資料5


「自由利用マーク(仮称)」に係る法的考察


「自由利用マーク(仮称)」に係る法的考察図データ

1<「マーク」を撤回しようとした事例>
    著作者  ×:撤回の意思を知らない利用者に対しては「マーク」は有効
    利用者  ○:撤回の意思を知らなければ「マーク」は有効
2<思わず「マーク」付してしまった事例>
    著作者  ×:思わず「マーク」を付したことを知らない利用者に対しては「マーク」は有効
    利用者  ○:思わず「マーク」を付したことを知らなければ「マーク」は有効
3<「マーク」の内容を「勘違い」して付してしまった事例>
    著作者  ×:「マーク」を付したことに重過失があると考えられるため、「マーク」は有効
    利用者  ○:「マーク」を付したことに重過失があると考えられるため、「マーク」は有効
4<まぎらわしい場所に「マーク」を付した事例>
    著作者  ×:付したことに過失がある場合、他の権利者から不法行為責任を負う
    利用者  ○:著作者と他の権利者の著作物の区別を知るについて過失がなければ適法に利用できる
5<マークの内容を「勘違い」して利用した事例>
    著作者  ○:利用者に著作権侵害による責任を追及できる
    利用者  ×:著作権侵害の責任を負う
6<権利があると誤認して他人の著作物に「マーク」を付した事例>
    著作者  ○:第三者に不法行為責任を追及、利用者に差止請求できる
    利用者  ○:第三者に不法行為責任を追及できる
    第三者  ×:不法行為責任を権利者及び利用者に対し負う
7<わざと他人の著作物に「マーク」を付した事例>
    著作者  ○:第三者に不法行為責任を追及、利用者に差止請求できる
    利用者  ○:第三者に不法行為責任を追及できる
    第三者  ×:不法行為責任を権利者及び利用者に対し負う



未 定 稿

「自由利用マーク」に係る法的考察


  著作者(著作権者)・利用者双方が「自由利用マーク」を「利用ルール」に沿って利用すれば問題ありませんが、問題が生じた場合には最終的に裁判によって適法性等が判断されることになります。
  そのような状況に至る前に、当事者間で解決が図られるよう、生じうる典型的な問題について一つの考え方を整理しましたので、ご参考下さい。


著作者(著作権者)の行為

  1 <「マーク」を撤回しようとした事例>
  「利用ルール」に沿わない行為をした場合の著作者の法的責任

  2 <思わず「マーク」を付してしまった事例>
  著作者が「マーク」による利用を認める気はないにもかかわらず、「マーク」を付した場合の著作者の法的責任

  3 <「勘違い」して別の「マーク」を付してしまった事例>
  「マーク」の内容を錯誤して別の「マーク」を付けた著作者の法的責任

  4 <まぎらわしい場所に「マーク」を付してしまった事例>
  他人の著作物にも「マーク」が付されていると誤認するような場所に「マーク」を付してしまった著作者の法的責任


利用者の行為

  5 <「勘違い」して利用した事例>
    「マーク」の内容を錯誤した利用者の法的責任


第三者の行為

  6 <権利があると誤認して他人の著作物に「マーク」を付した事例>
    「マーク」を付すことができる者であると誤認して、他人の著作物に「マーク」を付した者の法的責任、及びその「マーク」を信用した利用者の法的責任

  7 <わざと他人の著作物に「マーク」を付した事例>
    他人の著作物であることを認識しながら、「マーク」を付す権限のない者が、著作者に無断でその著作物に「マーク」を付した者の法的責任、及びその「マーク」を信用した利用者の法的責任



著作者(著作権者)の行為

1<「マーク」を撤回しようとした事例>

「マーク」を撤回しようとした事例図

(解釈)
◆著作者A  
×: 著作者Aは「マーク」を撤回する意思表示を、何も知らない利用者Bに対し主張することはできない。

◆利用者B  
○: 著作者Aの「マーク」を撤回する意思表示を知っている場合を除き、適法に利用することができる。

【説明】
  著作者Aが「マーク」を付した後、「マーク」を付したことを後悔して、その「マーク」を撤回したいと思っても、既に「マーク」を付した著作物が流通しているため、極端に言えば、新聞・雑誌・テレビ等で世間一般に対し、その「マーク」を撤回することを宣言(意思表示)したとしても、利用者Bがその撤回による意思表示を知る保証はありません。

