございます。
 あと、すみません、一つ申し遅れまして、体制の方が非常に、研究者御出身のセンター長と、それを事務を補佐する副センター長ということで基本なっておりまして、そのほか、各大学から国際業務を研修ということで研修生のような形で行っていただいている方など、非常に小規模でやっております。

【鷹野委員】  丁寧に御説明いただき、ありがとうございました。以上です。

【植田主査】  どうぞ。

【髙梨委員】  全体に関わる話ですが、まず、これだけ国際的な比較をしても、予算が少ないとか、人がこんな人数でということで、驚いているんですけれども、その中で成果を非常に挙げていただいて、本当にありがとうございます。
 すばらしい成果だと思うんですが、基本的に今の国際的なところも、私も担当と、あと、担当は別として全体ですけれども、できたということは、はっきり言うと、効率的だということですよね。効率的・効果的にやっているんだろうと思われるんですが、見えなかったのが、そのためには、今の時代と格好付ける必要はないんですけれども、IoT、AI、ビッグデータの時代で、そういうものを非常に効率的に活用しているということで、ここまでできたのではないかなと。その裏が少し見えない。
 電子化とかという話もあるんですが、電子化という言葉自体、ここでそんなこと言ってもいいのかと、自由に言ってくださいと言っていたので、言葉が古くて、電子化って、私も公認会計士協会のIoTの前のコンピューター委員会の、コンピューターも古くて、その前は電子計算機と言っていて、古い言葉で、電子化というのが30年、40年前からなくなり始めて、コンピューター委員会もなくなって、新たに今は、他省庁でも情報処理推進という言葉がなくなって、今年から新たにITの利活用みたいな感じで動いているので、話が飛んで、電子化という言葉に違和感を感じたのが一つと、それは文章の問題なので置いておいて、中身、ITの活用みたいなところが、どんな形で、もうちょっと見えるといいのかなと思いました。
 例えばどこでもいいんですけれども、今の国際的なお話がちょうど先生の質問であったので、この辺のところを、少ない人と予算と時間を掛けて成果を出しているときに、こういう画面でやったり、こういうネットでやっているとか、こういうような、クラウドを使えと言っているわけじゃないんですけれども、いい世界的なシステムと連携して、こんな情報を知っているとか、人が飛んでいかなくても、こんな情報がテレビ会議でいつもやっているとか、ちょっとした大手企業ですと、大きな部屋に画面があったり、それから外資系関係ですと、そこら中に、それぞれ全員が、ここへ来ると、会議でも目の前に画面があって、紙使わないでやっているとかということがいっぱいあるんですが、予算の問題はもちろんあるので、何かそういうことをやっていらっしゃるかというのを聞きたかった。

【樋口総務企画部長】  電子化という言葉が、大変申し訳ないんですけれども、我々も情報というものを戦略的に使うということについては、今期、その柱を立てて、例えばグローバル学術情報センターというものを作って、そういうものをやってきたというところもございますが、何分、その事業そのものを捉えれば、体制的にまだ十分な体制が確保できていなかったということもございまして、まだ途上であると考えています。
 ただ、学術の世界においては、研究者同士がスカイプを使うなりネットを使うなりという形で、非常に頻繁に、新しいネット、ウェブを通じた国際共同研究や国際的な交流というものをしています。我々は、例えば国際事業に関して言えば、そうしたところから出てくる研究者が、常に情報をアップデートしながら研究を推進している国際的なネットワークを、できるだけ円滑な形でサポートし、また、それぞれのお金が逆に共同研究とかするにも必要になってきますので、それぞれ外国のファンディングエージェンシーと手を組んで、できるだけ円滑にそれがサポートできるように、我々としては意を用いたというところでございまして、我々の執務室そのものが、例えば為替ディーラーのような形になって、日々情報をウォッチしながらやっているという形になっているというところまでは、まだ至っていません。
 ただ、例えば論文データベース、我々もエルゼビアの論文データベースを用いて、諸外国の学術論文の動向というものは常に分析できる形にしていますし、そうしたことをいろいろな形で、こうしたプレゼンの中にもいろいろ生かしていますけれども、定期的に活用しながら、どういう事業を展開していったらいいかということは定期的に考える仕組みというものは出来てきている。ただ、まだまだこれからだと考えております。

