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「文化審議会著作権分科会報告書」の概要

平成16年1月14日
 

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はじめに

           最近の著作権を含む「知的財産」に関する政策の動きには非常に活発なものがあり,知的な創作活動を重視していこうとする機運がますます高まりつつあることを踏まえて,昨年整理した「法律ルールの整備」,「円滑な流通の促進」,「国際的課題への対応」,「著作権教育の充実」,「司法救済制度の充実」の5分野について,引き続き各分野に対応する5つの小委員会を設置し,知財戦略を具体化するための施策を検討。


第1章  法制問題小委員会

     「書籍・雑誌の貸与」に係る暫定措置の廃止
   昭和59年に,「書籍・雑誌の貸与」については,当分の間,貸与権の規定を適用しないとする「暫定措置」が設けられたが,新たなレンタルブック店の出現により大きく環境が変化し,「書籍・雑誌の貸与」による著作権者への経済的影響が大きくなってきていることなどから,この「暫定措置」を廃止し,「書籍・雑誌の貸与」についても,著作者の権利が及ぶこととすることが適当。

     「日本販売禁止レコード」の還流防止措置
   日本における販売を禁止することを条件に,アジア諸国等でライセンスされた日本よりはるかに安い日本の音楽レコードが,日本へ還流してくるという問題については,日本の音楽産業の国際展開や音楽文化の海外への普及を積極的に図る環境を整備するため,還流防止措置を導入すべきといった積極的な意見や,欧米諸国の音楽レコードの輸入にも影響を与える可能性があるといった現段階での導入に慎重な意見など,様々な意見が見られたが,日本の音楽レコードの還流防止のため何らかの措置が必要であるという意見が多数。
   具体的方法論については,欧米諸国等の音楽レコードに対する影響や他の著作物等への拡大を懸念するなどの慎重意見を踏まえた検討が必要。


第2章  契約・流通小委員会

     著作物等の利用許諾契約における利用者の保護
   著作権等が第三者に譲渡された場合や著作権者等が破産した場合の著作権等に関する利用許諾を受けた利用者の地位の保護については,破産法や民法等の適用や,契約条項の改善により相当程度解決できるが,利用秩序に関する基盤整備の一環として利用者保護の制度整備を図ることが望ましい。
   保護の方法については,対抗要件の制度によるべきで,登録による公示の制度を基本とすべきであるが,現行の著作権等に関する登録制度の仕組みにとらわれることなく,現行の登録制度とは別の簡易な登録制度の創設の必要性に言及。
   なお,公示によらず対抗要件を付与する制度(書面による契約)については,現行制度の前提を大きく変えるものであり,慎重な検討が必要。

     著作物等に係る登録制度の在り方
   プログラムの著作物に係る登録の実施主体は,現在「公益法人」に限定されているが,この制約を廃止すること,また,登録原簿をコンピュータに時代に合わせた検索しやすい媒体に変更することを提言。


第3章  国際小委員会

     著作権関連条約への対応の在り方
   現在WIPOで審議されている「放送事業者に関する新条約」の我が国の方針を明確にするため,「放送条約の保護の対象」,「放送事業者に付与すべき権利」,「放送前信号の取扱い」,「暗号解除の取扱い」等の諸課題について整理。

     海賊版対策の在り方
   知的財産推進計画に基づき,「侵害発生国の海賊版対策の強化のための我が国の働き掛け」,「我が国の権利者の積極的な権利行使に対する政府の支援」,「官民のさらなる連携の強化」の海賊版対策に引き続き努めるべき。


第4章  著作権教育小委員会

     大学等における著作権教育の在り方
   「大学」,「地方自治体・社会教育施設等の公的機関等」,「企業等」において,それぞれが著作権教育を行う際の留意点について整理。

     文化庁が著作権教育を実施するための重要な視点
   我が国文化の発展のためには,国民の著作権を尊重する意識を涵養する必要があること,そのためには,関係者の協力を得て著作権教育に関する施策を強力に推し進めることの重要性を記述した上で,文化庁が留意すべき重要な視点について,次の7つの柱にまとめて提言。
   1    著作権教育に関する実態を把握し中期的な目標を策定すること
2 著作権に関する研修の機会を拡大すること
3 学校向け事業を優先的に実施すること
4 著作権教育指導者を養成すること
5 分野等の要望にあった研修用標準カリキュラムを開発すること
6 文化庁と著作権関係団体等との連携・協力を深めること
7 その他配慮が求められる事項


第5章  司法救済制度小委員会

     罰則の強化
   「懲役刑や罰金刑の引き上げ」については,著作権侵害の量が飛躍的に増加する中で,抑止効果を高め,悪質な侵害に対応することができるよう,特許法及び商標法と同程度に罰金刑や懲役刑の上限を引き上げるべき。
   「懲役刑と罰金刑の併科」については,悪質な侵害であるにもかかわらず,執行猶予つきの懲役のみで制裁が十分でない場合に対応するため導入するべき。

     知的財産訴訟に係る立証の容易化のための方策
   著作権に係る侵害訴訟において、営業秘密が含まれるとして文書の提出が拒まれる可能性がある。立証の容易化と営業秘密の保護とのバランスを図る観点から、特許権侵害訴訟など他の知的財産権侵害訴訟とのバランスも考慮しつつ、文書に営業秘密が含まれている場合に「正当な理由」の有無を判断するインカメラ審理について、参加者の拡大などによる改善を検討すべき。その際には、目的外の使用や第三者への開示を禁止する秘密保持義務を課すなど営業秘密に配慮することが必要。

-- 登録:平成21年以前 --