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資料5

意思表示システムについての議論のポイント

1. 意思表示システムの普及のための方策について
1 何らかの強制、誘因を設けることの是非
2 権利者情報のデータベース等との連携
3 その他意思表示システムが利用されやすくなるために、備えておくべき条件等はあるか 等

2. 権利者の意思と異なる表示されている場合の取扱いについて
1 表示の後に権利者の考えが変わった場合の取扱い
2 権限のない者が行う表示、改変、除去を抑止する方策
3 表示を信頼した者の免責等の取扱い 等


(参考1)意思表示システムについて

1 クリエイティブコモンズについて
 クリエイティブコモンズとは、知的財産の保護を図りつつ、積極的な著作物の流通を促進することを目的とする活動であり、著作物を自由に他者に使ってもらいたいとき、その意思を明示することができるマークを付けるものである。スタンフォード大学ロースクール教授のローレンス・レッシグ教授が提唱し、現在日本を含む29カ国で各国法に準拠してローカライズ化されており、日本では特定非営利活動法人 クリエイティブ・コモンズ・ジャパンが日本法準拠版を作成し、支援ツールをWeb上で公開している。

「帰属」;(利用した作品の作者の)クレジットを表示すること
「非営利」;商用利用しないこと
「派生禁止」;(利用した作品を)改変しないこと
「同一条件許諾」;(利用した作品と)同じライセンスで公開すること

2 自由利用マークについて
 自由利用マークとは、著作物を創った人(著作者)が,自分の著作物を他人に使ってもらってよいと考える場合に,予め意思表示をしておくための仕組みである。このマークを付すことで、事前に利用許諾を求める手間が省け、著作物の積極的な利用を促すことができる。

「プリントアウト・コピー・無料配付」OKマーク
「プリントアウト」「コピー」「無料配付」のみを認めるマーク
(変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案などは含まれない。そのまま「プリントアウト」「コピー」「無料配付」をする場合に限られる。)
(会社のパンフレットにコピーして配付することなどは、営利目的の利用であるが、無料配付であればできる。)

「障害者のための非営利目的利用」OKマーク
障害者が使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配付などあらゆる非営利目的利用を認めるマーク
(変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案なども含まれる。)

「学校教育のための非営利目的利用」OKマーク
学校の様々な活動で使うことを目的とする場合に限り、コピー、送信、配付など、あらゆる非営利目的利用を認めるマーク
(変更、改変、加工、切除、部分利用、要約、翻訳、変形、脚色、翻案なども含まれる。)


(参考2)意思表示システムについての過去の議論

文化審議会著作権分科会「審議経過報告」(平成15年1月)

第2章 契約・流通小委員会における審議の経過
2 検討の結果
2 権利者による「意思表示」のためのシステムの開発・普及の在り方


 他人の著作物を利用するためには著作権者の許諾が必要となるが、インターネットのホームページに掲載された著作物の一部の場合など、権利者によっては、一定範囲であれば、「許諾を求めなくても利用して構わない」と考えていることがある。しかし、この権利者の意思が利用者に伝わっていなければ、利用者は、許諾に係るコスト等を勘案し著作物の利用を断念するか、権利者に連絡し利用の許諾を求めることとなるが、権利者が利用しても構わないと考えているものについてまで利用者が許諾を求めることは、利用者・権利者双方にとって不必要なコストが生じることとなる。
 著作物が円滑に利用されるためには、このような不必要なコストを減らすことが重要であり、権利者自らが、「許諾を求めなくても利用して構わない」と考えている場合、そのことを利用者に正しく伝えるような仕組みが必要である。これまでも、インターネットのホームページ上に「著作権フリー」と表示する例や、利用の仕方について文章で記した「著作権ポリシー」のような例はあるが、前者は利用可能な範囲があいまいであること、後者は著作権制度に精通していない人にはわかりづらいことなどの問題があり、著作物の利用に係る権利者の考えを利用者に正確かつ簡単に伝えることのできる標準的な「意思表示システム」が求められている。

