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著作権分科会 契約・流通小委員会(第7回)議事録

1 日時: 平成17年11月22日(火曜日)13時30分〜15時30分

2 場所: 経済産業省別館10階1020会議室

3 出席者:
(委員) 荒川、池田、児玉、佐々木、椎名、菅原、瀬尾、関口、寺島、土肥、生野、松田、三田、森田、山本の各委員
(文化庁) 辰野文化庁長官官房審議官、甲野文化庁著作権課長、川瀬著作物流通推進室長、木村著作物流通推進室長補佐ほか関係者

4 議事次第

1. 開会
2. 議事
(1) 権利者情報の整備・提供等について(報告)
(2) 「著作権契約のあり方等に関する検討報告」(案)について
(3) 「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書」(案)について
3. 閉会

5 資料


6 議事内容

(土肥主査) ただいま定刻になったと思いますので、ただいまから文化審議会著作権分科会「契約・流通小委員会」第7回を開催いたします。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開について決定したいと存じます。すでに傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますけれども、予定されている議事内容を見ますと、非公開とするには及ばないと思われますので、公開としてよろしゅうございますか。
〔異議なしの声あり〕
 ありがとうございました。それでは、本日の議事は公開といたします。はじめに事務局より新規スケジュールについての連絡と、配付資料の確認等々をお願いいたします。

(木村補佐) 恐れ入ります。まず、最初に本日の出席委員でございますが、出席予定でありました野村分科会長及び駒井委員におかれましては、欠席となっております。よろしくお願いいたします。
 まず、スケジュールについてですけれども、本日3件の議題を予定しております。事前に各委員にお配りいたしました報告案に対します意見の提出状況、また今後の審議日程の関係から、今期の本小委員会ですけれども、事務局といたしましては本日で終了というふうに考えております。
 次に、配付資料についてご確認願います。議事次第のほうに資料一覧を載せてありますが、資料1といたしまして「著作権等の権利関連団体における情報管理のあり方」という冊子がございます。資料2といたしまして、「コンテンツ流通の促進に必要となる権利情報の共有に向けた環境整備のあり方」という冊子がございます。また、この資料1と2に関係しまして、資料番号をつけておりませんけれども、「デジタル時代の著作権協議会の概要資料」を配付させてもらっております。続いて資料3「著作権契約のあり方等に関する検討報告」(案)です。続いて資料4「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書」(案)意見募集結果の概要です。資料5「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書」(案)、これは修正案です。
 そのほかに参考資料といたしまして参考資料1ですが、「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書」(案)、意見募集結果の全文を載せております。なお、この資料につきましては、本日は委員及び事務局のみに配付させてもらっておりまして、本日の傍聴者の方にとりましては、後日文化庁ホームページで公開されます資料を参照願います。
 続いて参考資料2ですが、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」、以上でございます。
 漏れておる資料がございませんでしょうか。ありがとうございます。

(土肥主査) はい、ありがとうございました。早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。今、ご紹介ございましたように、権利者情報の整備の提供等について、「著作権契約のあり方等に関する検討報告」(案)について、それから「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書」(案)について、この3点を議題としております。
 まず、最初に権利者情報の整備・提供等についてございますけれども、この議題に関しましてはデジタル時代の著作権協議会、CCDというのでしょうか。この協議会に設けられております著作権ビジネス研究会におきまして検討が進められておる、ということのようでございます。本日はこの研究会の主査であります菅原委員より、関係者の取り組み状況についての説明を頂戴することになっております。
 なお、この説明に先立ちまして、この議題の取り扱いについて、事務局から若干説明がございます。

(木村補佐) 本日のこの議題についてですけれど、本日の議題で「著作権契約のあり方等に関する検討報告」(案)の中に、「3.検討結果」という部分がございます。この中の(4)権利者所在情報の提供、これに関連する事項でもあり、先に取り上げさせていただきました。
 なお、この議題につきましては、本小委員会の当初の議題の1つでありましたが、審議の日程の関係で本日の菅原委員からの報告につきましては、それを踏まえて「著作権契約のあり方等に関する検討報告」の中で取り上げることとしまして、独立した事項としないこととしたいと思っておりますので、よろしくご了解願います。

