104ページ 第7章 第2節 2 第30条の適用範囲から除外することが適当と考えられる利用形態
平成19年10月12日付「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」(以下「本中間整理」と言います。)中、第7章第2節2の「第30条の適用範囲から除外することが適当と考えられる利用形態」中、違法複製物のダウンロードについて、以下のとおり意見を申し述べます。
(1)まず、違法複製物のダウンロードを第30条の適用範囲から除外する旨明記すべきだと考えます。
そもそも、違法複製物のダウンロードは、公衆送信権侵害行為と一体となって、著作権者の利益を不当に害する行為ですから、公衆送信権侵害が違法である以上、ダウンロード行為も違法であるべきです。
したがって、違法複製物のダウンロードを著作権法30条の権利制限の範囲外であると明記すべきと考えます。
ところで、「本中間整理」105頁には、「送信可能化又は自動公衆送信の違法性を追求(ママ)すれば十分であり、適法・違法の区別も難しい多様な情報が流通しているインターネットの状況を考えれば、ダウンロードまで違法とするのは行き過ぎであり、インターネット利用を萎縮させる懸念もある」との反対意見が記されています。
当協会は、著作権者に与える不利益がアップロードする側とダウンロードする側では大きく違うことは事実であり、ダウンロードする人に刑罰を科すまでの違法性があるとは思いません。
しかし、対価を支払えば容易に入手できる著作物を、支払いを免れて入手するためにするダウンロードを、適法として法律が推奨するようなことはすべきではないと考えます。
(2)また、「本中間整理」には、「「著作物の通常の利用を妨げるものであってはならず、かつ著作者の正当な利益を不当に害するものであってはならない」との但書を加え」るという案が意見(106頁)として記されています。
これは、ベルヌ条約9条2項但書と同内容であり、わが国の著作権法の複製権制限は、この規定に合致していなければならないのですから、違法複製物のダウンロードを違法と明記すると否とにかかわらず、このような但書を加えるべきであると考えます。
(3)なお、現行法上、技術的保護手段を回避してアップロードされたものをそうと知ってダウンロードすることは違法です(著作権法30条1項2号)。
著作権保護技術は、実質的に複製を制限する技術である点で技術的保護手段と同様ですから、これを回避してアップロードされたもののダウンロードも同様の取り扱いとすべきではないでしょうか。