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著作権分科会 契約・流通小委員会(第6回)議事録

1 日時: 平成17年10月26日(水曜日)10時30分〜13時

2 場所: 経済産業省別館10階1020会議室


3 出席者:
(委員) 野村分科会長、池田、石井、上原、児玉、駒井、佐々木、椎名、菅原、関口、寺島、土肥、生野、松田、森田、山本の各委員
(文化庁) 辰野文化庁長官官房審議官、甲野文化庁著作権課長、池原国際課長、川瀬著作物流通推進室長、千代国際課国際著作権専門官、木村著作物流通推進室長補佐ほか関係者

4 議事次第
1. 開会
2. 議事
(1) 著作権契約のあり方等について
(2) 裁定制度に関する検討報告について
3. 閉会

5 資料

6 議事録

(土肥主査) 定刻になりましたけれども、よろしいですか。
 それではただいまから、文化審議会著作権分科会「契約・流通小委員会」第6回を開催いたします。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開について決定したいと存じます。すでに傍聴者の方には入場をしていただいておるところですけれども、予定されておる議事内容を見ますと、非公開とするには及ばないと思われますので、公開としてよろしいでしょうか。

〔異議なしの声あり〕

(土肥主査) ありがとうございました。それでは、本日の議事は公開といたします。はじめに事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

(木村補佐) 恐れ入ります。お手元の資料の確認をお願いいたします。本日、議事次第の中に配布資料を明記させてもらっておりますが、全部で資料が6点、参考資料が3点となります。
 お手元、資料1ですが、本日生の実演に関する説明をいただきます関係資料ですが、舞台公演と実演家の契約についての資料。続いて資料2ですけれども、コンサート事業における契約等に関しての資料。続けて資料3ですが、著作権契約のあり方等についての検討報告(骨子案)です。そして資料4でございますが、「裁定制度に関する検討報告」に係る法制問題小委員会の意見概要です。資料5ですけれども、裁定制度に関する検討報告に係る意見募集の結果概要でございます。あと資料6ですが、裁定制度に関する検討報告の修正案でございます。
 そして参考資料ですが、法制問題小委員会第7回議事録、関係個所の抜粋です。参考資料2「審議の経過」、これも関係個所の抜粋でございます。そして最後に参考資料3といたしまして、意見募集の結果(意見一覧)としてございます。お手元、不備等ございませんでしょうか。
 ありがとうございます。以上です。

(土肥主査) はい。それでは議事に入りますけれども、本日の議事は2点ございまして、1が「著作権契約のあり方等について」、こういうふうになっております。それで著作権契約のあり方等についての検討の第2回目、こういうことになろうと思いますけれども、本日は椎名委員と社団法人全国コンサートツアー事業者協会の山本幸治常務理事兼事務局長に関係業界の著作権契約の状況等について説明をお願いしております。椎名委員と山本常務理事に続けてご説明をいただき、その後まとめて質疑の時間、意見交換の時間を持ちたいと考えております。
 それでは、「舞台公演と実演家の契約」につきまして、椎名委員から説明をお願いいたします。

(椎名委員) はい。お手元の資料1、パワーポイントの横長の資料を使ってご説明申し上げます。本日は舞台公演と実演家の契約についてご説明申し上げたいと思います。
 私自身は、いわゆるミュージシャンとして音楽の世界に携わってまいりました関係上、どちらかといいますと演劇等の舞台公演には疎いところがございました。そこで今回のプレゼンテーションに当たりましては、社団法人日本芸能実演家団体協議会がとりまとめました2つの調査報告書に基づいて説明をさせていただきます。
 1つは、いわゆるフリーといわれる実演家を対象に直近の仕事についてアンケート調査した、2003年の芸術家等の活発な創造活動の推進のための調査研究報告書です。もう1つは、いわゆるフリーだけでなくて広く実演家を対象としました、芸能実演家スタッフの活動と生活実態調査報告書2005年版です。この2つの報告書を使いまして、舞台公演と実演家の契約について、その説明を申し上げたいと思います。
 それでは1枚めくって、1頁をご覧ください。さまざまな分野の舞台芸術ということで、舞台公演と一口に申しましても、例えば演劇、ミュージカル、それからクラシックやポピュラー音楽などのコンサート、バレエなどの舞踊、歌舞伎や能楽などの伝統芸能、また最近のお笑いブームに見られるような演芸など、すでにさまざまなジャンルがございます。これらの舞台公演は、『芸能白書2001』によりますと、全国で年間約10万公演が開催され、その半数を演劇が占めているという数字が出てきております。
 また、このような舞台公演の市場規模につきましては、ぴあ総研が発行しました『エンタテインメント白書2004』におきまして、2003年の実績として、演劇を中心とした公演の市場規模について約1066億円と推計しております。この規模というのは現代演劇、演芸、お笑い、ミュージカル、古典芸能及び舞踊という5つのジャンルの合計の約6万公演相当に基づくとされております。
 このように舞台公演といいましても幅広いジャンルが含まれておりまして、しかもそれぞれのジャンルによって慣行が異なります。そこで今回のプレゼンテーションでは、わが国における舞台公演数の約半分を占める演劇というものを念頭に置きまして、ご説明を進めたいと思います。
 それで演劇公演の形態ということで、一口に演劇公演といいましてもさまざまな形態があるわけでございます。あえて分類するとすれば、まず劇場を有するような演劇興行事業者行なう劇場公演、それから劇団が行なう劇団公演、それから企画制作事業者等が行なうプロデュース公演といわれるもの、それから全国の公立文化施設における公演、国や地方公共団体が主催する公演など、実にさまざまなものがあります。
 劇団に所属する実演家が自ら所属する劇団公演に出演したり、またそれ以外の公演に請われて出演したりという場合に、劇団によってさまざまなルールを取り決めている場合が多いようなのですが、こと雇用関係という視点から見ますと、そういう形をとっているものはほとんど見られないということでございます。
 今回のプレゼンテーションの進め方としましては、まず簡単に演劇に関わる平均的な実演家がどのような生活実態にあるかをご説明した上で、演劇における問題点等を取り上げまして、改善すべき点は何か、また改善に向けてどのような取り組みがあるのかについて、ご説明申し上げたいと思います。
 2頁をご覧ください。実演家の生活実態ということで、まず舞台公演に関わる実演家の平均的な生活実態について簡単に見ていきたいと思います。
 世間一般のイメージで、実演家というと実に優雅な生活を送っているのではないかと思われがちなのですが、そういう一般のイメージに合致する実演家というのはごく一部だけであって、現代演劇に関わる実演家のうち、実に74.5%に上る人たちの年収が400万円未満であるという実態がございます。
 次に現代演劇に関わる平均的な年収の内訳ということを見ていきますと、舞台、コンサート、ライブ、イベント等への出演からの収入が33.9%であり、舞台以外の映画、放送などのメディアでの仕事による収入20.7%を加えましても、本業でありますいわゆる何らかのものに出演することで得ている収入は年収の54.6%にすぎません。本業で生計を立てている実演家が実にわずかであるということが、ここでご理解いただけるかと思います。とりわけキャリアの浅い若年層においては、アルバイト等で生計を立てているような実態があります。
 さらに実演家の就業形態について、舞台公演などの仕事が常にあるわけでありませんで、断続的であるということ、それから仕事の依頼主が仕事ごとに変わっていくということなど、就業の機会という観点から見ましても極めて不安定な立場にあるといえます。
 このような背景から、たとえ報酬の額や出演条件などに満足していない場合でも、次の仕事につながるという期待から出演依頼を引き受けてしまうという実態があることもご理解いただきたいと思います。
 次に実演家の舞台出演に関してどのような問題があるのかということについて、以下4項目を取り上げていきたいと思います。3頁をご覧ください。
 依頼日からスケジュールまでの決定までが長期間にわたるという問題があります。出演の依頼がありまして、スケジュールなどの正式ないろいろな詳細が決まっていくまでの期間が特異的に長いということが挙げられます。舞台演劇ではその種類にもよりますが、一般的に舞台稽古に1カ月ほど費やした上で、およそ2週間から1カ月間程度の舞台公演が行なわれるという形をとります。
 このような舞台公演への出演に関しましては、出演依頼の時点から稽古時間など拘束日数が確定して、正式に出演が決定するというまでにいったいどれくらい時間がかかっているかということについて、フリーの実演家を対象に調査を行なっております。その結果によりますと、舞台公演では稽古など事前の準備に長い時間を有することから、舞台出演について平均100.7日前に出演依頼が行なわれ、スケジュールなどが確定して舞台出演が正式に決定するというのは平均49.6日前となっております。つまり、出演依頼からスケジュールが確定するまでに平均51.1日間がかかってしまうということになります。
 他方でテレビやラジオなどのメディアに出演する場合には、平均26.7日前に出演依頼が行なわれ、スケジュールなどが確定するのが平均13.4日前というふうになっています。はるかにここはタイムスパンが短くなっているわけですね。このように舞台出演とテレビやラジオなどのメディアへの出演というのを比較してみますと、舞台出演についてスケジュールが確定するまでの期間がはるかに長くて、このような期間においては当該舞台出演のための稽古や公演期間と重なり得るようなほかの出演依頼は断らなければならないわけですね。さらに当該公演への出演がキャンセルされてしまうような場合には、このような損失の補償をどうするかという点が問題になってきます。
 このように舞台出演に関して、立場が非常に不安定である期間が極めて長いということが問題点として挙げられると思います。
 1頁めくりまして、4頁でございます。仕事に関する取り決めの方法がまちまち、取り決めの確認方法がまちまちということがございます。
 契約書が交わされていないということが、やはり多いということでございます。舞台公演について、芸団協では団体間の協定というようなものは一切結んでおりません。また、舞台出演に関するひな型や書式といったものもない。
 舞台公演の主催者と実演家、事務所、プロダクション、または劇団等々の間でそれぞれ個別に契約を結んでいるのが現状といえますが、実際に演劇に関わる実演家について、必ず契約書を取り交わしていると回答したのは13.9%となっております。これをすべてのジャンルの実演家ということで見てみますと、実は7.7%にすぎないわけでございまして、一見演劇に関わる実演家については書面による契約を取り交わしている割合が高いように見えるわけですが、先ほどご説明申し上げましたように、出演依頼が、詳細が確定するまでの期間が長いなどの点を考えますと、演劇公演については書面による契約書を早い時点で当事者間で結ぶことが望ましいということが思われると思います。
 また、フリーの実演家が契約書を取り交わさないような場合に、どのように仕事内容を確認したのかの回答を見てみますと、電話など口頭で確認した場合が53.7%と最も多く、次いでスケジュール表や配役一覧などの書面で確認した実演家は40.1%となっております。このような口頭での確認内容は仕事の内容とスケジュールが中心となっておりまして、報酬の額や報酬の支払い方法、支払い時期などを確認したと回答したのは36.3%でしかありませんでした。
 一方、伝統的な演劇興行事業者は契約を結ばないケースがほとんどですが、一部近年参入したような事業者がプロデュース公演などを行う場合に契約書を交わすという事例が増えてきているようであります。このような契約書は主催者から一方的に示されることが多く、内容も主催者によってまたさまざまなものとなっています。
 詳細の項目としては、契約の目的、舞台稽古やリハーサル、公演期間などに関する実施要綱、報酬の額や支払い方法、稽古及び舞台公演中における記録用の出演の撮影に関する無償の承諾、広報宣伝活動への協力、舞台中継や舞台公演をビデオ、DVD化する際の取り決め、事故等が生じた場合の補償等に関する取り決め、契約の解除や変更を行なう場合などの取り決めなどが項目として挙げられている例があるようです。
 また、演劇には再公演ということがございますが、そういう再公演が予定されている場合には出演するか否かについて、改めて確認する旨の条項が盛り込まれる例もあるようです。一方で再演が決まっていない場合には、契約書には再演については何も取り決めず、改めて契約を交わすということが多いようです。
 それからさらにめくっていただきまして、P5、舞台出演中に起きた事故等による怪我について十分な補償が行なわれていないということが挙げられます。現代演劇に関わる実演家のうち13.9%の実演家が、2004年1年間に稽古や舞台出演中に医師の治療が必要となる何らかの怪我を経験したことがあると回答しています。さらにこのような怪我を経験した者のうち、自分で負担した、及び自分が加入している傷害保険等の給付があったなど、自らの経済的負担によって怪我を補償したのは何と79.4%に上っております。
 他方で労災保険が適用されたり、所属している集団、仕事の依頼主等が負担してくれたというケースは20.6%にすぎません。仕事上の怪我については自己負担することが多いということが、ここから伺われると思います。
 さらにめくっていただきまして、最後に4番目の点として、舞台公演の二次的な利用について未整備であるという点が挙げられると思います。そもそも舞台公演というのは舞台の上において実演家がお客様に対して直接演じて見せるものであって、映画やテレビなどメディアなどへの出演とは異なりまして、舞台公演の二次的な利用についてはあまり考慮されていないことは通例です。このことは現代演劇に関わる実演家が著作権料、著作隣接権料から得ている報酬の年収に占める割合が平均0.7%しかないということから見ても、舞台公演の二次的な利用自体がさほど大きくはないということが伺われると思います。
 一方で地上波、衛星放送などによるテレビ放送中継やビデオ、DVD化などを積極的に行なう劇団なども出てきているようですが、その場合は舞台用の照明と中継や映像化用の照明というのが根本的に違うそうでありまして、そういう二次的な利用を念頭に最適化した舞台制作というものをあらかじめ行なっていく必要があるようです。
 また、こうした二次的な利用に関する取り決めという点を見てみますと、こういう実情を反映いたしまして、舞台公演における実演を記録用以外の目的で録音録画するような場合に、二次的な利用方法や報酬額などについて契約書においても取り決めている例は少なくて、そこら辺は別途協議というふうになっている例がほとんどであるようです。
 また、演劇の分野ではありませんが、伝統芸能の分野では実演家の団体が演劇興行事業者や放送局等との間で舞台公演の二次的な利用や肖像の利用について協定などを結んでいる例もあると聞いております。
 以上、問題点を挙げたのですが、まためくっていただきまして、こうした問題点を解決していくための改善すべき点と、また改善に向けた取り組みということについてご説明をしたいと思います。7頁になります。
 まず、実演家自身が安心して創作活動を行なっていくためにどのような環境を望んでいるのかについてですが、最も多かったのが「発表や公演、出演の機会が多くあること」、あるいは「報酬額や就業時間等仕事の条件がよくなること」に関する理解が挙がっております。そのほかに「文化芸術全般に対する国などの公的支援」や「充実した年金制度」、「社会的理解や信用の向上」などが挙がってきています。
 実演家は舞台公演やメディアへの出演などの働く機会が増えて、安心して創作活動を行なう環境を望んでいるわけですが、このような環境を実現させるためには、単に実演家側からの要望や努力だけで実現することはできません。国や地方自治体による公的支援はもちろんのこと、広く民間一般に対しても舞台公演が魅力あるビジネスとして、あるいは投資対象として認知が進んでいくなど、関係者のより進んだ理解が必要であると考えています。
 そこで芸団協といたしましては、舞台公演に限らず、幅広い観点から実演家の地位向上に向けた自主的取り組みの1つとして、「約款」ということを提案しています。別紙として本資料の最終頁に添付してあります、約款のイメージ(案)をご覧いただきたいと思います。
 これは、自民党における文部科学部会「文化芸術の振興における小委員会」の場におきましてご提案申し上げたものです。この約款のイメージ案は、個別契約が結ばれにくい状況に対応するために、出演の基本的事柄を検討するための要素として、発注者及び制作者の義務、出演者の所属事務所の義務、出演者の義務、書面契約による出演依頼の定め、スケジュールの変更、出演料の支払日、発注・制作の中止・延期、変更、キャンセルの場合の取り決め、事故補償義務等の都合9項目を項目として取り上げております。
 また、この時点で実演の二次的な利用に対する項目は入っておりませんが、今後検討が必要な重要課題であると考えております。
 このような自主的な取り組みに関しまして、まずは関係者の共通認識が形成されることが必要だと考えておりますが、またこうした取り組みにつきまして、当契約・流通小委員会における今後の議論のご参考になれば幸いというふうに存じます。
 以上でプレゼンテーションを終わります。ご清聴ありがとうございました。

