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文化審議会

2002/06/26議事録
文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会(第1回)議事要旨

文化審議会著作権分科会司法救済制度小委員会
(第1回)議事要旨

日時 平成14年6月26日(水)10時30分〜13時
     
場所 日本芸術文化振興会第1会議室
     
出席者 (委員)
後藤、高杉、道垣内、橋元、細川、前田、松田、山口、山本の各委員
(文化庁)
丸山長官官房審議官,岡本著作権課長、尾崎著作権等管理事業室長、堀野著作権課課長補佐ほか関係者
     
配付資料  
     
  資料1 著作権分科会・司法救済制度小委員会委員名簿
  資料2 小委員会の設置について
(平成14年5月7日  文化審議会著作権分科会決定)
  資料3−1 著作権をめぐる最近の動向について
  −2 知的財産戦略会議の開催について
(平成14年2月25日  内閣総理大臣決裁)
  −3 知的財産戦略専門調査会の設置等について
(平成14年1月30日  総合科学技術会議)
  −4 司法制度改革推進計画(抄)(平成14年3月19日  閣議決定)
  −5 文化審議会答申「文化を大切にする社会の構築について」(抄)
(平成14年4月)
  資料4 司法救済制度に係る主な著作権法の改正について
  資料5 審議事項例
  資料6 司法救済制度小委員会審議スケジュール(案)
     
概  要  

(1) 主査の選任について
  主査に松田委員が選任され,また,主査代理として,山口委員が指名された。
(2) 司法救済制度小委員会の概要について
  事務局から、本小委員会の設置の趣旨や所掌事務、会議の公開の取扱い等について説明が行われた。
(3) 著作権に関わる動向について
  事務局から資料に基づき説明があった後、以下のような意見交換が行われた。
  (以下委員○,事務局△)

○:   事務局が示した「検討事項例」に追加すべき事項につき意見を伺いたい。

○:   「プロバイダに対する差止請求」の問題も検討事項として明確に記載してほしい。そして、現在のプロバイダ責任法の発信者情報開示制度は機能しないと思われるので、プロバイダに対する発信者情報開示の義務化について検討事項としてあげてほしい。

△:   プロバイダ責任法において、プロバイダの定義は、著作権法の送信可能化の概念を持ってきているので、接続プロバイダもファイル交換ソフトを使う者もプロバイダに該当することに留意する必要がある。

○:   接続プロバイダも発信者情報の開示者となるのであれば、それを活用して積極的に接続プロバイダに対して発信者情報の開示を求めていくことが重要である。

○:   次回以降、委員からもこの問題について説明をお願いしたい。

○:   著作権法だけの問題でない事項もあるので、司法制度全体の整合性を取る必要がある。また、他の知的財産権制度や民事訴訟全体の動きを踏まえる必要がある。特に「弁護士費用の敗訴者負担の導入」については、弁護士会等の動向にも注意することが必要である。

○:   弁護士会での議論について、次回以降、委員から説明をお願いしたい。

○:   「侵害とみなす行為」の規定について、必要なものが本当に網羅されているかを見直す必要がある。著作権等を侵害して作成された物の「頒布目的の所持」が「侵害とみなす行為」とされているが「上映目的の所持」などは対象となっていない。

○:   技術的保護手段の回避等については、「機器」と「プログラム」について、公衆譲渡等の罰則が規定されているが、「ノウハウ」のほか、「暗号」や「パスワード」の流布などを罰則の対象とすることについて検討が必要である。

○:   「アクセスコントロール」に係る制度についても、検討が必要である。

○:   不正競争防止法では、技術的保護手段の回避等を機能とする機器等の提供について、民事救済規定を設けているが、著作権法でも罰則規定だけでなく民事救済規定が必要かどうか検討が必要である。久保田委員に、民事救済規定が必要とされる事案の例を説明していただいてはどうか。

△:   「アクセスコントロール」の問題については、法制問題小委員会で取り上げる予定である。
  「ノウハウの流布」の問題については、(社)日本レコード協会の富塚会長が、知的財産戦略会議において実際にプレゼンテーションされているので、この小委員会においても(社)日本レコード協会からご説明いただこうと思っている。

○:   「ノウハウの流布」については、高杉委員の方から、技術的保護手段の回避に関する民事救済規定の導入については、久保田委員の方から報告いただくこととしてはどうか。

○:   「法定賠償制度」「3倍賠償制度」は積極的に検討すべきである。また、「間接侵害規定の導入」についても積極的に検討すべきである。演奏権侵害については、カラオケ業者1件1件の侵害行為を立証していく必要があるが、カラオケ機器を提供しているリース業者などの責任を明確化する必要がある。

○:   現在法律には間接侵害規定はないが、判例によって、リース業者にも損害賠償責任が認められている。判例の形成では不十分で立法措置が必要だ、という理由はあるか。

○:   最高裁で判決が出たが、侵害行為の幇助者ということになっている。共同不法行為としての責任を認めてほしい。

○:   間接侵害規定を導入するとすれば、主観的な要件も入れる必要があると思うが、主観的要件や客観的要件など具体的な規定振りについて、判例を踏まえた(社)日本音楽著作権協会の案を示していただきたい。

△:   検討事項については、制限する必要はない。訴訟の実務の観点からネックになっているものを全部出していただいて構わない。ただ、最後の報告書におけるまとめ方は、すぐにできるものもあれば中長期的な課題となるものもある、ということでよいのではないか。

○:   加害者が特定できる場合とできない場合について分けて議論した方がよいのではないか。また、外国から日本に向けて行われる侵害についても検討が必要である。

○:   プロバイダやネットオークション主催者等に著作権侵害に対する監視義務や間接侵害責任を負わせる制度などを検討する必要がある。

○:   発信者(侵害者)が不明である場合にも訴訟を起こせる制度が必要である。

(4) 閉会
  事務局から今後の日程について説明があった後、閉会になった。


(文化庁長官官房著作権課)

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