【髙梨委員】  追加コメントで。ということは、あれですよね、今回の5年間のところは、非常にここまでよくできてきているので、先行きとすると、今後の話にもなりますけれども、そういう方向も是非考えていただくと、多分、効率が何割も上がるんだろうと思うんですよね。少ない人たちで頑張っていただいているのでということの追加と、あと、セキュリティー系は、公開するものとしてはどうぞという話になるのかもしれませんが、それとしても、個人情報も含めて、それから知財の特許系のことも含めて、いろいろな情報があるわけで、セキュリティー系については、下の方の業務のところですか、第2の方に入るんですか。前の方は全部成果ですもんね。だから、その1年間のやってきているところに入るんですか。業務システムの合理化・効率化みたいなところでカバーしていると思えばいいですか。

【樋口総務企画部長】  すみません、今のところにつきましては、先ほど説明した資料で32ページのところに、下にシステムの合理化・効率化というのがありまして、情報システムとそのセキュリティーの観点をちっちゃく書いているところでございますが、基本的に、科研費にしろ、申請情報には個人情報もあり、ノウハウもあったり、当然知財も入っているわけでございますので、電子申請システムのセキュリティー管理というものについては、耐震というものも含めて、しっかりとしてきているつもりでございますし、我々が使っている情報システムに関しましても、個々のクライアントのパソコンにはデータを置かない、つまりセンターサーバにあるものを全てのクライアントのデスクトップで見ているだけという形にして、そうしたセキュリティー、漏えいというものが起きない仕組みというものはとってきているということでございます。
 ただ、それぞれ人間がミスを犯すのは、ヒューマンエラーも多いわけでございますので、セキュリティー研修とかそういうことから、きちっと抜かりなくやっていかなくてはいけないと考えてございます。

【植田主査】  ありがとうございます。

【長澤人材育成事業部長(兼)研究事業部長】  あと、業務の電子化につきましては、2ページのところに概略がございますけれども、申請システムを紙媒体ではなくて、当然電子化を図っているわけですけれども、ウェブ入力によりまして、電子的に先ほどおっしゃった自動的な分析ができる仕組みを導入するとか、利便性を向上させてネットワークでできる形の取組はしておりますし、今後、成果につきましても、自動的に分析できる形は当然進めていくべきだという感じで取り組んでおるところでございます。

【髙梨委員】  そうですね。それを進めていただいて、皆さん、成果が一番、目標があって、それを戦略を立ててリーダーシップの下にプロセスを動かしていって結果が出る、それをまたフィードバックしていくというPDCAを回しますよね。どこの組織でもそうせざるを得ない、しなきゃいけないんですけれども、そのときの効果を、皆さん、成果の方に目が行って、質問もそうです、私もいろいろなコメントというと、前の方を見て、これ、もっと、すごいなとかという感じですが、1年間やってきたとか五、六年間やってきた業務システムの合理化・効率化が、全てをバックで、プラットフォームですから、ここが悪いと、全体が少し下がっているのは、皆さん見えないんですよね。やったことに対しては、やった、良かったという話ですが、そこを皆さんの情報の共有化も含めて、多様化とおっしゃっているんだから、その多様化に対することも含めて、いかに持ってくるか。それは日々の仕事なので、どんどんどんどんやっているから消えていきますから、成果の方とか、失敗したとか、問題があったとか、直したとかというところは目が行くんですよね。それはもう分かって、ここでディスカッションすればいいことですが、一度、教務システムの合理化がいかにベースになっていて結果に反映するんだというPDCAのサイクルがベース。ヒト・モノ・カネとよく言いますけれども、情報、皆さんの知見含めてやることが重要なので、そこを少し時間掛けてほしかった。
 今の樋口さんの説明も、最後の方、時間がなくなって、私、後ろの方のパートの責任者でもあるんですけれども、数字だとか財務諸表だとか効率化だとか内部統制だとかとなると、リスクマネジメントもあるし、いろいろとあって、正にリーダーシップを安西さんが執行していく、ずっと結果が出てくる、ここが本当は大事で、これ失敗したら、多分この結果は出ていなかったんですからね。だからそこのところをもうちょっと、大事なんだということだけ理解していただいて、見えるようにしていただけるとうれしいかなと思います。

