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著作権分科会 契約・流通小委員会(第1回)議事録

 日時:  平成17年3月29日(火曜日) 10時30分〜13時

 場所:  三田共用会議所3階会議室

 出席者:
  (委員)
荒川,池田,石井,上原,金原,児玉,駒井,佐々木,椎名,菅原,瀬尾,関口,寺島,土肥,生野,松田,三田,村上,森田,山本の各委員
  (文化庁)
森口文化庁長官官房審議官,吉川文化庁著作権課長、池原国際課長 川瀬著作物流通推進室長,溝口著作物流通推進室室長補佐,ほか関係者

 議事次第
 
 開会
 議事
 
(1)  契約・流通小委員会主査の選任について
(2)  今期の検討事項等について
(3)  著作権等管理事業法の見直し等について
(4)  その他
 閉会

 資料
 
資料1   文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会委員名簿
資料2   文化審議会著作権分科会の議事の公開について(平成17年2月28日文化審議会著作権分科会決定)
(※法制問題小委員会(第1回)議事録へリンク)
資料3   小委員会の設置について(平成17年2月28日文化審議会著作権分科会決定)
(※法制問題小委員会(第1回)議事録へリンク)
資料4   契約・流通小委員会における検討事項(案)
資料5   契約・流通小委員会審議スケジュール(案)
資料6   著作権等管理事業法の見直しに関する報告書(案)

 
参考資料1   文化審議会関係法令
(※法制問題小委員会(第1回)議事録へリンク)
参考資料2−1   文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
(※著作権分科会(第15回)議事録へリンク)
参考資料2−2   文化審議会著作権分科会各小委員会委員名簿
(※法制問題小委員会(第1回)議事録へリンク)

6 議事内容

(吉川著作権課長) それではまだお見えでない方もいらっしゃいますけれども、お時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会の今期の第1回目を開催いたします。本日は今期最初の会議でございますので、主査の選任までの間、私が進行役を務めさせていただきます。
 それでは最初に委員等のご紹介でございますけれども、実は委員の皆様方におかれましては全員留任していただきました。ということで、省略いたしてよろしいかと存じます。また、私ども事務局も今のところは変更ございませんので、現時点では紹介するべき者もおりません。したがって、こちらも省略させていただきます。
 それでは議事に入ります前に、事務局のほうから配布資料の確認をさせていただきます。

(溝口補佐) それでは議事次第がございますので、その下半分にある配布資料一覧に沿って説明させていただきます。
 本日資料としましては6点、それから参考資料を3点用意しております。資料1は、この小委員会の名簿でございます。それから資料2は、議事の公開についてでございます。それから資料3として、小委員会の設置についてというものです。それから資料4として、本小委員会における検討事項(案)というものがございます。それから資料5として、本小委員会のスケジュール(案)。それから資料6として、著作権等管理事業法の見直しに関する報告書(案)というもの、21ページものでございます。それから参考資料1として、文化審議会の関係法令、参考資料2−1として分科会委員・専門委員の名簿でございます。それから参考資料2−2として、各小委員会の名簿でございます。
 不足等ありましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

(吉川著作権課長) それでは議事に入らせていただきます。まず、本小委員会の主査の選任をお願い申し上げます。選任方法につきましては、文化審議会著作権分科会運営規則の規定によりまして、これは参考資料1の11ページのところの運営規則第3条第3項というところですが、要するにこの小委員会に属する委員の中から互選により選任することとされております。事務局といたしましては、前期の主査をお務めいただきました土肥委員に、今期も主査をお願いしてはどうかと考えておりますけれども、皆様いかがでございましょうか。

 〔異議なしの声あり〕

 ご異議がないようでございますので、土肥委員に前期に引き続き主査の役をお務めいただきたいと存じます。それでは主査のプレートを今お持ちしておりますので、以後の議事進行は土肥主査にお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

(土肥主査) 皆さん、おはようございます。土肥でございます。先ほどのご紹介では皆さん留任ということでございますけれども、私どもの大学では昨日卒業式でございまして、多くの方は無事卒業されたわけでございます。留年される方はまずおいでにならなかったのですが、まだ勉強をしたいという方は残っておいでのようです。ということは、恐らく前期皆さんにおかれましては十分仕事をなさったとは思いますけれども、さらに一層仕事をするように、仕事が沢山ある、こういうことなのだろうと思っております。
 確かに通常こういう審議会、委員会におきましては、緑がかなり濃くなってから第1回目が行われる、こう思っておりますけれども、まだ桜も咲いていない、コートを着ているこの時期に第1回目が開かれるというのは、まさにそういう仕事の量を考えてのことだろうと思います。法制小委等では著作権法改正という議論をやっているようでございますし、ワーキンググループもすでに立ち上がっているというふうに聞いております。契約・流通小委もかなり期待されているところが大でございますので、1年間皆さんとともに仕事をしていきたい。こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず文化審議会著作権分科会運営規則でございますけれども、この規定、参考資料の1の11ページ、3条第5項でございますが、この規定に基づきまして主査代理を指名させていただきたいと存じます。私としましては、前期に続きまして森田委員を指名させていただきたいと考えております。よろしくご承知おきくださいますように、お願いいたします。森田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 次の議事に入りますまえに、本小委員会の会議の公開取り扱いについて、事務局より説明をお願いいたします。

(溝口補佐) それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。これは去る2月28日に開催された文化審議会著作権分科会において決定されたものでございます。基本的には前期から大きな変更点はありませんが、細かいところで若干変更がございます。
 3の会議の傍聴のところをご覧いただきたいと思います。かっこかっこかっこのそれぞれのところで、「会議開催日の3日前」というところについて、これは前期までは前日ということになっておりましたが、締め切り日を前日にしますと、傍聴希望者への連絡が遅れるということがありますので、3日前ということにしております。2日前には傍聴希望者へ連絡が行くようにしたいということを配慮したものでございます。この点が前期との違いでございます。
 残りは同じですので、割愛させていただきます。

(土肥主査) ありがとうございました。ただいま説明ございましたように、「議事の公開の方針」については、議事の内容の公開を一層進める観点から、前期に規則が改められたところですけれども、今期におきましても原則として、一般に公開した形で開催をするということで、分科会においても決定されておりますので、よろしくご承知おきくださいますようお願い申し上げます。
 本日はここまでは「人事に係る案件」ということで、この決定に基づき非公開といたしましたけれども、以後の議事につきましては、格別非公開とするに及ばないと思われますので、以降の議事を公開により行いたいと考えております。いかがでございますでしょうか。

 〔異議なしの声あり〕

 ありがとうございます。それではこれ以降、本日の議事は公開といたします。傍聴の方がおいでになろうかと思いますけれども、入室いただくようにお願いいたします。

 〔傍聴者入場〕

 それでは本小委員会の設置の趣旨及び所掌事務等について、事務局より説明をお願いいたします。

(溝口補佐) それでは資料3をご覧いただきたいと思います。1としましては、今期も前期と同様に3つの小委員会を置くということになっております。
 2の各小委員会の審議事項としまして、法制問題小委員会では著作権法制のあり方、本小委員会では著作権等管理事業法制のあり方、著作物等の流通を促進するための方策のあり方、国際小委員会では国際的ルール作りへの参画のあり方、アジア地域との連携の強化及び海賊版対策のあり方について審議することになっております。
 また、3の各小委員会の構成につきましては、分科会長が指名する委員、臨時委員及び専門委員により構成することになっておりまして、分科会長は小委員会に出席して発言することができるということになっております。
 なお、分科会委員及び3つの小委員会の委員名簿につきましては、参考資料の2−1、2−2をご覧いただきたいと思います。以上でございます。

(土肥主査) ありがとうございました。よろしゅうございますね。それでは次に、今期の検討課題案及び審議スケジュール案について、同じく事務局より説明をお願いします。

(溝口補佐) それではまず、資料4をご覧いただきたいと思います。本小委員会における検討事項案として、事務局案では4点挙げております。
 1つ目の丸から3つ目の丸までは、これは前期の本小委員会で決定された事項であり、前期から積み残しとなっているものでございます。4つ目の丸の裁定制度のあり方につきましては、前期の法制問題小委員会において、本小委員会で審議することを依頼されたものでありまして、著作権法第67条の権利者が不明な場合における裁定制度を使いやすいものにしてはどうかという意見があり、著作権者の権利に対する影響が大きいということもあり、最終的には法制問題小委員会で検討していただくことになりますが、先に本小委員会において議論してほしいという依頼があったものでございます。

(土肥主査) ありがとうございました。議題案ということですけれども、新スケジュール案については。

(溝口補佐) スケジュールとして、資料5をご覧いただきたいと思います。今期は計8回の開催を予定しております。原則、月1回のペースで進めていきたいと考えておりまして、前期から審議が継続しております管理事業法の見直しについては、3月と4月の2回で本小委員会の取りまとめをしたいと考えております。なお、8月と12月には分科会が開催となっておりますが、決定事項ではありませんので、(P)ということで表しています。なお、本小委員会の最終の取りまとめは12月の第8回のところで行いたいと考えております。