(土肥主査) はい。それでは菅原委員、説明をよろしくお願いいたします。

(菅原委員) それではご説明いたします。報告書が2つございます。平成16年4月というものと平成17年4月、それぞれ前の年度に検討したもののまとめでございます。
 初めにこれの母体となっておりますデジタル時代の著作権協議会、CCDというふうにいっておりますけれども、お手元の番号なしの資料にございますように、これは権利者あるいはコンテンツホルダー、コンテンツの製作者、配信事業者、放送局、それからシステム関係事業の各団体が構成している団体でございます。
 目的といたしますと、デジタルネットワークの上でのコンテンツ著作物の流通に向けて、お互いの立場からいろいろな課題について、それをどう検討するかというところで組織されているものでございます。
 番号なしの一番後ろのページに組織図がございますけれども、このCCDの中で2つの研究会を置いておりまして、1つは権利問題研究会で、これは主に法制度に関わることであるとか、あるいはDRM等技術的なものに関する検討というものをしております。もう1つの著作権ビジネス研究会、これは今日ご報告する検討をベースとしているところでございますけれども、著作物、コンテンツの流通に当たっての具体的な課題について、それぞれ当事者が集まった中での検討をしようという趣旨でございます。
 それで、なぜじゃあここで権利情報あるいはID、これはコンテンツあるいは著作者等に関する番号でございますけれども、このような検討をしたのかということでございますけれども、デジタルネットワークが発達してまいりまして、その中でのコンテンツ流通というものが社会的にもやはり要請をされてきたという背景がございます。
 これは知的財産推進計画の中でもコンテンツの流通ということが取り上げられて、大きな1つの課題となっているわけでございますけれども、このような流通を考える時にいろいろな面の課題、例えば契約の処理の問題などもあろうかと思いますけれども、やはり一番ベースに、ベースというか基盤として整備すべきものとして、権利情報などのデータ等の必要があるのではないかということを権利者側、コンテンツホルダー側、双方のサイドから検討しようということで始めたものでございます。
 それまで他のところでもいろいろこのような検討はあったわけでございますけれども、実は権利者が関わっていないためにある面現実離れといいますか、そういうような検討もあったように思います。その点から権利者自らが、自分たちがそういうものを整備していく上で、どういうふうに協力しながら環境を作っていったらいいだろうかというところが、この検討の発端だったということです。
 それで平成14年度から検討を始めておりましたけれども、特に15年度におきまして、これは資料1の16年報告書で、1枚めくっていただきますと、報告書の位置づけをちょっとまとめておきましたけれども、具体的な検討を始める上で、現場の視点でお互いにどうやったら今後のコンテンツ流通に向けて基盤整備を図り、さらに流通の促進を図れるかということで、特にワーキンググループを作りまして、その中で情報の扱い、あるいはそれぞれの団体の中でどのようにその時点でデータベース等を整備しているかというような調査等を含めて、まとめたものでございます。
 時系列的に少し詳細な報告をさせていただきますけれども、この報告書の後ろから3枚目、31ページをご覧いただきたいと思います。
 これは、それまでのいろいろなアンケート等の調査、それから研究会での議論の中で明らかになったところで、データベースを持っているところ、持っていないところ、それぞれございました。そのような環境が1つあるということ。さらにはデジタルコンテンツの流通を見る上で、附属するというか、関連する権利情報、これはやはり相互に流通させる、共有化させていくことが必要だという前提がございまして、そうなりますと、すでにデータベースを持っているところ、これが複数あるわけですけれども、これは独自のフォーマットというか、独自の考え方によってデータベースが構築されている。そうすると、それはそのままですと、やはりお互いの情報交換がしにくいということがございますので、その解決に向けた提言としてこのページ、3つの項目をまとめたものでございます。
 まず、最初にありますのは、各権利者及びコンテンツホルダーはということで、コンテンツ及び権利者情報のデータベース化、さらにそこにはIDというものをつけるべきであるということが、まず必要で、自分の持っている権利、自分の持っているコンテンツについては、自分のところでまずこういう情報の整理をしましょうというところの提言が1点目でございます。
 2点目に、IDの体系は標準化するのではなく、各団体等の用いているものをそのまま使う。つまり、すでにデータベースを構築しているところというのは、何らかの形で整備をしているわけでございます。そうすると、それとまったく違う体系のものを、例えば共通的にというふうに考えますと、これはそれぞれの団体でデータの塗り替えというものが必要になってくる。これは社会的にはトータルでは余分なコストがかかる部分がございますので、それぞれ持っているものはそこを基準として考えていくということが、2つ目の提言でございます。
 3番目に、その上で情報を共有してスムーズな流通ができるための工夫ということで、これは例えばそれぞれの自分の権利についてのデータとIDを持った時に、1つ上位概念的にそこが連絡を取り合えるようなスキームが考えられないだろうか、ということを提言したわけでございます。
 それでそういう提言をした上で、その翌年、さらにそのことをある面、深掘りすることとし、さらにはCDDのメンバーだけではなくて、一般の方からもご意見をいただきながら検討を進めていくために、オープンプロジェクトというものも置きまして、それで検討を進めた結果が、もう1つの資料2にございます報告書になるわけでございます。
 これも1枚めくってみますと、「はじめ」にというところで、それまでの総括的なもの、それから検討に当たったところをまとめておりますけれども、下から2段目の「しかし」というところで16年報告で提言いたしました3項目、これを改めて述べた上で、まとめを作っていったという組み立てになっております。
 それで、この16年度に検討したオープンプロジェクト、これにおいては、前年のアンケートに加えまして、より現場の視点で、具体的には1つのデータを見る時に、例えば権利者と利用者といましたときに、権利者から見たときのニーズ、利用者から見たときのニーズ、それぞれ双方向でどういうものが必要なのかということを、やはりアンケートあるいはその議論の中で整理をしてきたという経緯でございます。
 その上で、先ほどその3つの提言を申し上げましたが、それに関して、自分の管理している権利についての情報整理ということで、4つの傘下の団体からケーススタディとして実例を出していただいき、それに基づいた検討をしたわけです。
 具体的には報告書に記載した、写真著作権協会でのデータベース、それから芸団協・CPRAでの実演家のデータベース、それからJVA映像ソフト協会での映像カタログに関する情報、それと広告業協会での広告コンテンツのデータベースと、この4つをケーススタディとして、それぞれ現場ではどういうふうにデータを構築し、あるいはそのIDというものを考えているのかということを取り上げたわけでございます。
 それで最終的に、これもモデルとしての提言でございますけれども、その報告書の44ページをご覧いただきたいのですが、これは先ほどの3つの提言のうち、最後のそれぞれ持っているデータをお互いにつなぎ合わせる上の工夫をどう考えたらいいかというところでの提案でございます。
 1つは共通権利者IDということで、権利者あるいは利用者として関わる事業者のIDをどう考えるかというもので、下に符番体系というものがございます。このうちの枠でいいますと、ID識別コードから後ろの会社コードというところ、そして個人コードまでで6つの枠がございますけれども、最初の4つの枠のものをそれぞれが管理しているコードの頭に付け加えることによって、ある面共通の言語としてのスキームができるのではないかという提案でございます。
 例えばここでいいますと、頭のHというのは、これは権利者という、ホルダーという意味でつけております。下の枠の中に説明がございますけれども、もしこれが利用者側であれば、ユーザーとしてUとつければいいわけです。あるいは、流通者ということであれば、ディストリビューターとしてDということでいいということです。次のJPは国のことでございます。それからその次が団体か、企業か、個人かということが、こういうことで識別できるのではないかということでございます。
 それから、その次の団体コード、これは報告書の後段、47ページ以降に、それぞれのジャンルでの区分といいますか、こういう区分をするといろいろな整理がつくのではないかということで、検討案として入れております。
 例えば47ページを見ますと、ジャンル1の文芸・脚本、これはまさにテキスト、文芸の著作物という観点からできてきているわけですけれども、日本文芸家協会さん、日本脚本家連盟さん、日本シナリオ作家協会さん、それぞれの認識をするときに、例えばこちらにありますように、1100から1300というものをここで置くことによって、頭の4桁と合わせて1つの特定するものができる。この後ろにそれぞれの団体の、例えば会員のコード、会員番号であるとか、そういうものを置きますと、団体の中では会員の番号で動いて、さらに頭につけることによって共通したプラットホームというか、共通した土台の上での機械的な認識ができるということを提案したわけでございます。
 これにつきましては、例えばもうすでにデータベースを持っているところは、後でこういう頭をつける発想でいいでしょうし、新しく作るところはこういうものを参考にしていただいて、あらかじめデータベースを組む時に考えていただくと後でスムーズにいくのではないかということをとりまとめております。
 それともう1点、流通という前提からいたしますと、関わります人の特定だけではなくて、やはりコンテンツそのものの特定というものが必要になってきます。これにつきましては立ち上がりの提案の部分までを昨年度に行ないまして、その報告書でいいますと、54ページ以降に原案としてまとめたものがございます。
 54ページに書いてありますのは、先ほどの事業者等の考えと同じで、既存に管理しているものの頭に何か共通したルールに基づくものをつけることによって、データインターフェースがとれるかということで、1つの具体的なあり方としましては、次の55ページの表をご覧いただきたいのですが、左の上にやはり共通コンテンツID体系という考え方を示しております。まず、コンテンツの識別ヘッダーで2桁、それから国のコード、センターコード、ここまでを頭にかぶせる。以下のユニークコードというのが、すでに例えば各社の中で自分のコンテンツを管理している時の番号というような考え方でございます。
 これも聴覚というようなことと、映像、書籍、イメージ、プログラムというものによる区分を提案しておりまして、このような区分によってコンテンツメタデータの大もとであるID、それの共通した視点での識別ができるだろうということを提案しているわけでございます。
 昨年度の検討、それのまとめが今度59ページ以降でございます。概ね今申し上げたことの繰り返しになりますが、やはりこれからのコンテンツ流通を考えた時の基盤として、まずこういうデータ整備、さらにIDの整備というものが必要であるわけでございますが、それはやはりまず自分の権利についてはまず自分がやりましょう。それを流通事業者、あるいはその他の事業者の方が共通して使うことによって、それが1つの共有の認識になるだろうというところのまとめでございます。
 よくどこかにRAといいますか。認証局がなくて大丈夫なのかという話もございます。ただ、このCCDに集まっているのは各業界の団体でございますので、そこが中心となって1つの枠といいますか、1つのルールを作っていきますと、ほかでそれを作るというのはほとんどないはずでございます。
 例えば映画のデータを考えてみますと、映画の団体が日本の映画においてはこういう体系で整理をしますというものを示した時には、ほかでわざわざ映画の体系を作るという必要もない。それよりはみんながその番号を使うことによって統一ができるということです。それからもう1つは自分が持っているものを作るということは、一番そこは信頼性がある。何かそこで修正があるとしても、持っている人間が自分の責任で修正をしていくという関係にございますので、恐らくそれがこれから先、一番スムーズな形で普及していくだろうということの考えに基づきまして、このようなまとめをしたわけでございます。
 この2年間の報告書を作りまして、なお今年引き続きの検討をしております。それは先ほどの事業者に関するID、それからコンテンツに関するID、これは決して拘束力があるものではございませんが、1つの提案といたしまして、これだけの団体が集まっている中の検討でございますので、CCDのモデルを1つのモデルとして、これをさらに整理し、それぞれ関連する方に提案していこうということで、精査のための検討をしております。
 事業者の部分につきましては区分についての整理などをしておりますし、コンテンツにつきましては、昨年は原案として報告書に書いてありますけれども、この原案でいいのか、さらに過不足があるかないかという辺りについて、いま検討を進めておりまして、今の予定では今年度末には、一応検討の現状でのまとめということで、1つの区切りとしてのご提案をさせていただいて、あとは具体的に権利者、あるいはコンテンツホルダー、場合によってはそれを利用いただく利用者の方、それぞれの中でこの共有に向けての具体的な作業を進めていこうというところでございます。
 ちなみにIDのモデルにつきまして、現在検討されております日本経団連におきますコンテンツのプラットホーム構想、この中でもCCDIDのモデルを使ったプラットホーム構築がどうであろうかというところで、具体的な検討がされているというところでございます。
 以上、現状までの検討の様子の報告でございます。以上でございます。

(土肥主査) ありがとうございました。ただいまの菅原委員のご説明に関しまして、質問あるいはご意見ございましたら、お願いをいたします。あるいは菅原委員のご報告の中に出てきておりましたけれども、いくつかの瀬尾さんのところとか。関口委員、お願いします。

(関口委員) 2点ほどお聞きしたいのですが、1つは私も勉強不足で教えていただきたいのですけれども、こういったID化を進めていく上で、海外でもそういった取り組みがあるのではないかと思うのですけれども、その辺とのコード体系の整合性みたいなものはどんな形をとられているのかという点と、あと情報がオープンに提供していくということと、それからさらに今後参加者を増やしてしていくという意味では、オープンな取り組みが必要だと思いますので、そういったものへの対応というのはどんな形になっているのか、2点お聞きしたいと思います。