  したがって、そのような著作者Aの撤回の意思表示は、単に表示しただけでは利用者Bに対して、有効となりません。

  但し、利用者Bが著作者Aの撤回する意思を知っていた場合は、利用者Bを保護する必要はないことから、利用者Bに対して撤回の意思表示は有効となり、その利用は違法となります。




2<思わず「マーク」を付してしまった事例>

思わず「マーク」を付してしまった事例

(解釈)
◆著作者A  
×: 著作者Aの付した「マーク」は有効のまま。

◆利用者B  
○: 著作者Aの「マーク」が本意ではないことを知っている場合を除き、「マーク」による利用行為は適法となる。

【説明】
  著作者Aが自分の小説に「マーク」による利用を認めるつもりがないのにもかかわらず、「マーク」を付した行為は、「心裡留保」(12ページ参照)として、「マーク」は有効となります。

  したがって、著作者Aが、あとで「あれは冗談だ」とか、「ちょっとした気もちでやったこと」と言ってみたところで、法律上、「マーク」によって表示した以上、それを信用した利用者を保護する観点から、利用者を咎めることはできません。

  但し、利用者が、著作者Aが「マーク」による利用を認めるつもりがないことを知っていた場合は、利用者を保護する必要はないことから、利用者Bに対しては「マーク」は無効となり、その利用は違法となります。




3<「勘違い」して別の「マーク」を付してしまった事例>

「勘違い」して別の「マーク」を付してしまった事例

(解釈)
◆著作者A  
×: 著作者Aは、「マーク」を付すに当たり、その「マーク」の内容を認識すべき重大な過失があるため、「マーク」は有効。

◆利用者B  
○: 著作者Aの「勘違い」に重大な過失があると認められるため、「マーク」による利用行為は適法。

【説明】
  著作者Aが「そのまま無料提供利用マーク」を付けるつもりで、勘違いして「完全自由利用マーク」を付したとしても、著作者Aは「マーク」を付ける際、通常人の知恵を有する者のなすべき注意の程度を欠いていることにより「重過失」があると判断されるため、利用者Bに対し錯誤(13ページ参照)として無効を主張することができないと考えられます。




4<まぎらわしい場所に「マーク」を付した事例>

まぎらわしい場所に「マーク」を付した事例

(解釈)
◆著作者A  
×: まぎらわしい場所に「マーク」を付したことにより、著作者Cから不法行為責任を追及されうる。

◆利用者B  
○: 「マーク」の範囲外であることを知ることにつき過失がなければ、責任は生じない。

◆著作者C  
○: まぎらわしい場所に「マーク」を付した著作者Aに対し行為責任を追及できる。


【説明】
  著作者Aは自分の写真を広く利用してもらおうと考えて「マーク」を付したが、その「マーク」の付した場所が問題となる。一見すると著作者Cの文章も含めたページ全体に「マーク」が付されているかのような外観を作出した著作者Aは、「どの著作物に「マーク」を付すのかを利用者にわかりやすい場所に付けること」という「利用のルール」にも反しているため、このような「マーク」の表示について責任が認められる。

  利用者Bは、「マーク」が写真のみを対象にし著作者Cの文章を含めたものではないということを知っていた場合を除き、利用は適法であると考えられます。
  
まぎらわしい場所に「マーク」を付されてことにより、侵害を受けた著作者Cは、利用者Bに対し何もいうことはできませんが、著作者Aに対しては、その侵害における責任を不法行為により問うことができると考えられます。



利用者の行為
5<「勘違い」して利用した事例>

「勘違い」して利用した事例

(解釈)
◆著作者A  
○: 著作者Aは利用者Bに対し著作権侵害による差止請求ができる。また、利用者Bには勘違いしたことについて過失があると考えられるため、利用者Bに対して損害賠償も請求することができる。