(土肥主査) どうもありがとうございました。次に続いてですけれども、コンサート事業における契約等につきまして、社団法人全国コンサートツアー事業者協会の山本常務理事からご説明をお願いいたします。

(山本理事) 山本でございます。よろしくお願いいたします。
 私どもの会員は全国いま54社ほどおりますが、今日お話しさせていただくのは主にJポップとかJロックとか呼ばれる、そういった類の音楽のコンサートの場合ということでお話をさせていただこうと思っております。
 まずコンサートの2枚目ですけれども、運営全体図というのがございますが、ざっとこれで把握をしていただけるといいと思うのですけれども、私どものコンサートを開催するに当たっては、アーティストが存在するプロダクションとマネジメントの方々がいらっしゃいます。それから一緒にコンサート、舞台づくりをする技術の方々、音響さん、照明さん、舞台監督さん、その方々が一組になって全国を回られる。それを現地で、各地で会場を借りて受けるのがコンサートプロモーターという仕組みになっております。
 実際にその中身なのですが、大きく分けますと自主興行と委託興行という形の2つに分かれております。自主興行というのは主にプロモーター側で企画をするものですので、非常にオリジナルな個別なコンサートになるのですけれども、委託興行というのはプロダクションが、まずアーティストさんがコンサートツアーをやりたいという意志のもとに決定されたものを、ブッキングエージェンシーあるいは制作会社に、これはイコールの場合もありますけれども、こういった方々と案を練って全国各地のプロモーターと話し合ってスケジューリングをするという形で、自主興行というのは言ってみればギャラも含めて、興行側がすべてイニシアチブをとって進めていくもの、委託興行は逆にプロモーターからすると受託興行になるわけで、その売り上げの何パーセントというお約束のもとに興行を成立させるという形になります。
 なぜ委託興行という形が増えたかといいますと、実際にある1つのコンサートを経費でもって全国を回りますと、当然、当たり前なのですが、交通費とか移動費、それから諸々の経費を含めますと、北海道とか沖縄とか福岡は当然経費が高くなって、それがチケット代に反映してしまうということになりますので、全体経費がいくらかという形で計算をしていきませんと、結局遠いところのお客様が高いお金を払うという形になりますので、委託興行という形が普及したということであります。
 今こちらに書いてありますけれども、1枚目のほうにありますが、公演数が1万4000本からだいたい1万5000本くらいがここ数年の本数でありまして、動員数も1700万人から1800万人、この10年くらいを見ますと、この辺がだいたい現在の頭打ちといったらあれですけれども、数字なのかなというふうに感じています。
 コンサートプロモーターというのはエリアがございまして、北海道、東北などと書いてありますけれども、昔風にいえばシマみたいなものがありまして、あまりプロモーター同士で他の地域に出ていって仕事をするということはなくて、地域地域によって自分たちでマーケティングをし、アーティストを迎える。非常に不思議な現象なんですけれども、東京の武道館を2日間満員にしても、実は金沢では2000から2500で精一杯とか、そういったことというのはままあるものですから、そういう意味ではコンサートプロモーターというのは、その地域にどれだけのファンがいて、どれだけ仕事ができるかということをきちんと把握しておくという、いわゆる地場的な知識をきちんと把握して仕事をするというのがコンサートプロモーターというものの存在理由かなというふうに思っております。
 実演家の契約ということなのですけれども、コンサートツアーの場合というのは、やはりすべてのパッケージの中に含まれておりますので、個々のコンサートプロモーターと実演家、それからプロダクションとプロモーター、その個々に契約するということはなかなかありません。やはり1つの制作会社、一括するところで契約をするという形になります。
 ですので、そこには舞台の方も入ってきますので、コンサートプロモーターが見る契約書は何々公演、オール何百万みたいな、そういう形式なものですから、個々の契約ではございません。最近はコンサートプロモーターの仕事もコンサートだけではなくて、やはり地域の文化を考えますとミュージカルとか、例えばJリーグの非公式試合とか、そういった大きなイベントの運営も任せていただけるようになっておりまして、海外ミュージカルなんかも東京の会社なんかでは沢山招聘をするということになっております。
 コンサートとかミュージカルを契約する、著作権的にいうと上演でしょうか。そこに入りますと、いわゆる何日間何公演、1日休みとか、そういった形で契約をするということを聞いております。招聘側が負担する経費等々については、これも公演ごとに異なっている。本当にこの世界、ケース・バイ・ケースで、その時どうしようかという話し合いになるというふうに聞いております。
 入場料金については、この上演の場合には先ほどいった自主興行であります。買ってくる興行でありますので、入場料金等については招聘側に決定権がある。ただし、協賛金、スポンサーがついて、また別の収入があるという時とか、それから放送権料をいただくとかというような場合には、取り分の割合が契約書に細かく6・4であるとか、5・5であるという形で載るということも聞いております。
 それから二次使用についてですけれども、コンサートというものを二次使用する場合というのは主にCDにする、それからDVDにする、あるいは放送で流すということ、収録をしてということになるわけですけれども、この場合もあるレコード会社系の場合ですと、アーティストも含めてレコードも包括契約の中に入っていて、ほかの業者が全然入れない契約もあったり、そうでなければプロダクションと契約する場合のコンサートを委託契約とは別に、今回はこういう形で全国で収録するのでこうこうこうしてくださいという形のコンサート契約とは別の委託契約がされるということも聞いております。
 再公演という問題があるのですが、上演系であれば再公演、先ほども椎名委員の話がありましたけれども、あるのですが、コンサートツアーの場合には再公演というのは例えば松任谷さんが去年よかったから今年もやろうというと、それはもう中身が違うわけですね。そもそもツアーというのはもともとアルバムが出て、それの1つのプロモーション行為としてアルバムリリースしました、全国回りましたというのがもともとの基本形でしたので、なかなか再公演ということはあり得ないのですが、あるとしても東京でチケットが沢山売れたので1本追加公演しましょうかというくらいのことでありまして、ツアーの場合はなかなかない。
 先ほどのミュージカルとか上演系の場合はどうかというと、特に海外物としてはやっぱり、ちょっと言葉は悪いのですが水物ですので、1回目に関しては再公演の契約はまずあり得ないでしょう。1回目の上演、何日間かやっていただいて、公演が終わって2回目から3回目、この場合いけるなと。つまり2年目、3年目いけるなと踏んだ場合には2年目、で、要するに3年目の契約も附帯条項としてつける場合もあるということも聞いておりますけれども、1回目から再演の契約をするということはあり得ないということも伺っております。
 ただし、クラシックのビッグネームの場合、ウィーンフィルとかベルリンフィルとか、そういった場合にはもう5年先まで契約をしているということもあるということも聞いております。
 ですからコンサートプロモーター自身は、契約というものに関しますと、その実演家の方々とはそういう委託契約が増えているという中でいうと、ちょっと遠いところにあるのですが、仕事的には非常に今はレコード会社さん、それからプロダクションさん、コンサートプロモーターというのが1つのアーティストを育てていくという意味では三位一体で頑張っているということがございます。
 あとコンサート、われわれプロモーターと著作権の関係なのですが、当然われわれは音楽著作物使用者という立場になるわけですので、コンサートが行なわれる前に楽曲の使用許諾申請をして、許諾をいただいて、それから楽曲報告をするという義務があるわけであります。
 ちょうど平成12年10月からJASRAC(ジャスラック)さんと団体協定の締結をさせていただきました。それまでは各地の会社がJASRAC(ジャスラック)さんの各支部に対して申請していたのですが、合理化をしましょうということで、私どもの協会のほうで一括して申請をし、支払うという形で使用等させていただいております。
 その使用の範囲に関しましては、上演、演奏会ですけれども、非常に招聘のものが多いものですから、ミュージカル系に関してはほとんどがもうグランドライツになっておりますので、なかなかJASRAC(ジャスラック)さんに申請していくということは少ないのですけれども、コンサートのほうはライブハウスから本当に大きな野外で行なわれるフジロック・フェスティバルみたいなものまで含めて、すべて申請をさせていただいております。ただ、最近はインディーズ系のバンドも増えておりますので、まだJASRAC(ジャスラック)さんに信託していないバンドなどもありますと、1枚の1つのイベントで5バンドくらい出てくるものに関しては、3バンドは申請ができるけれども、2バンドはできませんみたいなことがあって、非常にまちまちだったりします。
 それからいま非常に困っておりますのは、韓国の楽曲なのですけれども、去年、一昨年くらいから韓流というブームがありまして、韓国の関係の著作権の協会の方がうちにお見えになって、うちにも申請してくれというお話があったのですが、1回JASRAC(ジャスラック)さんにお調べいただいたら、同じ楽曲で両方の協会がうちは持ってますというのがあったり、両方の協会が持ってませんというのがあったり、非常に文化状況の差という関係もあるのでしょうけれども、使用者側からしたら、ここは何とか整理がつかないかなと。非常に怖いのは、やっぱりアジアはまだまだコンサートを行なう側もわれわれというのは事業者がきちんと組織だっておりませんし、例えば韓国なんていうのはまだまだ放送局がコンサートを主催することが多くて、そういった意味でいうと、整理ができるのだとは思うのですけれども、ある時はこの曲の権利者として作曲家がいて、作曲家のおじさんが出てくるとか、非常にややこしいこともあったりするものですから、何とかこの辺は早く整理をしていただいて、すっきりとお金を払っていきたいというふうに思っております。
 著作物使用料規定というのがありまして、これに基づいてわれわれもお支払いしているのですが、決めた時期からかなり時間がたっております。使用形態には上演、演奏会、さまざまなレビューショーとかいろいろあるのですけれども、どうもいまコンサートの形態がトークあり、ちょっとしたお芝居があったり、歌があってりして、これらをコンサートと呼ぶのか、ミュージカルと呼ぶのか、レビューショーと呼ぶのか、演劇と呼んで音楽はBGM的使用だというのかとか様々です。演出方法、構成のほうが先に進んでいて、なかなかJASRAC(ジャスラック)さんとによる形態区分のどの辺で算定しましょうかみたいなことがあったりしまして、それがトラブルになったりすることもあったりするものですから、ちょっとそのお話し合いをさせていただいております。そういったことでわれわれはやっぱり舞台の上の演出の方々のほうに追いついていかなければいけないなということで、今お話し合いをしております。
 ざっと今、運営のことと、それから著作物使用についてお話を申し上げました。よろしいでしょうか。

