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私的録音画保証金制度懇談会(録画部)

1999/03/23 議事録

私的録音録画補償金制度懇談会・録画部会(第5回)議事要旨


 私的録音録画補償金制度懇談会(録画部会)(第5回)議事要旨

平成11年3月23日(火)
14:00〜16:00
虎ノ門パストラル「牡丹の間」


1  出席
      委員:阿部部会長、木村委員(代理出席)、小泉(雅)委員、児玉委員、齋藤委員、高比良委員、竹野委員、
              寺島委員、野田委員、藤井委員、松下委員、真鍋委員
      文化庁:結城審議官、吉田課長その他
      オブザーバー:宮本通産省電気機器課課長補佐
      説明者:(株)日立製作所  木AV事業企画部長他2名
                  日本ビクター株式会社小野寺マルチメディア統括部副参事他1名

2  議事概要
  会議に先立ち事務局から事務局の異動及び委員の交代について報告が行われた。

(1)特定デジタル録画機器等について
  日本ビクター株式会社及び(株)日立製作所よりD−VHS録画機器について説明が行われた後、質疑応答が行われた。
(◎  :説明者、○  :委員、△  :事務局)

○  著作者側の立場としては私的録画であれば仕方がないと考えているが、D−VHSのパンフレットには、デジタル録画の目的について家庭内の使用に限る旨の記述がほとんど見あたらず、デジタル録画が当然に許容されるという誤解を与えかねないのではないか。

◎  パンフレットの最後のページに記載しており、従来の製品と同様の注意喚起を行っている。

○  カタログにおける表示については、SARAHにおける検討に基づき、各メーカーに提示したいと考えている。

○  NTSC信号(アナログ)をMPEG2信号(デジタル)に変換するエンコーダーが安くなった場合にはアナログ高画質記録用の機器も発売されるということであるが、その場合、エンコーダーは具体的にどのような意義を有するのか。

◎  従来、放送局でしか行われなかったアナログ・デジタル変換を、D−VHS機器に附属するエンコーダーに内蔵されるICにより、D−VHS機器でもできるようになる。つまり、NTSCによるアナログ放送をデッキで圧縮するということである。

○  現在コピーフリーであるアナログ放送がD−VHS機器のエンコーダーよりデジタル化される際には、コピーフリーの状態のまま変換されるのか。

◎  マクロビジョン信号はエンコーダーを通過しても消えないので、アナログ放送にマクロビジョンがかかっていた場合には当該放送は保護される。

○  このようなD−VHSが低価格で販売される見通しはあるのか。

◎  ICの価格次第で変わってくるが、具体的にはわからない。

◎  DV方式においてはすでにアナログ・デジタル変換機能を内蔵する機器が販売されており、D−VHSについてもこれと軌を一にすると考えられる。

○  現在発売されている機器の発売台数は限定1000台ということであるが、これにアナログ・デジタル変換機能を付加することは考えているのか。

◎  現在発売されているCSチューナー内蔵の機器については今後さらに台数を増やすことは考えていないが、今後のD−VHSフォーマットの発展性ということでご説明した。

○  D−VHSテープのアナログ録画への使用や、また、従来のVHSテープのデジタル録画への使用はありうるのか。このような場合には、補償金返還請求もありうるのではないか。

○  D−VHSテープについてはデジタル録画用、従来のVHSテープについてはアナログ録画用として発売されていることや、VHSテープを本来の用途を越えてデジタル録画した場合に画質は保証できないことを販売に当たって利用者に説明している。○  EIAJ加盟の他社もD−VHSフォーマットを採用する見込みなのか。

○  EIAJ加盟の他社もD−VHSフォーマットを採用する見込みなのか。

◎  D−VHSはビクターの規格であるため、ビクターと各社との間で規格書に則ったライセンス契約を締結している。

○  デジタル化が進展する中でパソコンのような汎用機器に対応せず、放送のデジタル録画にした機器は普及するのか。

◎  パソコン本体にD−VHSの機能が組み込まれることは大きさやアクセサリーの点から想定できないが、パソコンとの接続については、権利保護の形態も含めて将来検討されうるものと考える。