◆利用者B  
×: 著作権侵害により訴えられる。

【説明】
  著作者Aは自分の小説に「そのまま無料提供利用マーク」を付しましたが、この「マーク」の無料には実費は含まれていませんので、実費による利用について、利用者Bは許諾が必要ということになります。

  利用者Bが実費も含まれると勘違いしたことは、「利用ルール」を見れば実費は入らないことは明らかなのに見なかったとして、過失があると認められます。

  したがって、著作者Aは利用者Bに対し、差止請求ができるのは勿論のこと、損害賠償を請求することができます。



第三者の行為

6 <権利があると誤認して他人の著作物に「マーク」を付した事例>

権利があると誤認して他人の著作物に「マーク」を付した事例

(解釈)
◆第三者A  
×: 利用者B又は著作者Cに対し不法行為責任による損害賠償責任が生じる。

◆利用者B  
○: 著作者Cからは差止請求は受けるものの、損害賠償責任は生じない。この場合、第三者Aに対し、著作者Cから差止請求を受けたことによる損害賠償請求ができる。

◆著作者C  
○: 利用者Bに対し著作権侵害による差止請求、第三者Aに対し利用者Bが利用したことによる損害を第三者Aの過失によるものとして不法行為責任を追及ができる。

【説明】
  著作者Cは第三者Aの「マーク」を付したことに対し、無効又は有効にするとの追認をすることができるので、仮に有効との追認をすれば、「マーク」が有効となり、利用者Bの利用行為には何ら問題は生じないと考えます。

  無効ということで、「マーク」を取り消したときは、著作者Cは、自分の小説に係る著作権を無断で利用されたことにより、利用者Bの利用行為に対し著作権侵害による差止請求することができます。また、それまでの利用行為によって生じた損害賠償を請求することが考えられますが、利用者Bは「マーク」による利用をしたのであり、侵害に対する意識はないものと考えられ、利用したことに対する著作権侵害として刑事罰及び民事上の損害賠償請求の責めを負うことはないと考えられます。
但し、利用したことによって得た利益の内、現存する範囲内において、その利益を著作者Cに不当利得として返還する義務が生じることになります。

利用者Bは、著作者Cからの差止請求によって被った損害を第三者Aに対し請求ができる。

  著作者Cが「マーク」を付けられていることを知って放置していた等、その放置した期間が著しく長く、著作者Cに対し責任がある場合、それを信用した利用者Bとの関係においては権利外観法理(12ページ参照)により、利用行為が適法となる余地はあります。その場合は、上記の不当利得として返還する義務は生じません。

  著作者Cは、権利外観法理で利用行為が適法となったことで、生じる損害を、第三者Aの過失をもって不法行為責任を追及もできますし、権利外観法理が適用されず、無効とした場合も不法行為責任を追及できると考えられます。




7<わざと他人の著作物に「マーク」を付した事例>

わざと他人の著作物に「マーク」を付した事例

(解釈)
◆第三者A  
×: 利用者B又は著作者Cに対し不法行為責任による損害賠償責任が生じる。その他刑事上の責任が生じるおそれあり。

◆利用者B  
○: 著作者Cからは差止請求は受けるものの、損害賠償責任は生じない。第三者Aに対し、著作者Cから差止請求を受けたことによる損害賠償請求ができる。

◆著作者C  
○: 利用者Bに対し著作権侵害による差止請求、第三者Aに対し利用者Bが利用したことによる損害を第三者Aの過失によるものとして不法行為責任を追及できる。

【説明】
  著作者Cは第三者Aの「マーク」を付したことに対し、無効又は有効にするとの追認をすることができるので、仮に有効との追認をすれば、「マーク」が有効となり、利用者Bの利用行為には何ら問題は生じないと考えます。

