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文化審議会

2002/06/28 議事録
文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第1回)議事要旨

文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第1回)議事要旨

日時 平成14年6月28日(金)10時30分〜13時
     
場所 三田共用会議所3階大会議室
     
出席者 (委員)
紋谷、石井、入江、上原、大森、加藤、金原、久保田、児玉、佐々木、渋谷、寺島、土肥、生野、橋元、橋本、半田、松田、村上の各委員
(文化庁)
銭谷次長、丸山長官官房審議官、岡本著作権課長、村田国際課長,
尾崎著作権等管理事業室長ほか関係者
     
配付資料  
 
資料1 著作権分科会及び契約・流通小委員会委員名簿
資料2 小委員会の設置について(平成14年5月7日  文化審議会著作権分科会決定)
資料3−1 著作権をめぐる最近の動向について
−2 知的財産戦略会議の開催について(平成14年2月25日  内閣総理大臣決裁)
−3 知的財産戦略専門調査会の設置等について(平成14年1月30日  総合科学技術会議)
−4 司法制度改革推進計画(抄)(平成14年3月19日閣議決定)
−5 文化審議会答申「文化を大切にする社会の構築について」(抄)(平成14年4月)
資料4−1 審議事項例
−2 著作物等のマーケットの特徴
−3 著作権等管理事業法の概要
−4 「着メロ」の概要
−5 「バーチャル著作物マーケット」について
−6 「流通システム」「ビジネスモデル」の構築に向けた文化庁の取組
−7 日本経団連の取組み等
資料5 契約・流通小委員会審議のスケジュール(案)
参考資料1 文化審議会著作権分科会の概要
参考資料2 文化審議会著作権分科会運営規則(平成14年5月7日  文化審議会著作権分科会決定)
参考資料3 文化審議会著作権分科会の議事の公開について(平成14年5月7日  文化審議会著作権分科会決定)
参考資料4 著作権分科会各小委員会委員名簿
参考資料5 文化審議会著作権分科会「審議経過の概要」(平成13年12月)
参考資料6 著作権法の一部改正の概要
     
概要  
(1) 委員及び文化庁出席者紹介
  事務局から委員及び事務局の紹介が行われた。
   
(2) 主査の選出について
  文化審議会著作権分科会運営規則第3条第3項の規定により当該小委員会に属する委員及び臨時委員の互選により選任することになっており、事務局より紋谷委員を推薦したところ、満場一致で紋谷委員が主査に選任された。
  また、文化審議会著作権分科会運営規則第3条第5項の規定に基づき、半田委員が主査代理に指名された。
   
(3) 契約・流通小委員会の概要について
  事務局より、本小委員会の設置の趣旨や所掌事務、会議の公開の取扱い等について説明が行われた。
   
(4) 著作権に関わる動向について
  事務局から資料に基づき説明があった後、各委員による以下のような意見交換が行われた。(以下、委員:○、事務局:△)
   
 
○:   契約の中にどういう権利が含まれているか、どういう条件で使えるのか、わからない場合があり、様々なトラブルが起きている。許諾をしていないとのクレームがあって損害を被ったこともある。「一億総ユーザー」「一億総クリエータ」の時代となり創作者も利用者も専門家同士ではなくなってきているので、「契約インターフェース」は非常に重要。全体的に過渡期であると認識しており、権利者・利用者双方が話し合って著作物の円滑な流通ができるようなビジネスモデル、契約システムを構築する、非常に重要な時期・状態であると認識している。
   
○:   ウェブキャストの会社は、リアルタイムストリーミングサービスについていえば数百以上あるが、著作権の権利処理がなされていないまま流れている音楽が多く、実態は複雑になっている。
  放送番組においては、以前は二次利用を想定した契約となっていなかった感もあるが、現在色々なコンテンツの流通が求められている時代になっているので、契約についても新しい媒体に併せて努力している。
  ビジネスを行っている立場からすると、コンテンツの流通と二次利用も大事であるが、一次利用が失敗すると何もならないので、一次利用がしっかりと行われなければ二次利用もあり得ないということも考えるべき。
   
○:   二次利用が一次利用の足を引っ張ることがあると困る。脚本家の立場で言えば、常に映画製作者や放送事業者と一緒に動くので、当然スムーズに流通できるようにしておかないといけないと思い協力している。ただ、放送局にはコンテンツの提供・流通に関してメディア戦略があり、なんでも流通させろというわけにはいかないということも理解しておくべき。
   
