ここからサイトの主なメニューです


1 ハードディスク内蔵型録音機器等について、政令による追加指定に関して、実態を踏まえて検討する。

委員名 コメント
石井 紫郎  賛成。
市川 正巳  追加指定の方向で検討する必要がある。
大渕 哲也  現行の私的録音録画補償金の制度は、個別の課金が技術的に困難であるとの前提のもとで、一種のラフな課金を行うものであり、将来、個別の課金が一般的に技術的に可能となるのであれば、その時点では前提を欠くこととなろう。現時点でも、技術の発展に伴い、個別の課金が可能なケースが次第に増える傾向にあるように見受けられるが、個別の課金が可能ではないケースも依然として残っているように見受けられる。そこで、中長期的には、上記のような、個別の課金が一般的に可能となる状態が技術的に現出する場合に根本的な見直しが迫られるものと考えられるが、それまでの間には、個別の課金が可能ではない状況がかなりの程度続く限りにおいては、現実問題として、上記のような一種のラフな課金方法によらざるを得ないことを全く否定するのは容易ではないように思われる。ただし、その場合でも、技術の進歩に伴い個別の課金が可能なケースが拡大している状況にあるのであれば、その点は、補償金の料率の決め方その他に反映され得るべきものと考えられる。

 現行の私的録音録画補償金という制度の下で考えると、同じくデジタル録音録画を可能としているもの(非汎用)の中で、機器と記録媒体とが別である場合にのみ課金し、機器と記録媒体とが一体化している場合には課金しないということが公平の観点から妥当といえるのかの問題が生じよう。