  無効ということで、「マーク」を取り消したときは、著作者Cは、自分の小説に係る著作権を無断で利用されたことにより、利用者Bの利用行為に対し著作権侵害による差止請求することができます。また、それまでの利用行為によって生じた損害賠償を請求することが考えられますが、利用者Bは「マーク」による利用をしたのであり、侵害に対する意識はないものと考えられ、利用したことに対する著作権侵害として刑事罰及び民事上の損害賠償請求の責めを負うことはないと考えられます。
  但し、利用したことによって得た利益の内、現存する範囲内において、その利益を著作者Cに不当利得として返還する義務が生じることになります。

  利用者Bは、著作者Cからの差止請求によって被った損害を第三者Aに対し請求ができる。

  著作者Cが「マーク」を付けられていることを知って放置していた等、その放置した期間が著しく長く、著作者Cに対し責任がある場合、それを信用した利用者Bとの関係においては権利外観法理(12ページ参照)により、利用行為が適法となる余地はあります。その場合は、上記の不当利得として返還する義務は生じません。

  著作者Cは、権利外観法理で利用行為が適法となったことで、生じる損害を、第三者Aの過失をもって不法行為責任を追及もできますし、権利外観法理が適用されず、無効とした場合も不法行為責任を追及できると考えられます。

  悪戯で「マーク」を付した無権利者Aは、刑事上、下記のような罪を負うこともあり得ます。
    1 著作権侵害
(「マーク」を付すときに、他人の著作物を複製、公衆送信した場合、単に「マーク」を付しただけでは問われない)
    2 偽計業務妨害罪
(業務に供されている著作物に「マーク」を付したとき)
    3 不正アクセス行為による罪
(アクセス制御機能を有する特定電子計算機にアクセスして「マーク」を付したとき)
    4 不正競争防止法による罪
(不正の目的で商品等にその内容を誤認させるような表示(マーク)を付したとき)


(附属資料)

法律の解説

「『自由利用マーク』に係る法的考察」に関係する法律について簡単に解説しましたので、ご参考下さい。

(1)意思表示は有効なのか?
  著作権本人が、「自由利用マーク」を付す行為は、自己の権利に関する一方的な意思表示を為す形成権による単独行為と解される。

a.心裡留保(93条)
  効果意思と表示行為が一致しないことを、表意者自ら知って行った意思表示は、「心裡留保」(民法93条)といい、この意思表示は原則として有効となります。
  例えば、著作者が、一部の者に対して「自由利用」を認めるつもりがなかった(効果意思)にも関わらず、「自由利用可」の表示(意思表示)をした場合が、これに該当し、利用者が保護されると考えられます。

b.虚偽表示(94条)
  民法94条1項では「相手方と通じて為したる虚偽の意思表示(相手方と通じて真意でない意思表示)は無効」であるものの、善意の第三者には、虚偽表示による無効を主張することはできないこととされています(同条2項)。
  虚偽の意思表示はしていないものの、虚偽の外観を呈するような「マーク」を付しているような責任があり、その外観を信じた利用者を保護することがあります(94条2項類推適用【権利外観法理】)。例えば、著作物に虚偽の「マーク」が付してあることを知りながら、長期間放置し、それを信用した者がいる場合等がありえます。

*権利外観法理
    1 虚偽による「マーク」が付してある外観の存在
    2 外観を作出したことに著作者に帰責性(責任)があること
    3 その外観を信じるにつき、第三者が善意・無過失であること
13の要件を満たす場合は、第三者である利用者は保護されることになる。

c. 錯誤(95条)
  表示行為から推測される意思と表意者の真実の意思が食い違っている場合(錯誤)には、民法95条により意思表示が無効となります。但し、
    1 「法律行為の要素」に錯誤があること
    2 表意者に重大な過失のないこと
の2つの条件を満たす必要があります。

1「法律行為の要素」に錯誤があること」とは、以下のような場合をいいます。

  「法律行為の要素」に錯誤があること



1)動機の錯誤
  錯誤した動機が表示されている場合がこれに該当します。例えば、以下が考えられます。
    ・   道路が通って地価が上がるという噂を信じて辺鄙な土地を高額で買い受けたが、噂は事実無根であった場合において、その動機を相手に表示したとき

