第7章 検討結果

第1節 私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について

1 現行の私的録音録画補償金制度は長い間の議論を経て、国際的な動向も考慮しながら、関係者の合意の上に設けられたものであるが時代の変化等にあわせて見直しを行うこと

 私的録音録画問題の解決方策については、昭和52年から、著作権審議会第5小委員会における検討、著作権問題に関する懇談会での検討を経て、平成3年の著作権審議会第10小委員会における結論という14年もの長きにわたる議論の経緯がある。著作権審議会第10小委員会の報告書(平成3年)は、有識者、権利者、機器等の製造業者及び消費者の代表による話し合いから生み出されたものであり、現行の私的録音録画補償金制度はこの合意に基いて立法化されたものである。また、立法化にあたっては、昭和40(1965)年に当時の西ドイツが初めて導入して以来、先進国の多くが私的録音録画問題の解決に対し類似制度を採用しているという国際的動向も考慮された。

 今回の制度の見直しに当たっては、以上のような経緯を踏まえながら、制度導入時の平成4年以降の技術の発達等による事情の変化や、制度の運用状況、最近の国際的な動向を考慮しつつ、権利保護と利用の円滑化の双方の観点から、見直すべきところは見直し、維持すべきところは維持し、現在の状況に合致したものとすることを基本として検討を進めた。

2 文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)で示された課題に留意すること

 文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)では、「私的録音・録画についての抜本的な見直し及び補償金制度に関してもその廃止や骨組みの見直し、更には他の措置の導入も視野に入れ、抜本的な検討を行うべきである」と提言している。

 前記報告書では、現行制度に関し、次のような課題を指摘している。

3 私的録音録画問題を巡る時代の変化等にあわせて、次のような基本的視点を踏まえる

 本小委員会としては、(1)及び(2)の基本的視点に加えて、次の三つの視点が重要と考える。

4 検討の手順

 検討の手順に当たっては、上記の基本的視点に立って、第30条の適用範囲の見直し、補償の必要性、仮に補償の必要性があるとした場合の補償の具体的な方法の手順で検討を進めることとした。

第2節 著作権法第30条の適用範囲の見直しについて

1 利用形態ごとの私的録音録画や契約の実態

 本小委員会では、私的録音録画に関する権利制限のあり方や補償の必要性を考える前提として、次のように利用形態を分類した上で、特に指摘のあったいくつかの行為類型に関する私的録音録画や契約の実態について、調査し整理した。

(1)利用形態の分類

(2)私的録音録画や契約の実態

A 私的録音録画の実態から権利者に著しい経済的不利益を与えているのではないか等との指摘のあった利用形態
a 違法複製物や違法サイト(注2)からの私的録音録画

 関係団体が行ったファイル交換実態調査や携帯電話向け違法配信実態調査等から、違法な配信や利用者の複製の実態が報告され、また、正規商品の流通前に音楽や映画が配信され複製される例が紹介されるなど、正規商品等の流通や適法ネット配信等を阻害している実態が報告された。

b 他人から借りた音楽CDからの私的録音

 「私的録音に関する実態調査」(平成18年 私的録音補償金管理協会)では、音源別の総録音回数比率として、他人から借りた音楽CDから録音(24.3パーセント)は、レンタル店から借りた音楽CDからの録音(28.6パーセント)に次いで多く、その比率は過去に調査した結果(平成9年、平成13年)と比べて大きくなっていることから多くの録音物が作成されている実態が推測される。

B 利用契約の実態から私的録音録画の対価が既に徴収されているのではないかとの指摘があった利用形態
a 適法配信事業者から入手した著作物等の録音物・録画物からの私的録音録画

 適法な音楽配信事業のビジネスモデルを精査した結果、現状としては、

 という実態が分かった。

b レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音

 レンタル事業のビジネスモデルを調査した結果、最初に権利者とレンタル事業者間の貸与使用料を決める際に、著作権等管理事業者である社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC(ジャスラック))の録音使用料を参考に決められた事実は認められるが、

などが分かった。貸与使用料の中にどのような利用に対する対価が含まれているかは、当事者間の意思解釈に係る問題であるが、当事者の認識として、私的録音の対価が含まれていると確認できる材料はなかった。

 また、レンタル店と利用者との契約(会員規約)では私的録音に関する条項は一般になく、レンタル業界としては利用者の支払うレンタル料には私的録音の対価は含まれていないとの認識であることが分かった。

c 適法放送のうち有料放送からの録画

 映画会社等と有料放送事業者の契約は、放送の対価であることが明示されていること、また有料放送事業者と視聴者との契約約款(放送法により総務大臣の認可が必要)においても、視聴者から徴収する料金は視聴の対価であることが明示され、視聴者が行う録画に関する記述は一切ないことから、私的録画の対価が含まれていることは確認できなかった。

2 第30条の適用範囲から除外するのが適当と考えられる利用形態

(1)権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物等の通常の利用を妨げる利用形態

1 権利者の経済的利益に重大な影響がある利用形態と第30条の適用範囲の見直し

 現行法制定当時の第30条は、使用目的が私的使用であること、著作物等の複製物を使用する者が複製することを条件として、無許諾の複製を認めていたが、その後昭和59年には、高速ダビング機器等の公衆が使用する目的の自動複製機器を用いて行う私的複製、平成11年には、技術的保護手段が施されている著作物等を回避の事実を知りながら行う私的複製について、第30条の適用範囲から除外し、権利者の許諾が必要な行為とした。

 これらの行為が第30条から除外されたのは、いずれの行為についても権利者の経済的利益を不当に害し、通常の利用を妨げる行為と考えられたからであるが、複製技術の開発・普及に伴い、立法当初想定していなかった複製の実態が生じた場合は、第30条の適用範囲も見直しの対象になるのは当然のことと考えられる。

 また、このことは、著作権保護の基本条約であるベルヌ条約において、著作者は著作物の複製を許諾する排他的権利(複製権)を享有するとした上で、スリー・ステップ・テスト(特別な場合、著作物の通常の利用を妨げない場合、かつ著作者の正当な利益を不当に害しない場合)の条件を満たした場合に限り、権利制限を認めていることとも合致する。

2 検討結果
a 違法録音録画物、違法サイトからの私的録音録画
1 第30条の適用範囲からの除外

 この利用形態については、前述の利用実態を踏まえれば、

 などから、第30条の適用を除外することが適当であるとする意見が大勢であった。

  なお、これに対して、違法対策としては、海賊版の作成や著作物等の送信可能化又は自動公衆送信の違法性を追求すれば十分であり、適法・違法の区別も難しい多様な情報が流通しているインターネットの状況を考えれば、ダウンロードまで違法とするのは行き過ぎであり、利用者保護の観点から反対だという意見があった。

2 第30条の適用範囲から除外する場合の条件

 違法サイト等であることを知らないで利用した者についてまで権利侵害にするのは行き過ぎではないか、あるいは権利侵害といっても個々の利用行為ごとに見れば権利者に与えている被害は軽微なものではないかなどの指摘があり、利用者保護の観点から、次の点について法律上の手当が必要であるとされた。