【安西理事長】  よろしいですか。今の髙梨委員の御指摘は非常に的確だと思いますが、AI、ビッグデータ、ITに多少専門的にも関与してきた者としても2点ございまして、今もありましたけれども、一つは、科研費を中心とした電子申請等々のセキュリティーをきちんと確保した上でのシステムの再整備をきちっとやっていかなきゃいけないと。これは特に審査体制を変えていきますので、そういう審査システム改革2018と並行して、特に科研費のシステム整備というのは、かなりきちっとしたスケジュール感を持ってやっていかなければいけないだろうというのが1点であります。
 2点目は、業務の情報化ということでございますけれども、これについては、先ほどからありますように、非常に少ない人数でいろいろな業務に対応しておりますけれども、そのそれぞれの業務の、ある意味、仕事が似ている面もありまして、ところが、いろいろ事業の財布がというのか、元の予算の出所が違うために、なかなかこの事業の予算ではこういう仕事しかできないという、そのような縛りというのか何というのか、そういうところがございまして、これを横軸を通して、同じような仕事は一括してある部署でできるようにしていくことが、人数少ない中で効率的に仕事を高めていくには大事だと考えておりますが、そういうことと情報化とはかなり関係がございまして、情報化というのはソリューションなので、機械を入れればいいということとは違いますので、できれば、これからの話ですけれども、次の中期目標を立てていくに当たっては、今、髙梨委員の言われたようなことを是非きちっと入れていければと、私としては思っているんです。
 ただ、中期目標・中期計画というのは、文部科学省等のもちろん課題でもございますので、その辺りのところは是非多くの方々に共有していただきたいというか、一方で、これは愚痴になってしまいますけれども、先ほどから申し上げているように、運営費交付金が非常にタイトな中でやっておりますので、今の情報化、ITの利活用の予算をどうやって都合していくかということは、非常に学振にとっては大きな課題でございますので、それを超えてやっていかなければいけないと認識をしているところでございます。

【植田主査】  どうぞ。

【山本委員】  すみません、次、私の方からお願いします。資料の方で、今の御説明の資料の4ページで、学術システム研究センターの業務実績が赤字で、新しい情報発信を始めましたということですが、これが内容がどういうものかが分かりづらいので、もう少し具体的に説明いただくのと、なぜそういうことを始めたのかといった辺りをお願いしたいんですけれども。

【樋口総務企画部長】  学術システム研究、このセンターにつきましては、審査システムのプログラムオフィサーとして、一つには審査委員を選び、その審査をフォローしてウォッチして検証を行っているというプロセスがあるわけですけれども、なかなか外から何やっているかというのは、それそのものとしては見えにくいということがございまして、この中期目標を立てていたときに、きちっと分かりやすい形で説明を情報発信、国民に分かりやすい形で明らかにすべきだという指摘を頂いていたということもございまして、このような項目が目標として立っています。
 我々としては、一つは当然、我々学術システム研究センターが何をしているのかということを、まずフローチャートのような形でしっかりと説明していく形で、資料を作ったり、ホームページの中で説明したりしているわけですけれども、それの中で、我々、一つの業務として、審査委員の検証といいましょうか、審査の検証というものをしているわけですけれども、その検証結果というものは、当然審査委員に次選ばれるかどうかということになってくるわけですが、そういうものは逆に分かりやすい形で明らかにすることはなかなか難しいわけでございますけれども、特に我々として何ができるかという観点から、この審査委員の検証の中で、特にポジティブな意味で有意義な審査意見を下さった方については公表するという形で行うことが、一つ、分かりやすい形で何をしているかということを示す意味でもプラスになるのではないかということで、このような仕組みをとっているということでございます。
 このことだけではなくて、例えば学術システム研究センターが何をしているかということの情報発信については、例えば大学等に地道に説明会に行って説明をしていたり、たまたま学術システム研究センターは、この独法化からできたものですから、10周年というものを平成25年に迎えているわけですけれども、この10周年を総括するシンポジウムというものを行ったりしておりまして、様々な形で情報発信はしているつもりでございますけれども、その一環としてこのようなこともしているということで、御説明申し上げた次第です。

