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著作権分科会 法制問題小委員会(第8回)議事録

1. 日時
平成18年12月11日(月曜日)9時30分〜10時10分

2. 場所
アルカディア市ヶ谷 5階 大雪

3. 出席者
(委員) 青山,市川,大渕,道垣内,土肥,苗村,中山,松田,森田の各委員
(文化庁) 加茂川文化庁次長,吉田長官官房審議官,甲野著作権課長,秋葉国際課長ほか関係者

4. 議事次第
1  開会
2  議事
(1) 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」に対する意見募集の結果報告
(2) 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」の検討・取りまとめ
(3) その他
3  閉会

5. 配付資料一覧
資料1   「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」に対する意見募集の結果概要
資料2 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)
参考資料1 「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」に対する意見募集の結果
参考資料2 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 契約・利用ワーキングチーム検討結果報告
(※(第6回)議事録へリンク)
参考資料3 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 司法救済ワーキングチーム検討結果報告
(※(第6回)議事録へリンク)
参考資料4-1 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第6回)議事録
(※(第6回)議事録へリンク)
参考資料4-2 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第7回)議事録
(※(第7回)議事録へリンク)

6. 議事内容
 

【中山主査】 それでは時間でございますので、只今から文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第8回を開催いたします。
 議事に入ります前に、いつものとおり本日の会議の公開につきまして、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とする事由はないと考えられますので、既に傍聴者の方々には御入場していただいておりますけれども、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】 はい、ありがとうございます。それでは本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をお願いいたします。
 それでは議事に入ります。まず最初に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【白鳥著作権調査官】 それでは、配付資料の中に入ってございます議事次第の1枚紙に配付資料の一覧がございますので確認をお願いいたします。本日配付資料は2点ございまして、資料の1としましては、「法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」に対する意見募集の結果の概要でございます。資料2がその報告書の案でございます。なお、参考資料といたしまして、4点、意見募集の結果、それから各ワーキングチームにおける検討結果の報告が、参考資料の2と参考資料の3とございます。また、参考資料4は、第6回、第7回の法制問題小委員会における議事録でございます。過不足等ございましたら、御連絡いただければと思います。

【中山主査】 よろしいでしょうか。始めにいつものとおり議事の段取りにつきまして確認をしておきたいと思います。まず8月17日に開催されました当小委員会において「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書(案)」の検討、取りまとめを行いました。その後8月25日から、9月25日までの約1カ月間、意見募集を行い広く国民の皆様から意見を頂戴いたしましたので、提出していただきました御意見につきまして事務局から報告していただきます。そして本日は提出いただきました御意見を参考としつつ、各論点ごとに事務局及びワーキングチームの座長より御意見募集を受けての報告を頂戴いたしまして、「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果)報告書」として取りまとめを行いたいと思います。
 それではまず最初に、「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及び各ワーキングチームのおける検討結果)報告書(案)」に対する国民からの意見募集の結果の報告を事務局からお願いいたします。

