ここからサイトの主なメニューです
資料5

インターネットネットオークションを巡る状況について

1. 問題の所在

 近年、平成17年10月に横浜市が税金滞納者から差し押さえた絵画をインターネットオークションで公売する際、画家の許諾を得ないで画像を掲載するのは著作権(「複製権」及び「公衆送信権」)の侵害にあたる疑義があるとして問題となった事例や、平成19年5月に、税金滞納者から差し押さえた財産を公売するため、国税庁のオークションサイトにおいて、権利者に無許諾で美術品や宝飾品の写真を掲載するのは著作権(「複製権」及び「公衆送信権」)の侵害にあたる疑義があるとして問題となった事例など、ネットオークションにおいて美術作品等の画像を掲載することに対する著作権法上位置づけが問題となってきている。

2. 公売手続きと著作権との関係について

 国税滞納処分は、租税収入の円滑な確保を終局的に担保するために国税当局が行う強制執行手続きであり、そのうち「公売」は、滞納国税を最終的に徴収するため納税者の差押財産を強制的に売却する滞納処分である。
 公売手続きの流れの概略は以下のとおりである。
(1)  公売広告
 公売広告は、公売財産(滞納者の差押財産)を高価・有利に売却するため、公売財産に関する情報(公売財産の内容、公売の日時・場所、公売保証金など)を周知するもの。
 公売日の一定期間前に公売を実施する国税局や税務署の掲示板などに掲示される。
 これに併せて、公売財産に関する情報をより広く周知するため、次のような取組が実施されている。
1  公売広報誌の作成・配付
 公売財産の名称、種類、所在などの情報のほか、公売財産の写真を掲載した資料を買受希望者に無料配付する。
2  インターネットを利用した公売財産に関する情報の提供
 国税庁の「公売情報」ホームページ及び民間のオークションサイトに公売財産に関する情報(写真を含む)を掲載する。
3  下見会の開催
 公売財産を展示し、買受希望者の縦覧に供する。
(2)  公売の実施及び最高価申込者の決定
 公売は入札又は競り売りの方法により行われるが、インターネット公売の場合は民間オークションサイトにおいて競り売りの方法で行う。
(3)  売却決定及び買受代金の納付
 あらかじめ定められた日に、最高価申込者に対して売却決定を行う。

 著作権法との関係では、国税滞納処分として絵画等の著作物が差押えされた場合、上記のような公売の手続き過程において著作物の複製や自動公衆送信(送信可能化)が行われることになるが、それらの権利が制限されるとする明確な規定はない(オークションサイトへの画像掲載は引用の規定の解釈により可能との説もある。)。
 公売財産となった絵画作品の中には作者不詳のものも多く、限られた期間に著作権者の許諾を得ることとするのは困難な模様である。
 地方税においても同様の事情がある。

【参考条文】国税徴収法(昭和34年4月20日法律第147号)

(公売公告)
第95条  税務署長は、差押財産を公売に付するときは、公売の日の少なくとも十日前までに、次に掲げる事項を公告しなければならない。ただし、公売に付する財産(以下「公売財産」という。)が不相応の保存費を要し、又はその価額を著しく減少するおそれがあると認めるときは、この期間を短縮することができる。
 公売財産の名称、数量、性質及び所在
 公売の方法
 公売の日時及び場所
 売却決定の日時及び場所
 公売保証金を提供させるときは、その金額
 買受代金の納付の期限
 公売財産の買受人について一定の資格その他の要件を必要とするときは、その旨
 公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権その他その財産の売却代金から配当を受けることができる権利を有する者は、売却決定の日の前日までにその内容を申し出るべき旨
 前各号に掲げる事項のほか、公売に関し重要と認められる事項
2  前項の公告は、税務署の掲示場その他税務署内の公衆の見やすい場所に掲示して行う。ただし、他の適当な場所に掲示する方法、官報又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲げる方法その他の方法を併せて用いることを妨げない。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