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文化審議会

2004年9月8日 議事録
著作権分科会 契約・流通小委員会(第1回)議事録


1.日時 平成16年9月8日(水曜日)10時30分〜12時13分

2.場所 文部科学省10階10F1,2会議室

3.出席者
委員)
荒川,池田,石井,上原,金原,児玉,駒井,佐々木,椎名,菅原,瀬尾,関口,寺島,土肥,生野,松田,三田,村上,森田,山本の各委員,齊藤分科会長
文化庁)
吉川著作権課長,川瀬著作物流通推進室長,ほか関係者

 議事次第
 開会
 委員及び文化庁出席者紹介
 議事
(1) 契約・流通小委員会主査の選任等について
(2) 契約・流通小委員会の検討課題等について
(3) その他
 閉会

 配付資料
資料1   文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会委員名簿
資料2   文化審議会著作権分科会の議事の公開について
(平成16年8月2日文化審議会著作権分科会決定)
資料3   小委員会の設置について
(平成16年8月2日文化審議会著作権分科会決定)
資料4−1   著作権法の一部を改正する法律の概要
資料4−2   著作権法の一部を改正する法律案資料
資料5   知的財産推進計画2004(著作権関係部分の抜粋)
資料6   著作物等の円滑な流通の促進に関する文化庁の施策
資料7   契約・流通小委員会審議スケジュール(案)
資料8   契約・流通小委員会における検討事項(案)

参考資料1   文化審議会関係法令等
参考資料2−1   文化審議会著作権分科会委員・専門委員名簿
参考資料2−2   文化審議会著作権分科会各小委員会委員名簿
参考資料3   文化審議会著作権分科会報告書(平成16年1月)
参考資料4   著作権等管理事業法の施行状況等に関する意見募集

 議事内容
【吉川著作権課長】
 おはようございます。それではただいまから、文化審議会著作権分科会「契約・流通小委員会」の平成16年度第1回を開催いたします。本日はご多忙中にも関わらず、皆様ご出席をいただきましてありがとうございます。私は著作権課長の吉川でございます。
 本日は、契約・流通小委員会の最初の会議でございますので、後ほど主査を選任していただくこととなりますけれども、それまでの間、私が進行させていただきますのでご了承をいただきたいと存じます。
 初めに、今回、文化審議会著作権分科会「契約・流通小委員会」の委員にご就任された委員の方々をお座りの順にご紹介させていただきます。荒川委員でいらっしゃいます。

【荒川委員】
 よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】
 池田委員でいらっしゃいます。

【池田委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 石井委員でいらっしゃいます。

【石井委員】
 石井です。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】
 上原委員でいらっしゃいます。

【上原委員】
 上原です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 金原委員でいらっしゃいます。

【金原委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 児玉委員でいらっしゃいます。

【児玉委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 駒井委員でいらっしゃいます。

【駒井委員】
 駒井でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 佐々木委員でいらっしゃいます。

【佐々木委員】
 佐々木です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 椎名委員でいらっしゃいます。

【椎名委員】
 椎名でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 菅原委員でいらっしゃいます。

【菅原委員】
 菅原でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 瀬尾委員でいらっしゃいます。

【瀬尾委員】
 瀬尾でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 関口委員でいらっしゃいます。

【関口委員】
 関口です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 寺島委員でいらっしゃいます。

【寺島委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 土肥委員でいらっしゃいます。

【土肥委員】
 土肥でございます。

【吉川著作権課長】
 生野(はえの)委員でいらっしゃいます。

【生野委員】
 生野でございます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 松田委員でいらっしゃいます。

【松田委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 三田委員でいらっしゃいます。

【三田委員】
 三田です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 村上委員でいらっしゃいます。

【村上委員】
 よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 森田委員でいらっしゃいます。

【森田委員】
 森田です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 山本委員でいらっしゃいます。

【山本委員】
 山本です。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 以上でございます。続きまして文化庁の関係者をご紹介させていただきます。私の右が、川瀬流通推進室長でございます。私の左手ですが、山口著作権調査官でございます。それから、川瀬の右が溝口流通推進室長補佐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは事務局から配布資料の確認をさせていただきます。それでは議事次第を1枚おめくりください。配布資料一覧というのがございますので、それにそってご説明をさせていただきます。
 まず本日、資料として9点、それから参考資料として5点を用意しております。簡単に読み上げさせていただきます。資料1としましては、本小委員会の名簿。2が議事の公開について、分科会決定のものでございます。それから3としまして、小委員会の設置についてということでこれも同じ分科会の決定のものです。それから4−1としまして、著作権法の改正の概要です。それから4−2としましてこれに関する資料。それから5としまして、知的財産推進計画2004の抜粋部分。それから6としまして、著作物の円滑な流通に関する文化庁の施策ということです。それから7としまして、本小委員会の審議スケジュール(案)。8としまして、小委員会の検討事項(案)ということです。
 それから参考資料としましては、1としまして審議会の関係法令等。それから2−1としまして、分科会の委員、それから専門委員の名簿であります。それから2−2としまして、分科会の各小委員会の名簿でございます。3としましては、前期の著作権分科会の報告書でございます。4につきましては、著作権等管理事業法の施行状況等に関する意見募集というものでございます。不足等ありましたら事務局までお願いいたします。よろしいでしょうか。