(土肥主査) ありがとうございました。今期の契約・流通小委員会では、前期から引き続きの検討課題及び法制問題小委員会より依頼があった「裁定制度のあり方」について、検討していってよろしいかどうか、この点をお諮りしなければならないと思っております。いかがでございましょうか。ご意見ございますでしょうか。
 検討事項の丸の前の3つは、私どもの委員会で前期検討してきたところという理解でございますので、これは引き続き検討するということになろうと思いますが、裁定制度のあり方については本委員会でも出ているんですけれども、形式的には法制小委からぜひにと、こう求められているところでございます。よろしいですか。

 〔異議なしの声あり〕

 はい、ありがとうございます。それではご承認いただいたということでございます。スケジュールについても、だいたいこういうやり方、こういうスケジュールで検討するということでございますので、どうぞご承知おきをいただきたいと存じます。
 それでは次の議事にまいるわけでございますけれども、先ほど資料の説明にございましたが、著作権法等管理事業法の見直しに関する報告書(案)、こういうものが出ております。この著作権等管理事業法の見直し等につきましては、前期に3回にわたり検討をしてまいったところでございますけれども、前期の検討の内容を踏まえ、事務局が報告書案を作成しておるところでございます。そこで事務局にこの報告書案の内容についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(溝口補佐) それでは報告書案が資料6にございますので、資料6をご覧いただきたいと思います。これは前期の本小委員会でご議論いただいたものを報告書案としてまとめたものでございまして、各委員には事前に送付させていただいております。ご多忙のこととは思いますが、事前にお目を通していただいているものと理解しております。事前に送付したものと本日お配りしたものについて、若干「てにをは」の部分については修正を加えております。
 2ページをご覧いただきたいと思います。目次がございます。1、2、3、4ということで4部構成にしております。
 3ページ目には資料一覧ということで資料1から4までをつけるということでございます。
 それから5ページをご覧いただきたいと思いますが、これは管理事業の現状ということで簡単にまとめたものでございます。管理事業者の登録事業数につきましては、この報告書がまとまった時点のものを記載したいと考えておりますので、若干数字が変わることをあらかじめご承知おきいただきたいと思います。
 それから7ページをご覧いただきたいと思います。これはこの管理事業法見直しに関する検討課題と検討結果について、ということでまとめております。かっこ、これは規制の対象となる事業の範囲、まる1が非一任型の管理事業に対する規制についてということでございますが、ここの制度の概要と問題点としては、管理事業法で規制対象となるのは、使用料の額を事業者が決定する一任型の管理事業となっており、委託者が使用料の額を決定するいわゆる非一任型の事業については、著作権の自己管理と同視し得るという理由で規制の対象とはなっておりませが、一任型事業と非一任型事業の混在が円滑な流通を阻害するという意見があったということでございます。
 もう1枚めくっていただきますと、ウの検討結果として、一番下の丸のところをご覧いただきたいと思いますが、非一任型の事業の実態が十分に把握されておらず、同一の分野において異なる管理方法を行う事業者が混在することや、同一の管理事業者が非一任型の管理事業を兼業することによる具体的な弊害が検証されていないこと等から、規制の方向やその方法については、慎重な検討が必要になることなどから、少なくとも現状においては制度そのものの改正の必要性は認められないということです。
 それから、9ページのまる2の特定分野における管理事業者の一元化についてでございます。ここの制度と問題点として、著作物等のあらゆる利用区分について、一任型の管理事業を実施するに当たっては、文化庁長官への登録を行いさえすればよいということになっております。
 しかしながら、単一またはごく少数の団体により管理されるほうが効率的な管理ができるといわれる分野については、利用の円滑化の観点から、管理事業の一元化を求める意見があったということでございます。
 検討の結果として、文献複写の分野については、複数の管理事業者が存在しているが、各事業者が管理対象としている著作物や管理方法に違いがあるものの、そのことが円滑な利用を阻害しているとまでは言えない。また、音楽の演奏についても、演奏権の管理には大きな組織力とかなりの管理コストが必要なことから、事実上、単一の事業者が管理している。このようなことから、現状ではこれらの分野について一般の分野よりも厳しい規制をする必要性が認められず、制度改正の必要はないと考えるということです。
 それから10ページをご覧いただきたいと思います。これはかっことして大きな課題としては、適格性を欠くと思われる著作権等管理事業者への対応ということで、まる1登録要件の強化等についてでございます。ここの制度の概要と問題点については、管理事業法は形式審査による登録制度を採っておりまして、登録要件自体も必要最小限度のものとなっております。他人の財産を管理する能力のないものによる登録を認めないという観点から、登録要件の強化または登録手続きを厳格化するという意見があったということでございます。
 検討結果として、形式審査権しかない登録制度を維持する限り、登録申請時に管理事業者の実態に立ち入って審査を行うことは難しいため、当面は実態面で問題のある管理事業者について、文化庁が指導監督に関する運用基準を定め、これに基づき厳正な指導監督を行うことで対応すべきと考えるということ。それから登録要件の追加に関しては、現状ではただちに要件を追加すべき状況であるとは考えられないが、引き続き管理事業者の実態を注視していく必要があるということでございます。
 11ページのかっこ著作権等管理事業者に関する規制、まる1著作権等管理事業者の役員の兼職についてでございます。ここの問題点については、現行制度は管理委託契約約款の作成・届出義務、また管理事業者の応諾義務、使用料規程の制定に関する利用者団体からの意見聴取努力義務などにより、管理事業者の不当な権利行使には一定の歯止めがかけられていることを考慮して、管理事業者の役員の兼職について特段の規制を設けておりません。
 しかしながら、本来競合すべき同一の分野において、ある管理事業者の役員が他の管理事業者の役員を兼務している実態があり、公正な競争が行われるかどうか疑義があるという意見がありました。これについては、検討結果として、特定分野における役員の兼務はやむを得ない事情から来るものであり、役員の兼務を認めると同一分野の管理事業者が話し合いをして、一斉に使用料を値上げするなどの弊害も考えられないことはないが、こうした取引については独占禁止法で一定の規制が行われることなどを考えると、特に管理事業法において制度改正を考慮するような状況には至っていないと考えられるということであります。
 それからその一番下のまる2の届出事項の変更届出期間の緩和についてでございます。これは1枚おめくりいただいて、12ページをご覧いただきたいと思います。
 ここの制度と問題点については、管理事業者は文化庁長官に提出した登録申請書の記載事項に変更があった場合は、その旨を2週間以内に届け出なければならないこととされているが、登記の手続きに時間がかかり、期間内に届出を行うことができないという意見がございます。これについては、管理事業法施行規則第8条第2項では、添付資料として「登記事項証明書またはこれに代わる書面」を求めていることから、文化庁は法人である著作権等管理事業者に対して登記事項証明書を準備することが困難な場合には、登記事項証明書に代わる書面として、例えば総会の議事録等を認めるよう運用を変更すべきであり、その方向で検討するということです。
 それから、まる3の著作権等管理事業者の守秘義務についてでございます。制度と問題点については、管理事業法上、特段の規定は設けられておりませんが、守秘義務を課し、管理事業者が利用者から得た情報の目的外使用を禁止することを管理事業法に明定すべきという意見がありました。これについては、一般に法人の場合、役員及び従業員には守秘義務が課せられており、利用者側でより高度な守秘義務が必要であると考えるならば、この問題は利用許諾契約の際、その旨の契約をすれば、ある程度対応が可能と考えております。また、必要な情報については、不正競争防止法及び本年4月から施行される個人情報保護法で保護されることになるため、この問題は管理事業法固有の問題とは考えられず、管理事業法による規制の必要性は現時点では認められないということでございます。
 それから、13ページをご覧いただきたいと思います。まる4の管理している著作物等に関する情報提供についてでございます。ここの制度と問題点については、管理事業者には法に基づき取り扱い著作物等に関する情報及びその著作物等の利用方法に関する情報を利用者に提供するよう努めなければならないという努力義務が課せられております。
 しかしながら、管理事業者が管理著作物の情報提供をしないため、事前に管理事業者間の権利競合が確認できない、管理事業者か利用者に包括契約を要求しながら情報を提供しないので契約できないといった弊害があるということです。これについては、現状ではただちに制度改正をすべき状況ではないが、特に音楽の分野では混乱が生じているという指摘もあることから、当面は文化庁で情報提供の方法についてガイドラインを設けるなどして、各事業者が情報提供を積極的に進めるよう指導・助言していくことが重要と考えております。
 それから14ページのまる5の管理権限の開示義務についてです。ここの制度と問題点については、管理事業法上、管理事業者は利用者からの求めに応じて、著作物等に関する管理権限を明らかにする義務は課されておらず、利用者側からは当該事業者に対する信頼性がないため、許諾申請の求めがあっても、本来管理権限があるかどうかわからないという問題があるということです。
 これについては、基本的には情報提供の義務化の場合と同様、事業者間の競争関係を通じ、利用者側から信頼を得られない管理事業者は整理されていくと考えられますので、管理事業者の実態をもう少し見極める必要があり、直ちに制度改正すべき状況ではないと考えられるということでございます。
 次に、一番下にまる6管理委託契約約款・使用料規程のインターネット公示についてでございます。これについては、15ページをご覧ください。
 制度の概要と問題点については、管理事業者は事業所における掲示、インターネットによる公開、またはその他公衆が容易に了知し得る手段のいずれかの方法により、管理委託契約約款及び使用料規程を公示しなければならないということになっておりますが、事業所における掲示のみでは約款等の内容の確認が煩雑であるという意見がございました。
 これについては、ウのの検討結果でございますが、すべての管理事業者にインターネットによる公示を法律上義務づけることは経済的負担の問題もあるので、制度改正までは必要ないと考えておりますが、インターネットによる管理委託契約約款の公示は、利用者の閲覧に要する時間的制約、距離的制約を軽減することになり、利用の円滑化に資するところであります。インターネットを活用し、情報の提供を行うことは、あらゆる業種の事業者に普及しつつあるところであり、管理事業者においてもできるだけインターネットを利用した情報提供を進めるよう努力する必要があり、文化庁もその方向で指導助言すべきである、とまとめております。
 それから16ページにまいりますと、使用料規程の制定・変更時の意見聴取の義務化についてでございます。ここの制度と問題点については、使用料規程を決める際は管理事業者が文化庁に届け出ればよいことになっておりますが、使用料の特殊性を考慮して、使用料の制定、変更に当たっては、利用者または利用者団体から、あらかじめ意見聴取をするよう努めなければならないということになっております。
 利用者側からは、一般国民を含めた広範囲な利用者の意見を聴取すること、その場合の義務化、協議・裁定制度を全管理事業者に対して拡大すべきとの意見があるということでございます。
 ここの検討については、基本的には事業者間の競争を通じ市場原理により適切な額に収斂するという考え方を採用しておりますので、これ以上、管理事業者に過度な義務を課すことは、この基本原則の大幅な変更にもなりかねず、適当ではないと考えております。
 なお、現行法においても、意見聴取努力義務規定違反や、管理事業者が著しく高い使用料を設定した場合は、文化庁は使用料規程の実施禁止期間の延長命令等により、管理事業者に対し是正措置を求めることができることとなっておりますので、文化庁が現行法の適切な運用を行うことで一定の対応ができると考えております。
 17ページのまる2指定管理事業者の使用料規程に関する協議・裁定制度についてでございます。
 ここの制度と問題点については、事業者間における適切な競争が期待できない大規模管理事業者が存在する場合は、当該管理事業者を指定管理事業者に指定し、指定管理事業者が使用料規程で定めた利用区分における利用者代表との使用料規程に関する協議の制度及び協議が不調に終わった場合の文化庁長官による裁定制度を設け、これらを通じ適正な使用料額の形成を図る制度となっております。
 利用者代表が存在しない利用区分は、協議・裁定制度が活用できない、利用者代表以外の利用者の意見の反映、指定する利用区分の細分化などの意見があったところではありす。
 これについては、ウの検討結果のところで、指定管理事業者としての指定は、管理事業者の使用料規程上の利用区分に基づき行うこととなっておりますが、指定管理事業者は利用者団体の意見を踏まえ、合理的と判断される場合には利用区分を利用実態に適合するよう変更していく必要があり、利用区分が利用実態に適合しておらず、著作物等の円滑な利用の妨げとなっている場合であって、管理事業者に利用区分変更の意思がない場合は、文化庁が法律で認めた権限を適切に行使することで、これを改善することができると考えております。
 以上の点から、現状では制度改正の必要はないと考えております。
 それから18ページにまいりまして、かっこその他ということで、まる1包括利用許諾に関する使用料のあり方についてでございます。
 ここの制度と問題点については、音楽の著作物の放送や演奏、通信カラオケ、インタラクティブ送信等の分野では、管理事業者が管理している全部の著作物の利用を認める包括許諾契約が一般的となっています。旧仲介業務法の時代は、利用者は音楽の著作物に関する唯一の仲介業務団体である社団法人日本音楽著作権協会と包括許諾契約を交わし著作物の利用をしておりましたが、管理事業法施行後、音楽の著作物を管理する管理事業者が新たに参入したことを受け、複数の管理事業者と同一の利用方法について契約を結ばなければならなくなってきている。なお、管理事業法では包括利用許諾契約に関し、特段の規程は置いておりません。
 しかしながら、利用者から旧仲介業務法時代よりも、音楽著作物の使用料の総額が増加する恐れがあるため、包括利用許諾契約の存在が参入障壁となっており、包括利用許諾のあり方を見直すべきという意見があったということでございます。
 これについては、法制度の問題ではないと考えておりますが、指定管理事業者においては、利用者における管理作品の利用実績の推移等を把握した上で、使用料額の再考を行うなどの配慮が必要であると考えております。利用者側においては、このような客観的データの収集に努め、必要であれば管理事業法上の協議・裁定制度を活用するなどして、問題の解決に努める必要があると考えております。
 なお、この問題について、管理事業者間で使用料額の調整を行うことを求める意見もありますが、そのような調整については、独占禁止法上の問題があると考えられますので、適当ではないと考えております。
 それから21ページの5のまとめをご覧いただきたいと思います。先ほどまで述べました検討結果を踏まえまして、4つの提言をまとめております。このページの真ん中から下のところでア、イ、ウ、エとございます。
 アとして、管理事業法に対する意見募集の結果を踏まえ、検討事項を整理し、検討した結果、ただちに管理事業法を改正し対応すべき事項はない。ただし、非一任型の管理事業の規制、管理事業者の役員の兼職、管理事業者の守秘義務、管理著作物の情報提供、管理権限の開示義務及びインターネット公示については、管理業務の実態をよく調査するとともに、ある程度の期間を経た段階で、改めて制度改正について検討する必要がある。
 イとして、法改正事項はないものの、特に利用者側の意見から、現行法の厳格な運用が求められており、これに応えて文化庁は管理事業者への指導監督を的確に実施していくことが必要であるということであります。
 それから22ページでございますが、ウとして、アで指摘した課題については、制度改正の検討とは別に、文化庁はガイドラインを策定するなどして、適切な管理事業が実施されるよう管理事業者に対する指導・助言を強化していく必要があるということ。
 最後にエとして、届出事項の変更届出期間の緩和や管理委託契約約款・使用料規程のインターネット公示については、現行法の枠内で対応可能と考えられるので、文化庁はその手続きの改善等に配慮すべきであるというこれら4つの提言をまとめております。
 以上でございます。

