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資料7

「ADRの拡充・活性化のための関係機関等の連携強化
に関するアクション・プラン(仮称)」構成案


1  ADR機関等へのアクセスの向上

(1)訴訟、ADRを含む紛争解決手段へのアクセス・ポイントの整備の促進


国民が、適切な紛争解決手段を簡易・迅速に選択できるよう、ADR機関等に関する総合的な情報提供機能を強化する。国民が、適切な紛争解決手段を簡易・迅速に選択できるよう、ADR機関等に関する総合的な情報提供機能を強化する。

  1 訴訟、ADRを含む紛争解決手段に関するポータル・サイト(インターネット)を整備し、その機能を充実する。

国民が適切なADR機関等を簡易・迅速に選択できるようにするためには、国民がインターネットを通じて手軽にADR等に関する情報にアクセスできるポータル・サイトが整備されることによって、紛争の態様に応じたきめ細やかなサービスの提供を受けることを可能とすることが重要である。

    (注)   ポータル・サイトの整備の方向性として、国が何らかの形でポータル・サイトを作成・運営することも一つの選択肢としては考えられるが、現在、民間機関の作成・運営によるポータル・サイトがいくつか立ち上がりつつあることから、アクション・プランでは、このような民間機関の活動の充実に向けた環境整備に焦点を当てた施策を中心とする。

    ○ ポータル・サイトの関係者(ポータル・サイト運営者、利用者、ADR機関等)からなる意見交換の場を設置するなどにより、ポータル・サイトが利用者のニーズにより適ったものとなるよう、ポータル・サイトに掲載すべき情報のあり方について検討する必要があるのではないか。

    ○ 各ADR機関等からポータル・サイトの運営者に各ADR機関等に関する十分な情報が的確に提供される仕組みを整備する必要があるのではないか。

  (例)
  ・ 各ADR機関等に関する情報がポータル・サイトの運営者に効率的・効果的に提供される仕組み(提供すべき情報に関するフォーマットの作成等)について、上記の意見交換の場において検討。

  ・ 行政型ADR機関、裁判所は、ポータル・サイトの運営者に対し、積極的に情報を提供。

  ・ 所管民間ADR機関や弁護士会に対し、ポータル・サイトの運営者に積極的に情報を提供するよう、各省庁等から働きかけ。


    ○ ポータル・サイトの運営者に寄せられたADR機関に関する評価情報が、各ADR機関に的確に伝わるよう、仕組みを検討する必要があるのではないか。

    ○ ポータル・サイトの知名度を高めるため、各般の取組を行うこととしてはどうか。

(例)
  ・ 各省庁、行政型ADR機関、裁判所のHPからポータル・サイトへのリンクを設定。

  ・ 所管民間ADR機関や弁護士会に対し、各機関のHPからポータル・サイトへのリンクを設定するよう各省庁等から働きかけ。

    ○ ・・・・


  2 訴訟、ADRを含む紛争解決手段に関する総合的相談窓口を充実する。

国民が適切な紛争解決手段を選択できるようにするためには、紛争解決手段に関する総合的な案内サービスを提供するアクセス・ポイントが、国民に身近なところに多数存在することが重要である。
このため、様々な者からの相談を受け付け、紛争解決手段に関する幅広い情報提供や他機関の紹介を行うなど、総合的な案内サービス機能を有している既存の各相談窓口やADR機関等においては、その本来的な機能の性格・実態等を活かしつつ、総合的な相談窓口としての機能をさらに強化する必要がある。

   (注 )総合的相談窓口の充実に関しては、ADR機関等へのアクセスの向上という観点に加えて、司法に関する総合的な情報提供の強化という観点からも、司法アクセス検討会における議論を踏まえた施策を講じていく必要があるが、アクション・プランでは、総合的な案内サービス機能を有している既存の機関における相談機能の強化に焦点を当て、各機関において、各種ADR機関等が一覧で紹介されたパンフレットを備え置くことや、各種紛争解決手段に関する総合的な情報を収集すること等が可能となる環境を整備していくこととする。
また、このような施策と併せて、裁判所や各省庁の消費者窓口、国民生活センター等の各機関においては、その本来的な機能を踏まえつつ、相談機能の強化を図るための措置を講じていくこととする。
さらに、地方公共団体等(消費生活センター、県民(市民)相談窓口、警察の相談窓口等)や弁護士会(仲裁センター、法律相談窓口等)においても、同様の相談機能の強化を図るための措置が講じられることが期待される。

