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文化審議会

2003年12月4日 議事録
文化審議会文化政策部会(第6回)議事要旨

文化審議会文化政策部会(第6回)議事要旨


1. 日  時:平成15年12月4日(木)10時30分〜12時30分

2. 場  所:東海大学校友会館   望星の間(霞が関ビル33階)

3. 出  席  者:
(委   員) 高階部会長、津田委員、富澤委員、中村(紘)委員、川本委員、熊倉委員、都筑委員、根木委員、山野委員、米屋委員
(文化庁) 河合文化庁長官、素川文化庁次長、寺脇文化部長、木曽文化財部長、尾山政策課長、西阪芸術文化課長ほか関係官

4. 概   要
(1)    配付資料についての確認があり、前回議事要旨について、意見がある場合は1週間以内に事務局に連絡することとされた。

(2)    事務局より、配布資料について説明が行われ、以下の意見交換が行われた。
(○:委員、△:事務局)
         ○    舞台芸術は毎回同規模の経費がかかるのではなく、上演回数にかかわらず初期投資が大きいから支援が必要ということだと思うので、配布資料の表現を工夫すべきである。鑑賞者の意向を反映するという点や、起業家的な個人の芸術家を支援したり、スターを育成するという点についても、表現ぶりを考える必要がある。

   芸術家は、技量以外の特別なプロフィールによって知名度が高まることも少なくなく、努力に見合った評価が得られるとは限らないことに欲求不満を持つ者も多い。また、評価の過程をもっと情報公開すべきである。浜松市で1991年から開催されているピアノコンクールは、質の高い聴衆が大勢訪れており、文化行政にとって参考になる例だと思う。

   誰も支持しないものを支援するわけにはいかないが、一定の観客の支持があって日本の舞台芸術の水準の向上に資するようなもの、という理解でよいのではないか。なお、以前の会議で個人への支援に関する発言をした際は、ニューヨーク市が個人に対して市の施設を格安で貸した例を念頭に置いていたのだと思う。

   ニューヨーク市の事例は個人に対する支援ではなく、NPOに対するものだと記憶している。日本でも、個人を特定せずに新人の作品製作を支援しているような事例もあるので、支援方法を工夫すればよいのではないか。

   海外のバレエ団であれば客が入るのに、日本のバレエ団だと良い作品でも客が入らないという現状を変えるためには、単に観客の意向を考慮するのでなく、観客の層を選ぶ努力も必要ではないか。

   大衆迎合的になってはいけないが、鑑賞者を対象としたアンケートを実施したり観客の考え方を活動に生かすような努力は芸術団体にも重要と思う。個人に対する支援は、顕彰制度などの方法もあるので、全く否定する必要はないのではないか。

   舞台芸術創造活動への支援の意義は、よい文化芸術に触れることによって感動し、人間らしさを取り戻すという点にあるのだと思う。東京一極集中から地域重視には賛成だが、拠点主義の方向性など、さらに踏み込んだ内容が必要ではないか。また、事業支援・公演支援から運営支援に、という記述があるように、できるだけ平常の活動に対して支援していくという考え方も必要だと思う。

   浜松市のコンクールは、過去の受賞者から既に世界的なピアニスト達を送り出しており、地元への経済波及効果も高く、かなりの成功を収めている。

   支援の意義については、人間としての活力・生命力という観点からうまく文章にまとめてほしい。ただし、人間らしさや動物らしさを取り戻す、という部分については、もっとわかりやすい表現を工夫してほしい。
   観客のニーズについては、今は人気がないが将来有望といったことも視野に入れる必要がある。

   鑑賞者の意向という表現については、例えば鑑賞者の支持を開拓していくというようなニュアンスでよいのではないか。スターの育成については、現在活躍している芸術家が国内で活動を発展させられるような支援という考え方でどうか。また、顕彰などの方法を通じて、民間との連携を促進するという視点も必要ではないか。

   文化と経済、政治は密接な関連があり、文化芸術が国の政策や科学技術に与える影響は極めて大きい。また、誰も関心がないものを支援するのは非常に難しいし、子どもたちの文化芸術文化活動に地域の伝統芸能を活用する視点も必要だと思う。スターの育成は、経費支援ではなく顕彰で対応すべきではないか。また、民間の劇場で小規模・ゲリラ的に行われる芸術活動への税制支援や、芸術活動における年金のようなものも考えてはどうか。

   芸術分野ごとに地方公共団体を選定して国が支援するなど、地方公共団体の文化振興策と国の支援策とが関連するような形が望ましい。

   若手芸術家による実験的な取組や稽古場に対する支援に留意してほしい。

   舞台芸術に関する資料を収集する取組も基盤形成の面で重要であり、提言に盛り込むべきである。

   全国公立文化施設協会などに委託して、施設面で類似の公立文化施設を洗い出してネットワークを構築することも考えられる。

   文化施設については、音楽、演劇といった分野別の振興策全体をきめ細かく検討していく中で、関連づけて考えるべきではないか。

   公立文化施設に比べ、民間の施設は固定資産税を払っているなど不利な条件で運営されている。民間施設の経営環境は厳しく、ぜひ税制面の支援をお願いしたい。また、文化に関する指標に基づいて各都道府県を比較する文化白書のようなものの作成も検討してはどうか。

   地方自治法の改正により、公の施設に指定管理者制度が導入されたが、運用方法によっては文化振興にマイナスにもなり得る。経費節減目当てではなくビジョンを持って取り組む地方公共団体を応援するような仕組みが必要である。評価については、団体には単純な数字のみによる評価は困るとの反応があり、芸術が産み出す心の豊かさという部分をどのように指標化していくかが課題である。

   審査の過程における情報公開をさらに進めるべきである。

   地域の芸術の適切な評価のためには、審査の過程で地域の状況を委員に見てもらったり、審査委員の中に地方の代表を入れたりするなどの方法も考えられる。

   文化施設のハード面に詳しい者や、特定の芸術分野にこだわって各地を回っている者など、様々な情報を持っている者を集めた会合を定期的に開催して各自の情報を総合すれば、全体像が見えてくるのではないか。文化白書についても、各地域の文化度が浮き彫りとなる面白い企画だと思う。

   評価については、評価を受ける者と評価者との癒着などの心配もあり、性善説だけでは済まない面もあることに留意すべきである。

   スターの存在は重要だが、これは自然に生まれるもので、育てるものではないと思う。

   文化芸術教育は、子どもの発達段階によってきめ細かな配慮が必要なので、地域に芸術と教育のコーディネーターを配置することも検討してはどうか。また、地方での文化活動について、批評家の活動の場をつくることも必要ではないか。

   3つの団体から文化政策部会に意見書が提出されているが、これまでの議論で抜けていた視点はあるか。

   2団体からの意見書は大きな方向性を書いたものだが、1団体からは、独自調査を踏まえ、具体的な評価基準も含め、早期に対応すべき事項と長期的に検討すべき事項とに分けて提言している。

   各県の文化協会から文化庁が直接情報収集すれば、情報面で将来役に立つのではないか。

      (3)    事務局より、提言案作成チームとして、熊倉委員、根木委員、米屋委員の3名が提案され、了承された。また、次回部会については平成16年1月9日(金)に開催するとの説明があり、閉会した。




(文化庁長官官房政策課)

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