(土肥主査) どうもありがとうございました。ただいまの椎名委員、それから山本常務理事のご説明に関しまして、ご質問あるいは著作権契約のあり方についてご意見ございましたら、ご自由に発言をお願いしたいと思いますけれども、ただいまの話、お話としては、かなり広範多岐にまたがっておりまして、本契約・流通小委が本来検討するようなこともありましたけれども、そこは少し難しいかなというようなこともありまして、広範なのですけれども、まずご質問がございましたらお出しいただければと思いますが。山本委員、どうぞ。

(山本委員) まず、椎名委員のほうに質問、1点だけですが、約款のほうを提案なさっているということはわかりましたけれども、その前のところでひな型のお話がちょっと出たのですが、契約書のひな型みたいなものを作ろうというお考えはないのでしょうか。という点が1つ。

(椎名委員) この件の経緯にずっと携わっております、日本芸能実演家団体協議会の大和滋芸能文化振興部部長が同席しておりますので、代わってコメントいたします

(土肥主査) よろしゅうございますか。じゃあ、お願いいたします。

(大和部長) 芸団協の大和です。よろしくお願いいたします。この問題については、何十年か議論しておりまして、何とかひな型を作ろうという努力をしてきているのですが、先ほどの説明にありましたように、舞台のほか例えばメディア出演になると数日前に仕事が決まる状況がある。そういう中で、現実に契約書を個別に結べるような環境にないという問題があり、それと作ったひな型が簡単に了解を得られるような問題ではないということもあり、これは何らかの形で集団的に取り決める方向性を出さないといけないだろうということで、約款の方向に来たという経緯がございます。

(土肥主査) 山本委員、今のでよろしゅうございますか、ご質問の趣旨。

(山本委員) 問題点として、先ほど椎名委員のご説明からありました、契約締結されるのが遅い段階になると、早い段階では契約が作られないというのに対応した話だと思いますので、それはよくわかるのですが、少なくとも約款を提案されているということは、その約款が契約書の中で引用されてそれで使われるという形になるのだと思うので、いずれにしても契約書が作られるのだと思うのですよ。その時に、やはりひな型みたいなものというのは要請が出てくるのじゃないのかなと思ってお聞きしたのですが、結論としてはお作りになっていないというふうに理解してよろしいでしょうか。

(大和部長) はい。

(土肥主査) はい、ほかにはご質問ございますか。松田委員、どうぞ。

(松田委員) 私も約款の質問なのですが、9項目も大きく分ければこういう項目に分かれるだろうというのはなるほどなとは思いますが、これは約款を作られた場合に、芸団協のほうで作られるのは内部的なことになりますが、それをこういう約款でどうでしょうかという相手方はどういうところになるのでしょうか。やはりある程度相手方も詰めて納得がいかないと、結局は約款として効力がなくなってしまいますよね。そういうことはどういうふうにお考えになっているのかなという。

(大和部長) これはご紹介にありましたように、自民党の文化芸術の振興に関する小委員会、文化芸術振興基本法ができて芸術家等の地位を向上しなければいけないという方向を受けて開催された会議で、主には現場で怪我をしたときの災害補償の問題、その対応議論の中で出たことです。その場には日本民間放送連盟さん、NHKさん、日本演劇興行協会さん、日本映画製作者連盟さんなど製作者サイドと出演者サイドの関係団体が集まった中で提起した問題です。これは出演者サイドだけで決められる問題ではないので、話し合いのテーブルがセットされていかなければならないだろうと思っております。内容含めて今後、相互に検討をしていきたいというふうに思っている段階です。

(土肥主査) ほかにはございませんか。はい、どうぞ、菅原委員。

(菅原委員) 全国コンサートツアー事業者協会の山本さんに、1つ質問なのですが、先ほど二次利用の関係でCD、DVD等というのがありましたけれども、昨今の実態でインターネットを使った例えば中継であるとか、いろいろなトライアルが始まっていると思うのですけれども、その辺りについての契約の状況であるとか、既存の二次利用と大きな違いがありましたら教えていただきたいのですが。

(山本理事) 確かにおっしゃるようにインターネットでのライブ状況とか非常に沢山のチャンネルがありまして、本当に公式なものから、ライブハウス自体が収録をしてやっている、インターネットのホーム頁でやっているというところが非常に増えてまいりました。その際も、結局ライブハウスの場合であれば、ライブハウスと実演家が契約をするというものがあります。要するに、レコードの場合の原盤と同じで、その収録する経費等々を誰が賄っていくかというところに主にその権利が発生するわけですので、その場合に例えばこのライブ映像は主催者であるプロモーターとプロダクションとレコード会社、3者で経費を負担して収録しましょうということであれば、実演家とその3者が契約をする。そのうち、じゃあそれをレコード会社でDVD化する場合はレコード会社がそれをやって、それから収益は出資した人間たちが分ける。そういった形で恐らくインターネットであっても、誰が経費を賄っているかという部分が主に契約の関係をいとも右と左になるのではないかというふうに思っておりますけれども。

(土肥主査) よろしいですか。ほかには? 契約・流通小委でありますので著作物、あるいは実演等の隣接権保護対象、こういったものの利用、流通、こういったところで問題があるかないか。少なくとも現行の著作権法上、障害になるところがあるかないかという観点から、契約の実態等を伺っているわけだろうと思います。
 そういうことからあまり離れますと、なかなかこの契約・流通小委との関係では難しい問題もあろうかと思いますけれども、先ほどの山本常務理事のご説明の中では、管理事業法、管理事業者、そういう関係、あるいは少し出ておりましたけれども、JASRAC(ジャスラック)ということも出ていたのですが、その点についてお答えになることはありませんか。