    ○ 各ADR機関等から総合的相談窓口機能を有する各機関への情報提供、総合的相談窓口機能を有する各機関の知名度の向上等につき、1と同様の施策を行う必要があるのではないか。

    ○ 総合的相談窓口機能を有する各機関の相談担当者や事務局職員を対象とした、各種ADR機関等に関する情報についての説明会や研修等の実施体制を整備することとしてはどうか。

(例)
  ・ 行政型ADR機関等は、各地域ごとに連携を図って、説明会・研修等の実施に対して積極的に協力。

  ・ 所管民間ADR機関や弁護士会に対し、上記に呼応して説明会・研修等の実施に対して協力するよう、各省庁から働きかけ。

    ○ 総合的相談窓口機能の強化の進捗をみつつ、各機関における相談・情報提供事例等の情報交換を実施するための研究会等を開催することとしてはどうか。

    ○・・・・

3 個別ADR機関へのアクセス方法の改善を図る。

    ○ 個別ADR機関の受付体制について、利用者利便の向上を促進することとしてはどうか。

(例)
  ・ 行政型ADR機関、裁判所は、ITの活用による受付機能の充実等により、各ADR機関へのアクセス向上を検討。

  ・ 所管民間ADR機関や弁護士会に対し、各ADR機関へのアクセス向上策を検討するよう、各省庁等から働きかけ。

    ○・・・・


(2) 関係機関間の相互紹介の体制整備の促進

関係機関間の相互協力により、紛争当事者が、様々な特長を有するADR機関の中から、より適切と考えられるものを利用できるような仕組みを整備する。

  1 ADR機関相互間等の事案の引継ぎが円滑に行われるためのシステムを整備する。

国民が適切な紛争解決サービスを受けられるようにするためには、一次的にはどのADR機関で案件が受け付けられたとしても、より適切なADR機関において紛争解決が図られるように、関係機関間が相互に協力することが望ましい。
このため、例えば、1相談機関で受け付けた案件について、あっせん・調停等が必要となった場合に、紛争解決機関へ引き継ぐことや、2ADR機関で受け付けた案件が対象外のものであった場合に、適切な他のADR機関へ引き継ぐこと、3案件の性格に応じて、幅広い分野の紛争を受け付けるADR機関から、より専門性の高いADR機関へ引き継ぐこと等を可能とするための実務上の連携システムを整備する必要がある。

    ○ 事案の引継ぎが一般的に生じ得る関係ADR機関間等による意見交換の場を設置するなどにより、以下の事項を検討する必要があるのではないか。

(例)
  ・ 利用者にいわゆる「たらい回し」感を与えないようにするための情報の引継ぎ方法等(引継ぎ先機関への紹介状、相談メモの作成等)

  ・ 利用者の信頼を得つつ事案の引継ぎが行われるための引継ぎ方法等(事案の引継ぎ手続・利用者の負担費用の明確化、引継ぎ後のフォローアップ方法に関するルール整備等)

    ○ 上記の検討を踏まえ、モデルとなる事案引継ぎのシステムを幅広いADR機関に紹介することとしてはどうか。

    ○・・・・

  2 地方に受付窓口のないADR機関への事案の引継ぎが円滑に行われるためのシステムを整備する。

    ○ 地方に受付窓口のないADR機関に対して、地方における他の機関との窓口業務の提携等を積極的に活用するよう働きかけることとしてはどうか。

    ○・・・・


(3) ADR機関による情報開示の促進

国民が、適切な紛争解決手段を主体的に選択できるよう、ADR機関に関する情報開示を充実・促進する。

  1 各ADR機関による組織・手続・主宰者等に関する情報の積極的な開示を促進する。

国民が適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにするためには、各ADR機関が組織・手続・主宰者等に関する情報を積極的に開示することにより、当事者が選択するために必要な情報が十分に提供されることが望ましい。
このため、各ADR機関においては、例えば、各ADR機関における運営主体、主宰者候補者に関する情報、取り扱う紛争の範囲、選択できる解決手続、利用費用、標準処理期間等が開示されることが重要である。
なお、このうち、主宰者候補者に関する情報等の開示については、個人情報の保護にも留意する必要がある。