【白鳥著作権調査官】 それでは早速ですが、資料の1を御参照下さい。意見募集の結果の本体につきましては、参考資料の1にございますので、必要に応じて併せて御覧いただければと思います。
 資料の1に沿って御説明を申し上げます。資料の1におきましては、意見募集の結果概要ということで、この報告書(案)におきます大きな項目ごとに分けて整理をさせていただきました。
 まず一番目、1枚目ですけれども、「私的使用目的の複製の見直しについて」という項目の中で頂いた御意見でございます。報告書(案)では、「解釈上の検討課題」、「立法上の検討課題」とありましたので、それぞれまとめてございます。まず、「解釈上の検討課題」ということで、1として、「私的複製と契約との関係」についてということでございます。こちらにおきましては、例えば著作権者が契約の当事者となっている契約類型とその他の類型とを分けて、私的複製の在り方の基本的な考え方を踏まえた議論を行うべきであるとか、あるいは、第30条をオーバーライドする契約条項を一律で有効とするのではなく、DRMの種類や私的複製の回数等、契約条件において利用者が一方的に不利益を被る恐れがあるものが含まれていないかを個別に判断をすべきであるといったこと、それからあるいは、30条の趣旨・目的に照らせば、基本的にはオーバーライドに関しての契約については無効とすべき理由はないといった御意見を頂きました。
  2ですが、「私的複製と著作権保護技術との関係」についてでございます。DRMの条件によっては正当な経済活動や学術研究・新たな創作の遂行を妨げる恐れがあるのではないかと、DRMの採用に関してはそういった恐れに対応する最大限の配慮を必要とすべきではないかとか、あるいは、著作権保護技術というのは、まだそれほど普及しているものではないので、またその私的複製全体をカバーし得ないということで、将来図も全く見えない状況であるといった御意見、それから、そもそも著作権保護技術との関係においては私的複製に該当するか否かはなお個別に判断されるべきであるといった御意見を頂戴いたしました。
 続きまして2ページ目ですが、「立法上の検討課題」としまして、まず「私的録音録画補償金関係」ですが、これは、幅広い様々な論点が含まれておりまして、総じて今までも議論の中に入ってございましたけれども、もともと、検討の対象として法制問題小委員会における最初の議論の中に入っておりましたハードディスク内蔵型録音機器等の指定の是非であるとか、あるいはいろいろとその課題として指摘されておりました二重徴収の課題であるとか、あるいは著作権保護技術等との関係、それから支払い義務者や分配の透明性など、御意見を頂きました。
 それから、2といたしまして、「違法複製物等の扱いについて」、大きく2つ、要するに賛成か反対かといった観点で御意見を頂いたのですが、これについての反対の立場は、例えば一番上のところですが、そもそも合法・違法の判断がつかないものや、あるいはファイル名と内容が結びつかないものが違法複製物であったといったように、意図せずに違法行為を犯してしまうリスクを抱えることになってしまうので、これは仮に違法ということで30条から除外するとインターネットの利用自体を萎縮させることにならないかといった御意見であるとか、あとはプライバシーに抵触する蓋然性が高いとか、そもそも現行法の30条の趣旨というのは「家庭内の行為について規制することは困難である」といったようなことを前提とした御意見を頂きました。片や、30条からこの違法複製物の扱いとして適用除外にするべきという御意見もございまして、それは、この2で申し上げれば2つ目とか3つ目の御意見です。あとは一番下、そもそもこうした違法複製物等を私的複製としてダウンロードすることを違法として規制しないならば、違法な複製行為を助長し、著作権者の利益を害する恐れがある等の御意見を頂いております。
 また、その他の御意見として、必ずしも私的複製というところにとどまらない御意見もいくつか頂いております。また、全体としましては例えば3ページですけれども、報告書(案)の中にもございましたが、まず方針としまして私的録画録音小委員会で私的録音録画について検討し、その検討結果を踏まえて法制問題小委員会で全体の在り方について検討を行うという進め方に賛成であるといった御意見であるとか、私的複製の範囲については、個別の事案ごとに権利者の利益を不当に害するものかどうかを慎重に議論し、検討されるべきであるといった御意見などがございました。
 続きましては、「共有著作権に係る制度の整備について」の御意見を御紹介いたします。3ページの下の方でございますけれども、御意見としましては、例えば共有者間における契約によって解決できる場合が多いというふうに思われるという御意見とともに、ただ実際その契約を結ばない事例も多数存在するといったことから、契約実務に委ねるだけではなく、法律上の問題として取り組むべきといった御意見もございました。また、現在の報告書(案)の方針で、現在のところは法的な整備は必要ないけれども、今後も産業界の実態を踏まえた上で問題がある場合には適宜法改正に向けての調査、検討がなされることを期待するといった御意見等も頂きました。同旨といいますか、現時点で法改正を議論する意義に乏しいと考えるという御意見と、そういう意味では現在の報告書(案)の各論点の内容に従った御意見ということで、基本的に検討結果に賛成するとして、各論点ごとにそれぞれなぜ賛成するかを述べていただいたりもしてございます。
 それから、4ページ目でございますが、各ワーキングチームにおける検討結果の内容に関しての意見でございます。契約・利用ワーキングチームに関してですが、これはいわゆるオーバーライドの関係ですけれども、これは権利制限規定を無効にする契約だけでなく、権利制限規定の範囲を超えた利用の場合における契約についても議論が必要であるといったような御意見であるとか、あとは30条をメインにした検討をいただいたわけですが、それ以外の権利制限規定のそれぞれについて、実例とともに理論的な検討を進めるべきであるといった御意見などを頂いております。
 それから、司法救済ワーキングチームついて、間接侵害に関しての検討をいただいたわけですが、それに関しては特許法第101条第1号・3号に対する類型に関しては差止請求に服するとするのは当然のことといってよいが、ただこの1号・3号の行為についてのみ立法措置とした場合にその他の類型の行為については逆に差止請求に服することがないというようにいわば反対解釈されるということであれば、本末転倒の立法になってしまう、というような御意見をいただいております。あとは立法の方法論であるとか、今回特許法との比較、対比の中での御検討をいただいたわけですが、一番下の御意見などはいわゆる直接侵害からの拡張的な適用についての検討については賛成するけれども、ただ発明とは性格が異なるので、その成立要件については著作物の特徴を踏まえて慎重に検討いただきたいといった御意見をいただいております。また、今後の検討課題の部分ですが、法定賠償制度の早期創設を検討すべきといった御意見も頂いております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【中山主査】 はい。ありがとうございました。詳細は参考資料を見ていただきたいと思います。それでは引き続きまして、「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会私的複製・共有関係及び各ワーキングチームにおける検討結果報告書(案)」の検討、取りまとめを行いたいと思います。複数の論点がございますので、効率的な議論を行うために論点ごとに事務局及び各ワーキングチームの座長から意見募集の結果を踏まえまして説明を頂戴し、その後それぞれの論点につきまして自由討議を行いたいと思います。
 まず最初に事務局より私的複製についての説明を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