(菅原委員) 参考までに。協議をさせていただいておりますので、具体的な内容はそれにおいてお話しすることだと思いますけれども、ご説明にありましたように、演奏会の関係の規定というのは非常に古いところがございますので、今そこの規定の見直しというところで、利用者代表の方との協議に入っているということでございます。そこについては実態等、これは時間が変わりますと実態というのは変わりますので、そういう実態を教えていただきながらどういう規定にしていくかという課題であろうと思います。
 それからもう1点は、これは私どもでさばききれる話ではないのですが、韓国の楽曲などについての権利の競合という問題が実際に出てきております。これは調べてまいりますと、やはり韓国国内での二重譲渡であるとか、そういうところに端を発しているところがあって、それが日本の中での利用、しかも著作権の手続きをするうえで問題になっています。これは演奏だけではなくて、配信であるとか、放送においても同様の権利競合という現象が起きており、利用者の方が困っている問題がございます。

(土肥主査) 寺島委員、どうぞ。

(寺島委員) 脚本家連盟ですけれども、私どもはNHKさんと民放連さんとしか団体協約は結んでおりません。そして、ほかのプロダクションとは使用契約を結んでいるのですね、映連とか、ATPさんとか。それからそのほかにCATVだけは、これはまったく独自に使用料を集めておりますので、これはCATVとの契約を始めた時に昭和40年代の初めですけれども、その頃俳優さんの団体、それからもちろん文芸は3団体、文芸家協会、シナリオ協会、それからJASRAC(ジャスラック)さんだけ別だったかしら。一緒。じゃあ、JASRAC(ジャスラック)さんとみんなご一緒にCATV同時再送信の契約を結びました。これはご参考までに申し上げるのですけれども、実は昭和45年頃結んで今日までずっとCATVの契約を結んでおりまして、2年くらい前、去年かな。去年、成田ケーブルとか何とかケーブルとかというような2社か3社が、要するに実演家は権利がないじゃないか、著作権法の上で。それなのに入っているのはけしからんというのを実は実演家さんと、それからJASRAC(ジャスラック)さんにはJASRAC(ジャスラック)さん独自で音楽だけ、われわれとご一緒じゃない独自な契約があるのですけれども、その使用料が高いと裁判を起こしたわけですね。
 JASRAC(ジャスラック)さんのほうは別として、私はああと思ったのは、その時に確かに実演家の方は権利がないのだから、とても無理だと、恐らくこれは負けるだろうと思っておりましたし、文化庁さんにご相談した時にも文化庁は負けるとおっしゃったのですけれども、意外とこれが勝ったのですね。つまり、著作権法に書いてあることよりも、契約をした、その契約を裁判長は重く見たわけです。そして、それは45年頃から契約をきちんと結んであるから、ぴしっと守られたのですね。その時、私は、ああ、そうかと思って、大変ある意味では感動しました。
 正直言って、うちなんかはどっちみち原著作者の権利を持っていますし、常に著作権法の裏打ちをもって契約をしていくのですけれども、そうじゃなくても契約で取ることができるのだなということがわかりました。ですから、ほかの団体にご参考になるかと思って申し上げておきます。以上です。

(土肥主査) 今の点ですか。

(椎名委員) 非常に重要なご指摘をいただいたと思います。契約がいかに有効であるかということなのですが、ただ1点、実演家に権利がないと先生は明言されたのですが、これは権利がないということではなくて、法できちんとそれが手当てされていない部分を契約が補っているということで、それを実演家は権利がないというふうに明言されてしまいますと、また文化庁もそういうふうな見解だったという言われ方をしますと、非常にこれは今後問題になっていくと思いますので、そこだけちょっと申し上げたいと思います。

(寺島委員) →はい。ただ、著作権法には書いてありませんからね、実演家の有線同時再送信の権利はないと。

(椎名委員) 権利がないということではないと思うのですね。

(寺島委員) もちろんそう思っております。

(椎名委員) そこだけちょっと。

(土肥主査) 今の点、よろしいですか、皆さん。要するに92条の2項でということの話ではないのですか。有線放送事業者は、放送権というものは、実演家は制限される。そういう話の文脈の中での話ですよね。
 そういうお話もありましょう。それから、ほかにただいまのお2人のお話を伺って、本小委員会として何かご意見等があれば、ぜひこの際に出していただく必要があろうと思うのですけれども。
 つまり逆にいうと、現行の著作権法上、著作権法なり、あるいは管理事業法等で問題はないということになりますか。

(菅原委員) ちょっといいでしょうか。この小委員会の中でも、例えば実演家の裁定についてどう考えるかという議論があったかと思います。そのもとにありますのが、今日椎名委員のほうからプレゼンをいただいたところで、例えば契約書を交わしているのが一部の−−−だと。さらに舞台であると、二次利用というものをどう考えているかということで、一応別途契約が動いているというお話だったのですけれども、これがもし時間がたった時に例えば実演家の方が行方不明になってしまうとかというところの関わりが出てくるのだろうというふうに思います。そうするとそこを、なかなか最初から二次を前提としてということは難しいのかもしれませんけれども、そういう少なくとも情報をどう整理して確保しておくかとか、そういうことがこういう流通等に関して検討すべきことであろうかというふうに思います。

(土肥主査) そこにはワンチャンスに入っていないからということになりますよね。

(菅原委員) そうですね。

(土肥主査) それの話に関しては、前回か前々委員会で皆さんのご意見は盛り込まないということになったような気がするのでけれども。これは今日の議題でまた後で出るところではあるかとは思いますけれども、裁定制度の問題に関しては、またそこで出していただければと思います。ほかには? 上原委員、どうぞ。

(上原委員) まず先に整理するために確認させていただきたいのですが、先ほど芸団協の大和さんのほうからお話のあった約款のイメージと自民党さんの小委員会のお話ですが、その時に民放連等が出ていたということですが、その時の話は舞台に関する話ではなくて、実演家の実演全体についての話で、舞台に関する約款について実際に私ども民放局が実演家団体から具体案を提示されて話し合ったという記憶は、ちょっと今のところございません。今日のテーマは舞台公演になってますので、実演全体に関する約款から始まってそれが舞台公演のほうにもつながって使えるのではないかというイメージで話されているのだと思いますので、そこだけ1つ整理をさせていただきたいと思います。
 それからもう1点、先ほど主査のほうから管理事業との関係でお話がありましたが、これも芸団協さんのほうもそうですし、それから山本常務理事のほうもそうだと思うのですが、今のお話でもありましたように、非常にパターンが舞台公演だとか、いわゆるコンサートなどの場合にはバラバラなので、いわゆる一任型の管理になじまない状況が非常にあるので、現在まだその管理事業法の枠組みの中でものを考えようかというところまでなかなか進んでいない状況にあるというふうに私、理解しているのですが、そういう理解でよろしいでしょうかということを、ご両者にお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

(土肥主査) これはどちらから。じゃあ、椎名委員から。

(椎名委員) まさにご指摘のとおりでございまして、これ今、今回に当たっていろいろ調べていくうちに、とりあえず著作物としての利用、二次利用なりという場面での取り決め以前の問題が山ほどございまして、今日挙げたのはほんの一例なのですが、拘束時間の話とかという、いわゆる労働条件に関わるところでまだ手一杯である。なおかつ舞台公演を二次利用しようとすると、照明が真っ暗けになっちゃって、真っ暗いDVDになっちゃうとか何とか、そういうようなこともいろいろある段階で、まだ一任型で契約を担保していくための権利処理みたいなことというのは考えにくいのではないかなと、ご指摘のとおりだと思います。

(山本理事) まったくコンサートのほうの状況も同じでございまして、椎名委員のほうの資料にもありましたけれども、端的に「あなた方の契約は」というと、ほぼ80%は「頼むね、わかった」という、この二言で済むような形がまだまだ多い。当然覚書、こうこうこうという図面はありますけれども、契約書が締結される前に物事が始まっているということはごまんとありますし、実は上原委員がおっしゃったように、じゃああなた方のことを1枚の紙にまとめてくださいといわれたら、まずできないなと思います。ですから、今日の形も大きく分ければみたいな形のご説明にならざるを得ないというところでして、本当にケース・バイ・ケース、その土地、そのアーティスト、いろいろな条件によって変わらざるを得ないというのが実情であります。

(土肥主査) ありがとうございました。この後、また著作契約のあり方についての検討という、そういう機会もございますので、本日のご説明に関するご質問、ご意見、そこの部分は一応ここまでということにさせていただきます。
 山本常務理事におかれましては本当にありがとうございました。
 それでは、先ほど少し申し上げた「著作権契約のあり方等に関する検討報告」、この問題に入りまして、先ほどご議論いただいておったような問題も引き続き検討できようと思いますので、このことについて事務局から説明をお願いいたします。

