ここからサイトの主なメニューです

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集に寄せられた御意見

※いただいた御意見は項目ごとに整理させていただいておりますが、原文のまま掲載しております。
項目 意見
2.私的録音録画補償金の見直しについて
(1)現行制度 家庭内等における私的な複製については、例外的に、権利者の許諾なく行うことができるとされている(第30条第1項)。この大前提に基づいて私的な複製(私的ではないと認定できないものも含めて)は例外的に許可されているのだから、大多数の利用者は私的録音録画保証金制度すら知らないと思われる。もっと利用者に理解が得られるように広報活動等を行い、周知する努力が必要と思う。法律で決まったのだから支払う義務があるのだという押しつけではなく、この保証金がこのように役立っています。だから保証金が必要なのですよ。という利用者に道義づけのできる説明が必要なのではないかと思います。電気店、CD、DVD等の販売場所、レンタル店などにわかりやすく掲示して商品の何パーセントが保証金でこのように使われています。ありがとうございます。という形で利用者に感謝することが必要だと思います。著作権者にとって利用者は著作物を購入するお客様なのですから。いくら法律で決められてるといっても感謝の気持ちが必要だと思います。

「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」とありますが、この前提自体がそもそも立証されていません。いわゆるコピー・コントロールCDと称するCDの規格外の製品を採用した(著作権者の意思に反する場合さえあったのに)時も同様のことを言っていた業者がありましたが、採用後も状況が変わらなかったことを想起すべきです。

現在の保証金の仕組みそのものが時代に即さないのでただちに廃止するべきであると考えます。

元々、家庭内の私的コピーは許されているはずなのに、デジタル方式の場合は課金する事に無理があると思う。

私的録音録画補償金の分配方法に問題がある。現実的に装置使用者が実際に録音した作品の著作者に対して確実に保証金を支払う方法が無いため、廃止すべき。また、実際の消費者は、データ用として販売されているメディアを購入し、複製行為を行っているケースが圧倒的に多い。従って、私的録音録画補償金を払わずに済む方法が存在するため不平等である。また、作品の購入時の代金に著作権使用料が含まれているので、私的使用による複製権の範囲内に相当するのに、追加で徴収されること自体がおかしい。レンタルという業態が著作物の不正な複製を助長しているのであるから、レンタル料から徴収する著作権使用料を増額すべきではないか。

私はこのような制度が存在すること自体が間違いであると思う。その理由は以下の2点である。
1.私はCDを購入、またはレンタルした上で私的録音をしている。その段階ですでに著作権者に対して対価を支払っている。にもかかわらず、なぜその上に私的録音録画補償金なるものを支払わなければならないのか、理解できない。本来、違法に著作物を複製する人間・団体を厳しく取り締まることに注力すべきであるのに、それができないからといってきちんと対価を払っている人間から安易に、しかも余計な金を徴収するのは当局の怠慢である。
2.私はMDレコーダーやハードディスク内蔵型録音機器を所有しているが、所有する前よりも後の方がCDの購入数は増加した。そして、友人などの話を聞くと彼らもそうだと言う。つまり上述の機器はそもそも個人の音楽生活を活性化し、結果として音楽ソフトウェアの購買意欲を促進し、著作権者の利益に資する存在なのである。ところが現行制度は、そのような存在によって「著作権者の経済的利益が損なわれるようになった(35ページ第一段落)」と規定している。これは、消費者心理の調査・理解不足による重大な誤りである。このような規定による不当な金の徴収制度が、音楽を楽しむ人間の意欲をいかに損ない、結果として音楽ソフトウェアの購入意欲を減退させているか、行政はよく考慮する必要がある。
貴委員会がこの問題について広く意見を集める機会を設けられたことに深く敬意を表する。

私的録音録画補償金制度自体が不要と考えます。
個人で購入した音楽を保存目的で複製することは、なんら著作権者の権利・利益を侵害しません。またCDに録音されている楽曲を、別の再生機器で再生するためにカセットテープやMD、フラッシュメモリなどに形式変換するということも著作権者の権利・利益を侵害しません。権利を侵害していないのですから、補償金を徴収する理由がありません。また、ダウンロード販売などの頒布形態もあり、この場合は著作権者の許諾の元直接利用者の機器に複製します。この場合も補償金を徴収する理由がありません。
私的複製の結果、著作権者の権利が損なわれる中で多いケースは放送の録画・録音だと思われます。これらについては別途補償する必要があります。放送などの録音・録画については放送事業者が著作物使用料として複製されることを前提とした金銭を支払うなどの対応で補償するべきです。これにより放送事業者の負担が増えますが、その負担は受信者に求めることが可能です。デジタル放送などの発達により、放送の個別課金などは技術的には可能となっています。放送を暗号化した上で送信し、受信する視聴者から受信時の暗号解読キーを販売、その代金をもって著作物使用料に充てるなどの対応が可能です。
また、JASRAC(ジャスラック)理事の方によると「アナログ方式については複製により劣化するため補償金は不要」という見方を示しており、従来のアナログ放送に関しては複製可能なままでも特に著作権者の利益を損なうものではないと言えそうです。

私は補償金制度自体に反対です。
現行の補償金制度では一般消費者は著作権を侵害する目的でコピーを行うという前提に立っているように思う。本来、民主主義社会に於いての法とは市民の善意を前提とし、権利を侵害しているとの疑いがある場合にはそれを証明すべきは権利者側にこそある。そうであるべきなのに現行法では一般消費者が著作権を侵害していないことを証明し、1件当りは僅かな額の補償金の返還を請求しなければならない。現実的には消費者個々人の無実の罪に対する補償金は小額で違和感を覚えつつも返還請求を行う経済的メリットはない。大変不適切な制度だと思う。
さらには技術革新によって日々進歩するデジタル機器においては数々のコピー制限技術が著作権者の権利保護のために盛り込まれている。これらにも数々の問題があるがこの技術が世界的には権利者と利用者の間を取り持ち日本以外の国々ではデジタル配信ビジネスの成功をもたらしてる。日本では世界的に見て高い単価でごく一部のレコード会社の参加でアップル社の配信が始まったが既に大きな成功を収めている事は周知の事実だ。
また、音楽配信によって今までCDショップに足を運ばなかったかつて音楽ブームを経験した中高年者が音楽を購入している。音楽ビジネスの世代を超えた拡大が期待できるのだ。
デジタル機器に補償金を課すことはハードディスクレコーダーの売り上げを制限するばかりではなく、伸びてきた音楽配信ビジネスにも悪影響を及ぼすだろう。
利用者の公正公平な負担とコンテンツビジネスとその周辺ビジネスの発展にとっては利用者が通常使用時には空気のような存在で、しかも違法なコピーを制限できるDRMの利用拡大が一律の補償金制度に勝るよい解決策になると考える。
一般消費者は合法的音楽配信ビジネスの成功を見ればわかる通り、合理的な費用負担なら受け入れる。気づかないところ、取りやすいところからとる不公正な方法を続けるなら消費者も不公正な手段をとる事になるかもしれない。