(土肥主査) ありがとうございました。それでは報告書案について、ご意見をお願いいたしたいと存じますけれども、報告書案の目次をご覧いただいたらおわかりかと存じますが、4つ柱があるわけですけれども、実質的には2の現状、管理事業者の現状の部分、それから3は、これは前期における見直しに関する検討、そこでの現行制度の概要、意見募集の内容、検討の結果、だいたいそういう分け方で記載がされておるところでございます。それから最後に4のところでまとめとこうなっておりますので、恐らくまず現状のところからご意見をいただいて、それから3のほうに移っていけばいいのかなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 まず2.の管理事業者の現状について、これは現状ですから特にご意見がないのかもしれませんけれども、こういう現状の紹介をさせておるわけでございますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 ページとしては5ページ、6ページ、こういうことになりましょうけれども、このまとめ方、あるいはこの内容については、何かご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。佐々木委員、お願いいたします。

(佐々木委員) こちらの現状につきましては、このとおりだ、議論を昨年させていただいたことがよくまとめられていると思うんですが、事業者への指導監督の状況につきましては、比較的コンパクトにまとめられていると思うんですが、実態というか、そういうことで何か問題点とか、記すべきことがあったのか、それとも特段問題になるようなことはなかったのか、その辺につきまして、ここに記載するかどうかは別にしまして、何かあればお聞きしたいと思うんですが。

(土肥主査) お願いします。

(川瀬室長) すみません。今のご質問はうちの立ち入り検査とか、報告聴取の結果ということですか。

(佐々木委員) はい。

(溝口補佐) 立ち入り検査については、6ページのかっこの2つ目の丸のところをご覧いただきたいと思います。今年度から立ち入り検査を実施することにしており、来年度以降も継続して定期的に管理事業者の事業所に赴いて検査をしていきたいと考えています。今年度は、社団法人日本音楽著作権協会、株式会社イーライセンス、株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス、株式会社アジア著作協会の4つの事業者について管理事業法に基づく立ち入り検査を行いました。結果につきましては現在まとめておりますので、詳細は差し控えさせていただきたいと思います。

(土肥主査) よろしいですか。どうぞ。

(佐々木委員) 昨年の議論の中で、利用者側としましてはそういった指導、新しい参入者に対して、もちろん業務の不慣れとか、そういうこともあるわけですから、そういった配慮はいたしますが、指導監督によって安定した、また健全な管理事業ができるということは了承しているわけでございますけれども、改善すべきこと、もしくは問題点等について、具体的にどういう基準でどういう立ち入り検査をして、その結果について公開されるのかしないのか、そういったようなことはいかがでしょうか。

(川瀬室長) この検査は定期的な立ち入り検査ですから、その管理事業者に何か重大な問題があるということでやる場合には、これは臨時の検査ということになるわけです。基本的には私どもで評価シートを作成をしまして、それに基づいてチェックをさせていただくということで、いわゆる法令違反がないかどうかということを中心に検査を進めていきます。要するに、経営診断ではございませんので、その検査結果でその管理事業者が健全かどうかというのを調査するわけではありません。
 それから、その検査の結果以降のことにつきましては、実はこの検査自体が3月に実施しまして、それまでいろいろと課内で議論をして検査をしたわけでございますけれども、その検討結果のまとめ、それからその後の公表等を含めた取り扱いについては、今ちょっと検討中でして、この場で明確にはっきりしたことはいえないということを、ご了承いただきたいというふうに思っております。