○:   行政が契約書を作成し、民間の当事者に押しつけるというのは問題だと思う。こういう問題が日本の行政と民間の間にあるので、当たり前のことを当たり前のように行政が考えることが議論の前提である。
    資料「著作物等のマーケットの特徴」の中に「N対1」が入っていないが、「コピーマート」は利用者が代表して契約を行うものなので、これに該当すると考える。
    ビジネスプレーヤーの観点からいうと、「バーチャル著作物マーケット」もそうだが、誰かが運営することが必要であって、その視点を考慮しないといけないと思う。
   
△:   「バーチャル著作物マーケット」については、ノウハウを開発し、それをオープンにするところに政府の役割があると考えている。
  「N対1」については載せなかったが、そのようなパターンがあると認識している。
  流通促進については、文化庁が無理やり流通させるということをするつもりはない。あくまでも、当事者が流通したいと考えているときに、障害を取り除くというのが文化庁の基本的な考え方である。
   
○:   契約書については、デファクトスタンダードと言われているものの中にはとんでもないものもあることを念頭におく必要がある。また、今後、「一億総ユーザー」の時代となっていけば、著作権だけでなく、消費者契約の問題も出てくることも考えておくべき。
   
○:   コンピュータプログラムの使用許諾というのはこの小委員会の検討項目に入るのか。
   
△:   契約流通問題を全て扱うので、基本的には入るが、契約流通のシステムの障害を取り除くというのが政府全体の関心事であり、既に行われている契約の内容の適否といったことは、主たる関心事ではない。
   
○:   利用者の中には、放送局のような利用者、我々のような消費者もあり、様々である。消費者が利用者のケースも検討することになるのか。
   
△:   この場で検討するのは著作権に関する利用許諾契約である。著作物を利用する者は全て入る。
   
○:   美術作品における「追及権」も検討項目に入るのか。
   
△:   権利を拡大・縮小する話は法制問題小委員会の対象である。既存の権利の範囲における契約等に関することが、この小委員会の検討範囲となる。
   
○:   権利がないのに契約をしてしまうおそれ、ということを忘れてはいけない。
資料によれば、着メロのビジネス規模850億円のうち著作権使用料は40億、約5%となっており、私見としては少ないと考えるが、これが相場なのか。
   
○:   現在、有料配信料は7.7%又は5円と規定されているが、実際は最低使用料5円が適用されている。これについて一慨に高い安いとは言えない。
   
○:   流通経費などがかかる。映画の場合では、興行実績の5、6割程度しか配給サイドには戻らない。
   
○:   着メロの場合、電話局に10数%、サーバー・回線の確保に30%以上、あらゆる機種に合わせて電子音楽データをチューニングしテストする費用、それに著作権使用料が掛かり、結果として著作権コストがネット収入の15〜20%になる場合もある。携帯を使ったビジネスは配信コストがかからないように思われるが、セキュリティや利用者に対する便宜上二重三重にサーバーを置かないといけないので、設備投資にかなりのコストがかかる。
   
△:   使用料の設定そのものは、この小委員会の検討事項ではない。
   
○:   事業者の立場としては、使用料については、高ければその著作物を使わないだけであるが、著作権については、詳しい人が少なく率直言って困っている業者が多いので、「許諾の基準」が明確になるとありがたい。
  ソフトウェア事業者は売れなければ潰れるという事業リスクが負っており、事業リスクを負っていない著作権者とは料率に関する考え方も異なるはずである。
  コンテンツ流通において、アメリカ等諸外国で行われている動きを踏まえつつ、ある意味先取りする形で審議が行われることを期待したい。
   
○:   ライセンシーの問題は契約だけの問題として解決できないが、当小委員会で検討しうるのか。
   
△:   この小委員会では、契約に関する法制も検討対象になる。法制問題小委員会と一緒に議論する必要が出てくれば、そのようなことも検討したい。
   
○:   ライセンス契約におけるライセンシーの第三者対抗要件の問題は全ての問題に最優先して議論すべき。
   
(5) 閉会
  事務局から今後の日程について説明があった後、閉会になった。


(文化庁著作権課著作物流通推進室)

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