別紙

権利者不明の場合の制度・提案の比較

  現行日本法 現行カナダ法 イギリス(BSAC報告書) アメリカ(著作権局提案) 日本経団連検討案
1.法律の構成 裁定 裁定 権利の制限 救済の制限 請求への一括対応
2.制度の概要 文化庁長官の事前裁定により、裁定に係る利用方法による利用が可能となる。文化庁長官が定めた利用料が供託される。 著作権委員会(Copyright Board)の事前裁定により、裁定に係る利用方法による利用が可能となる。通常、利用料は著作権委員会が定め集中管理団体に寄託される。 オーファンワークスの利用は権利侵害を構成しない。後に権利者が登場した場合は賠償額や差し止めが制限される。 オーファンワークスの利用は権利侵害を構成する。後に権利者が登場した場合は賠償額や差し止めが制限される。 ほとんどすべての権利者に許諾が取れた場合に、残りの権利者不明の場合の利用に関して、第三者機関を設けて対応を行う。
3.法的効果のタイプ 非侵害型 非侵害型 非侵害型 事後解決型 事後解決型
4.権利者捜索の程度 相当な努力 合理的な努力
reasonable efforts
最大限の努力(注1)
best endeavours
真摯で合理的な調査(注2)
reasonably dilligent search
相当の情報・実績を有する団体による調査
5.権利者への支払い手続 文化庁長官
プラス文化審議会の諮問)
著作権委員会の手続 著作権審判所の手続 裁判所における訴訟(但し、著作権局の提案は、あくまで利用者がまず著作権者を特定し、両者が利用許諾について任意に合意しうる制度とすることを主とする) (法的手当はなし)
利用者と第三者機関との取り決めによると思われる。
6.支払い額(賠償額) 通所の使用料相当額 (法律に規定なし) 合理的なロイヤルティ額
reasonable royalty
合理的な補償額
reasonable compensation
(法的手当はなし)
※通常の額と思われる。
7.支払いの要否 事前
(供託)
事前
(集中管理団体への寄託)
事後
(権利者からの請求による)
事後
(権利者からの請求による)
事前
(第三者機関への支払い)
8.請求がなかった場合 時効により国庫帰属 集中管理団体の会員の一般的利益のために利用することが、著作権委員会によって認められる。(注3) (支払いが生じない) (支払いが生じない) 利用者又は利用者の指定する者への返還
9.差止の可否 非侵害
(法律に規定なし)
非侵害
(法律に規定なし)
不可(非侵害のため)
(注4)
可能。但し、一定の場合には制限される (法的手当はなし)
10.刑事罰 非侵害
(法律に規定なし)
非侵害
(法律に規定なし)
非侵害
(法律に規定なし)
刑事罰の適用は、"willful infringement"が必要 (法的手当はなし)