【吉川著作権課長】
 ただいま齊藤分科会長がお見えになりましたのでご紹介させていただきます。

【齊藤分科会長】
 齊藤でございます。よろしくお願いいたします。

【吉川著作権課長】
 どうぞよろしくお願いいたします。それでは議事に入らせていただきます。まず、本小委員会の主査の選任をお願いをいたしたいと思います。選任方法につきましては、文化審議会著作権分科会運営規則の規定、これは参考資料の1として配付になっておりますけれども、その後ろから2ページ目と言いましょうか、そこに第3条第3項の規定がございます。これによりますと、委員、臨時委員及び専門委員の互選により選任する、ということになっております。事務局といたしましては、土肥委員に主査をお願いしてはどうかというふうに考えておりますけれども、皆様いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉川著作権課長】
 はい、どうもありがとうございます。ご異論がないようですので、土肥委員を主査として選出することでご承認をいただきたいと存じます。それでは、土肥委員には大変恐縮でございますけれども、主査席のほうへお移りをいただきたいと思います。またこれからの議事進行につきましては、土肥主査にお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】
 土肥でございます。よろしくお願い申し上げます。私の承知しておりますところでは、法の理念・役割と申しますのは、一つに合目的性の実現ということにあろうと思っております。合目的性の実現ということに際しましては、しばしば功利性、あるいは効率性、そういった問題を解決するということが求められるわけでございます。この功利性・効率性の問題は背後にさまざまな価値観とか利害、あるいは立場、そういったものがございまして、合目的性の実現のためにはこのさまざまな価値観とか立場、こういったものを調整するということが求められるわけでございます。著作権法もさまざまな利害が交錯する法領域の一つというふうに認識をしておりまして、著作権法が35年前に生まれたときから比較しますと、相当な状況が変わってきている。万人が創作者、万人が利用者、そういう環境の変化のなかで本委員会の求められるものも、かなり、社会的に見た場合に責任が重くなっておるのではないかとそういうふうに了解をしておるところでございます。
 したがいまして、本委員会で今後さまざまな議論が行われると思いますけれども、その議論が、検討課題が充実した内容になりますように、私としては微力ではありますけれども務めさせていただきたいと存じますが、いかにも力不足でございます。したがいまして、委員の皆様におかれましては、ぜひとも従来に増してご支援・ご協力をお願いいたしたいと存じます。私の、以上皆様方に対するお願いを申しまして、本日のご挨拶に代えさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それではまず、文化審議会著作権分科会運営規則の規定に基づきまして、主査代理を指名させていただきたいと存じます。参考資料1の11ページ、第3条5項というところにあるわけでございますけれども、私といたしましては、森田委員を指名させていただきたいと考えております。森田委員よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
 それでは次に、議事内容に入ります前に、本委員会の会議の公開の取扱いにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは、資料2をご覧いただきたいと思います。これは去る8月2日に開催されました著作権分科会において掲載されたものでございます。1行目にございます通り、この決定内容につきましては、小委員会と使用料部会を含むということになっておりますので、本小委員会においても適応されるということでございます。
 昨年度と異なる点についてご説明を申し上げます。まず3の会議の傍聴のところをご覧いただきたいと思います。昨年度までは会議の傍聴ができる者ということとしまして、報道関係者と委員の随行者、それから各府省の関係者ということになっておりましたけれども、これを明確にするということで(2)を新しく追加しまして、委員関係者と各府省の関係者を明記しました。それと、(3)の一般の方の傍聴について明記しております。これは、昨今の情報公開ですとか会議の透明性を確保するということの観点から新たに設けたものでありまして、傍聴席のキャパシティの問題がございますけれども、可能な範囲で傍聴を認めようというものでございます。
 そのための広報としまして、2のところにありますけれども…2ポツのところにございますが、文化庁のホームページに掲載するということで、会議の開催の案内を文化庁のホームページに掲載しまして、前日の17時までに申し込みを行うということでございます。原則として申し込み順として受付を行うということでございます。
 それから、異なる点としましては、6の議事の公開というところをご覧いただきたいと思います。議事の公開につきましては、昨年までは議事要旨を作成しまして文化庁ホームページでは公開しておりましたけれども、今年度からは発言者名を付した議事録を作成し公開することとしたものでございます。但書き以降にございます通りに、議事録を公開することによりまして支障をきたすと、分科会長または本小委員会の主査が判断した場合につきましては、その議事録の全部または一部を非公開とすることができ、その際は議事要旨を作成するということにしております。
 以上の通り、一般傍聴者に傍聴を認めたこと、それからそのために周知の方法として、文化庁ホームページに掲載するということと、発言者名を付した議事録を公開することの3点が昨年度からの変更点でございます。以上でございます。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。議事の公開の方法につきましては、これまで分科会及び小委員会でいくつかご意見もあったようでございますけれども、ただいま説明にございましたように、議事の内容の公開をより一層進めていくと、こういう趣旨から先般行われました著作権分科会におきまして、これまでの公開の方針を改善すると言いますかね、より進める旨、事務局より提案があり、これを受け決定されたものでございます。皆さんよろしゅうございますでしょうか。ご意見はないものとさせていただきまして。それでは昨年とはかなり違っていますので、皆さんそのあたり十分ご認識いただいたうえでよろしくお願いいたします。
 それでは、実は本日ここまでは、人事に係る案件ということで、この決定に基づき非公開とさせていただいておりましたけれども、これ以降につきましては、本日予定されておる議事内容に鑑みますと、特段非公開にするには及ばないということでございます。ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】
 それではそのようにさせていただきます。それではご異議ございませんでしたので、議事の公開の方針に基づき、これ以後は本日の議事は公開といたします。傍聴の方がおいでになりますでしょうか。おられるようであれば入り口を押していただくようにお願いいたします。
 それでは、第1回契約・流通小委員会の開催に当たりまして、吉川著作権課長よりご挨拶を頂戴したいと存じます。よろしくお願いします。

【吉川著作権課長】
 今期第1回目の著作権分科会、契約・流通小委員会の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 はじめに、皆様方におかれましては、お忙しい中、本小委員会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。
 皆様ご存知のように、政府は、「知的財産立国」の確立に向けまして、国をあげた積極的な取り組みを行っております。著作物等の流通促進の分野に関しましては、我が国のコンテンツビジネスの拡大や海外展開を積極的に推進していこうという気運が高まるなか、本年4月には、知的財産戦略本部・コンテンツ専門調査会が「コンテンツビジネス振興政策」を提言するとともに、5月に公表された「知的財産推進計画2004」や、同じく同月に成立した「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」においても最も重要な課題の一つとされております。
 昨年の「契約・流通小委員会報告書」におきましては、「著作物等の利用許諾契約における利用者の保護のあり方」、「著作物等に係る登録制度のあり方」等の課題について提言をいただきました。文化庁といたしましても、報告書に沿う形で、本年度も着実に著作物等の流通推進施策を展開してまいりますけれども、本小委員会において検討いただきたい課題がいくつか残っております。
 特に、「著作権等管理事業法」が、平成13年10月の施行から近く3年を経過することとなりますので、この法律の制度上または運用上の問題等について、ご審議をいただきたいと考えております。
 著作権に係る契約や著作物の流通をめぐる諸課題を解決していくことは、とりもなおさず我が国の文化の発展、そして我が国の経済・社会の発展のためのますます重要となっております。委員の皆様には、大変お忙しいとは存じますけれども、本小委員会における活発なご議論をお願い申し上げまして私からのご挨拶とさせていただきます。

【土肥主査】
 どうもありがとうございました。それでは、本小委員会の設置の趣旨、所掌事務につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは資料3をご覧ください。1としまして、今期はその3つの小委員会の設置をすることとしております。1枚おめくりいただきまして、1ページには、前期、前年度との違いを図で表現してございます。
 昨年度は、これら3つの小委員会…法制問題小委員会、本小委員会、国際小委員会のほかに、著作権教育小委員会と司法救済制度小委員会をもっておりましたけれども、今年度は、法制問題、それから契約・流通、国際の3つの小委員会を設置するということでございます。
 法制問題小委員会の下に、点々で「○○○○WG」とございますけれども、これにつきましては必要に応じてワーキンググループを設置して必要な課題を検討していくということでございます。
 1枚戻っていただきまして、2のところには、各小委員会の審議事項ということをまとめてございます。1の法制問題小委員会につきましては、著作権法制のあり方ですとか、著作権に関する司法救済制度のあり方。それから本小委員会におきましては、著作物等の流通を促進するための方策のあり方、契約に関する法制のあり方。3の国際小委員会につきましては、国際的ルールのあり方、それからアジア地域との連携の強化及び海賊版対策のあり方を審議することとなっております。
 それから3の各小委員会の構成につきましては、分科会長が指名する委員、臨時委員、専門委員によって構成するということになっておりまして、分科会長は各小委員会に出席しまして随時発言できる、ということになっております。
 分科会委員及びこれら3つの小委員会の委員名簿につきましては、参考資料の2−1と、2−2がございますので、そちらをご覧いただきたいと思います。以上でございます。