【植田主査】  関連質問。学術システム研究センターは、今年は次の新しい審査体制を提案されていて、これはかなり哲学が変わっているわけで、非常に重要なことをされたわけですね。そういう意味では、審査区分も、今までとまた変わった。ただし、それは区分が変わっただけじゃなくて、ある種、俯瞰的な研究評価をしなさいと。変にスペシャリストで閉じこもったようなことでは駄目ですよということを打ち出された。これは日本みたいなところから見ると、非常に重要なことですね。ただしそれは、同時に応募者についての教育も必要なんだけれども、審査する側も、すごく教育が必要ですよね。
 ですから、これを実施されるに当たっては、これからこれを教育していくシステムが必要だとは思うんですが、何かそういうシステムを作られるんですか。これから多分、1年、2年が勝負で、最初にそこがちゃんと変わっていないと、せっかく変えたことが元の木阿弥になっては困るわけで、これによって日本の研究者全体のメンタリティーが変わっていかないといけないということだと思うんですが。

【家理事】  よろしいですか。ありがとうございます。今の御指摘、大変本質的なところですね。今回の科研費改革に伴って、区分表のこともさることながら、審査方式を特に総合審査という新しい方式をとったということは非常に重要で、これは御指摘いただいたように、審査委員のクオリティーといいますか、心構えそのものが非常に大事で、それのパイロットケースとして、挑戦的研究あるいは特設分野というところで総合審査方式の、トライアルではなくて本番ですけれども、やっております。
 そこでは、学術システム研究センターのセンター員が張り付いて審査のウォッチしながら、場合によっては少し助言を出すとか、そういうことで、審査委員のトレーニングというと口幅ったいですけれども、そういうことをやっていって、これをこの秋からの本番の基盤S、基盤Aのところにつなげていくということで、山本委員に御指摘いただいたように、広報の話は、一般の研究者は科研費がどのように審査されているかと余り知らないんですね。人によると、科研費に当たったとか、何かそういう言い方をする人もいるぐらいで、そうではなくて、科研費というのは、ピアレビューでもって、皆さんと同じ研究者が審査をして、それをやっているものだから、研究者が全員で科研費というものを維持し、育てていかなきゃいけないものだということの意識を浸透させる形で、今回の科研費改革、非常にいい機会だと思いますので、先般、東京と大阪でも説明会をしましたけれども、いろいろな機会にそれを訴えていきたいと思っております。

【長澤人材育成事業部長(兼)研究事業部長】  もう1点ですけれども、挑戦的研究に先行して総合審査方式導入しているんですけれども、幹事の先生を全員集めまして、システム研究センターの先生方が審査方式についての周知とか指導を行ったということも多くなってございます。

【山本委員】  大学の監事の先生ですか。

【長澤人材育成事業部長(兼)研究事業部長】  審査会で、お一人、先生が幹事役を務める方がいらっしゃるんですけれども、その方々を集めたということでございます。

【山本委員】  失礼しました。

【家理事】  審査会の司会をですね。

【山本委員】  なるほど。審査をまとめる方としてはということですね。

【家理事】  結局、それを仕切る幹事の力量が、非常に大事になりますので。

【山本委員】  では、今の続きになりますので。そういう意味では、科研費改革のシステム改革、非常に大きなものを何年も掛けて動かしているわけですけれども、特にここの直近1年ぐらい、一番現場の研究者の方の反応も大きいところだと思うんですが、マイナスの方をお伺いしたくて、混乱としてどのようなものが出てきて、それに対してどのように対応しているかといった辺りをお伺いできますでしょうか。

