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文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過の概要

平成17年9月
 

 著作権分科会では,今後優先して対応すべき著作権法上の問題を大局的・体系的な観点から抽出・整理をし,本年1月24日に「著作権法に関する今後の検討課題」として取りまとめた。著作権分科会法制問題小委員会では,これらの検討課題のうち,本小委員会の委員及び関係団体から数多くの改正の要望が出され,制度と実態の乖離が見られるなどにより緊急に検討を要する以下の課題について検討を進めた。


1.権利制限について

(1) 特許審査手続に係る権利制限について
 非特許文献に対する審査官や出願人による複製、情報提供のための複製については、非特許文献は入手困難なものも多く、審査に必要とされる迅速性・正確性の確保の観点から、権利制限を認めることが必要であるとする意見が多数であった。なお、その場合、複製物が当該手続外で利用されることがないことが担保されるよう配慮が必要であり、また、特許法のみならず、実用新案法、意匠法、商標法についても、同様に考える必要があるとの意見もあった。
 また、非特許文献を出願・審査情報の一環として電子的に保存するための特許庁による複製については、著作権法第42条の「行政の目的のための内部資料として必要と認められる場合」に該当するため、現行法でも可能と考えられるとする意見が多数であった。

(2) 薬事行政に係る権利制限について
 承認・再審査・再評価制度、副作用・感染症報告制度・治験副作用報告制度において、副作用等の発現に係る提出書類に研究論文等を添付するために行う複製については、権利制限を認めても、著作権者の通常の利用を妨げず、かつ、著作者の正当な利益を不当に害しないことを条件として、「行政手続のために必要と認められる場合」の1つとして、権利制限することが適当と考えられるとする意見が多数であった。
 なお、医薬品等の適正使用に必要な情報を提供するために、製薬企業が行う研究論文等の複製・頒布については、当面、構築されている許諾システムが有効に機能していくか見守ることとするが、条件付をした上で権利制限を認めること等について、検討を行うことが適当とされた。

(3) 図書館関係の権利制限について
 他の図書館等から借り受けた図書館資料の複製については、借用を依頼し現に責任を持って当該資料を管理している貸出先の図書館等において、著作権法第31条第1号の条件を満たす場合には、当該資料の複製をすることができるとする方向で権利制限を認めるのが適当であるとする意見が多数であった。
 なお、その他の論点については、要望内容や実態等を踏まえた上で、現行法の枠組みでどこまで対処が可能であるかも含め、引き続き検討する必要があるとする意見が多数であった。

(4) 障害者福祉関係の権利制限について
 視覚障害者情報提供施設等において、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するため、郵送代替手段として行う公表された録音図書の公衆送信については、視覚障害者による録音図書の利用をインターネットにより促進することが情報通信技術のもたらす利益を社会的弱者に広く及ぼすという意味で、極めて大きな公益的価値を有すると認められるため、対象者が専ら視覚障害者に限定されることを条件に、本件要望の趣旨に沿って権利制限を認めるべきという意見が多数であった。
 なお、その他の論点については、提案者による必要性及び趣旨の明確化を待って、引き続き検討する必要があるとする意見が多数であった。

(5) 学校教育関係の権利制限について
 同一構内における無線LANについても、有線LAN同様、原則として公衆送信にはあたらないこととすることについて、無線LANによる送信についても、通信の安全性の技術や送信の機能等が有線LANと同等であることから、「公衆送信」の定義から除外する必要があるとする意見が多数であった。
 なお、その他の論点については、教育行政及び学校教育関係者からの、具体的な提案を待って、改めて検討することが適当とされた。

2.私的録音録画補償金の見直しについて

(1) ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定について
 ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定については、賛否をめぐり、委員の間で見解が大きく分かれており、現時点では、特定の結論に意見を集約するには至らなかった。したがって、引き続き検討する必要がある。

(2) 汎用機器・記録媒体の取扱いについて
 録音や録画を行わない購入者からも強制的に一律に課金することになり、私的録音録画補償金制度が不適切な制度となる等の観点から、汎用機器等は私的録音録画補償金制度の対象とすべきではないとする意見が多数であった。

(3) 政令による個別指定という方式について
 法的安定性、明確性の観点から現行の個別指定方式を維持するべきであるとする意見が多数であった。

(4) その他(私的録音録画補償金制度の課題について)
 早急に対応すべき課題として、私的録音録画補償金制度の在り方自体の見直しを検討すべきとの意見が多数であった。

 あわせて,同小委員会のもとに,「デジタル対応ワーキングチーム」,「契約・利用ワーキングチーム」,「司法救済ワーキングチーム」の各ワーキングチームを設置し,以下の課題について検討を進めた。

3.デジタル対応について

(1) 機器利用時・通信過程における一時的固定について
(2) デジタル機器の保守・修理時における一時的固定及び複製について
(3) 技術的保護手段の規定の見直しについて
 デジタル機器の保守・修理時における一時的固定について、権利制限を認めることが適当との意見が出されるとともに、権利制限が認められる場合の具体的な条件及び義務に関する効果的な法的措置、その他に関して、デジタル対応ワーキングチームで引き続き検討することとされた。

4.契約・利用について

(1) 著作権法と契約法の関係について(契約による著作権のオーバーライド)
(2) 許諾に係る利用方法及び条件の性質(第63条第2項の解釈)
(3) 著作権の譲渡契約の書面化について
(4) 一部譲渡における権利の細分化の限界(第61条第1項の解釈)
(5) 第61条第2項の存置の必要性について
(6) 未知の利用方法に係る契約について
 譲渡契約の書面化や未知の利用方法などについては、実務的にも重大な問題であり、他の事項も含め、契約・利用ワーキングチームで引き続き検討することとされた。

5.司法救済について
(いわゆる「間接侵害」規定の創設の必要性について)

   著作権法第112条において、誰に対してどういう理屈で差止請求権が認められるのかということなどについては、司法救済ワーキングチームで引き続き検討することとされた。

 裁定制度の在り方に関しては,「著作権法に関する今後の検討課題」において,法制問題小委員会における検討に先立ち,契約・流通小委員会にて検討を行うことが適当であるとされたことを受け,契約・流通小委員会において議論が進められた。

6.裁定制度の在り方について

(1) 基本的な考え方
(2) 著作権者不明等の場合の裁定制度
(3) 著作物を放送する場合の裁定制度
(4) 商業用レコードへの録音等に関する裁定制度
(5) 翻訳権の7年強制許諾
(6) 新たな裁定制度の創設について

   情報化時代において、著作物は可能な限り、利用される方向で見直しべきであり、特に著作者不明等の場合の裁定制度は、より利用しやすいシステムを模索し、より一層具体化に努めるべきであるとの意見があった。

-- 登録:平成21年以前 --