マークによる意思表示の明確化
 「意思表示システム」については、どのような利用であれば「許諾を求めなくても利用してかまわない」と考えるかは権利者一人一人異なることから、多様な権利者の意思を正確に利用者に伝えられるシステムであることが望ましいが、その反面、誰でも簡単に使えるわかりやすいものであることが必要である。そのため、当初は、権利者が細かな条件を付すのではなく、予め定められた範囲の利用を認めるシンプルな「著作物の利用に関して権利者が意思表示できるマーク」を策定し、その後権利者の多様なニーズに対応できる「著作物の利用に関する権利者の意思を詳細に表示できるシステム」を検討していくことが適当と考えられる。
 どのような範囲の利用を認めるマークを策定するかについては、意味のわかりやすさ等を勘案し、例えば、名誉・声望を害さないこと、料金を徴収しないこと、加工を行わないことなどの条件を適切に付しつつ、
 あらゆる利用を認めることを示すマーク
 コピー・配付など一部の利用を認めることを示すマーク
 障害者のための利用を認めることを示すマーク
 学校教育のための利用を認めることを示すマーク
などについて、段階的に策定・普及していくことが適当である。
 本小委員会においては、当該マークの策定に当たっては、マークを付す権利者及びマークの付された著作物の利用者双方に誤解の生じることのないよう、マークの意味、マークを付す際の権利者の注意事項、マークの付された著作物を利用する際の利用者の注意事項、マークの表示の法的有効性などについても整理することとした。
 さらに、今後は、当該マークの普及状況等を踏まえつつ、「著作物の利用に関する権利者の意思を詳細に表示できるシステム」の在り方について検討する必要がある。
 なお、様々な権利者が当該マークに合致する「意思」を有している場合には、当該マークを付すことにより著作物の円滑な利用が図られるよう、文化庁は、関係者の協力を得つつ、積極的に周知活動を行うことが必要である。

文化審議会著作権文化会報告書(平成16年1月)

第2章 契約・流通小委員会
3 その他
2 「意思表示システム」の整備・普及について


 文化庁が本年2月に策定した「自由利用マーク」の普及等について、次のような意見があった。
一般の人に対しては、まずマークの存在そのものを知ってもらうための広報が必要であり、次にマークを付けようと思っている著作権者に対し、どうすればマークを自分の著作物に付けることができるかを分かりやすく説明するための広報が必要である。
「自由利用マーク」は、「コピーOK」「障害者OK」「学校教育OK」の3種類のマークがあるが、これらについて一律の普及方法をとる必要はなく著作権者の理解が得られやすいと思われる「障害者OK」「学校教育OK」マークから普及を進めることも一案である。
広く一般に周知されることを目的として作成される国・地方公共団体の著作物については、「自由利用マーク」の活用が期待される分野であり、今後も国・地方公共団体に対し積極的な働きかけを行うべきである。
「自由利用マーク」は、マークを付ける側とマークの付いた著作物を利用する側の双方が、著作権法を理解している必要があるので、マークの普及を進めるのであれば同時に著作権教育の普及に力を入れることが重要である。



(参考3)著作権法上における「権利管理情報」の保護に関する規定

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二十一   権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。
 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報
 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報
 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報

(侵害とみなす行為)
第百十三条  
3  次に掲げる行為は、当該権利管理情報に係る著作者人格権、著作権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
 権利管理情報として虚偽の情報を故意に付加する行為
 権利管理情報を故意に除去し、又は改変する行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による場合その他の著作物又は実演等の利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる場合を除く。)
 前二号の行為が行われた著作物若しくは実演等の複製物を、情を知つて、頒布し、若しくは頒布の目的をもつて輸入し、若しくは所持し、又は当該著作物若しくは実演等を情を知つて公衆送信し、若しくは送信可能化する行為

第百二十条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 営利を目的として、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者


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