(菅原委員) こちらの検討を始めて3年くらいですか、それまでに、いくつかの検討がされていたことは伺ってはおります。ただ、それぞれがある面暗礁に乗り上げているということがわかっております。
 それはなぜかといいますと、恐らくやはり権利者が入っていない。そのために権利者側から見た整理といいますか。そこのどうも情報が足りないのではないかということが1点ですね。あとは、どうしても新しい枠組みを作ろうとして、仮定を何か置いて、それの検討をされている。ところが、現場はもうどんどん動いていくわけですね。そうしますと、その構想を進めている間にどんどんデータの構築が進んでいってしまうというところで、結局考え方を作ってもそれに合わなくなってきているというのが現状だろうというふうに思います。
 その点で、CCDでは先ほどの提言にもありましたように、自分の持っているものをそのまま使いましょう。ただ、共有化するための工夫をしましょう。頭にくっつけるというようなことでですね。という提言をしたわけでございまして、これですと、すでにデータ化を進めているところはあまり負担がかからなくて、そのデータの公開にいけるだろうということです。
 それから公開に当たっての、これはあくまで考え方とか、実際のそれぞれの団体に任されるところなのですけれども、フォーマットをどうするかという問題が機械的には出てくるかと思いますけれども、実はそこまでは踏み込んでおりません。そこは、これもやはりそれぞれ既存の団体が持っているデータベースは、恐らくある程度共通点はあるのですけれども、それぞれがもう作っていっているだろう。
 そうすると、これから先の流通で公開をしていった時に、まず情報を見るだけであれば、そんなに支障無くできるだろうと思います。ただ、それを例えば許諾システムまで結びつけていこうとしたときには、そこでのインターフェースの工夫というものが出てくる。今はそこまでは踏み込んでいないで、それはそれぞれの取引の中でどういうフォーマット、あるいはどういうインターフェースのアプリケーションを作ったらいいかという議論に進んでいくだろうということで、ここまでです。

(土肥主査) ほかにご質問はございますか。

(寺島委員)  質問じゃないのですけれども、うちはもちろんうちが使うデータベースは持っておりますし、それで管理事業をやっています。何の不自由もないのですね。うちは文芸の脚本ですけれども、例えば音楽の団体とか結ぶとか何とかいうことよりは、放送局さんがどうなさるのか。それから、映画製作者がどうなさるのかということのほうが大きいのですよね。こういうふうに見ても、民放連さんは出てきているけれども、放送事業者の方は出てきてます?  

(児玉委員) メンバーにはいらっしゃるけれども、今日はお休みになっているのではないですか。

(寺島委員)  今日はいないのですか。ですから、私、放送事業者さんがどうなさるのか、映画製作者さんがどうなさるかということに大変関心がある。そして正直いって、脚本に関していえば、そのほかの団体と提携する必要なんかまったくないのですね。その点JASRAC(ジャスラック)さんの音楽の使われ方とは違うのですね。音楽の使われ方というのは、例えばどこかの大学のコーラス合唱部か何かが使ったりすることがあるわけですよ。でも、脚本に関してはほとんどないのですね、それは。
 一緒に動くのも放送局さんの権利、それから映画製作者さんの権利、ほかもありますけれども、脚本家の団体ですから、ほかのところにはちゃんとおやりくださいというだけでご一緒にやるつもりはありませんから。

(土肥主査) はい、じゃあ。

(菅原委員) ご指摘のところはそのとおりだと思います。17年報告書の63ページにイメージ図、概念図を置いておりますけれども、それぞれ自分の持ち分のまずデータを作りましょうと書いてございます。そうしますと、基本的にクラシカルオーサーの部分というのは、自分たちの所属する著作者の名簿が多分あればいいのだろうというふうに思います。それはまず原権利者側が整理すべき内容、これはこの報告書の中で名簿という言い方をしております。
 もう1つはコンテンツについては、やはりコンテンツを作るところ、持っているところが自分のところのコンテンツのデータベースを基本的に見ていく。それはこの中では作品のメニューという言い方をしております。その作品の中には、特に映像のコンテンツですと、複数のさまざまな権利が関わってくるわけでございますけれども、その権利の情報というのは各団体の名簿と連携させることによって、その整備ができていく。
 例えばある映画があって、そのメニューがあった時の脚本はどなたかということは、寺島先生のところの脚本家連盟さんの名簿データの、それを連携させる。

(寺島委員)  じゃあ、名簿ではなくて、データベースを作ってらっしゃるの。

(菅原委員) もちろんデータとしての名簿という意味でございます。そういう構造で、それぞれが持ち分でやっていくことで、例えばどこかにだけ負担がかるということではなくて、それぞれの負担の中で、全体でこういう構築をしていきたいという提案でございます。

(土肥主査) はい、児玉委員、お願いします。

(児玉委員) ちょっと私は契約・流通小委員会のメンバーと併せて、この今のCCDでも一応幹事役として出ている立場でご説明申し上げますと、この話についてはあくまでも1つの仮説がありまして、この権利のビジネスにおいて契約をスムーズに促進するためには、データベースが公開されたほうがいいという、そういう1つの仮説に基づいてこの研究が行なわれているわけでありまして、そのためにこういうIDを賦与してデータベースを構築していけば、それだけスムーズに−−ビジネスが成り立つという、こういうことで進めているようであります。
 ただ、いま寺島委員がご発言されましたように、あくまでもデータベースが公開されることがいいという仮説なのであって、その反対の場合もあるわけでありまして、いま寺島先生が、委員がご説明されたのは、例えば映画製作者であるとか放送事業者とかが、実際に彼らの著作物の権利を公開すればいいというふうに必ずしも思っていません、ところがあるわけですよね。
 特に権利保護という立場で考えた場合に、やはりこういうところにデータベースが公開されては困るという権利者もいるわけでございまして、ですからその辺はやはりこの今のIDの話ですとか、データベースを公開するということについては、CCDとしてはもっと慎重に取り組んでいかなければいけないのではないかと、こういうふうに思っております。

(寺島委員) 今、児玉さんのおっしゃったことで、例えばこの会議の席だったと思いますけれども、松竹さんは「『寅』はのせない」と言ってらっしゃる。

(寺島委員) 今、児玉さんのおっしゃったことで、例えばこの会議の席だったと思いますけれども、松竹さんは「『寅』はのせない」と言ってらっしゃるのです。

(児玉委員) ここじゃないです。

(寺島委員) ここじゃない。じゃあ、ほかの会議で「『寅』はのせない」と言っているのですよ。私、それはよくわかりますよ。松竹さんにしてみれば、データベースに出して、値段までつけたりしたら、つまらないですよね。そんなことやるよりいろいろ作戦練ってなるべく高く売ったほうがいいのですから。よくわかります、「『寅』はのせない」とおっしゃるのが。私どもは契約を結んで、二次使用の料金や料率を決めますから、いってみればその業界との交渉で決まった料金、料率ですからね。私どもはいいですよ。でも、すでに松竹さんからそういうご意見だって出ているのですよね。

(土肥主査) じゃあ、池田委員。

(池田委員) ちょっと重なる質問かもしれませんけれども、この63ページの図で拝見しまして、権利者の名簿が作品メニューについて知らされるというところで、コンテンツホルダーが上から矢印入っていますが、ここの一般に公開されるデータベースというものがコンテンツホルダー経由で、特に映画著作物に関してですけれども、コンテンツホルダー経由で行くのか、それとも各権利者直接行くことも想定してらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。実際の権利者ビジネスの現場でいいますと、基本的には通常のビデオ等の権利者に関しましてはコンテンツホルダーが集約して処理をするということで、いちいちの消費者のところには実際には見えないというところでありながらも、実際そこまで見せるという要望もどこかあるのか、この辺をちょっとお伺いしたいんですが。

(菅原委員) この中の検討というのは、いわゆるコンテンツを持っているところはコンテンツについての情報を出すという前提でございます。それで今の議論にありますけれども、何から何まで出すのかということで、報告書をご覧になるとおわかりになりますけれども、例えば契約に関わるものなど公表できないものがございます。それはまさに自分のところだけで持つデータということです。それから一般の流通過程では、例えば映画でいいますと、DVDの後ろにいろいろなプロモーションも含めた情報が出ております。その範囲については、特にデジタルデータになりますと、そういうパッケージとかそういうものがなくなりますので、少なくともそれに対応するくらいは公開してもいいのではないかという前提で、ここを検討しているということでございます。