2)表示上の錯誤
  表示の仕方を間違えた場合です。例えば、以下が考えられます。
    ・   記載間違い
    ・   $と£の書き間違え
    ・   「自由利用マーク」に記す言葉を誤って記載した場合

3)表示行為の意味に関する錯誤(内容の錯誤ともいう)
  表示行為の意味を取り間違えた場合です。例えば、以下が考えられます。
    ・   ドルとポンドが同じ価値であると思い込んでいたので、1万ポンドで売りたいと言うつもりで1万ドルと言ってしまった場合。
    ・   「障害者目的だと「自由」としていたマークに、商業目的で録音図書を販売することが含まれないと思って表示してしまった場合


2表意者に重大な過失のないこと」については、以下が参考になります。
      「重大な過失」とは、錯誤に当たり普通人に期待される注意を著しく欠いていることと通常解釈されています。
  したがって、他人に勧められるままに、十分に内容を確認せず「自由利用マーク」を付した場合には、重大な過失があることから錯誤に該当せず、利用者はそのまま利用できると考えられます。
  ただし、利用者が表意者の錯誤を知っているとき(悪意のとき)は、たとえ表意者に重大な過失があったにせよ、表意者の犠牲において利用者を保護する必要はないと判断され、利用者は保護されません。

(2) 「なりすまし」等があった場合の利用者の保護
  「自由利用マーク」を本人以外の第三者が付すこと(いわゆる「なりすまし」等)もありえます。マークを付した第三者が、著作者から第三者に代理等の「授権」が与えられていれば「自由利用マーク」は
有効ですが、勝手にマークを付した場合、著作者になんら帰責性がありませんので、「無権代理」に該当し、「自由利用マーク」は無効になります。ただし、利用者が信じるような正当な理由がある場合で、かつ著作者に「一定の落ち度が認められる」場合には、「権利外観法理」により、利用者が保護されることもあります。

a. 差止請求
  意思表示が無効、すなわち「自由利用マーク」が無効の場合でも、著作者が利用者の利用を追認したり、「なりすまし」者に損害賠償等を求めるのみで利用者に対しては特段の措置を取らない場合には問題ありませんが、著作者が著作権法第112条により利用者に対して複製物等の頒布等の差止めを求めることにより、利用者が利用できなくなってしまうことも考えられます。
  この場合、利用者は「なりすまし」者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求できますが、「なりすまし」者が不明な場合には利用者が不利益を被ることになると考えられます。

b. 損害賠償請求
  意思表示が無効、すなわち「自由利用マーク」が無効になった場合、著作者は利用者に対して不法行為に基づく損害賠償を申し立てることも考えられます。
  この場合、次の全ての要件を満たしていないと「不法行為」は成立しません。
    ◇故意・過失       「違法な複製」をしたということを容易に知ることができたにも関わらず、不注意等により知らなかったという場合は、「故意・過失」に該当しません。
    ◇責任能力         「事理弁識能力」があれば「責任能力」ありと見なされます。
    ◇権利侵害         著作者に無断で複製していれば「権利侵害」に該当します。
    ◇損害の発生       複製されていれば損害が発生していると見なされます。
    ◇因果関係         「無断で複製」されたことと、著作者の権利が侵害されたこととの間に相当な因果関係を認められると考えられます。
    ◇違法性阻却事由 ないこと
                  上記に該当するのであれば、違法性は阻却されません。
  上記の要件の中では、「故意又は過失」にするか否かが、「不法行為」に該当するか否かの分かれ目になると考えられます。

b. 刑罰
  刑法において、刑罰は以下を全て満たす場合のみ適用されます。
    ◇構成要件該当性     著作権法第8章「罰則」に該当していること。
    ◇違法性             正当行為等の違法性阻却事由がないこと。
    ◇責任               構成要件該当性かつ違法性について認識があり、責任行為を問えること。
  したがって、利用者が、「なりすまし」等により著作者の意思でないことを知らずに、「自由利用マーク」に基づき利用した場合には、違法性について認識していないため、一般に刑罰は適用されないと考えられます。


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