【白鳥著作権調査官】 それでは事務局より御説明を申し上げます。まず1点目の、私的使用目的の複製の見直しについて、という観点の記述でございますが、報告書(案)におきましても、私的複製については、全体として私的録音録画に関する論点が多いということで、私的録音録画小委員会でまず御議論いただいて、その内容に応じて必要に応じて私的複製全体の見直しを、といったことで報告書(案)の中で書いてございましたけれども、それに関連して、私的録音録画に関しての御意見を特にいろいろと頂いていたところでございます。その部分に関しては、例えばこの報告書(案)の意見の、今回、御紹介いたしました資料1の概要でいえば、2の私的複製と著作権保護技術との関係についてであるとか、あるいはその次の立法上の検討課題に関する私的録音録画補償金関係、それから、違法複製物の扱い等についてといったことの関係でいろいろ御意見を頂きました。まさにここが今のところに該当するところでございまして、まずは、私的録音録画小委員会における検討ということでございますので、今回頂いた御意見を私的録音録画小委員会で御紹介するような形で、今回頂いた御意見を何らかの形でまた御議論の参考にさせていただくといった形で考えたいと思っております。
 また、私的複製と契約との関係について、という一番最初のところについては、純粋に契約・利用ワーキングチームにおける検討結果の内容に沿ったものをこの報告書(案)の内容として反映させている部分ではございますけれども、内容として、御意見いただきましたのは、結局一律にオーバーライドに関するものを有効とするというのは適切ではなく、要は各事案ごとに考えるべきではないかといったような御意見です。この部分に関しましては、報告書(案)におきましては、4ページに検討結果ということで、(1)解釈上の検討課題、1私的複製と契約との関係についてということで、1段落目でオーバーライドに関しては基本的には無効とするべき理由はないという整理を行っているところですが、具体的には後述の4ということで、契約・利用ワーキングチームにおける報告書の内容を参照ということになっておりますが、そちらの内容におきましても一切を一律に完全に有効だということではなくて、基本的には個別判断が必要といった検討をいただいておりまして、それを前提にした内容でございますので、そうした一切一律に有効であるといったものではないということで、今回の報告書(案)の内容が直ちに修正が必要というものではないのではないかと考え、事務局の案としては、ここは修正は特に加えないということで本日の報告書(案)を御審議いただこうと思っております。意見募集に対しての概要は以上でございます。

