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私的録音補償金制度の見直しに関する検討

2003年4月4日 議事録
「私的録音補償金制度の見直しに関する検討(第1回)」議事要旨

「私的録音補償金制度の見直しに関する検討(第1回)」議事要旨

日   時: 平成15年4月4日(金)15:00〜16:00
場   所: 経済産業省別館9階944号会議室

出席者:
『製造業者等団体』 :大森一男、奥邨弘司、亀井正博、河野智子、三石国根、光主清範
『権 利 者 団 体』 :泉川昇樹、上野博、川口真、工藤陽一(代理)、椎名和夫、生野秀年、峰岸愼一
事      務      局 :森口審議官、岡本著作権課長、その他の担当官

議   事
1. 開会
2. 検討メンバー・事務局紹介
3. 森口審議官挨拶
4. 私的録音補償金制度の見直しに関する検討について
5. 議事の公開等について
6. 私的録音補償金制度の見直しについて

   事務局から机上資料についての説明が行われた後、製造業者等団体を代表して亀井氏から、権利者団体を代表して生野氏から、以下のような意見があり、それ以降、フリートークが行われた。

○:製造業者等団体、◎:権利者団体、△:事務局

   ○    メーカー側からの意見は、私的録音補償金の額を必ずしも下げるということではない。環境の変化の1つとして、技術的保護手段の採用によって、今後、技術的にコピーをコントロールしていくことになった場合に、補償金の事情は変わってくる。また、技術開発の立場からいうと、技術開発にかかる一定のコストと補償金による利用者のコストの二重のコストを考えないといけない。そして不正競争防止法上の技術的保護手段と著作権法上の技術的保護手段の定義が類似しているので、双方の規制の間での利益調整を考えていかないといけない。それから「pay per copy」というようなことを行えるのであれば、補償金という形で集中的に徴収しなくても、場合によっては良いのでなないか。つまり、補償金がかかり、なおかつコピーをコントロールするという重畳的に様々な形のものが増えつつあるということを考えると、制度自体の見直し、或いは汎用機自体に補償金を付加するのかといったことがあるが、どういう場合であれば補償金という解決でなくて、具体的なお金の徴収をするのかというところを前向きに考えていくことをこの場でできればと思う。
   今回のメーカー側のペーパーは、補償金制度についてこうすべきだということよりも実態を踏まえないという前提でできている補償金制度について、実態が変わってきている時どうするのかという問題提起である。この場でしなければならないことは、問題提起だけでなく、解を出すことであり、そのためには、今の補償金制度をどう変えるのかという具体的な提案を出していただかなければならない。
   そもそも私的録音補償金制度の目的が、私的録音によって権利者が受ける被害の損失の補填が目的であったのに、制度の対象となっていないデータ用のCD−R、CD−RWが家庭内で私的録音で利用されている実態が出てきたこと、対象とされているMDも出荷数量が多いのにも関わらず、補償金額の単価が落ち込んでいるために補償金額自体が減っているといったことを権利者サイドは問題視している。メーカー側の言う技術的保護手段の活用が重要であることは認識しており、数年前からSACD、DVDオーディオといったセキュアなメディアを発売しているが、ハードの普及状態が進んでいないこともあって、まだ一般的になっていない。ただCDのハードの普及が約70パーセントくらいあり、簡単に新しいメディアへの移行が考えられないので、暫くはCDに付加価値をかけ、かつセキュアな環境を作っているという状態である。従って現状における私的録音補償金制度、すなわち、政令指定の対象、機種に限定するといったシステムでは対応できないことを理解の上、是非この場で意見交換をして議論を深めたい。
   これから議論をするときは、違うタイムスパンで話されてしまうとすれ違いが生じる。例えば来年に法改正ということなのか、5年後なのか、20年後についてビジョンを示して終わるのかということを考えておかないといけない。
   私的録音補償金制度は、一般の利用者が著作権料を支払うのが理想的な実態であるが、国民一人一人が私的録音のお金を払っているという意識がないので、これから著作権教育というものが必要になる。交渉の場面では、払う払わないで製造業者側と向かい合ってしまいがちであるが、製造業者にとっても音楽ソフトは必要なのだから、お互いの産業が隆盛することによって、一般の方々が楽しんでもらえるというお互いのスタンスを確認しあいながら話し合いをしたい。
   メーカー側に相談なくコピーコントロールをかけられてしまうと、メーカー側よりもエンドユーザーが困る。協調ということでするのであれば、DVDのようにこういう形になるということを具体的に相談していくことを考える必要があるのではないか。
   音楽産業について、家電メーカーも、同じ産業からの目で見るということは非常に大切なことだと思う。
   コンピューターに入っているCDプレイヤーは、パソコンというハードと中に入っているソフトが一体になって録音ができるのだが、両者がバラバラになった場合に、機器というものをどう考えるのか。
   その点については、次回までに権利者団体側で何をどうしたいのかを相談をしていただきたい。
   録音制度の現状をどう考えるかを整理するためには、実態の把握が必要になる。制度本来の目的に照らして、現状のどの部分がそぐわないかというところの認識を共有する必要がある。金額の問題はさておき、制度の仕組みをどうするのか、というところから、いろいろ議論していただきたい。
   ドイツの制度は著作権に基づくものではないので、「コピーができる機械が出来たので金を取る」というのが実態に合わせることとなるが、日本の制度は複製権に基づくものなので、「コピーを取る人間の行為にどのくらい連動させるのか」というのが、実態に合わせることとなる。また、タイムスパンについては、20年度のことについて議論ではなく、イメージとして5年先くらいまでを考えた制度改正について議論するのが、審議会で期待されていることだと思う。
   コピーガードがより完全なものとなることや、正確な対価の徴収ができるようになるということはすぐには実現しない。あまり先の長い話ではなくて、是非現在のことを考えて検討して欲しい。
   10年先、15年先にどのような変化が起こるかは全くわからないと思う。したがって、今考えられる最適な方法は何か、ということで考えれば5年くらいが適当な期間ではないかと思う。
   一番早いスケジュールでいうと、今年の秋くらいまでに結論を出してもらい、それを著作権分科会にフィードバックしてすぐ結論を出して、来年度に制度改正ということになる。そうでないとしても、来年又は再来年に制度改正を行うとすれば、改正して5年くらい持つような状況を作るということが考えられる。実態調査をして半年ぐらいかかるとしても再来年には何かするというペースではないか。あくまで当事者間で提案をして議論していただきたい。
   今回、録音の話について考える上で、録画補償金制度をどうするのかという話もあるか思うが、そのことも整理するのか。
   録音と録画を同時に議論すると混乱が生じるので、まずは、録音について検討するということである。ここで早期に方向性が出てきて、合意形成ができそうな状態になれば、録画の方も立ち上げるということもあるかもしれない。そうでなければ、録音が終わってから、録画を考えることとなる。録音と録画は必ずしも一緒でなくてよい。
   次回は、将来5年くらいもつ状態をつくるという前提で、補償金制度について、こういう状態を作ってもらいたいというのを過不足なく出してもらいたい。双方から具体的な提案を出してもらい建設的な議論を行われることを期待したい。この場は検討する場ではなく、結論を出す場なので、具体的な話となるようお願いしたい。

7. 閉会
   次回の会議は、製造業者等団体と権利者団体の双方がそれぞれ具体的な提案を出すとでいうことで閉会した。


(文化庁長官官房著作権課)

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