(土肥主査) 山本委員、どうぞ。

(山本委員) このご説明いただいた体系というのは、各団体がこういうIDシステムを持っていて、それを尊重しながらという、なかなか面白いアイデアだと思うのですが、そうしますと、核になるのは団体を特定するためのコードだと思いますが、先ほどのお話の中では、含まれていたのかもしれないのですが、認定管理者は置かないと。そうしますと、団体がどんどん新しいところ、今CCDに入っているところ、団体どんどん生まれてくると思いますが、その際にはそういうところに団体コードを振り分けるというシステムとしては、どういうものをお考えなのか。
 つまり、恐らくCCDというのは一時的な検討の場であって、そういう恒常的なシステムを運営するような母体ではないのではないか。ですから、それをどういうふうにお考えなのか、お聞かせください。

(菅原委員) これはシステムの運用ということよりは、まさに団体の区分表を皆がわかるようにできるかどうかだけの話だと思うのですね。新しく加わった団体があった時に、区分表にどうスムーズに組み入れて表示して、あとは認識されたかということだけだと思いますので、今の時点ではそういうものを何らかのホームページ上で常に公開をしておいて、そこの追加等の修正については事務的なものがあるかもしれませんけれども、それを公開して皆がそこを見るということによって、相互認識というものは可能だろうというふうには思っています。

(土肥主査) はい、じゃあ椎名委員。その前に山本委員。

(山本委員) つまり、CCDを存続させながら、この体系を続けるということは、CCDがその加盟者に割り当てるという、そういう構想だということですか。

(菅原委員) そうではなしに、CCDで一応こういうモデルとして提案をしているわけでございます。ですから、これはCCDとして、ほかの場所に行くかもしれませんけれども、こういうフォーマットを常に公開しておく。そこに参加されてもいいという新しい団体があれば、そのホームページを運営しているところにいっていただいて、その区分の中にコードを追加していく、番号を追加していくというようなことではないかというふうには思っています。

(山本委員) いま発表されている、もうすでに決まっている団体のコードがある。空いているところがある。そうすると、ある団体は空いている番号を使おうと思った時、同じことを考えているところが出てきて、同じ団体コードをつけるような団体が2つ以上現われる可能性がある。これを排除するためにどういうシステムをとられるのかというのが、質問の核心なのです。

(菅原委員) ですから、それはシステムというよりは、区分が出ている表、人間系かもしれませんが、それを管理しているところが、例えばお申し込みいただいた順番に番号を振るとか、そういうような窓口としての付番機能だけだと思いますので、特別なシステマチックなことを考えているわけではございません。

(山本委員) 申し込みされる側はどこだということですか。

(菅原委員) それは今のところはCCDに言っていただければいいですし、もしCCDが解散したということであれば、それを受けるあとのそういうものを運用しているところということになると思います。

(山本委員) わかりました。

(土肥主査) はい、椎名委員。

(椎名委員) 私もCCDに参加して、いろいろケーススタディとかオープンプロジェクトなどに参加した立場からちょっと補足を申し上げますけれども、先ほど話がちょっと出てごちゃごちゃになっていたかと思うのですけれども、これはあくまでも、一般に公開するようなポータルサイトの背景にあるIDシステムということを前提に研究されているわけではなくて、先ほども言いましたとおり、コンテンツホルダーが権利者としてのキャラクターを持つ場合と利用者のキャラクターを持つ場合があったり、そうした、ある種の動的な位置関係をID上でどうやって可変的に区切っていくか。例えばパフォーマーでも作曲をする人かいるし、そうすると著作者とパフォーマー両方のキャラクターを持っていたりというようなことを、いかに動的に管理をしていくかというところの研究としてあるのだと思います。もしこのID体系を使って公開するようなものを作りましょうという段になったら、おっしゃる通り管理者とかRAとか、そういったものがきっと必要になってくると思いますが、現段階まで経団連のほうで参考にされているとはいいながらも、何らか実体のあるものをどうこうという段階にはまだいってないので、そういう話にまではなっていないということだと思います。

(土肥主査) これは著作物ないし隣接権の保護対象の利用、そういったものを促進する目的でできるわけですね。それで、その利用者にとってアクセスできないのだと意味ないじゃないですか。だから、それはどこまで出すかというのは別なのだろう、それぞれの団体で、脚本の場合には脚本の団体でお考えのところがあろうと思いますけれども、写真は写真でどこまで出すか、音楽は音楽でどこまで出すか、それはいろいろありましょうが、基本は利用者がアクセスできないと、こういうものは意味ないのではないかと思いますけれども。

(瀬尾委員) 実際に写真、静止画と呼ばれている分野ですが、このIDを実際使っておりますし、データベース化もしております。実際にやっているのですが、2つ、これは現場の話です。
 現場としてこれの目標とするところは、いま主査のおっしゃったとおり、写真の著作者というのは利用者に対して顔が見えない、著作者としての個人が特定できないという、非常に古くから問題を抱えていました。それをまず解消するために、こういうふうなものに取り組んでデータベース化を行なったという事情があります。
 今、美術、グラフィックデザイン、それから写真と、いわゆる静止画に関する部分は全部共通のIDを使って、全部に発番が終わっております。実際に使ってみて思うのは、やはり確かにいま発番者は3200番という分野を持つ、私の写真著作権協会が発番しております。ただ、これは私の分野においての一時的なものであって、将来的には先ほど椎名委員のおっしゃったような、統一する発番機能がないと混乱するであろうという予測は、現場でももうすでに見えてきております。
 ですので、これは実際運用上の問題で、先ほどのモデル、要するにルールを作るCCDとは別の運用する何らかの組織、または団体が必要なのではないかというふうに、私は思っております。
 もう1つの問題は、比較的クリエーターというのは個人ですね、単体で1つ。先ほどの映画とか放送は最終権利者は個人になるかもしれませんが、みんな団体ではなく、個人なのですね。写真家も写真を撮るのは個人なのです。クリエーターというのは個人が個であることを創作意欲の源にしている場合が大変多い。ということは、組織化もしくは平準化をすることを最も嫌う部分が創作に結びついている部分があるということに、ぜひ注目していただきたいと思います。
 ということは、周りから番号を振られる、もしくは平準化するような働きかけがあった場合、クリエーターのほとんどはそれに対して非常に強く反発するであろうという現実があります。ただ、現状になって、そういうふうに言っているとはぐれてしまって仕事にならない時代を迎えたので、写真家、非常にユニークな個性を持つ作家が多いジャンルでございますけれども、われわれ権利者が自分たちでこれをつけるというところに意義があったというふうに思います。
 そして、またその個である部分と、流通の中で共通化していかなければならない部分のすみ分けをきちっとすること、これを権利者団体がやっていかない限り、流通は逆に実現しない。ただ、よく流通のお話の中でいわれているような、常に標準化し、便利な方向に行くということに対して、クリエーターである個人というのは、違和感を持つ要素を根本的に持っているのではないかという部分を、ご記憶いただきたいというふうに思います。
 ただ、このIDによって、静止画分野においては大変大きな進歩と協調が見られたということを報告しておきます。以上です。

(土肥主査) ありがとうございました。最後に椎名委員、どうぞ。

(椎名委員) 利用されなければ意味がない。確かにそのとおりでございまして、利用を前提として考えられているのではないという意味は、いわゆるポータルサイトとして何か商品データベースに使うのだというふうなことを今、主目的としているわけではないという意味でございます。
 それと権利者と例えば利用者の間の個別の相対関係の中で、例えば放送事業者さんと脚本家さんの間で、その固有の部分のやりとりの中で便利になってくるかもしれない。あるいは、音楽関連の実演家と著作者とレコード製作者が、例えば放送局とやりとりをする時に便利になってくるかもしれない。そういった考え方で、そのIDを共通化しようという考え方だというふうに思っております。

(土肥主査) はい。このご説明はあくまでもCCDの16年、17年、このご検討の成果のご報告、ご説明でございますので、これを本委員会においてどうこうという、そういうことではなくて、現在そういう検討が行なわれてここまで行っていると、こういう認識を持っていただければと思っております。
 それでは時間の関係もございますので、次の議題に入りたいと存じます。次は著作権契約のあり方等に関する検討報告(案)についてでございます。前回、報告の骨子案についてご審議を頂戴し、事務局で報告案を作成し、すでに各委員に送付をしておるところでございます。この報告案について、さらに各委員から提出された意見等を踏まえまして、本日配付の報告案を作成したと、こういう経緯でございます。
 本日は、まず事務局から報告案についての説明をいただき、その後に質疑及び意見交換を行なっていきたいと、こう考えております。では、事務局から説明をお願いいたします。