  なお、これに対して、権利者が利用者に対し本当に権利行使できるかという疑念が残るが、今の状況を放置しておくわけにはいかないので、例えば「著作物の通常の利用を妨げるものであってはならず、かつ著作者の正当な利益を不当に害するものであってはならない」との但書を加え、個別の事案に即して違法性を判断するのも一案ではないかという意見があった(注6)。

b 他人から借りた音楽CDからの私的録音

 この利用形態については、関係団体の調査等から、大量の私的録音が行われていることは認められるが、私的領域で行われる録音行為について、利用者との契約により管理をすることは事実上不可能であり、仮に第30条の適用範囲から除外しても違法状態が放置されるだけであることから、第30条の適用範囲から除外することについては慎重な意見が大勢であった。

(2)音楽・映像等のビジネスモデルの現状から契約により私的録音録画の対価が既に徴収されている又はその可能性がある利用形態(契約モデルによる解決)

1 著作権保護技術の普及やビジネスモデルの新たな展開と第30条の適用範囲の見直し

 第30条が制定された理由の一つとして、閉鎖的な範囲で行われる行為であり、権利者の権利行使が事実上できないことがあげられているが、録音録画の場合、最近においては著作権保護技術と契約の組み合わせ等により、利用者のプライバシーを損なうことなく、権利者の利益を確保できるようになってきた。もっとも、関係権利者が利用者と直接契約することは難しい現状では、全ての利用形態についてこのような契約が可能になってきたわけではないが、現状においても利用形態によっては、権利者が著作物等の提供者(例えば配信事業者)と契約をし、この契約内容に基づき、当該提供者と利用者が契約を結ぶことにより、利用者の録音録画を管理することが可能である。

 このように、著作物等の提供者が利用者の録音録画行為も想定し、一定の管理下においてこれを許容しているような場合であれば、著作物等の提供者との契約により録音録画の対価を確保することは可能であり、仮に第30条の適用範囲から除外したとしても、利用秩序に混乱は生じないと考えられる。

 なお、将来において、著作権保護技術の普及やビジネスモデルの展開により、権利者が契約によって録音録画の対価を徴収できるような状況が拡大した場合には、改めて第30条の適用範囲の見直しをすること必要である。

 なお、文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)では、第30条以下の権利制限規定が定めている自由利用の態様や範囲を契約により「オーバーライド」する(ひっくり返す)ことが可能かどうか等について、

等の見解をまとめ、権利制限規定を維持しつつ、契約によって対象行為の対価を徴収することは、原則として認められるとした。

 また、同報告書では、オーバーライド契約に基づく私的録音録画の対価と補償金の二重取りの懸念が指摘されているところであり、第30条の適用範囲を上記のように見直すことは、このような懸念を解消する意味もあることに留意すべきである。

2 検討結果
a 適法配信事業者から入手した著作物等の録音録画物からの私的録音録画
1 第30条の適用範囲からの除外

 前述した利用実態から、配信事業者の一定の管理の下で私的録音録画が許容されており、また、それに伴う対価には私的録音録画の対価も含まれうるとすれば、契約による解決に委ねる趣旨から第30条から除外するのが適当であるという意見が大勢であった。

2 第30条の適用範囲から除外する場合の条件

 現状では、利用者と権利者が録音録画について直接契約することは、取引コスト等の関係でまだ事実上困難であり、現状では権利者は配信事業者との契約により、録音録画に対する対価を確保する必要があることになるが、配信事業者が利用者の録音録画行為について一定の管理責任を負っているような事業形態に限定して第30条の適用を除外すべきである。利用者の録音録画について配信事業者に一定の管理責任がないような形態まで第30条の適用を除外した場合、利用者が直接権利者と契約できない現状では、違法状態が放置されるだけになり問題がある。

 具体的な配信事業については、様々な類型が考えられるが、適法な事業であることを前提とし、営利性の有無、有償・無償の別、配信事業者と利用者との配信契約の有無等を参酌しつつ、要件を決める必要がある。

b レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音、適法放送のうち有料放送からの私的録画

 これらの利用形態については、前述のとおり、私的録音録画の対価が徴収されている実態は確認できなかった。

  また、今後、契約により私的録音録画の対価を徴収する可能性については、

から、このような状況の中で、これらの利用形態について第30条の適用範囲から除外するとしても、結果として違法状態が放置される状況を生み出すだけであることから、第30条の適用範囲から除外することについては慎重な意見が多かった。

 なお、現状において私的録音録画の対価が徴収されていることは確認できなかったが、関係者は認識していないかもしれないが、現実には当該対価が事実上徴収されているのではないかという意見があった。

第3節 補償の必要性について

1 権利者が被る経済的不利益

(1)補償金制度導入時の権利者が被る経済的不利益に関する考え方

 第30条は、昭和45年の現行法制定時に設けられたものであるが、制定当時は複製手段の開発・普及が余り進んでいなかったことから、無許諾・無償で私的複製を可能とした。その後、平成4年に現在の私的録音録画補償金制度が導入されたが、導入の理由は次のようなものであった。

 これらの実態を踏まえれば、私的録音・録画は、総体として、その量的な側面からも、質的な側面からも、立法当時予定していたような実態を超えて著作者等の利益を害している状態に至っているということができ、さらに今後のデジタル化の進展によっては、著作物等の「通常の利用」にも影響を与えうるような状況も予想されうるところである。このようなことから、現行法立法当時には予測できなかった不利益から著作者等の利益を保護する必要が生じていると考える。(第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書より抜粋)

(2)権利者が被る経済的不利益に関する再整理

 補償の必要性を考える場合、権利者が被る経済的不利益がなければ補償の必要性がないのは言うまでもない。本小委員会では、平成4年の補償金制度導入時の基本的考え方と現状は何ら変わってはおらず、その考え方を踏襲すべきであるという意見がある一方で、本委員会が補償金制度の廃止を含めた抜本的見直しを行っているところから、改めて考えを整理すべきであるとの意見もあった。

 そこで本小委員会では、著作権保護技術の普及という平成4年以降の事情の変化と経済的不利益の問題は別に検討するとして、まず私的録音録画と権利者が被る経済的不利益の関係について改めて整理することとした。

 経済的不利益があるという立場の委員については、第10小委員会の見解に意見が集約されるので、特に説明を要しないが、経済的不利益の有無に疑義を持つ委員からは、おおむね次のような意見が出された。

 以上のような意見の違いがある中で、経済的不利益の評価について法律的な視点から次のような整理が示された。

  • ア 私的録音録画のために権利者の許諾を得る必要があるとすればそこで支払われたであろう使用料相当分が経済的不利益であるとする考え方(補償措置は権利制限の代償)

 著作権の基本条約であるベルヌ条約では、著作者に一般的に複製権を認めた上で、一定の厳格な条件の下で(いわゆるスリー・ステップ・テスト)、権利制限を認めているが、我が国の著作権法も基本的にこの考えを踏襲している。

 この場合、利用者は、権利制限(第30条)がなければ、本来私的録音録画の都度権利者の許諾を得て、使用料の支払いをしなければならないことになるが、そうなると利用者が不便なため、権利制限を設けたと考えられる(権利者の私益と利用者の私益との調整)。

