3  日本語教員養成において必要とされる教育内容
  (出典:『日本語教育のための教員養成について』(平成12年3月  文化庁・日本語教員の養成に関する調査研究協力者会議報告)

領  域 区    分 内    容 キーワード








社会・文化・地域に関わる領域
教育に関わる領域
言語に関わる領域
社会・
文化・
地域
世界と日本 歴史/文化/文明/社会/教育/哲学/国際関係/日本事情/日本文学…… 世界史/日本史/文学/芸術/教育制度/政治/経済/貿易外交/人口動態/労働政策/日本的経営/グローバルスタンダード/社会習慣/時事問題……
異文化接触 国際協力/文化交流/留学生政策/移民・難民政策/研修生受入政策/外国人児童生徒/帰国児童生徒/地域協力/精神衛生…… 国際機関/技術移転/出入国管理/外国人就労/共生社会/難民条約/子どもの権利条約/国籍/少数民族/異文化適応/カウンセリング/ODA/NGO/NPO……
日本語教育の歴史と現状 日本語教育史/言語政策/教員養成/学習者の多様化/教育哲学/学習者の推移/日本語試験/各国語試験/世界各地域の日本語教育事情/日本各地域の日本語教育事情…… 第二次世界大戦/国際共通語/日本語教員養成講座/留学生/就学生/技術研修生/中国帰国者/難民/出入国管理及び難民認定法(入管法)/地域の日本語教育/日本語教育能力検定試験/日本語能力試験/シ゛ェトロヒ゛シ゛ネス日本語能力テスト/ACTFL/TOEFL/TOEIC/英検……
言語

社会
言語と社会の関係 ことばと文化/社会言語学/社会文化能力/言語接触/言語管理/言語政策/言語社会学/教育哲学/教育社会学/教育制度…… 世界観/宗教観/法意識/自己概念/個人主義/集団主義/公用語/方言/言語生活/外国語・第二言語教育/ピジン・クレオール/ダイグロシア/二言語併用……
言語使用と社会 言語変種/ジェンダー差・世代差/地域言語/待遇・ポライトネス/言語・非言語行動/コミュニケーション・ストラテジー/地域生活関連情報…… 語用論ルール/ウチ・ソト/やりもらい/会話のルール/メタ言語/沈黙/意志決定/交渉/根回し/稟議/時間・空間意識/ホンネとタテマエ/人称代名詞・親族名称・呼称/メタファー/発話行為(依頼・言い訳・感謝・約束・謝罪等)/指標/終助詞……
異文化コミュニケーションと社会 異文化受容・適応/言語・文化相対主義/自文化(自民族)中心主義/アイデンティティ/多文化主義/異文化間トレランス/言語イデオロギー/言語選択…… 意味付け/コードスイッチング/翻訳/通訳/バイカルチャリズム/エスノリンキ゛スティック・ハ゛イタリティ(ethnolinguistic vitality)/イクイティ(equity)/共生/コンテキスト/異文化交渉/国際協力……
言語

心理
言語理解の過程 言語理解/談話理解/予測・推測能力/記憶/視点/言語学習…… 記憶(エヒ゜ソ−ト゛記憶・意味記憶)/スキーマ/トップダウン・ボトムアップ・処理/推論……
言語習得・発達 幼児言語/習得過程(第一言語・第二言語)/中間言語/言語喪失/バイリンガリズム/学習過程/学習者タイプ/学習ストラテジー…… 第一言語・第二言語/相互依存仮説/帰納的・演繹的学習法/言語転移/意味フィルター/発達障害/学習障害(LD)/言語病理/沈黙期……
異文化理解と心理 異文化間心理学/社会的スキル/集団主義/教育心理/日本語の学習・教育の情意的側面…… カルチャーショック/文化摩擦/判断停止(エホ゜ケー)/文化化/異文化トレーニンク゛/自己開示……
言語