(木村補佐) それでは恐れいりますが、資料3をご覧願います。この資料3の「著作権契約のあり方等に関する検討報告(案)」でございますが、すでに各委員にメール等にて案文を送付いたしまして、この11月18日までに提出された意見、これを踏まえまして修正した資料でございます。全体について概略を説明しながら、その修正部分などについても説明させていただきます。
 ページを開けていただきまして、2ページ目以降ですが、ここでは各業界における著作権契約の現状ということで、この2ページから10ページまでですが、これまで説明いただきました著作権契約の現状についてとりまとめてあります。各業界ごとの内容については省略させていただきますが、なお各委員から修正意見等提出がございましたので、事前にお配りした資料案から修正した部分について説明させていただきます。
 まず、2ページ目でございますが、(1)放送番組制作の中のイの脚本の記述の部分です。修正した個所について読み上げますけれども、下から4行目のところですが、「NHK・民放連と日脚連との間で結ばれている団体協約書に定める契約条件に従い」ということで、実はこれ、事前にお送りしました案文の中では「テレビ放送、ラジオ放送」というふうに特定した契約の名称を書いておったのですが、そういったもの以外でも単なる契約書などもあることから、「団体協約書に定める」というふうに書き直してあります。
 あと、言い回しを少し修正してありますところで、下から2行目でございますが、「脚本家に支払われる脚本料には当初の放送に関する使用料が含まれているため」というふうに修正しております。
 そして3ページ目になりますけれども、ここの1行目でございますが、「放送事業者は管理事業者である日脚連に利用の許諾を得て」という記述の部分です。ここにつきましては、元の案では「放送事業者はその都度、管理事業者である」というような記述をしておりました。これについて、NHK・民放連との団体協約書の中では、再放送について包括的に許諾を与えており、再放送の都度、許諾を得る必要がないということから、「その都度」という言葉を削除しております。
 続いて、同じ3ページのエの実演の中の記述の部分です。下から7行目のところですが、「NHK・民放連との社団法人日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センターの間では、再放送について協定書が結ばれており」という部分です。ここについては、案の時には実演家著作隣接権センターという名称が入っておりませんでしたが、最近NHKさんのほうでは実演家著作隣接権センターと基本契約を結んだということから、ここにセンターを追記しております。
 続いて、4ページ目でございます。4ページ目のオのレコードの中の記述の部分です。ここは主語がはっきりしておりませんでしたが、「放送事業者が」というふうに主語を入れさせていただきました。レコードの中の商業用レコードの1次固定といったものは放送事業者のみに適用されるものであることから、「放送事業者が」というふうに書き加えさせていただきました。
 その4行後くらいですが、「なお」書き以降です。「なお、一定範囲の2次利用については、NHK・民放連とレコード協会との間で契約がある」ということで、この一定範囲での2次利用の契約がありましたので、こういったものにつきまして追記させていただきました。
 あと同じページの2発注番組の最後の行のところですが、「在京のテレビ放送事業者は、これを踏まえ」といった部分です。ここにつきましては、案の中では「放送事業者は」ということだけの記述だったのですが、契約方針、自主基準でございますが、これを公開しておりますのが在京テレビ6社、NHKを含む6社ということですので、「在京のテレビ放送事業者は」というふうに記述を変えております。
 また、1ページめくっていただきまして、5ページ目でございます。この5ページ目の中の2使用音楽に関する契約の記述の部分です。ここの中の「なお書き」以降、中間以降なのですが、「JASRC(ジャスラック)に許諾権限がない場合が多く、非一任型の管理となっているため、使用料の額を個々の音楽出版社と取り決めなければならない場合が多い」というふうに修正しております。ここにつきましては当初お送りしました案文では、「JASRC(ジャスラック)が管理していない場合が多い」ということだけの記述でしたので、正確な記述に修正させていただきました。
 さらにページをめくっていただきまして、次は7ページ目でございます。この7ページの上段でございますが、ここはレコード製作に関する記述の部分でございまして、ちょうどここの上から2行目でございますが、「次のような契約」の後に、括弧書きで12)、3)、4)という部分を書き加えています。著作隣接権にかかる部分を追加させていただきました。
 そして表の中の2の原盤の利用範囲ですが、「複製、頒布、送信可能化等」ということで、当初は「公衆送信」という表現をしておりましたが、「送信可能化」という表現に変えてあります。
 以上が現状についての記述の部分でございます。
 そして11ページ以降ですが、3.の「検討結果」以降の部分です。ここにつきましては、前回の骨子案について検討いただきました意見等を踏まえまして作成させていただいております。時間の関係上、特に変わった部分だけ説明させていただきます。
 まず、事前にこの検討結果につきましても、案文のほうについてはご覧いただいているところですが、このうち修正部分が2カ所出ておりましたので、まずそこの部分につきまして説明させていただきます。
 11ページ目、(1)「書面による契約の促進」の部分です。ここにつきましては、この(1)の記述の中の最後の3行部分ですが、「個々の契約に際しては、必要に応じて書面による契約を行うことが望ましいと考えられる」というふうに、「必要に応じて」というふうに記述を変えております。ここにつきましては、案文の中では、「特段の事情がない限りは書面による契約を行なうことが望ましい」というふうな記述にしておりましたが、契約書式化の方向があまりにも強すぎるのではないか、またそのために実作業を妨げたり、ある程度混乱をもたらす恐れがあると思われるということで、少し表現を修正してほしいということから、「必要に応じて」ということで修正しております。
 そして、次の12ページでございます。この12ページの中では、上から9行目でございます。ここに中小企業等協同組合法の「同法第9条の2では、組合が組合員の経済的地位を改善するための手段として」というふうに記述を変えております。ここにつきましては、案文の中では、「組合が組合員の競争力を増強するための手段として」というふうに記述しておりましたが、この当該条文の表現に合わせて「経済的地位を改善するための手段」というふうに書き直してあります。
 そのほか、この次の13、14ページにかけてですが、著作者等、著作権者等、言葉が混乱しているところがありましたので、こういったところにつきましては整合性をとらさせていただきました。
 以上が修正意見をふまえまして、修正した部分等でございます。以上でございます。

(土肥主査) どうもありがとうございました。ただいまの事務局からのご報告に関するところで、質問あるいはご意見等ございましたら、自由に発言をお願いしたいと存じます。もっともこれはすでに議論をいたしまして、それで各委員からご意見を頂戴して、その中で現状の部分については、恐らく実態と少し齟齬があるとか、そういう点でいま修正をされたのだと思います。それから検討結果のところについても、いわゆる強さ、弱さ、そういう当たりのところの話であったかなと思っておりますので、基本的にはほとんど変更はない、そういうところではないかと思います。
 本日、この検討報告については最終になるわけでございますけれども、ご質問、ご意見等ございますか。寺島先生のところはきちんと入って変わったと思っております。

(寺島委員) 今日のところはありませんので。

(土肥主査) ほかによろしゅうございますか。じゃあ、瀬尾委員。

(瀬尾委員) こちらの案について、私はこれで結構だと思いますが、一言またちょっと申し上げておきたいのは、どのようにしたら契約が円滑に進むかという点について、非常によい案ではないかと思っております。が、著しく不平等な契約、要するに力関係、経済的な基盤、そういうものによって著しく不平等な契約というものが実際、いま社会に起きていることに対して、やはりそれをどう改善していくのか。
 今後、こういう抜本的な解決策というのはもちろん必要だと思いますが、現場で著作権譲渡を迫るような契約が横行しているという現実もございますので、そういった部分に関しては、今後実態を踏まえて何らかの提言を、この委員会もしくはどこか適正なところが何らかの、それは公正取引委員会さんかもしれませんけれども、何かの関わりをもって注視していかないと、いかにこのようなことをしてもやはりモラルに欠けた、もしくは非常に不平等な契約がはびこってしまうのではないかという心配をちょっとしております。
 ですので、今後もこういうふうな検討が引き続き何らかの形でできていけばよろしいのではないかな、というふうに思います。以上です。

(土肥主査) はい。一応、今のご意見というのはこのあり方の報告書の外でということでよろしゅうございますね。

(瀬尾委員) そうです。

(土肥主査) はい、わかりました。ほかには?
 はい、生野委員、お願いします。

(生野委員) 私も、報告書(案)の内容に関しては、これで結構だと思います。14ページ目の(5)国内外の事例の研究ということで、アメリカなどの例が出ているわけですが、海外でコンテンツの円滑な流通ができているといわれている国が実際どうなのかを研究することはかなり重要なことだと思います。具体的に検討を予定されているのでしょうか。これから検討すること自体を検討するということなのでしょうか。

(川瀬室長) 海外の事例の研究については、これは必要だと思っておりますが、文化庁で例えば予算を確保してやるのか、それとも関係団体の方に協力をしていただいてやっていのか、その辺のところは、例えば文化庁にやるということであれば予算の問題もありますし、少し問題点を整理して、対応して参りたいと思っております。