「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況」というくだりの根拠が不明確である。技術的な背景としてはむしろ、著作権保護のための符号の付与などの仕組みにより、著作権者の利益の確保に漸次向かっているのが実情であり、この部分における認識の乖離は否めない。ただし、そうした努力を怠る著作権物の配布者・販売者がもしいるとすれば、それは制限されるべきかもしれない。
参考:アップルコンピュータ「iTunes Music Store
http://www.apple.com/jp/support/itunes/authorization.html

「補償金の2割に相当する額については、著作権者等全体の利益を図るため、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業等(共通目的事業)のために支出する」のくだりについて、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業等(共通目的事業)」とは、具体的には社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC(ジャスラック))等の団体が実施する事業を指すものと思われるが、仮に保証金の2割相当額がJASRAC(ジャスラック)の個別の利得として計上されるようであれば、本来の著作権保護、すなわち著作権者自身が経済的利益を得られるようにするという原則から逸脱するのではないか。

現行法第30条第2項は同条第1項を踏まえた上で、権利者に損失を与えるものとして設定されているが、その損失が何であるかに関しては全く触れられていない。補償金制度の見直し(権利の拡張)を行うのであれば、まず第30条第1項で認められる私的複製について想定し得る損失が何であるかを明示しそれが現実に即した解釈であるかを検証する必要がある。

<二重課金は疑問>
1)最近インターネットでコンテンツの購入ができるようになったがコンテンツの代金には著作権料が含まれていると理解しているがそれを記録媒体に移すのになぜ補償金をとられるのか理解できない。二重取りではないか?

デジタルコピーは技術的に完全な複製を可能にしているが、現在のデジタルコピーは圧縮技術(mp3等)により成り立っている。従って完全なコピーではなく、不可逆なコピーである。以上よりそもそも私的録音録画補償金自体の対処となることがおかしい。

>家庭内等における私的な「コピー」であっても、デジタル方式による
>録音・録画を行った者は、著作権者等に対して補償金を支払うことと
>された(第30条第2項)。
この条項について、消費者に余計な費用を負担させながら著作権者よりも著作物を流通させるものが利益を得ている現実を考えると、公共の福利に反しており原則廃止すべきだと考えます。

現行制度の私的録音録画補償金の徴収制度に反対する。私的録音録画補償金は製品の出荷時に最終的な消費者が著作物を録音、録画するとして一律に課すものであり、容認できない。また、第104条の4第2項において、他者の著作物の録音、録画に用いていない場合には、補償金の返還を請求できるが、請求に関わる費用が返還額を上回るため、この制度は実質的に機能していない。返還請求は、技術的には電子メールなどの方法により請求コストをほぼ0に出来るにもかかわらず、当該機関(たとえばsarvh)はFAXまたは郵便による通信しか受け付けず、当方が再三電子メールなどの費用のかからない方法で請求可能なように要望しても受け入れられなかった。
以上の状況に鑑み、下記の制度への移行を要求する。
(1)消費者からの申請による実際に録音、録画した著作物への実額課金
具体的には、消費者が管理団体もしくは著作権者に対して著作権者、著作物を申請、課金する。
(2)DRMにより著作物への課金が行われている著作物への二重課金は行わない

デジタル方式に伴う著作権者等の経済的利益が失われる範囲を、過大に評価しすぎている.CDからMP3等への変換操作などの品質劣化の生じるものは、私的なアナログコピーに準ずると評価するのが妥当であろう.CDからCDへの複製、(利用者の利用する権利を不当に侵害するようなおもちゃの暗号化が行われていて複製は楽でないが)DVDからDVDへの複製など明らかに品質劣化の生じないもののみをデジタルコピーとすべきである.そもそも、時代の変遷により利用される機器が変わっているだけであり、家庭内等における私的な複製について、アナログがデジタルに変化しても、権利者の経済的利益が損なわれると判断することは不可能なはずである.違法な利用者による経済的損失を適法利用者に転嫁することは、中長期的に見れば、権利者の利益を損なっている.

まず、現行制度の問題点について意見があります。現行制度は消費者に対して十分な説明が行われていません。CD‐Rメディアには補償金を支払っている「音楽用」と補償金を支払っていない「データ用」がありますが、実質的に差がない両者について価格面では差がつけられており、制度の不備を知る消費者だけが「得」をする状況です。また、実際に購入した音楽用メディアを他の用途で使用した場合でも返金請求にかかる費用より返金額の方が安くなり、制度として成り立っていません。
第二に、現在録音メディアの価格はオープン化しており、いったいいくら払っているのかが消費者には全く不明瞭です。不透明な制度は、業界団体の癒着を生み出す温床であり、協力金等の名目で不透明なお金が還流することになります。

指定管理団体が受け取った補償金は、著作権者等に分配されるが、補償金の2割に相当する額については、著作権者等全体の利益を図るため、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業等(共通目的事業)のために支出することとされている。

・この部分、なぜ2割なのかの理由が明確に説明されていない。
具体的に行っている活動・事業の内約を示し、それに必要な予算を開示することなどを通し、「2割」の根拠を示す必要があるのではないか。

反対です。
現時点で金を徴収する事は、権利や文化を守る事に繋がっていません。課金すれば権利や文化を守れているという安易な考えでは問題の根本的な解決にならず、音楽産業の衰退に繋がると考えます

1.現行制度における権利制限の意義
報告書の“権利制限の見直し”の基本的考え方に記されているように、権利制限は「権利者と社会一般の利益との調整を図りつつ、著作権法がこれからも社会的認知を受けていくためには必要」(報告書2頁)なことであり、その一つとしての第30条第1項、第2項の意義は大きい。
2.機器・記録媒体の製造者の「協力義務」とは何か
2−1 第30条第2項を原則とした上で、私的録音録画補償金の支払いの特例を定め(第104条の4)、製造業者等の協力義務を規定したこと(第104条の5)、20世紀における法制度上の“知恵”であり、21世紀においても、技術的進歩を裏づけとする法的理念の変化がない限り維持されるべきである。
2−2 日本の法制では、補償金の支払義務者は機器・記録媒体の購入者(消費者)であり、製造業者等が努力義務を負うが、外国では、ドイツ、フランス、オーストリア、オランダ、イタリア、ベルギー、デンマーク等報酬請求権制度を定める国はすべて製造業者が支払義務者である。
例えば、1965年に世界で最初に報酬請求権制度を導入したドイツは、私的録音録画について製造業者は消費者と共同責任を負う立場にあり、消費者と同様利用者であるという基本理念に立脚しており、製造業者が支払義務者であるという考え方は国際的調和になじみ易い法的思想である。
2−3 報酬請求権制度は権利者と利用者の利益調整であるが、この場合、「利用者」には消費者と製造者の両方が含まれると考える。
2−4 したがって、製造業者が「協力義務者」の立場に安座して制度を第三者的視点で論じるのは誤りである。製造業者は「第三者」ではなく「当事者」である。名目上協力義務者であるが、製造業者は実質的著作権利益の享受者であり、実質的支払義務者である。
報告書では、製造業者の「協力義務とは何か」についての基本的な認識が欠落しているのではないか。
2−5 製造業者が実質的支払義務者であるという認識に立てば、“消費者の認知度の低さ”“補償金返還制度の実効性の低さ”等(報告書37頁)は二義的な問題であり、制度の見直しに影響するものではない。
2−6 製造業者が私的録音録画に関して、著作物等の「利用者」であり「共同責任者」であることからすれば、私的録音録画に使用される可能性をもつハードディスク内蔵型録音機器等、又汎用機器・記録媒体(報告書36頁、38頁)は当然に報酬請求権の対象となり、製造業者は可能性の程度に応じた支払義務を負わなければならない。
2−7 なお、著作物・実演等がなければ、機器・記録媒体は商品価値をもち得ず、又、逆に機器・記録媒体が存在しなければ著作物・実演等の市場的広がりはなく、報酬請求権制度は実質的には製造業者と権利者の利益調整であるという基本姿勢に立って、早急に問題が解決されなければならない。
3.共通目的事業への支出
3−1報告書“(5)その他”で「補償金額の2割に相当する額を支出することになっている共通目的事業については、消費者から徴収した補償金ではなく国の予算で行うことを含め、その縮小・廃止に向けて検討する必要がある。」との意見(報告書40頁)が紹介されているが、この考え方は立法趣旨を無視するものであり誤りではないか。
3−2共通目的事業への支出は、分配し得ない権利者への配慮として行う一種の間接分配であり(加戸守行「著作権法逐条講義四訂新版」610頁)、分配しうる権利者の受取分から徴収するものではない。このことについては、「阿部浩二“補償金の2割を公共目的に支出することについて”」(sarah news.2001.6 Vol.4)で明確に論じられている。