教育
言語教育法・実習 実践的知識/実践的能力/自己点検能力/カリキュラム/コースデザイン/教室活動/教授法/評価法/学習者情報/教育実習/教育環境/地域別・年齢別日本語教育法/教育情報/ニーズ分析/誤用分析/教材分析・開発…… 教室研究(クラスルームリサーチ)/アクションリサーチ/グループダイナミクス/ドラマ/ロールプレイ/スピーチ/ディベート/ディスカッション/多言語・多文化/インタラクション/教師の自己研修(ティーチャー・テ゛ィヘ゛ロッフ゜メント)/コミュニケーション・テスト/アセスメント/ポートフォリオ/シラバス/レディネス……
異文化間教育・コミュニケーション教育 異文化間教育/多文化教育/国際・比較教育/国際理解教育/コミュニケーション教育/スピーチ・コミュニケーション/異文化コミュニケーション訓練/開発コミュニケーション/異文化マネージメント/異文化心理/教育心理/言語間対照/学習者の権利…… 異文化トレーニンク゛/母語保持/エンパワメント/加算・減算的ハ゛イリンカ゛リス゛ム/言語転移/相互学習/体験学習/イマーシ゛ョン教育/クリティカル・インシデント(危機事例)/カルチャー・アシミレータ/判断停止(エホ゜ケー)/ファシリテータ……
言語教育と情報 教材開発/教材選択/教育工学/システム工学/統計処理/メディア・リテラシー/情報リテラシー/マルチメディア…… 教材/教具/メディア/コンテンツ/ネットワーキング/視聴覚情報/言語コーハ゜ス/CAI・CALL・CMI/衛星通信/ファシリテータ/知的所有権/著作権……
言語 言語の構造一般 一般言語学/世界の諸言語/言語の類型/音声的類型/形態(語彙)的類型/統語的類型/意味論的類型/語用論的類型/音声と文法…… 語族/SOV・SVO言語/モーラ言語/膠着語/高文脈/相対敬語/発話行為/ポライトネス/ハ゜ラ言語/非言語/表音・表意文字/タイポロジー……
日本語の構造 日本語の系統/日本語の構造/音韻体系/形態・語彙体系/文法体系/意味体系/語用論的規範/表記/日本語史…… 南方・北方説/音素/アクセント/イントネーション/形態素/語構成/文節/品詞分類/文法/命題/モダリティ/文章談話構造/語用論的機能/発話行為/位相/待遇表現/方言/性差……
言語研究 理論言語学/応用言語学/情報学/社会言語学/心理言語学/認知言語学/言語地理学/対照言語学/計量言語学/歴史言語学/コミュニケーション学…… 調査・分析法/リサーチ・ツール/リサーチ・クエスチョン/論文作成法/発表形態/学会……
コミュニケーション能力 受容・理解能力/表出能力/言語運用能力/談話構成能力/議論能力/社会文化能力/対人関係能力/異文化調整能力…… 4技能/葛藤処理(管理)/プレゼンテーション/対人関係構築・維持/関係修復/判断停止(エホ゜ケー)/日本語能力/外国語能力……

(備考)
1  領域:コミュニケーションを核として,「社会・文化に関わる領域」,「教育に関わる領域」,「言語に関わる領域」の3つの領域からなり,それぞれはあえて明確な線引きは行わず,段階的に緩やかな関係ととらえ,また優先順位を設けず,いずれも等価と位置付ける。
2  区分:上記3領域の区分として,「社会・文化・地域」,「言語と社会」,「言語と心理」,「言語と教育」,「言語」の5区分を設ける。また,各々の下位の区分として,3〜4区分を設定し,教育内容の位置付けや,日本語教員養成課程等で具体的に開設される科目等との対応付けを行うための目安とした。
3  内容・キーワード:下位の区分として16区分を設け,各々に,日本語教員養成において必要とされる教育内容を記述した。また,各々の教育内容について具体的な教育細目をイメージしやすくするため,キーワードを設定した。なお,内容及びキーワードは,大学・日本語教育施設等での日本語教員養成課程において開設される科目等とのマッチングを行う際の目安として記述したものであり,教員養成における教育課程編成に際して,教育内容の諸項目を網羅的に行うことを前提としたものではない。
4  その他:想定される教育課程編成の例(省略)

 

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