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.罰則の強化について
2.
検討結果
(1)
著作権侵害罪の罰則引き上げについて
著作権侵害罪の個人罰則の引き上げについて
前述したとおり、近年、知的財産権侵害における被害はおおむね増加しており、また、その被害額は高額になっており、政府としても知的財産権の保護の強化を訴えてきているところである。
また、特許権をはじめとした産業財産権について、罰則強化のための検討が行われ、平成18年通常国会において法改正が行われたところである。この点、平成16年1月の文化審議会著作権分科会報告書でも「他の知的財産法における刑罰とのバランスを踏まえ、特許法及び商標法と同程度に引き上げることが適当」と指摘されていることから、著作権侵害罪の個人罰則について、特許法における刑罰とのバランスを踏まえ、懲役刑及び罰金刑の引き上げを行うことが適当である。
著作権侵害罪の法人罰則の引き上げについて
特許権をはじめとした産業財産権について、法人罰則が3億円以下の罰金へと引き上げられたことから、著作権侵害罪の法人罰則についても、特許法等における刑罰とのバランスを踏まえ、罰金の引き上げを行うことが適当である。
(2)
秘密保持命令違反罪の法人罰則の引き上げについて
産業財産権法における秘密保持命令違反罪の法人罰則が3億円以下の罰金へと引き上げられたことから、「知的財産権の侵害訴訟において提出される証拠等に営業秘密が含まれる場合にこれを保護する」という保護法益で共通の著作権法の秘密保持命令違反罪についても、法人罰則を引き上げることが適当である。
(3)
その他の著作権法違反の罰則について
平成16年改正により、著作権の保護強化の観点から、著作権侵害罪の罰則を引き上げたことに伴い、法の趣旨を考慮し、その他の著作権法違反の罰則の中から以下の罰則についてもあわせて引き上げ等を行っている。
・
著作権侵害以外の著作者人格権等侵害(第119条第1号)
・
営利目的による自動複製機器の供与(第119条第2号)
・
死後の著作者・実演家人格権侵害(第120条)
・
技術的保護手段回避装置・プログラムの供与等(第120条の2第1号・第2号)
・
営利目的による権利管理情報の改変等(第120条の2第3号)
・
国外頒布目的商業用レコードの頒布目的輸入等(第120条の2第4号)
・
出所明示義務違反(著作権・著作隣接権)(第122条)
今回、著作権侵害罪及び秘密保持命令違反罪を引き上げることに伴い、その他の著作権法違反の罰則について、著作権侵害罪とのバランスと各規定の趣旨を照らし合わせながら、罰則の引き上げを慎重に判断することが適当である。
(4)
法人罰則に係る公訴時効期間の延長について
知的財産法上の犯罪は、類型的には、個人の利得よりも法人の業務を利する意図で犯されるものも多く、著作権も例外ではないと考えられる。
また、法人の代表者の行為は直接にその法人に帰属するが、その代表者による法人の侵害行為も個人の侵害行為も、その悪質さにおいて同じであり、さらに、法人の侵害行為の発見ないし告発には個人の侵害行為に比べて、組織的であるため相当長期間を要すると考えられる。
法人のみについて早期に公訴時効を完成させる必要性はなく、法人罰則に係る公訴時効期間の延長を行うことが適当である。
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