【家理事】  特に説明会等で御意見があるのは、実際に専門性を広がった審査区分にしたことによって、自分の審査を適切に審査していただけるのかという御質問はかなりありますけれども、その辺につきましては、審査委員が俯瞰的にものの見方をしてしっかりとフォローしますので、問題はないという御説明をしております。

【佐分委員】  これは正直言って、申請する側からすると非常に画期的だと思うんだけれども、自分が審査した経験からすると、極めて難しいですよね。従来の枠でも、私の場合、国際法関係だけれども、国際司法関係だと、正直言って、論文のというか、学会の現状を確実には把握していないので、どうしてもほかの人の意見を聞くとか、できるときには読んだりするんだけれども、とても今、時間がタイトで、できないと、これ、書いてあるのは非常にうまく書いてあるんだけれども、うまく書いてあるがゆえに本当だろうかというのがあるとね。
 確かに、何ていうか、新しい分野を開拓しようと思って申請するためには、今までの区分よりも広い方がやりやすいので、ここは本当に成否がかかるところだと思うんですよね。私、担当じゃないからよかったとは言わないけれども、一番問題なのは、3,000件の意見が出たというのが、どんな意見が出ていて、それにどのように対応されたかというのが重要かなと思うんですね。ほかの委員の人に余分な負担を掛けるようで申し訳ないので、ここは検証しないと、Sなのかどうかという議論は大変かと思います。
 もう一つ、余分なことを言いますけれども、これは何回も今までこの評価をやっていて、協議しなければいけないことだと思うんですが、例えば科研についても、予算が削られていて、応募が増えて、採択率は落ちているわけですよね。そういう中で、Aだというのは、限られた中で公正な審査を効率的にやっているというところで評価し、しかも採択されたものの論文の質が高いという形で評価するんだけれども、理事長も言われたとおり、世界レベルで研究レベルを維持していこうと思ったら、決してほめられた状況にあるとは思われないので、いつも同じことで忸怩たるものはあるんですけれども、どこかでこれでいいのかということを、評価の外なのかもしれないけれども、示す必要があって、これは私、国立大学の評価やっていて、いつも同じことが出て、よくやっていると自分では言うんだけれども、このままの予算でいいのかと、削ってきてもよくやっているんだなと言われるのは困るわけでね。何か次の計画立てるときに、例えば目標で大きい数字出しちゃうとかね。文科省は困るかもしれないけれども、本来。で、達成できなければ、それは予算がないからできないんだというぐらいのことを言わないと、何かいつもこういう評価して、よく努力しておられるということは分かるし、そういうことでSやらAの評価出すのが、何か忸怩たるものがあるということ。余分なこと言いました。
 それと密接に関係しているんですけれども、私の関係でお伺いしたいのは、若手研究者の育成で、これは21ページのところで、ポスドク等の支援のところで採択件数が減っているのは、今言ったような事情で仕方がないと思うんですが、応募の申請の件数も減っているんですよね。27年がピークで、28、29。下に応募の資格を厳格化したというのが出てくるんですが、これはこの厳格化したのと符合していますか。いつからこれ、厳格化されたのか。すみません、細かいことを急に言って。21ページの特別研究員の申請者数の推移で、27年がピークで、28、29と落ちているんですよね。これが客観的要件を厳格化したからだというならやむを得ないんだけれども、当たる率が落ちたから諦めた人間が増えたというと、もっと深刻だと思うので、これ、どういうことなのかなと。すみません、今でなくていいので、多分、ほかのところの数字見ていて、後で質問したいことあると思うので、後で結構ですからお願いします。

【家理事】  具体的なデータは後でちゃんと調べて御返答したいと思いますけれども、私の感覚的には、博士課程への進学者が減っているということが、一番大きな原因ではないかなと思っております。

【佐分委員】  なるほどね。それも全体に深刻で、私は大学が構造不況業種でと言っているんだけれども、就職口もなかなかないですしね。問題がある。

【家理事】  それから、一番最初に御指摘いただいた大きな分野での審査、自分の専門から離れた分野の事情はよく分からないということも、それは確かにそうでありまして、なので、基盤Sとか、非常に大きな区分でやるものについては、ペーパーレフェリーをお願いして、専門に近い方に書面でコメントを出していただくということをやるように制度設計しております。