(木村補佐) 恐れ入ります。本日配布の資料の3「著作権契約のあり方等に関する検討報告(骨子案)」をご覧ください。
 前回、さらに今回、検討を行なってもらっておりますこの著作権契約等のあり方につきましては、これまで関係業界におけます契約システムの実態等について説明をいただきまして、検討を重ねてまいったところでございます。今後、著作権分科会等への報告なども見据えながら、この著作権契約のあり方等についての検討報告といったものをとりまとめていく必要がございまして、前回の検討における意見なども参考にしまして、事務局においてその方向性等をとりまとめて骨子案という形で作成してみたものが、本日の資料でございます。
 この骨子案を検討のたたき台としていただきまして、本日の検討内容も含めましてさらに肉付けして、検討報告案という形でとりまとめていただければと考えています。資料の骨子案の内容について、簡単に概略をご説明させていただきます。
 まず骨子案の中で大きく項目を3つほどに分けてございまして、1つが検討の目的、2つ目が現状の紹介及び分析、そして3番目に検討結果という形で案を作ってみたところでございます。
 まず、1の検討の目的でございますが、その望ましい契約システムとは何か、またそれを実現するためにはどのような方向で取り組みを行なうべきかということについて、この中では検討を行なったことを書いてあります。
 そして、2つ目の現状の紹介及び分析についてですけれども、まず1つは契約システムが比較的整備されている例といたしまして、放送業界、音楽出版業界などがあったかと思います。
 そして意見の中では、放送番組のブロードバンド配信事業者への提供が進まないといったことについては、その契約のシステムの問題ではなく、市場が未成熟であったためであるというような意見が多く挙げられておったかと思います。
 また、逆に契約システムに改善の余地がある例といたしましては、写真とか映画製作の業界に関する指摘があったかと思います。そういったものを示してみました。
 そして1枚おめくりいただきまして、検討結果についてございます。望ましい契約システムを実現するため、どのような方向性の取り組みを進めたらよいのか、案として示してみました。
 5つほど項目を示させていただきましたが、1つは書面による契約の促進、そして2つ目といたしましてコンテンツの製作者等と著作者等の双方が納得できる契約内容の策定、そしてまた1枚おめくりいただきまして、著作権等管理事業等の活用、4つ目が権力者所在情報の提供、そして5つ目としまして国内外の事例の研究。こういった取り組みが考えられるのではないかと思っております。
 また2頁目に戻っていただきまして、その内容でございますが、まず(1)の書面による契約の促進でございますけれども、この中では事後的なトラブルの防止等から書面契約の普及に努めることが重要であるということ。そしてコンテンツの二次利用の円滑化を図るために、この書面による契約等の促進といったものが重要な事項であること。こういったものを述べております。
 次に(2)のコンテンツの製作者等と著作者等の双方が納得できる契約内容の策定でございますけれども、この中では2つほど示させていただきました。
 1つが協同組合等のスキームを活用した契約条件の策定でございます。著作者等の組織化を進め、製作者等と権力者団体の協議を通じた契約条件づくりを進める方法といったものも考えられまして、その中小企業等協同組合のスキーム等の活用、こういったものも有効ではないのかということを示しております。
 2つ目ですが、契約書のひな型の作成及び普及でございます。これは権利者団体や製作者等の団体が契約書ひな型を作成しまして、関係者間に普及させるといったこと。こういったことは書面による契約の促進にとり有効であります。また、ひな型の普及といったもの、これは業界のルールになるという効果、契約交渉のコスト軽減、将来の利用に関する条項等の契約もれの防止等、このような利点が考えられると思っております。ひな型作成の際には、契約当事者双方の立場を代表した関係者間の協議、こういったものが望まれるといったことも示させていただきました。
 また1枚おめくりいただきまして(3)ですが、著作権等管理事業等の活用でございます。この中でも2つほど示させていただきまして、1つが一任型管理事業の普及による契約の円滑化、2つ目が著作権等管理事業法に基づく使用料の設定でございます。
 1つ目の一任型管理事業の普及による契約の円滑化でございますが、管理事業者が一括して著作権等の管理を行なうといったことは、コンテンツの二次利用に関する契約の円滑化、こういったものを図ることになり、コンテンツの利用機会の拡大をもたらすものであるということ。そして例示といたしまして、例えば放送、通信カラオケ、着メロ等では有効であったのではないかということ。そして今後予想されますブロードバンド配信事業の拡大、こういったものを考えますと、映像実演やレコードの分野での活用が望まれるのではないかということです。
 2つ目が著作権等管理事業法に基づく使用料の設定でございますが、著作権等管理事業法により使用料設定の仕組みが整っておりまして、その円滑な利用秩序を早期に形成するためには、このような仕組みを有効に活用する必要があるのではないかということを示しております。
 そして4つ目、(4)でございますが、権利者所在情報の提供でございます。著作物等の利用に当たりまして、権利者の特定を容易にするため、各権利者団体等が協力して権利の所在情報を体系的に整理し、利用者に提供できる体制を整備すること、こういったことが重要であるということでございます。
 そして最後に国内外の事例の研究ですが、今後コンテンツの利用方法の多様化、また国際的なコンテンツ流通の機会の拡大、こういったものを考えますと、わが国の契約のあり方を検討することは引き続き重要な課題でありまして、国内外の事例の収集分析が必要であろうということを最後に示させていただきました。
 およそ概要はこのようなものでございますが、これまで議論いただいた内容と、本日の舞台公演がコンサート事業の実態等を踏まえまして、さらに盛り込むべき内容等につきまして、どうぞご検討いただけますようよろしくお願いいたします。以上でございます。

(土肥主査) ありがとうございました。ただいま説明にございましたように、まだ3頁ほどの検討報告骨子(案)でございまして、いわゆるここでの議論のたたき台トシテ出ておるものでございます。したがいまして、例えば本日のご意見等はこの2.の辺りはまだ入っておらないわけでございまして、あるいは従来の議論の中で出てきたような意見、こういったことについてのもれも若干あろうかと思っています。
 これにつきまして、例えば先ほど上原委員のご発言等辺りについては、(4)辺りのところに入ってくるのかなと思うのですけれども、時間的にはまだ少し余裕がございまして、別に本日完全にまとめる必要はないわけであります。ただ、ご意見をお出しいただくというのは非常に重要なことだと思いますので、ぜひお願いしたいと存じますけれども。山本委員、ありますか。はい、お願いします。

(山本委員) この検討結果のところはよくまとめていただいているなと思うのですが、1点だけちょっと気になるところがありまして、(2)の1の真ん中のところなのですが、読みますと、「このような場合、相対的に競争力が弱い著作者等の側としては、当事者双方が納得できる契約内容を策定するために、著作者等の組織化を進め、例えば製作者等と権利者団体の協議を通じて一定の契約条件づくりを進める方法も積極的に考える必要がある」という、この末尾の「積極的に考える必要がある」という意味が、どういう意味なのかなと。
 といいますのは、二様にとれまして、1つは積極的に考える必要があるので、国がこういう協同組合法みたいなものを検討していく。国の責務として必要だという意味なのか、あるいはこの著作者等の側として、そういうことを積極的に考えなさいよという助言なのか、両方にとれるのですが、ちょっとまず国の責務として考える場合には本当にそこまで言えるのかなと。この状況の中で交渉力が、基本的にはこういう問題というのは市場原理の中で当事者の交渉で決められるべきもので、国が介入していく必要があるのかというのはかなり慎重に検討しないといけない事柄であって、国の措置としてこういうのは検討が必要だというのは、今までの議論に基づいてだけだったらちょっと言い過ぎじゃないのかなというふうに、まず思います。
 じゃあ後者のほうの、著作者等に対してそういうのを考えなさいというのは、という趣旨だと考えると、それもちょっとお節介すぎるんじゃないのかなと思います。
 したがって、ここのところはこういう方法がありますよというご趣旨じゃないのかなと思いますので、そういう勧める方法も考えられるという程度で、こういう方策もあるという問題提起といいますか。その程度に留めておくべきではないのかなという、この点だけちょっと気になりましたので、検討してください。

(土肥主査) はい。最終的にこの検討報告案がどういう文章になるのかというのは、全体の委員のご意見で決まることになると思いますけれども、少なくともここの部分は恐らく山本委員がおっしゃるようなところで。というのは、協同組合のこういうスキームというのはあまり出てないですよね、ここでは。ですから、これは事務局から入れられているのだろうと思うのですけれども、趣旨としてはどういう趣旨でお入れになったのでしょうか。

(川瀬室長) 今、山本委員のご発言の中の前者のほうはまったく考えていません。ヒアリングの結果、分野によって契約システムが機能していないというプレゼンテーションもございましたが、それを機能させるためには機能していないと言うだけでは駄目で、やはり著作者側のほうが交渉能力を持ってルールを作っていくのが大事だろうということで、こういう表現にさせていただきました。ここは特に表現にこだわるものではございませんので、委員のご意見を踏まえて修正したいと思います。
 なお、協同組合のスキームにつきましては、寺島委員のほうから、寺島委員の母体の協同組合の日本脚本家連盟では、団体交渉権を活用されて現にルールを作っておられ、円滑にそれが機能して作者の権利が、十分かどうかは別にしまして、他の分野に比べれば守られているというご紹介もございましたので、例えばということでこの記述にさせていただきました。

(土肥主査) ありがとうございました。山本委員のご質問に対してはそういうことのようでございますので、またこれは最終的にはまとめの段階で検討させていただきますが、ほかに、石井委員、どうぞお願いします。

(石井委員) 今の検討報告骨子案に対することですが、気づいた範囲でいくつかご指摘をさせていただきたいと思います。
 まず1枚目、現状の紹介及び分析のところですね。2つ目のパラグラフで、「放送業界においては」とありますけれども、その中で「番組制作にあたり関係権利者と当該番組の二次利用を含めた契約を締結している例は少ない」とありますが、私ども実際に契約する場合はほぼ例外なく二次利用について書いております。出演料の契約、まず出演者からいきますと、出演料の契約と二次利用、これが大きな柱になっているというふうに考えております。
 それからその後、「放送番組のブロードバンド配信事業者への提供が進まない」とあります。これはよく進んでいないといわれるのですけれども、最近は民放各局におかれましても、いろいろと事業展開を考えているようでありまして、何をもって進まないと、どのようになったら進んでいるといわれるかというのが、若干不明確ではないかと最近思うようになってきております。私としてはある程度進進んできている面もあるのではないかという認識も持っております。
 それから2枚目でございますけれども、(2)の1のところ、山本委員のご指摘のされましたところでございますけれども、3行目でございます。「相対的に交渉力の弱い著作者等」、恐らくこれは著作権者、隣接権者とあると思うのですけれども、本当に相対的に交渉力が弱いのかどうかということ。何をもって弱いとされているのか、私の実感でいきますと、どっちが弱いということなく、お互いに対等の立場でお話をさせていただいているのではないかというふうに認識しております。以上でございます。

(土肥主査) はい。ご意見ということですよね。わかりました。ほかにございますか。はい。

(森田委員) 検討結果の整理の件で先ほどからいくつか意見が出ていますけれども、これを読みましてわかりにくい理由は、内容面と主体面と両方にあるかと思います。
 まず内容面ですが、(2)の12ですけれども、1のほうは当事者の一方が相対的に交渉力が弱い場合には、組織化といいますか、集団化を図ることで交渉力を回復する必要があるということと、そのための手段として中小企業等協同組合のスキーム等を活用することが書かれていますが、中小企業等協同組合のスキームというのは、交渉力を回復する手段の1つであって、ほかにもいろいろな手段がありうると思います。そうしますと、1の見出しが「協同組合等のスキームを活用した」となると、最初から細かい話になりすぎているように思います。そうではなく、いわばまず大きな方向として組織化を進めるかどうか、集団化ないし集団的な処理の方向でやるというということと、そのための方法としてはどういうものがあるかという2つのレベルを整理したほうがわかりやすいのではないかと思います。
 それから2のほうは、「契約書のひな型の作成及び普及」ということですけれども、今日のお話を聞いておりますと、契約書のひな型のほかに、約款による方法というのも出されているかと思います。両者の違いというのは、契約書のひな型だと書面で契約を結ばないといけないけれども、約款の場合は契約を結んだときに書面がなくても約款を契約内容にするということはあり得るわけです。例えば、電車に乗るときに書面で契約を結ばないわけですけれども、約款によるというのが通常の意思であるということになると、約款が契約内容に取り込まれます。そういう形で書面によるひな型を普及させなくても、約款を作成することによっても契約内容の制度化を図るということもあり得るのではないかと思います。そうなりますと、2においても、契約書のひな型だけを取り上げているというのは、何かここで検討している内容から見るとやや狭いように思います。
 したがって、12それぞれをもう少し大きなところで問題をとらえた上で、個別にそれを実現する具体的な方法として何があるかという形で整理をしたほうが、ここでの検討結果を反映させるという意味ではわかりやすいのではないかと思います。
 それから主体面なのですけれども、先ほどの(2)1の「積極的に考える必要がある」というのは、誰が考えるのかという主体が抜けているのがわかりにくい原因だと思います。つまり、当事者が考えてくださいということなのか。そうしますと文化庁としてこの問題については取り組むというわけではない、それは文化庁の問題ではありませんよ、という趣旨なのか。それとも、文化庁としては、こういうことを当事者が進めたいと考える場合には、そのプラットホームといいますか、場の整備として何か支援をすることを考えるということなのかどうか。
 それから(3)の1についても、「活用が望まれるところである」というわけですけれども、一任型が法律によって義務づけられているわけではないので、これもどちらでやるかということ自体は当事者が選ぶことだと思いますが、そうしますとこれは文化庁としてこの問題について何かするというよりは、一任型管理事業が普及してくれればいいな、というふうに希望しているということなのか。そうではなく、積極的に文化庁として何かやるということなのか、その辺りがはっきりしていないように思います。全体としてこの報告書の内容ですが、文化庁としてどうしていくかというスタンスをどの程度ここに織り込むかということにも関わってきますが、その辺りが曖昧だと、これはいったい誰に向けられていて、誰がどうするかということなのかということがわかりにくいわけです。
 契約の問題だと、第一次的には当事者の問題ですが、いったんここで検討結果としてまとめる場合には、そういうある意味では他人任せのようなことだけでいいのかという点も問題になるかと思います。その辺り、いずれにせよ明確にする必要があるのではないかというふうに思います。