(土肥主査) はい、寺島委員。

(寺島委員) 外国の問題って、うちなんか今、1つ事件があるのですけれども、アメリカとヨーロッパが全然違う、映画に関してですよ。だから、弱っちゃうのですよね。ヨーロッパの国とは双務契約を結べるところは結んでやってますけれども、アメリカなんか双務契約が結べるのかよって私たちは思うわけですよ。例えばアメリカにはWritersGuildofAmericaというウェストとイーストと2つ団体があります。団体としては大きい団体ですけれども、なんせアメリカの著作権法というのがレベル低いですからね。はなはだ弱っちゃう。
 例えばWritersGuildofAmericaは私的録画のお金をくれという言い方をしてくるんですね。この前も国際課長さんにお電話で申し上げたのですけれども、変な文書が来てますからお送りしましょうって。そしてそれに対してこちらは答えを作ってお見せしますと申し上げたのですけれども、やはり国際課としては、内国民待遇ということしかおっしゃれないですよね。
 ところが、アメリカでは、WritersGuildofAmericaはそんな権利は持っていない。だから双務契約は結べませんよね。でも、そんなことを言うと、向こうがどう反応するかわからないから、差し当たってこちらは、私的録画に関しても私的録音に関しても、いま見直しということがいわれていますよね、著作権審議会で。ですからそういう状況だから、いま契約は結ばないという返事を書いたのです。
 WritersGuildofAmericaに補償金を受け取る権利があるのか、ないのかなんて言うと、ケンカになると面倒くさいですから。正直いって、私どもはアメリカのWritersGuildofAmericaはそれだけの権利を持っていないと思っているのです。だけれども、それを言うともうケンカになっちゃうから、それは言わないで、要するに日本では今、私的録音録画について見直すというような意見の出ている時ですから、現時点では契約をしませんということでまとめたのです。
 当然国際課長さんには、そのペーパーは出す前にお見せしようと思うのですけれども、国際課もお困りでしょうけれども、われわれも困っちゃうのですよね。ヨーロッパなら問題ないのですよ。アメリカというのは著作権的にレベルが低いですからね。だから今、弱ってます、正直いって。

(土肥主査) これはそういう1つの事例のご説明といいますかね。そういうお困りの状態を開陳していただいたのだと思うのですけれども、川瀬さん、これ、何かありますか。

(川瀬室長) 国によって権利の内容にデコボコがありますが、著作権条約上では内国民待遇ということになりますので、一般的にアメリカの国内法で権利がなくても、日本法に権利があれば、アメリカ人であっても、日本における権利があります。したがって日本における権利を団体が管理しているということであれば、法律的には権利を持っているということになると思いますが、実際実務面でどうなっているかというのもありましょうから、具体的には国際課と文面についてよくご相談されればいいと思います。

(土肥主査) 要はこの今の文脈でいうと、外国の状態について、契約システムを含めて研究をしましょうねと、こういう文章になっているわけでしょうから、そういう研究の機会にそういうものも対象としてなる場合もあるわけですね。その時に検討をすると、重要性があると書いてあるわけですから、その時に可能であれば検討をするということかとあるかと思いますが。今すぐ、この報告書のところのこの文章のところをどうこうと、こういうことではないわけですね。

(寺島委員) ええ。

(土肥主査) はい。ありがとうございます。ほかに何かございますか。基本的にはそんなに前回のものと変わっているわけでもございませんし、十分委員のご意見、ご要望、そういったものはくんだ上でのまとめだというふうに思っておりますので、ご異論がなければ、本日のこの案のとおり了承していただいた。こうさせていただきたいと存じますけれども、よろしゅうございますか。
〔異議なしの声あり〕
 はい、それではありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それではですけれども、もう1つございまして、「著作権等管理事業法の見直しに関する報告書(案)」ございますね。これについてでございます。前期にとりまとめた「著作権法管理事業法の見直しに関する報告書(案)」につきまして、9月8日から10月7日にかけて、約1月ですけれども、一般からの意見募集を行なっております。そこで寄せられた意見の概要を、本日は事務局から報告をいただく。あるいは、このいただいた意見を踏まえた報告書の修正についても、事務局から報告をいただきたいと思っております。
 なお、参考資料1として意見募集で寄せられた意見の全文を皆様の机の上に配付しておりますけれども、先ほど説明ございましたように、一般の方々には後日ホームページで公開をする予定になっておりますけれども、中には裁判において係争中の事案を挙げておいでになる。特に名指しで批判をしておいでになる内容のものもございまして、若干公開に適当かどうかということが懸念されるものが含まれております。
 したがいまして、それらの一部の意見につきましては、参考資料2として配付しておりますところの文化審議会著作権分科会決定事項の8番に基づきまして、このルールに従い非公開にしたいというふうに考えております。これは特に了解をいただかなくてもよろしいですかね。それでよろしいですね。

(事務局) はい。

(土肥主査) はい。そういう扱いをしようと思っております。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