(土肥主査) それがわかった後にはご報告があるということなのですか。

(川瀬室長) とりあえずまとめの結果については事業者に通知して、公表の仕方に、やり方につきましては、ほかの検査等の法令なんかの施行状況を見て一応判断したいと思いまして、いま検討中ですので、できるだけ積極的に情報公開を進めていきたいと思っておりますけれども、具体的な方法につきましてはまだ検討中ということでご了承いただきたいと思います。

(土肥主査) はい、わかりました。よろしいですか。

(駒井委員) 駒井でございます。くどいようですみませんが、立ち入り検査をされて、いま法令に基づいてやっていればOKということですが、そうしますと、ここに書いてある例えば著作物の情報公開みたいなことは義務化が当然されていませんから、努めなければならないというと、ある程度努めていれば、その時点でクリアされてしまうということにもなりますよね。それをちょっと−−。

(川瀬室長) 法の運用につきましては、今回は最初のケースでございますので法令違反を中心に行いますが、この審議会でご報告がまとまりまして、例えば原案のとおり、文化庁で例えばガイドラインを定めて、それに基づいて指導・助言をしていくというような提言でありますと、私どものほうで別途、専門家の意見もお聞きしながら、ガイドラインを定めることになりますが、それが1つの基準ということになり、そうしますとその基準が検査の項目に加わってくることになろうかと思いますけれども、今の時点では私が申しましたように、法令違反を中心にまずは相手の事業所に立ち入っていろいろなご事情を聞くということが中心ということでございます。

(土肥主査) よろしゅうございますか、現状につきましては。じゃあ、現状につきましてはこういう記載ということでご了解いただいたということにさせていただきたいと存じます。
 それでは3.以下の7ページ以下の著作権等管理事業法見直しに関する検討課題と検討結果について、ここの部分ですね。20ページの部分まで、これ1つずつ見ていってもいいんですけれども、前期において、もう皆さん、この委員会でこれについては検討したわけでございますので、全体をご覧いただいた上で、基本的にはどこからでも構わないと思っておりますけれども、前のほうからがいいのかもしれませんが、ご自由にご意見等を出していただければと存じます。

(金原委員) 16ページのところなんですが、使用料の制定・変更時の意見聴取の義務化のところで、アの最初の丸の3行目ですが、ここに使用料についての意見聴取をするよう努めるということについての理由として、「商品の価格等々と異なり、使用料には原価に相当するものがないなど」というふうに書かれているのですが、必ずしも著作物に原価がない。それが不正利用される場合でなくても、原価がないということでは必ずしもないのではないかなという気がいたします。
 それから意見聴取の目的としては、このようなことがあるのかもしれないのですが、やはり利用を促進するということについて、先ほど口頭ではお話があったと思うんですが、あまりにも高額な使用料が制定されることを回避するというようなことがあるのではないかと思うのですが、ちょっと使用料には原価に相当するものがないということだけを、あるいはここは「など」というのがありますから、その中に含まれるのかもしれないんですが、ちょっと違和感をおぼえるんですが、いかがでしょう。

(川瀬室長) 確かにいろいろな理由があるとは思いますけれども、管理事業者が管理著作物の利用の対価を決める場合には、まず普通は商品の値段というのは原価があって、それに利益が上乗せされて適正価格というものが出るわけでしょうけれども、著作物の場合にはそういうものがない場合が多いので、相手にいくらなら負担できるのかということを聞くということが重要で、これは管理事業の長い歴史の中で、多く国でそうですが、話し合いによって使用料を決めていくということが一般的に行われています。そういうことを踏まえて、努力義務規定であるけれども、意見聴取の義務を課していると理解しているわけですので、まさしく法律上、意見聴取努力義務規定を規定しているということが、そもそも著作物の使用料の特殊性を表している。その原因の1つは、いま報告書にあるようなことではないかなというふうに思っています。
 ですから、「など」のところをもう少し具体的にということであれば、それは直せばいいと思いますけれども。

(土肥主査) よろしいですか。

(金原委員) そのとおりだと思うんですが、使用料規程あるいは使用料を制定する時は、直接的な原価というものはないんですが、やはり著作物を作成するというところについての原価は当然あるわけで、それがさらに出版物として販売される時に、その出版物そのもののやはり販売に影響があるかどうかということも含めて使用料というのは制定するのではないかと思うんですが、そのようなことを勘案して制定されることについて利用者の意見を聴取する。その意見の聴取そのものは、もちろん法の精神ですからそのとおりだと思いますが、その理由としては、原価に相当するものだけではないなどということにいくのではなくて、もう少し今お話しになったように、もう少し書き込んでいただいたほうがいいのではないかというふうに思います。

(土肥主査) はい、上原委員、どうぞ。

(上原委員) ここのところはいささか要するに、誤解を招くような書き方になっているのではないかというふうに思われます。つまり使用料と原価、原価があれば、じゃあ使用料にそのままリンクして簡単に割り出せるのかということは別問題だと思いますので、そこのところはそういう表記であって構わないと思いますが、原価に相当するものがないかどうかというと、例えば映像作品で何らかの世界の自然遺産を撮ったビデオを出そうとすると、何チーム使って、それでどれだけのフィルムを回して、編集費がどれだけかかって、それを出すための原盤テープを作るのにいくらかかかった。それを今度発売するに当たっては、ジャケット制作料がいくらかかった。これは原価はすべて出ます。その間で要するに、じゃあ元の原盤の映画の著作物であるVTRの使用をさせる時の使用料金をどうするのかというのは、やはりそうした一定の元の製作費に関わる部分との関係で、回収が望めないような使用料というのはなかなか設定しづらいということがあります。
 むろん、一方におきまして、例えば詩だとか音楽だとかというものがどの程度原価というものが見えるのかというと、これはなかなか見づらいものだと思います。あるいは実演家の方の実演なども大変な努力を経てその技量を身につけたものとしても、それをどこまで原価として考えるのかというのは、まさに見えない部分だとは思います。
 それは一概に原価に相当するものはないという言い切るところに、ちょっと誤解を招きやすいということだろうと思いますので、例えば原価に相当するものが、あるいは原価がよくわからないものが多いとか、そこのところはもうちょっと細やかな表現にしていただくと誤解を避けやすいのではないかと思いますが。

(土肥主査) ありがとうございました。そういうことでしょうね、そこのところは。その辺はいくつか問題とさせて出していくということで、よろしいですか。

(川瀬室長) はい。

(土肥主査) 三田委員、どうぞ。

(三田委員) 管理事業法の規制の対象にならない非一任型の管理について、会議の中で問題提起をさせていただいたんですけれども、結果としては、個人エージェントとか著作者本人が管理をする場合等までは規制できないということで、それとあまり高い料金を行ってくる著作者に対しては使わないということで自然的に解消されるというような、そういう論理で何となく問題があまりないかのような報告書になっている。重ねてもう1回同じことを言わせていただくんですけれども、非常に広範囲の利用者がいる分野で大変大きな問題が起こっているんですね。これは業者がやっているかどうかということよりも、作家個人がやってもかなり問題が生じるような分野であります。
 具体的にいいますと、教科書準拠ドリルとそれから大学入試問題集等の入試問題でありますけれども、教科書準拠ドリルについて申しますと、教科書への掲載は著作権法の33条で権利制限になっております。ですから、勝手に使っていいんですね。ところが、教科書準拠ドリルはその権利制限の範囲外でありますので、出版社が教科書準拠ドリルというものを作ろうと思いますと、管理事業者なり作家個人に許諾を求める必要があるということであります。
 それからもう1つ、入試問題については著作権法36条で権利制限になっております。これも勝手に使われてしまいます。ところが、センター試験とかあるいは東大、一橋の入試問題を教材出版社が問題集にしようとしますと、許諾が必要であるということになります。こういう場合にエージェントが非常に高い料金を設定したり、あるいは作家個人が法外な使用料を要求するというケースがまったくないとはいえないんですね。
 この管理事業法の趣旨からしますと、利用者の皆さんが適正な価格で、それからトランザクションコストも少なく利用できるようにという趣旨でこの法律が作られたのだと思いますけれども、以上申し上げた2点ではまったくこの管理事業法が機能していないということで、これは利用者の方は大変迷惑をされています。こういうことを権利者側で私が言うのも変なんですけれども、一方で登録している文芸家協会のようなところに作品を委託されて、適正な価格で対応されている著作者がいらっしゃる一方、一部の著作者が不当に高い料金を求めるということは著作権の側から考えても甚だ不公平な事態であるということであります。
 この問題は何とかなるだろうというものではありませんし、それから文化庁が適正に監督をするというようなことでも対応できる問題ではないんですね。これは法律の改正に向けて何らかの対策を立てる必要があるのではないかということを申し上げたんですけれども、その部分が反映されておりませんので、もう少し具体的に書いていただきたいというふうに思います。以上です。