 このような権利制限の代償という立場からは、本来個別に許諾を求めた場合は使用料の支払いが必要だということになるので、一般論としては権利制限された場合は経済的不利益があるということになり、具体的な損失が発生していることまで立証が必要であると言うことにはならない。

 この考え方は、第10小委員会の基本的な考え方であるが、この立場では、私的録音録画の形態によって、経済的不利益の濃淡はあるものの、経済的不利益が全くないということにはならないのであって、この不利益の程度が権利者の受忍限度であるかどうかという判断となる。

 なお、昭和45年の現行法制定時は、無許諾・無償で私的録音録画ができたが、当時は録音録画機器がそれほど普及しておらず、多少の経済的不利益があったものの、それは権利者の受忍限度内であり補償の必要性が問題にならなかっただけであり、録音録画機器の広く普及している今日とは状況が異なる。

  • イ 権利制限することによって、権利者の許諾を得て行われる事業(販売、配信、放送等)に与えた経済的損失が経済的不利益であるとする考え方(補償措置は新たな権利の付与と同様)

 この立場は、私的録音録画は本来無償で自由にできるものであり、補償金制度は権利者に新たな権利を付与するのと同じであるから、権利付与の前提となる経済的損失が具体的に発生していることを立証することが必要であるとの考えに基づく。

 考え方の整理は以上のとおりであるが、いずれの考え方に立っても、利用形態によっては、経済的不利益の程度の違いがあるのではないかという観点から、次の点について評価を明確にすべきとの意見がある。

2 著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益の関係

(1)現行制度について

 平成4年の補償金制度の導入以降の新たな要因として、著作権保護技術の普及がある。著作権保護技術は、デジタル化・ネットワーク化の時代になって、元の著作物等と同じ品質の複製物が容易にできることや当該複製物を用いてインターネット配信が容易にできるようになったことから、著作物等の複製やインターネットへの出力等を禁止又は制限するため導入されたものである。

 最近では、著作権保護技術は、パッケージ商品、ネット配信、携帯電話等の様々な分野で使用されており、著作権保護技術と契約を組み合わせることによって、有料音楽配信事業など様々な新しいビジネスも生み出している。

 この著作権保護技術のうち、複製を制限するものについては、著作権法では技術的保護手段と定義されているが、この技術的保護手段を回避して行われる複製は第30条の適用はないとされ、事実上第30条の適用範囲を縮小しているところである(第30条第1項第2号)。

(2)著作権法上の技術的保護手段における権利者の意思と第30条の範囲内の録音録画との関係

 本小委員会では、第30条により権利者の許諾なしに私的録音録画ができる範囲が、著作権保護技術により、事実上禁止され又は制限される場合もあることから、著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益との関係を整理した。

 まず、著作権法上の技術的保護手段(注9)の定義(第2条第1項第20号)における権利者の意思と第30条の適用範囲内で行われる録音録画との関係である。

 著作権法上の技術的保護手段は、「権利者の意思」に基づき当該手段が用いられることが要件である。一般にある録音録画制限手段を施したシステムに、権利者が著作物等を提供するということは、当該要件を満たす限りにおいて、著作権法上の技術的保護手段に該当し、権利者は、当該技術的保護手段の下でどのような録音録画が可能かについて一定の予見は可能である(注10)。

 ただし、この「権利者の意思」はあくまで一定の著作物等の提供にあたり、利用者が利用可能な範囲を技術的に限定することを意図したものであるので、その範囲における録音録画について、無償利用を認める意思まで含まれているとはいえない。契約モデルによる解決が可能な場合は別として、著作権保護技術の内容等に照らし、経済的不利益の有無を考えていく必要がある。

(3)著作権保護技術の範囲内の録音録画と権利者が被る経済的不利益の関係

 本小委員会では、上記のただし書の点について、まず最初に録音録画の可否の観点から次のとおり類型ごとに整理した。

  • ア 録音録画禁止の場合

 現状でも、著作物の性質上繰り返し視聴する必要性が少ない、ごく少数の複製であっても権利者に大きな被害が生じる可能性があるなどの特別な理由があるもの(例えば劇映画のDVD)については、複製禁止の措置を採用しているが、権利者が複製禁止を選択した場合、そもそも私的録音録画ができないので権利者の不利益も生じていないものと考えられる。

  • イ 録音録画回数等に一定の制限があるものの、その範囲内の録音録画は認める場合

 一般的に、私的録音録画により著作物等を楽しむという社会現象は、確立された社会慣行であり、アのような特殊な例を除き、一定の範囲内で私的録音録画を認めることは、権利者も支持、許容するものである。現状の著作権保護技術の多くは、録音録画回数等利用可能な範囲を限定し、その範囲内での録音録画が行われることを技術的に担保するものとなっている。ただし、著作権保護技術には、私的録音録画自体を厳しく制限するというよりは、通常の利用者が第30条の範囲内で必要とする私的録音録画の機会は確保しつつ、デジタル録音録画された高品質の複製物が私的領域外へ流出するのことを抑制するものという捉え方も可能なものもある。このような捉え方は、現行法でも複製物を使用しない者の複製を禁止し、私的複製に作成した複製物の頒布を目的外使用として原則禁止としていることとも合致していると言える

 補償金制度は、私的録音録画が一定の範囲内で自由にできることを前提に、その補償措置として存在しているから、著作権保護技術が私的録音録画を制限する程度などによっては補償すべき不利益は生じないとする考え方が成り立つ。上記イにおいて、どのような場合に権利者の経済的不利益が生じ、どのような場合に生じないかが問題となるが、これについては意見が分かれている。関係者の意見を整理すると次のとおりである。

  • イ-1 著作権保護技術によって通常の利用者が必要とする第30条の範囲内の録音録画ができるのであれば、(1)の基準に戻って権利者の経済的不利益及び補償の必要性は判断すべきであるという意見

 著作権保護技術は録音録画回数等の上限を決めるものであり、利用者は通常必要とする範囲の録音録画を第30条に基づき行うことができるのであれば、オーバーライド契約により私的録音録画の対価を徴収できる場合は別として、補償措置が不要であるという議論に直ちにつながるものではない。また、現状では権利者が主体的に、かつ自由に著作権保護技術を選択できる場合は少ないので、著作権保護技術が施されていれば、直ちに権利者はその範囲内の録音録画から補償を求めるべきでないとするのは不適切である。

  • イ-2 権利者は提供された著作物等がどのような範囲で録音録画されるかを承知の上(著作権保護技術の内容により想定できる)で提供しているので、重大な経済的不利益はなく、補償の必要性はないとする意見

 著作物等が暗号化されたうえで録音録画されているパッケージ商品、デジタル放送、ネット配信サービスなどは、著作権保護技術により利用者の録音録画が想定されており、また当該信号等は権利者の意思に従い付されているので、録音録画の制限回数に係わらず権利者に重大な不利益は与えていない。

 以上のとおり、著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益の関係については、意見の相違が見られるところである。