 ただ、機器と記録媒体とが一体化している、ハードディスク内蔵型録音機器等に課金するという場合には、政令指定等において、条文で書くことが前提となるので、この点についてきちんとした意見を述べるには、具体的な条文案を前提とせざるを得ない。そこで、具体的な条文案を待ってこの点についての意見を述べることとしたい。
加藤 さゆり   4に述べるように、現在の対象機器にハードディスク内蔵型などを追加しても、私的録音・録画の一部しか依然対象にならず、不公平感が生じるので適当ではない。現在の補償金は、既に制度として維持困難なものとなっており、機器・媒体の政令指定の追加という方法ではなく、早急に、根本的な制度の見直しを行うべきである。
小泉 直樹
1.  ハ-ドディスク内蔵型録音機器等については、録音録画以外の機能(たとえばスケジュ-ル管理)をも有してはいるものの、少なくとも形式的には法30条2項による課金対象機器に該当しうる。
2.  ただし、結論的には、これらの機器を政令により課金対象として追加すべきでない。本制度は、もともと個別管理までの「踊り場」として理解すべきものであるが、平成5年の制度導入時点以降、技術環境は変化している。第一に、コピ-ワンス(コントロ−ル)機能によって、私的録音・録画された複製物の「拡散」を防止することが今や可能であり、課金制度の導入を支えた論拠の一つが、もはや失われていること。第二に、ネット上での音楽配信ビジネスが本格化しており、かりに、これらの機器自体に課金してしまうと、消費者は、機器の購入およびダウンロ-ドの「二重徴収」にさらされるおそれがあること。
里中 満智子  消費者の知らないところで著作権料を支払わされていることは不信感を招く。著作権使用料の分配先を正確に知っている消費者はほとんどいない現状を考えれば今の制度そのものが消費者の不信感を招くおそれがある。追加指定は不信感を大きくするだけ。
潮見 佳男  反対。現行の補償金制度の導入時とは異なる環境の下での著作物の流通・利用形態が大きな比重を持ってきている状況下で、対象となる機器の、しかも機能の一部の共通性(現在指定されている機器と同じような用い方がされる場合がある)という面のみを取り上げて、しかも「政令」による追加指定という形で処理するのは問題がある。
末吉 亙  専用機については、追加指定を検討すべきである。公平性の観点からである。
茶園 成樹  実態を踏まえて検討することに賛成するが、その検討は、私的録音録画補償金制度の在り方自体を議論する中で行われるべきであり、その検討の内容には、ハードディスク内蔵録音機器等が利用される事業の態様がどのようなものか、私的録音であって、権利者が報酬を受けることのできないものがどれくらいの程度で行われるか、が含まれるべきである。
土肥 一史  検討が必要である。一般的な実態からするとハードディスク内蔵型録音機器にデジタル録音(画)が大量になされていると考えられ、これに課金されないことは著作権者の利益(レコード著作権、実演家)に反する。
苗村 憲司  大多数の音楽愛好者が私的使用を目的としてデジタル録音を行うのに用いる機器が大幅に変化してきた現状を考慮すれば、著作権法改正の要否とは無関係に、緊急課題として実務的に検討し、できるだけ早急に結論を出す必要があります。
中村 伊知哉  立法趣旨と政令の要件とに従い、政府が責任をもって判断すべきと考えます。
 ビジネスがらみのテクニカルな事案についてジャッジを下すのは、本小委の性格になじまないと感じます。
 制度凍結論も耳にしますが、旧メディアから新メディアへの移行を促す等のメディア政策上の要請がある場合は別段、現在指定されているものとのアンバランスをどう考えるかという問題があること以前に、そもそも行政府が制度を凍結することを法が授権しているか疑問があります。制度凍結は行政権を超え、立法措置を要すると考えます。
中山 信弘  現状を前提として考える限り、公平という観点から見れば、機器と記録媒体が異なったものには課金し、同じくデジタル録音等を可能としているハードディスク内蔵型録音機器等に課金しないのは、妥当でないともいえる。ただ、同じく公平という観点からすれば、汎用機器(パソコン等)においても録音等は広く行われており、これに課金しないのも不公平ともいえる。ただ汎用機器に課金するのは余りに多くの問題を抱えており、とりあえず、緊急避難的にハードディスク内蔵型録音機器等に課金するという選択肢も、ありうるかもしれない。ただこれには、以下に記載するような前提条件がつく。また課金をするには、政令で追加指定するか、あるいは30条の改正をする必要があろうが、いずれにせよ条文として書けるということが前提であり、仮にハードディスク内蔵型録音機器等を切り分けて条文に書くことができないとしたら、そもそもこのような改正は不可能ということになる。
浜野 保樹  パッケージからネットワークへの移行は急速に進みつつあり、ネットワークの技術的保護手段の開発スピードからして、本制度は段階的に縮小するとともに、定期的に見直して、廃止することも視野に入れるべき。
前田 哲男  賛成。ハードディスク内蔵型録音機器等は、音楽の録音等を主たる用途として想定して開発・設計されており、主として音楽の録音等を目的として販売・購入され、現実にもその目的に使用されていると考えられ、MD録音機器など既存の私的録音録画補償金の対象となっている機器に市場において代替する商品である。そして、ハードディスク内蔵型録音機器等による大量の私的録音録画が現に行われており、それが権利者の経済的利益に与える影響は、既存の私的録音録画補償金の対象となっている機器の与える影響と同等又はそれ以上のものと考えられるから、ハードディスク内蔵型録音機器等を早急に同補償金の対象とする必要がある。
松田 政行  現行制度を前提とする限り、上記機器等は、指定の典型的機器というべきであって、除外のままで放置することはできない。政令で指定するべきである。
 上記機器等は、ユーザーがインターネット音楽配信サービスから音楽コンテンツの提供を有料で受けることから複製の対価を支払うことを理由として、本補償金制度の適用を免れるべきであるとの主張があるが、CDからの複製を制限する技術を導入しておらず、この複製が存在することは明らかであって、他の機器と分ける事情はない。
村上 政博  ネット配信による音楽、映像サービス提供が急速に進む見通しなので、ここ2年間ほど実態把握とその評価分析に努めてはどうか。
森田 宏樹  政令による追加指定は、現行法の枠内で行われるものであるから、現行規定の趣旨に照らして適切に判断すれば足りる。
山地 克郎
 本補償金制度は、下記4に後述する通り、多くの基本的問題を内包しており、廃止も含めて制度自体の根本的な見直しが必要である。このような状況にある制度に対して、基本的議論をすることなく、機器の追加等により制度の肥大化を図ることは、制度自体の見直しを遅延させることにも繋がりかねないため、政令による追加指定は不適切である。
 また、追加の候補に挙げられているiPodについては、「携帯できる外付けHDD(Hard Disk Drive:外部記憶装置)」として利用することが可能であるため、汎用機器と解される(デジタルARENA)。従って、録音専用機器と解すことは事実誤認であり、政令による追加指定は不適切である。
山本 隆司
【結論】  DRMの掛かる音源のみを録音できるものは、指定の対象にすべきではない。しかし、DRMの掛かる音源のみならずレンタルCDやファイル交換した音源を録音できるものは、指定の対象になりうると考える。
【理由】  私的録音としてレンタルCDやファイル交換した音源を録音することに権利制限する根拠は、個別課金することの取引費用をまかなえない零細な利用であることによって、市場の失敗が生じ、ライセンス市場をそもそも考えることができないからであろう。補償金制度は、代替措置として、ライセンス市場に近似する効果を狙った制度である。他方、デジタル化ネットワーク社会においては、DRMによって零細な利用に対する個別課金が経済的合理性を持つ状況を生じており、ここではライセンス市場が成立する。したがって、DRMの掛かる音源のみを録音できる機器に関しては、もはや私的使用に対する権利制限を正当化する根拠はないので、もはやライセンス市場の代替措置たる補償金制度を適用すべき根拠は存在しない。しかし、近時流行するハードディスク内蔵型録音機器は、正規権利者の開放する音源からのダウンロードに対してDRMを掛けているものの、レンタルCDやファイル交換した音源を録音できる機能を持っている。この点においては、MDやオーディオCD−R等と変わりが無く、前述の論拠により、補償金制度を適用する根拠が存在する。
野村 豊弘   12について、制度の運用について、不公平が生じないような配慮が必要である。
 また、消費者など機器・媒体の利用者に周知する方策も検討すべきである。


  次のページへ


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