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資料1-2

関係者ヒアリングのための配付資料

平成19年5月16日

特定非営利活動法人
著作権利用等に係る教育NPO(教育NPO)
理事長 酒井 ひろし

設立の趣旨と経緯
教育において、次世代を担う生徒の思考力や感受性を涵養するには、われわれの社会的・文化的な財産である優れた小説・論説・音楽などの著作物に触れる機会を、できるだけ保証していくことが必要である。他方、急激な情報化社会の進展と知的財産権重視の流れのなかで、権利者側も自らの権利に敏感になっており、教育に関しても、教科書準拠の副教材や受験問題集の出版をめぐって、訴訟が相次いでいる。
こうした教育と著作権をめぐる状況を憂慮し、教育現場における著作権の適正な利用を推進するために、平成16年5月、東京私立中学高等学校協会の有志が中心となって「著作権利用等に係る教育NPO」の設立を呼びかけ、同年8月に内閣府から認証を得て正式にNPOとしての活動を開始し、現在、29都道府県、325校の私立中学高等学校に入会をいただいている。

学校教育と著作権
学校などの教育機関においては、授業教材の作成(著作権法第35条)、入学試験(同36条)や非営利の上演(同38条)など教育の公共性から著作権が制限され、一定の範囲で著作物を自由に利用することが認められてきた。
他方、たとえば小説の短編をまるごと教材として配付し読書指導を行う場合や、翌年の受験生のために過去の入試問題を配付しホームページに掲載するなどの場合には、教育のための権利制限の範囲を超えることになり、著作権者の許諾を得なければならないことになる。とくに入試問題の公表(受験生への配付、ホームページに掲載など)は、近年の学校設置基準の改訂により学校に情報公開が義務づけられた中で、学校としても積極的に取り組まなければならない課題となっている。

学校の著作物利用に対する補償金制度
個々の著作物利用について、そのつど著作権者に許諾を求めるということは、事務処理と費用ばかりが増えることになるので、平成16年12月に、社団法人日本文藝家協会と協定を結び、「私立中学高等学校における包括的な補償金制度」を始めた。教育現場において、初めて著作権者側と利用者側の双方が議論を深めて作成したルールが実施されることとなった。
今後は、この補償金制度に参加する著作権者と学校を拡大し、より利用しやすい制度にしていきたいと考えているが、学校が利用する著作権者のなかには、日本文藝家協会に権利処理を委託していない著作権者も多く、許諾を求めるにあたって著作権者や著作権継承者の連絡先の調査、たとえ連絡先がわかっても返事のない権利者への対応などで、大変な費用と労力を費やしている。

過去の著作物等の保護と利用に関する要望
われわれの基本的な立場は、生徒が優れた著作物に触れる機会をできるだけ保証していくべきであり、同時に著作権を尊重していかなければならないということである。
そのためには、教育現場に負担を課さないような簡便な権利処理システムの確立と、生徒や保護者に大きな負担とならないような著作権使用料の設定が急務であると考える。

1. 過去の著作物等の利用の円滑化方策について
 全著作権者について、国レベルで少なくとも連絡先についてデータベース化し利用者が簡単にアクセスできるようにしてほしい。また、権利者不明や権利者から回答がない場合について、簡便・安価な裁定制度を整備してほしい。

2. アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化について
 手続き的にも費用的にも学校がアーカイブをできるだけ利用しやすいような施策を講じてほしい。

3. 保護期間のあり方について
 保護期間の延長については必ずしも反対ではないが、同時に学校教育が著作物を積極的に利用できる施策を講じてほしい。

4. 意思表示システムについて
 学校としても、教育活動に自由に利用できる著作物が増えていくことは歓迎であり、有効利用を促進するための議論を深めてもらいたい。

以上


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