 ただし、仮にイ-1の見解に立ち、現状における著作権保護技術の適用状況では経済的不利益があり、かつ補償の必要性があると判断できるとしても、著作権保護技術は権利者を含む関係者の要望等を踏まえ機器の製造業者等が開発していることも事実であり、その開発過程に権利者がどのように関与していたか等の評価の問題はあるものの、著作権保護技術の内容や当該技術と契約の組み合せ方法などのあり方次第では、補償が不要になる場合があることに大きな反対はないところである。

3 補償の必要性の有無

 著作権保護技術が施されている場合には補償の必要性がないという意見があることは(2)3イ-2のとおりである。

 ただし、仮に著作権保護技術の評価について(2)3イ-1の見解に立ったうえで、(1)2で整理された権利者が被る経済的不利益に関する二つの考え方を前提に補償の必要性を検証、評価すると次のとおりとなる。

(1)経済的不利益に対する利用形態ごとの評価

 購入した音楽CDからのプレイスシフトのための録音や放送番組からのタイムシフトのための録画については、(1)2アの立場からは、権利者の了解なしに録音録画が行われていることから、程度の問題はさておき、何らかの経済的不利益はあることになる。一方、(1)2イの立場からは、購入したものが手元にあるので、同じ商品を更に購入するとは考えにくい、タイムシフトにより別の時間に視聴したからといって、録音録画物が視聴者の手元に残らない限り放送番組等の二次利用に支障ができるとは考えにくいなどの指摘があり、私的録音録画と正規品の販売・配信等との因果関係が充分立証されていないという意見があった。

 また、他人から借りた音楽CDからの私的録音については、借りた者は音楽CDを購入する必要はなくなること、また他人(特定者)に当該録音物が譲渡されても同様である(音楽CD購入の代替手段)ことから、当該録音物を所有した人が全て正規品を購入するとは考えられないが、私的録音ができない状況を想定すれば、正規品の購入等に影響を与えるのは明らかであり、立場の違いにかかわらず、権利者が被る経済的不利益はあると考えられるとする意見が多かった。なお、このことは、レンタル料金には私的録音の対価は含まれていないという認識に立てば、レンタル業者から借りた音楽CDの場合も同様である。また図書館等から借りた場合も同様である。

  録画については、放送時点で広告収入により投資回収は完了していること、放送番組の二次利用は進んでおらず、録画によって正規品の購入や再放送の視聴が妨げられるとはいえないこと等から、権利者が経済的不利益を被っていることに疑義を示す意見もあったが、タイムシフト録画以外に、保存目的の録画実態も多く、両者は区別し難いこと、映像作品はごく少数の録音録画でも権利者に与える不利益が大きいといわれていること、映画や放送番組の録画は前述の意見にかかわらず二次利用に影響があると考えられること(注11)等の理由から、録画物の保存(ライブラリー化等)や他人(特定者)への録画物の譲渡については、経済的不利益があるという意見が大勢であった。

(2)経済的不利益に対する全体的な評価

 以上の点から、(1)2アの立場からは詳細な検討をするまでもなく経済的不利益があることになるが、(1)2イの立場であっても、仮にプレイスシフトやタイムシフトの録音録画が与えている経済的不利益が充分立証されていないとしても、利用者が行う私的録音録画は、一般的に特定の利用形態に限定されるわけではなく、例えば他人から借りた音楽CDからの録音などの形態や録画物の保存、更には他人(特定者)への録音物・録画物の譲渡が存在することは否定できないことから、一人の利用者の行う私的録音録画の全体に着目すれば、経済的不利益を生じさせていることについてはおおむね共通理解があると考えられる。

 なお、前述のとおり録音録画が可能な商品を提供しているのは権利者が私的録音録画により利益を得られると考えているからではないかという意見もあるが、私的録音録画問題はもともと録音録画の禁止によって解決しようとするものではないこと、私的録音録画は権利制限により行われるものでありそこから得られる利益があるとしても一般的にそれは権利者が意図して求めたものではないこと、仮に利益があるとしても一方で販促効果のためには視聴さえできればいいのであり録音録画まで必要ないのではないか等の意見もあるところであり、その評価は事実上困難であることなどから、私的録音録画からの利益は否定できないかもしれないが、権利者が被る経済的不利益を上回るものではないとの意見が多かった。

(3)権利者の受忍限度と補償の必要性

 以上のとおり、立場の違いにかかわらず、権利者が被る経済的不利益はあるということになったとしても、その不利益が権利者の受忍限度を超えていなければ補償の必要性はあるとはいえないことになる。この受忍限度については改めて基準を定めるのは困難であり、補償金制度を導入した平成4年当時と比べて私的録音録画の総体又はプレイスシフトやタイムシフトを除く私的録音録画の量がどのように推移したか、また品質面での変化はどうかなどを総合的に評価して判断する必要がある。また、先進諸国における評価も参考となると思われる。

 なお、この場合、購入した音楽CDからのプレイスシフトや放送番組のタイムシフトのための録音録画については、映画や放送番組はごく少数の録画でも権利者に与える影響は大きいこと等から、特にタイムシフトの要素を補償金額に反映させることは適当でないとする意見もあるが、他の利用形態に比べて経済的不利益が相対的に低いということに異論は少なく、これらの点は、補償金の額の設定に当たって考慮事項とすることが考えられる。

4 著作権保護技術により補償の必要性がなくなる場合の試案

 (2)3で言及したとおり、著作権保護技術の内容や当該技術と契約の組み合わせ方法などのあり方次第では、補償が不要になる場合があることに大きな反対はないところであり、そうした場合、補償金制度も不要となることは当然である。

 この点について、今後社会がどのように変化するか予想できないところであり、その時期を定めることはできないが、補償の必要性がなくなる試案として次のような整理が提案されている。

  • ア 著作権保護技術の効果により私的録音録画の量が減少し、一定の水準を下回ったとき(→私的録音録画が著作権保護技術によって厳しく制限されれば、権利者の不利益も少なくなるため)

 具体的にいえば、通常の利用者が必要とする第30条の範囲内の録音録画回数を厳しく制限する著作権保護技術が広く普及した場合である。この回数は、具体的に何回と特定しにくいが、例えば権利者に対する不利益の度合いが比較的少ないといわれる購入した音楽CDのプレイスシフトのための録音、又は放送番組のタイムシフトのための録画に必要とされる回数を更に制限するかどうかが一つの目安になると思われる。

 なお、この場合は、例えば権利者の代表と機器等の製造業者の協議により、個々の権利者の意思とは関わりなく、厳しい制限が課された著作権保護技術が導入されることが一般化されることを想定しているが、現実には、社会全体がこのような状況になる可能性は少ないのではないかと考えられる。

  • イ 著作権保護技術の内容について権利者の選択肢が広がり、コンテンツごとに関係権利者の総意として権利者側が選択権を行使できるようになり、そのような実態が普及したとき(→権利者がその意思に基づき私的録音録画をコントロールできる場合には、その結果として生じた録音録画は権利者にとって不利益を生じさせないため)

 アの場合と異なり、個々の権利者が自由に録音録画回数等を決められるか、又はアのような厳しい録音録画制限を含むいくつかの選択肢の中から自由に選択できる著作権保護技術が普及した場合である。