【土肥主査】
 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして何か質問がございましたらお願いをいたします。よろしゅうございますか。基本的には昨年と同じような認識でよろしいということですね、わかりました。
 それでは、ただいまのご説明にございましたように、本小委員会の設置の趣旨及び所掌事務については、今ご案内にあったように了解いただいたということでよろしゅうございますね。
 それでは次に、著作権をめぐる最近の動向につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【山口著作権調査官】
 それでは事務局から、まず資料4−1、2を基に、先の通常国会で政府提案として提出され、6月に成立しました著作権法改正について簡単にご紹介申し上げます。
 概要としましては、資料4−1に3本の柱が立っておりますとおり、第1に音楽レコードのいわば還流を防止する措置。第2に書籍・雑誌に、無断で貸与されない権利、すなわち貸与権を付与するというもの。そして最後に、罰則の強化となっております。
 それぞれ簡単に趣旨等を申し述べますと、まず1つ目の音楽レコードの件に係る契機としましては、近年特にアジア地域において日本音楽のニーズが高まっておりますところ、現地においては日本の権利者から「日本における販売禁止」という条件の下にライセンスを得、生産されたはずの日本の音楽レコードというものが、当該契約の効力が及ばない第三者を経由する形で、最終的には日本に逆輸入、言わば還流してきているという実態がございます。
 そこで日本の権利者が、いざ海外に展開を図ろうとしましても、そういった現地で生産・販売される日本の音楽レコードといいますのは、物価等の関係から安価なものとなっておりますので、ライセンスした結果、かえってそうした安価なものが日本に還流してきてしまい、権利者の経済的利益が大きく損なわれてしまうんではないか、そういった懸念からなかなか積極的な海外展開に踏み切れないというジレンマが生じておりました。
 そうした状況下で、我が国の音楽文化の海外普及を促進するために、権利者、すなわち作詞家や作曲家、実演家やレコード製作者などといった方々が、こうした逆輸入行為であったり、さらには国内における頒布、頒布目的所持、そういった行為を一定の要件下で著作権等侵害とみなすことができることとしたものであります。
 なお、具体の制度設計に当たりましては、国際条約上の内国民待遇の原則という制約を踏まえつつも、可能な様々な要件を慎重に設け、それら要件をすべて満たした場合に初めて権利行使できることとすることで、消費者利益等とのバランスに配意したところでございます。
 概要として申し上げますと、まず第1には、条文が入り組んでいて少々読みにくくなっておりますが、「日本で同一の音楽レコードが販売されていること」というのが前提であります。したがって、例えば、そもそも日本で販売されていない音楽レコードというものは引き続き輸入自由でございますので、この「国内で販売されている」という要件をくれぐれもご失念なきよう、ご留意いただきたいと存じます。
 第2に、日本で販売禁止の音楽レコードであって、かつその事実を認識しているということ。この点につきましては、実務上税関におきましては、一定の表示のないものは、基本的に差止めの対象外となるということを予定をしております。
 第3には、日本における頒布目的での輸入、あるいは日本における頒布目的での所持などということから、例えば個人的な利用目的や、身近な家族・友人等の特定少数者への配布のためであれば、引き続き輸入自由だということであります。
 第4には、当該還流により、権利者が得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなること。したがって、物価等を反映しておりますところのライセンス料に著しい差がない地域からのものについては、この点でも対象外となる設計としております。
 さらに、期間の点をとりましても、対象となりますのは、日本で最初に販売されてから7年を超えない範囲で今後政令で定めることとなります期間を経過していないものに限られるということでございます。
 以上のように、国際条約上の制約の中ではございますが、可能な限定を幾重にもかけることで、消費者利益等との調和を図ったところでございます。
 次に、2番目の柱である書籍・雑誌の貸与権の付与の方に移りますが、これは沿革としましては、昭和59年に貸しレコードという新しいビジネスへの対応を契機として、著作権法上に貸与権が創設されました時に、書籍・雑誌については、貸本業が長年自由に行われていたという経緯等に鑑みまして、当分の間、経過措置として貸与権を適用しないということとしておりました。
 しかしながら近年、人気があるコミックなどを中心に扱うレンタルブック店が大規模に事業展開をしてきたのに伴い、漫画家、小説家などの著作者の経済的利益に及ぼす影響が大きくなってきたという状況変化をとらまえまして、当該経過措置を廃止し、すなわち原則に立ち返りまして、書籍・雑誌の貸与についても著作者の貸与権が及ぶこととしたものであります。
 最後に3つ目の柱、罰則の強化についてですが、これは近時の情報技術の発達・普及に伴い、著作権等の侵害可能性が格段に増大してきている状況を踏まえまして、著作権等侵害への懲役刑や罰金刑の上限を特許権・商標権並みに、具体的には5年以下、あるいは500万円以下などという水準に引き上げるとともに、これは知財関係法としては初めてのことですが、併科を可能としたというところに特徴があります。この併科を導入した実益につきましては、一般的な抑止力向上ということもございますが、しばしばそうでありますように、懲役刑の方に執行猶予がついてしまいましても、罰金刑の方で実刑とする、という組合せが可能になるという点にございます。
 改正法全体の施行日については、平成17年1月1日となっておりますが、資料4−1に3か所、アステリスクのマークを付しておりますとおり、それぞれ一定の経過措置を設けております。
 簡単ですが、以上で著作権法改正関係の説明とさせていただきます。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは続きまして、資料5をご覧いただきたいと思います。これは昨年の7月に、内閣官房の知的財産戦略本部で策定されました、いわゆる知的財産推進計画でございますけれども、その後の進捗状況を踏まえまして、今年の5月に「知的財産推進計画2004」として見直しが行われたものでございます。この推進計画では、政府全体で約400の施策が登録されておりまして、そのうち特に著作権に関係が深いというものを抜き出しまして、約60ほどの項目がありますけれども、それらを、資料を1枚おめくりいただきますと、目次がございますけども、便宜上に、「法律ルール」の整備、「円滑な流通」の促進、それから「国際的な課題」、「著作権教育」、「司法救済制度」、これらのテーマ別に私どものほうで便宜上再編集したものが、資料5となっております。
 このうち、円滑な流通につきましては、資料6と共通する部分がございますので資料6のほうでご説明させていただきますので、資料6をご覧いただきたいと思います。
 これは著作物の円滑な流通の促進を管理する文化庁における、主に昨年度と今年度の施策についてまとめたものでございます。大きな分け方としまして、全体にわたる著作物流通推進施策という括りのものと、それから主に一般の方を対象にした施策ということで二つに分けてまとめてございます。
 まず上のほうの著作物流通推進施策につきましては、まず1点目の過去の放送番組の二次利用の促進でございます。これにつきましては、文化庁では昨年の10月に、放送事業者や関係権利者団体の協力を得まして検討会を発足させました。計8回の検討を重ねまして今年の6月に報告書をまとめまして文化庁ホームページで公表しているところでございます。この報告書の提言にもございますが、それを受けまして今年度後半からは、権利者それから利用者を含めた広範な議論の場を設定し、議論を深めていくという予定でございます。
 次に裁定制度利用マニュアルの整備・公表を挙げておりますけれども、ご案内のとおり、著作権法67条では、著作権者等が不明な場合におきまして相当な努力をしても著作権者との連絡が取れないときには、文化庁長官の裁定を受けまして所定の補償金を供託することによって著作物を利用できる制度というのがございますけれども、このときの著作物の利用者が行うべき手続きなどをマニュアル化して公表するというものでございます。
 3つ目といたしまして、権利者情報整備への支援というものを挙げてございます。これは、コンテンツの流通促進のためには、権利者情報の組織を越えた共通ID化ですとか、データベースを整備するということが必要になりますけれども、昨年度から「デジタル時代の著作権協議会」、略称CCDと呼ばれておりますけれども、そこにおいて検討されているものでございまして、今年度はCCDの会員以外の企業等の方の参加を含めて拡大して検討されておりますので、文化庁としても必要な支援をしていきたいということでございます。
 4つ目は調査研究事業でございます。これは映像等の著作物を制作する際には、制作委員会方式のような形で関係者が必要な資金を出し合うという方式をとられますけれども、その代わり集められる資金の額に限界がございます。これを解決するためには、関係者以外の一般の方々からもその制作資金を調達するということが必要になります。その際に、これから創作される著作物がどれぐらいの価値を持つのかということが重要な要素となっておりまして、この調査研究では政策・金融・法律・流通等の専門家の協力を得まして、今後作られる映像の著作物を中心に、その著作物の評価手法を研究し、またその手法を生かしたビジネスモデルの研究を行っております。研究成果につきましては、来年3月に公表するということを予定しております。
 それから5つ目にまいりますが、冒頭にもございました著作権等管理事業法の見直しでございます。著作権等管理事業法は平成13年10月から施行されて、3年を経過しようとしておりますが、附則7条におきまして、施行後3年が経過した場合において必要ある場合には検討することと規定されているところでございます。
 参考資料4をご覧いただきたいと思います。これは事務局におきまして、管理事業法の施行状況における制度面や運用面の問題点等の有無を把握するために、先月16日から今月の末までの期間で、文化庁のホームページと文部科学省ホームページにおいて、広く意見を募集しているものでございます。今後この小委員会において、検討を行っていきたいということでございます。
 資料6にまた戻っていただきまして、6つ目としまして、破産時等における利用許諾契約の保護であります。これはいわゆるライセンシーの保護ということでございますけれども、これは昨年度のこの小委員会におきましてもご議論いただきまして、一定の結論を得たところでございますが、特許等の他の知的財産権においても同様に検討がなされておりますので、それらの検討の結果を受けまして必要な措置をとるということとしております。
 次に中ほど、下の枠のなかでございますが、広く一般人を対象とした施策ということでございますけれども、まず1点目は、標準著作権契約書式に関する調査研究でございます。これは著作物の円滑な流通を促進するためには、著作物の創作や利用の際に著作権契約が必要となりますけれども、口頭による場合、後々に問題が発生する場合も見られますので、書面による著作権契約を推進する必要があるということでございます。この調査研究では、著作権契約になじみのない一般の方を対象としまして、簡単に著作権契約書式を作成するための研究を行っております。来年の3月に報告書を公表するということと、文化庁ホームページからその契約書式が利用できるシステムの提供ということを予定しております。
 2つ目は、「自由利用マーク」の普及についてでございます。「自由利用マーク」については、一昨年のこの小委員会でもご議論いただきまして、昨年2月に策定しまして現在その普及を図っているところでございます。またこの自由利用マークだけでは表現できない詳細な意思表示のシステムにつきましては、自由利用マークの定着状況ですとか、各団体などにおける同様の取組状況を見極めた上で検討していきたいということでございます。
 最後に、昨年度実施しました「バーチャル著作物マーケット」実証実験についてでございます。この実証実験は、写真をネット上で流通させる著作物として取り上げまして、約230名の参加協力を得まして約3ヶ月間実証実験を行いました。その成果につきましては、文化庁ホームページに公開してございます。また参考までに、この日本写真著作権研究協会におきましては、この実証実験システムの機能を一部取り入れて、著作権管理のシステムを構築することが検討されているということを伺っております。以上でございます。

