参考資料3

井田委員提出意見

2007年9月21日

第7章 検討結果

第2節 著作権法第30条の適用範囲の見直しについて

2  第30条の適用範囲から除外するのが適当と考えられる利用形態
  • (1)権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物等の通常の利用を妨げる利用形態
    • 2 検討結果
      • b レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音、適法放送のうち有料放送からの私的録画

 これらの利用形態については、前述のとおり、私的録音録画の対価が徴収されている実態は確認できなかった。

  また、今後、契約により私的録音録画の対価を徴収する可能性については、

  • ア レンタル事業者の場合は、配信事業者等と異なり自らが著作権保護技術を施すことができず、利用者の私的録音を管理することができないことから、契約によって解決する方策を採ることは困難であること。
  • イ 有料放送事業者の場合は、多種多様な著作物等を利用するという放送事業の特殊性があること、調達価格が高騰し、映画等のコンテンツの調達に支障が出ること、例えば音楽番組を録画する場合のように、音楽を映像とともに利用する場合は、放送権は管理事業者が管理していても、録画権は個々の権利者が管理している場合があることなどの理由から、現行の契約体系を変更することは困難であること。

  このような状況の中で、これらの利用形態について第30条の適用範囲から除外するとしても、結果として違法状態が放置される状況を生み出すだけであることから、第30条の適用範囲から除外することについては慎重な意見が多かった。

 なお、現状において私的録音録画の対価が徴収されていることは確認できなかったが、関係者は認識していないかもしれないが、現実には当該対価が事実上徴収されているのではないかという意見があった。

(以降下記意見を追記)

 また、レンタル事業の場合について、当事者の意思、あるいは、契約書の表示等も大切だが、貸与権創設により、レンタルという新たな経済的な利用行為について、客観的に見て法制度としてどういう利益というものを保護しているかという点も大切であり、実態的にはある種の私的複製によってもたらされるものについて、新たな権利を創設するというような趣旨があったのではないかとの意見があった。

 有料放送事業についても、有料放送事業者のホームページ上の説明などから、2(2)1の「著作物等の提供者が利用者の録音録画行為も想定し、一定の管理下においてこれを許容しているような場合」に該当すると考えられ、どのような場合に契約モデルによる解決が得られるのかの要件について、きちんと整理した上で、再評価すべきとの意見があった。