【安西理事長】  先ほど佐分委員の言われた科研費改革、また、植田主査が言われた審査体制の件は、本当に一番の重要なポイントでございまして、多少の時間を掛けても今始めるべきだというのは、私の個人的な考え方でございます。特設分野あるいは挑戦的研究という科研費の中の種目について、既に審査体制を総合審査の方式が始まっておりますけれども、私もその見学というのか、学術システム研究センターの研究員の人たちが中へ入って後ろで見ているという形を、今、とっておりますけれども、私もその中に入って見学もしているのでありますが、思ったよりというといけませんけれども、きちっとしたディスカッションをやっております。
 ただ、それでも、本当に自分の分野と違う分野に対して、どのようにコメントを出していくかというのは、ある程度の経験が必要だと思いますので、ここはいろいろな意味で、審査委員に対する研修というのか、そういう対応を、今、やり始めているわけでありますけれども、それを続けさせていただくということだと思っています。それでも変えていくべきだろうと。審査システムを変えるということは、大事だと考えております。
 PDの特研の応募件数が減っているというのは、今、家理事が言われたように、私も大学院自体が、なかなか博士課程の問題が非常に大きいだろうと認識しておりますので、実際には先ほど申し上げたように、PDの常勤への就職率は非常に高いのでありますけれども、それでもなかなか、今、全体としてポスドク問題の中へ絡め取られているような、そういう状況があると思っております。

【植田主査】  それでは、よろしいですか。おおむね御意見等は出そろったと思いますので、平成28年度業務実績及び第3期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に係る自己評価に対するヒアリングは、これで終了いたします。
 このヒアリングで最初に理事長がおっしゃったように、学術研究そのものに、非常に今、危機感を持っておられて、それに対して早急に対処しないといけないことは、もう明らかですね。だからそのときに、この日本学術振興会の評価をやっていくときには、これは普通の独立行政法人ではなくて、学術活動をやっているところをサポートするわけですから、学術の特性を生かした形の評価をしないといけない。つまり、そういう形の対策をこれからも作っていかなければ、単につじつま合わせをしたところで、長い期間で土壌を育てていくことができないと思いますので、いっぱい多分、御意見はあると思います、それはこれから出していただいて、文科省を通じて学振の方に質問をして、やり取りをしながら報告書に取り入れていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは最後に、今後のスケジュールについて、事務局より説明をお願いいたします。

【藤澤課長補佐】  では、資料4、1枚ものを御覧いただければと思います。こちらに書かれておりますとおり、今度、7月7日、今週末をめどに、評価書の事務局案を委員の皆様にお送りさせていただきます。
 本日の委員の皆様におかれましては、本日のヒアリング、ここで聞き取ったお話等を踏まえ、当方での案を御確認いただいて、例えばこういう評価項目はこういった観点からも評価できるんじゃないかとか、こういった課題があって、今後も業務運営の改善が求められるといった、様々な御意見を賜りたいと考えております。大変お忙しいところ恐れ入りますが、こちらに書かれているとおり、13日、来週半ば、木曜日までに、その辺をめどに、こちら、意見・助言を事務局の方に御提出いただきたいと考えております。
 当方の方では、その後、頂いた御意見等を取りまとめの上、次回、今度、7月20日でございますが、そちらの方で、28年度業務実績に係る評価書案、同じく第3期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に係る評価書案、こちらの方を御議論いただきたいと、決定したいと思っております。
 最後にでございますが、本日の会議資料、こちら大部でございますので、封筒の方にお名前をお書きいただきまして机上に残していただければ、こちらの方から郵送させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、こちらの方に、こういったファイル資料がございますけれども、こちらの方は、また次回も使わせていただきますので、机上に残していただければと思います。
 以上でございます。

【植田主査】  ありがとうございました。それでは、本日の有識者会議を終了いたします。本日のヒアリングに御協力いただいた日本学術振興会の皆様におかれましては、どうも長い間、ありがとうございました。
 それでは、終了いたします。


―― 了 ――

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