【土肥主査】
 はい、どうもありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明でございますけれども、資料4、5、6、参考資料4、広くまたがっておりまして、対象は広範でございますけれども、皆様におかれまして何かご質問がございましたらお出しいただければと思います。ございませんでしょうか。主として従前の文化庁の施策のご紹介ございましたけれども、管理事業法の施行状況についての意見募集を今やっておるということでございまして、これは本委員会の検討事項のポイントになるということでございます。
 はい、村上委員お願いいたします。

【村上委員】
 それでは、著作権等管理事業法のなかで2点ばかり質問させてもらいたいと思います。1点が意見募集ということですけれども、事務局としては今まで3年間見て、見直しするための前提として、要望なり苦情なりが結構多いというふうに認識しているのか、むしろ3年間やって見た結果に、それほど今のところ、深刻な問題はないというふうな認識なのかどちらかかというのが1番目の質問でございます。
 2番目は集中管理の話なので、独占禁止法が問題になることもあると思います。著作権等管理事業法を国会に提出するためには、法令調整を当然していると思いますが、それで独占禁止法の適用除外その他も含めて、独占禁止法との調整事項みたいなものがなにかあったのか、そういう手当てみたいなものがどういう形で行われていたのか、その経過がわかりましたら教えていただきたい。その2点でございます。

【土肥主査】
 はいお願いいたします。

【川瀬著作物流通推進室長】
 著作権等管理事業法に関する要望とか苦情でございますけれども、前回の契約・流通小委員会でも一般討議の形で、法律の施行状況について日本音楽著作権協会の委員の方にお話をしていただき、検討していただきましたが、特に法律を改正するような事項はないのではないかというご意見でございました。
 それから、文化庁に寄せられているいろんな個別の要望とか苦情ですが、大きな高まりになっているといいますか、そういうことはないんではないかなと思います。ただ管理事業が自由化されたことによって特に新規参入の事業者について適正に運用されているのかどうかというようなご質問とか、休眠状態にになっているんではないかとか、それから使用料規程や約款が適正に実施されているのかどうかというような、個別のお申し出等はございます。
 それから、第2の質問の独禁法との関係でございますけれども、これは当然ながら法律を作る際には公正取引委員会と意見は調整をさせていただきました。それでご案内のとおり、一番大きな調整点は、著作権等管理事業法のなかで、大規模な管理事業者がありますと、それを文化庁長官が指定しまして、指定した事業者については、使用料規程は、本来は届け出で済むのですが、円滑な利用に問題があるというような場合には、利用者団体の代表という意味ですけれども、利用者代表から協議を求めて、その利用者代表と指定管理事業者らが協議をして、話し合いによって使用料規程を決めていくという問題がございまして。
 そこでは当然団体間で協議が行われて、そこで決められた使用料が使用料規程になっていく、ということですから、独禁法との問題について調整をする必要があると考えました。当初は私どもは、管理事業法のなかに独禁法の適用除外規定を規定したらどうか、というようなご提案をしたんですけれども、これは協議の過程で、特に管理事業法のなかに、独禁法適用除外規定を書かなくても問題ないんではないかというような見解を頂戴いたしまして、現行法ではそこの調整規定というものはございません。もちろんご案内のとおり、例えば単に協議をしてそれが使用料規程になって届け出られる、というようなスキームであればいいんですけれども、そこで話し合われたことについて例えば団体の構成員に強制をさせるとか、そういうような問題が起こると独禁法の問題も出てくるわけです。法律の流れにしたがって協議が行われ、その協議の結果が使用料規程になり、それから個別の利用者がそれぞれ管理事業者と協議をして、例えば大口利用者には割引を適用するとか、そういう通常の商取引の範囲で行われるようということであれば問題なし、ということでございます。
 また、法律を作るときに問題になりましたのは、公正取引委員会と文化庁が管理事業者に対してどういう形で指導をしていくのか。日本の法制度には、公正取引委員会が各省の大臣を通じて指導すること、つまり公正取引委員会は各省の大臣に意見を言って、その意見を踏まえたうえで各省の大臣が指導するという形にするのか、それとも各省庁は省庁、それから公正取引委員会は委員会で個別に指導をしていくのかというようなこともございましたが、これは一応各省庁と公正取引委員会が個別に指導していく。もちろん、実務的には連絡を取り合いながらということですが、そういうような形になっているわけです。現に、今まで仲介業務法の時代は4団体しかございませんでしたけど、文化庁が非常に強力な許認可権限をもっておりましたので、公正取引委員会のほうも管理事業に対する関心はお持ちでしたけれども、具体的な調査をしていくということはあまりなかったのですが、最近はいろいろと勉強されているようで、そういう意味で公正取引委員会もこの管理事業の世界には関心を持っておられる、というような状況ではないかと思います。

【土肥主査】
 はい、よろしゅうございますか。他にございますでしょうか。佐々木委員お願いいたします。

【佐々木委員】
 佐々木でございます。裁定制度利用マニュアルの整備・公表の部分でございますけど、これは国内のもの、海外のもの両方含んでご検討なんでしょうか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 裁定は、著作権法に規定されている裁定制度ですから、当然国内で裁定を使って利用することを想定しています。ただ、対象は国内の著作物というか、日本を本国とする著作物だけではなくて、当然日本で使われる外国の著作物も対象に含んでやっております。ただ、この裁定制度の運用といいますのは、とにかくゴムの物差しでというわけにはいきませんで、当然国際条約に基づいて、他人の権利を制限をするという場合には、非常に厳しい条件がついておりますので、その範囲内でどれだけ運用について考えられるのか、というのが大きな課題というように私ども受けとめております。

【佐々木委員】
 もう1点ですけど、著作物ということでございますので、当然その隣接権においてもご検討、ということでよろしいわけですね。

【川瀬著作物流通推進室長】
 制度を見ていただくとわかりますが、裁定制度というのは著作物だけでございまして、例えば隣接権、実演とかレコードについては裁定制度を準用しているわけではございません。国際条約上は、いわゆる実演家等保護条約(ローマ条約)では、いわゆる強制許諾制度については、明文の規定をもって禁止されておりますので、現行著作権法を制定する当時も、現行法を制定する当時はまだローマ条約に入っておりませんでしたけれども、当然ローマ条約の規定を意識しながら法律の制度を作っておりますので、現行法では著作物については裁定制度があるが、著作隣接権については裁定制度がないという状況になっています。そこの制度を変えることは考えておりませんので、あくまでも現行法の範囲内でということですから、当然のことながら著作物の利用だけということでございます。