【中山主査】 はい、ありがとうございました。それでは、只今の説明につきまして御意見を頂戴したいと思います。何か御意見ございませんでしょうか。
 従来と同じということなので、御意見は既に頂戴したところであると思いますけれども。よろしゅうございますか。
 それでは、引き続きまして、共有著作権に係る制度の整備につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥著作権調査官】 それでは、意見募集の結果の概要に即して申し上げます。資料の1でございますが、3ページ以下に頂いた御意見が書いてございます。先ほど御紹介申し上げましたとおり、今回の御意見というのは一部契約で対処し切れない部分もあるのではないかといった御意見もございましたが、全体としては現時点で法改正を議論する必要性はないのではないかといったような御意見もいただきました。また、御意見の内容としまして、今後様々な動きが、いずれにしろその実態を踏まえた動きがまたあるであろうから、その実態を踏まえた上で適宜法改正に向けての検討なりが行われることを期待するといったことがございます。今回の報告書(案)の内容におきましても、基本的にはまずなぜこの共有著作権に関する立法趣旨を前提とした現行制度、それを出発点としてどこまで契約で対処できるのか、できないのかといった点から、関係者の方々からの御説明等も頂戴しながら今回の報告書(案)を取りまとめていただいていたところでございますので、今回の意見募集の御意見もいろいろ参考にしながら、また適宜実態を踏まえて必要に応じて検討を行っていくという形が適切ではないかと思いまして、今回のこの報告書(案)は、意見募集を踏まえた修正というのは特段ございませんけれども、御意見をいただければと思います。

【中山主査】 はい。この点につきましても御意見がございましたら、頂戴したいと思います。これも変更点はなしということでございますけれども、何か御意見ございますか。これも変更なしということでよろしゅうございますね。はい、ありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、契約・利用ワーキングチームにおける検討結果につきまして、土肥座長より説明をお願いいたします。

【土肥委員】 それでは、契約・利用ワーキングチーム部分の意見募集の結果についてご報告させていただきます。本ワーキングチームにおいて、法制問題小委員会報告書(案)の4.契約・利用ワーキングチームの部分に対する意見募集結果を受けまして、その修正が必要かどうか等の検討を行いました。まず本文につきましてですけれども、お手元の資料の2、報告書(案)の13ないし14ページ、意見募集の結果概要につきましては資料の1の4ページをそれぞれ御参照ください。
 今回の意見募集において、本ワーキングチームの検討結果報告部分に対して頂きました主な意見としましては、1、ソフトウェア契約等の4つの契約類型の検討から一般論を導き出すのは議論が雑である。2、オーバーライドを簡単に認めては、消費者保護に悪影響を及ぼしかねないのではないか。3、存在しない権利をあたかも存在するかのように契約に盛り込む、そういった不正な権利の主張が正当であるかのような誤解を与えないようにすべきである。4、第30条以下の個々の権利制限規定について実例とともに理論的な検討を深めるべき。5、ワーキングチームの会議資料、議事録等を公開すべき、といったものなどがございました。
 これらのうち、内容に関する御意見につきましては、そもそもワーキングチームの検討結果とは異なる立場からの御意見もございますけれども、一方でワーキングチームの検討結果が正確にこの法制問題小委員会報告書(案)に要約されていないことから、誤解が生じているやとも思われるところもございますので、必要最小限度の修正を考えております。具体的には報告書(案)14ページ6行目、後段からの部分で、「実際には、権利制限規定の趣旨やビジネスの合理性、不正競争または不当な競争制限を防止する観点等を総合的にみて」と、こうありますのを、「実際には、権利制限規定の趣旨、ビジネス上の合理性、ユーザーに与える不利益の程度、及び不正競争または不当な競争制限を防止する観点等を総合的にみて」としてはどうかと考えております。趣旨といたしましては、ワーキングチーム報告書では盛り込まれておりましたオーバーライドの有効、無効を判断する要素としまして、ユーザーに与える不利益の程度、これが報告書(案)では文章として落ちていたものを補ったということでございます。
 いただきました御意見につきましてはいずれも貴重なものとしてワーキングチームで受けとめさせていただきまして、今後の検討に当たりましては、十分に参考とさせていただきたいと考えております。なお、会議資料、議事の公開についての御意見については他のワーキングチームとの並びの問題もございましょうから、来期の法制問題小委員会での御判断を仰ぎたいと考えております。以上です。

