放送番組における出演契約ガイドライン

映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会

(ガイドラインの位置付け)

 放送番組への出演に際し、放送事業者または番組製作会社と所属事務所・実演家との間で書面契約を締結しない場合において、出演前に、慣行として当事者間で確認されるべきものとする。また、書面による契約を締結する場合においても参考とされるべきものとする。なお、関係団体間において既に団体協約等が取り交わされている場合は、当該協約を優先することとする。

(契約の目的)

  • 放送番組への出演に関する役務提供契約であることを確認する。
  • 放送番組の番組名、番組1回の時間および放送予定回数、放送予定、放送波、製作予定期間等役務の内容を特定するために必要な事項を確認する。

(契約の当事者)

  • 実演家の所属事務所が実演家の代理人として契約する場合には、所属事務所が代理権限を有していることを保証する旨を明記するとともに、可能な限り、実演家本人も署名(記名)押印することにより、同人が契約内容を了知し、それに同意していることを明らかにすることを確認する。

(出演条件等)

  • 出演料の総額とその内訳、支払い方法、支払い予定日等を確認する。
  • 経費の扱いを確認する。

(出演業務・出演に伴う義務)

  • 実演家は、番組製作に支障をきたすことのないよう留意し、出演スケジュールを順守することを確認する。
  • 実演家は、放送事業者・番組製作会社(または指定する者)が、番組の宣伝のために解説・予告番組を製作する場合、または各種の広報活動のためにスチール写真の撮影等を行う場合には、これに協力することを確認する。

(スケジュール変更)

  • 放送事業者・番組製作会社は、放送事業者・番組製作会社または第三者の都合により出演スケジュールを変更しようとする場合は、あらかじめ実演家または代理人と協議のうえ新たにスケジュールを定めることを確認する。

(キャンセル)

  • 実演家が出演依頼を受諾した後に、放送事業者・番組製作会社の都合により番組出演を取り消した場合は、放送事業者・番組製作会社は一定のキャンセル料を支払うことを確認する。
  • 実演家が出演依頼を受諾した後に、実演家自身の責に帰すべき事由により、出演を取り消し放送事業者・番組製作会社に損害を生じさせた場合は、放送事業者・番組製作会社は所属事務所・実演家と協議のうえ、所属事務所・実演家に対し、補償を求めることができることを確認する。
  • ただし、放送事業者・番組製作会社もしくは所属事務所・実演家が、出演または収録予定日の前の一定期間までに、止むを得ない事由により、番組出演の取り消しの通知をした場合はこの限りではない。

(氏名表示)

  • 従来からの公正な慣行に照らし、第三者が作品内容を的確に理解できるよう氏名表示を行うことを確認する。

(安全管理・事故補償)

  • 放送事業者・番組製作会社は番組製作にあたり、実演家に危険を及ぼすことのないよう配慮し、安全衛生管理を行うことを確認する。
  • 放送事業者・番組製作会社は事故補償を行う対応窓口を設け、万一、番組製作(リハーサルを含む)に起因して実演家に事故が生じた場合、誠実に対応することを確認する。
  • 安全衛生管理を行う放送事業者・番組製作会社が事故補償責任を負うことを確認する。

(マルチユース)

  • 番組の収録・保存・使用について、著作権法、公正な契約慣行等を踏まえつつ、放送事業者・番組製作会社側、実演家側の協議により、以下の項目の取扱いについて確認する。
    • −国内外の放送事業者や有線放送事業者等への番組の提供
    • −パッケージによる市販商品化
    • −映像・音声素材の提供(書籍出版物への提供含む)
    • −インターネット、モバイルへの番組・素材の提供
      (ネット配信については、下記【放送番組のネット配信について】参照)
    • −番組関連グッズ等の市販商品化
    • −その他、確認されるべき利用形態
  • マルチユースに係る対価については、著作権法、公正な契約慣行等を踏まえつつ、個別の出演契約において定めることができる。ただし、利用の形態・規模等の条件により、団体間の協約がある場合はそれに従う。

(別途協議事項)

  • 両者において確認していない事情が生じた場合または確認事項の解釈に疑義が生じた場合は、誠意をもって協議し円満に解決することを確認する。

【放送番組のネット配信について】

 実際のサービスの内容は下記の事項を踏まえ、当事者の判断あるいは当事者間の合意により決定すること。なお、音楽番組は下記事項の対象から除く。

1.キャッチアップ・サービスについて

(実施主体・対象)
  • 放送局が(放送局が他社のポータルサイトのスペースを借りる場合も含む。)一度放送した番組を放送終了後に一定期間ネット配信するサービス。
(サービス期間)
  • 1週間〜10日などの一定期間とする。
(配信方式)

 配信方式は次の通りとし、どのような通信技術または端末を用いて配信されるのか事前に明示すること。

  • ストリーミング
  • ダウンロードプラス1週間〜10日などで消去
(報酬の配分方式)

 いずれかを関係者の協議により選択。

  • レベニューシェア
  • 出演料ベース
  • レベニューシェアと出演料ベースの組み合わせ
(配信内容)
  • 番組の全部又は一部を配信するかはそれぞれの契約内容に委ねる。
(プロテクション問題)
  • その時点で国際標準レベルの技術を採用する。また、プロテクションが破られた時など海賊版が流通した時には関係者は真摯かつ速やかに対応する。

2.放送番組のネット配信について(キャッチアップ・サービスを除く)

(実施主体・対象)
  • 放送局又は放送局以外の第三者が、過去に放送された番組や今後放送される番組をネット配信するサービス。
(サービス期間)
  • 契約期間を3年以内とし、合計配信期間6ヶ月以内を原則とする。
(配信方式)

 配信方式は次の通りとし、どのような通信技術または端末を用いて配信されるのか事前に明示すること。

  • ストリーミング
  • ダウンロードプラス一定期間での消去
(報酬の配分方式)

 いずれかを関係者の協議により選択。

  • レベニューシェア
  • レベニューシェアプラスミニマムギャランティー
  • 提供価格ベース(主に第三者への番組販売)
(プロテクション問題)
  • その時点で国際標準レベルの技術を採用する。また、プロテクションが破られた時など海賊版が流通した時には関係者は真摯かつ速やかに対応する。

※ 今後の取組について

  • 今後の放送番組の円滑な流通のために、放送事業者・番組製作会社・所属事務所・実演家は、番組製作時において次の事項を徹底する。
    • 1 製作者側は、実演家がCPRAあるいは日本音楽事業者協会のいずれにも所属していない場合には、出来る限り当該実演家から本研究会で決まった合意事項に基づき承諾を得るよう努める。
    • 2 CPRAあるいは日本音楽事業者協会は、いずれの団体にも所属していない実演家がいる場合には、出来る限りいずれかの団体に権利を委任するよう働きかける。

前のページへ

次のページへ