【土肥主査】
 よろしゅうございますか。他には。はい、松田委員お願いいたします。

【松田委員】
 わたしも管理事業法の観点で質問させていただきます。直近の国会で提出予定になっていると聞いておりますところの、信託業法の改正によりまして、業者も、それから被信託可能財産の拡大することになって、著作権も当然その対象になるということになりますと、現行管理事業法でやっているのと同じ業務が信託業法で可能になる可能性は、私はあると思っております。ただ、法の目的が少し違っているだろうと思っていますね。信託業法は、あくまでも金融取引と言いますか、それの透明化と投資家の保護が目的なんだろうと思っております。もちろん、その点について業法も、管理事業法も意図することが、使用料規定約款の指導・監督ということで遂げられるとは思っておりますが、まったく信託業法で、著作権の管理をより行うことになったときに、文化庁が著作物の流通・信託、その先の証券化みたいなことまでいく可能性もあるわけですが、それについてまったく手が届かないところにいってしまうのか、というご見解ちょっと聞いておきたいと思っています。
 特に問題が起こるのは、私は利用許諾の拒否の制限、要するに公平に、正当な理由がない場合は公平にみんなに著作物を利用させるというルール、これを徹底させるためには、私は管理事業法にそういう規定がありますけれども、信託業者の場合には、特別そういう拘束は受けないだろうと思っています。その点も、ご見解はいかがでございますか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 新信託業法は前の通常国会に提出されましたが、当然そのときに管理事業法との関係について、政府部内で十分話し合いをして調整をしております。具体的にどういう調整になっているかといいますと、管理と処分についてが信託の内容でございますけれども、今度の改正信託業法では、いわゆる財産権すべてについてが信託の対象になることになり、対象物が拡大するわけでございまして、当然著作権も、特許もそうですけれども、いまの現行信託業法の対象に、なってなかった、いわゆる知的財産は、対象になるということでございます。
 それで、著作権の管理に関しましては、著作権の管理のみをやる場合については、信託業法では適用除外規定がございまして、著作権等管理事業法のみの規制でございます。例えば日本音楽著作権協会という管理事業者が、現行の体制のままで著作権の管理のみをやられる場合には、信託業法が改正されましても信託業法の適用がなくて、そこは管理事業法の適用だけということでございます。一方、例えば信託会社が、信託業法でできる信託会社がその著作権の管理もするし、それから例えば、資金の流動化とか処分について業務をやるということでございますと、これは改正信託業法と、著作権等管理事業法が二重にかかってくるわけです。

【土肥主査】
 よろしゅうございますでしょうか。あるいはもしかすればまだご質問等もございますかもしれませんけれども、時間の関係もございますので、本日の主たる議事、議題でございますが、検討課題、本年度の契約・流通小委員会の検討事項及び今後の審議の進め方につきまして、ご審議をお願いしたいと存じます。先ほど、もし質問等お持ちの方がそのなかで、今後のなかでお出しいただければと思っております。
 それでは事務局から、検討事項案につきまして説明をお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 それでは資料8をご覧ください。本小委員会の検討事項として3つ挙げてございます。1点目は、先ほどから話しております、管理事業法の見直しということで、制度面ですとか運用面における見直しの検討を行うということでございます。先ほどからも、ご案内のとおり、参考資料4のとおり今意見募集を行っておりますので、寄せられた意見につきましては事務局のほうで整理しまして、次回のこの小委員会において提示して委員の皆様方の検討をお願いしたいというふうに考えております。
 2点目は、先ほど資料6の説明とも重複しますが、デジタル時代の著作権協議会において検討が行われている権利者情報の整備における検討のあり方の検討の結果を受けまして、国としてどういう支援が必要かということについての検討をお願いしたい、ということでございます。
 3点目につきましては、これはさる8月2日に開催されました著作権分科会において2名の委員の方から、検討の依頼があったものでございます。具体的にはその1つ目としまして、生の実演に対する契約の実態というのが、非常にバラエティに富んでいるということと、それからその実演というものが国際的な契約も行われるということもありまして、非常に重要となっているということで、その諸外国の契約のあり方や国の支援制度などの、契約に関する情報発信をお願いしたいというものでございます。
 もう一つのご意見といたしましては、契約というものの重要性が高まるなかで、著しく不平等な契約関係が存在し、力関係による契約は大きくバランスがとれなくなってきているのではないかと。これらを解消するというためには、一定のルールですとかモラルが必要であって、そのバランスをとってフェアな取引関係を構築することが課題であるということである。ということでこの2点のご意見が寄せられましたので、著作権契約のあり方等についてということで、事項でまとめさせていただいております。事務局としては、以上3点を検討事項(案)として挙げてございます。
 それから、本小委員会のスケジュールにつきましては、1枚戻っていただきまして資料7をご覧いただきたいと思います。今期は、計5回の開催を予定してございます。本日の第1回から約月1回くらいのペースで開催しまして、第2回は10月14日、第3回は11月11日と予定しております。その後2回を開催しまして、来年の1月頃には著作権分科会の開催が予定されておりますので、その際にはこれまでのこの小委員会での審議内容の報告を行いたいというふうに考えております。
 またその報告書につきましては、前期までのように半期ごとに報告書をとりまとめるという形式はとらずに、17年中にとりまとめたいというふうに考えております。時期についても、これらの課題につきまして継続して検討をお願いしたいということでございます。以上でございます。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。資料7及び8でございます。本小委員会の審議のスケジュールとして9月から1月までの間の予定。それから、検討事項(案)としまして3点出ております。著作権等管理事業法の見直し等について。それから権利者情報の整備、提供のあり方。第3に分科会でのご提言ございましたのを受けて、著作権契約のあり方。この3点でございます。
 本日の小委員会におきましては、この検討事項でよろしいのかどうか、あるいはさらに他の事項についても検討事項のなかに入れるかどうか。もちろん、今年度としては、いまご紹介いたしましたように5回ということが予定されておりますので、そのあたりの制限はあろうかと思いますけれども、本日は広くご意見を伺えればということでございます。
 どうぞ、検討事項についてご意見等ございましたらお出しいただければと思います。はい、村上委員お願いいたします。

【村上委員】
 1点だけ質問させていただきます。著作権契約のあり方について検討というのは、結構だと思います。標準著作権契約書式について一歩一歩進んでいるというお話なんですが、一つ不安は契約を扱うということになりますと、一つの著作権の許諾契約というわけにはいかない。やはり著作権の内容をもとに、さっき実演という言葉が出ましたけれども、他に音楽がありレコードがあり出版物がありだとかさまざまな内容があって、それをいちいち取り上げてというか、分析していくとなると非常に時間がかかるというか、大きな負担を抱えてしまう、ということになりかねないと思いますので、具体的な進め方についてはどうやっていくつもりなのか、そういうことはどう考えていますでしょうか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 この、いわゆる審議会の場で検討することでございますので、いま先生ご指摘のとおり細かい、例えば業界ごとにどういう契約が必要なのかというようなことを、仮にやっていこうと思うと非常に時間がかりますから、私どもとしては大所高所から、そのあり方についてご検討いただければというふうに思います。この検討事項については8月2日の著作権分科会でも議論になりまして、そういう事項について検討したらどうか、というような委員のご提言もございまして、それを踏まえて事務局としては案として出させていただいているわけでございます。確かに最近は、まさしく村上委員ご専門の、例えば下請法の運用から見ますと、権利の帰属を含めて契約で著作権についてはっきりしなければならないという流れもあるわけです。
 私どもは、いろんな関係の方からお話を聞くのですが、それでは権利者側としてはどういう取り組みなのかというと、これは業界によっていろいろと濃淡がありますが、例えば契約をしないことを進めているのだという権利者の代表もおられます。つまり契約をしないことによって自分たちが権利者なんだから有利になるというようなことを、ずっと以前からおっしゃられている方もおられますが、たぶんこれからは、そのようなことでは駄目なのではないかと思います。
 一方、例えば業界によっては利用者団体といいますか、団体と団体、権利者団体と利用者団体が協議をして契約の内容について両方の意見を聞きながら契約書を作って、それを利用されているという業界もあり、世の中には先進事例もあり、遅れているところもあるというのが、現状ではないかと思うわけでございます。したがって、契約、特に書面による契約を推進するという立場からすれば、個々の問題はそれぞれのまた別の機会で話し合っていただくとして、一つの大きな方向性というものについてこの審議会でご提言いただければ、その方向を向きながらそれぞれの業界で努力していただけるのではないのかという思いで、事務局としても8月2日の分科会の委員の方々のご意見を聞いて、ぜひこの場で検討していただければ、と思った次第でございます。