 一般的に、権利者は第30条で権利行使が制限されていることから、著作権保護技術の内容を認める権利者の意思というのは、無償で著作物等の利用を認める意思と同じであるとは言えない。しかし、個々の権利者の中には、私的録音録画の効果を積極的に認めようとする人、権利制限だから録音録画されるのはやむをえないと思う人、技術的に可能であれば私的録音録画を制限したいと思う人など様々な考えを持った人がいると思われる。現状の著作権保護技術は権利者の中にもこうした多様な考えを持つ人がいるにもかかわらず、様々な理由から、選択肢を持てないようになっている。したがって、著作権保護技術によって用意された選択肢の中から、個々の権利者が厳しい利用制限を選択肢できるにもかかわらずしなかった場合については、それを選んだ権利者に経済的不利益が生じるかもしれないが、それは権利者の受忍限度内であり重大なものではなく、補償の必要性があるとまではいえないのではないかと考えられる。

 ただし、この場合において、その選択肢が設定された経緯や過程(例えば権利者側が関与していたかどうか)、技術の内容(例えば権利者側が求める選択肢であるかどうか)等によって、その評価は変わる可能性がある。

 なお、権利者の総意というのは、コンテンツホルダーである権利者だけの意思でなく、そこに含まれている他の権利者の意思も含めての意思という意味である。コンテンツホルダーである権利者が他の著作物等の権利者の意思も代表して行使しているということであれば関係権利者の総意といえる。

  • ウ 著作権保護技術と契約の組み合わせにより、利用者の便を損なうことなく個別徴収が可能となり、そのような実態が普及したとき(→録音録画の対価を確保できる状況となるため)

 著作物等の提供者等と利用者の契約によって処理されるのが主要な形態となり、それによって経済的利益を確保できるようになった場合である。この場合、契約の形態によっては、第30条の適用そのものを除外しても、利用の円滑化を阻害しないと考えられる場合もあると考えられる。

 なお、これらの考え方については、次のような意見があった。

 また、上記のアからウの状況はある日突然実現するわけではなく、社会全体が徐々に変化していき、その状況が定着することより実現することになる。仮に現状では著作権保護技術と補償金制度が併存する状況にあったとしても、著作権保護技術の影響度を補償金額に反映させることや、場合によっては対象機器等の特定に反映することについては、おおむね異論のないものと思われる。

第4節 補償措置の方法について

 仮に補償の必要性があるとして、考えられる補償措置の方法としては、補償金制度による対応と契約による対応の二つに大別される。

1 補償金制度による対応

 この補償金制度による対応としては、個々の利用者から個別の私的録音録画行為ごとに補償金を徴収することは困難であるので、それに代わる方法として、以下の二つの考え方について検討した。

  • ア 録音録画機器・記録媒体の提供という行為に着目した制度設計

 補償金制度を採用している全ての国と同様の制度であり、私的録音録画が行われるのは録音録画機器と記録媒体が普及したためで、権利者の被る経済的不利益と機器等の普及には因果関係があることから、機器等の提供行為と結びつけて権利者への補償を実現しようとするものである。現行制度も基本的にこの枠組みの上に制度設計されている。

 この方法による場合、機器等の製造業者にもその責任の一端(我が国の場合は補償金の請求及び受領に関する協力義務)を担ってもらうのが不可欠であり、我が国では協力義務者、諸外国では支払義務者という位置づけの違いはあるが、機器等の製造業者に一定の責任を負ってもらい権利者と利用者の利益調整をしようとするものである。

 制度設計としては、包括的な制度にならざるをえないが、できるだけ実態に即した制度になるよう、対象機器、記録媒体の範囲及びその決定方法、補償金の支払義務者、補償金の決定方法、補償金の徴収・分配の仕組みなど幅広い点について法的又は運用面から整理する必要がある。

  • イ 録音源・録画源の提供に着目した制度設計

 世界に例がない制度であり、録音源・録画源が提供されるから私的録音録画が行われるので、権利者の被る経済的不利益と私的録音録画と録音源・録画源の提供とは因果関係があり、録音源・録画源の提供者にもその責任の一端を担ってもらうという考え方に基づく。

 この考え方は、著作権保護技術の普及により、著作物等の提供者が著作権保護技術、又は当該技術と契約を組み合わせることによって、利用者の行う私的録音録画を管理することが可能となってきており、著作物等を提供する段階で補償金を支払えば合理的・効率的であるという考えに通じる。

 制度設計としては、権利者と提供者が契約する際の対価に補償金を上乗せして支払えばよく、機器等の範囲、補償金額の決定も、補償金管理協会や共通目的事業も必要なくなるなど極めて単純になる。

 イの制度については、私的録音録画問題の本質を根本から見直す必要が生じる。また、録音録画機器を所有していない者からも事実上補償金を徴収することになること、対象機器の決定の論点は解消されるが、私的録音録画の可能性を一切無視して補償金を徴収することになることなど、制度の不合理さが目立つ制度にならざるをえず、仮に補償金制度を導入するとすれば、アの制度が適当であるとする意見が大勢であった。

2 権利者と録音源・録画源提供者との契約による対応

 補償金制度だけに固執せず、権利者と著作物等の提供者との契約によって解決する方策を関係者は追求するべきであり、その結果第30条を改正して、補償金制度を廃止したり、場合によっては第30条の適用範囲を縮小することができるという意見がある。

 この意見は、著作物等が消費者に提供される場合、著作権保護技術の発達により、その著作物等がどの程度録音録画されるかは事前に想定でき、また想定されないまでも録音録画されることが不可避であるとすれば、あらかじめ権利者と著作物等の提供者の間でそれを見越した契約をすることで権利者は利益を確保できるという考え方に基づく。このような契約によって権利者の利益が確保される利用実態が増加すれば、相対的に補償金制度の必要性は減少するというものである。ただし、この考えは、先述のイのように著作物等の提供者に法的に補償金の支払義務を課すことまでは求めず、あくまでも民間同士の契約関係に委ねることになる。

 これはこの問題を解決する一つの方策ではあるが、次のようないくつかの問題を含んでおり、権利者と著作物等の提供者の契約に委ねることによってこの問題を全面的に解決できるかについては課題が多いものと考えられる。

第5節 私的録音録画補償金制度のあり方について

 「第4節 補償の方法について」において検討したとおり、仮に補償の必要性があるとすれば、その対応方法は、録音録画機器及び記録媒体の提供に着目した制度によることが最も現実的であると考えられることから、この方法を前提に具体的な制度の仕組みについて検討した。

