9.日本現代音楽協会

●該当ページ及び項目名

第7章 第3節 1 権利者が被る経済的不利益

●意見

 日本現代音楽協会は現代音楽の作曲家の団体であり、著作権利者による団体として、私的録音録画補償金制度について、述べさせていただきます。

 近年、技術の向上に伴い、私的な録音録画が大量かつ手軽に行われるようになってまいりました。私的な録音や録画は創作物が普及する大きな一因であり、それによってまた新しい創作が生みだされることは、創作者の一員として喜ばしい限りです。しかしながら、私的な録音・録画物の氾濫は、同時に、そこに含まれている著作権に対する配慮は十分に為されているのでしょうか。既に対象となっているMDや一部のCD−R/RW等においては、私的録音録画補償金制度によって、著作権者に還元されていますが、現在の主流を成しているパソコンや携帯オーディオプレイヤーといった機器、そして記録用の媒体となるCD−R/RW等は、その対象外とされております。つまりは、それらの広範囲にわたる私的録音録画物に対しての著作権は、軽視或いは無視されているということではないでしょうか。

 前述の通り、私どもは著作物の私的なコピーに反対しているのではなく、むしろ創作の振興のため奨励しております。しかしながら、多大な時間を費やし、創造性をふり絞った上での著作物は、自らにとって大切なものであり、その権利に対する配慮なく複製されていくのは、まったく本意ではありません。

 メーカーは、パソコンや携帯オーディオプレイヤーといった機器、そして記録用の媒体となるCD−R/RW等は私的録音録画の用途のみに使用するものでないと、こうした機器や記録媒体に対しての課金に反対しているようですが、私どもは権利者であると同時に消費者の一員でもあり、現状としてこれらの機器等が実際に私的な録音録画に大いに利用されていることをはっきりと認識しており、その言い分には矛盾を感じます。

 利用者自身が本来の著作権使用申請を、利用の用途・方法に応じて行なうことが正しい方法だとは言え、実際の生活の中で、個々の人間がそのような手続きを行うことは不可能であることは、十分に認識しております。従って、制作者がその創作物に関して当然有するべき権利としての著作権システムと、利用者が複製を行う自由との間の齟齬を埋めるための制度として、私的録音録画補償金制度は、それなりにバランスのとれた制度だと、常々考えており、その存続を強く望みます。

前のページへ

次のページへ