【意見1】
「なお、専ら私的録音・録画以外の用に供することを証明できる場合は」との一文があるが、これはつまり「私的録音録画補償金」の対象となる著作物の録音・録画をして『いない』ことを証明しろと言っているに等しい。通常、証明義務は『ある』と主張する側が行うものであり、この制度そのもののあり方に問題があると思われる。

【意見2】
補償金の分配基準、妥当性についてその正当性に対する疑念を払拭することができない。
著作権管理組織及び団体への使用許諾等のような、利用比率を判断する基準があるわけでもなく、その分配基準が果たして本当に妥当であるかは甚だ疑わしい。
また、JASRAC(ジャスラック)等の大手著作権管理団体に所属することなく個人で著作権を管理している者に対しては何ら分配は行われないものと考えられるが、そのような差別があって良いのか?

第30条第1項で私的複製が認められているのに、デジタル式録音機器の普及によって補償金を支払う制度が成立したのが、そもそも理解できない。デジタルといえども現状普及しているMD、DATでは、大量複製が不可能な仕様となっている。近年登場したiPodなどの携帯音楽端末では、PC側へ容易に複製できない仕組みになっている。技術的な進歩に伴い違法コピーがしにくい仕様になっているのに、旧態依然に補償金を徴収するのはいかがなものであろうか。
補償金というからには、私的録音以外の被害が発生していて、それらに対する補償という形を取らなければならないとおもうが、違法な音楽流通に関する正確な調査結果が得られていない。法的強制力を持って徴収するのに、なんら正確な実態調査がなされていないのは、どういうわけか。
一方でそれらの録音機器、メディアでは、必ずしも販売されている商業音楽が複製されている訳ではない。自然音の録音、自作音楽の録音など録音者自身に著作権が発生するケースもある。これらに対して一律に補償金を求めるのは、本来補償されるべき金額以上が徴収されている可能性もある。これは徴収される側に取って全く理解できない出来事である。
徴収された補償金は、メディア購入時に一律に徴収されていて、本来の権利者に適切に配分されているとは言いがたい。また管理団体によって中間搾取される比率が多過ぎて、著作権者に行き渡る額がほとんど減ってしまっている。(2割どころではないはず。公表されている資料によれば6割ですか)これは管理団体の経費削減のための努力が一切見られないことに起因するとしか考えられない。
補償金の返還請求制度は、現実的に機能しているとは言いがたい。そもそも消費者から一方的に徴収するシステムでありながら、消費者への周知徹底がなされているとは言いがたい現状である。
補償すべき状況であるか、きちんとした実態調査も無いまま、技術的に違法コピーのできない録音機器、メディアに対して、本来支払われるべきでないケースも一律に徴収し、徴収されたお金が無駄に管理団体で浪費され、実際に権利を侵された著作権者まで確実に届かない。そして不法に徴収された分についての返還も実質無効である。このような状況を生み出している私的録音補償制度は、実質著作権者のため、ひいては文化的発展に寄与しているとは言いがたく、即刻廃止すべきと考える。現行制度による受益者は一部の管理団体関係者のみである。

まず、私的録音録画補償金制度自体について廃止を求めます。
私的複製について権利者の許諾なく行うことができることが著作権法の30条第1項に示されているのにも関わらず補償金を払う制度自身が法の矛盾を持っていると私は考えております。30条1項では例外的にとありますが音楽、映像を購入した場合、いかなる場所、方法を持って視聴することは消費者の当然の権利と私は考えています。デジタル技術が進歩している現在、CD、DVDといった物理的メディアで提供されているとはいえ、消費者は著作物を鑑賞することでその対価を支払っていると考えています。iPodに代表されるハードディスク内蔵型録音機器についても購入した楽曲を様々な場所で視聴したい目的のためにコピーを行うのであり、30条第1項の範囲内にあることは明白であります。CDレンタルによる複製を問題にするのであるのならば、レンタル店に対する規制、補償金等を考えればよいのであって、その矛先をメディア、装置に対する補償金を持って消費者に向けるのは憤りを覚えます。
そういった私的録音録画補償金制度で利権を持つ日本音楽著作権協会自体が会員の利益を守らず、団体としての利権に固執することが問題と考えています。とても音楽文化の発展に寄与してるとは言えず、iPodiTunes Music Storeのような音楽のネット配信についていけず、場違いな意見を言っているように思えます。レコード会社のビジネスとしては成り立たない可能性がありますが、著作権者と消費者をより直接結びつけるはずのネット配信を妨害しているのはとても悲しく思います。
結論としては範囲があいまいで、著作権者に確実に金銭が払われているとは思えない現在の制度を廃止し、ネット配信等の個別課金等で確実にJASRAC(ジャスラック)のような団体にピンハネされることなく消費者から著作権者に対価が支払われる仕組みの制度を検討すべきであると思います。
以上となります。著作権の第3者(JASRAC(ジャスラック)のような利権団体)による濫用が将来的に文化の衰退につながる危惧する立場から意見を表明させていただきました。

私的録音録画補償金の見直しを、公益法人見直しの動向も鑑みて、簡素化と効率化に的を絞り、速やかに進めるべきである。例えば、社団法人私的録音補償金管理協会(以下、協会)は受領した私的録音補償金から、権利者分配の前に管理費並びに共通目的基金の控除として3億〜4億円を差し引いている。この内、共通目的基金により実施されている事業は、協会の自己PRを目的とした内容が含まれており、組織の維持や自己保全のために“補償金”を支払うことは消費者として容認できない。
また、協会の配分団体においても、著作権にかかる理解促進事業は多種多様に実施されており、効率性と効果の観点に即しても整理統合による簡素化・効率化が必要と考える。その際、事業目的に若干の差異があることを事由として事業の正当化を図る反論が想定されるが、マスメディアを使ったPRや児童青少年を対象としたイベントの実施など、各団体で訴求対象が重複する現状にあり、実施団体の複数化は却って理解促進の妨げになると懸念される。
協会からの配分団体の中には、補償金による収入が8割近くを占めている団体もあり、収支構造の偏りから補償金を“既得権益”として守りたい事情が伺える。しかしながら事業内容を精査して簡素化を図ることで、当面の事業存続は十分可能であると考えられる。
なお、配分団体の中には、事業収支をネット上に公開していない団体も見受けられる。NPOですら事業報告をネット上に公開していることが当然視される昨今においては、不透明の誹りを免れ得ない。そうした点も速やかに見直しを図るべきと考える由縁である。