1 対象機器・記録媒体の範囲

(1)現行制度の問題点

1 現行制度による対象機器の範囲
a 分離型専用機器

 現行制度は、支払義務者を利用者にし、利用者が機器及び記録媒体を購入時に一括支払方式により、包括的に補償金を支払うこととしている。これは機器等の購入者が高い確率で私的録音録画を行うことを前提にした制度設計であるので、現行制度は、主たる用途が私的録音録画である機器等を想定しているものと考えられる。また、第30条第2項の規定の仕方から、録音録画機器とその記録媒体が分離していることを想定している(分離型専用機器)。

b 附属機能の除外

 第30条第2項では、対象機器を「デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器」とし、その後に続く括弧書で、放送用の機器等のように私的録音録画以外の目的で製作される機器と録音機能付電話機等の「本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するもの」を対象機器から除外しており、機能に着目して用途を推定する方法を採用している。

c 用途への着目

 平成4年の現行法制定当時は、録音録画機能が附属機能でない機器は、当時の機器の実態から特に考えるまでもなく主たる用途が録音録画の機器と考えられていたが、その後の機器の実態を踏まえ、平成10年の政令改正で「主として録音(録画)の用に供するもの」という規定が挿入された。これはパソコンにおける録音等が立法当初は事実上不可能であったのが、その後の技術の進展により可能になってきたことを踏まえ、パソコンの録音等の機能は附属機能ではないので対象機器になるのではないかという疑念を払拭するため、主たる用途が録音録画である機器を対象とするという立法の趣旨を確認するために行った措置と考えられている。

 以上の点を前提に現行制度における対象機器を整理すると、主たる機能が録音録画機能のものは、主たる用途も録音録画であると捉えていることとなる。なお、録音録画機能しかない機器や、附属機能はいくつかあるが主たる機能は録音録画機能である機器が対象になることはいうまでもない(注12)。

 また、反対に、次のような機器については、現行制度の下では対象にはならないと考えられる。

  • ア 録音録画機能が附属機能でない機器のうち記録媒体を内蔵した一体型のもの(例 HDD録画機器、携帯用オーディオ・レコーダー)

 現行法では機器と記録媒体により録音録画される場合についてのみ補償金の支払義務が生じるように制度設計されていることから、対象機器にはならない。

  • イ 録音録画機能を含めて複数の機能がある機器でどの機能が主要な機能といえないもの(例 現在のパソコン)

 現行制度の趣旨は、録音録画の可能性が高い機器だけを対象とするということであるから、録音録画機能を含む複数の主要な機能を有しており、利用者の選択により録音録画が主たる用途にもなり、そうでなくなることもある機器については、対象機器として想定されていないと解される。

  • ウ 録音録画機能を附属機能として組み込んだ機器(例 留守番電話、携帯電話、録音機能付カーナビゲーション)

 現状では録音録画機能はあくまでも附属機能であると思われるので対象機器とはならない。

 このようにIT技術の急速な発達に伴い現行法制定時には想定しなかった機器が開発され普及している。これらの機器の中には、現行制度では対象にならないが、立法時に整理した対象機器についての考え方に照らすと対象に加えても特段の問題はないと考えられる機器もある一方、新たな考え方を構築しなければ対象機器になし得ないものもある。対象機器の範囲をどのように設定するかは、制度の問題点とも関係し、制度の安定性という観点から配慮が必要な事項でもある。

 いずれにしても、平成4年当時とは機器の現状が大きく変わっていることは間違いないので、現状を踏まえ、どのような考え方に基づき対象機器を整理するかについて、十分検討する必要がある。

2 対象記録媒体について

 対象記録媒体についても、対象機器と同様の問題がある。

 現行制度は、対象機器が政令で決定されれば、その機器に使用される記録媒体が対象になるとしている(専用記録媒体)が、基本的には録音録画が主たる用途の記録媒体が対象となっている。例えばCD−RやDVD−Rについては、録音用又は録画用の媒体が開発されており、一般のデータ用とは切り離した形で制度の運用が行われている。

 しかし、現行制度は、専用記録媒体(例えば録音用CD−R)が、政令指定の対象になっていない機器(例えば、パソコン)でも使えることや、既存の記録媒体や今後市場に普及するであろう新しい記録媒体について、基本的に同じ仕組みを使いながら録音録画用とその他の用途用を仕分けできるかどうかなどの問題があるとする意見がある。これは、記録媒体も汎用化の傾向にあることから生じる制度的課題だと考えられるが、こうした記録媒体の現状を踏まえながら、対象記録媒体の範囲を再整理する必要がある。

(2)見直しの要点

1 基本的考え方

 現行制度は、分離型専用機器と専用記録媒体を対象にしているが、現状では、平成4年当時とは状況が異なり、専用機器等以外に様々な機器等が開発普及している。このようなことから、対象機器等の範囲を定めるに当たっては、次のような考え方に分かれ、意見の一致に至っていない。

 なお、3「補償の必要性について」で整理したいくつかの論点について、そこで合意された内容次第では対象機器等の範囲のあり方に影響するのはいうまでもない。

  • ア 録音録画機能が附属機能かどうかにかかわらず著作物等の録音録画が行われる可能性がある機器は原則として対象にすべきであるという考え方

 分離型専用機器は、時代の進展とともに減少する傾向にあるが、一方、他の機能を有しながらも録音録画機能を有し、かつ実際に録音録画に用いられている機器が増加しており、利用態様に応じて補償金額に差を設けることはあり得ても対象には加えるべきとする考え方に基づく。

 この考え方からは、現行制度の仕組みのままでは問題が生じるとすれば、対象機器等を拡大するということを前提に制度の仕組みを再構築すればいいということになる。

  • イ 現行法の考え方を原則として維持すべきであるとする考え方

 もともと補償金制度は、包括的な制度であるが、録音録画の可能性が高くない機器等からも補償金を徴収するとなると、録音録画をしない人からも補償金を徴収する可能性が現在よりも高くなり、制度の問題点を拡大することになるので適切ではないという考え方に基づく。

  この考え方からは、仮に対象機器等の範囲を拡大する場合には、利用形態、著作権保護技術等を考慮し、制度の問題点の拡大が最小限となるよう対象機器等を限定するべきということとなる。

2 機器等の類型ごとの考え方

 対象機器等の範囲について、機器等の類型ごとに整理すると次のとおりである。

 なお、録音録画機能を有する機器等は多種多様であり、以下の整理は代表的な機器等を念頭において整理化して検討を加えたものであり、個別の機器等についてはこれらの考え方を踏まえて、更に詳細な検討の上、判断されるべきである。

 また、第3節2(3)イ−2の立場からは、著作権保護技術が使用されている録画源(例えばデジタル放送)を録画する機器及び記録媒体については、対象機器等にはならないとすべきであるとする意見があった。

  • a 分離型専用機器と専用記録媒体

 現行制度の対象となっている分離型専用機器と専用記録媒体については、特に対象から除外する理由はなく従来どおり対象にすべきであることでおおむねの了承を得た。

 ただし、第30条の適用範囲から除外された利用形態のみに使用される機器等は対象範囲から除外されるべきこと、著作権保護技術の内容によっては当該技術を用いたシステムのみに使われる機器等が対象外になることもありうることに異論はなかった。

  • b 録音録画機能が附属機能でない機器のうち記録媒体を内蔵した一体型のもの(例 HDD内蔵型録画機器、携帯用オーディオ・レコーダー)

 私的録音録画を主たる用途としている機器である限りは、特に分離型機器と一体型の区別する必要はないので、対象にすべきであるとする意見が大勢であった。

 例えば最近の携帯用オーディオ・レコーダーの中には、附属機能かどうかは別にして、録音録画機能以外に静止画・文書等の記録やゲームのサポート機能等の機能を有しているものがある。このような機器については、製造業者の販売戦略、利用の実態等から少なくとも現状においてはほとんどのものが録音録画を主たる用途としていると考えられるので、対象機器に加えて差し支えないと考えられるとの意見があった。