(土肥主査) ありがとうございました。主体の点はもちろんおっしゃるとおりですけれども、最終的にこの委員会で例えば文化庁辺りにその支援のためのステージを作るようにとかいう意見が皆さんでまとまれば、そういうふうになるのだろうと思うのですけれども、それはなかなか難しいだろうと思いますが、主体の問題、おっしゃるとおりです。
 それからひな型と約款について書き分けてないのは、やはり今日出たものですから、まだ盛り込んでないというだけの話だと思いますので、今後はそこは当然入ってくるだろうというふうに思います。
 どうぞ、ほかにご意見。はい、寺島委員。

(寺島委員) さっき個々の著作者の問題がちょっと出たのですけれども、個々の著作者というのはどっちみち弱いのですよ、利用者に。それはもう絶対的に弱いのです。かなり強いと思える人でさえ、決して強くありません。例えばうちでいえば橋田寿賀子とか倉本聰とかいったって、連盟がばっちり支えるから通っているのであって、個人に任せたらろくな契約を結びっこないわけです。だからこそ、われわれは団体を作った。われわれは文芸に関しては恐らく今以上に団体協約を直すところはないと思っています。
 著作権法に書いてあったからといって、利用者がいくら払うかなどということは書いていないのですから、だからそこは何を使ったかというと協同組合法を使った。ここにいらっしゃる方は協同組合法というのをあまりご存じでないだろうから漠然と考えてらっしゃるように思うのですけれども、要するに9条です。
 中小企業等協同組合法には9条に、この契約によって契約を結んだら下回る個人契約は全部この団体契約に読み替えることができると書いてある。それが欲しいから、うちは中小企業等協同組合法による協同組合にした。著作権法は結構ですよ。今まで以上のものを何も望んでいませんけれども、あってもそれだけの具体的な力はどこにも書いてないわけですから。ですから、うちは協同組合法による団体協約にしたわけです。

(土肥主査) ありがとうございました。相対的に交渉力が弱い云々、ここのところはいろいろ立場によって見方もありましょうけれども、確かに先生がおっしゃるように。

(寺島委員) もう個人は弱いですよ。

(土肥主査) かもしれませんよね。最終的にこの文章がそのままというわけでは決してないのですけれども、今の段階ではそういういろいろご意見をいただくということになろうと思いますので、ぜひ。じゃあ先に手を挙げられた佐々木委員、どうぞ。

(佐々木委員) (4)の権利者所在情報の提供でございますけれども、われわれ利用者からいたしますと、「利用許諾契約を結ぶべき権利者の特定に困難を伴う場合が少なくない」とあって、そのとおりの部分、状況が多々あるわけでございますけれども、これはやはり何らかの理由によって、今の情報化社会の中でも情報が欠落しているということが多々出てくる。その場合にどういうふうに利用者から見ますと、単に組織化された団体の権利の所在情報が??背景からエスケープ??されただけで足りるのかという部分ですね。どうしても何らかの理由で消されて−−部分についての権利者とのアクセスといいますか。利用者からすると、使用料の円滑な支払いと利用の促進に結びつくような施策というものが??あるいは??ないかどうかというところが、関心のあるところでございまして、もう一歩踏み込んで単に提供で終わっているということではなくて、もう少し一歩進んだ研究をするというか、そういう文言になると前進するのではないかなという感じはいたします。

(土肥主査) 恐らくそこは一歩進んだところに行かないということでは決してないのであって、最初はこういうところから始めようということなのだろうと思うのですけれども、わかりました。それから、上原委員も手を挙げられたと思いますけれども。

(上原委員) 意見という感じで2点ほどですが、先ほど寺島先生のほうからお話がありましたが、特に脚本家の方の場合は先生おっしゃるように、向き合っているところが決まっている業界、ある程度決まっている業界ですので、立場上の問題というのは非常にわかりやすいところでございますが、他の著作権者の分野におきましては、必ずしも業界というのが決まっている中で動いているとは限りませんので、そういう著作者の場合には著作者のほうが強いケースというのがないわけではないということでございますので、この辺の書き方はその辺をちょっとわかりやすく書いていただいたほうがいいのではないかというふうに思います。
 それともう1点、2頁目の(2)の2の契約書のひな型の作成及び普及の辺り、これは先ほど森田委員のおっしゃられたとおりで、ちょっとかぶってくるようなことになろうかとも思いますが、一応ひな型自身が有効であるということについては、今までも議論が進んできたところだと思いますし、それ自体を否定するつもりはまったくないのですが、逆にいうと、いわゆる団体がうまく組織されて、その団体がうまく回転している中でそこの団体としてのひな型なり、あるいは約款なりができている場合というのは、大変流れとしてうまくいくのだろうと思うのですね。ところが逆にいうと、団体としての流れが出来ていないような時にひな型が先行するような形になりますと、かえって個別の事例の部分でやりにくくなる。
つまり、ひな型を作成しても、契約を結ぶ当事者のレベルにより大いに差が出ます。非常にあっさりしたひな形でやりますと、そこを埋めていくことによってフレキシビリティを持てるのですが、そうだとすると日常的にあまり契約をされていないところでは、あまりそれは使われないのではないだろうかという心配がございます。
 一方で非常に細かいのが使いやすいといって作ってしまいますと、フレキシビリティが失われる。まさに今日ありました舞台だとか、あるいは公演だとかというのは、バリエーションが非常に多々ございますので、ひな型が必ずしも有効とは限らないというので約款という話もございましたし、ひな型の利用ということもかなり有効な1つの手ではあるけれども、またそれは一方でフレキシビリティを失う、縛ることになりますと、かえって流通についてやりにくい部分が出てくるかと思いますので、この辺の書きっぷりも少しご工夫をいただいて、一方的でない、一方向でないような書き方にしていただいたほうがいいのではないか、というふうに思います。よろしくお願いいたします。

(土肥主査) ありがとうございました。さまざまな意見を頂戴しましたけれども、ほかにございませんか。じゃあ松田委員。

(松田委員) 今まで出た議論の中の??対立??するような意見でないので大変恐縮なのですけれども、実は私はこの小委員会の場でも、昨年、一昨年辺り少し言っていることがございまして、なかなか採用されないのでもう1度言わせてもらいますけれども、現行著作権法は契約に関する規定というのはもう63条しか私はないのではないかというくらいに思っております。
 しかし近年の議論を見てみますと、ライセンス契約とはいったい何だろうか、利用者への利用許諾契約ですね。何だろうかという議論から始まっておりまして、そしてそういう契約が不安定であるということは指摘がされているわけです。その不安定のことをどうやったら解消できるのだろうかというふうになっています。
 それから利用形態の中で、物権的なものの設定というのは実は私物権の譲渡を除けば、出版権の設定契約しかないのですね、物権的な設定というのは。物権的設定も場合によっては増やして、特許法によるところの??占用に??私権的なものの考え方を入れたらどうかというふうに私は思っているのですね。そういう契約をどういう条件で結んだらいいかというのは、どういうところの中で決めるかというのをやはり考えなければいけないのではないかと思います。
 それからライセンシーの立場でも、少なくとも何か地位が侵害されるということは往々にしてあるわけです。それからライセンサーに対しての権利義務関係を著作権法だけで考えていくというようなことになりかねないものですから、それはもう少しきめ細かくしたほうがいいのではないかなというふうに思ったりしています。
 それから人格権の問題ですけれども、人格権は特に今、外に出て研究所のほうで、著作権研究所のほうで研究が進んでいるわけですけれども、それは立法の提案を含めて、視野に入れて報告書を書くということになっておりますけれども、その中にはやはり人格権契約、これは変なあれですけれども、人格権に関する契約の問題が必ず出てきておりまして、何らかの形で規定に入れたほうがいいという意見が出ているわけですよね。あまりそれについては反対はないわけですね。
 そうすると、そういうものについて考えてみますと、どうでしょうか。著作権のほかに著作権物権契約と著作権債権契約ということをまとめた著作権契約という契約法というのがあってもいいのではないかというふうに思っているのですが、いかがなものでしょうか。少なくともそうなれば大改正ですから、著作権法の改正と同時にでなきゃ絶対できないと私は思っていますけれども、しかし著作権法、著作権契約法を検討することをそろそろ始めたらどうかとか、ないしはこの前の人格権みたいなやり方で外に出して研究者に研究させる。こういうことをこの委員会で決めていただくというのはどうかなというふうに思っていますが、どうでしょうか。

(土肥主査) 寺島委員は今のご意見に何か。

(寺島委員) 今おっしゃった中で、1つそれは冗談じゃないと思いましたのは、実際に契約というのは実務ですからね。知らない人が出てきて理屈言われたって困るわけですよ。それで、ですからその辺をきちんとお考えにならないと、著作権法で私は全部そんな契約のことまでやろうというのは大変難しいのではないかと思うし、やるのだったら中小企業等協同組合法にあるように、私契約よりも団体協約が優先するみたいな、そういうのだったらはっきりしていますけれども、著作権法にどういうふうに書き込むことができるのと大変疑問に思いますね。

(土肥主査) これ、日本の著作権法のご紹介になった規定が非常に十分でないということは恐らく定説ではないかなと思うのですけれども、ドイツなどでも著作権法についての利用の部分についてはできた時から不十分であるので、そこは手を入れるということは立法の経緯の時から、最初からあって、先般少しあったというようなことも聞いておりますけれども、日本についてはそういうことは一切昔のままでですね。
 ただ、松田委員のご意見の部分ですけれども、現在法制小委でやっていますよね。そこの中で入れば、ここでは盛り込まなくてもいいというご趣旨なのか、あるいは両方で書けというご趣旨なのか。