デジタル方式のみが補償金の対象となっておりますが、家庭でのデジタル方式の録音録画を行うとなっても必ず「劣化」が発生します。
それでいて、なぜ「デジタル方式のみが対象なのか」という明記がありません。
アナログ方式においても「録音録画の行為」を行うのであれば、公平に(行為という点から)すべてを対象であるべきではないでしょうか。
または、(劣化が発生しているため)すべてを非対象とするべきではないのでしょうか。
あとこの補償金が、どのレコード会社・アーティスト・TV会社・番組にどれだけ支払われているのか、詳細な公表がありません。

自身で購入したCDの音源を自身で視聴するためにMDやHDDプレーヤに複製する.これにより著作権者等は経済的利益を損なっていると思えないのだが、なぜ補償金が必要なのか、理由を明確にして欲しい。

追加指定に反対します。状況に対応できていない旧式なシステムはつぶれるべきです

私的録音録画補償金自体が著作権の乱用と認識している。
ある著作物を購入した場合、個人的に同品質またはそれよりも低品質の複製を複数作成し使用する権利を得たと考えている。
このため、第30条の私的使用の複製は当然認められるべき権利と考える。
複製を個人ではなく他人(友人、知人も含む)に使用(譲渡や貸出)することは違法であるが個人で使用するために、HDD等に集約したり、MD、CD−R、携帯プレイヤーに変換複製することは権利だと考える。
これは、著作物の購入とはそれ自体(媒体)の所有ではなくそれを体験することが目的であるから当然である。
今後は、DRMで管理できる範囲を広げると同時にDRMによる制限を出来るだけ減らすように機器メーカーに協力を仰ぎ、そこから新たなビジネスモデルを検討していくのが著作権の管理者の正しい姿だと信じている。
また、本当の著作権者がどのように考えているかの意見も聞きたい。

私的録音録画補償金は、ユーザーの私的複製によって著作権者が受ける損失を補償するという名目で徴収されているが、そもそも著作権者が損失を受けない私的複製も存在する。
例えばユーザーが購入したCDの楽曲をMD機器で聴きたい場合、必然的にMDメディアへの録音(私的複製)が不可欠となるが、この行為によってCDの売り上げが下がったりすることはなく(ユーザーはすでにCDを購入済みなので)、著作権者に何ら損失を与えることはない。
現行制度では、このような「そもそも著作権者の損失が存在しない私的録音録画」にまで補償金を課しており、不合理である。
従って、このような私的録音録画には補償金を課すべきではない。

この項の最初に「〜一方、デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」とあるが、この前提からすでに事実に反している。
私の例で言えば、私はCDを購入し、それを車や外出先で自分で楽しむためにCD‐RやiPodにコピーしているのみでいっさい他人とのやりとりは行っていない。
であるから、この行為によって著作権者の経済的利益を損ねているなどということは絶対あり得ないものと思っている。

私は一人の著作権者として私的録音録画補償金に反対します。
私の職業はプログラマーであり、コンピュータプログラムという著作物を創作して日々の糧を得ています。
プログラミングは技術的・職人的な労働であると同時に、世界に感動や変革をもたらす芸術でもあります。
著作家・芸術家の一人として、楽曲の創作者・映像の創作者にのみ与えられている私的録音録画補償金は不公平な優遇制度であると主張いたします。
制度としての公平さを保つため「楽曲と映像の著作権者にのみ与えられた特権である私的録音録画補償金を撤廃する」「私的複製補償金と変更し、全ての種類の著作者に範囲を広げるようにする」のいずれかにすべきであります。
また、一人の消費者の立場に立った際においては、上記2種のうち「楽曲と映像の著作権者にのみ与えられた特権である私的録音録画補償金を撤廃する」を強く望みます。

「指定管理団体が受け取った補償金は、著作権者等に分配される」に関しての意見。
補償金は本来音楽制作者すなわち楽曲の作曲者に還元されるべきであると思うがどのような曲が使われたか(転送されたか)を把握できない一括課金は誰に支払うべきかが確定されず、ばらまき、あるいは著作権管理団体を太らせるだけであり真の解決にはならない。
むしろDRMのように楽曲単位で課金するシステムのほうが配分される者が確定され合理的と考えまる。

私的録音補償金の制度そのものに対して、現行制度が改善されないかぎり、反対します。
支払った補償金が、すべて音楽家にわたるのであれば、反対しません。
私的録音補償金の主旨は、補償金を著作者に対して支払うものとされており、音楽の場合、著作者とは作曲家、作詞家、演奏家、歌手であり、この方々が音楽家であると考えます。
支払った補償金が、すべてこれらの方々に渡されるのであれば、制度として問題はないと考えます。
しかしながら、sarahの収支報告によると、「権利者分配基金」に相当する支出は全支出に対して半分以下しかありません。これは、指定管理団体の使用額が、法に定める2割を大幅に上回っていることを示すように思われます。
さらに、これらの配当金がどの音楽家に分配されたのかも公開されていません。これでは、支払った補償金が、実際に視聴した音楽の作者に届いているのか、分かりません。
いわゆるレコード会社に入金され、音楽家にわたっていない可能性も否定できません。
指定管理団体の使用額を一切認めず、いわゆるレコード会社に対しても、全額を音楽家に分配することを強制することが制度化されることが、私的録音補償金の制度を認める最低条件と考えます。

・CD等を購入した場合には、私的利用するのであれば追加の費用は一切不要であるべきで、現行の著作権法第30条第2項は削除されるべきであると考えます。その根拠は次の通りです。
(a)本制度の導入において、「デジタル方式の複製は音質が変わらない」という理由がありました。しかし、MD等現行のポータブル機器の多くは、データ量を小さくするために音質を落として複製します。その点ではアナログ方式の複製と同じです。従って、音質が変わらないから、という根拠は成立しません。
(b)私的録音録が補償金制度が導入されるもととなった理由「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況に対応するため」は、CD等を購入している場合には該当しません。CD等を購入していればその段階で著作権者に対する義務は果たしており、その後でアナログ方式で複製するか、デジタル方式で複製するか、あるいは複製しないかということは全く無関係だからです。
例えば、CDのまま自宅で100回聞くのと、MD等にコピーして自宅と車で100回聞くのとは同じで、著作権者の不利益になることはありません。が、現行の制度では後者の方が費用がかかることになります。これはおかしいといえないでしょうか。
よって、購入者が私的利用のためにいかなる複製をしても、音質・画質の劣化の如何に関わらず補償金を支払う理由はありません。
(c)コンピュータのソフトウェアにおいては、同一人が使う場合に限って何台にインストール(登録)しても同一ライセンスで利用できるとしているものが多数あります。この現実的な考え方を踏襲するのがよいと思います。
・第104条の4第2項で、利用者が証明しなければ払った補償金の返還を請求できないようになっていますが、そもそも返還を請求するためにかかる費用が返還される額よりも多いことを考えますと、全利用者から補償金を徴収するこの制度が利用者にとって不利益であることは明らかでます。従って、利用者が不利益にならないような制度に変更されるべきです。例えば、「指定管理団体は、私的録音・録画の用に供することを証明できる場合は、補償金を請求することができる」のように。この変更は現実的に無理な条項になってしまうといえますから、同様に利用者が一方的に不利益を被る現在の制度も間違いといえます。従って、この項目そのものを根本的に見直すべきといえます。