  • c 録音録画機能を含めて複数の機能がある機器でどの機能が主要な機能といえないもの(例 現在のパソコン)

 パソコンについては、先述した立場の違いにより対象にすべきかどうかについて考え方の差があり、意見の一致に至っていない。

 なお、仮にパソコンを除外した場合、補償金の対象とならない録音録画が拡大することになるが、第30条の範囲の見直しにより、パソコンを用いた違法複製物・違法サイトからの録音録画や適法配信からの録音録画が第30条の適用範囲から除外されること、また一方で、パソコンの場合は、音楽CDを録音し、当該機器を経由して例えば携帯用オーディオ・レコーダーに更に録音されることも多く、最後の機器等のところで補償金の支払があれば事実上補償されているのではないかという意見があった。

 また、パソコンについては、製造業者はハードウェアを提供しているにすぎず、録音録画機能を初めとして文書作成機能、メール機能、インターネット機能など全ての機能はソフトウェアにより実現しているが、録音録画機能は発売時点でインストールしているものもあれば、後から利用者が任意でインストールしたものもあるので、その全てについて製造業者側が責任を負うのはおかしいのではないか、または、仮に製造業者側が一定の責任を負うとしても、機器等のどの範囲まで責任を負うのか明確にするべきだとする意見があった。

  • d 録音録画機能を附属機能として組み込んだ機器(例えば留守番電話、携帯電話、録音機能付カーナビゲーション)

 留守番電話のような他人の著作物等が録音される可能性が低くしかも大量に利用されることがないものを対象にしないことについて異論はなかった。

 しかしながら、携帯電話、録音機能付カーナビゲーションについては、前述した立場の違いによって考え方の差があり、意見の一致に至っていない。

 なお、例えば、録画機能を組み込んだテレビのようなものについては、購入者のほとんどがテレビの視聴と放送番組の録画の二つの目的を持って購入するところから、当該機器を利用して録音録画が行われる可能性が高いこと等から、このような機器については対象に加えるべきであるという意見があった。

  • e 専用記録媒体以外の記録媒体

 元々記録媒体は、録音録画に限らず、文書、写真等の静止画など様々な情報が記録できるものであり、録音録画機能はその記録機能の一部であるものが多い。

 この記録媒体の取り扱いについても、前述した立場の違いにより何を対象にすべきかについ考え方の差があり、意見の一致に至っていない。

2 対象機器・記録媒体の決定方法

(1)現行制度の問題点

 文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)では、現行の政令指定方式については、

 の2点が問題点として指摘されている。

 また、「(1)対象機器・記録媒体の範囲について」で説明したように、現行制度の導入時には専用機器がほとんどであったものが、技術の発展に伴い、様々な機能を組み込んだ機器が開発普及しているという状況の変化がある。当時は分離型専用機器と専用記録媒体により録音録画される方法しかなかったので、現行制度は、主たる機能が録音(録画)機能であれば、その主たる用途は録音(録画)であることを念頭に制度設計されている。したがって、主たる用途の要件は、ある程度客観的な要件であり、政令上このような要件を定めたとしても運用上特に問題は生じなかった。

 しかし、機器等の範囲については、前述したように立場の違いによって考え方が違いその範囲は決まっていないが、仮に専用機器だけでなく、それ以外の機能を有する機器等にも拡大する場合は、現行の政令指定方式で問題が生じないのかについて十分検証する必要がある。

 更に、現在では記録装置を内蔵した一体型の機器も普及しており、この点からも現行の政令指定方式で問題ないのかどうかの検証も必要である。

(2)見直しの要点

1 政令指定方式の見直し

 政令指定方式は、法的安定性、対象機器等の特定の明確性の点で優れた制度であることは間違いなく、その方式を踏襲するという考え方を否定する必要はない。

 ただし、文化審議会著作権分科会からの問題点の指摘を踏まえ、機器等の現状と対象機器の変更の課題も考慮して、次のような整理を行った。

 以上の点を踏まえ、次のような見直し方策があると提案され、基本的方向性はおおむね了承された。なお、この点については、基本的な方向性は了承するものの、具体的な制度設計を見た上で、制度の可否を判断したいという意見があった。

 法令で定める基準に照らして、公的な「評価機関」の審議を経て、文化庁長官が定める。

2 特定の方法

 技術による指定については、現行法制定当時と比べて録音録画技術は多様化する傾向にあり、新たな技術が市場に投入されることも多くなっているが、対象機器等の明確性という観点からは、技術を指定することは対象機器を特定するための重要な要素の一つであることは否定する必要はないと考えられることに異論はなかった。

 ただし、現行制度は、分離型専用機器を前提として、一定の規格を有する磁気テープ、光磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体への固定を想定した指定ぶりとなっているが、仮に一体型の機器についても対象にするとした場合、その記録技術の特定方法については、更なる工夫が必要であるとの意見があった。

 次に、今後は用途の基準が重要になると考えられるが、現行の用途の基準については、先述したようにある程度客観的な要件として規定されているが、機器等の現状においては、録音録画機能が主たる用途かどうかの判断が難しくなってきており、仮に用途要件を定めるとすれば、できるだけ紛れがないように詳細な要件を法令で規定することや、上記の方法のように最終的には関係者の合意で判断するような仕組みが必要と考えられるとの意見があった。

3 補償金の支払義務者

(1)現行制度の問題点

 現行制度は、利用者を支払義務者とし、機器等の製造業者等を協力義務者(補償金の支払の請求及びその受領に協力)としている。

 文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)では、利用者が機器等の購入時に一括して補償金を支払うという特例方式で実際は補償金が支払われている現行制度の下では、「実際に著作物の私的録音録画を行わない者も機器や記録媒体を購入する際負担することとなる」とした上で、「この問題を解消するための返還金制度もそもそも返還額が少額であり実効性のある制度とすることが難しい」とし、補償金の返還制度に対する問題点について指摘している。

 現行制度は、第30条第2項により、利用者が私的録音録画を行ったときに権利者に補償金請求権を認めるという形式をとっているが、機器等の購入者のほとんどは私的録音録画をするということを前提にした制度であっても、機器等を購入したが当該機器等の使用期間中に私的録音録画を一切しなかった場合を完全に否定することはできないので、返還制度が設けられている。

 返還制度は、以上のとおり補償金支払義務者を利用者としていることとの関係で設けられたものであり、返還制度の問題を解消するとすれば、補償金の支払義務者を誰にするかということに直結する問題として、制度設計を行う必要がある。

(2)見直しの要点

 支払義務者については、世界各国の制度と同様に私的録音録画に供される機器や記録媒体の販売によって利益を上げている製造業者等とすべきであるとする意見がある一方、録音録画を実際に行う利用者を支払義務者とする現行制度の考え方を維持すべきであるとの意見がある。

