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文化審議会

2002/06/24 議事録
文化審議会著作権分科会著作権教育小委員会(第1回)議事要旨

文化審議会著作権分科会
著作権教育小委員会(第1回)議事要旨

  日 時   平成14年6月24日(金) 午後2時〜午後4時

場 所 文部科学省分館201・202

出席者 (委員)
松村主査,小熊,上林,久保田,坂井,清水,菅原,関口,土屋,中井,松下の各委員
(文化庁)
丸山長官官房審議官,岡本著作権課長,村田国際課長,石垣著作権課課長補佐,その他の担当官

配付資料

資料1   著作権分科会・著作権教育小委員会委員名簿
資料2 小委員会の設置について(平成14年5月7日 文化審議会著作権分科会決定)
資料3−1 著作権をめぐる最近の動き
−2 知的財産戦略会議の開催について(平成14年2月25日 内閣総理大臣決定)
−3 知的財産戦略専門調査会の設置等について(平成14年1月30日 総合科学技術会議)
−4 司法制度改革推進計画(抄)(平成14年3月19日 閣議決定)
−5 文化審議会答申「文化を大切にする社会の構築について」(平成14年4月)
資料4 著作権に関する普及啓発事業の概要について
資料5 著作権関係団体等の著作権教育に関する主な事業の実施状況
資料6 著作権教育連絡協議会について
資料7 新学習指導要領(抜粋)(平成14年4月から施行)
資料8 検討の視点(例)
資料9 著作権教育小委員会審議スケジュール

概 要

(1) 主査に松村委員が選任され,また,主査職務代理として,永井委員が指名された。
(2) 事務局より,本日の議事及び配付資料の説明の後,審議すべき事項等について,以下のような自由討議が行われた。

(以下,委員:○,事務局:△)

 著作権教育における社会教育施設の役割は重要と考える。社会教育施設の役割についても検討すべきである。

 支援方策を種々検討するのであれば,それを裏付ける予算措置の問題もあるのではないか。

 知的財産戦略には著作権以外にも様々な問題が扱われ,それを社会的に理解を浸透させなければならないと思うが,全体の枠組みはどうなるのか。
 また,利用者として著作権に関わることがことが多かった図書館だが,近年,教える側に回ることが非常に多くなってきている。著作権についての理解を深める場所としての「図書館」の役割も重要であり,その役割について検討すべきである。
 さらに,大学に関しては,以前はコピーなどによる利用だけであったが,最近は研究成果などの権利者としての動きもある。大学に対する著作権の普及啓発をどうするのかについても検討すべきである。
 ライセンシングという形でかなり具体的な契約が導入されており,それと著作権法との関係が混乱している。新しい著作物流通の形態にも関連付けながら議論することが必要である。

 7月初旬に知的財産戦略大綱が出されるが,その中では,知的財産基本法の制定が盛り込まれ,それを踏まえての知的財産戦略本部というものの設置が大きなことがらとなろう。知的財産戦略本部が政府全体を見渡すこととなるが設置は早くても今年の年末になろうから,戦略大綱が社会的に浸透するような運動を行うことが重要となろう。
 社会教育施設,図書館の果たす役割についても,この小委員会で御議論いただきたい。大学では大量の著作物が創作され,また,使われている。大学に対して普及啓発を図る場合,汎用マテリアルで足りるのか,新たなものが必要なのか等についても御議論いただきたい。
 これまでの著作権教育は,無断でしてはいけないことやその例外を教えることが中心であったが,これからは,「権利者」「利用者」として適切な契約をするといった行動ができるマインドや知識も対象としていかなければならない。

 学校の現場,教育委員会関係者から意見を聞くべきではないか。

 コンピュータは道具として使いながら,その周辺の著作権を含めた国民全体が知らなければならないものは何なのかを若い時から教えられないか。すべのて国民が持つべき基礎的な知識にまず重点を置くべきである。
 大学も含めて実際の教育現場では,教員の著作権に関する意識が薄いのが現状である。教員の意識を向上させる必要がある。

 著作権教育に関して,「全ての人に必要なこと」と「一部の人だけを対象とすればよいこと」を分けて考える必要がある。また,現在起きていることと関連させて議論しなければならないと思う。
 この小委員会では,専門家をどう養成するかではなく,ほとんどゼロに近い一般のその著作権の知識・意識レベルをどう上げていくかといったことをまず御議論いただきたい。