(松田委員) それはもう書いてくれれば。特に外に出すということくらいは書いてくれれば結構です。

(土肥主査) わかりました。これは時間的なまだ余裕があるところでありますので、もう1回次の場がありますので、また1回事務局で少し考えてみてください。今のところはご意見ということで承るということでよろしいですね。
 それでは、この問題についてはまだございますので、本日の2つ目の話に入らせてください。それから先ほどの検討の問題ですけれども、ご意見等がありましたらメールで事務局にどんどん出していただいて、そこで事務局で再度まとめるということにしておりますので、できれば締め切りの関係もありましょうから、できれば1週間とかそれくらいの期間の間で事務局にメール等で提出していただく。こういうことにさせてください。
 それで今日の議論、あるいはたたき台のペーパー、あるいはメール等で追加的に出された意見を踏まえて、再度著作権契約のあり方等に関する検討報告(案)ということで次に出すけれども、事前に委員のお手元には配らせていただく。こういうふうに考えておりますので、そのような段取りで進ませていただくことをご了解ください。
 それで2つ目の議題の「裁定制度に関する検討報告」ですけれども、これは修正案について事務局から説明をいただくのですね。じゃあ、お願いします。

(木村補佐) それでは恐れ入ります。「裁定制度に関する検討報告」の修正案につきまして、ご審議をお願いいたします。
 この資料につきましては、この会議の前に各委員宛てに修正案を送らさせていただいております。ただ、その時には法制問題小委で出ました意見を反映した部分についての資料のみをお送りいたして、法制問題小委員会で行ないました意見募集の結果等、これについてのご報告をまだ行っておりませんでした。まだ整理中だったということもございまして送れなかったのですが、本日、意見募集の結果概要もまとまりまして、それを踏まえた検討も併せてお願いしたいと思っております。
 それでは資料のほうですけれども、まず資料の4をご覧願います。この資料の4ですけれども、法制問題小委員会から出された意見の概要でございます。この意見の詳細等につきましては、本日参考資料1の議事録、あと参考資料2の審議の経過の中で示しておりますので、後ほどご参照いただければと思います。まず資料4の意見の1つ目でございます。
 裁定制度に関する検討報告についてなのですが、「実演家の権利に関する裁定制度と国際条約の関係に関する記述がわかりにくい」というご意見が、法制問題小委員会の中でございました。これを踏まえまして修正個所のほうですけれども、資料6を恐れ入りますが、ご覧願います。
 この資料の8頁のところの(2)実演家・レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約のところでございますが、この真ん中辺りですね。ここに関係します規定、条文等を具体的に示させてもらいました。そして見え消しの状態で書いてありますけれども、このような修正をさせてもらっております。
 そして併せて実演家の権利のことにつきまして、8頁の本文の下のところですけれども、注釈のほうも加えさせていただいております。
 また、このことに併せまして、14頁目のところですが、ここのちょうど真ん中の辺りです。ここでも具体的なものがわからないということで、この関係します条約、8頁のところを参照いただきたいということを書き加えさせていただいております。
 次にまた恐れ入りますが、資料4をご覧いただきたいのですが、意見の2つ目でございます。「情報化時代において、著作物は可能な限り利用される方向で見直すべきであり、特に著作者不明の場合の裁定制度は、より利用しやすいシステムを模索し、より一層具体化に努めるべきである」という意見が出されておりました。
 これを踏まえまして修正個所のほうですけれども、恐れ入りますが、また資料の6をご覧いただきたいのですけれども、ここの11頁目でございます。
 これは検討結果の中の著作者不明等の場合の手続き面の問題のところでございますが、11頁下のところでございますけれども、今後もこういった見直し等進めていくわけですが、それに取り組む姿勢を強調するためにこのような形で書き加えさせてもらったのですが、下線部分です。「当面はこの手続に従い、裁定事務を行なうことで問題はないと考えるが、裁定事務の実施の過程で実務上の問題点が生じた場合、手続の見直しを行い、より利用しやすいシステムの構築を図っていく必要がある」というものを書き加えさせていただきました。
 恐れ入りますが、資料の4でございます。次に意見の3でございます。「著作物を放送する場合の裁定制度(第68条)について、現在まったく使われていないため、議論の実益は少ないが、ブロードバンド時代、あるいは仮に将来的に、インターネット放送が著作権法上の放送となる時代がくると、果たして現在のように、公益上の理由から放送局にこのような特権を与えてよいかという議論が起きるであろう」という意見が出ております。
 この意見につきましてですが、将来の展望等に関係しまして述べられた意見というふうに理解しておりまして、貴重なご意見としては受け止めさせていただきたいと考えておりますが、今回の報告書では特に変更しない方向で考えさせていただければと思っております。
 以上が、法制問題小委員会で出ました意見概要、またそれを反映しました修正個所についての説明です。
 次に恐れ入りますが、資料の5をご覧ください。この資料の5ですけれども、これは法制問題小委員会が契約・流通小委員会からの裁定制度に関する検討報告、これも含めて取りまとめました「法制問題小委員会審議の経過」というものがございます。これに対しまして9月8日から10月7日まで意見募集を行ないまして、寄せられた意見の概要をまとめたものでございます。
 法制問題小委員会の審議の経過に対する意見はかなり膨大な数がございまして、そこの中から裁定制度のあり方について、ここに関係する意見だけをまとめさせてもらっております。主に出ている意見でございますが、簡単にご説明させていただきます。
 資料5のところですが、まず裁定制度のあり方について、著作権者不明の場合の裁定制度でございます。「実効性のある弾力的な供託制度への見直しや補償金制度の創設を希望する」というような意見が出ております。
 1特定機関による裁定の実施についての意見ですが、「特定機関による裁定の実施は将来的には必要であり、その場合の特定機関のあり方を議論してほしい」ということです。
 2の著作権の制限規定の対応ですが、「特定分野の再利用等について、著作権の制限規定での対応に反対」するという意見が出ています。その理由として以下のようなものが挙げられております。
 3の手続き面についてですけれども、ここは「『相当の努力』の要件を緩和すべき」との意見、またその反対に「『相当の努力』の要件を厳格化すべき」というような意見が出ております。また「相当な努力の要件」についてですが、「『弁護士』『司法書士』『行政司士』の証明、または報告書などを付すこと」としたらどうだろうか、というような意見も出ていました。
 次に(3)の著作物を放送する場合の裁定制度です。この意見でございますが、「存続を望む」ということについて賛成ですという意見が出ております。
 次に(4)の商業用レコードへの録音等に関する裁定制度です。これについての意見といたしまして、「公衆への提供をする場合だけでなく、趣味等のため廃盤になったレコードを特定少数に配布する場合、もっと安価で簡易的に利用する制度とすべき」であるというような意見が出ております。
 1枚めくっていただきまして、(6)の新たな裁定制度の創設についてです。これについての意見ですが、著作権法第67条につきまして「著作隣接権についても拡大すべき」であるという意見、「実演家に関する裁定制度について、引き続き検討してほしい」という意見、「居場所がわからない実演家に対しては権利制限が妥当」であるという意見、「実演家に関する裁定制度は、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約に抵触していない」というご意見、また「国際条約に反しない範囲で、著作隣接権者の個別の許諾なくしてレコードをインターネットラジオで『放送』することができるように、強制許諾制度を導入すべき」というような意見が出ております。
 そして、これらの事項に重複して出ている意見といたしまして、これは6の(2)著作権者不明等の場合の裁定制度、そして(6)の新たな裁定制度の創設について関わる意見としまして、「フォークロアに対する裁定制度を創設すべき」というものがございました。これらの意見につきまして、今ここでは概要として示しておりますけれども、具体的に提出されました意見につきましては、参考資料の3のほうに提出された意見をそのまま載せておりますので、後ほどご参照いただければと思います。
 これらの意見について最後でございますが、これらの貴重な意見につきましては、しっかり受け止めさせていただきたく思っておりますけれども、事務局といたしましては、今回の検討報告のほうに反映させるまでには至らないものと考えておりまして、検討報告の修正は行なっていないところでございます。以上でございます。よろしくお願いいたします。

(土肥主査) ありがとうございました。精査した上で必要ないということもあるのだろうと思うのですけれども、時間的に恐らくこれはまとまったのがごく最近ではないかと思うのです。ですから、そういうこともあるのだろうと思うのですが、例えば最後のところ辺りの、つまり著作者が不明だからわからないという場合と、著作者あるいは著作権者はわかるのだけれども、あまり沢山いすぎてわからない、わからないというか、そういうことだと思います、フォークロア。つまり、「のまネコ」のような話だと思うのですけれども、つまりいることははっきりしているけれども、誰を窓口にしていいか、あまり多すぎてわからない。そういう話にもつながっているのだろうと思うのですけれども。
 ですから、少し著作者不明の場合はこの最後のやつは性格が違うのだけれども、恐らく利用しようと思うと非常に困るのではないかなと思われるのですね。ですから、非常に説得力のある話だと、ご意見だなというふうに私は思うのでけれども。
 これは今回は入れないとしても、検討は継続するということですか。それとももう検討はしないと、この裁定制度の新しい意見を受けて。今まではこういうことなしに来たわけですけれども。

(川瀬室長) 一応、この裁定制度の件は法制問題小委員会からの宿題みたいな形でこの場で検討していただいているわけでございまして、この契約・流通小委員会につきましては、法制問題小委員会におけるご意見、それから意見募集におけるご意見を踏まえて、とりあえず私どもとしては一応事務局の案をご審議いただいて、これでよければ、これを法制問題小委員会に上げまして、それで契約・流通小委員会としての検討は終了したいと考えています。

(土肥主査) そのようなことのようでございますけれども、はい、石井委員、どうぞ。

(石井委員) 今回の経過報告ですが、一連の議論はこれで一応、いいと思うのですけれども、せっかくいただいた意見であって貴重なものがありますので、私は遠くない機会にまた議論をすることが必要ではないかというふうに思います。
 それとお願いですけれども、意見募集において意見を出された方のお立場というのをここに記していただくことはできませんでしょうか。固有名詞は結構でございますけれども、例えば権利者団体の方でありますとか、個人の方でありますとか、そういったことが可能だったら記していただくと、意見の理解の助けになると思います。

(木村補佐) 今回、意見が出ましたところ、−−回答するの14〜15件ほど出ているのですが、意見の分類を抜粋させてもらいまして、急ぎで作った資料のものですが、特にどの意見がどの団体から出てとか、個人から出てというところの詳細な情報まで、そこを本日整理しておりませんでした。申し訳ございません。

(土肥主査) ということは、それは出るということですね。

(木村補佐) 恐れ入ります。この意見の概要等公表する際なのですが、個人情報等の扱いとか、他の小委員会、また法制小委員会との並びの中でやるという話だとは思っておりますけれども、いま聞いておるところによりますと、意見を提出された方を限定するような表現の仕方をしないように聞いておりますので、多分出ないと思います。