 支払義務者の考え方を法律的に整理すると次のとおりである。

 このような法律上の整理については、特にエに関して、民生用録音録画機器等が業務用等に利用される場合があること、実際に私的録音録画に使用しない利用者もいることなどから、消費者の返還請求権を奪うのは問題であり、返還制度をより利用しやすくする観点からの検討も必要ではないかとの意見があった。

 法的な整理は、以上のとおりであるが、先述したように支払義務者の問題は、返還制度を実効性のあるものと見るかどうか、また対象機器等の範囲をどうするのかによって、結論が異なることになると思われるので、他の制度上の仕組みを検討する過程の中で更に検討を進める必要がある。

4 補償金額の決定方法

(1)現行制度の問題点

 現行制度における補償金の決定手続きに大きな問題点はないと思われるが、現行法制定当時と異なり、著作権保護技術により録音録画が一定の制限を受ける場合があることの影響度をどのように補償金に反映させるかという問題がある。

 なお、補償金額は、認可申請前に関係者が意見交換を行い、合意又はほぼ合意された金額が申請される慣行があるが、事前に関係者間で意見交換することは制度化されていないところから、関係者の意見が制度上反映される仕組みが必要だという指摘がある。

(2)見直しの要点

 補償金額の決定に当たっては、著作権保護技術の影響度を補償金に反映できるようすべきであることに異論はなかった。これは、3(4)の「著作権保護技術の内容と補償の必要性の関係」のところで整理したように仮に補償金制度の必要のない社会状況が実現するとしても、そこに至る過程の中で補償金は減っていくはずであるから、そのことを制度上担保することは重要であると考えられるからである。外国法制においても、著作権保護技術の影響度を考慮することを法制化している国がある(注13)。

 なお、著作権保護技術の影響度を補償金の額に反映するため、具体的にどのような仕組みにするかについては、具体的な制度設計を待つ必要があるが、いずれにしても権利者、製造業者、消費者等の関係者の意見が十分反映できる仕組みを考える必要がある。

 契約に基づく私的録音録画や、プレイスシフト、タイムシフトなどの要素は補償金額の決定にあたって反映させるべきであるとすることについてもおおむね異論はなかった。

 補償金の決定プロセスとして、補償金はその性質上原価というものがないので、支払い側がどの程度までなら負担できるかということが重要な要素になるところから、事前の意見交換そのものがなくなることはあり得ず、認可申請に当たっては、関係者の意見を充分反映した案が提出されることは今後も期待されているところである。

 なお、現行制度においては、申請された案は、文化審議会著作権分科会使用料部会(学識経験者で構成)の審議を経て、認可されることになっている。この方法では、補償金の額の決定が恣意的に行われる可能性は少なく、必要に応じて使用料部会で利害関係者の意見を聞くなどすることで手続きの透明性等は確保されるという意見がある一方、補償金額の決定にあたっては、著作権保護技術も考慮に入れながら、対象機器等の特定やその利用実態とも関連するので、(2)2で提案された「評価機関」で審議すべきであるとの意見があった。

5 私的録音録画補償金管理協会

(1)現行制度の問題点

 現行制度は、現行法制定当時の機器等は録音用と録画用に完全に分かれていたこと、録音と録画では関係の権利者が異なる場合もあること等から、両者を完全に切り離した形で制度設計をしているが、最近では同一の機器等において録音と録画ができる機器等も販売されていることから、同じ機器等に対し二つの団体から別々に補償金を請求する可能性が生じている。

 補償金管理協会の事業の一つとして共通目的事業があるが、現行制度では、それぞれの協会が(現実には両協会で調整しているとはいえ)独自に事業を実施しているので、合理的、効率的な事業が実施できるのかという問題点の指摘もある。

(2)見直しの要点

 同一機器等に対する二つの補償金管理協会からの別々の請求の回避、共通目的事業の合理的・効率的実施、管理経費の削減等を考えると、補償金管理協会は1つにすることで異論はなかった。

 なお、補償金管理協会は両団体とも公益法人(社団法人)であるが、公益法人の合併は認められていないので、両団体を解散した上で、新たに法人を設立し、業務を引き継ぐ必要があること、公益法人改革の一環で公益法人制度が根本的に改められることとなっていること等から、補償金の徴収・分配業務が円滑に行くよう制度のあり方は十分検討する必要がある。

 また、補償金請求権は、補償金管理協会が徴収分配機関として文化庁長官から指定された場合は、権利者の意向に関わりなく強制管理されることになっているので、現行制度と同様の制度設計であるときは、補償金管理協会は一つに限定されると考えられる。

6 共通目的事業のあり方

(1)現行制度の問題点

 文化審議会著作権分科会報告書(平成18年1月)では、「共通目的事業の内容が十分知られていない。また、権利者のみならず、広く社会全体が利益を受けるような事業への支出も見られる」との指摘があった。

(2)見直しの要点

 補償金制度は包括的な制度であること、個々の利用者の録音録画の実態を詳細に把握することは事実上不可能であり、個々の権利者へ厳密な配分を行うことには限界があるので、権利者全体の利益に資するような共通目的事業を廃止する必要はないことでおおむね了承された。

 事業内容については、法律によって、「著作権及び著作隣接権に関する保護に関する事業」と「著作物の創作の振興及び普及に資する事業」を実施することが定められているが、この範囲を更に限定する必要はないことでおおむね了承された。

 なお、文化審議会著作権分科会の「権利者のみならず、広く社会全体が利益を受けるような事業への支出も見られる」との指摘であるが、

 などの意見があった。

 また、共通目的事業の用途については社会的関心が高いと考えられるところから、事業の透明性を確保するため、事業内容の公開を義務付ける等の措置が必要と考える。また、事業の実施に当たっては、権利者、製造業者、消費者等の幅広い意見が反映できる仕組み作りが更に重要となる。

 なお、共通目的事業の割合については、現行制度では二割となっており、おおむね適正な割合と考えられるが、正確な分配ができないこと等の理由からこの割合を引き上げるべきであるとの意見があった。

7 補償金制度の広報のあり方

(1)現行制度の問題点

 補償金制度の広報については、補償金管理協会が独自の事業を実施しているほか、製造業者等においても商品の説明書にその旨を記載するなどの方法により広報が実施されている。しかしながら、補償金制度の認知度は低く、これが補償金制度を分かりにくくしている大きな原因であると指摘されているところである。

(2)見直しの要点

 制度設計の仕組みに係わらず、消費者に補償金制度を十分説明し理解してもらうことが重要であることはいうまでもない。この制度に関する理解度を進める事業については、補償金管理協会の役割が最も重要であると考えられるので、法律上補償金管理協会に補償金制度の広報義務を課し、その位置付けを明らかにする必要があると考えられることでおおむねの了承を得た。

 もっとも、広報事業については、補償金管理協会だけの事業にとどまるわけではないので、関係の権利者団体、製造業者等、消費者団体等の幅広い関係者がこのような事業に積極的に協力する必要があるとの意見があった。

 また、補償金がどのように徴収・分配されているかの内容を消費者に知らせることがより重要であるとの意見があった。

 なお、広報に大きな予算を割くよりは他の有意義な事業を優先すべき等の理由から、広報事業の義務化に反対する意見があった。

前のページへ