○  HD放送が普及すると2時間録画するのに20GBもの容量が必要になるため、パソコンに蓄積することは難しく、テープがそれを補うという利用方法も考えられるのではないか。

○  DVDとの接続可能性等についてはどのように考えているのか。

◎  技術的問題、商品コンセプト、著作権問題が重畳的に重なる問題であるが、今後ともコンテンツの保護を尊重して検討していきたいと考えている。

(2)私的録画補償金制度に関する今後の進め方
  事務局から私的録画補償金制度に関し、まもなく私的録画補償金管理協会が設立される予定であること、デジタル録画機器として、DVCR、D−VHSの2種を対象に指定することを考えていることについて説明が行われた後、質疑応答が行われた。

○  料率について消費者の意見は反映されたか。

○  消費者側として特に意見は述べていない。私的録音補償金についての議論の中でも述べたが、権利者が補償金を定率方式ではなく定額方式によって徴収できるようにすべきである。

△  私的録音補償金の徴収についてメーカー及び権利者の間で定率方式でまとまったことを踏まえ、私的録画についても定率方式であることを前提に専ら料率について議論がされてきた。

○  権利者としては、機器・媒体の価格変動が大きい状況においては定額方式についてメーカーの理解が得られないことを勘案し、料率方式を前提として具体的な提案を行った。

○  今後、価格競争が激化して価格が低下することが予想されるが、機器などの価格低下に伴い著作物利用の対価である補償金額も下がるのでは、権利者に失礼ではないか。定額方式について、今後の検討課題とした方がよい。

○  私的録画についても私的録音の場合と同様に、一つの機器が一つのデジタル録画機能を有することを前提に補償金制度が存在すると理解しているが、ダブルデッキが発売されている状況については、EIAJ(日本電子工業会)としてはどのように考えているのか。

○  独占禁止法上の要請から、どのような製品を発売するかについては各社の意思に任せているが、権利者側から販売自粛の要請があった場合には、そのような意見があることについて各社に連絡することは考える。

○  著作物にコピープロテクションがかけられるような状況においては、放送事業者や映画製作者はともかく、個々の著作者にとっては、そもそも私的録画補償金は意義の薄い制度になりつつあり、権利者として全て契約による商業ベースで使って欲しいと考えている。EIAJに対しては、海賊版の作成を助長するような機器を製造するメーカーを支援しないことを要望するとともに、メーカーに対しては、パンフレット等の中で、この補償金制度は私的録音録画についてのみ認められる制度である旨を強調して表示することを要望する。

○  映像ソフトを製作する業界としても、著作権法第30条の私的録画に係る規定は放送のタイムシフトを許容する旨を定めているにすぎず、パッケージソフトのダビングを許容する趣旨ではないと考えている。
  また、最近、コピーガード(マクロビジョン)に反応しないダブルデッキが通信販売等により販売されており、これが法改正によって規制されるコピーガードキャンセラーでないとされていることについては遺憾に感じる。EIAJには何らかの指導をして欲しい。

○  放送事業者としては、私的録画の範囲を超えるダブルデッキについては私的録画補償金制度とは全く別の方法で対処せざるを得ないものと考えているため、現行制度の下においてダブルデッキを販売しないよう、EIAJには何らかの形で働きかけをして欲しい。

○  過去にダブルデッキを製造しないように各社に呼びかけたところ、外国から独占禁止法上の問題を指摘されたことがあり、EIAJとしては各メーカーの合意を取り付けるところではないことを理解して欲しい。

○  メーカーとしては、放送についてコピープロテクションがいつ如何なる形でかかるのか等の放送業界の今後の動向について関心を持っている。なお、コピープロテクションがかかっているパッケージソフトについては補償金の対象と認識しておらず、意図的にフラグを立てずコピーフリーとするパッケージについての取扱いについても問題意識を持っている。

(3)今後の進め方
  事務局から、次回の懇談会の日程については、必要に応じて、各委員の日程調整の上決定する旨の発言があった。 

(文化庁長官官房著作権課)

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