   (注 1)各ADR機関においてどのような情報を開示すべきかという点については、別途、ADR検討会において、ADR全般に対する通則的な規律として開示ルールを設けることの適否を含め検討されている。

   (注 2)各情報について、どのような内容を、どのような方法で開示すれば国民の選択に資することになるかという点については、各ADR機関における解決手続の性質、主宰者の役割・選任手続等によって異なることを念頭に置きつつ、引き続き連絡会議において検討を進めるものとする。

    ○ 各ADR機関が、組織・手続・主宰者等に関する情報を積極的に開示できる環境を整備する必要があるのではないか。

(例)
  ・ 連絡会議において、組織・手続・主宰者等に関する情報の開示に関するモデル(ガイドライン)(開示すべき情報の内容、開示方法等)について検討。

    ○ 各ADR機関における組織・手続・主宰者等に関する情報の開示体制を整備することとしてはどうか。

(例)
  ・ 行政型ADRにおいて、組織・手続・主宰者等に関する情報を積極的に開示する体制(情報開示コーナーの設置、HPへの掲載等)の整備。

  ・ 所管民間ADR機関や弁護士会仲裁センター等に対して、組織・手続・主宰者等に関する情報を国民にわかりやすい形で積極的に開示するよう各省庁から働きかけ。

    ○・・・・

  2 各ADR機関による解決結果に関する情報の的確な開示を促進する。

国民が適切な紛争解決手段を主体的に選択できるようにするためには、1に掲げた情報に加え、当事者の予測可能性を確保するためにも、各ADR機関における解決結果に関する情報が開示されることが望ましい。
なお、解決結果に関する情報については、利用者の選択に資するため積極的に開示すべきとする意見がある一方で、利用者の個人情報や事業者のノウハウ等保護すべき情報に配慮すべきとする考え方もあることから、このような点に考慮しつつ、慎重に検討を進める必要がある。

    (注 1)各ADR機関においてどのような情報を開示すべきかという点については、1と同様に、別途、ADR検討会において、ADR全般に対する通則的な規律として開示ルールを設けることの適否を含め検討されている。

    (注 2)各情報について、どのような内容を、どのような方法で開示すれば国民の選択に資することになるかという点については、各ADR機関における解決手続の性質、主宰者の役割・選任手続等によって異なることを念頭に置きつつ、引き続き連絡会議において検討を進めるものとする。

    ○ 各ADR機関が、解決結果に関する情報を的確に開示できる環境を整備する必要があるのではないか。

(例)
  ・ 連絡会議において、利用者の選択に資する解決結果に関する情報の開示のあり方(開示すべき情報・秘匿すべき情報の内容、開示方法等)について検討。

    ○・・・・

  3  その他

    ○ 12に掲げた情報に加えて、各ADR機関の創意工夫により、利用者の選択に資する情報(例えば、各ADR機関における担い手の育成方法(研修体制等)や各ADR機関の有する専門性等)が積極的に開示されるような環境を整備することとしてはどうか。

    ○ 連絡会議において、ADR機関が相談等を通じて得た情報のうち、紛争の再発防止や同種の紛争の迅速な解決に資するような情報(特に、国民の生命安全にかかわる情報)について、その開示のあり方を検討する必要があるのではないか。

    ○・・・・


2  担い手の確保・育成等

(1) 人材の相互交流の促進

ADRの担い手として高い能力を有する人材がより有効に活用されるよう、人材の相互交流等を促進する。

  1 ADRの担い手となり得る人材の確保を容易にするため、各関係機関の保有する人材に関する情報が共有化されるための環境を整備する。

ADRの担い手として高い能力を有する人材が有効に活用されるようにするためには、各関係機関の保有する様々な人材に関する情報が開示されることによって、ADRの担い手となり得る人材に関する情報が共有化されることが望ましい。
なお、各関係機関の保有する人材に関する情報の開示については、個人情報の保護にも留意する必要がある。

    (注 1)  ADRの担い手としてどのような人材の確保・育成が望まれるかという点については、別途、ADR検討会において、ADRにおける専門家の活用のあり方などと関連して検討がされている。
    (注2)  人材に関する情報について、どのような内容を、どのような方法で開示すれば人材の相互交流の促進に資することになるかという点については、各機関の性格等によって異なることを念頭に置きつつ、連絡会議及び各省庁等において検討を進めるものとする。