(木村補佐) 本日、この議題に関係しまして配付しております資料ですが、提出された意見の概要、これを資料4として配付しております。なお、この資料4の資料ですが、「管理事業法の見直しに関する報告書(案)」、これは資料5として配付してありますが、その資料5の中の資料3として後日添付することを考えております。
 また、参考資料1につきましては、先ほど主査の説明にもありましたとおり、意見全文を配付しております。なお、この参考資料1の中に、一般の方への公開に不適当のものも含まれておりますので、具体には当該資料の該当意見の記述部分のところにアンダーラインをつけてあります。この参考資料1については、本日は委員及び事務局限りで資料を配付しております。後日、文化庁ホームページで議事資料を一般公開する際には、参考資料1のうちアンダーラインを付してある記述部分、これを公開しないということになります。なお、この資料の取り扱いにつきましては、委員限り資料となるので、よろしく配慮お願いします。
 それでは、提出された意見の概要及び報告書の修正部分について、資料4、資料5により説明させていただきます。参考資料1につきましては、必要に応じましてご参照いただきたいと思います。
 まず、資料の4でございますが、これは9月8日から10月7日まで意見募集したことに対しまして寄せられた意見、その概要をまとめてあります。これについては見直しに関する報告(案)の中に資料として添付する予定です。
 この中の記述の中でですが、ナンバーいくついくつというふうに記述がありますけれども、これは参考資料1の意見提出者のナンバー、それと同じ番号であります。あとそれともう1つ、かぎ括弧で団体または個人の別を表示しておりますが、参考資料1の中の意見提出者の別を表示させていただきました。16年に意見募集した結果につきましては、見直しに関する報告(案)の中の資料としては団体、会社名称をそのまま付しておりましたけれども、今回はすべて団体という一括りにした形で記述をさせていただく予定です。
 それと資料5でございますが、1枚めくっていただきまして、資料5の中の目次の次のところに、資料といったページがございます。本日、この資料1から資料5につきましては添付しておりません。ちなみに内容ですけれども、資料1の著作権等管理事業者の概況についてですが、この報告書、また先ほどの検討報告も合わせてなのですが、来年の1月に著作権分科会が予定されておりまして、その時に最も直近の数字に更新させていただく予定で考えております。例えば平成17年12月1日現在の数字であるとか、こういった数字に書き直させていただきます。
 資料2でございますが、著作権法管理事業法の施行状況等に関する意見募集の整理。これは先ほど申し上げました、平成16年の年に検討して行なった際の意見の概要を整理した資料でございます。9月8日付報告書の資料と同じ資料を添付させていただく予定です。
 そして資料3につきましては、本日の資料4、これを添付する予定で考えております。
 また、資料4、資料5につきましては、当小委員会の報告内容、これ以外にもございますので、それらを全部まとめた形で報告する形になろうかと思っております。
 それでは資料5の「著作権法管理事業法の見直しに関する報告書(案)」、この順序に従いまして、寄せられた意見の紹介と修正した部分につきまして説明させていただきます。
 報告書(案)の1ページ目をご覧願います。「はじめに」の部分ですけれども、最後の説明という部分のところなのですが、「検討結果については『著作権管理事業法の見直しに関する報告書(案)』としてまとめ、平成17年9月8日に文化審議会著作権分科会に報告した。さらに、同報告書案について意見募集を行い(平成17年9月8日から同年10月7日)、その結果を踏まえ、再び本委員会にて検討を行なった」。1行飛ばしまして、「なお、本文中の『意見募集の内容』欄は、2回の意見募集の内容を踏まえ記述した」ということで、今回追加した記述の部分もございますので、それを含めて初めの記述の中で、このように説明させていただきました。
 そして2ページ目、「著作権等管理事業の現状について」ですが、この中にも登録状況等、事業者数など関係ございますけれども、著作権分科会への報告の際に直近の数字に更新させていただく予定です。関係しますところは2ページ目、3ページ目のところになろうかと思っております。
 そして、3ページ目でございますが、「(3)著作権等管理事業者への指導・監督の状況」という事項がございます。これは現状報告についてなのですけれども、資料4のほうを見ますと、ここの記述部分のところについて意見が、指導監督をもっと強化すべき等との意見をいただいております。なお、これにつきましては、ここの記述内容について修正の必要まではないと思っております。
 続いて、4ページ目でございます。「(1)規制の対象となる事業の範囲」の「1非一任型の管理事業に対する規制について」。この中のイの意見募集の内容です。
 この意見募集の中では、非一任型管理事業を規制すべき、また一部規制すべきとか、規制すべきでないなど、さまざまな意見をいただいております。また、その意見の中では、非一任型と一任型の定義等について文化庁ガイドラインを設けるべき等の意見もいただいておりまして、4ページの一番最後2行でございますが、「一方で、規制について消極的な意見もあり、この中には、ガイドラインを設ける等して一任型、非一任型の定義を明確化すべきという意見があった」という記述を追加しております。
 恐れいりますが、またページをめくっていただきまして、6ページ、ここの「2特定分野における管理事業者の一元化について」です。このまた1枚めくっていただきまして、7ページのところになりますけれども、意見募集といたしまして、これについても意見がございました。
 これについては特定分野における管理事業者の一元化については、特定分野における管理事業者を一元化すべき、一元化すべきではない、窓口を一元化すべき、管理情報を一元化すべきと、このような意見をいただいております。ただ、意見が多かったということもありまして、ここの部分につきましては、イの意見募集の内容の最後の記述部分ですが、「更に、特定分野における管理事業者の窓口の統一や情報の一元化によって対応できるという意見があった」という記述を加えさせていただいております。
 そしてウの検討の結果の記述の部分ですが、この追加意見等を踏まえまして、現在の事実状況について、少し詳細に記述させていただきました。当初は、「文献複写の分野については、確かに複数の管理事業者が存在しているが、各事業者が管理対象としている著作物や管理方法に違いはあるものの、そのことが円滑な利用を阻害しているとまではいえない」というような記述だったのですが、そこにつきまして「例えば」のところですけれども、「例えば、企業等の内部利用のための複写については、国内権利者の著作物は社団法人日本複写権センターが、また、米国の複写権管理団体であるCCCの管理する著作物は有限責任中間法人学術著作権協会が管理するという事実上の業務分担が行なわれている。また、企業等が外部に提供するための複写については、株式会社日本著作出版権管理システムと有限責任中間法人学術著作権協会の2団体が業務を行っている。このように、文献複写の分野については、複数の管理事業者が業務を行なっているものの、現状ではある程度の秩序のもとに行なわれており、そのことが円滑な利用を著しく阻害しているとまではいえない」ということで、記述部分を加えさせていただきました。
 これと合わせ、さらに7ページの最も最後の記述の部分ですね。「なお」書き以降ですが、ここの部分では、一元化を図るのではなく、契約システムを構築すること、これを強調させていただくとともに考えられる対策、対応策、これを追加させていただきました。「なお、規制の強化により、管理事業者の一元化を図るのではなく、管理事業者側の方で、利用者側の利便性に配慮した契約システムを構築することで対応していくことは大変重要なことである」。そして、例えばの後の例示としまして、「複写実績報告などの関連業務の統合など」という部分と、「管理事業者間の業務協力の強化など」、ここの部分の記述を加えさせていただきました。
 続いて8ページ目、「(2)適格性を欠くと思われる管理事業者への対応」です。このまず1登録要件の強化等についてですが、ここにつきましても意見が出ておりまして、登録手続きの厳格化、登録抹消などについての意見がありましたので、追加しております。
 イの意見募集の内容の最も最後の記述の部分です。「実態を伴わない管理事業者を取り締まるため、登録取り消し、抹消の手続きについても厳格化すべきである」という記述を加えさせていただきました。
 続いて、またページをめくっていただきまして、9ページ目でございます。「(3)管理事業者に対する規制」の部分です。このまず1管理事業者の役員兼職についてですが、ここについては規制すべきでない、規制すべき、これら双方の意見がありましたので、特に修正はしておりません。
 続いて2の届出事項の変更届出期間の緩和についてですが、この中の意見といたしましては、運用を変更すべき、報告書と同じ意見でございますけれども、といったような意見が出ておりました。この記述の部分についても修正は行なっておりません。
 続いて10ページ目のところですけれども、3管理事業者の守秘義務についてです。ここについての意見につきましても、法規制する必要はないというものと法規制すべき、双方の意見がありました。これらの意見につきましても、この記述の部分では修正はしておりません。
 そしてページをめくっていただきまして11ページ目、4です。管理している著作物等に関する情報提供についてです。ここについての意見につきましても、義務規定とすべきという意見と義務規定とする必要はないという意見、双方の意見がございました。それらについても、ここでは修正は行なっておりません。
 そして12ページ目でございますが、5管理権限の開示義務についてです。ここについての意見では、義務規定とする必要あり、また義務規定とする必要なし、双方の意見があったところでございます。
 そして義務規定とすべきとの意見の中でなのですが、現在裁判所であるという事例についての紹介などもありました。なお、この部分につきましては、全文紹介の中で、現在裁判において係争中の事例の内容でしたので、これは先ほど主査のほうからございましたとおり、一般公開の際にはそこの部分は非公開とさせていただく内容のものです。
 この事例の紹介があったということもありましたので、イの意見募集の内容の中の「なお」書き以降ですが、「なお、利用者側からの意見の中で、管理権限の開示に応じない管理事業者に対して使用料の支払いを保留したところ、当該管理事業者から提訴され、現在裁判中であるという事例が紹介された」という記述部分を加えてあります。
 続いて、恐れいりますが13ページ目をお願いします。6管理委託契約約款・使用料規程のインターネット公示についてです。この項目につきましては、義務規定とすべき意見、またその必要はないという意見、双方の意見があったところです。まず、その意見の中では、インターネットによる公示ができない事業者は管理事業者として不適切であるという意見などもありまして、この記述の中では、インターネットを利用した情報提供を進めるよう努力する必要もあるということを、これまで記述しておった部分もございますので、修文させていただきました。
 この13ページの下のほうですけれども、「なお」書きのところです。「なお、管理事業者がインターネットによる公示を行なうまでの経過措置として、このような事業者の使用料規程等については」というふうに修正させていただいております。
 そして14ページでございます。14ページの「(4)使用料規程、協議・裁定制度」の1使用料規程の制定・変更時の意見聴取の義務化についてです。ここにつきましては、義務化すべき、一部義務化すべき、義務化すべきでないという意見がございました。このうち、一部義務化すべきとの意見の中では、代替性がない著作物の利用等、特定分野については義務化すべき等の意見もございましたので、14ページのイの意見募集の内容の記述の部分ですが、最後の2行、「代替性のない著作物の利用等、特定の分野において意見聴取を義務化すべきであるなどの意見があった」の記述の部分を加えさせてもらっております。
 そして恐れいりますが、続いて15ページをお開きください。ここは2指定管理事業者の使用料規程に関する協議・裁定制度についてです。この項目につきましては、制度の対象を拡大すべき、また制度を強化すべき、義務規定とすべきで、ない等の意見がございました。この記述の中では、特に修文は加えておりません。
 さらに資料をめくっていただきまして、17ページでございます。(5)の「その他」、1包括利用許諾に係る使用料のあり方についての部分です。使用料のあり方についてでは、まずその現状についての意見が出されたところでございましたが、特に修文の必要はないものと思っておりますので、変えてはおりません。
 あと、同様に18ページの2のその他につきましても、さまざまな意見をいただいたところでございますが、修文までの必要はないと考えられ、修文しておりません。
 最後に19ページ、20ページの4.のまとめでございますが、ここにもさまざまな意見をいただいております。ただ、これらの意見を踏まえ、修正するまでの必要はないものと考えておりまして、原案どおりの文面にしてあります。
 以上、概略でございますが、このような状況でございます。よろしくお願いします。

(土肥主査) はい。ありがとうございました。ただいま事務局から報告ございましたけれども、これについて質問あるいはご意見、ございましたら、お願いいたします。三田委員。

