審議会情報へ

文化審議会

2003年8月22日 議事録
文化審議会著作権分科会著作権教育小委員会(第3回)議事要旨

文化審議会著作権分科会著作権教育小委員会(第3回)議事要旨

  日  時   平成15年8月22日(金)15:00〜17:00

場  所 文部科学省別館10階第5・6会議室

出席者 (委員)  
小熊、北川、久保田、坂井、里中、清水、菅原、関口、大楽、中井、中村(司)、中村(凱)、菱木、福島、水島、光主の各委員
(文化庁)
森口長官官房審議官、吉川著作権課長、川瀬著作物流通推進室長、吉尾国際課長、岩松国際著作権専門官、穴沢国際課課長補佐、その他の担当官

配付資料

資料1     文化審議会著作権分科会著作権教育小委員会(第2回)議事要旨(案)
資料2   著作権に関する教育・啓蒙について
(2003年8月   株式会社東芝   知的財産部)(光主委員提出資料)
資料3   企業等における著作権教育への支援のあり方について(案)
資料4   『バーチャル著作権ヘルプデスク』の構築について(案)
(仮称:『著作権なんでも質問教室』)
資料5   「著作権教育研究協力校」における著作権教育の具体的指導方法の研究開発について

  概   要
(1)    「企業等における著作権教育の支援のあり方について」に関して、光主委員から「著作権に関する教育・啓蒙について」ついての説明と事務局から「企業等における著作権教育への支援のあり方について(案)」の説明が行われた。そしてその説明に対し、以下のような意見交換が行われた。
(以下、説明者:◎、委員:○、事務局:△)

◎: 企業においては、イメージダウンにならないように、著作権ポリシーの徹底や管理規程の遵守の徹底という側面と、企業の著作物を、どのような考え方で保護していけばよいのかという側面の2面から著作権教育を行っている。具体的には、15分から20分程度パソコンの画面を見ながら、教育を受ける形にしており、内容もキャラクターの動画を用いて、Q&A形式にして、音声も入れてわかりやすく解説した上で、最後にテストをするという実施方法をとっている。
○: 他の企業と著作権教育についての情報交換はしているのか。また著作権教育の教材は全て社内で作っているのか。
◎: 教材は内部で作っている。大手メーカとは時折情報交換を行っている。
○: 著作権教育システムは、どのように利用するのか。
◎: 当社のケースでは、サーバーの中に著作権教育ソフトが入っており、社内外でいつでも見ることができる状態になっている。ただ、難点としてサーバーの使用料のコストが若干かかる。
○: e-learningのプログラムの中には、著作権教育以外の分野についての教育プログラムがあるのか。
◎: 現在著作権以外にも、個人情報保護法や輸出管理の教育プログラムがある。
◎: 著作権教育プログラムについては、独自に作成し、企業において何が一番重要で、何が侵害に該当するのかといった観点に焦点を当てて作成している。
◎: 著作物を利用する際に留意する標準的な著作権のチェックリストを作り、そのリストを各職場の状況に応じた利用をしてもらっている。
○: 著作権教育プログラムの実際の効果は、どうなのか。
◎: 著作権について質問してくる人が多くなったことから、ある程度、効果があったものと思う。
○: 教育プログラムなどを利用し、又は自ら開発している企業というのは、著作物等の創作又は利用を中心的な業務として行っている企業に該当するのか、或いは業務の中で付随的に著作物等の創作又は利用を行っている企業のどちらに該当するのか。
◎: 著作物を創作する部門と、著作物を利用し販売している部門によって、著作権制度に対する意識の格差が非常にある。そういう意味では、事務局の出したような著作権教育の支援の分類の仕方はあると思う。
○: 企業における著作権教育は法令を遵守して事業を行うという社員教育の中に、著作権教育が位置づけられ、経営のサイクルの中で、それぞれの部署に対応した形で持続的に行われることが必要である。
○: 企業では、社員の手帳に、企業の商品の海賊版が日本国内及び海外で販売されていた場合、どう対処したらいいのかという対処方法が書いてある。それを社員がいつも身につけることによって著作権に対する意識、海賊版に対する意識が非常に高まってきたということを聞いたことがある。具体的な情報からの社内的な教育が著作権に対する意識を変えてくるのではないかと思う。
○: 企業では、こういう違反をしたらこういう打撃を事業者は受けるということを、会社の部門の管理職などが認識していれば、著作権教育プログラムのようなツールによって、著作権教育が行われるという感じがする。

(2)    事務局から今年度に実施を予定している「『バーチャル著作権ヘルプデスク』について(案)(仮称:『著作権何でも質問教室』)」と「「著作権教育研究協力校」における著作権教育の具体的指導方法の研究開発について(案)」の説明が行われた。そしてその説明に対し、以下のような意見交換が行われた。
(以下、委員:○、事務局:△)

○: 学校では、著作権制度をわかっている人と、わかっていない人との落差が大きいので、著作権制度について本当に基本的な部分をよくとらえたような内容にしていただきたい。
○: 著作権に関して似たような情報サイトがあるので、同じような著作権Q&Aに関する情報サイトを共有化していくのが有効だと思う。バーチャル著作権ヘルプデスクから各団体の著作権に関する情報サイトにリンクをはるなど、情報をいかに効率よく関連させ、提供していくかというところも検討いただければよいかと思う。
○: 著作権に関する各団体はQ&Aを作っているが、この総合的なリンク集はうちの国立教育政策研究所教育情報センターで作っている。文化庁で作られた「著作権何でも質問教室」が、国立教育政策研究所教育情報センターと統合的なものになっていければいいと思う。
○: バーチャル著作権ヘルプデスクについて、「学校で利用したい」をクリックして、「演奏する」「上演する」「上映する」といった事項から、非営利、無料、無報酬といった様々な条件がある中で、3回クリックで一応の答えがでるような構築は可能か。
△: 専門家の話では、活用してもらうにあたって、回答にたどり着くまで大体3回が限界だろうとの助言があった。場面を工夫するということはあるが、質問に対する回答は、非常に単純化し、本当に専門的に細かい事項を勉強したい人は、ほかの資料に当たってもらうということを前提にしている。
○: スタートして、どれぐらいアクセス数があり、どれぐらいの満足度かというのを調べることも必要かと思う。また、対象者に応じて、平仮名やカタカナ、漢字の使い方、読み仮名といった問題が生じるので、小学生から専門家までを対象とするのは困難であると思う。
○: 著作権教育研究協力校について、研究教科として、「特に限定は設けないが、特別活動や総合的な学習の時間等の活用も考慮するものとする」という書かれ方をすると、特別活動と総合的な学習の時間の事例に偏ってしまう気がする。
○: バーチャル著作権ヘルプデスクについて、「バーチャル」という名称は「仮のもの」という意味なので、使わない方が良いと思う。著作権教育研究協力校については、多くの現場の先生に対して著作権教育が重要だという話をするが、かなりの先生があれはだめ、これはだめという教育では、学校では授業しにくいという意見を聞くので、学習者の創作意欲を促進させるような前向きな形に著作権教育を持っていかなければいけないのかなと最近実感している。

  閉   会
   事務局から今後の日程について説明があった後、閉会となった。



(文化庁長官官房著作権課)

ページの先頭へ