 子供達を対象とする場合,著作権に限定せず,肖像権の利用やネット上での迷惑行為など,「情報の扱い方」の全体を対象としたほうが分かり易い。また,著作権には人格権があることから個人の尊厳の部分に直結しやすい。学校の教員は,民主教育,人権教育は学んでいるので,それをベースに著作権の概要が理解できれば,初等教育のレベルでは十分なのではないか。作文や絵画の創作の際に,子供達が著作者だということを認め,直すときも話し合いがあれば,子供達も著作権との関係を学び理解していく。
 中学後半や高校生になれば,特許や法律上の住み分けの問題が出てくるが,自分がなりたい職業などと関連させることで特許と著作権の違いを意識し始めてくる。
 小学校の低学年では,よく知られたキャラクターを書かせ,似ていれば複製であり,その複製の概念を,また,オリジナリティーがあれば,自分の著作物となることを分かり易く伝えればよい。
 そういう意味で,そんなに改まらなくても色々な形で子供達に著作権教育をしていくことができると思う。一番大事なのは,情報というものは改竄されたら困るということを子供達に教えていくことであり,いまある素材で子供達に十分に話を伝えていくことができると考える。

 情報化に対応した教員の力量や能力については,研修等によって補うことができるが,具体的に求められる教員の力量や能力を示したものがない。ルールだけでなく,指導力も含めて教員が必要な力量を示した上で,欠けている部分を研修などで補うなどの仕組みについて検討すべきである。他の情報化に対応した力量ということにも関連付けてはどうか。
 教員は「これは著作権があるからだめ」と判断することがある。権利処理をすれば利用できるということを伝えるべきであり,契約との関係にどう結びつけていくかという指導が大事である。実際に学校でどういうことが行われているかを把握することが必要である。

 一般の人々が情報を活用する機会が増えている。一般の人々に対しても,著作物を利用するための教育が必要であるが,一般向けの著作権セミナーが全国7カ所では少ないのではない。企業の法務担当者向けも然りである。著作権関係団体も各種の活動を行っており,また,色々なマテリアルが作成されていると思う。著作権関係団体間の連携を密にすることが必要ではないか。著作権に関して国民にどのように広報していくのかが重要ではないか。

 世の中の変化が著しく,また,ニーズも多様化していく中で,国民に対して著作権というものをどう伝えていくかが重要な問題と考えている。

 著作権教育の問題は,「知識の量を増やしていく課題」ではなく,「マインドを作っていく課題」に大きく変わってきたのではないか。方法論としては,単に数を増やすという発想はやめるべきで,広く伝えるためにはどうしたらよいかを検討する必要がある。企業については,コンプライアンスという世界の枠組みの中に,このテーマがどのようにはまっていくのか,又はどう位置付けるのかということを考えながら教えていくべきではないか。
 また,学校での著作権教育については,例えば,IT情報教育の枠組みの中にはめ込んで考えてはどうか。
 なお,インターネット社会においては,見る側が選択することとなる。見る側がどのように捉えるかを考えながら教えていくべきである。

 著作権という言葉は知られているが,内容については,思い込みや誤解が多いのではないか。そのような思い込みや誤解をどう解いていくかが課題である。静的ではなく動的な教育をどうやっていくかが課題であり,それについて議論すべきである。

 企業法務に対するコンプライアンスについては,そんなに心配はないと思う。

 ルールをしっかり教えると言うことであるが,知っていながらやってしまう人も多い。モラルの部分を含めて議論してはどうか。

 「ルール」の話と「モラル」の話はしっかり区別する必要があるが,モラルの話は対象としないということではない。モラルは強制的に変えることはできず,結果として変わるものであるが,そのような結果を出すための「手法」を御議論いただきたい。学校での授業については,著作権という授業をやればいいのか,あるいは様々な活動の中でやっていった方がいいのかといった課題もある。また,子供達には著作権や肖像権などを区別せずに考えさせた方が分かり易いという意見もある。このような具体的な手法や指導法を含めて,御議論いただきたいと思っている。

6 次回は,平成14年7月31日(水)に開催することとなった。


(文化庁長官官房著作権課)

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