    ○ 各ADR機関が、主宰者に関する情報を積極的に開示できる環境を整備する必要があるのではないか(1(3)1参照)。

    ○ 各省庁等において、自ら又は所管団体等の保有する人材に関する情報のうち、上記においては開示の対象とならないもの(過去に各省庁等や所管団体に所属した仲裁・調停人の名簿等)をADR機関に提供することについて検討することとしてはどうか。

    ○ 各関係機関の保有する人材に関する情報を収集、整理し、データベース化することの適否について、引き続き連絡会議において検討することとしてはどうか。

    ○・・・・

  2 担い手の育成を図るため、関係機関・ADR機関間における人材の相互交流を促進する。

ADRの担い手として高い能力を有する人材が有効に活用されるようにするためには、関係機関・ADR機関間における人材の交流や派遣を促進することにより、ADR機関全体で担い手の育成を図っていく必要がある。

    ○ 関係機関・ADR機関間での人材の交流・派遣を促進するための協力体制のあり方についての意見交換の場を設置するなどにより、以下の事項について検討する必要があるのではないか。

(例)
  ・ 人材の交流・派遣に関するニーズの把握とこれを活性化させるための環境整備

  ・ 担い手が他のADR機関において幅広い実務経験や様々な研さんを積むことができるような人材の相互交流の可能性

    ○・・・・


(2)担い手の能力向上策の充実


ADRの担い手の能力向上に関係機関が連携して取り組むことができるよう、人材の育成に関する相互のバック・アップ体制を整備する。

  1 ADR機関の担い手を対象とした登用時・登用後の研修や勉強会を充実する。

ADRの担い手の能力を向上させるためには、関係機関の連携によって、機関の垣根を越えた協力体制を整備し、担い手に対する研修や勉強会の充実を図る必要がある。

    ○ 関係機関・ADR機関間が実施する研修等の充実を促進するための意見交換の場を設置するなどにより、以下の事項について検討する必要があるのではないか。

(例)
  ・ 各関係機関・ADR機関が実施する研修に対して、他の関係機関・ADR機関が協力できる仕組み(他の機関からの講師派遣、研究会の共同開催、判例情報の提供等)

    ○ 各関係機関・ADR機関の実施する研修等に他のADR機関の担い手が参加できる仕組みについても、各機関における研修等の実施の態様や具体的なニーズ等の把握を含め、上記の意見交換の場において検討することとしてはどうか。

    ○ 各機関相互間で研修等に関する情報の交換が積極的に行われるよう、各省庁等からの働きかけ等を行うこととしてはどうか。

    ○ 各ADR機関の担い手に対する統一的な研修を実施することの要否や、大学等を活用することの適否について、引き続き連絡会議において検討することとしてはどうか。

    ○・・・・

  2 その他

    ○ 12に加えて、ADRの担い手が能力向上を図ることができる体制を整備するため、連絡会議において以下の事項について検討することとしてはどうか。

(例)
  ・ 関係ADR機関間における紛争解決事例等の共有化

  ・ ADRの担い手が適時に専門家等のアドバイスを受けることができる体制の整備

    ○・・・・


3  その他

(1)ADRに対する国民の理解の促進

社会全体の紛争解決機能の向上にADRの果たす役割が国民に十分理解されるよう、ADRに関する広報・教育を充実する。

  1 ADRの役割やADRの拡充・活性化方策に関する情報を、国民に向けて発信する。

    ○ ADRの役割やADRの拡充・活性化方策に関する情報について、各省庁等はADR機関等と連携し、国民や関係機関に向けた広報活動を行うこととしてはどうか。

(例)
  ・ パンフレット・ポスターの作成等

    ○ ADRに拡充・活性化に関する国民の理解を深めるため、各省庁等は、国民や関係機関に向けた普及啓発活動を行うこととしてはどうか。

(例)
  ・ 講演会・シンポジウムの支援

  ・ ADRに関する懸賞論文の募集等
    ○ 司法教育の一環として、ADRに関する教育の充実を図ることとしてはどうか。

    ○・・・・

(2)その他

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