(土肥主査) 今の関係で何かありますか。

(川瀬室長) 三田先生、ご持論ですので、私どもも何度もお聞きしましてよく理解できるんですけれども、ただ制度上の問題としまして、果たして管理事業法制の問題なのかどうかというのが、やはり1つ疑問に思われます。
 例えば教科書の掲載したもののその後の利用、ないしは大学入試問題として他人が作ったもののその後の利用についてどうするのかというのは、もし仮に法律上の問題があるとすれば、著作権法制といいますか。著作権の例えば制限規定の問題とか、そういうことで今の制限規定よりもさらにもう一歩進めた、参考資料で世に出すということまで例えば制限規定をかけるか、例えば報酬請求権に落としてしまうかというような制度上の問題はあるのかもしれませんけれども、管理事業法制の場合ですと、これは今まさしく先生がおっしゃいましたように、個人で非常に高い値段を設定されてご主張されるというようなことは、まさしく著作権者が自分の権利を主張しているにすぎないことでございますので、なかなか管理事業法制の中で対応しにくいのではないかなというのが、感想でございます。

(土肥主査) 確か三田委員が前期の本小委員会においても同様の趣旨のご発言があったというふうに理解しておりますし、その中でも確か管理事業法の問題なのか、権利制限規制等での検討すべき話なのかという、そういう指摘が出ております。議事録でも記録されておると思いますけれども、三田委員のおっしゃっておられることと、一任型、非一任型の規制対象の話については、7ページ、8ページにかけて、相当詳しくこの報告書ではまとめておるようにに思うんですけれども、規制対象でも一任型、非一任型についてもご発言があったと思いますけれども、そこのところはこれでよろしいという理解してよろしいんですか。

(三田委員) いま川瀬さんが言われたように、著作権法の問題であるということになると、われわれ著作者としては権利制限が拡大されることになるので、できればこの管理事業法の範囲内でできることはやっていくということが望ましいし、作家個人が何か問題を起こすということはモラルの問題もありますけれども、結果としてはそれほど多くなるということは考えられないんです。
 具体的に指摘をしましたけれども、ある民間業者が著作者230 人原稿で抱えている。その業者が登録をしていないということがあります。これは運用の面で何とかするというお話ではあったんですけれども、必ずしも運用だけで問題が解決するのかなという疑問があります。その点を今後も検討をしていただきたいというようなことが、もう少し反映されていてはいいかなというふうに思います。

(土肥主査) はい、村上委員、お願いいたします。

(村上委員) 三田委員の言われることもよくわかるので、私が事務局の味方というのもおかしいですけれども、法制全体としてどう作るのかというと、例えば一任型の管理団体などで包括実施許諾でいったり、それで一本でいた場合、全体を使う場合にはかなりの金額になる。そこで利用者のほうがそれがいやだといって、自分の使いたいものを個別にその権利者から許諾を受けるということを考えた場合に、それは個別に許諾を受けた場合に、もしかしたら、包括ライセンスよりも安いということになる可能性がないわけではない。したがって、これは一般論で議論すると、非常に高い個別の許可取得のために問題が出てくることもあるかもわかりませんけれども、逆に個別に許諾を求める部分をなくしたり、個別のエージェントから許可を個別に取るというものをなくした場合には、個別に交渉して安い金額で実施できるという可能性もなくすることになる。今の法制は両方残していると思いますけれども、それはそれで一般論としては何となくやむを得ないのかなという感じがします。

(土肥主査) ほかにこの点について、ご発言ございますか。前回の委員会においては、非一任型について規制対象にというようなご意見も中にはあったかと思いますし、あるいは非一任型と称して規制の対象から外れながら実質は一任型をやっているではないかとか、そういうような趣旨のご発言があったと思います。池田委員、どうぞ。

(池田委員) 前回の検討でもございましたように、これにつきましては一任型と非一任型の定義をどのように定めていくか、もう少しわかりやすい形で定めていく。今、料金について、使用料についてこれを誰が定めるかというところにございますけれども、果たしてそれだけなのかということもございます。料金はある程度定まっているけれども、最終的な許諾、いい悪いというのは権利者本人がするというケースもございます。それが果たして一任型なのか、非一任型なのかについても議論がございますので、これにつきましては今期の検討の中に今後改めて議論されていくというテーマなのでございましょうか。

(土肥主査) これ、まとめのところに入ってしまうんですけれども、21ページの5.のところでは、まとめの中に、提言の中に本法の見直しに当たり、こんなことを将来検討していくというのが入っておりますので、非一任型事業の規制等、そういう部分も読めなくはないというところはあると思いますけれども。はい、どうぞ、瀬尾委員。

(瀬尾委員) 私も今の一任型と非一任型という池田委員のご提案に非常に賛成です。といいますのは、この一任型と非一任型が単純に利用者が決めるのか、権利者が決めるのかといいますけれども、いま手法的に非常に曖昧になっている部分が大変多い。例えばチェックボックスにしてどれを選択するかというふうので、これが例えば小さな4段階、5段階であったら、これは一任型であるというふうな考えがあるでしょうけれども、これが微妙にもっといっぱいチェックがついてて、細かに本人が決めたものを電子的に契約したら、これは非一任型ですということも言えてしまうのではないか。そして、そういう方式がもし定着してしまったら、ザルになってしまう可能性があるわけですね。そして、何らの規制も受けずにかなり広範にやっていく。規模に関しては問題がないわけですから。
 ですので、現状に関してはこういう線引きしかないというふうに私も考えられますし、この報告書の中での一任型と非一任型の検討というのは、私は現時点ではこれ以上言えないと思いますが、今後の新しい技術的な方法でこの一任型と非一任型の敷居が大きく動く可能性があるために、これに関しては原則的に、もっと汎用的な線引きというのも、この管理事業では考えていかなければいけないのではないか。
 ですので、今後の重要な検討課題として絶えず定期的なテーマとなり得るものではないかというふうに、これを見て感じました。以上です。

(川瀬室長) 今、池田委員と瀬尾委員のご意見でございますけれども、管理事業法の法律の中では、例えば非一任型というのは使用料の決定権限が委託者に留保されているものということですから、管理の方法が多様でございますので、ですから管理団体が管理をしている。その中で使用料の決定権限が委託者に留保されているかどうかが1つの基準ですから、ほかのことについて委託者の意見を聞いても、これは一任型ということなんです。
 それから、例えば私どもで作成しております管理事業法の手引き等では、例えば使用料の決定権限も例えば松竹梅という値段があって、その3つから選択するようなものは一任型だ。完全にその使用料の決定権限がないと駄目だというようなことは明らかにしておりますけれども、ただ確かにご指摘のとおり、具体的な例なんかを出して、質問者の疑問に答えるような形できちっと整理できているかどうかというと、なかなか完全にはできていないというようなこともございますので、そこはご提言をまとめていただきまして、原案のとおり運用基準というものが重要だというようなご指摘がございましたら、そこは専門家の意見も踏まえ、その基準をまとめて、それに基づいて関係者の方にはご説明していきたいというふうには思っております。

(土肥主査) はい、どうぞ。

(瀬尾委員) 本当に、これは非常に微妙な問題なんですが、例えばネットで契約をする。こういうこと自体いろいろあると思うんですが、例えば権利者が沢山いる。1000人くらいの権利者と一応契約をする。そしてネット上で使用料を自分で入力する。そしてほかの条項に関しては同意する、しないを選択していって、最終的に自分の使用料はいろいろな場合というのが書いてあって、そこで自分で入れていく。これは私の理解では非一任型になるというふうに思っているんですけれども、例えばそういうものというのは例えば例があって、この場合にはこう、参考の資料もついていて、それを見てだいたいいくらくらいとかという誘導があったりとかね。
 今までそういうことというのは事務手続きがものすごい煩雑だったわけですね、そんなことをやるというのが。例えば1000人の権利者にそれを1つずつやるのはものすごい大変だった。ところが、今はかなり容易な手法でそれができてしまうわけですね。そうすると、1000人が非常に有力な権利者を個別に管理することが、今まではかなり大変だったんですけれども、今後はそれほど今までに比べると難しくはなくなってくる。でも、そういうふうな団体に関して、やはりそれが非一任型であるというふうな形になってくる可能性があるというふうな部分が、私はちょっと今後の対応ということを留保しなければいけないのかなと思っているような部分です。ちょっと付け加えるということです。

(石井委員) 今のことに関連してですけれども、恐らく現状は一任型と非一任型が思った以上に混在しているのではないかなというふうな感じがいたします。具体的には、例えば7ページのアのところの3つ目の丸ですけれども、いくつか例が掲げてありますけれども、同じ利用形態について一任型の管理事業者と非一任型の管理事業者が併存している。これは例えば美術などの分野でもかなりあるのではないかなと、私は思っています。あるいはその次の、同一の管理事業者において、ある利用形態は一任型によって、またある利用形態は非一任型、これも脚本以外にも実演とか、そういうところでもあるのではないかと思います。最後の例は、ちょっとイメージできませんので省かせていただきますが。
 したがいまして、その次のこれは8ページの一番下のところになりますけれども、確かに結論的には今の法改正の必要はまだ時期尚早という気がしますけれども、その「本委員会としては」以下にありますように、十分把握されていないのだったら、どうやって今後把握していくのか。あるいは弊害が検証されていないのであれば、どうやってこれを検証していくのかということを、議論とは別に何か考える必要があるのではないか。直接このまとめとは関係ございませんけれども、そういう気がしているので発言しました。