「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況」とあるが、具体的にどの程度の損失があるのか明確でない。
更に言えば「デジタル方式の録音・録画機器の普及」と「著作権者等の経済的利益が損なわれる」の関連性が明確になっていない。
「家庭内等における私的な「コピー」であっても、デジタル方式による録音・録画を行った者は、著作権者等に対して補償金を支払うこととされた(第30条第2項)」とあるが、そもそもCD等の音楽ソフトを購入した時点で著作権料は支払われており、現行制度は明らかな「二重取り」と言わざるをえない。
また徴収された補償金がどの様に使われているのも不明である。
消費者に補償金制度の責任を課すのなら、文化庁は補償金の使途明細を1円単位で発表する義務があると考える。

「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況」(2行目)とあるが、そもそも「著作権者等の経済的利益が損なわれる状況」そのものが存在しない。
まず購入者は、CDやDVD等を購入した時点で、その作品を何度でも繰り返し観賞する権利を得ている。それをどんなメディアに移し観賞しようが、それは当人の自由である。
もし、その状況が考えられるとすれば、
1.コピー後の中古業者への販売・中古業者からの購入
コピーを手元において、メディアを販売した場合。これは、購入者からすれば中身のデータが必要なのであって、そのメディアは不要なものである。邪魔であれば手放して当然の事である。著作権者から見ても、中古業者から相応の著作権料を取得できれば、新たなメディアを製造せずとも利益を得られる事になり、なんら問題は無い。
もし現在そのようなシステムが無ければ、その確立をすべきであって、補償金制度を正当化するものではない。
2.レンタル時のコピー
これも、レンタル期間中のみの利用料ではなく、コピーされる事を前提とした著作権料として徴収すべきものである。(実際には、現状でもそれを考えていないはずは無い)
中古と同様に、著作権料を取得するシステムがあれば、問題なし。特にレンタルの場合、コンピュータ管理が当たり前なので、把握しやすいはず。
なお、
3.デジタル放送からのエアチェック
現在でも、編集に制限があったり、コピーではなくムーブだけなどの対処がされており、1や2のような行為そのものができない。その点では問題ない。
また、映画や音楽など多くの場合、カットされたりDJの声が入るなど、情報そのものが劣化しているとも言える。これでは補償金を取る根拠となる「デジタルデータのコピーでは情報が劣化しない(注1)」という事に当たらない。
5.ネットからのダウンロード販売
JASRAC(ジャスラック)関係者は「配信事業者がJASRAC(ジャスラック)に支払っているのはあくまでPCへダウンロードするまでの利用料」との主張を行なっているようだが、
これは暴言としか言いようが無い。
音楽で言えば、現状のCDの代金が3000円程度。対してダウンロード販売が1500〜2000円である。(1曲単位であれば、アルバム曲全てを足すと、もっと多い事もある)
これは、メディアの製造、ライナーノートの印刷・製本、パッケージング、店舗への輸送などを行なわず、サーバーにデータを置くだけという販売形態から考えれば、現在でも製造業者の粗利益はCDより多いと考えるべきである。かかる経費はCMなどのプロモーションくらいではないか。
それをCDのように「いつでもどこでも」が許されないとは、暴利をむさぼるとしか言いようが無い。もし、上記の主張をするのであれば、現在の半額以下にすべきである。(注2)
6.ネット上などからの不正コピー
これは犯罪である。もしこれを理由に補償金制度を正当化しようと言うのであれば、それは犯罪の容認であり助長である。
まったく認められない。
以上の点から、補償金制度を見直すのであれば、制度廃止をこそすべきである。
なお、ここで言う著作権者とは作品の制作者であり、レコード会社や映画会社などは単なる販売仲介業者であるとして一切考慮していない。(するつもりもない)

注1
補償金制度とは関係ないが、再エンコードし明らかにデータを劣化させるものでも「ムーブ」扱いにするのは異常である。情報再生時に1対1対応で等しいデータになる時のみ「ムーブ」にすべきである。
注2
現状の業者から著作権者への料金の支払いが、作品の出荷数(レンタル回数やダウンロード回数などを含む)に対してではなく、売上金額からの割合で行われているのは、著作権者に対する最も大きな侵害であると考える。レンタルや中古、ダウンロード販売であろうと、CD販売と同額の著作権料が支払われるべきである。情報そのものの劣化が無いと主張する限りは。
これを行なわずに補償金を求める業者は、著作権者の代表という顔をしながら、実際は自らの利益追求をしているとしか思えない。

現行制度は制定時においてはある程度やむを得ない事情を含んでいた補償金分配方法の不公平感や私的録音・録画を行わない利用者からも一律に補償金を徴収する問題点、ほとんど機能していない返還制度など引き続き見直すべき課題が山積しており、来年度以降もこうした課題を解決するための議論を継続すべきであると考える。それによって、制度の廃止を含めた縮小かず望ましいと言う結論を得ることとなった場合は、その時期を明示すべきと考える。

現行制度は、私的複製によって著作権者に経済的損害が生じることを前提としているが、その根拠は非常に曖昧なものであり、具体的な損害内容すら未だ国民に対して説明がなされていない。
これは制度の存在意義そのものが不明確であることを意味する。
具体的な損害が存在しないのであれば、この制度は国家的な詐欺であり、これにより消費者や複製機器製造業者に生じた損害は莫大な額にのぼると推定される。消費者である国民はsarahSARVH等の団体に対して損害賠償を請求する権利があるものと思われる。
そもそも著作権法で定められている私的複製の範囲は、著作権者の権利を害さない範囲を規定したものであると考えられる。この考えに従えば損害など発生しえない。
またアナログ・デジタルの違いで損害の有無が変化するのも不自然極まりない。
加えて、近年では複製防止機構を備えた媒体および再生機器が市場に多数出現している。複製できないのであれば、もはや損害は発生しえない(消費者としては、私的複製権および引用権の侵害行為であり、容認できないが)。
このような理不尽な制度は即時廃止するべきである。対象とする機器の議論など時間の無駄である。
この制度を今後も継続するのであれば、私的複製の大幅な範囲拡大を消費者として要求する。この場合の補償金とは、現在不正とされている複製行為に対するものとして解釈する。
出版業者の利益ばかりを優先し、文化の利用に対する束縛を強める政策には、国民として断固反対する。

