○ |
補償金額の決定手続を法定することは透明性確保の上で非常に意義がある。
技術的保護手段で私的録音録画がコントロールされ得る場合は基本的に補償金は不要という意見ではあるが、仮に技術的保護手段と補償金が併存する場合があるとすれば、補償金額をゼロとする場合も含めて技術的保護手段の影響度を補償金額の決定に反映するようなプロセスが法定されることに賛成する。
|
○ |
録音録画機能を持つ全ての機器・記録媒体を補償金の対象とすることと併せて、それらの機器・記録媒体が私的録音録画に関与する割合を勘案して補償金の金額を決める制度とする必要がある。
|
○ |
現行制度では補償金額は録音録画機器・記録媒体の価格に対する定率で定められており、機器・記録媒体の価格の下落と同時に補償金額が下落してしまう。また、現在ほとんどの機器・記録媒体がオープン価格で売られており、補償金額が明確に算出されない。機器・記録媒体ごとに一定額を定めたうえで、私的録音録画への関与割合に応じて最終的な補償金額を決めるというプロセスが必要ではないか。
|
○ |
補償金額の決定に際し著作権保護技術の影響を考慮することは、具体的にどうするのか難しいが、そうした根拠規定を置くことは良いと思う。
|
○ |
適法配信からの録音録画を30条の範囲から除外すると、その部分は補償金の対象外となるので、補償金額の決定プロセスでその点をどう反映するかという問題がある。また、補償金の対象機器・記録媒体の決定プロセスについても、客観的な性質だけでなく、一般的な用途という主観的要件も考慮するとしたら、その点も補償金額に影響してくるので、これらの要素がプロセス全体で広く考慮されるような制度を考える必要があるのではないか。
|
○ |
補償金額の決定に際して機器・記録媒体の用途が斟酌されるという点を法定することは非常に良いと思う。
|
○ |
補償金の対象機器・記録媒体の決定プロセスと補償金額の決定プロセスは別の事象と考えている。
|
○ |
補償金額の決定プロセスでは、報酬請求権という性質上、一般の市場取引と違って需要と供給の関係で自ずから額が決まるわけではないので、交渉の妥結までに非常に時間がかかる。技術の発達速度に交渉が追いつかないような状況では非常に困るので、プロセスの透明性は当然担保されなければならないが、それと併せて迅速な決定のための仕組みが必要。
|
○ |
補償金額の迅速な決定のためには、評価機関が当事者性を持ったものであることが必要。
|
○ |
補償金の対象機器・記録媒体の決定プロセスとも関連するが、フランスで制度化されている公的な評価機関における決定の迅速性や決定方法は世界に範たるものだと思うので、その点では大変参考になると思う。
|
○ |
著作権保護技術の影響を補償金額に反映させることは必要だが、適法に配信された複製物からの録音録画が30条から除外されたとして、その上でさらに著作権保護技術の影響を考慮することの意味を検討する必要がある。
また、補償金の対象機器の決定プロセスについて、私的録音録画以外の用途を補償金額の決定にどう反映させるか、或いは技術的な対策をとるのか検討が必要だと思う。
|
○ |
評価機関によって補償金額を決定するのであれば、基準を明確に法定すべき。録音録画の目的や、録音録画源、対象とする録音録画の範囲等も反映するようにすればよいのではないか。
|
○ |
iTunes storeにおいてDRMフリーによる楽曲提供が出てきているが、これもフリーというDRMを選択したということで補償の必要は無いとなってしまうおそれがあり、緻密な検討が必要だと思う。
|
○ |
現在の著作権分科会使用料部会の構成メンバーを評価機関のメンバーに替えるのか、それとも別の手続を想定しているのか。
|
○ |
いずれにせよ、補償金額の決定プロセスに利害関係者を加えたほうがよいという考え方に基づいた案だと思うが、補償金の対象機器・記録媒体が決まっていく一方で補償金額が決まらないと意味がないので、ある程度の即応性を課すような仕組みが必要である。
|
○ |
これまでの議論の中で、著作権法の技術的保護手段のみならずアクセスコントロールなども含んだより広い範囲の意味で著作権保護技術という言葉が使用されていたと思うが、そこまで含めた著作権保護技術の影響を補償金額に反映する旨の根拠規定を定めるのか。仮にそうだとすれば、技術的保護手段の回避制限についても範囲が広がるのか。
|
○ |
補償金額の決定プロセスにおける公平性や迅速性は重要であり、その確保のために、法律や政令など高い法令レベルで補償金の対象機器・記録媒体の選定の考え方、補償金率・補償金額の手続論を可能な限りしっかりと規定するべきである。補償金額の決定機関では、そうした基準に照らし粛々淡々と作業をしていくことが望ましいのではないか。
|
○ |
補償金制度の見直しが規定路線であるかのように議論が進められていることに大変抵抗感を覚える。補償金を課すことの妥当性や、消費者も含む全体的な納得があるかが問題であって、評価機関について手続的、法的な問題がないから良いというわけではない。補償金制度の拡大のための迅速性確保の議論は一方的なものであり、そもそも補償金制度の妥当性に関する本質的な議論を終えずに議論が進むのは消費者として全く賛成できない。
|
○ |
エンドユーザーとしては、補償金制度の対象機器・記録媒体の範囲の議論と補償金額の議論は不可分の関係にあると思っており、対象範囲が広くなるのであれば、個々の機器・記録媒体の補償金額は低下していかないと納得できない。
また、補償金額の問題に関するエンドユーザーの意見は非常に多様であるので、関係者間の協議の際にもパブリックコメントのようにエンドユーザーから意見を募集して盛り込むようなシステムを作らないと、公平性に不満を持つ人が多くなるのではないか。
|
○ |
補償金額の決定機関に利害関係者が加わるとすると本当に迅速性が確保されるのか疑問があるが、事前に関係者間の調整を経たうえで評価機関で確認する制度とするのであれば、なおさら法律や政令で対象や基準を明確に決めておかないと非常に恣意的になる可能性もある。著作権保護技術の程度、私的録音録画の目的、録音源・録画源などを切り口に基準を明確にしておく必要がある。
|
○ |
対象の拡大という言葉がよく出るが、古いものが淘汰されていく一方で新しいものに補償金をかけるかどうかの議論であり、拡大ではなく移行だと思う。
|
○ |
評価機関は要するに学識経験者と利害関係者で構成される機関だと思うが、具体的なイメージはどのようか。補償金の対象と補償金額を総合的に審議していくようなイメージなのか。
|
○ |
補償金制度の対象機器・記録媒体の基準は高いレベルの法令で規定したほうがよいので、法律で私的録音録画に関与する機器・記録媒体とのみ規定したうえ、補償金額の決定プロセスで様々な要素を勘案していけばよいのではないかと主張している。
|
○ |
補償金制度全体のバランスから、対象機器が広がった場合、個々の補償金額はある程度下がってもよいのではないかと思う。
|
○ |
仮に補償の必要性があるとした場合、補償金の対象機器・記録媒体について、政令で定める基準に照らして公的な評価機関の審議を経て文化庁が定めるという流れは、現実的な解決策の1つだと思うが、とにかく新たな対象の追加に迅速に対応するために提案されているような誤解を招いている気がする。むしろ、補償金制度は著作権保護技術が進歩するなどの条件が満たされれば不要になるものであり、将来の廃止を想定したうえで、なお当面補償の必要性がある場合にどう対処するかの議論だと思うので、新たな対象追加のための迅速な対応に加え、既に対象に追加したものを迅速に対象から削除する場合もありうることを明確にしたうえで議論しなければならないのではないか。 |