【土肥主査】
 著作権契約についてのあり方についての、この委員会のなかでの検討ということでございますけれども、先ほどの審議スケジュールということからいたしますと、一応第5回まで予定がされておると思いますが、当面は、先ほどの説明ですとね、管理事業法の施行状況等に関する意見募集ということを今やっておって、次回においてはその取りまとめが出てくると、こう了解しておるわけでございますけれども。そうすると、順番といたしましては、次回は管理事業法の意見募集に基づいた、そういう審議ということになりますでしょうか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 私どもとしては、検討事項については、資料の上から順次検討していただきたいと思っております。それで課長の挨拶にもございましたように、主たる議題としては、やはり管理事業法の見直しであり、この問題は、管理事業法の附則で政府に対して検討を要求していますので、これはある意味では義務ということですので、これについてまず先行してやっていただければ、と思っております。
 今意見募集をしておりまして、関係団体にも意見を聞いておりまして、それを整理したうえで、事柄ごとにレビューみたいな形で制度とそれに対する意見、それから現状というものを踏まえまして、法律改正事項と運用事項に分けてご検討していただく、というような段取りでどうかと考えております。
 ただ審議日程は、先ほども溝口のほうから言いましたように、それぞれの審議会の任期中に、結論を出してきたのが従前までのやり方ですが、今回は少しじっくりと検討していただくということで、事務局としましては2期にまたがって検討していただいて、17年中に結論を出していただければと考えておりますので、例えば2日で審議を切り上げるとかそういうことではございません。検討事項の整理や関係者の意見の出具合いによって、まず管理事業法の見直しから進めていただき、それが終われば次に移っていくという感じで、それと来年の1月に著作権分科会の審議が予定されておりますので、それまでには、できたところまでの中間報告をしていただく、という段取りでお願いしたいと思います。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。今説明がございましたとおりでございます。つまり、一応皆様のお手元の資料では5回ほど組んでありますけれども、この後も継続して、ほとんど期間を空けないで継続的に委員会を開くと。そして、検討事項については見当を進める。そういうことのようでございます。
 ですから、本日の検討事項案といたしましては、3つほど挙がっておりますけれども、その余のものも十分検討事項としては入るということのようでございますので、もしあればお出しいただければと存じます。
 はい、上原委員お願いいたします。

【上原委員】
 プラスということではなくて、今の著作権契約のところでございまして。それ自体をテーマにすることは決して悪いことだとは思っておりませんし、時間をかけてなさるということですので、ここからなにか新しい制度が生まれるとは思いませんけれども、その検討自体が全体にプラスになるということは望むところであります。
 先ほど、ちょっとご説明がありましたなかで、著しくアンバランスな契約があるというような話が出ておりましたが、果たしてその問題はこの場になじむのかなと。著しくアンバランスかどうかということについては、価値観の違いと利害の関係がいっぱいございます。同じ分野の同じ内容の契約につきましても、あるケースでは片方側にアンバランスで、あるケースでは片方がわにアンバランスだというような言い方が出てくるケースがあろうかと思いまして、あくまで民民の契約で、しかも著作権の関係の審議会でございますので、契約形態がどうあったほうがより流通がしやすいかとか、契約がこういうふうな簡便な形が便利なのではないかとか、というところが非常になじむ可能性があろうかと思っておりますが。
 契約の内容がアンバランスかどうかというのは、それこそ先ほどのお話にも出ておりましたが、公取さんなりなんなりのむしろ席のほうがなじんでいて、そのへんをあんまり足を突っ込んでしまうと、やはり経済原則の問題も絡んできますので、かえって問題がややこしくなるのではないか、と危惧しておりますがいかがなものでございましょうか。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。事務局お願いします。

【川瀬著作物流通推進室長】
 ご指摘のとおりだと思います。それで先ほど溝口が申しましたのは、そういう意見が、前回の8月2日の分科会の委員から出たという意味でございまして、そっくりそのままそれを議題の中身として審議をしていただくということではございませんので、私どもも審議会の場で話し合うべき事柄、それから別のところでも検討すべき事柄ときちっと仕分けをして、注意しながら審議を進めていきたいと思いますので、ご了解いただきたいと思います。

【土肥主査】
 はい、そういうことのようでございますので、よろしくお願いいたします。瀬尾委員お願いいたします。

【瀬尾委員】
 いま上原委員からおっしゃられたことで、私が分科会のほうで発言をさせていただいたということでございますが、確かにいまおっしゃられたとおりで、これがいわゆる著作権法の問題からどう解決するかというふうな問題だと、ちょっとやっぱりずれてくる部分があると思うんですね。
 ただ、こちらのほうがやっぱり小委員会のなかで、いわゆる文化庁の審議会としては、取り引きに対してどういうふうであることが理想なのかとか、そういう一つの検討課題、これともう一つやはり、もっと言ってしまうと公正取引委員会さんとかそういう総合的な流通っていうのがやはり、こちらの著作権法だけで仕切れるとは思えませんし、やはりそこのところでいろんな関係省庁とのいろんな検討が交ざって、初めて流通というものが実現すると思いますが。ここでは、著作権法から見て望ましい取り引きの形態とかそういうふうなことについて、やはり検討していただくと。すべてが「経済原則だったら自由である」ということでは、やはり一つの、こちらの著作権という立場からの視点を一つ定めたらいかがなものだろうかという提案でした。
 ですので、具体的に総合的な全部をやろうとするとかなり難しいと思いますけれども、やはり「契約・流通」というからには、契約に対しても一つの議論があってもいいんではないかという程度でございます。ですから、ここでそれを解決するとか、そういうふうなスタンスでの議論はまず私も難しいと思いますので、先ほど川瀬室長がおっしゃられたような方向性でいければというふうに思っております。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。契約自由の原則というのは、もちろんあるわけでございまして、著作権の効力の制限の問題、これは上の委員会、上と言いますか、あれは、法制委員会ですね。法制委員会あたりでの議論ということにもなろうと思いますけれども、本委員会における検討事項として、著作権契約というものを対象にするというのはもちろん適切だろうと思っております。
 そこは、今後議論をしていくなかで本委員会として、適当な形で議論を進めていきたいというふうに思っております。今回、検討事項としまして3つと申し上げましたけれども、実はこのペーパーにありますように、「その他」というものもございますので、今後議論の経過のなかでなにか出てきたような場合には、ここでとらまえておくということはできるわけですね。よろしゅうございますね。その他のところで見ていいということでございます。そういう理解のなかで、よろしければ、分科会長からなにか一つ。