※補足
ここでは「文化の利用者イコール消費者」としたが、この考え方も大いに疑問である。

私的録音録画補償金制度の根拠がおかしい。「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」とのことだが、そもそも私的コピーの目的は利便性である。便利であるから別の媒体へコピーしたいのであって、デジタルかアナログかは本質ではない。デジタル方式だから著作権者の利益が損なわれたと言うが、一体どんな利益を損なったのか。仮にデジタル方式のコピーが不可能になったとして、音や絵の品質が良いからという理由で同じコンテンツを幾つも購入する人がどれだけいるだろうか。このように、そもそもこの規定の根拠は取って付けたようなこじつけに等しい。デジタルだろうとアナログだろうと状況は変わらないはずだ。
また、この規定により、録音/録画機器やCD−R等のブランクメディアからも補償金を徴収しているとのことであるが、これもおかしな話である。コピーをした後に請求されるならまだわかるが、機器やメディアを購入した時点では、コピーはまだ可能性だけである。可能性だけで利用者には補償を行う義務が発生するのか。さらにその額すら利用者に不明であるし、コピーに使用しないことを示せば返金されるらしいが、そのことの記載すらも(説明書など製品添付物に)見たことが無い。
第一、このような補償金およびその徴収システムの必要性すら乏しい。
もともと著作権者は使用料を決められる立場にあるのだから、コピーによって利益が損なわれるというなら、その分を使用料に上乗せしておくことも可能なはずだ。利用者がコピーする回数は判らないから正確な額は出せないだろうが、現在でも録音/録画機器や繰り返しコピー可能な媒体では統計的に補償額を算定しているのだから、不可能ではないはずである。
そして、この額を補償という位置づけでなく、利便性の対価として、正々堂々とコテンツ使用料に含めればよい。
以上述べたように、私的録音録画補償金に関する規定はそもそも根拠が無く、また使用料を決定できる立場にある著作権者等にわざわざ補償を受ける権利をうたう必要もない。
すみやかに廃止すべきと考える。そして、現在のような不明朗な補償金徴収システムを
廃止し、利用者側としても気持ち良くコピーの対価を支払えるシステムを目指すべきである。

まず、現行制度において、「支払われた補償金は、関係団体を通じて、権利者に分配されている」
とのことであるが、実際に権利者にどのくらいの割合が分配されているのであろうか。ほとんどが作曲家などのアーティストではない、音楽の著作権にむらがる方たちに分配されているのが実態のようである。
このような、まったく無関係の方に金を支払う必要性はあるのだろうか。
もちろん、まったくないとは言わないが、それでも9割以上を作曲家などの音楽を作った人に渡すべきではなかろうか?
それこそが著作物をもって文化に寄与するという、著作権法の根本に則ったものであるはずだ。

・私的複製は、第30条第1項で認められている権利であり、私的複製によって経済的損失は発生していないことから、「私的複製による損害を補償する」ための金額は0円となりそもそも論として、この「私的録音録画補償金」自体の存在がおかしい。
この法律は「複製の譲渡等による違法行為の経済的損失」を補償するためのものであるべきものと考えられることから、逆説的には、複製の無断譲渡を認めていることになるため、複製の無断譲渡等の禁止を定めている法律との一貫性が取れない問題を含んだ法律である
また、この法律の問題点は、補償金の配布が指定団体のみとなっており、実際の損害額に応じた補償や、指定外の団体の損害が補償されないことという問題も内包した法律である
さらに、違法行為に利用されているのかどうかも調査せず、一律で課税することも問題である。これは、「制限速度を超えることができる自動車を運転してる人は、スピード違反しているから、証拠はないが違反金を取る」のと同じ行為であり、集金する側が「私的録音・録画以外の用に供すること」を証明すべきである。
したがって、
本法律は廃止して、違法行為をしっかりと取り締まるのが正論である

私的録音録画補償金は廃止するべきである。
著作権の権利制限はこれを拡大するべきである。
2.私的録音録画補償金の見直しについて
私的録音録画補償金の金額が減少することを問題視する向きもあるが失当である。
真の著作権者に対し、正当な著作権料が支払われるならば、私的録音録画補償金を集めるための団体は一切不要である。

私的録音録画補償金制度については、著作権法第30条第2項に基づく制度ですが、この第2項の存在理由が、いまひとつ不明確であると思われます。社団法人日本音楽著作権協会をはじめとする権利者団体は、ベルヌ条約を満たす要件として、第30条第1項に加え、第2項が必要であるといった趣旨の発言を記者会見等で行っています。しかしながら、なぜ我が国が批准するベルヌ条約を満たすためには、第1項及び第2項が必要であるのか、その理由については、権利者団体は明確な回答を行っていないように見受けられます。また、この私的録音録画補償金制度に、ハードディスク内蔵型録音機器等を含めることを権利者団体が要求している点についても、同様に根拠が薄弱であるように見受けられます。
例えば、本年8月3日の衆議院文部科学委員会での、権利者団体として声明を行った団体の一つ、社団法人日本音楽著作権協会の理事長吉田茂氏の答弁では、「私もベルヌ条約から必然的にこの私的補償金制度が出てくるという意味では申し上げているわけじゃなくて、補償のためのいろんな方法がある、その中の、何もなくなったらやはりそしりは免れないのではないか、こういう趣旨で申し上げているので、何が何でも違反だということではない」と述べています。
このように、ベルヌ条約の第何項にこういう記述があり、こういう記述はこういった制度作りを批准した各国に求めていて、それに応じて我が国の著作権法にはこういった条文が必要である、といった論理的な因果関係がわかりません。そのような論理的な関係を権利者団体は有しているのかもしれませんが、それを利用者側に分かり易く提示しようする意志が、権利者団体から伺うことが出来ません。
さらにベルヌ条約自体、作品の複製に関する著作権の考え方は、営利的な利用における侵害等を除いて、各国に委ねられていると言われれています。その考え方に基づけば、ベルヌ条約から第30条第1項と第2項の組み合わせが必要であるという権利者団体の主張は、根拠がさらに不明確なものになると思われます。

私が考えるに、このような著作権法第30条第1項と第2項を巡る混乱は、第1項に記載されている「私的利用」について、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」という表記に留まっていることに原因があるように思われます。ここでは、「私的利用」のあり方のついて、著作権法の理念に基づいたさらに広範な議論、いわゆる「フェアユース規定」の導入について検討を進めることが、重要ではないのでしょうか。
政府の知的財産戦略本部では「知的財産推進計画2005」の中で、「6)権利者の利益と公共の利益とのバランスに留意する」として、「コンテンツの保護を強化する一方で、権利者の利益と公共の利益とのバランスに留意することが必要であり、社会的に必要と考えられる公正な利用を促進する観点から、著作権法の「権利制限規定」の適当な分野における拡大等について検討を行い、2005年中に結論を得る。」との記述があります。ここでの検討を踏まえ、権利者の利益と公共の利益のバランスのあり方について一定の社会的認識が形成された時点で、私的録音録画補償金制度の是非を問うという手順の方が、社会的な承認を得られやすいと考えられます。
また、文化審議会著作権分科会においても、この私的録音録画補償金制度の是非と平行して「フェアユース規定」について議論を深めるべきと考えられます。従って、私的録音録画補償金制度の是非については、フェアユース規定の検討と平行して行うべきであると考えられます。そして、その検討の間は、根拠が不明確な私的録音録画補償金制度の拡充は行わない事とし、ハードディスク内蔵録音録画機器等の追加指定は行わなわれるべきではないことを主張致します。

