100ページ〜109ページ 第7章 第2節 著作権法第30条の適用範囲の見直しについて
違法ダウンロードサイトから一定の条件下において、第30条の適用範囲から除外することが適当な利用形態があり、これを違法化するという考えについては、賛成です。
例えば、近頃主流となっている携帯型ゲーム機用コンピュータエンタテインメントソフトウェアなどにおいては、容量も据置型ゲーム機に比べると小さいことから、ROMデータが違法ダウンロードサイトに掲載される、しかも一度に相当数のタイトルが掲載されていることが珍しくありません。このようなサイトの情報は、インターネット上の掲示板などを通じて、あっという間に広く流布してしまい、各社が対応した時点では相当数のダウンロードがなされた後であることは、想像に難くありません。
上記の問題点から、ユーザー側の注意喚起を促す上でも、一定の類型のダウンロード行為が違法化されるということは有効な対応と考えております。
しかしながら、録音録画に限るという結論については、ぜひとも再考もしくは、今後の検討課題としていただきたく、お願いいたします。
当協会は、コンピュータエンタテインメントソフトウェアやサービスの提供する企業が会員として所属しており、会員企業が提供するソフトウェアの違法ファイル交換・ダウンロードサービスの被害に悩まされております。
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会により2006年に実施された「ファイル交換ソフト利用実態調査」では、ファイル交換ソフトを現在利用している者に対する調査で、過去1年間にダウンロードしたコンピュータソフトウェア(コンピュータエンタテインメントソフトウェアを含む)の数は年間8.7本であります。これを同調査で洗い出された現在のファイル交換ソフトの利用者の推定数に乗じますと、1年間で1,527万本もの数に上ります。件数は録音録画に及ばないかも知れませんが、ソフトウェアの単価そのものは、安いものではありませんから、被害額については、遜色ないものと考えております。
従いまして、今後の検討過程で、著作物全体を俯瞰した上で、どの著作物のどのようなダウンロード行為が、第30条を適用すべきでないかを、改めて議論していただきたく、お願いする次第です。