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これからの時代に求められる国語力について

平成14年2月20日
文化審議会

1  3  庁  文  第  1  8  7  号

平成14年諮問第5号

文   化   審   議   会

 

 

    次の事項について,別紙理由を添えて諮問します。

        これからの時代に求められる国語力について

 

 

    平   成   14   年   2    月   20   日

        文   部   科   学   大   臣                   遠   山   敦   子

 



(理   由)

    21世紀を迎え,国際化・情報化の進展や価値観の多様化など,人々の生活環境がこれまでとは比較にならないほど急速に変化している中で,一人一人が各自の生き方を主体的に考え,変化に対し柔軟に対応していく力を持つことが求められるようになってきている。
  特に,これからの時代においては,物事を的確に判断できるような分析力や論理的思考力,創造力などを身に付けるとともに,我が国の先人たちの築き上げてきた伝統的な文化を理解し,豊かな感性・情緒を備え,幅広い知識・教養を持つことが極めて重要であると考える。
  国語は,これら様々な能力や感性などと大きくかかわるものであり,文化の基盤を成すものである。また,様々な学問や技術を学ぶにもその基礎となるものは国語であって,文化の継承と創造に欠くことのできないものである。さらに,国際化が進展する中で外国語の能力を身に付けることの重要性が言われているが,そのためにも,まず,国語で自分の意思を明確に表現する能力が必要である。
  近年,日本人の国語力をめぐっては,種々の問題点を指摘する声もあるが,今後予想される急激な社会の変化に対応していくためには,これからの時代にふさわしい国語にかかわる知識・素養・能力など,国語力を生涯を通じて身に付けていくことが求められる。
    以上のような観点から,まず国語の重要性について再確認し,その上で,これからの時代に求められる国語力とは何か,また,そのような国語力を身に付けるための方策などについて検討する必要がある。

 

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文部科学大臣諮問理由説明

平成14年2月20日

   このたび「これからの時代に求められる国語力について」諮問を行うに当たり,一言ごあいさつ申し上げます。
   
     文化審議会の委員の皆様におかれましては,昨年2月に第1回総会を開催して以来,精力的に御審議いただき,去る1月24日に,中間まとめとして「文化を大切にする社会の構築について」を御報告いただきました。この御報告につきましては,今後,広く国民の御意見を伺った上で,更に議論を深め,答申としておまとめいただきたいと思っておりますが,この中間まとめで,文化の基盤として国語を重視すべきことについて提言いただいております。本日の諮問は,この提言を踏まえ,これからの時代に求められる国語力について御検討いただくことをお願いするものです。
   
   21世紀を迎え,国際化・情報化の進展や価値観が多様化するなど,人々の生活を取り巻く環境は急速に変化してきております。このような時代においては,一人一人が確固とした自己意識(アイデンティティー)を持ち,自らの生き方を主体的に考え,様々な変化に柔軟に対応していく力を持つことが求められております。
   このため,様々な情報を取捨選択し的確に判断できる分析力や,筋道立てて物事を考える論理的思考力,さらには豊かな発想の基となる創造力などを身に付けることが重要になってきていると考えます。また,このような能力とともに,我が国の長い歴史の中で培われてきた古典などの伝統的な文化を理解し,豊かな感性や情緒を備えることや,幅広い知識や教養を持つことが大切です。
   言葉はコミュニケーションの手段であるとともに,その言葉を母語とする人々の文化と深く結び付いています。さらに,思考を巡らしたり感情を表現したりする場合には言葉を通じてなされており,国語は,これからの時代に求められるこれら様々な能力を身に付け,豊かな感性,幅広い知識や教養を備えるための基盤となるものです。
   また,これまで人類が築き上げてきた様々な学問や技術を学び,その成果を世の中に広めていくに当たっても,国語がその基礎となっています。総じて,国語は文化の継承と創造に欠くことのできないものです。人々が共に生活し,相互に理解し合う社会を形成する上でも,国語は極めて重要な役割を果たしています。
   さらに,国際化の進展に伴い,英語をはじめとした外国語を習得することの重要性が言われていますが,そのためにはまず母語である国語で自分の意思を明確に表現できる言語能力を身に付けることが必要であることは中間まとめで指摘されたとおりです。
   近年,日本人の国語力をめぐっては,言葉遣いや語彙,文章作成能力などをはじめ種々の問題点を指摘する声がありますが,今後予想される急激な社会の変化に適切に対応していくためには,これからの時代にふさわしい国語にかかわる知識・素養・能力など,国語力を生涯を通じて身に付けていくことが求められます。
   以上のような観点から,今回,「これからの時代に求められる国語力について」諮問することとしました。
   
   次に,今後,御審議を進めていただくに当たり,諮問事項について具体的に三つの点について私の考えているところを申し上げます。
 
(1)    まず初めに,国語の重要性についてであります。文化の基盤である国語は,人々の様々な能力や感性,知識・教養などと大きくかかわるものであり,また社会の形成・発展の基礎となるものであって,いつの時代においても重要なものです。
   一方,例えばグローバル化の進展に伴い日本人としての自己の確立が求められていることや,インターネットや情報機器の急速な普及など,様々な状況の変化に伴い,国語の果たす役割や位置付けもおのずから変わってきていると考えます。
   このような観点も踏まえ,まずこれからの時代における国語の重要性と国語が果たすべき役割について御検討をお願いします。
(2)    第二に,これからの時代に求められる国語力についてであります。これからの時代に求められる分析力や論理的思考力,豊かな感性,幅広い知識・教養などの基盤として,どのような国語に関する知識・素養・能力が必要となるか,具体的な検討をお願いします。その際には,「読む・書く・聞く・話す」などの能力に関し,どの程度の力を身に付けていることが望ましいのかという,具体的な目安を示すことについても併せて御検討をお願いします。
   また,例えば,ワープロなど情報機器の発達に伴い,手書きでは書けないが読めるといった類の文字が使われることが多くなっているなど,国語を取り巻く状況の変化も踏まえた御検討も併せてお願いします。
(3)    第三に,これからの時代に求められる国語力を身に付けるための方策についてであります。
   国語力を身に付けるための方策を検討する前提として,まず何よりも国語の重要性が認識され,国語を大切にしようという意識が共有されることが重要と考えます。このような意識をいかに形成するか,そのための具体的方策について御検討をお願いします。
   次に,言語環境の整備についてであります。例えば読書については,学校図書館や公立図書館などについて,図書の充実,読書の場の提供,古典や名作の紹介,読書会の実施などを行うことが考えられますが,これからの時代に求められる国語力を身に付けるために,家庭,学校,社会等を通じてどのような言語環境を整備していく必要があるかについて御検討をお願いします。
   さらに,これからの時代に求められる国語力を育成するため,どのような取組がなされることが必要であるかについて,特に次代を担う子供たちの国語力の育成のための取組について,御検討をお願いします。
   
   以上,今回の御審議に当たり,特に御検討をお願いしたい点について申し上げましたが,幅広い視野の下に忌憚(たん)のない御審議をしてくださるようお願い申し上げまして,私のごあいさつといたします。

-- 登録:平成21年以前 --