(三田委員) この報告書の案については、これでよいと思いますけれども、この委員会で私も申し上げたことでありますけれども、念を押すということでもう1度申し上げたいことがあります。
 それは参考資料の1で、パラパラとめくっただけなのですけれども、この委員会でも私が指摘をしました非一任型の管理事業者で、200人以上の著作者を抱えて、主に教材関係の許諾を出している管理事業者があります。そこについての何とかしてくれという意見がいくつか寄せられていると思います。これは教育、教材出版社などから寄せられたものであろうと思いますけれども、実はこの問題というのはもっと非常に広範囲に影響をもたらしております。
 といいますのは、小学校や中学校では教科書準拠ドリルというものが配付され、使用されております。これは学校で教材出版社から一括購入をして、生徒さんにドリルとしてやっていただくものでありますけれども、そういう教材を作っている会社が、その非一任型の管理事業者に許諾を求めましたら、許諾が得られないとこういう事例がありまして、そうしますと小学校の生徒さんがそのドリルをやろうとしましても、問題がないのですね。設問はあるのですけれども、例えばある教科書に出ている詩なり小説なりの文章を読んで次の設問に答えなさいという問題が、設問しかないのです。元の文章がありません。これではドリルができないのですね。
 ところが、これは教科書準拠ドリルでありますから、教科書に出ている文章が設問の対象になっておりますので、生徒さんは教科書を持っておりますので、教科書の該当する部分をそのページを開けて、そこを読めば設問に答えることができます。しかし、このドリルというのは、本来はそのドリル1枚を見て、それでそこに答えを書き込むということができるのがドリルであります。いちいち教科書を探してきて、そのページを開くというのは、生徒さんにとっては大変な手間であります。実際に全国の学校の生徒さんが、こういう負担を強いられているというのが現状であります。
 何でそんなことになっているのかというと、非一任型のものは、いや一任型の管理ですと拒否権がありませんので、許諾を求めたら許諾を出さざるを得ないわけですけれども、非一任型の場合は許諾を出さないということが可能であります。それから値段が決まっておりませんので、値段をいくらでも吊り上げることができるということになります。
 教材出版社としては、教科書準拠ドリルですから、教科書に載っている素材が使えなければドリルが作れないという状況であります。そうしますと、これは売り手市場でありますので、値段はいくらでも高くできる。それで応じない出版社に対しては、使用を許諾しないということが可能になるのですね。
 こういう公共性のあるものに対して、管理事業法で対応できないということは大変大きな問題であるというふうに、私は考えております。この点では委員会でも指摘をしました。文化庁さんのほうで実態を調査するというふうに言っていただきました。その点に関して、実態をすでに調査しつつあるのか、それはその場しのぎのことでこれから調査すると言うことかもしれませんけれども、実際その非一任型の管理事業者は、大学の入試問題のホームページ掲載に関しては一定の定価つけてお金をくださいということを言っております。これが非一任型に当たるのかどうか、私は判断ができませんけれども、そういうことも含めて、ぜひとも厳正なる実態調査をしていただきたいというふうに考えます。以上です。

(土肥主査) はい、じゃあ川瀬さん。

(川瀬室長) 非一任型の管理につきましては、この委員会でもたびたびご意見が出ておりますし、また意見募集の内容も非一任型の管理の是否について意見が多いので、著作権課としても来年度調査をするように事務的には詰めております。

(土肥主査) それは具体的には何かもう決まっているのですか、その調査の仕方は、ステージとか。

(川瀬室長) 1つは、非一任型の実質調査について、来年度の予算要求をしているということと、もう1つは調査のやり方としましては、どこにどういう事業者がいるということがわかりませんので、例えば広くアンケート調査をするというわけにいかないので、まずヒアリングを中心にしていろいろな事業者の方からその業務の内容をお聞きして、できるだけ把握するように努めたいというふうに思っております。

(土肥主査) 三田委員、今のでよろしいですか。

(三田委員) そうですね。そういうやり方も結構だと思いますけれども、実際に利用者の方が大変不便を被っているということがありますので、利用者の意見を募集するとか、何かそういう実際にどういう苦情があるのかという。今回の参考資料1にあるようなものをもっと広く募集をして、その利用者にとって不便な状況がどこにあるのかということを把握していただきたいというふうに思います。

(土肥主査) じゃあ、追加をお願いします。

(川瀬室長) 少し言い足りませんでしたけれども、利用者側からもご意見は聞く予定にしております。

(土肥主査) ありがとうございました。いずれにしても、三田委員の今のご意見は、この管理事業法の見直しに関する現在の報告書、これについて。

(三田委員) これはOKです。

(土肥主査) ほかにございますか。かなり時間もたって、時間というのは最初にやった時からたって、意見募集を受けた結果、こういうことになっているのですけれども、よろしゅうございますか。ご意見ございません。寺島委員。

(寺島委員) 意見というか、何というか。正直いって出版も大変ひどい状況ですけれども、例えば私どもがやっているCATVなんていうのは、安い使用料しか払えないのですよ。倉本聰の作品を麹町のCATVが出したいといってきて、その契約が大変低い料金なので倉本聰がいやだと言いだしましてね。そんな安いお金でやってもらいたくないと言いだしたのです。
 NTVさんの大変当たった番組だったものですから、NTVさんがわかった、それじゃあビデオを出しましょう。ビデオはかなり金額的に高くなるのですよ。1本1本の金額はそれほど高くないけれども、数出ますと高い金額になるのですよ。それでビデオを出してくださって、NTVさんがビデオを出してくれたから、CATVは安い料金でも目をつぶってOKしてよと言ったら、倉本聰もOKしてくれたから片づいたのですけれどね。
 正直いって、私なんかうちの脚本家連盟は昭和30年代から始めてますけれども、ニューメディアというのがみんな安いのですよね。ただ、いいことには、ニューメディアは安いですけれども、ビデオのようなものもありますから何とかやってこられたし、これからもやっていけると思うのですけれどね。ニューメディアというのは本当、ことにCATVなんていうのは、アメリカでいったらじいさんばあさんが何かやっているみたいな、アメリカのCATV局なんて、いや、大きなのもありますよ。だけど、一般的には本当にじいさんばあさんがやっているようなCATVがあるものだから、本当にそういう点でしんどいことはしんどいですね。

(土肥主査) 今そうでも、将来また大きく伸びるかもしれませんしですね。今回のこの事業法の見直しに関する報告書との関係では。

(寺島委員) いやいや。

(土肥主査) それはよろしゅうございますね。他の委員におかれまして、少しかなり変わっているのですけれども、よろしいですか。もしよろしければ、もちろんこれは皆さんのご了解が得られたということで、そのように扱わさせていただくことになります。
 といいますのは、この後の段階で、来年1月12日でしたっけ?  そうですね。1月12日に文化審議会の著作権分科会が開催される予定になっているわけですね。今日、皆さんにご了解いただいたものについては、つまり著作権契約のあり方等に関する検討報告、それからいま現在審議中の管理事業法の見直しに関する報告書、この2点がご了解を得られれば、私のほうからその内容を説明して、分科会の報告書の一部となる。こういう段取り、予定になっているわけですね。ですから、その辺りのことも踏まえてご了解いただければと存じます。
 よろしゅうございますか。皆さんのご異存がないようでございますので、そのように取り扱わさせていただきたいと思います。
 それでは、本日用意しておりますところの議題は以上3点でございます。何か事務局からございますか。

(事務局) 特にございません。

(土肥主査) それでは、本日の小委員会が今期最後ということになりますね、契約・流通小委は。そういうことでございますので、私、非常に力足らずで皆さんにご迷惑をかけたと思いますけれども、皆様のご協力でもって無事本委員会は終了ということになるわけでございまして、委員の皆様のご協力に本当に心から感謝を申し上げたいと存じます。
 それで、これで第7回契約・流通小委員会を終わらせていただくわけでございますけれども、最後に辰野審議官からご挨拶を頂戴できるわけですね。それではお願いします。

(辰野審議官) それでは今期最後の契約・流通小委員会に当たりまして、一言御礼を申し上げたいと思います。
 本委員会では本年3月28日に第1回を開催して以来、主査の下に、合計7回にわたりまして大変精力的なご審議をいただきまして、著作権等管理事業法の見直し、それから裁定制度、さらには著作権契約のあり方等につきまして、今後の施策の方向について、極めて重要かつ有益なご提言をおまとめいただきました。文化庁といたしましても、おまとめいただきまして提言の方向に沿って、著作物等の流通の推進を着実に行なってまいりたいと考えております。
 本日もさまざまな課題についてご提起いただきましたけれども、まさにこの分野は日々新たな課題が生ずるところでございます。関係者ら、知恵を出してこれに当たっていかなければならないわけでございますけれども、そのような課題について、今後ともいろいろな情報、またご相談を率直にいただきたいというふうに思っております。その点等も含めまして、文化庁の施策について今後ご指導、ご協力をお願いいたしたいと思います。
 契約・流通小委員会は今期、これをもちまして終了させていただきます。主査及び委員の皆様方におかれましては、この間極めてご多忙のところ、本委員会の審議にご協力賜りましたことに厚く御礼申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

(土肥主査) どうもありがとうございました。それでは、これで今期の契約・流通小委を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

〔了〕


(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)

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