【齊藤分科会長】
 このあえて契約・流通小委員会というものを設けられているわけでありますから、法制小委員会、そのほかに任せるというよりも、やはりこの小委員会でも著作権契約につきましては、きっちり理念的なところは押さえておいたほうがよろしいと思うんです。事務局は、ちょっと及び腰のご様子ですけれども。
 先ほど不平等な契約というときに、これは個々の業界でどうだということをここで指摘することではなく、やはり著作権契約のあり様というものが、他の先進国におきましても著作権領域で、法改正の大きな課題になっていますね。ヨーロッパにおきましてもディレクティブを導入すると同時にもう一つの大きな課題は、契約をどう位置付けるか。これが大きな立法上の課題になっているわけです。あらためて、著作権契約というものが検討事項に入っています。先ほどありました、諸外国の契約のあり方、法制のあり方、こういうものはやはりこういう場でおさらいしておくことは必要じゃないかと思うんです。決して特定の業界で、それがアンバランスだということを非難する話ではないわけです。
 私的自治ということは、理念としてはいいんでございますけれども、やはり現実には著作者または利用者、そのいずれかが過度に強い場合もございますので。そういう場合の当事者間の力関係、こういう場合をどう、こういう特別法で修正していくのか。民法とか、近代法の理念はいいんですけれども、この特別法におきまして特別な配慮をしていく必要があるのかどうか、このへんはやはり、この場で考えていくことではないかと思いますけど。
 管理事業法の見直しは、意見が出ましたが、どんどんやっていくわけでありますが、あわせてこのほか、あるいは今日は3つ出ていますが、これもそのつど少しずつ言及…議論していくこともよろしいのじゃないかと思うんです。一つの例でございますと、権利者情報の整備・提供ということでありますが、これデータベースの構築といっても、個々のジャンルごとのデータベースを今度はどうネットでつなぐかということについてどう支援していくか。一つの巨大なデータベースを作れ、という話じゃないでしょうから。だから、そのつなぎをどう支援していくかという話かとも思いますし、またあわせて写真につきまして実用化を考えているということであります。そうすると、これは一般の利用許諾とも関わってくるわけですね。権利管理情報をどう電子機器に埋め込むのか、これを具体的に、必要ならば提示していく。これやはり、利用条件等を利用者に提示する非常に有効な方法でございますので、これもやはり契約のあり方でもあるし、同時にこの第2の検討事項でもありえると思います。全部ミックスしてますし、これは管理事業法を全部終えてから検討する、というゆっくりした話でもないような気もいたしますので。以上です。

【土肥主査】
 ありがとうございました。まとめ方としてどうなのかよく分かりませんけれども、先ほどの事務局の提案ですと、次回およびその次の会議ぐらいは、この管理事業法の見直しというのが求められておるところでございますので、優先順位としてはそこをまず最初に検討する、ということになるんだろうと思われます。それで、本日の委員会におきまして、検討事項等につきましてこの(案)、これでよろしいかどうかを決める必要があるわけでございますが、この資料8にありますように、その他を含めて全部で4点ございますが、これらを本委員会における検討事項として、ご了解いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】
 ありがとうございました。それでは検討事項及び今後の審議の進め方につきましては、先ほど事務局より説明がありましたとおり、本小委員会の決定とさせていただきたいと存じます。
 まだ若干時間もございますので、今期及び次の期にまたがる、そういう検討事項に関しまして本日の委員会におかれる委員の方々、それぞれが皆その分野で日常の業務等でさまざまなご関心をお持ちであろうかと存じます。管理事業法一つにとりましてもご意見があるのではないかと思います。それでいかがでしょうか、ご意見をこの際頂戴したいと存じますけれども、広く感想も含めて、あるいはこの契約・流通問題に関してご意見・ご感想ございましたらお出しいただければと存じますけれども。はい、金原委員お願いします。

【金原委員】
 ちょっと質問なんですが、資料8の検討事項の「その他」の部分で、これは現在5回の委員会が設定されておりますが、もしこのその他に加えるべき事項があるとするならば、これはどの時点で出してもよろしいのでしょうか。それから先ほど川瀬室長からの、これは16年度だけではなくて17年度の2年間にまたがって結論が出るということもあるということでしたが、それは著作権等管理事業法のことだけではなくてこの3つの項目、あるいはその他を含めた4つの項目すべてについて、そのようなことをお考えになっていらっしゃるのかということを質問させていただきたい。

【川瀬著作物流通推進室長】
 審議のまとめ方は、例えば仮に2回程度で管理事業法の見直しが終わるんであれば、来年1月の分科会に報告をしていただいても構わないと思っております。そこは審議の際の意見の出具合いとか、関係者からの意見の出具合いとかで決まってくるわけです。ただ、審議の日程の関係がございますので。また検討事項の事柄の大きさと言いますか、簡単に結論がでるようなもの、それからそうでないものもございますので、とりあえずは管理事業法の見直しについて一つ区切りが出た段階で、後の審議日程を見ながら仮に追加するような検討事項があればご提案いただいて、委員会で改めて検討事項にするかどうかをご議論していただいて決めていただければと思っています。また事務局のほうからも、諸事情の変化で急にご審議をお願いするような事項もあるかもしれませんので、そのときには事務局からもご提案をさせていただきたいと思っております。

【土肥主査】
 はい、そういうことでございますので。はい、山本委員お願いいたします。

【山本委員】
 この検討課題の2番めの、権利者情報の整備・提供のあり方についてというところの問題なんですが、これはおそらく想定されているのは、先ほどご説明ありましたCCDとか、というような手段を使って、というところが念頭にあるんだとは思うんですが。この権利者情報の整備という点からいうと、いちばん簡単なのはアメリカの著作権登録のように、すべての著作物について作ったら登録すると。その著作権登録の情報をインターネットで全部公開してしまうというやり方、例えばそういうやり方が考えられるわけで、そちらのほうが公に出している情報ですし、信頼性があるというようなところがあります。
 この権利者情報の整備・提供のあり方についてという問題については、そういう今の著作権登録の仕方とは異なって、そういうすべての著作物について、あるいは隣接権対象物について、作られたら登録できるという制度の検討も入っていいじゃないのかなというふうに思うんですが。そういうのをちょっと、このなかに含めて考えていただきたいというのと、そのためにこういう点が問題になります、というようなことをペーパーで出させていただきたいというふうに思っているんですが、そういう形にさせていただいてよろしいかでしょうか。

【土肥主査】
 はい、これはもちろんよろしい、ことですね。

【川瀬著作物流通推進室長】
 はい、結構でございます。もちろん、制度問題についても当然のことながら関連でご議論になると思いますので、そこはご意見出していただければ結構かと思いますし、必要に応じて法制問題小委員会との連携もとりながら検討していければ、というふうに考えております。

【土肥主査】
 ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。椎名委員お願いいたします。

【椎名委員】
 いま権利者情報の話しが出たんですが、権利者情報の共通ID化とかというようなことをCCDでやっていて、今は契約とか許諾ということ以前に、各権利者団体とかが管理するコンテンツのリストであるとか、権利者と名簿であるとかというのも、相互に利用するところまでもっていくための共通化だと思うんですね。その相互に利用するシステムというのが、なかなかできるようでできていない。かつて、J-CISなんていう構想もあったわけですよね。なんか行政の立場でそういうものを相互に利用していくためのルール作りみたいなことも、ここで俎上に挙げられたらいいんじゃないか、という次第に思っているんですがどうでしょうか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 私どもがお答えして、直接のお答えになるか分かりませんが、今民間といいますか、関係者のなかで、権利者情報の整備についてご議論が行われておりますが、権利者の所在情報といいますか、権利者情報の整備について、例えば電子化を進めるというような方向性については、誰も異論がないと思います。現に今、例えば権利者団体、それから権利者でもありますけれどもコンテンツホルダーでもある、例えば放送事業者、映画会社や、レコード会社においても、いわゆる情報の電子化というものが進められていると思います。
 私どもの認識としては、いま電子化を進めるという話はもう終わっていると思いますので、それを前提にしながら、次どういうような情報の活用があるのか、ということが問題になるのだと思います。私の理解では、それではそれぞれのコンピュータをネットでつなげば、それでいいのかというと、いやそうではなくて、やはりセキュリティの問題とかプライバシーの問題とかいろいろございます。したがって、簡単にくっつければいいということではないでしょうし、それをするためには多額の設備投資もいるわけでございますし、そのへんは現状の事例を聞きながら、一つ先の大きな目標について、関係の団体からも委員がご就任いただいておりますので、こういった場で討議していただくのは意義があるのではないかと思っております。