(土肥主査) ありがとうございました。はい、椎名委員。

(寺島委員) 脚本の場合、ある利用は一任型によって、ある利用形態は非一任型というんですけれども、うちなんかははっきり出版と上演だけは外しているんです。出版、上演以外は全部一任型の形をとっているんですね、使用料に関しては。だからここである利用形態、それはいいですけれども、それはちゃんとうちは約款やなんかでもはっきり言っているわけです。要するに、出版と上演は信託ではない。代理契約のご自分が希望する人だけからだけ代理契約をする。あとは出版と上演以外は全部一任型ですね、信託していただく。ですから、ここの書き方がこれでもいいのかもしれないけれども、具体的にいうとううちなんかはそういうことで、出版と上演だけが私どもの言葉でいえば、信託ではなくて代理契約。そして、ほかのものは全部信託契約で一任型をとっているということでございます。

(土肥主査) ありがとうございます。椎名委員もご発言があると思うのですが。

(椎名委員) この一任型と非一任型の話というのは、利用する際の利便性から考えて、それが混在することに非常に混乱がある、あるいはわかりにくいという議論に聞こえるんですが、そのこと自体と法制度上の問題とはやはり切り離して考えたほうがいいいのではないかと思います。
 非一任という権利者は必ずいるわけでありまして、管理事業法というものがさまざまな手続きを簡略化した結果、一任でもいいよというふうな権利者が多く出てきて、一任型の管理事業者にあたかも集中管理の状況が生じるということをある種利用の促進という観点から見れば期待をして、管理事業法があるという面もあるんだと思います。
 だから、この段階でまだ施行後間もない、間もないといいますか。この段階の第1回の見直しの段階で、非一任と一任と設けていることによって起こる効果ということもありましょうし、もう少し利便性ということは確かにあるとは思いますが、この制度をこのまま見ている必要があるのではないかというふうに、僕は考えています。

(土肥主査) ありがとうございます。正直におっしゃっていただくと、この基本的な規制対象のこの部分、恐らくこのまま本委員会としてはお認めいただいた上で、残っている問題として混在している実態、あるいはいま皆さんがおっしゃっているような問題点の素材について、今後別途検討していくという扱いにさせていただければというふうに思いますが、よろしいですか、それで。
 それでは1辺りのところにかなり時間をかけて厚めに検討いただきましたけれども、その他の部分、かっこあるいはかっこ、こういった部分はいかがでございましょうか。山本委員、どうぞ。

(山本委員) 14ページの一番下のところですが、型委託契約約款・使用料規程のインターネット公示についてというところについて、意見です。15ページのところにこの検討結果として、制度改正までは必要ないと考えるという点については、このとおりだというふうに思います。
 しかし、インターネットでの公示が必要だという点は間違いないだろうなというふうに思います。このインターネットで、ホームページで情報公開するのに大したお金はかかりません。デザインに凝ったりするとデザイン料で1000万円とかかかるかもしれませんが、単純にホームページを維持するだけであれば、月々1万円もかからないという話ですから、その維持費さえ払えないという事業者に対して、この管理事業者にするわけにはそもそもいかないと思いますので、この真ん中、15ページの真ん中の辺りですけれども、経済的負担の問題があるので制度改正までは必要ないと考えるというのは、ちょっと違うんじゃないかというふうに思います。
 法律ですから公示が必要だという、公示義務は書いておく必要があると思うんですが、じゃあどういう媒体を使って公示するのかまでは法律で規定しておくのは不適当だという、そういう問題じゃないかなというふうに思います。

(土肥主査) ありがとうございます。今の点について、いかがでございましょうか。

(山本委員) もう1点よろしいでしょうか、続けて。それでその次の丸のところ、「しかしながら」のところで、一番最後に「文化庁もその方向で指導助言すべきである」というふうに書かれておりまして、まさに法律でインターネット公示というのを書くべき問題ではなしに、運用において改善をしていくべき問題だろう。したがいまして、「文化庁もその方向で指導助言する」というのはまさにとっていただくべき方向だと思うんですが、それに従わないところに対してはどうするのか、それでもいいのかというと、そうじゃなしに、やはりその必要性からいって、そういうふうにインターネット公示について改善を、場合によっては命ずるくらいまでの必要性がある問題じゃないかなというふうに思いますので、ここでは例えば「指導を助言し、場合によっては業務改善を命ずべきである」とか、そういうふうに、そこまで書いていただいたほうがいいんじゃないかなというのが、私の意見です。

(土肥主査) 2点あるわけですけれども、先の点、報告書の表現のことにつながるところなので、事務局、何かございますか。

(川瀬室長) 業務改善命令になりますと、少し。

(土肥主査) 後のほうですか、前のほう。先のほうの「経済的負担の問題」でしょうか。

(川瀬室長) そこは検討させていただきます。後半については少し表現は、これも検討させていただきます。ただ、ちょっと業務改善命令まではなかなか、もともとは選択肢を「事業所の掲示」、ここにも書いておりますように、「インターネットの公開」、「その他」ということで、選択を認めて、それが申請されてきますので、基準を設けてできるだけそうしていただくということについて、私どもが例えば3月にだいたい毎年事業者講習会をやっておりますので、そういったところで事業者の方にお願いをするとか、立入検査の際にそういうことをお願いするというようなことは、これはぜひやっていきたいと思いますけれども、実施しなかったから業務改善命令というところまではなかなか難しいのではないか。ただ、表現については少し工夫をさせていただきたいと思います。

(土肥主査) はい。もともと山本委員のおっしゃっていただいたように、重要なポイントだと思うんですけれども、基本的に規制を緩やかにするというような部分もございますものですから、まずは運用で少しやらせていただくということのようでございますが。すみません、石井委員、お待たせいたしました。

(石井委員) 表現の問題だと思いますけれども、18ページの「その他」のところで、包括的利用許諾の問題でございますけれども、包括的利用許諾は一般的に私どもがやっているのは2通りありまして、包括的な利用許諾だけを受けてその都度使用料をお支払いするものということと、それから使用料もまとめてお支払いしてしまうものということの2とおりございますけれども、だいたいここに書かれているのは後者のことだというふうに理解してよろしゅうございますね。
 もう1点、すみません。先ほど最後発言ができなかったんですけれども、椎名委員に誤解を与えたとしたら申し訳ないんですけれども、私も非一任型、一任型が両方あるということは、これはもう当然のことだろうと思っています。ただ、問題はその切り口がどこかということを検証していったらいいのではないか、という趣旨でございます。

(土肥主査) ありがとうございました。ほかにはいかがでございましょうか。佐々木員、どうぞ。

(佐々木委員) 包括的な利用に関わる問題につきましては、特にインタラクティブ配信の分野ではかなり広範囲にこういった利用方法が一般の利用者に供されて、サービスを供されて、それなりにビジネスとしても発展しているわけでございまして、ここに書かれているとおり、今回の報告書では、「管理事業法の協議・裁定制度を活用するなどして、問題の解決に努める必要がある」というふうに書かれておりますので、こういった現行の制度上でいろいろな料率の問題であるとか、許諾の方法とか、いろいろな改善なり利便性を高める努力をしていただきたいと思いますが、場合によっては、やはり何らかの形で法制度上の担保が必要になるというようなこともあるかもしれませんので、今後とも引き続きこの委員会で議論をしていただければというふうに思っております。

(土肥主査) それではお待たせいたしました。寺島委員。

(寺島委員) 前にも申し上げたんですけれども、簡単に申し上げますけれども、インターネット上に公示するといったって、脚本の場合にはそれを、脚本を使うという場合は可能ですけれども、そうじゃなくて映画なり放送番組なりになっているものを使う時は、脚本家のOKだけでは使えないんですよね。ですから、インターネット上の公示も向いている分野の団体が公示なさるのは反対しませんけれども、脚本の場合にはあまり向いていないということ。毎日毎日ものすごくできますから、そのことを申し上げましたけれども、併せて毎日毎日出るものを果たして製作された映画製作者とか、放送番組の製作者がいわゆる使わせるのかどうかという問題があるんですね。