【中山主査】 はい、ありがとうございました。それでは、引き続きまして事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥著作権調査官】 はい。只今御説明いただいたところの関係でございますが、14ページ、報告書(案)は契約・利用ワーキングにおける御議論を踏まえての記述ではあったのですが、特に今御指摘いただいた総合的に判断するといった観点として、確かに契約・利用ワーキングチームの方では、ユーザーに与える不利益の程度といった観点を含めた御議論をいただいておりますので、今回事務局としてもそこは修正させていただく方向での御議論をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【中山主査】 この契約を考える際に、ユーザーに与える不利益の程度という文言を入れるという、こういう修正だけですけれども、この点について何か意見ございましたらどうぞ。考えたら当然といいますか、これについてはあまり反対はないのではないかなと思いますけれども、よろしゅうございますか。それでは、この文言を加えるということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして、司法救済ワーキングチームにおける検討結果につきまして、大渕座長より説明をお願いいたします。

【大渕委員】 それでは、法制問題小委員会報告書(案)の司法救済ワーキングチーム部分に対する意見募集の結果について御説明いたしたいと思います。まず、資料関係でございますが、お手元の資料2、法制問題小委員会報告書(案)の15ページの5が司法救済ワーキングチームの関係になっておりますし、それから意見募集の結果概要につきましては、資料1の4ページの下の後半部分の、4.「司法救済ワーキングチーム」という箇所が該当部分でございます。それから、意見募集の結果のそれ自体につきましては、参考資料1の75ページ以下にございまして、4件の意見を頂いているところでございます。
 それでは、これらを踏まえて御説明したいと思います。司法救済ワーキングチームにおきましては、先ほどの法制問題小委員会報告書(案)の司法救済ワーキングチーム部分に関する意見募集の結果を受けまして、この15ページの部分につきまして、修正が必要かどうかについて意見交換を行いました。本ワーキングチームでは今期におきましても引き続き、間接侵害について検討したわけでございますが、今回の意見募集では昨年の報告書(案)に対する意見募集に比べますと、若干のトーンの違いが見られるところであります。すなわち、著作権法に間接侵害規定を設けることに慎重な御意見が見られる一方で、特許法101条の1号、3号、これはいわゆる「のみ品」の関係でございますが、これに類する規定を設けることに加えまして、同条の2号、4号に類する規定も設けるべきであるといった趣旨の御意見も見られるところでありまして、この関係で若干昨年とは雰囲気が違っていたように感じている次第でございます。そうは申しましても、これは数に重きを置くのもいかがかとは思いますが、数といたしましては、本年で申しますと積極方向の御意見が1件見られる反面、消極ないし慎重方向の御意見が3件ということでございますので、全体的な傾向としては昨年とさほどは変わっていないのではないかというふうなことが言えようかと思います。そこで、本ワーキングチームにおきましては、これらの貴重な御意見を踏まえまして、この15ページの記載部分につきまして、必要な修正、補正を加えるべきかどうかについて意見交換を行いましたが、特にこの15ページの記載部分に修正を加える必要はないのではないか、という結論に達しました。ただ、本年も貴重な意見を、先ほどのように4件頂いておりますので、今後、本ワーキングチームで検討を進めるにあたっては大いに参考にさせていただければと思っております。以上でございます。

【中山主査】 ありがとうございました。それでは、引き続きまして事務局から説明をお願いいたします。

【白鳥著作権調査官】 只今御説明いただきましたように、内容としては引き続き更なる検討を進めていく中で、参考とさせていただく意見を頂戴したということで、現在のこの報告書(案)について、現時点で変える必要はないのではないかと考え、事務局として原案の修正は行っていないところです。よろしくお願いいたします。

