資料6

私的録音録画に関する海外の動向について

1.EU

(1)私的複製補償金制度に関する意見募集

  •  01年のEU著作権指令策定後、私的複製補償金制度に関する構成国への調査及び一般への意見募集などを経て、欧州委員会は08年2月14日に著作権補償金制度に関する第二の意見募集の実施を発表した。
  •  本意見募集の背景文書(注1)では、EU各国における対象機器・媒体、補償金額など補償金制度の概要を示したうえで、
    • 消費者が欧州内の他国から補償金対象製品を購入した場合に補償金支払義務が生じること
    • 記録容量に基づく補償金額算定基準や汎用機器の取扱いに課題があること
    • ダウンロードサービス等において契約で複製が許諾されている場合に私的複製補償金の二重払いの懸念があること
    などの課題が取り上げられている。

  •  上記のような問題意識の現状確認や解決策などについて、27項目の質問(注2)が提示されている。意見提出期間は4月18日までとなっており、さらに6月に公開ヒアリングが実施される予定

(2)コンテンツ流通の単一市場構築に関する意見募集

  •  08年1月3日、欧州委員会は、コンテンツ産業の強化、クリエーターへの適正な報酬、消費者の多様なコンテンツへのアクセス確立のため、デジタルコンテンツの著作権保護などに関するEU共通ルール策定、単一市場の形成を目指す方針をまとめた「欧州単一市場における創造的なオンラインコンテンツ」報告書(注3)を発表し、2月29日まで意見募集を行った。

  •  同資料では、コンテンツの流通促進、EU域内共通ライセンスの導入、DRMの互換性確保に加え、違法なファイル交換対策等の著作権侵害行為対策強化を課題として挙げている。
  •  今後、EUレベルでの関係者間の協議の場として「Content Online Platform」を立ち上げ、引き続き課題を検討しつつ、08年半ばを目途に勧告案をまとめる予定。

2.フランス

3.ドイツ

4.イギリス

(1)私的複製の範囲の見直し

  •  イギリス政府が06年12月に作成した知財政策全般に関する報告書ガワーズ・レビュー(注6)では、英国著作権法には私的複製の権利制限規定がないことから、私的使用目的のプレイスシフトを許容する権利制限規定を08年までに設けるべきであるが、これに伴って補償金制度を導入するべきではないと提言した。07年5月、英国下院文化・メディア・スポーツ委員会もこの提言を支持していた(注7)。

  •  イギリス政府は、同年7月、これに対し同様の見解を示す回答(注8)を示していたが、続けて08年1月、私的使用目的のプレイスシフトを合法化する著作権法改正の改正提案(注9)を発表した。同案は4月8日まで各方面から意見を受付中となっており、条文案の段階で2回目の意見募集が行われる予定となっている。

(2)違法配信対策

  •  本報告では、インターネットサービスプロバイダーと権利者で協力し違法ファイル共有対策を講じるような立法を08年中に検討し、09年4月までの成立を目指すとされている。また、著作権侵害に関する罰則の強化も検討される。
  •  インターネットサービスプロバイダー協会は上記の法案を欠陥のある戦略であると批判している一方、英国レコード協会は政府の方針を歓迎している。政府は、業界間で解決するのが望ましいとしながらも、もしISPと関係者間で適当な合意が得られなかった場合は立法措置をためらわないとしている。

5.スペイン

6.フィンランド、デンマーク、スウェーデン、ハンガリー

【デンマーク法英訳(注12)】

  • Chapter 2
    Limitations on Copyright and Management of Rights in the Event of Extended Collective License
    General Provisions
    • 11.-(1)(略)
    • (2)(略)
    • (3)Where a work is used in accordance with the provisions of this chapter, copies may not be made on the basis of a reproduction of the work which is contrary to section 2 or on the basis of a circumvention of a technological measure which is contrary to section 75 c(1). The provision in the first sentence does not apply to the production of copies pursuant to section 16(5).
  • (第11条第3項仮訳)
    この章の規定に従って著作物が利用される場合にあっては、第2条に反する複製物から複製を作成し、又は75c条(1)に反する技術的手段の回避により複製を作成することは許されない。(略)

【スウェーデン法英訳(注13)】

  • Article12.(略)
    This Article does not confer a right to make copies of a work when the copy that constitutes the real master copy has been prepared or has been made available to the public in violation of Article 2.
  • (第12条第4文仮訳)
    この条は、第2条に違反して作成され又は公衆に利用可能化された複製物が原本である場合に複製を作成する権利を授与するものではない。

7.カナダ