(土肥主査) じゃあ上原委員、どうぞ。

(上原委員) 報告書案に対していくつかございますので申し上げさせていただきます。細かいところもございますし、大きな問題もあろうかと思います。
 まず13ページ上の部分でございますが、例の秘密保持に関する問題でございますけれども、「なお、個人に関する情報については、平成17年4月から施行される『個人情報の保護に関する法律』で保護されることになる」。別に能書きで書いてあっていけないとは思いませんが、本検討会の議論の中であまり個人情報のことは問題になっていなかったので、本検討会の報告書としてここの部分の表記が必要なのかどうかと。ここで問題なったのはやはり営業上の秘密のことが問題になっておりましたので、別に書かないでもいいんじゃないかなと。別にあって邪魔だとは申し上げませんが、そういう感想を持ちましたということが、これに関しては1点でございます。
 それから13ページの下から2つ目の丸のところでございますが、ここのところでいわゆる情報提供に関係する部分ですが、「あらゆる著作物等のあらゆる利用区分において個々の著作物レベルの情報提供が必要かなどについて」、これはまさに寺島先生が前にもおっしゃったところかと思いますし、ここについては逆にいうと、「あらゆる著作物等のあらゆる利用区分において個々の著作物レベルの情報提供が必ずしも必要ではない」というのも、合意をこの場で得られていたことと思われます。例えば寺島先生のところについては、自分のところに加盟している脚本家の脚本についてはすべて、先ほどおっしゃったように、2つの利用形態を除いては預かっているという事を明確にしていただければわかるからいいんだということになっていたと思います。
 そういう意味では、ここの表現の書き方については、「著作物等の利用区分ごとにおける情報提供の仕方の整理であるとか、管理事業者の現在の実態をさらに見極めて整理していくことが必要である」というような表現形態のほうが適当ではないかというように、本委員会の前期の検討状況に照らして考えるところであります。
 それから次、14ページへまいりまして、上から2つ目になります。丸としては1つ目の丸でございますね。「特に音楽の分野では混乱が生じているとの指摘もあることから、当面は、文化庁で情報提供の方法についてガイドラインを設けるなどして、各事業者が情報提供を積極的に進めるよう指導・助言していくことが重要と考える」ということで、ここの部分と後のまとめのところとの関連性をどの程度の強さで結びつけるのか。重要と考えるのだったら、ガイドラインの検討をしていくということを、例えば書くのか、書かないのかという、最後のまとめとの関連でみると重要と考えているわりには、ちょっと十分ではないように思われるので、まとめとの関連で場合によっては具体的表現をこちらのほうに入れるのか、まとめのほうに入れるのかということを考慮していただいたらいいのではないかと思っております。
 それから14ページのウのところの検討の結果でございますが、「利用者側からの信頼を得られない管理事業者は整理されていくと考えられる」ということがございます。ここの部分ですね。あるいは同じ14ページの上のほうのところにも、「新規参入事業者についての意見がほとんどであるところから、もう少し長い期間で実態を見ると、事業者間の競争関係を通じ、一定の秩序形成が行われることが考えられる」というような記述がございます。これらの記述につきまして、別にこれを問題を呈するということはございませんが、本小委員会の前期の検討の中で、特に児玉委員などを中心にしまして、多々意見が出ておりましたのは、著作権等管理事業法における著作物あるいは隣接権につきましての特徴といたしまして、代替性がないというところが要するに商品マーケットの、一般商品マーケットとの違いであろうということがだいぶ指摘されていたと思います。
 確かに一方で管理事業法がスタート時点において、規制緩和と同時に市場性を導入することによって期待するところが大であったということについては理解をしておりますし、皆さんの意見も一致しているところかと思いますが、一方で、すでに管理事業法を導入する際から問題になっていた代替性のないところとのバランスをどうするかということにつきましては、やはり本小委員会の検討の中で指摘が多々されたところでございますので、そこの部分については、ここの辺りで何らかの形で言及されていなければならないのではないか。前期の検討を踏まえた上での報告というところであれば、考えるところであります。
 それから最後のところでございますが18ページ、これも逆にちょっと、場合によっては事務局へのご質問にもなろうかと思いますが、一番上のところでございます。利用者側も利用者代表といいうる組織を作る必要がある。利用者側にはさまざまな意見があると思われるが、それらを集約して利用者側として1つの意見にまとめることも利用者代表に課せられた義務である。こういうふうに書かれているのですが、私、法律の解釈の仕方といたしまして、指定管理団体と交渉をする時において、利用者団体を作ることが必要な枠組みになるということは理解しているんですが、その利用者団体が意見を1つにまとめなければならないというところまで管理事業法は求めているかどうかということについては、私は実はそうは解釈しておらなかったものですから、ここに書かれていてちょっとびっくりしているところでございます。
 といいますのは、利用者団体を作ったところでその利用者団体の中でいくつかの意見が分かれていて、逆にその話し合いをする中で指定管理団体のほうからいろいろな意見が出ることによって意見が収斂していくというようなこともあろうかと思いますので、協議をする際において、最初から利用者側の意見が1つでないと協議が始められないということになると、協議の実効性がないのではないか。つまり、話し合いをする窓口が1つにまとまっていれば、最終的には利用者側も1つの意見にならなければ話し合いはまとまりませんので、その努力は必要だと思いますが、書き方の問題だと思いますが、これで見ると、最初から意見が1つじゃないと話し合いができないように読めるので、ちょっとその辺の書き方はご配慮いただいたほうがいいのではないかというふうに思ったところでございます。以上でございます。

(土肥主査) 今の最終のところの部分は質問になりますか。

(上原委員) 私としては質問の部分も当然、意見といたしまして、書き方として、最初から意見がまとまっていないといかんというような誤解のないような書き方にしていただいたらいいのではないかということでございます。

(土肥主査) その質問の部分について、よろしゅうございますか。

(川瀬室長) もちろん最初から1つにまとめる必要はないと思うのですが、法律上の構成としては利用者代表という用語を使っておりますので、これは代表という意味は当然のことながら、その構成員の意見をまとめて利用者として意見を代表して言うということですから、当然法律的には利用者代表たる方は利用者の意見をまとめるという義務があるということだと思います。
 それから、法律上は利用者団体の構成員以外の人も努力義務規定ではございますけれども、意見をよく聞いて、それを反映されるというような法律上の条項もございます。ただ、今ご指摘のとおり、表現に工夫はあろうかと思いますので、それは少し検討させていただいて、できるだけご意見に近いような形にしたいと思います。

(土肥主査) 児玉委員が挙手なさったのは。

(児玉委員) 今のことに関連して。いま上原委員、ご指摘のことなんですけれども、実務をしております利用者側からの発言でございますけれども、利用者代表というのはどこなのかということが、実は最近、コンテンツの新しいビジネス・スキームがどんどんできてきますと、非常にわからないことが多くなっているのです。現に現在の管理事業法では利用区分ということについてのあまり定義が明確でないものですから、単なる支分権だけでなくて、新しいビジネス・スキームができてくると、新しい利用区分というのがどんどんできてくる。そうしますと、権利者側の方は今までのビジネスから考えれば、この団体が利用者代表だろうということで協議をされるんですけれども、でき上がってみたら、実はそうじゃない団体もかなりの比率で利用者になっている。こういうようなケースが最近ちょっと若干それに近いような実例もありまして、使用料規程ができる直前になって、これはとんでもない、ちょっとこっちの意見も入っていないといけないんだということで騒いだこともあります。
 そんなことで、これからは特にブロードバンドといいますか。新しいビジネス・スキーム、ビジネス形態がどんどんできてくるのに関わって、やはりある意味では利用区分ということの定義について、もう1回よく確認をしなきゃいけないということと思います。今回のこのまとめの中での18ページの一番上のまる1のところの利用者代表に関する書きぶりを、責任の所在を、もう少し、和らげるように、表現にしていただきたいなということであります。

(土肥主査) 今、利用者代表等のこの部分に議論が集中しておったところでございますけれども、他の委員におかれましては、この件にご意見はございませんか。

(佐々木委員) まさに利用者団体、インタラクティブに関しまして、組織化して活動しているところでありますけれども、ここでやはり一番難しいのは、新しい特にインターネ、ットとかモバイルの分野では、やはり新規参入者が非常に多くありまして、既存のコンテンツ事業者のいわゆる方々と、それから新しくそういったところに参入した方々をどうまとめていくかということが、すごく難しい問題なんですね。そういう意味でいいますと、既存の??ページ??を中心として、また放送とかそういった既存の業界の方々と新しい技術によって生まれた、新しいコンテンツ産業に参入された方々が、1つになって利害を整理して、また利用者の利便性を高めるために話し合って一本化していくというのが、実際のプロセスなんですね。
 ですから、ここはやはり利用者側が集まるという仕組みが、もう少しガイドライン的なものがあってもいいのかなという感じがいたします。そういった意味では、われわれもどういった方々とどういうふうに話し合えば、これをきちんと決められるのか。また、交渉の主体的な当事者になれるのかということで日々苦労しているところでございますので、そういった意味では今後継続的に議論をさせていただいて、どういう条件なりどういうふうな状況であれば、こういった法律の求めるところを十分果たすような仕組みになるのかということを議論させていただければというふうに思っております。

(土肥主査) ほかの方、いかがでございましょうか。荒川委員、お願いします。

(荒川委員) 今の点と違うことになりますけれども、9ページのまる2、ウの検討結果のところで音楽の演奏について、「演奏権の管理は現状、日本音楽著作権協会以外は参入しておらず」というふうに書いてございますけれども、事実上単一の事業者という意味ではそうなんですけれども、参入という意味においては、新規参入者がすでに演奏権という部分で使用料規程を掲げて、実際に徴収しようという動きがあるということが事実としてございますので、そこの部分、事実確認していただいて訂正していただければというふうに思います。

(土肥主査) どこの部分ですか。9ページ。

(荒川委員) ええ。9ページのウ、「検討の結果」のところで、JASRAC(ジャスラック)さん以外は演奏権の管理に参入していないというふうに書いてございます。そこの部分についてということです。