意見:補償金制度自体を廃止ないしは縮小し、著作権法上で例外に対する例外として扱われている第30条第2項自体も見直すべきである。

理由:現行制度ではデジタル方式の普及に伴って権利者の不利益が生じることが前提になっているが、DRMなどが利用可能になった現在では必ずしもデジタル方式の複製が権利者の不利益につながるとはいえない状況になっており、制度そのものの必要性がないと思われる。

意見:追加指定するべきではない。

理由:上記の録音機器は消費者側に汎用機器として用いるかどうかの選択が許されており、CD‐Rなどのようにあらかじめ録音用途に特化したものが別に販売されているわけではないため、
汎用機器として購入した消費者に対して不当な不利益を被らせることになる。また、DRMを利用したデジタル方式の複製であれば権利者に不利益が及ばない方法も可能であり、早急に努力すべきは補償金制度そのものである。

本項に述べられた事項全般について、経済学による分析を踏まえた上で結論を出すべきである。
・理由:
補償金制度は、「著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況に対応するため」、導入された制度である。したがって、制度の維持、拡張、縮小、廃止のいずれの結論に達するとしても、経済的利益がどのように変動するかについて、経済学による分析を踏まえた上で結論を出すべきである。
具体的に、補償金の支払者である消費者との関わりでは、1制度内容が周知となっていない、2制度を知っている場合にも現行のラフな徴収と分配に対し数々の疑念を払拭できない、という二つの問題があると思われる。このうち後者については、補償金の受取者が数字を示しても説得力がない。経済学者による中立的な立場からの分析を示さなければ国民の理解を得ることはできないものと思われる。

補償金の配分に関しては、情報公開せざるを得ない。
実は補償金の配分が難しいと言うならば、無理せず制度を見直した方がよい。

現行の制度運用においては、本来権利者の下請けであるべき指定管理団体が、権利者に対して支払われるべき補償金を当事者不在のまま私物化し不透明な分配を行っている。
かような現状においては、現行制度の凍結・見直しが妥当であると考える。

●意見●
補償金制度は廃止、縮小すべき
●理由1
補償金制度はそもそも二重払いであり、廃止すべき。
買ったCDを、個人的に、据置型のCDプレーヤーで聴こうが、携帯型プレーヤーで聴こうが、カーステレオで聴こうが自由であるべき。
●理由2
携帯型プレーヤーは指定装置から除くべき
携帯型プレーヤーで聴く際には、ファイルサイズを小さくするために音質を落とすのが普通である。(例えばmp3なら160bps以下に。)
したがってアナログレコードの録音に準じて付加的な補償金を課すべきでない。
●理由3
レコードやCDが廃盤となってしまって引退した
アーティストにも補償金がちゃんと行くのか疑問。
最終的に携帯型プレーヤーにデジタルで録音するとしても、元々の音源がアナログレコードだったり、廃盤CDだったりという事が多く、現在発売されているCDである場合は少ない。
私の場合、現在も発売されているのはiPodに入れている曲のうち20〜30パーセントというのが実感である。
既に引退して数十年経過していて、レコードやCDもほとんどが廃盤となっている私が尊敬するアーティスト達に、徴収された補償金がちゃんと行くのか?
今の制度では甚だ疑問である。
つまらない曲しか作らない絶滅してほしい今のアーティスト達にのみ補償金が行くとしたら全く納得できない。

現行制度で一番問題と思われるのは、「アナログかデジタルか」で運用が異なることです。
デジタル化にあたり「著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」とされていますが、例えばかつてレコードより遥かに音質の劣るFMラジオのエアチェックでライブラリを集めていた人がいるように、ユーザーが求めているのは「著作物」そのものであり、音質や画質はそれほど大きな入手動機ではありません。
無論、かつての「知り合いから借りたアナログテープからのダビング」と現在の「ネットワーク上に掲載されたデジタルデータのダウンロード」ではその伝播量が違うのは当然ですが、本質的な問題は「著作物が本来の購入者以外の人に勝手にコピーされること」であるはずです。その本質からすれば「アナログかデジタルか」での運用の違いは本末転倒です。
従って、現在の「私的録音録画補償金制度」は抜本的な見直しが必要と考えます。

まず初めに、著作権法の目的にもうたわれているごとく、文化の発展のためには『著作物の公正な利用に留意しつつ』『著作権者』の権利保護を行なうべきである。
文化の発展・振興観点から、個人の範囲内での利用や複製は無制限に認められるべきであると考える。デジタル機器の登場によって複製が容易となり著作権者の経済的利益が損なわれるようになったというのは個人の範囲を超えての複製が行なわれるためであって、それをもって私的複製に課金を行なうことは根本的に誤りである。
加えて、私的録音録画補償金の徴収方法にも重大な欠陥が存在する。
対象を絞っての徴収が困難であるとか費用の点で見合わないというのは団体側の言い分であって、その団体の都合で無関係な第三者からも金を『掠め取る』のは全く筋が通らない。請求があれば返還するという制度は形ばかりのもので実際にはほとんど機能していないばかりか大多数の人はその制度の存在すら知らず(もっと書けば、金をとられていることすら知らされていない)、なにより『専ら私的録音・録画以外の用に供することを証明しなければならない』というのは話が逆である。
課金したければ利用したことを証明するのがあたりまえで、利用しなかったことを証明しなければ利用したとみなして金を取るという商売は常識では考えられない。
最後に、文化の発展のために『著作権者』の権利保護は必須であるが、補償金の分配方法が極めて不明朗な点が問題である。
百歩譲って、消費者がCDを購入したのはその音楽を聴く権利を買ったわけではなくそのCD限定で聴く権利を買っただけだとして、例えば電車で聴くためにMDに複製を行なったとすると、その私的複製補償金はCDの著作権者に支払われるのが当然である。しかし、現制度ではどの音楽が複製されたかは問題とされず、一律に徴収され、団体が2割『上前をはね』て、残りの分配はどうなっているのか。
これは現在の指定管理団体、さらには管理団体を指定する法自体に問題があると考えられる。
以上を総合すると、デジタル的複製を問題にするならデジタル的に私的でない複製を制限する方法を確立するべきであって、現在の私的録音録画補償金制度は即刻廃止すべきであると考える。

簡潔に言ってしまえば、不明瞭な課金の根拠、対象、および多重課金が問題にされるべきである。
たとえば旧来のMDメディアは、その汎用性から私的録音補償金を課金すべきとされていたが、この課金の根拠さえも「著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況」という曖昧な設定のものであり、いわば「利便性の高さから、『もしかしたら』不当に用いられるかもしれない。
では、取れるところから取れるだけ取っておけ」という考えに基づくものであるとも取ることが出来る。
本来の私的録音補償の考えに則れば、一度課金した音楽作品等に重ねて課金するのは不当ではないか。
この考えを突き進めていけば特定ユーザーからの多重徴収という事態が起こるのは当然であるし、道義的にもいわば他の犯罪者の尻拭いをさせられているとも言えることに反発をおぼえる。
また、特定のアーティストのCDを買ったならばそのアーティストに直接的に著作権料を払ったといえるが、先に挙げたような補償金制度では、その金額の流れが分からないという問題もある。
それに比べて音楽配信においてDRMによる課金がきわめて分かりやすいという対照例もあるのにかかわらずである。
性悪説に則った状況判断で消費者を泥棒扱いするような事態は避けていただきたいと考えるところである。

