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資料4

「自由利用マーク」について(検討案)

平成14年9月
文化庁

1.背景
<現状>
<問題点>
<解決策>
2.「自由利用マーク」の開発
(1) 新たに「自由利用マーク」を作る意義
より多くの著作物について、無料・無許諾で利用できる利用形態が予め意思表示されていることが、円滑な利用の促進に不可欠。
既存の「著作権フリー」表示は、「フリー」と表記した上で、留保条項が設定されており、また、留保条項の記載方法や記載場所も様々であるため、利用者の錯誤を招きうる。
一部の企業等が表示している「著作権ポリシー」は、利用条件を細かく設定できるというメリットがある一方で、その内容が著作権の知識がない人にはわかりづらい場合があり、また一般の人が簡単に作成できないなどのデメリットもある。
したがって、内容がわかりやすく、一般の人も活用しやくすく、かつ、柔軟な利用条件の設定が可能な「意思表示システム」(自由利用マーク)が必要。

(2) 「自由利用マーク」の位置づけ
文化庁の審議会で決定する任意マーク(任意規格)
文化庁が積極的に普及

(3) 「自由利用マーク」の設計コンセプト
「自由利用」とは、無料・無許諾で利用できる場合であり、著作権自体を放棄するものではないこと(すなわち、著作権は引き続き著作権者が所有)
「自由利用」できる利用形態については、マークを見れば大概理解でき、また、一般の人が付しやすいものであること
多様な意思表示に対応できるように、「利用形態」をカフェテリア方式(選択式)にすること

(イメージA:簡素な選択の例)
イメージA:簡素な選択の例

(イメージB:詳細な選択の例)
イメージB:詳細な選択の例

(イメージC:複雑な選択の例)
イメージC:複雑な選択の例

<「マーク」にする利用方法の例>
チェック1:いずれかに該当すること(ポジティブ・チェック項目)
(マーク) (意味)
[〜○人] ・・ 一定人数内の人を対象に利用する場合には、複製、譲渡、上映等、公衆送信その他のあらゆる利用が可能。
[対価なし] ・・ 無料のサービスとして著作物を提供する場合には、複製、譲渡、上映等、公衆送信その他のあらゆる利用が可能。
[教育] ・・ 学校その他の教育機関において利用する場合には、複製、譲渡、上映等、公衆送信その他のあらゆる利用が可能。
[障害者] ・・ 著作物を点字化、録音テープ化、字幕化、拡大複写など専ら障害者に著作物を提供する場合には、複製、翻訳等、譲渡、上映等、公衆送信その他のあらゆる利用が可能。
[全利用] ・・ 特にチェック1で利用形態を限定しない場合(上記のいずれの「マーク」も付さない場合)に用いる。

⇒チェック1に該当があればチェック2に進む。
チェック2:いずれにも該当しないこと(ネガティブ・チェック項目)
(マーク) (意味)
[○人〜] ・・ 一定人数を超えた人数を対象に利用する場合には、対象外。
[対価あり] ・・ 有料のサービスとして著作物を提供する場合には、対象外。
[営利企業] ・・ 営利企業が利用する場合には、対象外。
[ネット] ・・ インターネット等にアップロードする場合には、対象外
[改造] ・・ 映像の一部を変えたり、写真の上に絵を加えたり、小説を脚本にしたりするなど、著作物を切除・改変して利用する場合には、対象外。

(4) 「自由利用マーク」の利用に当たって
「自由利用マーク」は著作権者が、自由に選択し付すというのが原則。
マークを付す対象著作物は全ての著作物とするが、政府刊行物、ホームページ、などについては「自由利用マーク」の利用が期待される。

(5) 「法的考察」すべき主な論点
「自由利用マーク」について発生しうる問題点について、法的な視点から検討し、その結果を「自由利用マーク」とともに一般に提供することが重要。
◇民法
刑法上の概括整理
意思表示の有効性(心裡留保、虚偽表示、錯誤、無権・表見代理等)
損害賠償請求の可能性
刑罰適用の可能性
◇ケー ススタディ
本人が自らマークを付した場合
第三者がマークを付した場合

(6) 今後の予定(案)
「自由利用マーク」の制定
9〜11月   権利者、利用者、学識経験者の協力を得て、「自由利用マーク」制度の原案を作成する。
12月 契約・流通小委員会にて原案を審議
1月 契約・流通小委員会にて審議とりまとめ
2月 著作権分科会にて報告書とりまとめ

「自由利用マーク」の普及
政府刊行物・省庁等のホームページでの活用を含め各省庁に周知
関係団体に対し周知
パンフレット等の作成
その他各種広報


検討のポイント

わかりやすく、かつ誤用がなく、利用されるようにするためには、どのような「自由利用マーク」とするのが適当か。
(どのような「利用形態」を選択肢とするのが適当か。また、それらはどのように表現するのが適当か。)

利用者等を保護するために、設けるべき工夫があるか。
(特に、第三者が勝手に「自由利用マーク」を付した場合の対策など)

どのように運用するのが適当か。
(「自由利用マーク」の運用方法・運用方針、「自由利用マーク」の改定方法など)

どのように普及していくのが適当か。

など


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