【土肥主査】
 はい、ありがとうございました。児玉委員お願いいたします。

【児玉委員】
 いまの質問に関連なんですけど。いまの川瀬さんの説明は、非常によく分かったんですけど。そうするとここに書いてある、権利者情報の整備及び提供のあり方というふうにあるんですけれども、今実は私どもこの権利者情報の電子化に取り組んでおりまして、やはり一番作るほうの者からしてみて非常によくわからないところは実は、どちらかというと提供というより活用の仕方なんですよね。そういう意味で、実は昨日もなかでいろいろそういう討議があったんですけれども、そういう意味で提供というのは活用というふうに考えてよろしいですか。

【川瀬著作物流通推進室長】
 私どもそういうつもりです。当然、そういう活用も含んでおります。

【児玉委員】
 提供だとgiveだけですから、実際これを利用することも、やっぱり重要な課題だと思いますが。

【川瀬著作物流通推進室長】
 はい、ご指摘のとおりだと思います。

【土肥主査】
 はい、三田委員お願いいたします。

【三田委員】
 最近、著作権のことを知的財産権というもののなかに含めることが多いんですけれども、私は小説家ですけれども、自分の書いているものが財産かなと時々疑問に思います。契約とか流通ということになりますと、それはプロフェッショナルなお金を生み出すものについて契約をしたり流通をしたりということになるんだと思うんですけれども。しかし、音楽でも写真でも文芸でも、プロになる前はみんな素人なんですね。結局、知的財産というものを拡大していくためには、素人、なにか作品を作ろうという人が頑張って作品を作っていこうというような、気分になるような環境を整えるということが大切だろうと思われます。そういうふうに考えてみますと、非常に立場の弱い素人の権利をどうやって守っていくのか、ということもちゃんと考えていかないといけない。そう考えると、例えば契約についても、一番立場の弱い人の最低限の権利をどうやって守っていくのか、ということを考える必要があるだろうと思います。
 それから、著作権というのは本来登録の必要のないものでありまして、なにか作ったら著作権はもう発生しているわけですね。昨今、例えば文芸の部門ですと、自費出版というものが非常に盛んでありまして、これ出版をするのに書いた人がお金を払うわけですね。プロの場合は、書いたらお金がもらえるわけですけども、全然反対であります。すると、自費出版の契約について、これについて最低限著作者の権利を守っていくために、なにかミニマム的なものを検討する必要があるのではないか、ということも考えなければならないと思いますし、それからいま小学生でもインターネットにホームページを持っております。ホームページになにか書いたら著作権が発生するわけであります。実際に、女子高校生の日記を集めて出版した業者がありまして、みんな素人なわけでして、ホームページに出しているものが、そのまま商品になって流通するということもあるわけです。
 ところが、今ホームページの数というのは膨大なものでありまして、これ全部登録しようというわけにもいかないと。そうすると登録していない人をどうやって、その人の著作権を守っていくかということも考えていかないといけないと。これは、とりあえずはお金を生まないようなものでありまして、契約とか流通ということになじまないものかも分かりませんけれども、しかしそれも文化であるし、これからプロになっていく人がそのなかにいるかもしれない、ということを考えると、文化庁としては、そういう膨大な素人の方たちの知的所有権というものを、どうやって整備し守っていくのかというような視点でも検討をいただきたい、というふうに思います。以上です。

【土肥主査】
 ご意見ということで承ってよろしゅうございますか。では、寺島委員。

【寺島委員】
 あたくしさっきから聞いてまして、なかなか契約の問題だってなかなか画一的にはいかないところがあるんですよね。それから流通の問題なんていうのは、これは著作者であれ利用者であれうまく、流通っていうのをどこまでをいうのかっていう問題もありますけれど、今ある流通のシステムでやっていくけれど、最終的にはやっぱり大衆がどれだけついてくるかというような問題があるんですね。そこは、正直言って大変難しいところで、文化庁さんのこういう会議で、いやそうじゃない会議だって、いくら討論したってしょうがないようなところもあるんですね。でも私は、とにかくやってみたらいいと思ってさっきから、とても無理なことをおっしゃってるなとか、例えば契約の基本的なフォーマットとかおっしゃったり、それから流通のことをおっしゃったりするのを、無理なことおっしゃってるなと思ってましたけれど、でもとにかく、やってみたらいいと思って今まで聞いておりました。
 ですから、正直言って、例えばいまおっしゃった三田さんのご意見なんかも、正直うちは脚本家連盟で、要するに「プロの権利を守る」というふうに決めているんですよね。ですからそんなね、うちはプロの権利を守るために契約をしていくし、流通はどうこうできませんけれど、流通は映画事業者とか放送事業者とかの方たちがやっていくのに、こちらは言わば運命共同体ですから、協力してやっていこうというふうに思ってるんですね。ですから、なかなかどう線を引くかという問題があるわけですよ。その一番大きいところが、要するにプロの権利を守るのか、というところが一つ線があると思います。もちろん、そういう以前の話をここでおやりになるんだったら、それは聞いておりますけれど、なかなか大変だと思いますよ。ある意味では文化庁のスタンスの問題なのかな。でも文化庁っていうと、三田さんのおっしゃったようなスタンスもありうるわけですよね。でも著作物流通室なんていうことになると、それはプロのものですよ。だから、そこのところがなんか、ま、とにかくね、やっていくよりしょうがないとは思いますけれどね。

【土肥主査】
 はい、寺島委員おっしゃるように、検討を進めていくということだと存じます。もちろん、本日今日まだご発言のない方、ご意見・ご発言あろうかと思うんですけれども、もしよろしければ今の段階でお出しいただければと思いますが。はい、石井委員お願いいたします。

【石井委員】
 いま寺島委員からも、ご発言ございましたけれども、特にこの著作権契約のあり方というものがやっぱり避けて通れない問題であろうとは思っております。いかにこの著作権という権利が整備されてきても、問題はそこをいかに使っていくか、それをスムーズに使っていくかというところであろうかと思います。ですから、幸い、とりあえず1月に報告とかそういうこともないみたいですので、ぜひここはじっくりと腰を落ち着けて、どういうものがいいのかということを検討して、今まで個別なところではいろいろあったと思うんですけれども、それが著作権トータルとして、どのようにに考えるのがいいかっていうのが、なかなか見えなかったところもありますので検討できたらいいというふうに思っております。

【土肥主査】
 はい、どうもありがとうございます。ご発言ありますか。池田委員お願いいたします。

【池田委員】
 今の石井委員のご発言にも重ねるんですけども、著作権契約のあり方につきましては、放送事業者としましてもいろんなところで個別な議論をしておったり、総務省さんのほうでも契約見本というものを公表しました。そういったこともございますので、この場ではどのような射程をもって議論をしていくのかというような、非常に個別のことというよりももっと広い視点の議論でやっていきたいなと思っていますけど、それはお願いでございます。

【土肥主査】
 他に、ご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。よろしければですけれども、本日の委員会はこれで閉じさせていただきたいと存じます。次回は、著作権等管理事業法についての先ほどの意見紹介が行われておりますので、これを踏まえて事務局を通じて検討事項を整理していただきたいと思っております。よろしければこれにて、文化審議会著作権分科会、契約・流通小委員会の第1回、これを終わらせていただきたいと存じます。本日はどうもありがとうございました。
 最後に、事務局から連絡事項ございましたらお願いいたします。

【溝口著作物流通推進室室長補佐】
 はい、次回につきましては、10月14日木曜日、14時から経済産業省別館10階の1020会議室にて開催いたします。委員各位には、あらためてご案内させていただきます。本日はありがとうございました。

【了】


(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)

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