「審議の経過」では、現行制度の立法趣旨について「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった状況に対応するため、平成4年の改正により私的録音録画補償金制度が導入され」たとしています。
しかしながら、平成4年当時、デジタル録音機器はDATが存在したほか、DCCやMDが発売されたばかりで、民生用デジタル録画機器は存在すらしていませんでした。したがって、「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」という状況にはありませんでした。
佐藤禎一文化庁次長(当時)は、平成4年11月26日の第125回国会衆議院文教委員会において、真鍋光広委員の質問に対して、
「逐次の実態を見るに従いまして、そのことについてはやはり疑念を感じている。権利者の経済的な利益を侵害するような実態が、特に今回のようなディジタル技術を駆使した機器の開発普及に伴って生じてくるのではないかということが今回の御提案の一つの基礎になっているわけでございます。」(第125回国会衆議院文教委員会議録第1号11頁第4段)
とご答弁されておられます。ここで「逐次の実態」というのは、デジタル録音・録画機器が普及する以前のアナログ録音・録画機器が普及した実態を指していることは、佐藤禎一次長(当時)が、権利者団体とメーカー団体との共同調査(著作権審議会第10小委員会報告書12頁以下に紹介されている平成3年の「私的録音・録画に関する実態調査」だと思われます。)の結果に触れた後、次のように述べていることからも明かです。
「そこで、これを総括してみます場合に、現行三十条というものが全く権利者の経済的な利益を侵害し違法状況になっているかということになりますと、現在の認識では必ずしもそこまでは到達をしていないのではないか。しかし、今回発売をされますディジタル機能を持った機器等による録音・録画を考えてみますと、これはもともとのソースの品質を劣化することなく録音し、かつ再生
をすることができるという機能が高いわけでございますので、このことによって恐らくは格段に経済的な利益を侵害するおそれが高まるであろう、こういうふうに考える次第でございます。」(第125回国会衆議院文教委員会議録第1号12頁第1段)
他方、佐藤文化庁次長(当時)は、デジタル機器の普及によって、録音・録画の機会が多くなることを根拠としていないと述べるとともに、従来の機器が次第に駆逐されるであろうとの見通しも述べておられます(注1)。

そして、平成4年12月7日の参議院文教委員会では、デジタルに限定する趣旨について、
(1)デジタル方式の録音録画機器の普及によりさらに権利者の不利益が拡大するであろうという将来予測
(2)制度の円滑な導入の必要性
(3)既存機器機材を対象とすることの影響への配慮
(4)民生用デジタル録音・録画機器の普及が予想されること
を挙げています(注2)。
すなわち、アナログ機器による録音・録画においてすでに権利者の経済的利益を侵害する疑念があることを前提として、上記4つの理由から、デジタル録音・録画機器が普及する前に法改正を行う必要があると考えられたのであって、「審議の経過」の記述は事実に反すると考えます。
注1)佐藤禎一文化庁次長(当時)は、宇都宮真由美委員の質問に対し、次のようにご答弁されています。
「ディジタル機器を使用することによって録音・録画の機会が多くなることを直接の根拠にしているわけではございません。そういったことが一つの誘因になることは言えるかと思いますけれども、むしろ私が先ほどから強調いたしておりますのは、高品質な録音・録画ができる、つまり原音に忠実な録音と再生ができるということが一番大きな原因になっております。そのことは、ひいてはそのような形で録音・録画されたものをそれぞれライブラリーとして所蔵をするというようなことも実態としてはついてまいりますけれども、出発点としてありますのは、高品質の録音・録画ができるということがあるわけでございます。
なお、後段でおっしゃいました意味を必ずしも私正確に受けとめなかったかもしれませんけれども、全体の見通しとしましては、先ほど申しましたように、こういった形で高品質の録音・録画ができるというものが出回りますと、それは従来のものに比べて格段に品質が違いますので、従来のものは次第に駆逐されるであろう、そういう見通しは持ってございます。」(第125回国会衆議院文教委員会議録第1号19頁第3段)
注2)佐藤禎一文化庁次長(当時)は、橋本敦委員の質問に対し、次のようにご答弁されています。
「今回の制度をデジタル方式に限定する理由というのは幾つかあるわけでございます。基本的には、これがアナログに比べて高品質の録音・録画が可能であるということから権利者のこうむる不利益がさらに大きくなるであろう。それから、著作権審議会の第十小委員会の中では、この制度を円滑に導入するという必要性も指摘をされてございます。また、権利者の権利を実現するという面ももちろん大切でございますが、先ほど来御指摘ございましたように、逆に支払い義務者が一般消費者でございますので、既にほとんどの家庭に普及しているアナログ方式の機器媒体を対象にするということは与える影響が大変大きいであろうというようなことが理由になっているわけでございます。

デジタル方式の商品は、録音関係はことしの秋から低廉なものが大分発売をされる状況になりました。録画の関係は、御指摘のように、まだ民生用のものはございませんで業務用のものばかりでございますけれども、これは逐次発展をし低廉なものになれば急速に普及をするだろうということも予想されている、そういうことが予想され得る時期にきかけているということでございます。」(第125回国会参議院文教委員会会議録第1号25頁第2段及び第3段)

意見1
「デジタル方式の録音・録画機器の普及に伴い、著作権者等の経済的利益が損なわれるようになった」とあるが、いったいどんな経済的利益が損なわれているのか明らかでない。確かにデジタル方式の録音・録画は現物同様のコピーができ、しかも劣化しないのでコピー品の質は高い。であるから侵害の危険性が高い。侵害の危険とは違法コピーのことであるが、侵害として想定されるのは、本物同然のコピー品を売ったり、知り合いにあげたりすることであろう。前者は日本の優秀な警察の力を背景に、国民の権利擁護意識の向上もあり、現在侵害として問題にするに足りない。また知り合いに譲渡する等の行為は、たとえば試験間際の学生の本の違法コピーや、プログラムソフトの違法コピー等と比較してみると侵害行為としてそれほど顕著なものと言えない。むしろプログラムソフトの無断コピーの方が頻繁に行われ、そのためプログラムソフトにはコピープロテクト等の防御策が講じられているのが一般である。これに比べれば、技術が進歩したからといって、それを侵害と直接結びつけるのは短絡的で、侵害と技術の進歩との因果関係はあまりないといわざるを得ない。このような状況の中で本来許されるはずの私的録音に対して補償金を課したのが第30条第2項であるが、本来しても構わないことをしていて補償金を払わなければならないという法制は矛盾している。「(5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について)」で述べられているように、廃止の方向で根本的な見直しをすべきである。なぜならこのように機器に余分なお金を乗せる事は消費者の負担になるばかりでなく、技術者の技術開発の意欲をそぐからである。このような優れた技術の出現により、著作物を本物に近く再生させ、消費者の消費を促す結果それは著作権者の利益にもつながるのであり、その利益は侵害の危険より大きい。このような前提を忘れ、「(2)ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定について」にみられるごとく、私的録音補償金の対象として追加して欲しいとすることは、著作権者の利益と著作物の公正な利用のバランスを定めた著作権法の趣旨に反しているというべきである。



前のページへ 次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