(土肥主査) ほかに。上原委員、どうぞ。

(上原委員) 意見というより先に質問なのですが、法制問題小委員会と当小委員会の関係ですけれども、この法制小委からいただいたご意見のうち、記述がわかりにくいというのはわかりにくいからわかりやすくしてくれというのは、これはそちらのほうから投げられてわかりにくいのをわかりやすくしようというのはよくわかるのですが、例えば意見3の、これはそれに対してこちらからとりあえず修正しないということなのですが、これは法制小委としてのご意見ですので、こちらで検討するというよりは法制小委でこういう意見が出たよということで終わりであって、何かこちらがそれなりにまた意見を変えることといえば、法律制度を考えるのはもともと法制小委さんなので、その中で考えていただければいい話ではないのかなということと、そういう意味でいうと、その中の意見2が非常に中途半端で、法制小委さんではいわゆる法律問題でないからとりあえず意見を述べるよということでこちらに戻ってくる話なのかもしれませんが、報告書の中に反映する話なのか、法制小委としてはその報告を受けた上で改めてそれを当小委で検討すべきものとして考えている話なのか、ちょっとそこら辺の整理がわかりにくいところがあるのですが。

(土肥主査) はい、どうぞ。

(川瀬室長) 私どもとしましては、これは法制問題小委員会からご依頼があって検討したわけでございますけれども、契約・流通小委員会といいますのは法制小委員会と並ぶ小委員会でございまして、そこで一応法制問題小委員会の依頼を受けて検討するとはいえ、法制問題小委員会にはそれまでのご意見を踏まえた最終の案という形で報告をさせていただきたいと思っております。
 ですから、法制問題小委員会で出たご意見について、この小委員会でそれを妥当として直すか、直さないかは別にしまして、内容を修正したほうがいいというご判断であれば、とりあえずこの小委員会で修正をしてもらいまして、その中身を再度法制問題小委員会に報告していただくことを考えております。

(土肥主査) ということは、再度という意味ですけれども、つまり11月11日の法制小委に出すようにというのは、これはその選択しかないのですか。つまり11月11日の法制小委に出す以外の、その後の法制小委に出すという選択はないのかということなのですけれども。

(川瀬室長) 一応、私どもの事務局の考えとしましては、11日に提出していただくことを考えております。

(土肥主査) それでおしまいということですね。

(川瀬室長) はい。

(土肥主査) こういうパブコメなんかの意見を見たり、あるいはこの委員会の議論を聞いておったりしますと、恐らくここの裁定制度にはまだいろいろ問題があるというのが共通の認識ではないかなと、私はそう感じているのですね。しかし、私の意見はともかく、皆さんのご意見で今のような事務局の提案に賛成なされば、これはもうそのままそういうことになりましょうし、いやいや、そうじゃないということなら、また話は別になるわけですか、事務局の希望は希望として。

(川瀬室長) もちろんそういうことですけれども、私どもとしてはこの小委員会で責任を持った報告書を法制問題委員会に提出していただきたいと思っていまして、その中間報告の段階で法制問題小委員会のご意見ないしは意見募集の結果も出ているわけですから、それらを踏まえて提出したものを修正が必要であれば修正していただいて、提出していただくのがごく普通の形式ではないかと考えております。

(土肥主査) 期間はかなりデッドなのですよね。こういうものが新しく出てきて、これについての検討をする十分な時間がなくて、そういう状況なものですから、そう感じたのですけれども、今の事務局の提案を皆さんお聞きになって、それでよろしゅうございますか。よろしければ、それで。

(池田委員) 今の話はわかりますけれども、隣接権に関する裁定制度につきましては、慎重に検討する必要があると理解しています。ただ、慎重に検討する場というのが今の段階では見えていないなというふうに感じておりますので、そこのところをちょっと明確にしていただきたいと思っています。

(川瀬室長) 今、審議会の方針としましては、管理事業法は除きますが、著作権法制の問題に関する事項については、法制問題小委員会で検討していただくということになっておりますので、引き続き1つの課題で、法制問題小委員会で審議されるものと認識をしております。

(土肥主査) はい、森田委員、どうぞ。

(森田委員) 2つの小委員会の関係がちょっとよくわからないので、ご質問させていただきます。ここでの結論と法制小委の結論が違った場合にはどうなるのかということですが、ここで検討を行ったのは、法制小委からの宿題としてということですが、そうはいっても、親委員会から下位の委員会に検討を命じられたということではなくて、両委員会は並列的に位置づけられるものではないかと思います。そうしますと、あくまでこの小委員会の報告も親委員会である法制小委に報告してその了承を得るということではなくて、宿題ということだったのでここで検討しましたがここでの検討はこれで完結しているのではないかと思います。もっとも、法制小委のほうでは、それとはまったく独立に、法制小委としてどう考えるかということは審議することはできるかと思います。
 そうしますと、この報告書とまったく違う結論が法制小委のほうで出た場合には、2つの小委員会の結論が違うものが2つ並列的にあるということになりますよね。その場合には、制度上は、親委員会である分科会でどちらをとるかを決めるということになるのでしょうか。その2つの小委員会が並列的であるということと、法制小委からの宿題を受けて検討したということの関係の定義を明確にしておいていただく必要があるように思います。そうしませんと、法制小委でまた何か意見が出されて、それを踏まえて修正して、また法制小委に報告してということが、制度的にはいったい何をしているのかということが、私には理解できないところがありますから。

(川瀬室長) 今の形態からいうと、最終的には私どもの見方からすれば、最終的には文化審議会の分科会で多分3小委員会の報告書の内容について了解をされて公表されますので、最終的には分科会の責任で公表することになると思います。
 法制問題小委員会とこの小委員会の関係に言及すれば、これは当然法制問題小委員会の依頼を受けて、この小委員会で検討していただいたことから、理論的には森田先生のおっしゃるように結論が違うということはあり得ると思いますけれども、基本的にはこの委員会で審議した内容でございますから、法制問題小委員会では主査が報告されて、それが了承されるということで、意見の不一致というのは出ないと思ってますが、仮に出たとすれば、それは法制問題小委員会の意見が優先されると思います。

(土肥主査) 今、いみじくもあったのですけれども、川瀬室長から、主査に報告してというようなところがあるのですが、次回は森田委員に出ていただいて説明をしていただくことになっておりまして、今日そういうことで段取りとしてそういうことを皆さんでご了解いただければ、今後の取りまとめについては森田副査に一任していただくと、こういうことになりますが、それでよろしゅうございますか。
 また、何かありましたら、また持って帰っていただいて考えるということになろうかと思いますけれども、一応事務局がそういう提案でいきたいということなものですから、ここはそういうことにせざるを得ないのかなと思っているのですけれども、皆さんいかがですか。よろしいですか。一応、そういう扱いにさせてください。
 それでは、この「裁定制度の検討報告」については、本当にいろいろ。上原委員、ありますか。

(上原委員) やり方ではなくて、中の具体のことで1点だけ。表現がわかりにくいという意見1の部分でございまして、先般私も法制小委で傍聴しておりましたが、確かにこういうふうに書くとわかりやすくなるので、それはそれで文章上の表現としてはそれでいいのかなというふうに思いますが、法制小委の委員の皆さん方のご関心は、いったいどういう場合に強制許諾が認められるかという例外を具体的に知りたかったということではないかと思いますので、報告書としてはこれでいいかもしれませんけれども、法制小委に対してはそこの部分をちゃんと口頭ででも説明していただいたほうがいいのではないでしょうか。
 それは別に報告書で書く必要はありませんが、わかりにくいということでご意見がありましたと、しかしこの間の法制小委でご質問がございましたが、それについてはローマ条約7条の部分の1項のところにある。ただし、2項で国内法に任せる、委ねるという部分のようなものについては、国内法に委ねることを条約自体が認めているのだから、その執行の方法については強制許諾も許される。しかし、それについてはさらに、ただし、特段の契約があるケースについては契約が国内法に先行するという3段構えにになっているわけですけれども、それを受けて、例えば恐らく私が解釈するところによりますと、日本法における放送のための固定と放送のための固定物等による放送が定められており、後者につきましては、これは特段の許諾を要せずして行うことが出来るが、相当な額の報酬を払わなければならないとなっております。ということは実質的な強制許諾になっておりまして、これは恐らくローマ条約7条2項があるからできたというふうに解釈しておるのでございますが、私の解釈が、これがもし間違いでないということであるならば、この辺のことをご紹介して、とりあえず法制小委に対してはご紹介して差し上げたほうが、この間の意見を聞いた限りでは親切ではないかというふうに思いましたので。

(土肥主査) ありがとうございました。おっしゃるとおりで、もう1つまた質問を受けるかもしれないのですけどね、これだと。しかし、そういうことのようでございますので。
 じゃあ上原委員もよろしゅうございますね。取り扱いは今のような形、ご紹介したような形で。
 それではこの後の取り扱いにつきましては、11月11日に開催されます次回の法制小委において、森田委員を通じて報告をしていただきたいと存じます。若干、この裁定制度の検討報告に関しまして、もし修正するようなことがありました場合にも、これは森田委員にご一任いただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは文化審議会著作権分科会の第6回契約・流通小委を終わらせていただきます。最後に事務局から連絡事項がありましたら、お願いをいたします。

(木村補佐) 連絡事項でございますが、次回11月の小委員会でございますけれども、著作権契約のあり方等に関する検討報告案、そして著作権等管理事業法の見直しに関する報告書、これらについて検討いただくことを予定しております。著作権契約のあり方等に関する検討報告案につきましては、別途意見等があれば、事務局までメール等でご意見を提出いただきたいと思っておりまして、およそ1週間後くらいということで、11月2日前後をメドとしてご提出をいただければ幸いでございます。これらの提出されました意見、さらに本日のご意見などを踏まえまして、事務局のほうで検討報告案をつくりまして、次回会議までに各委員宛に先生方に案のほうを送らせていただきたいと思っております。
 そしてもう1点ですが、著作権等管理事業法の見直しに関する報告書でございます。これにつきましては、9月開催の分科会に報告いたしまして、その後、9月8日から10月7日まで意見募集を行っております。結果といたしまして、約30件ほど意見が寄せられておりまして、これらにつきまして次回整理した意見等もご紹介しながら、意見募集の結果を踏まえました検討をお願いしたいと思っております。
 今年、年内の契約・流通小委員会の審議スケジュール等でございますが、実はまだ年内に権利者情報の整備、提供のあり方等の検討なども残されております。予定しておりますのは、デジタル時代の著作権協議会、CCD様のほうで行なっております検討状況等をご報告させていただきながら検討を進めていただきたいとは思っておるのですが、11月、12月に小委員会の開催を予定しておりますけれども、実は12月というのはほぼ予備的にといったようなところもありまして、次回までの意見の提出状況等を踏まえながら、審議事項等につきましては少し調整をさせていただくこともあるかと思いますので、あらかじめご了承いただければと思います。
 そして次回、11月ですけれども、11月22日午後1時半から3時半までを予定しております。
 本日昼食の用意をしておりますので、お時間のあります委員におかれましは、そのまま席のほうでお待ちください。ありがとうございました。

(土肥主査) ありがとうございました。

〔了〕


(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)

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