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資料4

著作権法における海賊版広告行為についての主な論点

(1) 海賊版広告行為に関するこれまでの主な意見・主張
 広告行為を著作権侵害とみなすことで、プロバイダ責任制限法の適用要件である「特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合」に明確に該当するようにし、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示請求を可能にすべき。
 広告行為のうち「海賊版の蓋然性が高い」だけのものまで含めたとしても、公訴要件(注1)が明示できないのではないか。
 著作権法第112条における差止請求で本問題について対処することは可能か。プロバイダのように、譲渡の意思の表示の部分だけに関与し、その後のネット外で行われる譲渡には関与しない者に対しては、現行規定では、差止は困難だろう。
 「広告行為」は、不特定多数に対するものか、それとも1対1、特定多数のようなものを含めるのか。
 例えば、オークションの場合、落札で契約成立となる場合と、単に誠実に交渉する義務が生じるだけとサイトによって様々な場合があるが、「申し出行為」の概念は、契約の申し込みのように捉えるのか、もう少し広く捉えるのか。

(注1) 刑事訴訟法
第256条  公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。
2  起訴状には、左の事項を記載しなければならない。
 被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
 公訴事実
 罪名
3 公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
(以下略)

(2) 「検討を行うべき点」ごとの意見の整理
 以下は、上記の意見を、法制問題小委員会第2回(平成19年4月20日)・配付資料4の「4.検討を行うべき点について」に沿って並べ替えたもの。(注)は、まだ意見が出ていない点や、補足説明を要する点である。

1  海賊版の広告行為を取り締まる法的措置を講ずる必要性はあるか。
 (現行法で対処できない事例はどのくらい存在するのか)

 広告行為を著作権侵害とみなすことで、プロバイダ責任制限法の適用要件である「特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合」に該当することを明確にし、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求することを可能にすべき。
 著作権法第112条における差止請求で本問題について対処することは可能か。プロバイダのように、譲渡の意思の表示の部分だけに関与し、その後のネット外で行われる譲渡には関与しない者に対しては、現行規定では、差止は困難だろう。

2  海賊版の広告行為を取り締まる法的措置を講じた場合、どのような行為態様を取締りの射程にすべきか。

 「広告行為」は、不特定多数に対するものか、それとも1対1、特定多数のようなものを含めるのか。
 例えば、オークションの場合、落札で契約成立となる場合と、単に誠実に交渉する義務が生じるだけとサイトによって様々な場合があるが、「申し出行為」の概念は、契約の申し込みのように捉えるのか、もう少し広く捉えるのか。

((注)  海賊版の広告行為について、現行法の直接侵害を構成することは可能か)
((注)  取締りの射程とすべき行為態様ごとの議論)
((注)  海賊版ということについて認識して、広告行為を行っている場合に限定すべきか)
((注)  インターネット上の取引以外の取引について、何らかの考慮が必要か)
((注)  その他、取締りの実務等に照らして問題はないか)

<行為類型の例>
例1: 広告行為者が海賊版を所持し、販売している場合

((注)  この類型は頒布目的所持で対処可能か)

例2: 広告行為者と海賊版所持者が別人格で、広告行為者が受注を受け、販売する場合



例3: 広告行為者と海賊版所持者が別人格で、所持者が受注・販売する場合

((注)  この類型については、態様等によって、譲渡行為への関与・影響の程度等について別の評価をすべきか。)

例4: 広告行為者と海賊版所持者が別人格であるが、両者には特別な関係(例えば、親会社と子会社)があり、所持者が受注・販売する場合

((注)  この類型については、上記例2の類型と区別して考慮すべき要素等があるか。)

例5: 広告行為者が発注を受けてから、海賊版を製造・販売する場合

((注)  この類型については、広告時点で海賊版の実体が存在していないが、そのことに関して考慮すべき要素等があるか)


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