(土肥主査) これは事務局はそういう事実を確認されておられないんですか。

(川瀬室長) 現時点では確認してませんので、確かめさせていただきます。

(土肥主査) 先ほどかなり議論になっておりました使用料規程、利用者区分、利用者代表、この辺りについてなんですけれども、関口委員。

(関口委員) 少しまた話が戻るかもしれませんけれども、先ほどのインターネットの部分なんですが、それと佐々木委員の話にもありましたように、新たにこの制度に入ってきて何かそういうことをしたいという人にとっては、その検索性とか網羅性というのは極めて大事だと思いまして、それが達成されるのはやはりこのインターネットではないかと考えるわけです。その場合には、やはり事業所はいろいろあっていいと思うんですけれども、インターネットの上でそれが一括して検索できるような輪を作る。その意味でいきますと、個々に公開するのはそれはそれで結構な話なんですけれども、1カ所でそれが検索できる場所が必要である。
 すでに文化庁さんのほうでそれを作ってはいるんですけれども、ここの一覧はあくまで事業者の存在だけを確認できる一覧になっていて、そこには約款ですとか、使用料規程についての提出があったか否かというところで話が変わってくると思います。
 ですから、15ページのかっこの前のところですか。「インターネットによる公示を行うことがてきない管理事業者も存在すると考えられる。このような事業者については」という形で、自分でホームページを持てないようなところを対象にしてこれを作るんだというようなニュアンスにとれるんですが、そうじゃなくて、むしろここに一括して必要な事項は全部掲載することが登録する上での1つの義務といいますか。義務に近いものというふうにして、それ以上に細かいところを書きたいとか、細かいところとか、手のかゆいところに届くようなことを書きたいという場合には、自分のホームページ上でやっていただくというふうな形で、ここの書き方を、これをもっと積極的に使っていくんだというような表現であったほうがいいのではないか、というふうに考えます。

(土肥主査) 今のところ登録における届出事項ということになっているわけですよね。

(川瀬室長) 今、私どもが考えておりますのは、基本的には事業者さんに努力していただいて、インターネット公示を進めていただくことが重要と思うのですが、それでもいろいろな事情できないという方につきましては、いま文化庁で管理事業者の一覧をホームページに出しておりますが、事業者でインターネット公示されているものにつきましては、私どものところがリンクを張って、私どもの情報を見て使用料規程と約款について見たい方は、そこをクリックすれば事業者のホームページに行くことにしています。
 それから、インターネット公示されていないところにつきましては、私どものほうでそれを表示できるような工夫をしたいと思っておりまして、一応今年度の予算で今やっている最中でございます。ですから委員のご指摘のとおり、もう少し表現は改めさせていただきます。

(土肥主査) はい、どうぞ。

(関口委員) 今おっしゃったとおりでそれはそれで了解しているんですけれども、ただ各ホームページに飛んでいって、そこの中でそれぞれが説明しているわけなんですが、それぞれの団体でみんな表示方法なり形式がみんなバラバラなんですね。私のように第三者的にどこがどうだとか、あるいは使用料でどのくらいが相場なのかとかを見ていきたいといった場合に、それがまったく比較検討ができない状態になっているということでいえば、最低限ここの部分だけは一覧として出してもらって、そこは同じリストの中で紹介していくということも全登録事業者に対して必要ではないかなというふうに思います。

(土肥主査) 義務付けるかどうか結構難しいですよね。わかりました。そういうご意見があるということにさせていただいて、先ほどのくどいようなんですけれども、利用区分、利用者代表の部分中で、ここにおいでになる利用者代表というのはだいたい業としておやりになっている方なんですけれども、いわゆる利用者代表ということになると、一般のユーザー、消費者の方も入るわけですよね。そういう利用者についての何かご意見はありませんか。利用者代表がそういう一般のサイレントマジョリティの意見を反映して、ございませんか。
 それじゃあ時間的にはぼつぼつまとめの時間に入るほうがいいのではないかと思うんですけれども、どうぞ、菅原委員、お願いいたします。

(菅原) 18ページの包括的利用許諾のあり方に関してなんですが、状況のまとめはこれでよろしいのであろうとは思います。ただ1つ誤解をされては困りますのは、管理事業法上の協議・裁定の制度を受けるのは指定管理事業者だけでございまして、一般管理事業者は1回届出をしてしまいますと、そのことの協議というものが法律上はする必要がないということがあるわけでございます。
 したがって、これは前回の検討でも申し上げたと思いますけれども、やはり努力義務との関連の中でそこをどう考えていくかという課題であろうかと思います。今の報告書にはそれを記載するかどうかということではないかと思いますけれども、場合によっては文化庁さんのほうでされるガイドライン等の中で、やはりそういった視点を置いておくという必要があるのではないかということで、確認的な意見を述べさせていただきました。

(土肥主査) ありがとうございます。それではだいたい今、本日の段階で−−けれども、もう1度管理事業法というものが次回の検討対象になっていますよね、このお持ちの案が。それはもう1度今日やったところから最初から戻ってやってしまうというのも何ですから、次回については4のまとめ以降のところを考えるということで、本日のところは3.のかっこからかっこのところについて一応まとめたいと思っているのですが、それでよろしいですか。
 そういたしますと、もちろん例外等はございますけれども、次回については4のまとめについて以降を考えておりますので、本日のところでは3.のかっこからかっこまでについてご意見があればいま出していただくと、こういうふうに考えておりますが。

(上原委員) ちょっと確認でよろしいですか。

(土肥主査) はい、上原委員、どうぞ。

(上原委員) 具体的な中身をどうしようということではございませんで、私、一応先ほど具体的な話にみんなまとめて言ってしまいましたので、それはあれですが、進め方に関して、今のお話の中で、だいぶ事務局のほうから表現を考えるということを言っていただいたことがございますので、私も細かい点も含めて表現を考えてほしいということを申し上げましたし、ほかの方からも出てますので、ある程度そこの表現を考えていただくという部分につきましては、次回の前にお配りいただいて、次回そこの部分についてはある程度直したところでいいかどうかという検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

(土肥主査) もちろん、その部分については見ていただきたいと思っております。よろしゅうございますか。松田委員、お願いします。

(松田委員) 最後まとめの部分についてですが、今日の時点で前回までの議論をお聞きしていますと、最大の実は管理事業法上のいま抱えている問題というのは、非一任型の業務で実際上はかなり一任に近いものも含め、なおかつ使用料を実質的にはかなり高いものを徴収できるよということで、権利者を集め、そして権利行使をもしているような団体があって、それがこの管理事業法の一任型の業務を行う団体との関係ではかなりコンペティションが生じているのではないかと思います。
 そのことを認識はしているんですけれども、なかなか表現ができない。まとめられないというのも確かにそのとおりなのだと思いますが、これこのまま皆さんの中の共通の認識でありながらうまく書けないというか、管理事業法の問題だけではないから管理事業法の問題ではないということで、何も1行も書かないで終わってしまうのはいかがなものかなという感触を持っています。上原委員からも三田委員からも今日発言があって、なるほどなと思って聞いていたわけですけれども、もしそういう意見で積極的な委員の方がいらっしゃれば、数行こういうものを書くべきだというのを事前に委員に出し得るような形で、それで実質的な審議がそこのところで進むような形にしてみたらいかがかと、私は進行について意見を持っています。以上です。

(土肥主査) 委員がおっしゃっていることについては、前回の本委員会も委員会を含めて検討していくという、そういうことであったろうと思っています。それで、いま松田委員がおっしゃっておられるように、各委員が試案としてペーパーをお出しになる。こういうことはもちろんあり得るのだと思いますので、それを報告書の中に入れるかどうか、これはまた別の議論だと思いますが、そのペーパーに基づいて次回以降の検討は必ずやっていくことになるわけでありますから、もし委員の中でそういうお考えの方がおいでになりましたら、もちろん全体との関係がございますので、なかなか大量にはお出しいただかないほうがいいと思いますけれども、的確にまとめていただいたものを一応お示しいただいて、それで例えばそれをどういうわれわれの共通の認識の形として提示をするのか、あるいは報告書の辺りのまとめ等の中に入れるのか、あるいはそういうことを、時間も多分あると思いますが、考えてみたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。ご意見がなければ、そのようにさせていただきます。
 それでは本日の小委員会におきましては、まとめを除いたその前の部分について、各委員がご意見をお出しになった部分、ところについて事務局が一応受けておる部分がございますので、それを踏まえたものを次回はお示しをして、そことそれからまとめについて、それからもし場合によっては各委員がお出しになったペーパーがございましたら、これはあまり大部のものはちょっといろいろございますので、量も非常に大事なところでございますので、そういう報告書の中に盛り込むということも当然あるわけで、そこを踏まえてお考えいただいて、お出しくださればと思います。本日の小委員会におきましては、だいたいそういうような考え方でやりたいと思いますけれども、委員の皆様方はいかがでございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。それでは本日のご意見というものを踏まえた上で、次回の委員会におかれましては報告書案を修正してというか、改めていただいた部分がありましたら、それを改めていただいて、次回の審議にいたしたいと思っております。
 事務局から先ほど言われましたように、次回の委員会で今回と同様に案はお届けするということでございますので、ご承知おきください。
 それでは、文化審議会著作権分科会の第1回契約・流通小委員会を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。最後に事務局から連絡事項がございましたら、お願いします。

(溝口補佐) 次回の第2回契約・流通小委員会ですが、4月26日火曜日、13時30分から約2時間を予定しております。場所は、経済産業省別館10階1020会議室を予定しております。
 本日はどうもありがとうございました。

〔了〕


(文化庁長官官房著作権課)

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