【中山主査】 司法救済ワーキングチームについても変更はなしという原案でございますけれども、御意見ございましたら、お願いいたします。これも、原案通りということなのでよろしゅうございましょうか。はい。ありがとうございます。
 他に何か特別に御意見ございましたら、この際お伺いしたいと思いますけれども、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。審議の促進に御協力いただきまして、本日の議事はこれにて無事終了ということになります。修正点は先ほど土肥座長から頂戴したユーザーの視点、これ1点でございますけれども、そういうことにしたいと思います。それでは、全体として了承をいただいたということにさせていただきます。
 それでは、最後に事務局から一言御挨拶を頂戴したいと思います。

【加茂川次長】 次長の加茂川でございます。この後、著作権分科会あるいは文化審議会の総会があるわけでございますが、本法制問題小委員会としては今期最後の会と理解していますので、御礼の意をこめて御挨拶を申し上げたいと思っております。
 この小委員会に関しましては数多い会議、いつも密度の濃い御審議、御検討を各委員にはお願いをしておりまして、大変公務御多忙の中でお願いをするので恐縮に思っておりましたけれども、大変大きな成果を上げることができておりまして、心から御礼を申し上げたいと思います。只今は、私的複製あるいは著作権の共有関係、オーバーライド、間接侵害等々に関する各論点について、今期の御審議結果を報告書にまとめていただきました。重ねて御礼を申し上げたいと思うわけでございます。
 なお、今期の前半で御審議をいただきましたIPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い、あるいは罰則の強化、そしていわゆる水際取締りに関します御審議の検討結果を踏まえての法律改正についてちょっとお話をさせていただきますと、現在国会で審議をしていただいておるところでございます。改正内容としましては、今申しました課題に加えまして、昨年既に御提言いただいておりました権利制限について、できれば前の通常国会に提出すべきでありました課題につきましてもあわせて、今臨時国会に著作権法の一部を改正する法律案として、提出させていただきました。先々週、先週と衆議院の手続、審議が終了いたしまして、できれば今日、国会審議が終わっていますと御報告申し上げたかったのですが、今参議院に移っておるところでございます。
 この臨時国会の会期末は、今週末15日にやってきまして、国会の審議案件としては、もちろん私どもは著作権の改正法案は一番大事だと思っておるのですが、なお優先すべき課題もあるようでございまして、微妙な審議日程が想定されています。何とか、議了まで持っていこうとしておりますので、これも注目していただければと思っております。
 そういった諸々も含めまして、本法制問題小委員会では、いろいろな課題を私どもに提示をしていただき、道筋を明らかにしていただきましたことを御礼申し上げたいと思っております。また来期におきましても、課題が沢山あることを承知をしておりまして、既に今後の検討課題については明らかにさせていただいておりますから、来期も各先生方に御協力を得ながら鋭意、事務局としても努力をしてまいりますので、引き続き御指導をお願いしたいと思っております。とりあえず御礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

【中山主査】 委員の皆様方にはこの1年間にわたりまして重大な問題について御審議を頂戴いたしましてありがとうございます。事務局におかれましては、今お話がございましたとおり、文部科学省として大変な法案を抱える中で、御尽力いただきまして誠にありがとうございます。
 御存じのとおり、情報化の波を受けまして、今知的財産制度全体が大きな改革の波に洗われているわけです。知的財産の中心は特許と著作権だと考えておりますが、特許の方は大事な問題が数多くありますけれども、ほぼ方向は見えており、改革のメニューは大体出揃っておりまして、あとはそれをいかに実行するかという段階にあると思います。他方著作権法の方は、情報化、デジタル化、インターネット化の影響を受けまして、まだ方向もはっきり見えていないということだろうと思います。これは日本だけの問題ではなくて世界的にそうでありまして、特許と違って条約の制限その他諸々の条件があるなかでの改革ですので、そう簡単にできることではないのですけれども、しかし、デジタル化は時代の流れでありまして、その影響を受けて例えば放送の問題だとか、今度のiPod等の問題とか、いろいろと出てきているわけです。今後も著作権に関してはおそらく知的財産法の中で法改革という面では最もシリアスな問題が出てくる分野であろうと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会の第8回法制問題小委員会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(文化庁長官官房著作権課)


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