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文化審議会

2002/09/20 議事録
文化審議会著作権分科会著作権教育小委員会(第4回)議事要旨

文化審議会著作権分科会
著作権教育小委員会(第4回)議事要旨

1  日  時   平成14年9月20日(金)  午前2時〜午後4時

2  場  所 文部科学省分館201・202

3  出席者 (委員)
北川分科会長,松村主査,小熊,上林,久保田,坂井,清水,菅原,関口,土屋,中井,中村,水島の各委員
(文化庁)
丸山長官官房審議官,岡本著作権課長,吉尾国際課長,石垣著作権課課長補佐,堀野著作権調査官,その他の担当官

4   配付資料
資料1   文化審議会著作権分化会著作権教育小委員会第3回議事要旨
資料2 著作権関係団体等の著作権教育に関する主な事業の実施状況について−平成13年度実績−
資料3 文化審議会著作権分科会「著作権教育小委員会」の検討状況について(案)

5   概  要

(1)   著作権関係団体等が実施している著作権教育事業の現状と課題について事務局より説明があった。その後以下のような意見交換が行われた。
(以下,委員:○,事務局:△)

○:   各団体単位になると,同時期に近隣で同種の事業が行われるようなこともある。情報交換を密にすることより,単に個々の点ではなく,線としての広がりが出てくるのではないか。

○:   団体間の連携を推進していくことが必要である。連携を推進することにより,物理的な面も含め,啓蒙・啓発の機会が広がっていくのではないか。

○:   一般の方々が著作権制度をどの程度まで知りたいのか,知らせればよいのかということを正確に掴む必要がある。各団体が共有できる普及啓発のためのテキスト,パンフレットというようなものがあればと思う。

○:   各団体間が作成する資料等の共同作成の推進を図ることにより,コスト面の無駄が省けると思う。また,各団体が所有する情報の相互利用を推進することにより,国民が欲する多様なニーズに応えられるのではないか。

○:   著作権教育についても,対象別,目的別,レベル別といった分類が必要であり,それを基にした議論を行うことが必要ではないか。また,評価ができるプロセスとともに,現状の把握のための調査が必要ではないか。広めるためのマスメディアの役割,活用についても検討すべきと思う。

○:   著作権に関する普及啓発については,大都市とその周辺だけでなく,より広範囲に実施することが必要ではないか。

○:   著作権に関するイベント等を行う場合,集客を考えると政令都市が主とならざるを得ない。また,学校単位でセミナー等に参加してもらおうとすると,条件や制約が多く,実施したいと思ったことができない場合がある。

○:   パンフレット等関連資料を各教育委員会,学校に送付しているが,その反応からみて,著作権についての関心は相当高いと思う。

○:   情報提供は,印刷物の他に,インターネットを活用するなど,様々な方法で行う必要があるのではないか。

○:   海外では,インターネットを利用して,定期的に著作権に関する情報を提供している会社があり,様々な時間枠で流している。その他,パッケージでの講演の実施,企業の支援によって作成したビデオを安価で販売するなど様々な方法を取り入れている。

○:   学校の教育用コンテンツが様々な支援で作成されているが,先生がそれを使えないのが現状である。コンテンツを配付するだけではなく,講習会,講師派遣といったものが伴わないと普及しないのではないか。そいうメカニズムを考える必要がある。

○:   著作権に対して,気が付いていない人に気付いてもらうことが重要であるが,そのための資料等を作成するのは,非常に難しい。どのように,このような人に問題提起するかが課題である。マスメディアの役割はかなりあるのではないか。

○:   最近,インターネットを使った問合せが非常に多いが,ホームページなどではその範囲内の応答に止まってしまうし,一方,直接理解している人が話すというのが大変重要な事ではあるが,団体限りでは自ずと限界がある。情報提供について,国と団体との有機的な連携を進めることが必要であり,そうすることによって,より国民が求めるニーズへの対応が可能となるのではないか。

○:   カナダの先生が開発したWebCTのように,それを使用することにより教官の情報を共有し,それを他の者が自由に使用できる教育用ソフトが出回っている。そういった教育ソフトを使用するとどうなるかということを教官が理解していればよいが,殆ど知らずに使っているのではないか。著作権の教育啓発から見ると少し問題が出てくるかもしれない。

