文化審議会
2003年6月6日 議事録文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会(第1回)議事要旨 |
文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会(第1回)議事要旨
1. | 日 時 | 平成15年6月6日(金)10:30〜13:00 |
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2. | 場 所 | 三田共用会議所3F大会議室 |
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3. | 出席者 | (委員) 齋藤分科会長、紋谷主査、安念、飯田、石井、今川、上原、大森、加藤、久保田、児玉、佐々木、寺島、土肥、生野、橋元、橋本、松田、森田の各委員 (文化庁) 銭谷次長、森口長官官房審議官、岡本著作権課長、川瀬著作物流通推進室長、その他担当者 |
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4. | 配付資料
参考資料
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5. | 概 要: |
(1) | 委員及び文化庁出席者紹介 事務局から委員及び文化庁出席者の紹介が行われた。 |
(2) | 主査の選出について 文化審議会著作権分科会運営規則第3条第3項の規定により、満場一致で紋谷委員が主査に選任された。 また、文化審議会著作権分科会運営規則第3条第5項の規定により、渋谷委員が主査代理に指名された。 |
(3) | 契約・流通小委員会の概要について 事務局より、本小委員会の設置の趣旨や所掌事務、会議の公開の取扱い等について説明が行われた。 |
(4) | 著作権をめぐる最近の動向、本年度の契約・流通小委員会の検討事項及び今後の審議の進め方について 事務局から資料に基づき説明があった後、各委員により以下のような意見交換が行われた。(以下、委員:○、事務局:△) |
○ | :経団連も総務省も、放送番組の利用が進まないのは、著作者が権利を主張するため、それを処理することが大変であるという議論をしているが、そうではない。要は、放送局自身が積極的に放送番組を活用しようと思うかどうかの問題。 |
○ | :放送コンテンツの二次利用については、全放送番組を保存し、それを全て二次利用できるようにすべきという意見があるが、そのような意見は現実性を持たない。例えば、毎日放送される天気予報等はコンテンツとして流通しえないものの典型。 本委員会は、文化審議会の著作権分科会に設置されており、著作権・著作隣接権の保護と公共的な利用の在り方のバランスをとるところであると認識。他省庁や世の中において、勢いだけで流されている問題について、この場で多くの先生方に知っていただき、問題を整理する場になればと考えている。 |
△ | :この小委員会では、今後契約が多様化していくということを前提に、様々な契約モデルについてどのような支援ができるか等についてご議論いただきたい。 放送番組については、既に存在するものの二次利用の促進も大きなテーマではあるが、我々がそれ以上に重視しているのが、これから創るときの契約。JASRACのように集中管理していないものについては、最初の契約を適切に行わないと後々大変になる。 |
○ | :日本におけるブロードバンドの普及、携帯電話次世代サービスの本格的なスタートによって、ある意味、世界で最先端のデジタルコンテンツビジネスがスタートする。そのような状況の中、分科会で議論されるテーマ、文化庁の施策は大変意味がある。今後、日本のデジタルコンテンツサービスが大きく、健全に発展していけるような基盤の整備等について議論できればと思う。
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○ | :文化庁の施策の中で、特定の著作物等の二次利用の促進については、今後の課題というよりも喫緊の課題と認識。過去の放送コンテンツについて、契約内容も含めて、ハード面のブロードバンド化が進みすぎていることに、現場も含めて認識が少ない。ハードが先行し、それを前提にコンテンツの提供をどう促進するかが問題になっており、後追いの感がある。
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○ | :契約時に長い契約書を読むことは、特に理系の人間等には苦痛。それを何とか解決していかねばということで、ビジュアル的に理解できる承諾書、或いは契約書というものが必要。
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○ | :ビジネスモデルに関する全く新しいアイデアの創出支援は是非やってもらいたい。著作権法は、これまでの改正により様々なことに対応しているが、ハードウエアの技術の進歩は更に先を行っている。もっと様々なビジネスができるということで企画を立てようとする時、著作権法上の問題は確かにある。著作権法上の問題があるからビジネスができないというのは、決して著作権法が悪いのではないが、新しいビジネスを新しいハードウエア環境でやろうと検討するビジネスマンは、著作権法が障害になりビジネスが出来ないと思っている。特に放送コンテンツは、潜在的需要が高く、最も優れた原資になると思う。そこで、著作権制度として、権利者と利用者の利益を調整するためにはどうすればよいかという事を検討できる組織を作ってほしい。それによってコンテンツビジネスの活性化が出来ると思う。 |
○ | :著作者・著作権者は、流通無くしては、自分の作品が広まり経済的利益がもたらされることはないので、流通について考えない者はいない。契約のことを考えるのも良いし、著作権法に対する誤解を無くすことも大切だが、何が一番難しいというと、一般の人のニーズがどれだけあるかということ。
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○ | :日本経団連のブロードバンドコンテンツ流通研究会では、権利者が何も言わず利用について全部OKを出し、一切の権利処理に係る阻害要因を無くせば流通が円滑にいくかどうか検証したが、人格権や肖像権などの著作権以外の権利や通信料の問題などがあることがわかった。 その中で、権利処理の集中化やその他の問題も含めた形でコンテンツの流通を促進していくためには、かなりのパワーが必要。これは民民だけでは無理なところもある。当然、文化庁や他省庁も含めて、こういうことについての突っ込んだ議論が必要。単に権利者を悪者にしておけばいいという時代は過ぎたと思う。 |
○ | :ハードの開発だけを特化して考えれば、容量が大きければ大きいほど良いと思いこんでしまうが、ハードは非常に大容量のものが出来ても、ソフトはそれに見合うものを大急ぎで捜しているという状況。今よりもハードの容量が少なかった時は静止画に関心が集まったが、現在は映像の段階。放送番組、それも過去の放送番組を使いたいということ。 ハードの側でも、ソフトの現状、開発能力等を含めて、その容量について適切なものを開発していくという双方の調整が必要。うまく双方の相互理解のもと開発を進めなければ問題が残る。 |
○ | :過去の番組についての問題は、調査や権利処理の難しさよりも、まず残っているものが少ないということ。残っていたとしても状態が悪い。現在のブロードバンドによる配信は、テレビやビデオほど映像が良くないから、元の状態の悪いものを出すとさらに映像がボヤける。そしてこれも出せないということになる。 もう一つは、ブロードバンドでの利用に際しての様々な調査費用の問題がある。調査の結果二次利用が実現可能なものは10件中2〜3件。その2〜3件について、二次利用のマーケットが成熟していないため、安い対価しか貰えないということになると、むしろ、それを今市場に出すことで将来得られるかもしれない対価を失うことになるとも言える。赤字で市場に出すよりは、手間をかけて調査した結果を財産として将来に残しておいて、赤字を取り戻すことを狙うというビジネス的考えも成り立つ。 |
○ | :過去の放送番組が保存されていないということだが、これは映画にも言えること。しかし、殊に放送の場合は映画よりもUp to Dateなものでなければ価値がない。従って、どれもこれも保存しても、全部の放送番組が二次利用に堪えうるかというと、それは難しい。これは映画も同じだが、放送の方が映画よりUp to Dateであり、陳腐化が早い。 |
(5) | 閉会 事務局から今後の日程について説明があった後、閉会となった。 |
(文化庁長官官房著作権課)