△:   基本的に著作権教育というのは,禁止事項を教えるだけでなく,了解を得ること,明確な契約をやるというところまでやる必要がある。システムとしては便利だが,それを使う時に,これは契約なんだというところをしっかりと教育する,自分が何をしているのかわかってもらうことが必要だと思う。

○:   ナショナルセンターでは,現場の先生からの強い要望を受け,著作権に関して,単純なリンクではなく,著作権に関するQ&Aを掲載している団体間を横断的に,一括して検索できるようなシステムを提供している。各方面から提供される種々の教材等が学校教育で使われていないのは,学校現場のニーズと提供がマッチしていないからである。学校教育の現場の先生が今非常に欲しいというのは素材レベルであり,それに応えるものとして開発した。

△: 文化庁でマテリアル,コンテンツ等を提供する場合,ニーズが何かということを踏まえてやっていこうと考えている。次回以降,具体的な対策等について議論することとなるが,その場合,著作権を全く理解していない,意識していな人をどうするかが課題だと考えている。

○:   学校の教員がこれだけは絶対に指導のために必要なものとそれを学習できる環境を整えることが必要である。それを前提として,その成果についての実態を調査し,各県別に公表するということも,普及させる観点からは効果的と考える。

△:   著作権教育の目的を明確にすることが必要である。目的を明確にした上で,その目的の中でのウエイトというものをどう考えていったらよいかという議論が必要ではないか。

(2)   文化審議会著作権分化会「著作権教育小委員会」の検討状況について事務局より説明があった。
(以下  委員:○,事務局:△)

○:   評価の実施を盛り込むべきではないか。評価軸,例えば,著作権教育を実施し,結果としてどういうふうに良くなった,どのように理解が進んだというようなことが見えるものを予め考えていくことが大事ではないか。

○:   モデル授業指定校制度に関しては,学校だけではなくて,親に対しも何等かの働き掛けを行うなど地域全体がある程度モデルにならないと,その効果は薄くなると思う。

○:   著作権における刑事罰だけが強調されると,子供にすると著作権は何か怖い世界だと思われ,著作権にアンテパシィーがでてくると困る。これは人のものだから大切だという教育の問題をどう入れるかということと同時に考える必要がある。教育に評価を入れる場合は慎重にすべきであり,何かひとつのチェック&バランスというべき調整機能を絶えず用意しておくべきと思う。著作権は刑罰と民事との違いが一緒に入っているという難しさがあり,具体的な施策に持ってくるときも,どちらかに力点をおいてしまうとうまくいかない。

○:   著作権教育については,大学教育と初等教育を完全に分けていかなければいけないと思う。ルールの世界と情報モラルの世界をきちんと分けていく。著作権教育だけではなく,規範の教育のレベルの話であとは応用問題だと思う。小学校の時に情報モラルで人格権から教えていくということはまさにそうだと思う。

○:   知識として感覚として教えることが重要とあるが,初等中等教育の場合,特に小学生の場合はモラルから入っていくことが大事なのではないか。子どもの場合はモラルで,自分が嫌なことは,人にやってはいけないということが導入として大事だと思う。

△:   世の中でモラルとルールの混同が非常に多い。例えば,児童生徒に対しては刑罰を伴う法に関する知識ということよりも,むしろ,守るべきもの,大切にすべきもの,についての感覚を身に付けさせることが重要と思う。

○:   著作権教育の講師ができる人材を必要な時に探せるようなネットワーク体制を整備することが必要だと思う。

○:   大学事務職員に対する研修とともに,教官に対するものも重要である。

○:   教官については,制度,特に規範について間違っておられると困る。何等かの形で啓蒙が必要だと思う。独立行政法人になってくるとプログラムはうまくいくと思うが,その他の著作権帰属の問題が最先端の技術者にとっては難しくなってくる。そういうところも考える必要があると思う。

○:   広報的な活動があったほうがいいと思う。できる範囲の広報的な支援というツールをつくることが,入口を広げていく上では必要ではないか。

6. 次回は平成14年10月24日(木)に開催することとなった。


(文化庁長官官房著作権課)

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